JP5047885B2 - エレベータおよびその制御装置 - Google Patents
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Description
図15は、従来のエレベータの制御装置の出力周波数(速度:以下周波数は速度と同じ意味)とトルクの関係を示す図である。
図15において、f0は基底周波数(定格速度)、Tmaxは最大出力トルク値、Txは第1の負荷にて必要なトルク値、Tyは第2の負荷(<第1の負荷)にて必要なトルク値、fxは第1の負荷にて出力できる最大出力周波数、fyは第2の負荷にて出力できる最大出力周波数をそれぞれ示す。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示す構成図である。
図1において、1は次回停止階を設定する次回停止階設定手段、2はカゴ負荷検出手段、3はカゴ負荷検出手段2によって得られるカゴ負荷と次回停止階設定手段1によって設定される次回停止階とからモータ5の許容されうる駆動範囲内でかつ最短時間で次回停止階に乗客カゴ7が到達するカゴ速度パターンを生成するカゴ速度パターン生成手段、4はインバータ、6は乗客カゴ7にロープを介して連結された釣合錘8を有する巻上機である。
図2は、モータトルクとモータ回転数の特性を表す図である。図3は、モータ5、巻上機6、カゴ7、釣合錘8の関係を示した図である。図4の下段はモータトルクパターンを表し、その上段はそのときのカゴ速度パターンを表す。図5はカゴ速度パターンを生成するための処理手順を示したフローチャートである。
なお、モータの回転数と巻上機回転速度を等しいとしたが、両者の関係式が一次関数で記述されうるような変換ならば上記式(2)に限らなくてもよい。例えば減速機等を用いた場合もこの発明を適用できる。
次に、ステップ23のカゴ負荷検出処理では、カゴ負荷検出手段2によりカゴ重量m2を検出する。
以上の手順により、負荷に応じて制約条件内で最も早く到達するカゴ速度パターンを生成する。
カゴ速度に関する制約はエレベータの最高速度を調節できる効果があり、カゴ速度を所望の範囲内に収めることができるため、速度が上がりすぎるのを防止できる。一方、v−をモータの最大回転数から上記式(2)により導かれるカゴ速度よりも大きく指定することにより、カゴ最高速度に制約をかけずに、モータ特性の範囲内で最も早く到達するカゴ速度パターンを生成することができる。
図4のようなトルクパターンを選んだことにより、トルク制約条件としてTm1〜Tm7を加えるだけで、全時間区間でのトルクパターンをモータの動作範囲内に収めることができる。これにより、計算量を減らすことができる。
また、カゴ下降時においても最短時間到達についての最適化問題の定式化は上記と同様の考え方が適用できる。
図7において、上段、中段、下段はそれぞれモータトルクパターン、カゴ速度パターン、図2を上記式(2)によりモータトルクとカゴ速度に変換した図(トルク制約の線)である。中段のカゴ速度パターンは上段のモータトルクパターンにより得られる。また、図7下段のトルク特性図内の、六角形で示されている曲線は、上段のモータトルクパターンと中段のカゴ速度パターンに対するモータの駆動軌跡を表している。これらは3パターン示しているが、それぞれカゴ重量m2と釣合錘の重量m1の割合を変えたものを示しており、本実施の形態に従って速度パターンを求めたものである。
モータの駆動軌跡は図に示すように時間とともに六角形の辺上を移動する。図中の記号は図4に対応している。従って、カゴ最高速度ついてはv3またはv4の点上における速度となる。カゴ加速度については図中の矢印で示す量がカゴ加速度の絶対値量と比例する。また、カゴジャークについては図中に示す辺の傾きの絶対値量がジャーク時間(加速度/ジャーク)に反比例する。図7下段において、全てのモータ駆動軌跡がモータトルク制約領域内に存在することから、モータの駆動可能な領域内で速度パターンが生成されていることが分かる。さらに、v3またはv4でモータトルク制約領域の境界上に存在することから、可能な限りの最高速度を出すパターンを生成していることがわかる。
本実施の形態において以下で述べる発明は、上記実施の形態1で述べたあらゆる方法に追加され得るものである。
図10は、この発明の実施の形態2を示す構成図である。
本実施の形態は、上記実施の形態1で述べた図1の構成に、構成要素温度検出手段としての電子部品温度検出手段11、限界温度設定手段12、温度上昇許容値演算手段13を新たに設けたものである。
図11において、図5と同じ番号で示した部分は上記実施の形態1で述べた図5と同じ処理を行う。実施の形態2における最短時間速度パターンの演算法は上記実施の形態1の演算法の制約条件に電子機器の温度上昇量を考慮したものであり、電子機器の熱による破壊を防止する効果がある。実施の形態2として、インバータ素子の温度上昇量を例に挙げて説明する。
つまり、kを比例定数とすると、下記の式(7)が成り立つ。
上記実施の形態1で述べたように時間区間Δt1〜Δt7とモータトルクTM1,TM2をパラメータとして、α1、α2、β1〜β4、v0〜v7および移動距離Lが表せ、それらを用いて図4上段の速度パターンvが上記式(6)により表される。また、そのときのトルクパターンTmも図4下段図からΔt1〜Δt7とモータトルクTM1,TM2をパラメータとして表される。このとき、インバータに流れる電流パターンiaはこれらvおよびTmの関数として表せることからΔt1〜Δt7、TM1,TM2をパラメータとして表せることが分かる。
次に、ステップ31の温度許容値演算処理においては、図10における温度上昇許容値演算手段13によりインバータの温度余裕を、電子部品温度検出手段11によって検出されたインバータ温度と限界温度設定手段12によってあらかじめ設定されているインバータの限界温度との差をとることにより演算する。このステップ31によって演算された温度余裕量をW−で表す。
次に、ステップ33の最適化問題求解処理では上記実施の形態1で述べた最適化問題を、制約条件式である上記式(4)に下記の式(9)を追加して解く。なお、目的関数は上記式(5)と同様である。式(9)はインバータ素子の温度上昇量に関する制約条件式であり、温度上昇量をW−以下に抑えることができ、その結果熱によるインバータの破壊を防止する効果がある。
また、電子機器の温度上昇量が電子機器に流れる電流値の関数として表されるものであれば、本実施の形態と同様の定式化が可能であり、同様の効果が得られる。
本実施の形態において以下で述べる発明は、上記実施の形態1および2で述べたあらゆる方法に追加され得るものである。
本実施の形態の構成は、上記実施の形態1で述べた図1または上記実施の形態の図10の構成と実質的に同じであるが、後述するように、次回停止階を設定する次回停止階設定手段1はその機能が図1および図10の場合と異なる。また、速度パターン生成手段3は演算処理装置として機能する。
各処理手順における演算処理は上記実施の形態1、2と同じ手順で行うが、次回停止階設定手段1による次回停止階設定処理を行うステップ21における次回停止階の設定方法が、上記実施の形態1、2とは異なる。この処理では、次回停止階として、ある時間区間のカゴの平均停止階を設定する。この平均停止階の具体的な計算方法については後述する。
平均停止階の決定法の一例を、図12を用いて説明する。図12は昇降路内に最大n階床の停止階が存在する場合の、ある時間区間内での出発階から停止決定階までのカゴの移動階床とその発生確率を表したグラフである。
その結果、平均停止階以上に次回停止階が設定された後カゴの移動開始後のカゴ呼びのために次回停止階が変更された場合に、運行時間が従来法と比べて短縮できる。
さらに、上記の方法により予め速度パターンを各状況に応じて求めておき、それらをメモリ等の記憶装置に記憶して読み出して用いる場合に、記憶容量が従来手法を用いた場合に比べて少なくてすむ。これによって制御装置をより安価なものとすることができる。
本実施の形態では、上記実施の形態3における平均停止階の設定手順において、以下の手順(イ)〜(ハ)に、カゴの各出発階床における停止決定階への移動時間の期待値を最小にする平均停止階の演算手順を示す。なお、カゴの各階床への移動距離とその発生頻度は図12の統計データを持つとする。
なお、図12に示した確率X(k),k=1,2…,nを連続的な確率密度関数X(k),0≦k≦nに置換えても上記で述べたことと同様の議論ができる。
本実施の形態における効果について、図14を用いて説明する。
図中の曲線はそれぞれ上記実施の形態1と、この実施の形態4を用いて生成されたエレベータの速度パターンに対して、途中でカゴ呼びが入り、途中階に停止した時のカゴ速度パターンを示している。図中のAおよびBはそれぞれ実施の形態4と上記実施の形態1、2を用いて演算されたカゴ速度パターンを表している。
本実施の形態では、上記実施の形態3および4で述べた平均停止階の設定手順で用いた図12の統計量を、通勤時や退勤時などの乗客需要が異なる時間帯毎に複数個用意し、それらを用いて時間帯毎の平均停止階を前記の方法等で求めておく。そして、それらの平均停止階を対応する各時間帯毎に切替えて平均停止階と設定し、カゴ速度パターンを演算する。
本実施の形態では、次回停止階として、カゴの平均停止階に対する移動距離とカゴの移動前に乗客によって設定される次回停止階の移動距離を比較し、カゴが通過する区間の状況に応じて、次回停止階を設定し、カゴ速度パターンを演算する。
これにより、次回停止階を平均停止階と設定してカゴ速度パターンを演算する場合よりも確実に早く到達する場合に、次回停止階を平均停止階と設定して求めたカゴ速度パターンを用いることで停止決定階への到達が遅くなることを防止できる。例えば次のような場合がこれに該当する。
まず、運行時間に関して、移動距離が短くなるにつれて最高速度を大きくするよりも加速度とジャークをそれぞれ大きくするほうが早く到達する。これは、カゴの移動距離が短いと、最高速度で運行する時間が加速時間やジャーク時間に比べて相対的に短くなるためである。また、図4のようなカゴ速度パターンで運行すると、モータの動作軌跡は図8のようになる。よって高加速度、高ジャークを出すためにはモータに高トルクが要求されるが、高トルクになるに従い最高速度を大きくできないことが図2より分かる。
本実施の形態では、平均停止階と停止可能階を比較し、昇降行程内に急行ゾーンを有する場合などで、平均停止階が急行ゾーン内に設定されたとき、次回停止階を設定し直しカゴ速度パターンを演算する。例えば、次のように設定する。カゴが移動する前に乗客によって設定された停止可能階である次回停止階が急行ゾーンを通過するときで、かつそこまでの移動距離が平均停止階の移動距離以上の場合には、次回停止階を急行ゾーン区間の終端階に設定し直す。
Claims (5)
- 乗客カゴおよび釣合錘にロープを介して連結された巻上機を駆動するエレベータにおいて、
上記乗客カゴのカゴ負荷を計測するカゴ負荷検出手段と、
次回停止階を設定する次回停止階設定手段と、
上記カゴ負荷検出手段によって得られるカゴ負荷と上記次回停止階設定手段によって設定される次回停止階までの距離とに基づいて、カゴ負荷に応じたモータの制約条件内で、上記乗客カゴが次回停止階に到達する運行時間を短縮するカゴ速度パターンを演算するカゴ速度パターン生成手段と
を備え、
上記カゴ速度パターン生成手段は、上記カゴ速度パターンのカゴ最高速度、カゴ加速度及びカゴ加速度の変化率の少なくともいずれかを、カゴ負荷及び次回停止階までの距離に基づいて決定することを特徴とするエレベータの制御装置。 - 乗客カゴおよび釣合錘にロープを介して連結された巻上機を駆動するエレベータにおいて、
上記乗客カゴのカゴ負荷を計測するカゴ負荷検出手段と、
次回停止階を設定する次回停止階設定手段と、
上記カゴ負荷検出手段によって得られるカゴ負荷と上記次回停止階設定手段によって設定される次回停止階までの距離とに基づいて、次回停止階に上記乗客カゴが到達するカゴ速度パターンを演算するとともに、カゴ負荷が最大負荷のときに最高速度が定格速度となるようにカゴ速度パターンを設定するカゴ速度パターン生成手段と
を備え、
上記カゴ速度パターン生成手段は、上記カゴ速度パターンのカゴ最高速度、カゴ加速度及びカゴ加速度の変化率の少なくともいずれかを、カゴ負荷及び次回停止階までの距離に基づいて決定することにより、カゴ負荷に応じたモータの制約条件内で、上記定格速度を用いたカゴ速度パターンよりも運行時間が短いカゴ速度パターンを演算することを特徴とするエレベータの制御装置。 - 上記カゴ速度パターン生成手段は、カゴ速度パターンを演算する際に、カゴ負荷の有無に基づいて、カゴ加速度及びカゴ加速度の変化率のそれぞれの上限値を定めることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置。
- 上記カゴ速度パターン生成手段は、カゴ負荷、および次回停止階と速度パターンとが対応付けられて記載されたテーブルを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータの制御装置。
- 乗客カゴと、
上記乗客カゴにロープを介して連結された釣合錘と、
インバータで給電されるモータを有し、上記乗客カゴおよび釣合錘を昇降させる巻上機と、
上記乗客カゴのカゴ負荷を計測するカゴ負荷検出手段と、
次回停止階を設定する次回停止階設定手段と、
上記カゴ負荷検出手段によって得られるカゴ負荷と上記次回停止階設定手段によって設定される次回停止階までの距離とに基づいて、カゴ負荷に応じたモータの制約条件内で、上記乗客カゴが次回停止階に到達する運行時間を短縮するカゴ速度パターンを演算するカゴ速度パターン生成手段と
を備え、
上記カゴ速度パターン生成手段は、上記カゴ速度パターンのカゴ最高速度、カゴ加速度及びカゴ加速度の変化率の少なくともいずれかを、カゴ負荷及び次回停止階までの距離に基づいて決定することを特徴とするエレベータ。
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