以下、本発明による固体撮像素子及びこれを用いた撮像装置について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を示す概略ブロック図である。電子カメラ1には、被写体像を結像する光学系としての撮影レンズ2が装着される。この撮影レンズ2は、レンズ制御部2aによってフォーカスや絞りが駆動される。この撮影レンズ2の像空間には、撮影レンズ2により結像された被写体像を光電変換する固体撮像素子3の撮像面が配置される。
固体撮像素子3は、撮像制御部4の指令によって駆動され、信号を出力する。固体撮像素子3から出力される信号は、被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号、撮影レンズ2の焦点調節状態を検出するための焦点検出用信号のいずれかである。いずれにおいても信号は、信号処理部5、及びA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦蓄積される。メモリ7は、バス8に接続される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12及び画像処理部13なども接続される。上記マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aが接続される。また、上記の記録部11には記録媒体11aが着脱自在に装着される。この電子カメラ1の動作については、後述する。
本実施の形態では、固体撮像素子3と撮影レンズ2との間には、一般的に配置される少なくとも700nm〜1000nmの波長域の光を実質的に完全遮断するIRカットコートの施された光学ローパスフィルタ(IRカットフィルタ)は、配置されていない。これにより、本実施の形態では、およそ700nm〜1000nmの波長帯(赤外域)の光も固体撮像素子3に入射するようになっている。
図2は、図1中の固体撮像素子3の概略構成を示す回路図である。固体撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、画素20から信号を出力するための周辺回路とを有している。画素20がマトリクス状に配置されている撮像領域を符号31で示している。図2において、画素数は、横に4行縦に4行の16個の画素20を示している。しかし、本実施の形態では、画素数はそれよりもはるかに多くなっている。もっとも、本発明では、画素数は特に限定されるものではない。本実施の形態では、固体撮像素子3は、画素として後述する6種類の画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2を有しているが、図2ではそれらのいずれであるかを区別することなく、符号20で示している。その具体的な回路構成や構造は、後述する。これらの画素20は、周辺回路の駆動信号に従って、撮像用信号又は焦点検出用信号を出力する。
周辺回路は、垂直走査回路21、水平走査回路22、これらと接続されている駆動信号線23,24、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25、垂直信号線25と接続される定電流源26及び相関二重サンプリング回路(CDS回路)27、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28、出力アンプ29等からなる。
垂直走査回路21及び水平走査回路22は、電子カメラ1の撮像制御部4からの指令に基づいて駆動信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される駆動信号を所定の駆動信号線23から受け取って駆動され、撮像用信号又は焦点検出用信号を垂直信号線25に出力する。垂直走査回路21から出力される駆動信号は複数あり、それに伴い駆動配線23も複数ある。これらについては後述する。
画素20から出力された信号は、CDS回路27にて所定のノイズ除去が施される。そして、水平走査回路22の駆動信号により水平信号線28及び出力アンプ29を介して外部に信号が出力される。
図3は、図1中の固体撮像素子3(特にその撮像領域31)を模式的に示す概略平面図である。本実施の形態では、図3に示すように、固体撮像素子3の撮像領域31には、中央に配置された十字状をなす2つの焦点検出領域32,33と、両側に配置された2つの焦点検出領域34,35と、上下に配置された2つの焦点検出領域36,37とが、設けられている。なお、図3に示すように、互いに直交するX軸及びY軸を定義する。また、X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼び、Y軸方向についても同様とする。XY平面と平行な平面が固体撮像素子3の撮像面(受光面)と一致している。X軸方向の並びを行、Y軸方向の並びを列とする。なお、入射光は図3の紙面手前側から奥側に入射する。これらの点は、後述する図についても同様である。
図4は、図3における焦点検出領域35の付近を拡大した概略拡大図であり、画素配置を模式的に示している。図5は、図3における焦点検出領域36の付近を拡大した概略拡大図であり、画素配置を模式的に示している。前述したように、固体撮像素子3は、画素20として、6種類の画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2を有している。ただし、厳密に言えば、画素の種類は、後述する符号「B*」、「G*」、「R*」の画素の決め方によっては、4種類又は5種類の場合もある。図4及び図5において、画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2には、それぞれ符号「B1」、「B2」、「G1」、「G2」、「R1」、「R2」を付している。図4及び図5において、符号「B*」は画素20B1及び画素20B2のうちのいずれか任意の一方を示し、符号「G*」は画素20G1及び画素20G2のうちのいずれか任意の一方を示し、符号「R*」は画素20R1及び画素20R2のうちのいずれか任意の一方を示している。もっとも、本発明では、図4及び図5中の符号「B*」、「G*」、「R*」を付した画素(焦点検出領域以外の領域の画素)として、画素20B1,20G1,20R1においてそれぞれ第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54(したがって、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43)を取り除いたものを、用いてもよい。
画素20B1,20B2は青色の撮像用信号を出力するように構成され、画素20G1,20G2は緑色の撮像用信号を出力するように構成され、画素20R1,20R2は赤色の撮像用信号を出力するように構成されている。以下の説明では、出力する撮像用信号の色に着目して、画素20B1,20B2を青色の画素、画素20G1,20G2を緑色の画素、画素20R1,20R2を赤色の画素と呼ぶ場合がある。各色の画素がそれぞれ1つのグループをなしている。すなわち、本実施の形態では、画素20は、青色の画素のグループと、緑色の画素のグループと、赤色の画素のグループの3つに分けられている。
本実施の形態では、各画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2は、当該画素の色の撮像用信号の他に、2つの焦点検出用信号を出力し得るように構成されている。後述するように、画素20B1と画素20B2とでは、得られる焦点検出用信号が撮影レンズ2の射出瞳のいずれの領域からの光束に基づくものであるかが異なる。画素20G1と画素20G2との関係、及び、画素20R1と画素20R2との関係についても、画素20B1と画素20B2との関係と同様である。
本実施の形態では、図4及び図5に示すように、青色の画素20B1,20B2、緑色の画素20G1,20G2及び赤色の画素20R1,20R2がベイヤー配列に従って配列されている。もっとも、本発明では、カラー用として構成する場合であっても、ベイヤー配列に限定されるものではない。
Y軸方向に延びた焦点検出領域35は、図4に示すように、緑色の画素20G1と青色の画素20B1とが交互に並んだY軸方向の列の一部である。Y軸方向に延びた焦点検出領域33,34は、焦点検出領域35と同様である。なお、焦点検出領域35,33,34は、赤色の画素20R1と緑色G1とが交互に並んだY軸方向の列の一部としてもよい。
X軸方向に延びた焦点検出領域36は、図5に示すように、緑色の画素20G2と赤色の画素20R2とが交互に並んだX軸方向の行の一部である。X軸方向に延びた焦点検出領域32,37は、焦点検出領域36と同様である。なお、焦点検出領域36,32,37は、青色の画素20B2と緑色G2とが交互に並んだX軸方向の行の一部としてもよい。
図6は、図1中の固体撮像素子3の画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2(図4及び図5参照)を示す回路図である。これらの画素は、同一の回路構成を有している。
各画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2は、図6に示すように、入射光の可視域の所定波長成分を主として光電変換して撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部としての撮像用フォトダイオード41と、入射光の赤外域の波長成分を主として光電変換して第1の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第1の焦点検出用光電変換部としての第1の焦点検出用フォトダイオード42と、入射光の赤外域の波長成分を主として光電変換して第2の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第2の焦点検出用光電変換部としての第2の焦点検出用フォトダイオード43と、を有している。第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から互いに反対方向へそれぞれ偏心した前記射出瞳の領域からの光束をそれぞれ選択的に受光して光電変換する。
本実施の形態では、いずれの画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2においても、撮像用フォトダイオード41は同一の構成を有しているが、後述するように、当該画素に応じた色のカラーフィルタが設けられることによって、撮像用フォトダイオード41は、当該画素に応じた色の波長成分を主として光電変換する。青色の画素20B1,20B2では、青色波長成分を選択的に透過させる青色カラーフィルタ88Bが設けられ、撮像用フォトダイオード41は、入射光の青色波長成分を主として光電変換する。緑色の画素20G1,20G2では、緑色波長成分を選択的に透過させる緑色カラーフィルタ88Gが設けられ、撮像用フォトダイオード41は、入射光の緑色波長成分を主として光電変換する。赤色の画素20R1,20R2では、赤色波長成分を選択的に透過させる赤色カラーフィルタ88Rが設けられ、撮像用フォトダイオード41は、入射光の赤色波長成分を主として光電変換する。
また、各画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2は、所定部位としてのフローティングディフュージョン(FD)44と、撮像用フォトダイオード41からFD44へ電荷を転送する第1の転送ゲート部としての第1の転送トランジスタ45と、第1の焦点検出用フォトダイオード42からFD44へ電荷を転送する第2の転送ゲート部としての第2の転送トランジスタ46と、第2の焦点検出用フォトダイオード43からFD44へ電荷を転送する第3の転送ゲート部としての第3の転送トランジスタ47と、FD44の電荷量に応じた信号を出力する増幅部としての画素アンプ48と、FD44の電荷を排出させてFD44をリセットするリセット部としてのFDリセットトランジスタ49と、画素アンプ48の信号を当該画素から出力する選択スイッチとしての選択トランジスタ50とを有している。
なお、本実施の形態では、画素アンプ48、FDリセットトランジスタ49及び選択トランジスタ50が1画素当たり1個ずつ使用されているが、これらは2画素又は4画素などの複数画素で共有されてもよい。
本実施の形態では、第1乃至第3の転送トランジスタ45〜47、画素アンプ48、FDリセットトランジスタ49、選択トランジスタ50は、いずれもNMOSトランジスタで構成されている。
第1の転送トランジスタ45のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGAが供給される。第1の転送トランジスタ45は、この駆動信号φTGAに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、撮像用フォトダイオード41から撮像用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
第2の転送トランジスタ46のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGBが供給される。第2の転送トランジスタ46は、この駆動信号φTGBに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、第1の焦点検出用フォトダイオード42から第1の焦点検出用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
第3の転送トランジスタ47のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGCが供給される。第3の転送トランジスタ47は、この駆動信号φTGCに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、第2の焦点検出用フォトダイオード43から第2の焦点検出用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
選択トランジスタ50のゲート電極は、画素行ごとに共通接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φSが供給される。FDリセットトランジスタ49のゲート電極は、画素行ごとに共通接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φFDRが供給される。
なお、図6において、フォトダイオード41〜43の一方の端子及びFD44の一方の端子は、便宜的に接地として記載されている。しかし、実際は、後述する図8乃至図10から理解されるとおりP型のシリコン基板51の電位となる。
図7は、図1中の固体撮像素子3の画素20B1,20G1,20R1の主な要素を模式的に示す概略平面図である。図8は、図7中のA−A’線に沿った概略断面図である。図9は、図7中のB−B’線に沿った概略断面図である。図10は、図7中のC−C’線に沿った概略断面図である。
図7において、第1の焦点検出用フォトダイオード42を構成する第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43を構成する第2の焦点検出用電荷蓄積層54を、透過して示している。図7では、駆動配線は省略され、画素内の内部配線73のみを示している。図7において、Oはマイクロレンズ65の光軸を示している。
図9及び図10では、基板51上の主要な要素(すなわち、基板51上に形成された層間絶縁膜61、当該画素の有効受光領域に開口62aを有する遮光膜を兼ねる配線層62、平坦化層63,64、カラーフィルタ88B(88G,88R)、マイクロレンズ65)も示しているが、図8ではそれらの図示は省略している。青色の画素20B1では青色カラーフィルタ88Bが設けられ、緑色の画素20G1では緑色カラーフィルタ88Gが設けられ、赤色の画素20R1では赤色カラーフィルタ88Rが設けられているが、この点以外については、画素20B1,20G1,20R1は全く同一の構造を有している。
図9及び図10に示すように、画素20B1,20G1,20R1に対して1対1にマイクロレンズ65が設けられている。遮光膜を兼ねる配線層62は、マイクロレンズ65の略焦点面に配置されている。FD44、表面にも現れる深い拡散部58,59及び分離拡散部56の領域は、配線層62で遮光されている。なお、図9及び図10では、層間絶縁膜61中に配置される他の配線層等の図示は省略している。
図8乃至図10に示すように、電荷蓄積層52,53,54等を配置すべき第1の半導体層としてのP型のシリコン基板51に所望の不純物拡散がなされて、電荷蓄積層52,53,54や各種トランジスタ等が配置されている。なお、N型のシリコン基板上にP型のウエル又はエピタキシャル層を設けて、P型のウエル又はエピタキシャル層を前記第1の半導体層とし、それに対して電荷蓄積層52,53や各種トランジスタ等を配置してもよい。
P型シリコン基板51に、撮像用フォトダイオード41の一部を構成するN型の撮像用電荷蓄積層52が配置されている。撮像用電荷蓄積層52は、N型不純物の拡散によって形成される。本実施の形態では、撮像用フォトダイオード41は、撮像用電荷蓄積層52の他に、その基板表面側にP型の空乏化防止層55を有しており、埋め込みフォトダイオードとして構成されている。もっとも、空乏化防止層55を設けなくてもよい。
青色の画素20B1の場合、青色カラーフィルタ88Bが設けられているので、撮像用電荷蓄積層52は、入射光の青色波長成分が主として光電変換されて青色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。緑色の画素20G1の場合、緑色カラーフィルタ88Gが設けられているので、撮像用電荷蓄積層52は、入射光の緑色波長成分が主として光電変換されて緑色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。赤色の画素20R1の場合、赤色カラーフィルタ88Rが設けられているので、撮像用電荷蓄積層52は、入射光の赤色波長成分が主として光電変換されて赤色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。空乏化防止層55の表面は、薄いシリコン酸化膜66によって覆われている。
撮像用電荷蓄積層52で蓄積された電荷は、ゲート電極74を有する第1の転送トランジスタ45がオンとなることによって、FD44に転送される。
また、図9及び図10に示すように、P型シリコン基板51には、第1の焦点検出用フォトダイオード42の一部を構成するN型の第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43の一部を構成するN型の第2の焦点検出用電荷蓄積層54が配置されている。これらの電荷蓄積層53,54はいずれも、入射光の入射方向から見たときに少なくともその一部がP型シリコン基板51のP型領域を介して撮像用電荷蓄積層52と重なるように、配置されている。
本実施の形態では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52の奥側(撮像用電荷蓄積層52に対して深い側)に配置され、それらの深さ位置や厚さは互いに同じになっている。この深さ位置については、後述する。
本実施の形態では、図7に示すように、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54はマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的に配置され、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置され、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されている。これによって、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。また、光軸Oは、撮像用電荷蓄積層52の中心を通っている。
なお、シェーディングを低減するために、例えば、有効画素領域の中心部の画素では、マイクロレンズ65の光軸Oと電荷蓄積層52,53,54との位置関係が前述した位置関係となるようにマイクロレンズ65を配置する一方、有効画素領域の周辺部の画素では、マイクロレンズ65をその位置からずらして配置してもよい。
第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52では光電変換されずに透過された赤外域の波長成分を光電変換する。このため、入射光を効率良く利用することが可能となる。なお、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、それらの深さ位置や厚さは互いに同じになっているので、入射光の同じ波長成分を光電変換した電荷を蓄積する。
第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54も、N型不純物の拡散により形成されている。ただし、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、シリコン基板51の表面から所定寸法の深さに高い精度で配置させることは必ずしも必要としない。第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を配置させる画素において、その深さのばらつきが小さいなら、各々の信号を比較すれば焦点検出用信号として十分利用できるからである。
ここで、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を形成すべき深さ位置について説明する。図11は、一般的なカラーフィルタの透過率を示す図である。図11に示す例では、青色、緑色及び赤色のいずれのカラーフィルタも、赤外域である870nmから1000nm程度までの波長域で相対透過率が15%を超えている。本実施の形態では、入射光のこの波長域の成分を焦点検出用に利用する。波長が長いと信号電荷発生深さは深くなり、シミュレーションから、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の上面の深さ位置は、シリコン基板51の表面からおよそ4μm以上深い位置が好ましい。もっとも、本発明では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の深さ位置は、入射光の赤外域の波長成分が主として光電変換された電荷が蓄積される深さなら構わない。
第1の焦点検出用電荷蓄積層53で蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部58を介してシリコン基板51の表面側に導かれる。表面側に導かれた電荷は、ゲート電極75を有する第2の転送トランジスタ46がオンとなることによって、FD44に転送される。
第2の焦点検出用電荷蓄積層54で蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部59を介してシリコン基板51の表面側に導かれる。表面側に導かれた電荷は、ゲート電極76を有する第3の転送トランジスタ47がオンとなることによって、FD44に転送される。
ところで、従来から、固体撮像素子においては、可視光よりも長波長の入射光はシリコン基板中の深い位置まで侵入するので、高精細な撮像をする場合には、赤かぶりの問題が発生することが知られている。これは、長波長光は、シリコン基板の比較的深い部分で信号電荷を発生するので、大きなクロストークを生じさせるためである。このクロストークを低減させるために、従来は、固体撮像素子と撮影レンズとの間に長波長光カットフィルタ(IRカットフィルタ)を装着しているが、当然ながらコスト増やスペース増をもたらす。これに対し、本実施の形態では、入射光の赤外域の波長成分を焦点検出用に利用するので、前述したように、IRカットフィルタは設けられていないか、あるいは、700nm〜1100nmを遮断する高波長分解能なIRカットフィルタは設けられていない。そのため、コスト低減及びスペース低減を図ることができる。本実施の形態では、このようにIRカットフィルタが設けられていないにも拘わらず、シリコン基板51の深部で発生した電荷を排出しクロストークを低減させることができる。これは、画素から撮像用信号を得る場合に、撮像用電荷蓄積層52に撮像用信号となるべき電荷を蓄積している期間において、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54にリセット電位を供給することによって、達成することができる。従って、全画素に焦点検出用電荷蓄積層と同様な層を設けることによって、IRカットフィルタの効果を代替させることができる。本実施の形態では、撮像制御部4(図1参照)による制御下での垂直走査回路21(図2参照)の機能である、後述する図16中の時刻t21から時刻t23までの期間においてφFDR(n)がハイの状態でφTGB(n),φTGC(n)をハイにする機能が、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54に前記リセット電位を供給する手段を構成している。
本実施の形態では、図9及び図10に示すように、撮像用電荷蓄積層52と深い拡散部58,59との間には、シリコン基板51の表面側において、P型の不純物拡散層からなる分離層56,57がそれぞれ設けられている。分離層56,57の不純物濃度は、シリコン基板51の不純物濃度よりも高くなっている。もっとも、撮像用電荷蓄積層52と深い拡散部58,59との間の分離特性が十分であれば、分離層56,57は必ずしも設ける必要はない。
前述したように、第1乃至第3の転送トランジスタ45〜47のいずれかがオンとされると、フォトダイオード41〜43の電荷蓄積層52〜54のうちの対応する電荷蓄積層の電荷がFD44に転送される。
図7に示すように、FD44は、互いに分離してシリコン基板51に形成された4つのN型拡散層72,77,78,79を有し、これらのN型拡散層72,77,78,79を配線73で電気的に接続することで、実質的に1つのフローティングディフュージョンとして構成されている。もっとも、図12に示すように、3つに分割されていたN型拡散層77,78,79を1つのN型拡散層71にまとめてもよい。図12は、図7に示す構成を変形した変形例に係る画素20B1,20G1,20R1の主な要素を模式的に示す概略平面図であり、図7に対応している。
図7に示すように、撮像用電荷蓄積層52とFD部44のN型拡散層77との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極74が形成されている。第1の転送トランジスタ45は、ゲート電極74をゲートとするとともに撮像用電荷蓄積層52及びFD部44のN型拡散層77をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
図7及び図9に示すように、深い拡散部58の表面側部分とFD部44のN型拡散層78との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極75が形成されている。第2の転送トランジスタ46は、ゲート電極75をゲートとするとともに拡散部58及びFD部44のN型拡散層78をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
図7及び図10に示すように、深い拡散部59の表面側部分とFD部44のN型拡散層79との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極76が形成されている。第3の転送トランジスタ47は、ゲート電極76をゲートとするとともに拡散部59及びFD部44のN型拡散層79をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
また、シリコン基板51には、図8に示すように、図7中のA−A’線に沿って、N型拡散層72の他に、N型拡散層81,82,83がシリコン基板51に形成されている。N型拡散層81は、図示しない配線により電源VDDに接続されている。N型拡散層81とN型拡散層82との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極85が形成されている。画素アンプ48は、ゲート電極85をゲートとするとともにN型拡散層81,82をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。なお、ゲート電極85は、配線73によって、FD44(N型拡散層72,77,78,79)と電気的に接続されている。
N型拡散層82とN型拡散層83との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極86が配置されている。選択トランジスタ50は、ゲート電極86をゲートとするとともにN型拡散層82,83をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
また、FD44のN型拡散層72とN型拡散層81との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極84が配置されている。FDリセットトランジスタ49は、ゲート電極84をゲートとするとともにN型拡散層72及びN型拡散層81をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
なお、フィールド部分には、各素子を分離する分離領域として、LOCOSによる厚い酸化膜67と、その下にP型の分離拡散部68が設けられている。
以上、画素20B1,20G1,20R1の構成について説明した。画素20B1,20G1,20R1では、前述したマイクロレンズ65、撮像用電荷蓄積層52並びに第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の平面視での位置関係は、図7よりも更に抽象化して示すと、図13に示す通りである。
なお、製造時においては、例えば、P型のシリコン基板51上に薄いシリコン酸化膜を形成する。次に、シリコン基板51の所定領域にリンイオン等を複数回打ち込んで深い拡散部58,59を形成する。次いで、リンイオン等を打ち込んで第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を形成する。その後、ボロンイオン等を打ち込んで分離拡散部68を形成した後に、LOCOSにより厚い酸化膜67を形成する。次に、リンイオン等を打ち込んで、撮像用電荷蓄積層52を形成する。さらに、ボロンイオン等を打ち込んで空乏化防止層55や分離層56,57を形成する。各イオンの注入条件等を適宜設定することで、前述した画素20B1,20G1,20R1を得ることができる。
次に、図1中の固体撮像素子3の画素20B2,20G2,20R2(図4及び図5参照)について説明する。図14は、画素20B2,20G2,20R2におけるマイクロレンズ65、撮像用電荷蓄積層52並びに第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の平面視での位置関係を示す図であり、図13に対応している。図14において、図13中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
画素20B2,20G2,20R2が画素20B1,20G1,20R1とそれぞれ異なる所は、画素20B1,20G1,20R1では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されているのに対し、画素20B2,20G2,20R2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して−X側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して+X側に配置されている点と、これに伴って、図面には示していないが、各トランジスタ等の配置が変更されている点のみである。
したがって、画素20B2,20G2,20R2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。
なお、青色の画素20B2では青色の画素20B1と同じく青色カラーフィルタ88Bが設けられ、緑色の画素20G2では緑色の画素20G1と同じく緑色カラーフィルタ88Gが設けられ、赤色の画素20R2では赤色の画素20R1と同じく赤色カラーフィルタ88Rが設けられているが、この点以外については、画素20B2,20G2,20R2は全く同一の構造を有している。
次に、固体撮像素子3の駆動手順の各例について、図15乃至図17を参照して説明する。
図15は、焦点検出モード(固体撮像素子3から焦点検出用信号を読み出すが撮像用信号は読み出さない動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。図16は、撮像モード(固体撮像素子3から撮像用信号を読み出すが焦点検出用信号は読み出さない動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。図17は、焦点検出・撮像の同時モード(固体撮像素子3から撮像用信号を読み出しながら焦点検出用信号も読み出して両信号を実質的に同時に読み出す動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。なお、各画素に含まれるトランジスタはNMOSトランジスタであり、ハイレベル(ハイ)の駆動信号を受けてオン状態とされる。
最初に、図15を参照して焦点検出モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
まず、時刻t1から時刻t2までの期間において、n行目のφTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされ、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42がリセットされる。時刻t2から、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が開始する。
次いで、時刻t3から時刻t4までの期間において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされ、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43がリセットされる。時刻t4から、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が開始する。
その後、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する時刻t6の直前の時刻t5において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされFD44のリセットが終了するとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t5から時刻t6までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプ(保存)される。
次に、時刻t6において、φTGB(n)がハイにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオンにされる。これにより、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の一方に偏心した領域からの光束に基づく第1の焦点検出用信号となる。時刻t7において、φTGB(n)がローにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオフにされる。そして、これらのn行目の第1の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t8において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t9において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t9から時刻t10までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
次に、時刻t10において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされる。これにより、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の他方に偏心した領域からの光束に基づく第2の焦点検出用信号となる。時刻t11において、φTGC(n)がローにされてn行目の第3の転送トランジスタ47がオフにされる。そして、これらのn行目の第2の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
その後、時刻t12において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
図15に示すように、φTGA(n)は常にローのままとされて、第1の転送トランジスタ45はオフのままとされる。したがって、撮像用フォトダイオード41の電荷に基づく撮像用信号の読み出しは行われない。
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、焦点検出モードを終了する。なお、撮像用電荷蓄積層52からのオーバーフローを嫌うなら、時刻t1から時刻t5までの期間においてφTGA(n)をハイにしてもよい。
次に、図16を参照して撮像モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
まず、時刻t21において、n行目のφTGA(n)、φTGB(n)及びφTGC(n)がハイにされ、n行目の撮像用フォトダイオード41並びに第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43がすべてオンにされ、これらのフォトダイオード41,42,43がリセットされる。
次いで、時刻t22において、φTGA(n)がローにされて第1の転送トランジスタ45がオフにされ、撮像用フォトダイオード41の露光時間が開始する。時刻t23まで、φTGB(n)及びφTGC(n)はハイのままとされ、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43はリセットされ続け、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54にリセット電位が供給され続ける。したがって、撮像用フォトダイオード41が光電変換する入射光の波長成分よりも長い波長成分によってシリコン基板51の深部で発生した電荷が、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を経由して排出される。このため、IRカットフィルタが用いられていないにも拘わらず、IRカットフィルタの代用効果が得られ、クロストークが低減されて赤かぶりの問題が低減される。もっとも、本発明では、φTGB(n)及びφTGC(n)は、時刻t22でローにしてもよいし、あるいは、常にローのままとしてもよい。
次いで、時刻t23において、φTGB(n)、φTGC(n)及びφFDR(n)がローにされて、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43及びFD44のリセットが終了されるとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t23から時刻t24までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
次に、時刻t24において、φTGA(n)がハイにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオンにされる。これにより、n行目の撮像用フォトダイオード41に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮像用信号となる。時刻t25において、φTGA(n)がローにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオフにされる。そして、これらのn行目の撮像用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
その後、時刻t26において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
図16に示すように、φTGB(n)及びφTGC(n)は、φFDR(n)がローでかつφSがハイの期間(時刻t23から時刻26までの期間)において、ローのままとされている。したがって、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43の電荷に基づく第1及び第2の焦点検出用信号の読み出しは行われない。
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、撮像モードを終了する。
次に、図17を参照して焦点検出・撮像の同時モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
まず、時刻t31から時刻t32までの期間において、n行目のφTGA(n)がハイにされて第1の転送トランジスタ45がオンにされ、n行目の撮像用フォトダイオード41がリセットされる。時刻t32から、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が開始する。
次いで、時刻t33から時刻t34までの期間において、n行目のφTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされ、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42がリセットされる。時刻t34から、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が開始する。
次に、時刻t35から時刻t36までの期間において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされ、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43がリセットされる。時刻t36から、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が開始する。
その後、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する時刻t38の直前の時刻t37において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされFD44のリセットが終了するとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t37から時刻t38までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
次に、時刻t38において、φTGA(n)がハイにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオンにされる。これにより、n行目の撮像用フォトダイオード41に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮像用信号となる。時刻t39において、φTGA(n)がローにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオフにされる。そして、これらのn行目の撮像用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t40において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t41において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t41から時刻t42までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
次に、時刻t42において、φTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされる。これにより、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の一方に偏心した領域からの光束に基づく第1の焦点検出用信号となる。時刻t43において、φTGB(n)がローにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオフにされる。そして、これらのn行目の第1の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t44において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t45において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t45から時刻t46までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
次に、時刻t46において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされる。これにより、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の他方に偏心した領域からの光束に基づく第2の焦点検出用信号となる。時刻t47において、φTGC(n)がローにされてn行目の第3の転送トランジスタ47がオフにされる。そして、これらのn行目の第2の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
その後、時刻t48において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、焦点検出・撮像の同時モードを終了する。
前述した図15乃至図17に示す例では、露光の開始と終了を電子シャッタ動作で決めていたが、メカニカルシャッタ機構を用いて露光の開始と終了を決めるようにしてもよい。この場合、例えば、メカニカルシャッタによる露光開始後電子シャッタが開となり、電子シャッタ閉後メカニカルシャッタが閉となるメカニカルシャッタで、露光時間を決めるようにすればよい。
次に、本実施の形態による電子カメラ1の動作の一例について、再び図1を参照して説明する。
電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、レリーズ釦の半押し操作に同期して撮像制御部4を駆動する。撮像制御部4は、図15を参照して説明した焦点検出モードの動作によって、固体撮像素子3から焦点検出用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。
撮像制御部4の指令によって固体撮像素子3から焦点検出用信号が出力されメモリ7に蓄積されると、焦点演算部10は、この信号を用いて瞳分割位相差方式に従った焦点検出演算処理を実施し、デフォーカス量を、撮影レンズ2の焦点調節状態を示す検出信号として得る。
ここで、現在設定されている焦点調節モードが、例えば図3及び図4に示す焦点検出領域35のみに基づいて焦点調節を行うモード(以下、「焦点検出領域35モード」と呼ぶ。)である場合は、焦点演算部10は、メモリ7に取り込まれた焦点検出用信号のうち、焦点検出領域35の全ての画素20G1,20B1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いて、瞳分割位相差方式に従った焦点検出演算処理を実施し、デフォーカス量を、撮影レンズ2の焦点調節状態を示す検出信号として得る。
現在設定されている焦点調節モードが、例えば図3に示す全ての焦点検出領域32〜37に基づいて焦点調節を行うモード(以下、「全焦点検出領域モード」と呼ぶ。)である場合は、焦点演算部10は、前述したように焦点検出領域35に関してデフォーカス量を演算する他、各焦点検出領域32〜34,36,37についても、同様に、当該焦点検出領域に関してデフォーカス量を演算する。なお、焦点検出領域36に関してデフォーカス量を演算する場合、図5から理解できるように、焦点検出領域36の全ての画素20G2,20R2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いて演算する。
焦点演算部10によって検出されたデフォーカス量は、レンズ制御部2aに伝達される。レンズ制御部2aは、伝達されるデフォーカス量に基づいて撮影レンズ2の焦点駆動を行い、撮影レンズ2を被写体に合焦させる。
このとき、現在設定されている焦点調節モードが焦点検出領域35モードの場合は、レンズ制御部2aは、焦点検出領域35に関するデフォーカス量に基づいてそのデフォーカス量がゼロになるように、撮影レンズ2を駆動する。また、現在設定されている焦点調節モードが全焦点検出領域モードの場合は、レンズ制御部2aは、先に求められた各焦点検出領域のデフォーカス量に基づいて決定した調節後の焦点調節状態となるように、撮影レンズ2を駆動する。
その後、電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、レリーズ釦の全押し操作に同期して撮像制御部4を用いて、図16を参照して説明した撮像モードの動作によって、固体撮像素子3から撮像用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。引き続いて、マイクロプロセッサ9は、操作部9aの指令に基づき、必要に応じて画像処理部13や画像圧縮部12にて所望の処理を行い、記録部11に処理後の信号を出力させ記録媒体11aに記録する。
また、電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、操作部9aの操作により動画撮影などが指示されると、それに合わせて撮像制御部4を駆動する。撮像制御部4は、図17を参照して説明した焦点検出・撮像の同時モードによって、固体撮像素子3から焦点検出用信号及び撮像用信号の両方を実質的に同時に読み出し、メモリ7に蓄積する。このように撮像用信号を読み出してメモリ7に蓄積しながら、実質的に同時に得られた焦点検出用信号に基づいた焦点演算部10によるデフォーカス量の演算及びこれに応じたレンズ制御部2aによる合焦を行う。この場合も、現在設定されている焦点調節モードに従ったデフォーカス量の演算及び撮影レンズ2の駆動を行う。このようにして、動体等に追従した合焦動作を行いながら、動画を撮像することができる。
本実施の形態によれば、各画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2に関して、1つの画素に、撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用フォトダイオード41の他に、第1及び第2の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43が設けられているので、1つの画素から撮像用信号と焦点検出用信号の両方を得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、固体撮像素子3が焦点検出素子としての機能を併せ持ちながら、画素欠陥と同様の状態による画質の劣化を回避することができる。
また、本実施の形態では、各画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2に関して、1つの画素において、撮像用フォトダイオード41と第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43とが入射光の入射方向に重なるように配置され、撮像用フォトダイオード41が主として入射光の可視域の波長成分を光電変換する一方、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43が主として入射光の赤外域の波長成分を光電変換する。したがって、本実施の形態によれば、特許文献3に開示された前記固体撮像素子などとは異なり、撮像用フォトダイオード41を2分割する必要がなく、撮像用フォトダイオード41に不感帯が生じない。よって、本実施の形態によれば、撮像用信号に対する入射光の利用効率が高まる。
さらに、本実施の形態によれば、図16中の時刻t21から時刻t23までの期間においてφFDR(n)がハイの状態でφTGB(n),φTGC(n)がハイにされることで、IRカットフィルタが用いられていないにも拘わらず、IRカットフィルタの代用効果が得られ、クロストークが低減されて赤かぶりの問題が低減される。従って、全画素に焦点検出用電荷蓄積層と同様な拡散層を配置することによって、クロストークが低減された良好な画像を得ることができる。
[第2の実施の形態]
図18は、本発明の第2の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。図18において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、固体撮像素子3における画素の配置のみである。本実施の形態では、固体撮像素子3における画素20B2,20G1,20R2を、撮像領域31の全体に渡って、図18に示すようなパターンで配置したものである。図18は、撮像領域31の一部を拡大したものに相当する。本実施の形態では、画素20B1,20G2,20R1は用いられていない。
本実施の形態では、図18に示すように、ベイヤー配列に従った配置を採用しつつ、青色の画素として画素20B2のみを用い、緑色の画素として画素20G1のみを用い、赤色の画素として画素20R2を用いたものである。
前記第1の実施の形態では、焦点検出領域が予め図3に示すように定められていたが、Y軸方向の列の一部及びX軸方向の行の一部を、適宜任意に焦点検出領域として指定し得る。この場合、Y軸方向の列の一部を指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の緑色の画素20G1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。X軸方向の行の一部を指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の青色の画素20B2又は赤色の画素20R2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
[第3の実施の形態]
図19は、本発明の第3の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図であり、図3における焦点検出領域35の付近を拡大したものに相当する。図20は、本実施の形態による電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す他の図であり、図3における焦点検出領域36の付近を拡大したものに相当する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、青色の画素20B1,20B2に代えて青色の画素20B3〜20B6が用いられ、緑色の画素20G1,20G2に代えて緑色の画素20G3〜20G6が用いられ、赤色の画素20R1,20R2に代えて赤色の画素20R3〜20R6が用いられている点のみである。ただし、厳密に言えば、後述する符号「B*」、「G*」、「R*」の画素の決め方によっては、これらの全ての種類の画素は用いられない。
図19及び図20において、画素20B3〜20B6,20G3〜20G6,20R3〜20R6には、それぞれ符号「B3」〜「B6」、「G3」〜「G6」、「R3」〜「R6」を付している。図19及び図20において、符号「B*」は青色の画素20B3〜20B6のいずれか任意の1つであることを示し、符号「G*」は緑色の画素20G3〜20G6のいずれか任意の1つであることを示し、符号「R*」は赤色の画素20R3〜20R6のいずれか任意の1つであることを示している。
本実施の形態では、図19及び図20に示すように、青色の画素20B3〜20B6、緑色の画素20G3〜20G6及び赤色の画素20R3〜20R6が、ベイヤー配列に従って配列されている。
本実施の形態では、Y軸方向に延びた図3中の焦点検出領域35は、図19に示すようなY軸方向の2列の一部である。また、X軸方向に延びた図3中の焦点検出領域36は、図20に示すようなX軸方向の2行の一部である。
図21は、画素20B3,20G3,20R3の要部を模式的に示す概略平面図である。図22は、画素20B4,20G4,20R4の要部を模式的に示す概略平面図である。図23は、画素20B5,20G5,20R5の要部を模式的に示す概略平面図である。図24は、画素20B6,20G6,20R6の要部を模式的に示す概略平面図である。図21乃至図24において、図13及び図14中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
画素20B3,20G3,20R3が画素20B1,20G1,20R1とそれぞれ基本的に異なる所は、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。画素20B3,20G3,20R3の回路構成は、図6において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
画素20B4,20G4,20R4が画素20B1,20G1,20R1とそれぞれ基本的に異なる所は、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。画素20B4,20G4,20R4の回路構成は、図6において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
画素20B5,20G5,20R5が画素20B2,20G2,20R2とそれぞれ基本的に異なる所は、+X側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。画素20B5,20G5,20R5の回路構成は、図6において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
画素20B6,20G6,20R6が画素20B2,20G2,20R2とそれぞれ基本的に異なる所は、−X側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。画素20B6,20G6,20R6の回路構成は、図6において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
本実施の形態では、例えば、図19に示す焦点検出領域35が指定された場合、当該領域35の全部の画素20R3,20G3からの焦点検出用信号と、当該領域35の全部の画素20G4,20B4からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。図20に示す焦点検出領域36が指定された場合、当該領域36の全部の画素20B5,20G5からの焦点検出用信号と、当該領域36の画素20G6,20R6からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
[第3の実施の形態の第1の変形例]
前記第3の実施の形態において、画素20B3,20G3,20R3の代わりに図25に示す画素20B3’,20G3’,20R3’をそれぞれ用い、画素20B4,20G4,20R4の代わりに図26に示す画素20B4’,20G4’,20R4’をそれぞれ用いてもよい。
画素20B3’,20G3’,20R3’では、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53の一部が光軸Oから−Y側にある程度はみ出すように拡げられている。画素20B4’,20G4’,20R4’では、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54の一部が光軸Oから+Y側にある程度はみ出すように拡げられている。画素20B5,20G5,20R5及び画素20B6,20G6,20R6についても、同様に変形してもよい。
この変形例によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、より大きな焦点検出用信号を得ることが可能となり、焦点検出用信号のSN比が向上する。
[第3の実施の形態の第2の変形例]
前記第3の実施の形態において、画素20B3,20G3,20R3の代わりに図27に示す画素20B3”,20G3”,20R3”をそれぞれ用い、画素20B4,20G4,20R4の代わりに図28に示す画素20B4”,20G4”,20R4”をそれぞれ用いてもよい。
画素20B3”,20G3”,20R3”では、基本的に図13に示す画素20B1,20G1,20R1と同じ構成を有しているが、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53の一部が光軸Oから−Y側にある程度はみ出すように拡げられ、これに合わせて、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54が縮小されている。画素20B3”,20G3”,20R3”では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53からの第1の焦点検出用信号のみが焦点検出に用いられ、第2の焦点検出用電荷蓄積層54からの第2の焦点検出用信号は焦点検出に用いられない。画素20B3”,20G3”,20R3”では、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、前述したクロストークを低減して赤かぶりの問題を低減するという効果を高めるためにのみ用いられる。
また、画素20B4”,20G4”,20R4”では、基本的に図13に示す画素20B1,20G1,20R1と同じ構成を有しているが、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54の一部が光軸Oから+Y側にある程度はみ出すように拡げられ、これに合わせて、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53が縮小されている。画素20B4”,20G4”,20R4”では、第2の焦点検出用電荷蓄積層54からの第2の焦点検出用信号のみが焦点検出に用いられ、第1の焦点検出用電荷蓄積層53からの第1の焦点検出用信号は焦点検出に用いられない。画素20B4”,20G4”,20R4”では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、前述したクロストークを低減して赤かぶりの問題を低減するという効果を高めるためにのみ用いられる。
この変形例によれば、第3の実施の形態の前記第1の変形例と同様に、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、より大きな焦点検出用信号を得ることが可能となり、焦点検出用信号のSN比が向上する。また、この変形例によれば、第3の実施の形態の前記第1の変形例に比べて、前述したクロストークを低減して赤かぶりの問題を低減するという効果がより高まる。
[第3の実施の形態の第3の変形例]
前記第3の実施の形態において、図19及び図20中で符号「B*」、「G*」、「R*」をそれぞれ付した画素(焦点検出領域以外の領域の画素)として、図29に示す画素20B7,20G7,20R7をそれぞれ用いてもよい。
画素20B7,20G7,20R7が画素20B1,20G1,20R1とそれぞれ基本的に異なる所は、第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去され、第1の焦点検出用電荷蓄積層53が有効受光領域の全体に渡るように拡大されている点のみである。画素20B7,20G7,20R7の回路構成は、図6において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
この変形例によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、焦点検出領域以外の領域の画素において、前述したクロストークを低減して赤かぶりの問題を低減するという効果がより高まる。
なお、前記第1の実施の形態において、図4及び図5中で符号「B*」、「G*」、「R*」をそれぞれ付した画素(焦点検出領域以外の領域の画素)として、図29に示す画素20B7,20G7,20R7をそれぞれ用いてもよい。
[第4の実施の形態]
図30は、本発明の第4の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図であり、図3における焦点検出領域35の付近を拡大したものに相当する。図31は、本実施の形態による電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す他の図であり、図3における焦点検出領域36の付近を拡大したものに相当する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、図2中の画素20として、画素20B1,20B2,20G1,20G2,20R1,20R2の代わりに、画素20A1,20A2が用いられている点である。
図30及び図31において、画素20A1,20A2には、それぞれ符号「A1」、「A2」を付している。図30及び図31において、符号「A*」は画素20A1及び画素20A2のうちのいずれか任意の一方を示している。もっとも、本発明では、図30及び図31中の符号「A*」を付した画素(焦点検出領域以外の領域の画素)として、画素20A1においてそれぞれ第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54(したがって、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43)を取り除いたものを、用いてもよい。
画素20A1,20A2は、青色の撮像用信号、緑色の撮像用信号及び赤色の撮像用信号、並びに、2つの焦点検出用信号を互いに独立して出力し得るように構成されている。後述するように、画素20A1と画素20A2とでは、得られる焦点検出用信号が撮影レンズ2の射出瞳のいずれの領域からの光束に基づくものであるかが異なる。
本実施の形態では、Y軸方向に延びた焦点検出領域35は、図30に示すように、画素20A1が並んだY軸方向の列の一部である。Y軸方向に延びた焦点検出領域33,34は、焦点検出領域35と同様である。X軸方向に延びた焦点検出領域36は、図31に示すように、画素20A2が並んだX軸方向の行の一部である。X軸方向に延びた焦点検出領域32,37は、焦点検出領域36と同様である。また、焦点検出領域以外の領域には、画素20A1,20A2にいずれかが配置されている。
図32は、画素20A1,20A2を示す回路図である。これらの画素20A1,20A2は、同一の回路構成を有している。図32において、図6中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
画素20A1,20A2の回路構成が図6に示す画素20B1等の回路構成と異なる所は、画素20A1,20A2では、図6中の撮像用フォトダイオード41及び転送トランジスタ45が除去され、その代わりに、入射光の青色の波長成分を主として光電変換して青色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部としての青色の撮像用フォトダイオード41bと、入射光の緑色の波長成分を主として光電変換して緑色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部としての緑色の撮像用フォトダイオード41gと、入射光の赤色の波長成分を主として光電変換して赤色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部としての赤色の撮像用フォトダイオード41rと、撮像用フォトダイオード41b,41g,41rからFD44へ電荷をそれぞれ転送する各転送ゲート部としての転送トランジスタ45b,45g,45rとが、設けられている点のみである。
転送トランジスタ45bのゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGAbがそれぞれ供給される。転送トランジスタ45bは、この駆動信号φTGAbに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、撮像用フォトダイオード41bから撮像用信号となるべき電荷をFD44に転送する。同様に、転送トランジスタ45g,45rのゲート電極は、画素行ごとにそれぞれ共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGAg,φTGArがそれぞれ供給される。転送トランジスタ45g,45rは、駆動信号φTGAg,φTGArにそれぞれ従って所定のタイミングで各行ごとにそれぞれ同時にオンとされ、撮像用フォトダイオード41g,41rから撮像用信号となるべき電荷をそれぞれFD44に転送する。
なお、本実施の形態では、画素20A1,20A2においても、図6に示す画素20B1等と同じく、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43は、入射光の赤外域の波長成分を主として光電変換して焦点検出用信号となるべき電荷を得る。もっとも、本発明では、画素20A1,20A2では、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43が主として光電変換する入射光の波長成分は、撮像用フォトダイオード41b,41g,41rが主として光電変換するいずれの波長成分よりも長い波長成分であれば、赤外域の波長成分ではなく可視域の波長成分であってもよい。
なお、図32において、フォトダイオード41b,41g,41r,42,43の一方の端子及びFD44の一方の端子は、便宜的に接地として記載されている。しかし、実際は、後述する図33から理解されるとおりP型ウエル92の電位となる。
図33は、画素20A1の要部を模式的に示す概略断面図である。図34は、画素20A1の要部を大幅に簡略化して模式的に示す概略平面図であり、図13に対応している。図33及び図34において、図9、図10及び図13中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付している。
なお、図33からわかるように撮像用電荷蓄積層52b,52g,52rは実際にはちょうど重なっているわけではないが、有効受光領域内のみに着目するとこれらはちょうど重なっているので、図34では、撮像用電荷蓄積層52b,52g,52rをちょうど重なるものとして示している。また、図33からわかるように第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は実際にはマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的ではないが、有効受光領域内のみに着目すると第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54はマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的であるので、図34では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54をマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的であるものとして示している。
図33では、基板91上の要素(すなわち、基板91上に形成された層間絶縁膜、当該画素の有効受光領域に開口を有する遮光膜を兼ねる配線層、平坦化層、マイクロレンズ65等)の図示は省略している。本実施の形態では、画素20A1には、前記第1の実施の形態における画素20B1,20G1,20R1と同じく当該画素に対して1対1にマイクロレンズ65が設けられているが、カラーフィルタ88B,88G,88Rは設けられていない。
図33に示すように、N型のシリコン基板91上に、電荷蓄積層52b,52g,52r,53,54等を配置すべき第1の半導体層としてのP型ウエル62が設けられている。P型ウエル62に所望の不純物拡散がなされて、電荷蓄積層52b,52g,52r,53,54や各種トランジスタ等が配置されている。図33には、主に、フォトダイオード41b,41g,41r,42,43しか現れてないが、実際には、図32の構成を実現する各種トランジスタ等の他の要素も設けられている。
P型ウエル92の表面側に、青色の撮像用フォトダイオード41bの一部を構成するN型の撮像用電荷蓄積層52bが配置されている。撮像用電荷蓄積層52bは、N型不純物の拡散によって形成される。本実施の形態では、青色の撮像用フォトダイオード41bは、撮像用電荷蓄積層52bの他に、その基板表面側にP型の空乏化防止層93を有しており、埋め込みフォトダイオードとして構成されている。空乏化防止層93の表面は、薄いシリコン酸化膜66によって覆われている。もっとも、空乏化防止層93は必ずしも設けなくてもよい。
撮像用電荷蓄積層52bは、P型ウエル92の浅い位置に配置されることで、入射光の青色波長成分が主として光電変換されて青色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。撮像用電荷蓄積層52bで蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の拡散部94及び電極103を介してP型ウエル92の表面側に導かれる。電極103は、図33には図示しない転送トランジスタ45b(図32参照)に接続されている。表面側に導かれたこの電荷は、転送トランジスタ45bがオンとなることによって、FD44に転送される。
また、図33に示すように、P型ウエル92には、緑色の撮像用フォトダイオード41gの一部を構成するN型の撮像用電荷蓄積層52g、及び、赤色の撮像用フォトダイオード41gの一部を構成するN型の撮像用電荷蓄積層52rが配置されている。撮像用電荷蓄積層52g,52rも、N型不純物の拡散によって形成される。撮像用電荷蓄積層52b,52g,52gは、入射光の入射方向から見たときに互いにP型ウエル92のP型領域を介して重なるように、配置されている。撮像用電荷蓄積層52gは撮像用電荷蓄積層52bに対して深い側に配置され、撮像用電荷蓄積層52rは撮像用電荷蓄積層52gに対して深い側に配置されている。
それらの深さが所望の深さに設定されることで、撮像用電荷蓄積層52gは、入射光の緑色波長成分が主として光電変換されて緑色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積し、撮像用電荷蓄積層52rは、入射光の赤色波長成分が主として光電変換されて赤色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。
撮像用電荷蓄積層52gで蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部95及び電極104を介してP型ウエル92の表面側に導かれる。電極104は、図33には図示しない転送トランジスタ45g(図32参照)に接続されている。表面側に導かれたこの電荷は、転送トランジスタ45gがオンとなることによって、FD44に転送される。
撮像用電荷蓄積層52rで蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部96及び電極105を介してP型ウエル92の表面側に導かれる。電極105は、図33には図示しない転送トランジスタ45r(図32参照)に接続されている。表面側に導かれたこの電荷は、転送トランジスタ45rがオンとなることによって、FD44に転送される。
また、図33に示すように、P型ウエル92には、第1の焦点検出用フォトダイオード42の一部を構成するN型の第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43の一部を構成するN型の第2の焦点検出用電荷蓄積層54が配置されている。これらの電荷蓄積層53,54も、N型不純物の拡散により形成されている。これらの電荷蓄積層53,54はいずれも、入射光の入射方向から見たときに少なくともその一部がP型ウエル92のP型領域を介して撮像用電荷蓄積層52b,52g,52rと重なるように、配置されている。
本実施の形態では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52rに対して深い側に配置され、それらの深さ位置や厚さは互いに同じになっている。第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の上面の深さ位置は、例えば、P型ウエル92の表面からおよそ4μm以上深い位置とされる。本実施の形態では、これにより、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、入射光の赤外域の波長成分が主として光電変換されて第1及び第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積するようになっている。
本実施の形態では、図34に示すように、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は有効受光領域内ではマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的に配置され、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置され、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されている。これによって、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。また、光軸Oは、撮像用電荷蓄積層52b,52g,52rの有効受光領域の中心を通っている。
なお、シェーディングを低減するために、例えば、有効画素領域の中心部の画素では、マイクロレンズ65の光軸Oと電荷蓄積層52b,52g,52r,53,54との位置関係が前述した位置関係となるようにマイクロレンズ65を配置する一方、有効画素領域の周辺部の画素では、マイクロレンズ65をその位置からずらして配置してもよい。
第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52b,52g,52rでは光電変換されずに透過された波長成分(本実施の形態では、赤外域の波長成分)を光電変換する。このため、入射光を効率良く利用することが可能となる。
第1の焦点検出用電荷蓄積層53で蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部58及び電極106を介してP型ウエル92の表面側に導かれる。電極106は、図33には図示しない転送トランジスタ46(図32参照)に接続されている。表面側に導かれたこの電荷は、転送トランジスタ46がオンとなることによって、FD44に転送される。
第2の焦点検出用電荷蓄積層54で蓄積された電荷は、その導電路をなすN型の深い拡散部59及び電極107を介してP型ウエル92の表面側に導かれる。電極107は、図33には図示しない転送トランジスタ47(図32参照)に接続されている。表面側に導かれたこの電荷は、転送トランジスタ47がオンとなることによって、FD44に転送される。
本実施の形態では、図33に示すように、P型ウエル92の表面側において、P型の不純物拡散層からなる分離層97〜102が設けられている。分離層97〜102の不純物濃度は、P型ウエル92の不純物濃度よりも高くなっている。分離層97は撮像用電荷蓄積層52bと拡散部95との間に配置され、分離層98は拡散部95と拡散部96との間に配置され、分離層99は拡散部96と拡散部59との間に配置されている。分離層100,101は隣接する画素との間を分離する。
なお、製造時おいては、前記第1の実施の形態と同様に、酸化膜の形成、イオン注入による不純物の拡散などによって、図33に示すような画素構造を得ることができる。
以上、画素20A1の構成について説明した。次に、図30及び図31中の画素20A2について説明する。図35は、画素20A2の要部を大幅に簡略化して模式的に示す概略平面図であり、図34に対応している。図35において、図34中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
画素20A2が画素20A1と異なる所は、画素20A1では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されているのに対し、画素20A2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して−X側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して+X側に配置されている点と、これに伴って、図面には示していないが、拡散部58,59や電極106,107等の配置が変更されている点のみである。
したがって、画素20A2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。
本実施の形態における固体撮像素子は、前記第1の実施の形態における固体撮像素子3の駆動手順(図15乃至図17参照)と同様の駆動手順で、各モードの駆動を行うことができる。このとき、撮像用フォトダイオードについては、前記第1の実施の形態における固体撮像素子3の各画素が単一の撮像用電荷蓄積層52しか有していないのに対し、本実施の形態における固体撮像素子の各画素20A1,20A2は3つの撮像用フォトダイオード41b,41g,41rを有しているので、これに伴って駆動手順が変更されることは、言うまでもない。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、1つの画素から3色の撮像用信号が得られるので、実質的に画素の解像度が高まる。
[第5の実施の形態]
図36は、本発明の第5の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。図36において、図30及び図31中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態が前記第4の実施の形態と基本的に異なる所は、固体撮像素子における画素の配置のみである。本実施の形態では、固体撮像素子における画素20A1,20A2を、撮像領域31の全体に渡って、図36に示すようなパターンで配置したものである。図36は、撮像領域31の一部を拡大したものに相当する。
前記第4の実施の形態では、焦点検出領域が予め図3に示すように定められていたが、Y軸方向の列の一部及びX軸方向の行の一部を、適宜任意に焦点検出領域として指定し得る。この場合、Y軸方向の列の一部を指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の画素20A1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。X軸方向の行の一部を指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の画素20A2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。
本実施の形態によっても、前記第4の実施の形態と同様の利点が得られる。
[第6の実施の形態]
図37は、本発明の第6の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図であり、図3における焦点検出領域35の付近を拡大したものに相当する。図38は、本実施の形態による電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す他の図であり、図3における焦点検出領域36の付近を拡大したものに相当する。
本実施の形態が前記第5の実施の形態と基本的に異なる所は、画素20A1,20A2に代えて画素20A3,20A4,20A5,20A6が用いられている点のみである。ただし、厳密に言えば、後述する符号「A*」の画素の決め方によっては、これらの全ての種類の画素は用いられない。
図37及び図38において、画素20A3,20A4,20A5,20A6には、それぞれ符号「A3」〜「A6」を付している。図37及び図38において、符号「A*」は画素20A3〜20A6のいずれか任意の1つであることを示している。
本実施の形態では、Y軸方向に延びた図3中の焦点検出領域35は、図37に示すようなY軸方向の2列の一部である。また、X軸方向に延びた図3中の焦点検出領域36は、図38に示すようなX軸方向の2行の一部である。
図39は、画素20A3の要部を模式的に示す概略平面図である。図40は、画素20A4の要部を模式的に示す概略平面図である。図41は、画素20A5の要部を模式的に示す概略平面図である。図42は、画素20A6の要部を模式的に示す概略平面図である。図39乃至図40において、図34及び図35中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
画素20A3が画素20A1と基本的に異なる所は、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。画素20A3の回路構成は、図32において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
画素20A4が画素20A1と基本的に異なる所は、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。画素20A4の回路構成は、図32において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
画素20A5が画素20A2と基本的に異なる所は、+X側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。画素20A5の回路構成は、図32において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
画素20A6が画素20A2と基本的に異なる所は、−X側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。画素20A6の回路構成は、図6において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
本実施の形態では、例えば、図37に示す焦点検出領域35が指定された場合、当該領域35の全部の画素20A3からの焦点検出用信号と、当該領域35の全部の画素20A4からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。図38に示す焦点検出領域36が指定された場合、当該領域36の全部の画素20A5からの焦点検出用信号と、当該領域36の画素20A6からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。
本実施の形態によっても、前記第5の実施の形態と同様の利点が得られる。
なお、本発明では、前記第3の実施の形態を変形して第3の実施の形態の第1乃至第3の変形例を得たのと同様の各変形を、前記第6の実施の形態に適用してもよい。
以上、本発明の各実施の形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施の形態はカラーの組み合わせとしてR、G、Bを用いる系を採用した例であるが、本発明は、補色系を採用してもよい。
また、例えば前記第1及び第4の実施の形態では、各画素は、有効受光領域の全体をカバーする1つの焦点検出用電荷蓄積層を2つの第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54に分割したものに相当している。しかしながら、本発明では、1つの画素に設ける焦点検出用電荷蓄積層の数は2つに限定されるものではなく、例えば、1つの画素に4等分割したものに相当する4つの焦点検出用電荷蓄積層を設けてもよい。
さらに、本発明は、MOSトランジスタ以外の増幅部を用いた増幅型固体撮像素子にも適用することができる。