JPS5842398B2 - フクジクシキハグルマヘンソクキノ ジユンカツソウチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は副軸式歯車変速機に於ける潤滑装置に関するも
のであり、殊に歯車の回転力を利用した潤滑装置に係る
ものである。

従来の歯車変速機、特に自動車用の副軸式歯車変速機の
潤滑は公知の如くはね上げによるオイルバス式給油が通
例であった。

然し乍ら、このタイプの回転する歯車のかき上げる油は
歯車の接線方向に放物線上に飛散するものである為歯車
の噛合部や歯車の回転による軸承部への給油量は非常に
少く、油のもつ本来の潤滑効果は充分に生かされていな
かった。

又上記欠点を補う為に、油量を多くして全体に飛散する
油量を増した場合には歯車が油を撹拌する為の動力を多
大に費やすことから伝達効率が下がり、油温も上昇して
油の劣化を早める割には潤滑効果がなかった。

更に潤滑作用を積極的に行なう為にギヤオイルポンプ装
置を新たに設けた場合には必要個所への強制給油は行な
われても、その為のコストアップをまねき、且つスペー
ス的に取付けが不可能であったり、ポンプ駆動時の動力
損失によって効率が低下するなどの欠点があった。

そこで本発明は、オイルバス内の副軸歯車外周に該歯車
外周に対して所定間隔を有する油を導く為のアンダカバ
ー及びこれと直結した給油通路を設けることにより、前
述の欠点を解消したことを特徴とする副軸式歯車変速機
の潤滑装置を提供するものである。

以下添付図面に従って本発明の詳細な説明する。

先ずその構成を第１・２・３図に於て述べる。

変速機ケース１内には入力軸歯車２が軸受３を介して回
転可能に支持され、該入力軸歯車２の内式には出力軸４
の一端が回転可能に支持されている。

副軸５は前記出力軸４と平行に配置され、前記変速機ケ
ース１に軸受６を介して回転可能に支持されている。

前記副軸５には前記入力軸歯車２と常時噛合っている副
軸駆動歯車５ａと、前記出力軸４上に回転可能に支持さ
れた３速用主軸歯車７と常時噛合っている３速用副軸歯
車５ｂとが設けられている。

前記入力軸歯車２と前記３速用主軸歯車７との間には同
期噛合作用をなすシンクロ装置８が設置さ札動力伝達は
該シンクロ−装置８を介して前記出力軸４に伝えられる
。

次に本発明の主要部をなす潤滑部について述べると、ア
ンダカバー９には前記副軸駆動歯車５ａの回転により飛
散した油を流入し易く、且つ層流を期待すべくその一方
の入口部は第１図示の様に１枚の薄板から曲げられた側
壁９ａが前記副軸駆動歯車５ａの側部を所定の高さまで
被って開口部１０を形成し、その他方は集まった油を逃
がさない為に途中から第３図示の様に上板１１で前記開
口部１０を閉じている。

そして前記アンダカバー９は、第２図示の様に前記副軸
駆動歯車５ａの外周から所定間隔をとって前記側壁９ａ
で以て前記副軸駆動歯車５ａを円弧状で所定の長さに渡
って被いその最下部を皿ネジ１３により前記変速機ケー
ス１底部の突起１ａに固定される。

前記アンダカバー９の上部には該アンデカバー９内を貫
通する様に適正な孔径をもつ送油パイプ１２の一端が溶
接等により取付けられている。

前記送油パイプ１２の他端は潤滑部分に油を供給噴出す
る為の多数の細孔１６ａを有しケースの上部で軸（入力
軸。

出力軸などの軸）に直角方向に延在する供給用パイプ１
６と連通しているケースカバー１４に形成した油孔１５
に挿入されている。

又他の潤滑部分へは前記油孔１５と連通すべく前記ケー
スカバー１４の軸方向に形成された油孔１７を介して他
の供給用パイプ１８の細孔から油を供給噴出する様にな
っている。

以上の構成よりその作用を説明する。

副軸駆動歯車５ａの第２図で見て反時計方向の回転によ
って変速機ケース１内に貯溜された油は歯部によってか
き上げられ、更には遠心力によって歯部より離れてケー
ス上部へ放物線上に飛散し様とするが、アンダカバー９
の内壁９ｂと側壁９ａに阻止され、開口部１０内に溜ま
ることになる。

ここで更に副軸駆動歯車５ａが高速回転になると、前述
のポンプ作用により次第に開口部１０内の油圧が高まり
、その結果油は開口部１０と連通している送油パイプ１
２へ吐出され、其后油孔１５を通って供給用パイプ１６
へ、又分流した油は別の油孔１７を通って別の供給用パ
イプ１８へと夫々加圧された状態で送られ、供給用パイ
プ１６の細孔１６ａ及び供給用パイプ１８の細孔より噴
出して落下し、所要の潤滑部分へ供給される。

自動車用歯車変速機の場合潤滑を特に必要とする出力軸
４上の主軸歯車７．シンクロ装置８．軸承部等への供給
は供給用パイプ１６をそれらの位置する上部に設けるこ
とにより、確実に潤滑油を供給出来ることになる。

尚、本発明の実施例では油の放出手段としてケースカバ
ー１４内に設置した供給用パイプ１６・１８に細孔を形
成して行なったが、送油パイプ１２に細孔を形成しても
よく、又他の潤滑部分の供給も油孔１７に連通してパイ
ピングさえ行えば容易に出来ることは明らかである。

次に従来の潤滑装置として簡単にトランスファ装置につ
いて第４図に於いて説明する。

１はトランスファケース、２は入力軸、３は中間歯車、
４は出力軸で各入力・出力軸には歯車及び噛合装置が配
置され、前記入力軸２上の歯車５・６への潤滑は前記出
力軸４上の歯車７・８によってかき上げられ、飛散した
オイルが前記中間歯車３を介して行なわれるが、上部と
下部の歯車部では高低差が大きい為その給油は十分でな
かった。

この為、潤滑用として新たにギヤオイルポンプ装置９を
前記出力軸４と直結させて供給用パイプ１０で以て必要
個所へ強制給油を行なっていた。

然し乍ら、この様なギヤオイルポンプ装置９を別に設け
ることは、コストアップやスペース的に取付けが不可能
になったり又ポンプ駆動時の動力損失で効率が低下する
などの欠点があった。

以上の構成及び作用説明から明らかな様に、本発明の副
軸式歯車変速機の潤滑装置によればオイルバス内の比較
的大きい径の副軸歯車外周に該歯車に対して所定間隔で
以て円弧状で且つ軸方向にコの字形で被うと共にその途
中より閉口部を形成したアンダカバーを設け、又ケース
の上部に軸方向に延びる油路を形成し、この油路に連通
ずるとともにケースの上部にて軸に直角方向に延びると
ともに潤滑必要部分（入力軸歯車、変速歯車、同期装置
などの部分）へ向けて穿設された放出孔を備えた供給管
を設け、アンダカバーの閉口部と軸方向に延びる油路と
を送油管に連管して潤滑給油通路を設けることにより、
歯車の歯部によってかき上げられ放物線状に飛散し様と
する油と高速回転のときの遠心力によって歯部より離れ
ていく油とを確実に捕獲し、必要な潤滑個所へ油が供給
されることから従来のオイルバス式給油の歯車等の回転
によるかき上げ又は飛散等だけによる歯車の噛合部・軸
承部・シンクロ装置等への潤滑供給油量が充分でなかっ
たのに比して、歯車の回転を利用して積極的に確実な潤
滑油が供給出来、要部の摩耗・焼付きを防止出来て装置
全体の寿命を伸ばすことになること、且つ本発明によれ
ば歯車が高速回転になった場合、それに伴って供給油量
が多くなり歯車の回転に応じた効果的な潤滑が出来るこ
と、又本発明によれば油量を減らしても潤滑効果は落ち
ない為、従来装置にややもすると油量が多すぎて歯車の
撹拌抵抗が大となり、延いては変速操作時の操作力が重
くなるという悪現象をなくすことが出来ること、更には
要部への潤滑を積極的に行なう為に従来用いられたギヤ
オイルポンプ装置等が不要になる等の多くの優れた効果
を奏する。

更に加えて、本発明によればアンダカバーが比較的大き
い径の外周に配設されていることから、潤滑油の油面を
低くし油路を更に減らすことができ、又、ケース上部に
軸に直角方向に延びる供給管を配設したことにより潤滑
油供給範囲が拡大し任意の部分に必要に応じて潤滑油を
供給し得、更にケースの上部に軸方向に延びる油路を形
成したことにより軸方向に多数の潤滑必要箇所がある場
合（変速段が多く変速歯車或は同期装置が多数となりそ
こに給油する必要がある場合）でも対応する軸方向位置
に供給管を附設するだけでよく配給が容易にでき実用上
極めて効果がある。

加えて、又、本発明によればアンダカバーの閉口部に連
結しケース上方に延びた送油管の上方端部に連結される
油孔口をケースカバーの下方端面から上方に向って穿設
し、この油孔口に連通ずるとともに軸方向に延びた油路
をケースカバーに形成するとともに、この油路に連結さ
れ軸に直角方向に延びケース上方の開口部を跨架し、ケ
ースカバーに供給管を配設しこれに適宜の潤滑必要部分
へ向けて放出孔を形成したことにより、変速機ケース側
にアンダカバー及び送油管を附設しケースカバー側に油
孔口、油路、及び供給管を配設することが出来る為、ケ
ースとの合せ面の一部であるケースカバーの下方端面に
油孔口を穿設出来ケースの開口部を閉蓋する際ケース側
の送油管の上部端部に油孔口を連結し得ることから給油
通路の構成が容易であり且つ油路の連結あるいは組付等
も容易に出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す断面図、第２図は第１図
のＡ−Ａ断面図、第３図は第２図のＢ−Ｂ断面図、第４
図は従来の潤滑装置としてトランスファ装置にギヤオイ
ルポンプ装置を装着した状態を示す骨格図である。 図中、１は上方に開口部を有する変速機ケース、１４は
ケースカバー、５は副軸、５ａ、５ｂは副軸に形成され
た歯車、７は変速歯車、４は出力軸、９はアンダカバー
、１２は送油管、１５は油孔口、１７は軸方向に延び前
記ケースカバーに形成された油路、１６はケース上方の
開口部を跨架しケースカバーに配設された供給管、１６
ａは供給管に形成された放出孔を夫々示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上方に開口部を有する変速機ケース、該ケースの開
   口部を閉蓋しケースに附設されたケースカバー、該ケー
   スカバーと前記ケースとで形成されたケース室内に設け
   られ入力軸により駆動される副軸、該副軸に形成された
   歯車に適宜噛合する変速歯車、該変速歯車に連繋される
   出力軸を備えており、前記副軸に形成された歯車の内の
   比較的大きい径の歯車の外周を所定間隔を保って該歯車
   の潤滑油中の下部より回転方向に沿って円弧状で且つ軸
   方向にコの字形で被うと共にその途中より閉口部を形成
   したアンダカバー、該アンダカバーの閉口部に連結し前
   記ケース上方に延びる送油管、該送油管の上方端部に連
   結すべく前記ケースカバーの下方端面から上方に向けて
   穿設された油孔口、該油孔口に連通ずるとともに軸方向
   に延び前記ケースカバーに形成された油路、該油路に連
   結され軸に直角方向に延び前記ケース上方の開口部を跨
   架し前記ケースカバーに配設されており適宜の潤滑必要
   部分へ向けて放出孔を形成した供給管を有して成る副軸
   式歯車変速機の潤滑装置。