JP2016027117A - 難燃性ゲルコート組成物および難燃性強化プラスティック成形物 - Google Patents

難燃性ゲルコート組成物および難燃性強化プラスティック成形物 Download PDF

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【課題】難燃性、耐クラック性、軽量性といった様々な特性を備えた鉄道車両や航空機用途向けのゲルコート付き難燃性強化プラスティク成形物、およびこれを製造するためのノンハロゲン・ノンアンチモンの難燃性ゲルコート組成物を提供する。【解決手段】本発明による難燃性ゲルコート組成物は、(A)ゲルコート樹脂成分と、(B)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物成分とを含み、前記成分(A)100質量部に対して前記成分(B)が1〜70質量部含まれることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

この発明は難燃性ゲルコート組成物およびこれを用いて得られた難燃性に優れたゲルコート付き強化プラスティック成形物に関する。
ゲルコート組成物は、ゲルコート樹脂としての不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等の単独もしくはこれらの混合物に、顔料、体質顔料、揺変剤、硬化促進剤等を適宜加えてなる液状の熱硬化性樹脂組成物であって、これに重合開始剤を加えたものをスプレーまたは刷毛で成形型の表面に塗布し、その後、その上へ強化プラスティック層を形成したり、逆に上記熱硬化性樹脂組成物に重合開始剤を加えたものを強化プラスティック表面に直接塗布して使用される。こうして形成されたゲルコートは、強化プラスティック表面の艶付けや着色といった美観付与の他に、水、熱水、紫外線などに対する保護層として機能する。
鉄道車両や航空機の用途では、ゲルコート付き強化プラスティック成形物は高い難燃性を要求される。
従来、ゲルコート付き強化プラスティック成形物への難燃性付与は、ゲルコート層と強化プラスティック成形物層のいずれか一方または両方にハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤または水和金属化合物を添加するといった手法がとられてきた。
しかしながらハロゲンフリー材料への要請が高まる中で、ハロゲン系難燃剤およびアンチモン系難燃剤の使用は制限され、また水和金属化合物はその難燃化効率の低さから高添加量で用いる必要があり、その結果、作業性が悪く耐クラック性が低いという問題を招いた。
鉄道車両や航空機用途向けの強化プラスティック成形物においては、低発煙性および難燃性に加え、耐クラック性や軽量性といった様々な特性が求められるため、これらの要求特性をバランスよく満たすことのできるノンハロゲン・ノンアンチモンの難燃性ゲルコート組成物、およびこれを用いて得られる難燃性に優れた強化プラスティック成形物が要望される。
従来、難燃性合成樹脂組成物として、(A)ポリオレフィン樹脂と、(B)リン酸またはポリリン酸と特定のトリアジン誘導体または特定のジアジン誘導体との反応生成物である有機リン酸塩化合物と、(C)ガラス長繊維を含むハロゲンフリー難燃性樹脂組成物(特許文献1)、および、(A)合成樹脂と、(B)リン酸またはポリリン酸と特定のトリアジン誘導体またはアンモニアとの反応生成物である有機リン酸塩化合物と、(C)層状ケイ酸塩を含むハロゲンフリー難燃性合成樹脂組成物(特許文献2)が知られていた。
しかし、前者はガラス長繊維を含む樹脂組成物の関するものであり、また後者は層状ケイ酸塩を含む樹脂組成物に関するものであって、これらはいずれもゲルコート組成物に関するものではない上に、鉄道車両や航空機用途向け製品に求められる上述の諸特性を有する強化プラスティック成形物の製造を当業者に推考させるものではない。
特開2011−88970号公報 特開2009−153934号公報
本発明は、上記の点に鑑みて完成されたものであり、難燃性、耐クラック性、軽量性といった様々な特性を備えた鉄道車両や航空機用途向けのゲルコート付き難燃性強化プラスティック成形物、およびこれを製造するためのノンハロゲン・ノンアンチモンの難燃性ゲルコート組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(A)ゲルコート樹脂成分と、(B)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物成分とを含み、前記成分(A)100質量部に対して前記成分(B)が1〜70質量部含まれることを特徴とする難燃性ゲルコート組成物を提供するものである。
本発明による難燃性ゲルコート組成物において、前記成分(A)100質量部に対して前記成分(B)は、好ましくは3〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部、特に好ましくは5〜45質量部である。
本発明による難燃性ゲルコート組成物において、前記成分(B)は、下記一般式(1)で表される有機リン酸塩化合物であることが好ましい。
(一般式(1)中、nは1〜1000の数、pは0<p<n+2を満たす数、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体である。
一般式(2)中、ZおよびZはそれぞれ独立に、−NRNR基(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチロール基、または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)、水素基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、炭素原子数1〜10のアルキル基、および炭素原子数1〜10のアルコキシ基からなる群より選ばれる基である。)
本発明による難燃性ゲルコート組成物において、ゲルコート樹脂成分(A)は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂またはアクリル樹脂の単独或いはこれらの混合物に、顔料、体質顔料、揺変剤および硬化促進剤を適宜加えた液状熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
本発明はまた、前記難燃性ゲルコート組成物からなるゲルコートを表面に有する強化プラスティック成形物を提供する。
以下、本発明の各構成要素について、詳しく説明する。
本発明による難燃性ゲルコート組成物において、ゲルコート樹脂成分(A)の樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等が単独でまたはこれらを組み合わせて用いられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、一般に無水マレイン酸またはフマル酸のような不飽和酸と無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、エンド酸などの飽和塩基酸を併用して、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、水素添加ビスエポキシなどのグリコール類などをエステル化して得られる不飽和アルキドをスチレンモノマー、ビニルトルエン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、メチルメタクリレートモノマーなどのビニルモノマーに溶解して得られるものである。
ゲルコート用の不飽和ポリエステル樹脂としては、飽和酸が無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘット酸、こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロ無水フタル酸の内の一種から三種、不飽和酸にフマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸の内の一種から三種、グリコール類がネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAの内の一種から三種をエステル化し、スチレンモノマー、メチルメタクリレートモノマーなどのビニルモノマーに溶解したものが一般的に使用される。
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂にアクリル基もしくはメタクリル基を付加した樹脂であり、不飽和ポリエステル樹脂と同様にビニルモノマーに溶解して得られるものである。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの単独重合体および共重合体からなるものである。
前記成分(A)は、好ましくは、顔料、体質顔料、揺変剤および/または硬化促進剤を含む。
体質顔料の例としては、雲母、合成金雲母、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、等が挙げられる。
揺変剤は、揺変性(チキソ性)を有する材料である。揺変性とは、等温状態において剪断変形を与えたときに見かけ上の粘度が一時的に低下するが、静置し時間が経つと元の見かけ上の粘度に回復する性質である。揺変性を有することで、組成物塗布時は流動性が良好となり塗布性に優れ、かつ塗布後は形状保持やダレ防止の効果を得ることができる。揺変剤としては、例えば無機系としてシリカ微粒子(アエロジル)、アルミナ、雲母等、有機系として酸化ポリスチレン系、重合油系、界面活性剤系等が挙げられる。中でも、耐溶剤性およびインク組成物への影響の点から、シリカ微粒子(アエロジル)であるヒュームドシリカを用いることが好ましい。ヒュームドシリカは、粒子表面に有するシラノール基の水素架橋結合の働きにより、少量の添加で樹脂組成物に揺変性を与える。
硬化促進剤としては、不飽和ポリエステル樹脂の場合、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルトなどの金属石けん類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、アセチルアセトンなどのβ − ジケトン類、ジメチルアニリン、N−エチル−メタトルイジン、トリエタノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。この硬化促進剤の配合割合には特に制限はなく、要求される硬化性に応じて適宜決定される。
本発明による難燃性ゲルコート組成物において、前記成分(B)として用いられる前記一般式(1)で表される有機リン酸塩化合物は、リン酸またはポリリン酸と前記一般式(2)で表されるトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物である。
前記一般式(2)におけるZおよびZで表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の基が挙げられ、炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、これらアルキル基から誘導される基が挙げられる。
また、ZおよびZがとり得る−NRNR基におけるRおよびRに対応する炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えば、上記したアルキル基のうちの、炭素原子数1〜6のものが挙げられる。
前記トリアジン誘導体の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される有機リン酸塩化合物の内、(B)成分として使用するのに好ましい化合物としては、リン酸とメラミンとの塩またはポリリン酸アンモニウム化合物が挙げられる。本発明においては、特にリン酸とメラミンとの塩を使用することが好ましい。有機リン酸塩化合物として特に好ましくはポリリン酸メラミン塩である「AP750」、「AP760」、「OP1312」(以上、クラリアントジャパン社製)、「アデカスタブFP−2100J」、「アデカスタブFP−2200」(以上、ADEKA社製)が使用される。
また、上記のリン酸とメラミンとの塩としては、例えば、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等が挙げられ、これらの中でも、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、Xがメラミンであるピロリン酸メラミンが特に好ましい。リン酸とメラミンとの塩は、例えば、ピロリン酸メラミンの場合には、ピロリン酸ナトリウムとメラミンとを任意の反応比率で塩酸を加えて反応させ、水酸化ナトリウムで中和することにより得ることができる。
また、前記のポリリン酸アンモニウム化合物とは、ポリリン酸アンモニウム単体若しくはポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物である。該ポリリン酸アンモニウム単体としては、例えば、クラリアント社製のエキソリット−422、エキソリット−700、モンサント社製のフォスチェク−P/30、フォスチェク−P/40、住友化学(株)社製のスミセーフ−P、チッソ(株)社製のテラージュ−S10、テラージュ−S20等の市販品を使用することができる。
上記のポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、ポリリン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆若しくはマイクロカプセル化したものや、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等でポリリン酸アンモニウム表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコン処理を行ったもの、ポリリン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し難溶化したもの等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、クラリアント社製のエキソリット−462、住友化学(株)社製のスミセーフ−PM、チッソ(株)社製のテラージュ−C60、テラージュ−C70、テラージュ−C80等が挙げられる。
本発明の難燃性ゲルコート組成物には、必要に応じて、従来公知の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、レベリング剤、内部離型剤、ワックス、酸化防止剤、染料、顔料、無機充填剤(タルク、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ等)、分散剤、硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤、着色剤、チキソ剤、無機充填剤、難燃剤、その他の添加剤などが配合される。これらの添加剤の配合量は合計してゲルコート組成物中に好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
本発明のゲルコート組成物を用いた強化プラスティック成形物の製造は、従来の方法と同様に行われてよい。
すなわち、離型処理した型の表面にゲルコート組成物をブラシ、ローラー、スプレーなどで所定量塗布する。塗布層の厚みは通常100〜500μmである。その後、室温放置、加熱、電離放射線、紫外線、可視光線、赤外線の照射などの方法でゲルコート組成物を硬化させる。硬化は、必ずしも完全硬化に至るまで行う必要はないが、少なくともゲルコート組成物の流動性が失われる程度までは行う。
繊維強化プラスティックのマトリックスとしては、一般に、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を使用することが多い。エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを使用することもできる。
強化プラスティック成形物のマトリックスとしての不飽和ポリエステル樹脂は、一般に無水マレイン酸またはフマル酸のような不飽和酸と無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、エンド酸などの飽和塩基酸を併用して、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、水素添加ビスエポキシなどのグリコール類などをエステル化して得られる不飽和アルキドをスチレンモノマー、ビニルトルエン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、メチルメタクリレートモノマーなどのビニルモノマーに溶解して得られるものである。
強化プラスティック成形物のマトリックスとしてのエポキシ樹脂は、末端に反応性のエポキシ基を持つ熱硬化型の合成樹脂で、代表的なエポキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応により製造される、いわゆるビスフェノールA型エポキシ樹脂である。特にポリアミン硬化、酸無水物硬化、イミダゾール硬化のタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
強化プラスティック成形物のマトリックスとしてのフェノール樹脂は、フェノール、クレゾールなどのフェノール類とホルムアルデヒドを原料として触媒下において合成を行い、酸触媒下での合成により得られたノボラック型熱可塑性樹脂をヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を用いて硬化させ、アルカリ触媒下での合成により得られたレゾール型樹脂を加熱することによりそのまま硬化させるものである。
強化プラスティック成形物成形法としては、ハンドレイアップ法、RTM法、スプレーアップ法、BMC法、SMC法、プリプレグ法など、型を用いる成形法であれば任意の公知方法が適用できる。
強化プラスティック成形物に用いる強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維など任意の公知の強化繊維が使用可能であり、複数種の強化繊維の併用も可能である。

本発明による難燃性ゲルコート組成物を用いることによって、低発煙性および難燃性、耐クラック性、軽量性といった様々な特性を備えた鉄道車両や航空機用途に適したノンハロゲン・ノンアンチモンの強化プラスティック成形物を得ることができる。
燃焼試験装置を示す斜視図である。 比較例3における燃焼状態を示す写真である。 実施例11における燃焼状態を示す写真である。
次に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。尚、以下の部および%は全て質量基準である。また本発明に合致しない例は比較例または参考例として示す。
A)材料
ゲルコート付強化プラスティック成形物作製用の材料として下記のものを用意した。
1)ゲルコート樹脂(色:ホワイト)
ゲルコート樹脂(1):イソフタル酸/プロピレングリコール系不飽和ポリエステル樹脂系ゲルコート(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3B−0012P」)
ゲルコート樹脂(2):アクリル系不飽和ポリエステル樹脂系ゲルコート(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「NR−AC0012P」)
ゲルコート樹脂(3):イソフタル酸/ネオペンチルグリコール系不飽和ポリエステル樹脂系ゲルコート(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3F−0012P」)
ゲルコート樹脂(4):イソフタル酸/ネオペンチルグリコール系不飽和ポリエステル樹脂系ゲルコート(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3F−0012P」)に、軟質系不飽和ポリエステル樹脂(引っ張り弾性率:350MPa以下、引っ張り伸び率:50%以上)をゲルコート樹脂中25〜35重量%添加したもの(品番「3F−0012PA」)。
2)難燃剤
有機リン酸塩化合物:ADEKA社製、「アデカスタブFP−2200」
水酸化アルミニウム:昭和電工社製、「ハイジライトH−32」
3)強化プラスティック成形物のマトリックス
臭素付加不飽和ポリエステル樹脂:日本ユピカ社製、「ユピカFLH350R」
不飽和ポリエステル樹脂:ディーエイチ・マテリアル社製、「サンドーマFH−286」
4)強化プラスティック成形物成形用強化材
繊維補強材:「ガラスマット♯450」
5)ゲルコートおよび強化プラスティック成形物用の硬化剤
メチルエチルケトンパーオキサイド:日本油脂社製、「パーメックN」

B)成形物の作製
ゲルコート付強化プラスティック成形物を下記の方法で作製した。
1.ゲルコート樹脂100質量部に対し、硬化剤1質量部と有機リン酸塩化合物および/または水酸化アルミニウム(添加量は表2に示す)を添加し、全体を攪拌し、得られた混合物を真空下に脱泡した。次いで、離型処理したガラス板からなる成形型に前記混合物をスクレーパー塗布し、厚さ0.3〜0.4mmの塗膜を形成した。
2.このゲルコート塗膜付きの成形型を、60℃に調整した乾燥炉に入れて2時間加熱し、塗膜を硬化させ、ゲルコート層を形成した。
3.次いで、ゲルコート層の上に、充填材と硬化剤を配合したマトリックス樹脂層とガラスマット3プライをハンドレイアップ成形法にて積層状に成形し、この積層物を60℃にて4時間加熱して硬化させ、ゲルコート層の上に強化プラスティック成形物層を形成した。
4.強化プラスティック成形物層をガラス板型より脱型し、5日間以上室温で放置した。こうして得られたゲルコート付強化プラスティック成形物を下記の燃焼試験においてテストピースとして用いた。
C)燃焼試験
車両用材料燃焼試験(鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準 第八十三条、車両の火災対策:国土交通省令)に従って、上記ゲルコート付強化プラスティック成形物の燃焼試験を行った。試験手順は下記の通りである。
1.図1に示す燃焼試験装置において、B5版(182mm×257mm)のサイズのテストピース(1)を基台(2)に対して角度45度で傾斜状に配置する。
2.傾斜状のテストピース(1)の下面中央から下の位置に配置された直径17.5mm×高さ7.1mmで厚さ0.8mmの円筒状の鉄製の燃焼皿(3)にエチルアルコール(0.5cc)を注ぎ込み、これを点火させる。テストピース(1)の下面中心から燃焼皿(3)の底面までの距離は25.4mm(1インチ)である。図1中、(4)は燃焼皿(3)を載せる受台で、コルク等の熱伝導率の低い材料でできている。(5)は受台(4)を基台(2)に支持する脚部である。
3.炎をテストピース(1)に接触させ、燃焼中及び燃焼後のテストピース(1)の状態を目視観察して、燃焼状態を判定する。
難燃性の評価基準を表1に示す。
材料の使用量(質量部)および燃焼試験結果を表2に示す。なお、表2中の「実施例」のNo.6および7はいずれも参考例として示したものである。
実施例のNo. 1 および2では判定は「可燃」となっているが、燃焼中の煙および火勢の項目において難燃効果が現れ始めているので、これらは難燃効果ありと判定した。
本発明による難燃化ゲルコート組成物を用いなかった比較例3における燃焼状態を図2の写真に示す。本発明による難燃化ゲルコート組成物を用いた実施例11における燃焼状態を図3の写真に示す。
D)曲げ強度試験
前記ゲルコート層に対し、JIS K6911に準拠して、曲げ強度試験を行った。この結果を表2に示し、これをまとめたものを表3に示す。表3において、曲げひずみが1.5%未満であると柔軟性が不足していると判断できる。
ゲルコート硬化物の作製
下記の方法でゲルコート硬化物を作製した。
ゲルコート樹脂(3B)100質量部に対し、硬化剤(メチルエチルケトンパーオキサイド(55%))を1質量部と有機リン酸塩化合物(FP2200)11質量部とを添加し、全体を攪拌し、得られた混合物を真空下に脱泡した。次いで、離型処理したガラス板からなる成形型に前記混合物を約5mm厚みでキャスト成形し、40℃で1時間保って硬化させ、さらに60度で2時間アフターキュアさせた。こうして実験No.1のゲルコート硬化物を作製した。
ゲルコート樹脂の種類および有機リン酸塩化合物の添加量を変え、上記と同様の操作で、表3に示す種々のゲルコートNo.2からNo.4を作製した(配合:質量部)。
表3中の略号について説明する。
「3B」:イソ系ポリエステル樹脂をベースとする着色ゲルコート樹脂(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3B−0012P」)、
「NR−AC」:特殊ネオペンチルグリコールイソ系不飽和ポリエステル樹脂系(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「NR−AC0012P」)
「3F」:ネオペンチルグリコールイソ系不飽和ポリエステル樹脂系(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3F−0012P」)
「FP2200」:有機リン酸塩化合物(ADEKA社製、「アデカスタブFP−2200」)
「水アル」:水酸化アルミニウム(昭和電工社製、「ハイジライトH−32」)
「3F−PA」:「3F−0012P」に、軟質系不飽和ポリエステル樹脂(引っ張り弾性率:350MPa以下、引っ張り伸び率:50%以上)をゲルコート樹脂中に25〜35重量%以上添加したもの
「オルソ系ホワイト(1C)」:(オルソ系不飽和ポリエステル樹脂系(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「1C−0012P」)
「イソ系ホワイト(3A)」:(ネオペンチルグリコールイソ系不飽和ポリエステル樹脂系(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「3A−0012P」)
「ビス系ホワイト(7B)」:(ビス系不飽和ポリエステル樹脂系(東罐マテリアル・テクノロジー社製、「7B−0012P」)。
得られたゲルコート層に対し、JIS K6911に準拠して、曲げ強度試験を行った。この結果を表3に示す。なお、表3中のNo.3の最上のものは参考例として示したものである。
また、表2中の実施例No.11のFRP成形物を外部機関(高分子試験・評価センター)において車両材料燃焼試験「鉄道車両用材料の燃焼試験」を実施したところ、判定は不燃判定であった。
表2および表3から、本発明による難燃性ゲルコートは難燃性と適度な機械強度特性を併せもっていることが分かる。表2において、有機リン酸塩化合物を用いないで水酸化アルミニウムを用いた比較例No.4では、曲げひずみの値が低い上に水酸化アルミニウムは30質量部以上添加しても著しい難燃効果は発現しないことが分かる。表3中のNo.3の上4つの組成は特に良好な機械特性を示すことが分かる。なお、表3中の「参考」の欄は一般的なゲルコートの機械特性を示すものである。
本発明による難燃性ゲルコート組成物を用いることによって、低発煙性および難燃性、耐クラック性、軽量性といった様々な特性を備えた鉄道車両や航空機用途に適したノンハロゲン・ノンアンチモンの強化プラスティック成形物を得ることができることが分かる。

Claims (4)

  1. (A)ゲルコート樹脂成分と、(B)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物成分とを含み、前記成分(A)100質量部に対して前記成分(B)が1〜70質量部含まれることを特徴とする難燃性ゲルコート組成物。
  2. 前記成分(B)は、下記一般式(1)で表される有機リン酸塩化合物である、請求項1に記載の難燃性ゲルコート組成物。
    (一般式(1)中、nは1〜1000の数、pは0<p<n+2を満たす数、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体である。
    一般式(2)中、ZおよびZはそれぞれ独立に、−NRNR基(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチロール基、または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)、水素基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、炭素原子数1〜10のアルキル基、および炭素原子数1〜10のアルコキシ基からなる群より選ばれる基である。)
  3. 前記成分(A)は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂またはアクリル樹脂の単独或いはこれらの混合物に、顔料、体質顔料、揺変剤および/または硬化促進剤を加えた液状熱硬化性樹脂組成物である、請求項1または2のいずれかに記載の難燃性ゲルコート組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ゲルコート組成物からなるゲルコートを表面に有する強化プラスティック成形物。
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