JP5049606B2 - 減衰性塗料 - Google Patents

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Description

本発明は、振動エネルギー、衝撃エネルギー等のエネルギーを減衰する減衰性能を発揮する減衰性塗料に関するものである。
従来、制振性、衝撃吸収性等の減衰性を発揮する材料として、各種樹脂組成物が知られている(特許文献1〜4参照)。特許文献1では、塗膜を形成する樹脂粒子が分散してなる水系樹脂分散液に対して塗膜に減衰性を付与する減衰性付与成分を配合した減衰性塗料が提案されている。特許文献2〜4では、制振性等を発揮する組成物において、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含有する構成が提案されている。こうした、組成物を硬化して得られる減衰性成形体は、例えば制振性等を発揮する。
特開2006−257235号公報 特開2004−115679号公報 特開平7−157740号公報 特開平7−331032号公報
上述した組成物を用いて得られる成形体を所定の箇所に装着する方法としては、所定形状の成形体を予め成形した後、その成形体を所定の箇所に接着させる方法、組成物を所定の箇所に塗布する方法等が挙げられる。これらのうち、組成物を塗布する方法は、その組成物を塗布する工程、及びその塗布物を硬化させる工程を連続的に行うことにより、成形及び接着を連続して実施することができる。このため、組成物を塗布する方法では、予め成形した成形体を接着させる方法に比べて省力化を図ることが容易である。
ところが、上記特許文献1の組成物では、水系樹脂分散液であるため、水を揮発させるための乾燥時間が必要になる。その乾燥時間は、乾燥温度を高めれば短縮されるものの、接着強度の低下、物性の不均一化を招くことになる。また、水系樹脂分散液では、塗布した後に放置すると分散状態等が変化し易い。このため、例えば製造ラインの非稼働日等において、塗布された分散液が放置された後、その分散液を乾燥した塗膜と、塗布直後に乾燥した塗膜とにおいて、減衰性能のばらつきが過剰となるおそれがある。上記特許文献2の組成物も同様に、室温硬化性を高めた構成であるため、塗膜の減衰性能等においてばらつきが生じ易い。さらに特許文献2の組成物では、可塑剤が多量に配合されているため、接着性が十分に得られ難く、多量の可塑剤がブリードアウトすることによって減衰性能が経時的に低下することが懸念される。
これに対して、特許文献3及び4の組成物は、液状のエポキシ樹脂が配合されることで、加熱によって硬化するように構成されている。このため、塗布後に常温で放置しても、最終的に得られる塗膜の減衰性能にばらつきが生じ難いという利点を有している。これらの組成物では、圧電性粒子の多量配合により、得られる塗膜の減衰性能を高めている。このように圧電性粒子を多量配合した場合には、組成物の塗布に適した流動性を確保するために、アクリル系粉末樹脂に対するエポキシ樹脂の配合量を増大させる必要がある。すなわち、特許文献3、4の組成物では、エポキシ樹脂を圧電性粒子の分散媒として機能させるために、その含有量を高める必要がある。ところが、エポキシ樹脂の増量は、接着性能に対して有効に寄与するものの、減衰性能の向上については必ずしも有効に寄与しない。一方、圧電性の粒子の多量配合は、塗膜の接着性能を低下させてしまう。このように、エポキシ樹脂を配合した減衰性塗料は、塗膜の減衰性能にばらつきが生じ難いという利点を有しているものの、接着性能及び減衰性能の両者を満足させる減衰性塗料は未だ提案されていないのが実情である。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易な減衰性塗料を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液状エポキシ樹脂に対してアクリル系樹脂粒子と減衰性付与成分とを配合してなり、前記減衰性付与成分としてトリフェニルホスフェートを含み、無機充填剤としてマイカを配合してなることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の減衰性塗料において、前記アクリル系樹脂粒子の配合量が前記液状エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部を超えるとともに500質量部未満の範囲であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の減衰性塗料において、前記トリフェニルホスフェートの配合量が液状エポキシ樹脂100質量部に対して3〜50質量部の範囲であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の減衰性塗料において、水酸化カルシウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムから選ばれる少なくとも一種を配合してなることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の減衰性塗料において、マイカの配合量が前記液状エポキシ樹脂100質量部に対して80質量部未満であることを要旨とする。
本発明によれば、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易である。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態における減衰性塗料は、液状エポキシ樹脂に対してアクリル系樹脂粒子と減衰性付与成分とを配合して構成される。減衰性付与成分は、正リン酸エステル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾチアジル系化合物、ジフェニルアクリレート系化合物、ビスフェノール系化合物、及びフォスファイト系化合物から選ばれる少なくとも一種である。
液状エポキシ樹脂は、減衰性塗料から形成される塗膜のマトリックスとして、主に塗膜の接着性能に寄与する成分である。液状エポキシ樹脂は、平均して1分子当たり1個以上のエポキシ基を有する加熱硬化型のプレポリマーを示し、硬化剤との架橋反応によって三次元構造を形成することで硬化する。液状エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族のジグリシジルエーテル、脂環式エポキシド、フタル酸誘導体のジグリシジルエステル等が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、テトラメチルビスフェノールA型、テトラブロモビスフェノールA型等のエポキシ樹脂が挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ブロム化フェノールノボラック型等のエポキシ樹脂が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、トリグリシジルアミノフェノール等が挙げられる。脂肪族のジグリシジルエーテルとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、テトラメチレングリコール等から構成されるグリシジルエーテルが挙げられる。脂環式エポキシドとしては、例えば3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等が挙げられる。フタル酸誘導体のジグリシジルエステルとしては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等から構成されるジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等から構成されるグリシジルエステル等が挙げられる。
これらの液状エポキシ樹脂は単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。なお、液状エポキシ樹脂は、常温(20℃)で液状をなすエポキシ樹脂に対して常温で固体状をなすエポキシ樹脂を溶解することにより構成してもよい。これらの液状エポキシ樹脂の中でも、十分な接着強度が得られ易いとともに、上述した減衰性付与成分との相溶性が良好であるという観点から、好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
アクリル系樹脂粒子は、塗膜の制振性能を高めるために配合される。アクリル系樹脂粒子を形成するアクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一種の単量体を構成単位とする重合体である。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、n−ヘキシルエステル、2−エチルヘキシルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル、ラウリルエステル、トリデシルエステル、ミリスチルエステル、セチルエステル、ステアリルエステル、ベヘニルエステル、ビフェニルエステル等が挙げられる。
これらのアクリル系樹脂粒子は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。また、アクリル系樹脂粒子として、コア−シェル型のアクリル系樹脂粒子を配合してもよい。コア−シェル型のアクリル系樹脂粒子におけるコアを形成する材料としては、上述したアクリル系樹脂が挙げられる。一方、シェルを形成する材料としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、スチレン等を単量体とする重合体、又は共重合体が挙げられる。アクリル系樹脂粒子の平均粒径は、例えば1〜100μmであり、好ましくは10〜50μmである。
アクリル系樹脂粒子の配合量は、液状エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部を超えるとともに500質量部未満、より好ましくは51質量部以上かつ400質量部以下、さらに好ましくは52質量部以上かつ100質量部以下である。アクリル系樹脂粒子の配合量が、液状エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部以下の場合、減衰性能が十分に得られ難くなるおそれがある。一方、アクリル系樹脂粒子の配合量が、液状エポキシ樹脂100質量部に対して500質量部以上の場合、減衰性塗料の流動性が十分に得られないおそれがある。
減衰性付与成分は、塗膜の減衰性を高めるために配合される。減衰性付与成分は、正リン酸エステル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾチアジル系化合物、ジフェニルアクリレート系化合物、ビスフェノール系化合物、及びフォスファイト系化合物から選ばれる少なくとも一種である。
正リン酸エステル系化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合したものであって、具体例としては2−[2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−(2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−(2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−(2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)、2−(2′−ハイドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HOPB)等が挙げられる。
ベンゾチアジル系化合物としては、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が挙げられる。
ジフェニルアクリレート系化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(ECDPA)、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(OCDPA)等が挙げられる。
ビスフェノール系化合物としては、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
フォスファイト(phosphite、亜リン酸)系化合物としては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト等が挙げられる。
減衰性付与成分の配合量は、液状エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは3〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部である。減衰性付与成分の配合量が、液状エポキシ樹脂100質量部に対して、3質量部未満の場合、減衰性を高める効果が十分に得られないおそれがある。一方、減衰性付与成分の配合量が、液状エポキシ樹脂100質量部に対して、50質量部を超える場合、塗膜の接着性能及び塗膜の剛性が十分に得られ難くなるおそれがある。
減衰性塗料には、必要に応じて無機充填剤、発泡剤、乾燥剤等を配合することができる。
無機充填剤を配合した場合には、塗膜の減衰性能をより高めることができる。無機充填剤としては、マイカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、珪藻土、ゼオライト、フェライト、カーボン等が挙げられる。無機充填剤は単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
無機充填剤の中でも、減衰性能を高める作用効果に優れるという観点から、マイカが好適である。マイカの中でも、表面に有機化処理が施されている有機化処理マイカを用いることが好適である。有機化処理マイカを配合した場合、液状エポキシ樹脂に対する有機化処理マイカの分散性が高まる結果、より優れた減衰性能が発揮され易くなる。
無機充填剤の最大粒径は、100μmであることが好ましい。無機充填剤の最大粒径が100μmを超える場合、減衰性塗料を塗布装置で塗布するに際して、塗布装置のノズルが閉塞するといった不具合が生じるおそれがある。
無機充填剤の配合量は、液状エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは1質量部以上、かつ80質量部未満、より好ましくは78質量部以下、さらに好ましくは75質量部以下である。無機充填剤の配合量が液状エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部未満の場合、無機充填剤の配合による作用効果が十分に得られないおそれがある。一方、無機充填剤の配合量が、液状エポキシ樹脂100質量部に対して80質量部以上である場合、減衰性塗料の流動性が十分に得られ難くなる。
発泡剤を配合した場合には、塗膜の減衰性能をより高めることができる。発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)系発泡剤、p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)系発泡剤、テトラゾール系発泡剤等の化学発泡剤、中空フィラー、熱膨張性マイクロカプセル等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
乾燥剤を配合した場合には、アクリル系樹脂粒子の吸湿による減衰性能のばらつきを抑制することができる。乾燥剤としては、液状エポキシ樹脂等に対する影響が少ないという観点から、好ましくは水酸化カルシウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムから選ばれる少なくとも一種、より好ましくは酸化カルシウムである。
減衰性塗料は液状エポキシ樹脂の架橋反応によって硬化される。液状エポキシ樹脂の架橋反応は、硬化剤の配合及び加熱によって開始される。硬化剤は、減衰性塗料の使用直前に配合してもよいし、減衰性塗料の調製時等に配合してもよい。なお、減衰性塗料の調製時等において硬化剤を配合することで、減衰性塗料の保存期間が存在する場合には、硬化剤として潜在性硬化剤を配合する。潜在性硬化剤は、室温付近では液状エポキシ樹脂を硬化させずに、加熱によって硬化させる硬化剤である。
硬化剤としては、ジシアン系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
減衰性塗料には、その他の成分として、ゲル化剤、分散剤、粘度調整剤、増粘剤、流動改良剤、消泡剤、造膜助剤、沈降防止剤等を必要に応じて配合することが可能である。
減衰性塗料は、上述した成分を攪拌機等の公知の混合手段によって混合することによって調製することができる。
こうした減衰性塗料の減衰性能、すなわち減衰性塗料から得られる塗膜の減衰性能は、塗膜の損失係数によって示される。具体的には、塗膜の損失係数が高ければ高いほど、塗膜の減衰性能が優れることが示される。塗膜の損失係数は、周知の中央加振法損失係数測定装置によって測定することができる。
この減衰性塗料は、振動エネルギーを減衰する制振塗料、衝撃エネルギーを減衰する衝撃吸収塗料等として利用することができる。制振塗料の適用分野としては、例えば自動車、建材、家電機器、産業機械等が挙げられる。衝撃吸収塗料の適用分野としては、例えば靴、グローブ、各種防具、グリップ、ヘッドギア等のスポーツ用品、ギプス、マット、サポーター等の医療用品、壁材、床材、フェンス等の建材、各種緩衝材、各種内装材等が挙げられる。
減衰性塗料を使用するには、減衰性塗料を適用箇所に塗布した後、その減衰性塗料を硬化させることにより、塗膜を形成させる。減衰性塗料の塗布方法は、減衰性塗料の流動性に応じて適宜選択すればよく、スリット等から減衰性塗料を吐出させるとともに適用箇所に塗布する方法の他、エアスプレーガン、エアレススプレーガン、刷毛塗り等の塗布手段を用いることが可能である。
硬化した塗膜には、液状エポキシ樹脂の硬化物、アクリル系樹脂及び上述した減衰性付与成分が含有されている。このため、振動エネルギー、衝撃エネルギー、音のエネルギー等のエネルギー(但し、光エネルギー及び電気エネルギーを除く)が塗膜に伝わった際に、液状エポキシ樹脂の硬化物の有する分子鎖、アクリル系樹脂の分子鎖、及び減衰性付与成分の相互作用によって、そうしたエネルギーが効率的に熱エネルギーへ変換されると推測される。また、液状エポキシ樹脂の硬化物によって適用箇所に対する接着性能が十分に得られる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 減衰性塗料は、液状エポキシ樹脂に対してアクリル系樹脂粒子と減衰性付与成分とを配合して構成される。減衰性付与成分は、正リン酸エステル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾチアジル系化合物、ジフェニルアクリレート系化合物、ビスフェノール系化合物、及びフォスファイト系化合物から選ばれる少なくとも一種である。この減衰性塗料によれば、アクリル系樹脂粒子及び減衰性付与成分によって減衰性能を顕著に高めることが容易である。そして、適用箇所に対する接着性能は液状エポキシ樹脂の配合によって高められている。よって、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易である。
(2) アクリル系樹脂粒子の配合量は、液状エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部を超えるとともに500質量部未満の範囲であることが好ましい。この構成によれば、流動性が十分に得られ易くなり、かつ減衰性能が十分に得られ易い。
(3) 減衰性付与成分の配合量は、液状エポキシ樹脂100質量部に対して3〜50質量部の範囲であることが好ましい。この構成によれば、減衰性能が十分に得られ易くなり、かつ塗膜の接着性能及び剛性が十分に得られ易い。
(4) 減衰性付与成分として、正リン酸エステル系化合物を配合することが好ましい。この構成によれば、常温(20℃)付近の減衰性能を顕著に高めることができる。
(5) 減衰性塗料には、無機充填剤が配合されるとともに、液状エポキシ樹脂100質量部に対する無機充填剤の配合量が80質量部未満であることが好ましい。この構成によれば、流動性を維持しつつ、減衰性能を高めることが容易である。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例A1〜A3、比較例1)
液状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、LP3106、(株)ADEKA製)に対して、アクリル系樹脂粒子(LP3106、三菱レイヨン(株)製)及び減衰性付与成分としてのトリフェニルホスフェートを配合し、攪拌機によって混合することにより、表1に示す減衰性塗料を調製した。なお、各実施例及び比較例1の減衰性塗料には、無機充填剤等が所定の配合率で配合されている。また、表1において配合量を示す数値の単位は質量部である。
<減衰性能の評価>
各実施例の減衰性塗料及び各比較例の塗料を鋼板(厚さ0.8mm)に塗布した後、140℃で25分間加熱乾燥することにより塗膜を形成し、これらの塗膜を試験片とした。なお、鋼板に対する塗膜の厚みは、同一となるように塗布量を調整した。各例の試験片について、中央加振法損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)を用いて、20℃、40℃、及び60℃における損失係数を測定した。各温度における損失係数の測定結果を表1に併記するとともに図1に示す。
表1及び図1の結果から明らかなように、各実施例の損失係数は、20℃の温度において、比較例1よりも顕著に高まっている。各実施例の結果より、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易であることがわかる。
参考例B1〜B3)
参考例B1〜B3では、減衰性付与成分をエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートに変更した以外は、実施例A1〜A3と同様にして減衰性塗料を調製し、その減衰性能の評価を行った。各温度における損失係数の測定結果を表2に併記するとともに図2に示す。
表2及び図2の結果から明らかなように、各参考例の損失係数は、少なくとも20℃の温度において、比較例1よりも高まっている。各参考例の結果より、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易であることがわかる。
参考例C1〜C3)
参考例C1〜C3では、減衰性付与成分をN−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミドに変更した以外は、実施例A1〜A3と同様にして減衰性塗料を調製し、その減衰性能の評価を行った。各温度における損失係数の測定結果を表3に併記するとともに図3に示す。
表3及び図3の結果から明らかなように、各参考例の損失係数は、少なくとも40℃の温度において、比較例1よりも高まっている。各参考例の結果より、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易であることがわかる。
参考例D1〜D3)
参考例D1〜D3では、減衰性付与成分を2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)に変更した以外は、実施例A1〜A3と同様にして減衰性塗料を調製し、その減衰性能の評価を行った。各温度における損失係数の測定結果を表4に併記するとともに図4に示す。
表4及び図4の結果から明らかなように、各参考例の損失係数は、少なくとも40℃の温度において、比較例1よりも高まっている。各参考例の結果より、エポキシ樹脂の配合によって接着性能を高めた際においても、減衰性能を高めることが容易であることがわかる。
実施例A1〜A3及び比較例1における温度と損失係数との関係を示すグラフ。 参考例B1〜B3及び比較例1における温度と損失係数との関係を示すグラフ。 参考例C1〜C3及び比較例1における温度と損失係数との関係を示すグラフ。 参考例D1〜D3及び比較例1における温度と損失係数との関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 液状エポキシ樹脂に対してアクリル系樹脂粒子と減衰性付与成分とを配合してなり、前記減衰性付与成分としてトリフェニルホスフェートを含み、無機充填剤としてマイカを配合してなることを特徴とする減衰性塗料。
  2. 前記アクリル系樹脂粒子の配合量が前記液状エポキシ樹脂100質量部に対して50質量部を超えるとともに500質量部未満の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の減衰性塗料。
  3. 前記トリフェニルホスフェートの配合量が液状エポキシ樹脂100質量部に対して3〜50質量部の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の減衰性塗料。
  4. 水酸化カルシウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムから選ばれる少なくとも一種を配合してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の減衰性塗料。
  5. マイカの配合量が前記液状エポキシ樹脂100質量部に対して80質量部未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の減衰性塗料。
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