以下、本発明の一実施の形態に係る誘導加熱調理器について図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。図1に示す誘導加熱調理器は、トッププレート12、誘導加熱部13、振動検出部14、振動波形抽出部15、判定部16及び加熱制御部17を備える。トッププレート12は、非磁性体であり、被加熱物が収納された調理容器11を載置する。誘導加熱部13は、トッププレート12の下方に設けられ、調理容器11を誘導加熱する。振動検出部14は、トッププレート12の下面に設けられ、電磁誘導により調理容器11に作用する反発力に基づく振動を検出する。振動波形抽出部15は、振動検出部14の出力信号から誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出する。判定部16は、振動波形の出力を規定値と比較することにより被加熱物の状態を判定する。加熱制御部17は、判定部16による判定結果に応じて誘導加熱部13を制御する。
なお、本実施の形態では、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出しているが、誘導加熱出力が正弦波でない場合の振動誤差を考慮すれば、1.95〜2.05倍が好ましく、デジタル処理の誤差を考慮すれば、1.99〜2.01倍がより好ましい。
振動検出部14は、トッププレート12の下面に接して圧電セラミックスセンサを設けたものであり、トッププレート12を介して被加熱物を含んだ調理容器11の振動を検出する。なお、被加熱物は、例えば水などの液体である。実施の形態1における振動検出部14としては、例えば圧電セラミックスセンサを用いているが、振動ピックアップコイルなどの他の振動センサを使用することもでき、また超音波センサ等の本来は空気振動を検出するものであっても使用可能であり、特定のセンサに限定されるものではない。さらに、設置位置についても、トッププレート12の下面の任意の場所に設置することが可能であり、また下面に限定する必要もない。ユーザの使用勝手に配慮し、一般的にはトッププレート12の上面に突出していない方が、商品としては重要である。
なお、トッププレート12の下方からセンシングできるのは温度、光及び振動のみであり、場合によってはトッププレート12の上方で、上面に接して設置することも可能であり、さらに空気振動を検知することも可能である。但し、誘導加熱周波数が20kHz以上であることから、検知する周波数帯は、従来の可聴域である20kHz以下ではなく、超音波域であることが必要である。例えば、誘導加熱周波数が30kHzの場合は、その略2倍に相当する周波数の60kHzを中心に検出できることが必要である。
図1に誘導加熱調理器の断面図を示しているが、図示していない電源スイッチにより加熱が開始されると、加熱制御部17は、コイルから形成される誘導加熱部13に所定の電力を供給する。誘導加熱部13に電力が供給されると電磁誘導による磁界が形成され、トッププレート12を超えて、調理容器11の下部に渦電流が発生し、調理容器11が加熱される。その結果、調理容器11内の被加熱物が熱伝導により加熱調理される。
その際、調理容器11の下方で生じる渦電流による磁界内での反発力により、調理容器11は上方に力が作用する。その周期は、誘導加熱周期の2倍となる。図2は、誘導加熱部による磁界波形と振動検出部によって検出される振動波形とを示す波形図である。図2に示すように、誘導加熱部13による磁界波形21が一定周期で与えられている場合、その一周期における正負の2回の誘導磁界で生じる渦電流の方向は逆であるが、磁界も逆であるため、結果として反発力は磁界波形の一周期内で2回の反発力が調理容器11に作用することになる。したがって、調理容器11には、誘導加熱周波数の2倍の周期で反発力(浮力)が働くこととなる。図2における、振動検出部14で検知された振動波形22は、或る一定時間ΔTだけ磁界波形21から遅れており、磁界波形21の2倍の周期で観測される。ここで、ΔTは、調理容器11の位置と振動検出部14の位置との差異により発生するもので、トッププレート12内を固体振動として伝播する超音波振動の速度(約1500m/s)により予測が可能である。
次に、図1に示す振動波形抽出部15について述べる。図3は、振動検出部によって検出される振動波形のFFT結果を示す図である。FFT(高速フーリエ変換)は、周波数成分の大きさ(スペクトル)をリアルタイムに算出することができるので、スペクトルアナライザ等で観測することが容易であり、家電機器への搭載も容易である。図3では、横軸が周波数であり、縦軸が振幅である。振動検出部14は、一種のコンデンサであるため、誘導ノイズとして誘導加熱部13の波形31も抽出されている。その他、加熱制御部17等の電子回路の高周波ノイズや、高調波も含まれることが多い。しかし、最も大きな振幅として検出されるのは、調理容器11の振動であり、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形32が検出される。
実施の形態1における誘導加熱部13の加熱コイルの誘導加熱周波数は、商品の設計や運転条件に応じて決定される既知の値である。そのため、振動波形抽出部15は、既知である誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数の振動波形のみを高速フーリエ変換により分離することで、調理容器の振動波形を抽出することが可能となる。
次に、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅の振動波形抽出部15による別の抽出方法について述べる。図4は、実施の形態1における調理容器の振動波形の別の振幅抽出方法を説明するための図である。振動波形抽出部15は、誘導加熱部13から発振される高周波を基準信号41として、直接、振動検出部14の振動波形42から誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分を抽出する。図4におけるpi1及びpi2は各々出力電圧のピーク位置及びボトム位置に相当している。振動波形抽出部15は、その幅Diとして、ピーク位置pi1における出力電圧(ピーク値)とボトム位置pi2における出力電圧(ボトム値)との差の絶対値を算出する。この幅Diが前述の図3における誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅に相当する値である。ここで、誘導加熱周波数は20kHz以上が多いが、今回30kHzと仮定すると60kHzの超音波波形から周波数成分を抽出することになるので、回路的には少し複雑となるが、実現は可能である。なお、この図4に示した方法では後述する複数の誘導加熱部13が有る場合に、複数の調理容器11の各々を被加熱物の状況を識別して判定できるメリットがある。
判定部16は、調理容器特定部161、波形変化記憶部162、波形変化パターンデータベース163、沸騰判定部164及び規定値記憶部165を備える。調理容器特定部161は、振動波形抽出部15によって抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値のみを選択する。波形変化記憶部162は、調理容器特定部161によって選択された振動波形の振幅の最大値を時系列で記憶する。波形変化パターンデータベース163は、振動波形の時間変化に関する波形変化パターンを調理容器の種類毎に記憶する。なお、実施の形態1では、波形変化パターンデータベース163は、調理容器の種類毎に波形変化パターンを記憶しているが、本発明は特にこれに限定されず、被加熱物の種類毎又は被加熱物の量毎に波形変化パターンを記憶してもよく、さらに、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つに対応付けて波形変化パターンを記憶してもよい。
また、調理容器特定部161は、波形変化パターンデータベース163から読み出した波形変化パターンと、波形変化記憶部162に記憶されている波形変化パターンとを比較し、トッププレート12上に載置されている調理容器の種類を特定する。なお、実施の形態1では、調理容器特定部161は、調理容器の種類を特定しているが、本発明は特にこれに限定されず、被加熱物の種類又は被加熱物の量を特定してもよく、さらに、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つを特定してもよい。
規定値記憶部165は、沸騰判定の判定基準となる規定値を調理容器の種類毎に記憶する。なお、実施の形態1では、規定値記憶部165は、調理容器の種類毎に規定値を記憶しているが、本発明は特にこれに限定されず、被加熱物の種類毎又は被加熱物の量毎に規定値を記憶してもよく、さらに、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つに対応付けて規定値を記憶してもよい。沸騰判定部164は、波形変化記憶部162に記憶されている振動波形の振幅の最大値と、規定値記憶部165から読み出した規定値とを比較し、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であるか否かを判定する。
なお、図4に示す振動波形は、他の周波数の振動波形が合成されておらず、誘導加熱周波数の略2倍の周波数成分の振動波形のみを示している。この場合、図3に示す誘導加熱周波数の略2倍の周波数成分の振幅と、ピーク値とボトム値との差の絶対値とは等しくなる。しかしながら、実際には、振動検出部14では、電磁誘導自身の振動波形や他のノイズ波形に加えて低周波の振動波形(可聴域の沸騰振動波形)が合成された振動波形が検出される。そのため、実波形は、図4に示す波形よりも大きな周期の波形に誘導加熱周波数の略2倍の周波数成分の振動波形が合成されたものとなる。
この場合であっても、上記と同様に、振動波形抽出部15は、ピーク値とボトム値との差の絶対値を算出し、算出した絶対値を振幅として抽出する。波形変化パターンデータベース163及び規定値記憶部165には、この他の周波数の振動波形を考慮した波形変化パターン及び規定値が記憶されている。調理容器特定部161は、振動波形抽出部15によって抽出された振幅と、波形変化パターンデータベース163に記憶されている波形変化パターンとを比較することにより、調理容器の種類を特定する。また、沸騰判定部164は、振動波形抽出部15によって抽出された振幅と、規定値記憶部165に記憶されている規定値とを比較することにより、被加熱物の沸騰を判定する。
なお、実施の形態1において、誘導加熱部13が誘導加熱部の一例に相当し、振動検出部14が振動検出部の一例に相当し、振動波形抽出部15が振動波形抽出部の一例に相当し、判定部16が判定部の一例に相当し、波形変化パターンデータベース163が波形変化パターン記憶部の一例に相当し、調理容器特定部161が波形変化パターン特定部の一例に相当し、加熱制御部17が加熱制御部の一例に相当する。
次に、実施の形態1における誘導加熱調理器の動作について説明する。図5は、実施の形態1における誘導加熱調理器の動作について説明するためのフローチャートである。まず、振動検出部14は、振動波形抽出部15に振動波形を入力する(ステップS1)。次に、振動波形抽出部15は、入力された振動波形に対してFFTを用いたバンドパス処理を施すことにより、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅を抽出する(ステップS2)。なお、実施の形態1では、図3を用いて説明したFFTによる振幅抽出を記載しているが、図4を用いて説明した抽出方法でも同様の効果が得られる。
次に、調理容器特定部161は、振動波形抽出部15の出力を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値のみを選択する(ステップS3)。次に、調理容器特定部161は、選択した振動波形の振幅の最大値を波形変化記憶部162に時系列で記憶する(ステップS4)。次に、調理容器特定部161は、波形変化パターンデータベース163に予め記憶されている調理容器の種類毎の振動波形の時間変化に関する波形変化パターンデータを読み出す(ステップS5)。
次に、調理容器特定部161は、波形変化パターンデータベース163から読み出した波形変化パターンと、波形変化記憶部162に記憶されている波形変化パターンとを比較し、一致するか否かを判断する(ステップS6)。ここで、波形変化パターンデータベース163から読み出した波形変化パターンと、波形変化記憶部162に記憶されている波形変化パターンとが一致しないと判断された場合(ステップS6でNO)、ステップS5の処理へ戻り、調理容器特定部161は、他の種類に対応する波形変化パターンを波形変化パターンデータベース163から読み出す。
一方、波形変化パターンデータベース163から読み出した波形変化パターンと、波形変化記憶部162に記憶されている波形変化パターンとが一致すると判断された場合(ステップS6でYES)、調理容器特定部161は、調理容器の種類を特定する(ステップS7)。すなわち、調理容器特定部161は、現在トッププレート12上に載置されている調理容器の種類が、波形変化パターンデータベース163から読み出した波形変化パターンに対応する調理容器の種類であると特定する。
次に、沸騰判定部164は、調理容器特定部161によって特定された調理容器の種類に対応する規定値を規定値記憶部165から読み出す(ステップS8)。次に、沸騰判定部164は、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であるか否かを判定する(ステップS9)。すなわち、沸騰判定部164は、波形変化記憶部162に記憶されている振動波形の振幅の最大値が、規定値記憶部165から読み出した規定値に達したか否かを判定する。このとき、振動波形の振幅の最大値が規定値に達している場合、沸騰判定部164は、沸騰状態であると判定する。振動波形の振幅の最大値が規定値に達していない場合、沸騰判定部164は、沸騰状態でないと判定する。
ただし、沸騰判定部164は、振動波形の振幅の最大値が規定値に達していなくても、波形変化パターンが一致すれば、波形変化パターンのみから沸騰状態と判定できる場合がある。例えば、波形変化パターンが図6の場合には、時間経過で一旦低下した出力電圧が沸騰状態に向けて徐々に増加していき、最終的に沸騰時と同じタイミングで、波形変化は一定値に飽和する。この一定値への飽和をひとつの波形変化パターンとして扱うことで、多くのケースで実用的な沸騰状態の判定が可能である。
つまり、波形変化パターンが一致すると判断された後(ステップS6でYES)、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であるか否かを判定するステップS9において、沸騰判定部164は、振動波形の振幅の最大値が、規定値記憶部165から読み出した規定値に達したか否かを判定条件とせずに、沸騰判定する場合もある。この場合、規定値記憶部165から読み出した規定値を使用するか否かは、波形変化パターンの判定時(ステップS6)に決定することになる。
ここで、沸騰状態でないと判断された場合(ステップS9でNO)、ステップS1の処理へ戻り、ステップS1からステップS9までの処理が、沸騰状態であると判定されるまで繰り返し実行される。一方、沸騰状態であると判断された場合(ステップS9でYES)、加熱制御部17は、沸騰判定に従い、誘導加熱部13の電力を制御する(ステップS10)。
ここで、図5のステップS3の処理について、さらに詳細に説明する。調理容器特定部161は、振動波形抽出部15からの出力を所定サンプリング時間毎にサンプリングして最大値のみを選択するが、この最大値は調理容器11内の被加熱物における気泡の発生に大きく起因している。前述したとおり、調理容器11は誘導加熱の際の磁界内での反発力によるものであるが、その振動は調理容器11内の被加熱物の状況によって影響を受ける。
例えば、水を沸騰させる場合、調理容器11の底に加熱による気泡が発生するが、その結果、被加熱物全体の音響インピーダンスが変化する。具体的には、振動波形が超音波域のため、調理容器11の固体内壁から被加熱物の液体へ伝播する超音波振動は、通常は上面の水面にて反射したり、或いは調理容器11の側面にて反射を繰り返したりして減衰する。つまり、超音波の伝播特性として、固体から液体や気体へは比較的伝播し易いが、一旦、液体に伝播した超音波は、固体や空気層への伝播は非常に効率が低下し、実質的には界面で反射する。界面での反射率は、接する物質内での音速の比から決定される。しかしながら、気泡が発生すると、調理容器11の底面からの超音波振動は、その近傍に発生している気泡群により、瞬時に反射することとなる。したがって、調理容器11の超音波振動は、被加熱物からの反射により、調理容器11自身を介して、トッププレート12に伝わる。この結果、トッププレート12に設置された振動検出部14では、気泡の発生量に応じて増幅された振動振幅が検出される。
この原理を利用して、沸騰状態を判定することが可能である。なお、水に限らず、牛乳や油でも全く同様である。さらに、例えば調理中に、調理容器11内に食材が投下された場合でも、固体である食材も超音波を反射させるため振動振幅が増加し、或いは逆に、食材自身の重量分が増加することによる調理容器11自身の振幅が減少するなどから、食材の調理容器11内での位置に依存して、振動波形の変化が観測される。したがって、食材の投下も検知可能である。以上から、振動波形抽出部15からの出力を所定サンプリング時間毎にサンプリングして最大値のみを選択する理由は以下の通りである。すなわち、気泡等の存在による振幅の変化は、主にトッププレート12から調理容器11への方向の振動に変化が生じ易く、単に振動の平均値だけでは振動の変化は少ない。そのため、振動の変化を検出するには、出力の最大値をモニタリングする方が効果的である。
次に、図5のステップS4からステップS9までの処理について、図6を用いてさらに詳細に説明する。図6は、通常の調理容器を加熱した場合における振動波形の時間変化を示すグラフである。
振動波形は気泡の発生状況に大きく影響することは前述した通りである。まず図6を用いて通常の調理容器11を加熱した場合について説明する。通常の調理容器に入れられた被加熱物の沸騰に関しては、加熱の初期に調理容器11の底の表面から小さな気泡が生じる(部分沸騰)。その結果、振動波形は初期の段階から急激に増加している。その後、この気泡は、底面を徐々に離脱してまだ温度が低い上方で消滅し、さらに水面まで到達した際には水面で破裂する。気泡の底面からの離脱により、振動波形は低下する。
一方、可聴域である10kHz付近以下の低周波での振動波形は、気泡の破裂が開始した時点から急激に増加する。その後、温度上昇に従い大きな気泡となり、10kHz付近以下の振動は少し低下し、一定となる。
これに対して、実施の形態1においては、気泡の発生量の増加と共に超音波振動は再び増加し続け、完全に沸騰して気泡の発生が最大になれば、振動波形の出力も一定となる。つまり、気泡発生が最大となる時にほぼ沸騰点に到達し、振動波形出力も増加、やがて一定となるため、沸騰判定を遅延することなく行うことができる。
なお、通常の調理容器11を加熱した場合について説明したが、フッ素加工された調理容器の場合には、従来の可聴域である10kHz付近以下の低周波では振動波形の時間変化が大きく異なり、検知が困難である。つまり、出力は部分沸騰後も気泡は調理容器11の底からほとんど離脱せず、底面で成長する。そのため、10kHz付近以下の低周波での出力は極小である。そして、完全に沸騰する直前で、底面で大きく成長した気泡が離脱して水面まで到達して破裂する際に、少し出力増加が確認できる。このように、フッ素加工された調理容器の場合には通常の調理容器の場合とは、振動波形の時間変化が大きく異なるため、沸騰判定基準が異なり、検知が困難となってしまう。
しかしながら、実施の形態1においては、フッ素加工された調理容器の場合でも図6と同様な振動波形の時間変化となり、沸騰判定が可能である。ただし、フッ素加工の場合、前述のように部分沸騰した気泡が底面から離脱し難いため、振動波形の出力低下が少し遅延したり、低下の程度が小さくなる傾向はある。ところが、出力波形の全体的な時間変化に大きな差異は無く、沸騰判定が可能となる。
以上のように、図5のステップS6の処理において、調理容器特定部161は、図6に示すような時系列の波形形状を、パターンマッチングで識別することで、調理容器11の種類を判定する。また、各々の沸騰判定においても同様に、沸騰点近傍での波形の変化から実施可能となっている。
なお、被加熱物の種類や食材の有無、誘導加熱部13による加熱強度等に依存して、図6に示した時系列の波形形状は、多岐に渡るものであり、これに限定するものではない。また、時系列の波形は、調理容器の種類や調理レシピ毎に異なる。そのため、波形変化パターンデータベース163に記憶する調理容器の種類毎の波形変化パターンを活用して、記憶内容を学習及び記憶してもよい。このように、調理容器の種類や調理レシピ等に応じて、波形変化パターンデータベース163の記憶内容を学習及び記憶することによって、誘導加熱調理器を自動調理アシスト装置として利用できる。
さらに、図4の説明時に述べたが、調理容器11及び誘導加熱部13が複数ある場合には、複数の誘導加熱部13の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値が算出され、算出された絶対値が誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出される。そして、抽出された各々の振幅と規定値とが比較され、被加熱物の状態が複数の誘導加熱部13毎に区別して判定される。
すなわち、複数の誘導加熱部13で複数の調理容器11を同時に加熱した場合、各誘導加熱部13の誘導加熱周波数が同じであっても、加熱を開始するタイミングがそれぞれ異なることがある。そのため、複数の誘導加熱部13の各誘導加熱周波数の周期がずれ、それぞれの振動波形もずれて検出される。したがって、複数の誘導加熱部13で複数の調理容器11を同時に加熱した場合であっても、複数の誘導加熱部13の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値を算出し、算出した絶対値を誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出することにより、各々の調理容器11の被加熱物の状態を正確に検知することができる。
また、別の方法として、複数の誘導加熱部13は、複数の調理容器をそれぞれ異なる誘導加熱周波数で誘導加熱し、振動波形抽出部15は、振動検出部14によって検出された振動波形を高速フーリエ変換することにより、複数の誘導加熱部13の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅を抽出し、判定部16は、振動波形抽出部15によって抽出された各々の振幅と規定値とを比較し、被加熱物の状態を複数の誘導加熱部13毎に区別して判定してもよい。
このように、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を全て異なるように設定することで、図3に示したFFTを用いた方法により複数の誘導加熱部13からの振動波形を区別して抽出することを容易に実現することができ、各々の調理容器11内の被加熱物の状態を識別することができる。
すなわち、複数の誘導加熱部13によって、複数の調理容器11がそれぞれ異なる誘導加熱周波数で誘導加熱される。そして、振動波形抽出部15によって、振動波形が高速フーリエ変換されることにより、複数の誘導加熱部13の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出される。続いて、判定部16によって、振動波形抽出部15により抽出された各々の振幅と規定値とが比較され、被加熱物の状態が複数の誘導加熱部13毎に区別して判定される。
したがって、誘導加熱周波数がそれぞれ異なる複数の誘導加熱部13で複数の調理容器11を同時に加熱した場合、振動波形を高速フーリエ変換することにより、複数の誘導加熱部13の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出されるので、各々の調理容器11の被加熱物の状態を正確に検知することができる。
さらに、別の方法として、複数の調理容器11のそれぞれに対して振動検出部14を設置することで対応することも可能である。つまり、位置が異なるように設置する複数の振動検出部14への調理容器11からの伝播する振動波形の時間遅れを利用し、特定の振動検出部14における他の調理容器11からの振動波形をキャンセルし、特定の調理容器11の波形のみを抽出してもよい。
最後に、図5のステップS10の処理についてさらに詳細に説明する。気泡の発生が最大化した際に、そのまま誘導加熱部13への電力供給を一定に維持すると、ふきこぼれの原因となる。調理容器11内の量にもよるが、容量の80%以上の水を調理容器11に入れた場合、沸騰による大きな気泡の水面での破裂により、沸騰した水が調理容器11外へ飛散したりすることが多い。例えば、牛乳を調理容器11に入れた場合や、麺類を茹でている場合には、発生する気泡が破裂せずに水面で蓄積され、その気泡群が調理容器11内で増加し続けて、やがてふきこぼれに至る。
そこで、気泡の発生、つまり沸騰が検知された後、加熱制御部17は、誘導加熱部13への電力量を低減させる。この際、極端に電力を低下させたり、或いは電源をOFFしたりすると、沸騰が治まり、これをユーザが認知した場合に、一旦沸騰した被加熱物を再度沸騰させる虞がある。そこで、振動振幅を計測しつつ、当該振動振幅を沸騰点に近い値付近で維持できるように、電力制御する必要がある。その結果、単にふきこぼれ防止だけでなく、沸騰の継続や保温により、適切な調理支援を図ることができる。
次に、実施の形態1の変形例に係る誘導加熱調理器について説明する。図7は、実施の形態1の変形例に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。図7に示す誘導加熱調理器は、変更部18をさらに備える。変更部18は、被加熱物の状態、及び加熱制御部17の制御状態のうちの少なくとも一方に応じて、規定値記憶部165に記憶されている規定値及び波形変化パターンデータベース163に記憶されている波形変化パターンのうちの少なくとも一方を変更する。
図8は、フッ素加工された厚底の調理容器に対応する波形変化パターンの一例を示す図であり、図9は、ステンレス製の厚底の調理容器に対応する波形変化パターンの一例を示
す図であり、図10は、ステンレス製の薄底の調理容器に対応する波形変化パターンの一例を示す図である。なお、図8〜図10において、波形変化パターン51,61,71は、1000ccの水を沸騰させた場合の波形変化パターンであり、波形変化パターン52,62,72は、1500ccの水を沸騰させた場合の波形変化パターンであり、波形変化パターン53,63,73は、2000ccの水を沸騰させた場合の波形変化パターンであり、波形変化パターン54,64,74は、2500ccの水を沸騰させた場合の波形変化パターンである。また、図8〜図10における矢印は、沸騰点を表している。
図8〜図10に示すように、調理容器内の水量が増えるにつれて、初期の出力値が高くなり、波形が全体的に時間軸方向へ伸長し、沸騰時の増加率が小さくなる傾向にある。また、フッ素加工された調理容器の場合、中間時期での出力値がステンレス製の調理容器の場合よりも高くなる傾向にある。さらに、同じステンレス製の調理容器であっても、調理容器の底部の形状(厚み)が異なる場合、沸騰時における出力値が異なるとともに、波形変化パターンも異なる傾向にある。
また、図示していないが、加熱中の調理容器内に食材が投入された場合、出力値は増加する傾向にある。さらに、弱レベルの加熱制御が行われる場合、出力値は小さくなり、波形変化パターンは時間軸方向に伸長する傾向にある。
沸騰判定に用いられる規定値も、フッ素加工された厚底の調理容器の場合、−20dBであり、ステンレス製の厚底の調理容器の場合、−23dBであり、ステンレス製の薄底の調理容器の場合、−26dBである。このように、調理容器の種類や形状に応じて規定値も異なっている。
このように、判定部16により判定された被加熱物の状態、及び加熱制御部17により制御される誘導加熱部13の制御状態のうちの少なくとも一方に応じて、規定値及び波形変化パターンデータベース163に記憶されている波形変化パターンのうちの少なくとも一方が変更される。したがって、被加熱物の状態や誘導加熱部13の制御状態毎に異なる加熱パターンに応じて、被加熱物の状態や調理容器の種類を最適に検知することができる。その結果、沸騰の有無、食材投下の有無、調理容器の種類、及び調理レシピ毎に異なる加熱パターンに応じて、沸騰状態を各々最適に検知し、調理の失敗防止や、最適なアドバイスの提供を図ることができる。
以上説明したように、実施の形態1による誘導加熱調理器によれば、単にふきこぼれ防止だけでなく、沸騰の継続や保温、食材投下の有無に関して、調理容器の種類や調理レシピ毎に異なる加熱パターンに応じて、調理の失敗防止や、最適なアドバイスの提供を図ることができる。
次に、実施の形態2に係る誘導加熱調理器について説明する。図11は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図11に示す誘導加熱調理器は、トッププレート12、第1の誘導加熱部13a、第2の誘導加熱部13b、振動検出部14、振動波形抽出部15、判定部16、加熱制御部17、第1の温度検出部19a及び第2の温度検出部19bを備える。
第1の誘導加熱部13aは、第1の調理容器11aを誘導加熱し、第2の誘導加熱部13bは、第2の調理容器11bを誘導加熱する。なお、第1の誘導加熱部13aの誘導加熱周波数は、第2の誘導加熱部13bの誘導加熱周波数と同じである。第1の温度検出部19aは、例えばサーミスタで構成され、第1の調理容器11aの底面の温度を検出する。第2の温度検出部19bは、例えばサーミスタで構成され、第2の調理容器11bの底面の温度を検出する。なお、第1の温度検出部19a及び第2の温度検出部19bは、揚げ物調理等の油温調整のために従来から誘導加熱調理器に設けられている。
加熱制御部17は、複数の温度検出部19a,19bによって検出された各調理容器11a,11bの温度に基づいて、複数の誘導加熱部13a,13bのうちの1の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させる。判定部16は、沸騰判定部164を含む。沸騰判定部164は、振動波形抽出部15によって抽出された振動波形の変化を検出することにより、被加熱物の状態を複数の誘導加熱部13a,13b毎に区別して判定する。
具体的に、加熱制御部17は、複数の誘導加熱部13a,13bのうち、複数の温度検出部19a,19bによって検出された温度が高い方の誘導加熱部の誘導加熱出力を優先的に低下させる。例えば、加熱制御部17は、第1の温度検出部19aによって検出された第1の調理容器11aの温度が第2の温度検出部19bによって検出された第2の調理容器11bの温度よりも高い場合、第1の誘導加熱部13aの誘導加熱出力を低下させる。
なお、本実施の形態では、温度が高い方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させているが、本発明は特にこれに限定されず、温度の上昇率が高い方の誘導加熱部の誘導加熱出力を優先的に低下させてもよい。
図12は、第1及び第2の誘導加熱部13a,13bを動作させた場合に検出される振動波形の一例を示す図である。図12における時間Aは、沸騰していない方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させた時間を表している。時間Bは、沸騰している方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させた後、瞬時に元の誘導加熱出力に戻した時間を表している。時間Cは、沸騰している方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させた状態を2.5sec維持した後、元の誘導加熱出力に戻した時間を表している。
図12に示すように、時間Aでは、波形変化がほとんど見られず、時間Bでも、波形変化はごく僅かであった。これに対し、時間Cでは、波形変化を確認することができた。このように、沸騰している方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させた状態を2.5sec維持した後、元の誘導加熱出力に戻すことにより、沸騰状態を確実に判定することができる。
なお、沸騰していない方の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させ、振動波形に変化がなければ消去法により、沸騰している誘導加熱部を特定してもよい。この場合、加熱制御部17は、複数の誘導加熱部13a,13bのうち、複数の温度検出部19a,19bによって検出された温度が低い方の誘導加熱部の誘導加熱出力を優先的に低下させる。振動波形に変化がない場合、沸騰判定部164は、他方の誘導加熱部が加熱している調理容器内の被加熱物が沸騰状態であると判定する。
また、本実施の形態では、複数の誘導加熱部13a,13bのうちの1の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させているが、本発明は特にこれに限定されず、複数の誘導加熱部13a,13bのうちの1の誘導加熱部の誘導加熱周波数を低下させてもよい。
このように、複数の誘導加熱部13a,13bによって、複数の調理容器11a,11bが誘導加熱され、複数の温度検出部19a,19bによって、複数の調理容器11a,11bの温度がそれぞれ検出される。そして、加熱制御部17によって、複数の温度検出部19a,19bにより検出された各調理容器11a,11bの温度に基づいて、複数の誘導加熱部13a,13bのうちの1の誘導加熱部の誘導加熱出力が低下される。続いて、判定部16によって、振動波形抽出部15により抽出された振動波形の変化が検出されることにより、被加熱物の状態が複数の誘導加熱部13a,13b毎に区別して判定される。したがって、複数の誘導加熱部13a,13bの誘導加熱周波数が同じであっても、被加熱物の状態を複数の誘導加熱部13a,13b毎に区別して判定することができる。
次に、実施の形態3に係る誘導加熱調理器について説明する。図13は、実施の形態3に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態3において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。図13に示す誘導加熱調理器は、トッププレート12、誘導加熱部13、振動検出部14、振動波形抽出部15、判定部16及び加熱制御部17を備える。
振動検出部14は、トッププレート12を介して調理容器11の超音波域の振動を検出するとともに、調理容器11の可聴域の振動を検出する。
振動波形抽出部15は、可聴域振動波形抽出部151及び超音波域振動波形抽出部152を含む。超音波域振動波形抽出部152は、振動検出部14によって検出された超音波域の振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の第1の振動波形を抽出する。可聴域振動波形抽出部151は、振動検出部14によって検出された可聴域の第2の振動波形を抽出する。なお、本実施の形態において可聴域振動波形抽出部151は、例えば10〜20kHzの範囲内における可聴域の第2の振動波形を抽出する。
判定部16は、超音波域振動波形抽出部152によって抽出された超音波域の第1の振動波形に基づいて、被加熱物の沸騰状態を判定し、可聴域振動波形抽出部151によって抽出された可聴域の第2の振動波形に基づいて、沸騰状態の判定を補償する。
具体的に、判定部16は、判定補償部166をさらに備える。判定補償部166は、沸騰判定部164によって調理容器内の被加熱物が沸騰状態であると判定された場合、可聴域振動波形抽出部151によって抽出された可聴域の第2の振動波形における出力が増加したか否かを判断する。ここで、可聴域の第2の振動波形における出力が増加している場合、判定補償部166は、沸騰判定部164による判定結果が正しく、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であると判断する。一方、可聴域の第2の振動波形における出力が増加していない場合、判定補償部166は、沸騰判定部164による判定結果が誤っており、調理容器内の被加熱物が沸騰状態でないと判断する。
加熱制御部17は、沸騰判定部164及び判定補償部166の両方で沸騰状態であると判断された場合、誘導加熱部13の電力を制御する。
図14は、フッ素加工された調理容器を加熱した場合の超音波域における振動波形、可聴域における振動波形及び調理容器内の被加熱物の温度の時間変化の一例を示す図である。図14において、振動波形81は、超音波域である46kHzの周波数成分の振幅の時間変化を表し、振動波形82は、可聴域である10〜20kHzの周波数成分の振幅の時間変化を表している。
図14における時間Yaは、沸騰判定部164により沸騰状態であると判定された時点を表している。図14の破線の円83に示すように、フッ素加工された調理容器であっても、沸騰時に出力が増加する場合がある。そこで、超音波域の振動波形に基づいて沸騰判定を行い、可聴域の振動波形に基づいて判定結果を補償することが可能となる。
このように、振動検出部14によって、トッププレート12を介して調理容器11の超音波域の振動が検出されるとともに、調理容器11の可聴域の振動が検出される。そして、振動波形抽出部15によって、振動検出部14により検出された超音波域の振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の第1の振動波形が抽出されるとともに、振動検出部14により検出された可聴域の第2の振動波形が抽出される。続いて、判定部16によって、振動波形抽出部15により抽出された第1の振動波形に基づいて、被加熱物の沸騰状態が判定され、振動波形抽出部15により抽出された第2の振動波形の変化に基づいて、沸騰状態の判定が補償される。したがって、可聴域の振動波形の変化に基づいて、超音波域の振動波形に基づく沸騰状態の判定が補償されるので、沸騰状態の判定の精度を向上させることができる。
次に、実施の形態4に係る誘導加熱調理器について説明する。図15は、実施の形態4に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態4において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。図15に示す誘導加熱調理器は、トッププレート12、誘導加熱部13、振動検出部14、振動波形抽出部15、判定部16、加熱制御部17、温度検出部19及び温度時間変化量算出部20を備える。
温度検出部19は、例えばサーミスタで構成され、調理容器11の底面の温度を検出する。温度時間変化量算出部20は、温度検出部19によって検出された調理容器の温度の時間変化量を算出する。
沸騰判定部164は、温度時間変化量算出部20によって算出された時間変化量が規定値よりも大きい場合、又は時間変化量が0より小さい場合、被加熱物は沸騰していないと判定する。
振動波形抽出部15によって抽出される振動波形は、加熱初期において出力が増加し、加熱中期において出力が一旦減少し、沸騰時に再度出力が増加する傾向にある。そのため、加熱初期において、出力が沸騰判定に用いる規定値を超えてしまい、沸騰状態であると誤って判定される虞がある。この不具合は、沸騰した水の入った調理容器を別の誘導加熱部に載置して再沸騰させる場合と、沸騰に使用した誘導加熱部に別の調理容器を載置して加熱する場合とにおいて、温度検出部19によって検出される温度の時間変化量を算出することにより、解消することが可能である。以下、2つの場合について説明する。
図16は、沸騰した水の入った調理容器を別の誘導加熱部に載置して再沸騰させる場合の誘導加熱調理器の動作を説明するための図である。図16では、超音波域における振動波形、可聴域における振動波形、調理容器内の被加熱物の温度の時間変化、温度検出部によって検出される温度の時間変化及び調理容器の底面の温度の時間変化の一例を示している。
図16において、振動波形91は、超音波域である46kHzの周波数成分の振幅の時間変化を表している。図16における時間Yaは、沸騰判定部164により沸騰状態であると判定された時点を表している。
図16における白丸点は、調理容器11内の水の温度の時間変化を表している。白三角点は、沸騰していない水を沸騰させる場合における温度検出部19によって検出される温度の時間変化を表している。白四角点は、沸騰していない水を沸騰させる場合における調理容器11の底面の温度の時間変化を表している。黒三角点は、再沸騰させる場合における温度検出部19によって検出される温度の時間変化を表している。黒四角点は、再沸騰させる場合における調理容器11の底面の温度の時間変化を表している。
図16に示すように、通常通り沸騰していない水を沸騰させる場合、温度検出部19によって検出される温度の時間変化と、調理容器11の底面の温度の時間変化とは、調理容器11内の水の温度の時間変化とほぼ同じになる。一方、沸騰した水の入った調理容器を別の誘導加熱部に載置して再沸騰させる場合、調理容器11の底面の温度の時間変化は、100℃のまま推移するが、温度検出部19によって検出される温度の時間変化は、調理容器11の熱が伝わることにより短時間に上昇する。
そこで、沸騰判定部164は、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であると判定した場合、温度時間変化量算出部20によって算出された時間変化量が規定値よりも大きいか否かを判断する。ここで、時間変化量が規定値よりも大きいと判断された場合、沸騰判定部164は、調理容器11内の被加熱物は沸騰していないと判定する。一方、時間変化量が規定値以下であると判断された場合、沸騰判定部164は、調理容器11内の被加熱物は沸騰していると判定する。
なお、時間変化量は、調理容器の種類に応じて変化する。そのため、沸騰判定部164は、時間変化量を判断する際に用いる規定値を、調理容器の種類に応じて予め記憶しておき、調理容器特定部161によって特定された調理容器に応じた規定値を読み出し、温度時間変化量算出部20によって算出された時間変化量と比較してもよい。また、時間変化量は、被加熱物の量に応じても変化する。そのため、沸騰判定部164は、時間変化量を判断する際に用いる規定値を、被加熱物の量に応じて予め記憶しておき、被加熱物の量に応じた規定値を読み出し、温度時間変化量算出部20によって算出された時間変化量と比較してもよい。
図17は、沸騰に使用した誘導加熱部に別の調理容器を載置して加熱する場合の誘導加熱調理器の動作を説明するための図である。図17では、超音波域における振動波形、可聴域における振動波形、調理容器内の被加熱物の温度の時間変化、温度検出部によって検出される温度の時間変化及び調理容器の底面の温度の時間変化の一例を示している。
図17において、振動波形101は、超音波域である46kHzの周波数成分の振幅の時間変化を表している。図17における時間Yaは、沸騰判定部164により沸騰状態であると判定された時点を表している。
図17における白丸点は、調理容器11内の水の温度の時間変化を表している。白三角点は、沸騰直後に同じ調理容器を再沸騰させる場合における温度検出部19によって検出される温度の時間変化を表している。白四角点は、沸騰直後に同じ調理容器を再沸騰させる場合における調理容器11の底面の温度の時間変化を表している。黒三角点は、沸騰直後に別の調理容器を沸騰させる場合における温度検出部19によって検出される温度の時間変化を表している。黒四角点は、沸騰直後に別の調理容器を沸騰させる場合における調理容器11の底面の温度の時間変化を表している。
図17に示すように、沸騰直後に同じ調理容器を再沸騰させる場合、温度検出部19によって検出される温度の時間変化と、調理容器11の底面の温度の時間変化とは、100℃のまま推移する。一方、沸騰直後に別の調理容器を沸騰させる場合、調理容器11の底面の温度の時間変化は、調理容器内の水の温度の時間変化とともに推移するが、温度検出部19によって検出される温度の時間変化は、調理容器11の熱が伝わることにより一旦減少する。
そこで、沸騰判定部164は、調理容器内の被加熱物が沸騰状態であると判定した場合、温度時間変化量算出部20によって算出された時間変化量が0よりも小さいか否かを判断する。ここで、時間変化量が0よりも小さいと判断された場合、沸騰判定部164は、調理容器11内の被加熱物は沸騰していないと判定する。一方、時間変化量が0以上であると判断された場合、沸騰判定部164は、調理容器11内の被加熱物は沸騰していると判定する。
このように、温度検出部19によって、調理容器11の温度が検出され、温度時間変化量算出部20によって、温度検出部19により検出された調理容器の温度の時間変化量が算出される。そして、沸騰判定部164によって、温度時間変化量算出部20により算出された時間変化量が規定値よりも大きいか否か、及び時間変化量が0より小さいか否かが判断される。ここで、沸騰判定部164は、温度時間変化量算出部20により算出された時間変化量が規定値よりも大きいと判断した場合、又は時間変化量が0より小さいと判断した場合、被加熱物は沸騰していないと判定する。
加熱初期において、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形が一時的に上昇し、沸騰状態であると誤って検知される場合がある。しかしながら、温度時間変化量算出部20により算出された時間変化量が規定値よりも大きいか否か、及び時間変化量が0より小さいか否かを判断することにより、加熱初期における沸騰状態の誤検知を防止することができる。
次に、実施の形態5に係る誘導加熱調理器について説明する。図18は、実施の形態5に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態5において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図18に示す誘導加熱調理器は、トッププレート12、誘導加熱部13、振動検出部14、振動波形抽出部15、共振音検知部23及び加熱制御部17を備える。
振動波形抽出部15は、振動検出部14によって検出された振動波形を高速フーリエ変換することにより、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅を抽出する。
共振音検知部23は、振動波形抽出部15によって抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、誘導加熱部13の振動に共振することにより調理容器11が発する共振音(干渉音)を検知する。
加熱制御部17は、誘導加熱周波数変更部171を含む。誘導加熱周波数変更部171は、共振音検知部23によって共振音の発生が検知された場合、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を変更する。
なお、実施の形態5において、誘導加熱調理器が共振音検知装置の一例に相当し、誘導加熱部13が振動源の一例に相当し、調理容器11が振動体の一例に相当し、振動検出部14が振動検出部の一例に相当し、共振音検知部23が共振音検知部の一例に相当し、振動波形抽出部15が振動波形抽出部の一例に相当し、誘導加熱周波数変更部171が誘導加熱周波数変更部の一例に相当する。
次に、実施の形態5における誘導加熱調理器の動作について説明する。図19は、実施の形態5における誘導加熱調理器の動作について説明するためのフローチャートである。まず、振動検出部14は、振動波形抽出部15に振動波形を入力する(ステップS21)。次に、振動波形抽出部15は、入力された振動波形に対してFFTを用いたバンドパス処理を施すことにより、誘導加熱周波数の近傍の周波数成分の振幅を抽出する(ステップS22)。
次に、共振音検知部23は、振動波形抽出部15の出力を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値のみを抽出する(ステップS23)。次に、共振音検知部23は、抽出した振動波形の振幅の最大値に基づいて、共振音が発生しているか否かを判断する(ステップS24)。ここで、共振音が発生していないと判断された場合(ステップS24でNO)、ステップS21の処理へ戻り、ステップS21からステップS24までの処理が、繰り返し実行される。一方、共振音が発生したと判断された場合(ステップS24でYES)、誘導加熱周波数変更部171は、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を変更する(ステップS25)。
ここで、図19のステップS24における共振音検知処理について説明する。図20〜図25は、振動検出部によって検出される振動波形を高速フーリエ変換した結果の一例を示す図である。図20、図22、図23及び図25は、比較的大きい共振音が検知された時の振動波形を示し、図21は、共振音が検知されない時の振動波形を示し、図24は、比較的小さい共振音が検知された時の振動波形を示している。また、図20〜図25において、波形121は、振動検出部14によって検出される振動波形を高速フーリエ変換した結果を示す振動波形であり、波形122は、誘導加熱周波数の近傍の振幅の最大値の時間変化を示す波形である。
図20〜図25の波形121に示すように、共振音の発生時においては、誘導加熱周波数の2倍である46kHzを17等分した約2.7kHz毎に発振波形が観測されている。そのため、誘導加熱周波数の近傍である23±2kHzの範囲内に21.6kHz及び24.3kHzの発振波形が検知され、誘導加熱周波数の近傍の振幅の最大値を観測することにより、共振音の発生を容易に検知することができる。すなわち、図20〜図25の波形122に示すように、比較的大きい共振音が検知される場合、誘導加熱周波数の近傍の振幅の最大値も大きくなり、比較的小さい共振音が検知される場合、誘導加熱周波数の近傍の振幅の最大値も小さくなり、共振音が検知されない場合、誘導加熱周波数の近傍の振幅の最大値も検出されない。共振音検知部23は、抽出した振動波形の振幅の最大値が予め規定されている規定値よりも大きいか否かを判断し、振幅の最大値が規定値よりも大きい場合、共振音が発生したと判定し、振幅の最大値が規定値以下である場合、共振音が発生していないと判定する。
続いて、図19のステップS25における誘導加熱周波数変更処理について説明する。図26は、実施の形態5における誘導加熱周波数変更処理について説明するための図である。図26の左側のグラフは、誘導加熱周波数と共振音との関係を示しており、図26の右側のグラフは、時間と誘導加熱周波数との関係を示している。
誘導加熱周波数を低下させることにより、共振音を抑制することができる。しかしながら、誘導加熱周波数を低下させることにより、加熱能力も低下する虞がある。そこで、実施の形態5では、誘導加熱周波数を周期的に変化させる。
図26の左側のグラフに示すように、現在の誘導加熱周波数23kHzを21kHzに低下させる又は25kHzに増加させることにより、共振音を抑制することができる。そこで、誘導加熱周波数変更部171は、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を周期的に増減させる。すなわち、図26の右側のグラフに示すように、誘導加熱周波数変更部171は、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を21kHzと25kHzとに周期的に変化させることにより、加熱能力の低下を抑えつつ、共振音を抑制する。
なお、本実施の形態では、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を周期的に変更しているが、本発明は特にこれに限定されず、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を単に低下させてもよく、また、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を単に増加させてもよい。
このように、振動検出部14によって、誘導加熱部13により振動される調理容器11の振動が検出され、共振音検知部23によって、振動検出部14により検出された振動波形に基づいて、誘導加熱部13の振動に共振することにより調理容器11が発する共振音が検知される。したがって、誘導加熱部13により振動される調理容器11の振動波形を観測することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、振動検出部14により検出された振動波形が高速フーリエ変換されることにより、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅が抽出される。そして、振動波形抽出部15により抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、誘導加熱部13の振動に共振することにより調理容器11が発する共振音が検知される。すなわち、共振時において、高速フーリエ変換された振動波形の誘導加熱周波数近傍に発振波形が出現する。そこで、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を観測することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、共振音の発生が検知された場合、誘導加熱周波数変更部171によって、誘導加熱部13の誘導加熱周波数が変更されるので、共振音を抑制することができる。
次に、実施の形態6に係る誘導加熱調理器について説明する。上述の実施の形態5では、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を変更しているが、実施の形態6では、誘導加熱部13の誘導加熱出力を変更する。図27は、実施の形態6に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態6において、実施の形態5と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
加熱制御部17は、誘導加熱出力変更部172を含む。誘導加熱出力変更部172は、共振音検知部23によって共振音の発生が検知された場合、誘導加熱部13の誘導加熱出力を変更する。なお、実施の形態6において、誘導加熱出力変更部172が誘導加熱出力変更部の一例に相当する。
次に、実施の形態6における誘導加熱調理器の動作について説明する。実施の形態6における誘導加熱調理器の動作は、実施の形態5における誘導加熱調理器の動作とほぼ同じであり、図19のステップS25の加熱制御処理のみが異なっている。
図19のステップS25において、誘導加熱出力変更部172は、誘導加熱部13の誘導加熱出力を変更する。図28は、実施の形態6における誘導加熱出力変更処理について説明するための図である。図28の左側のグラフは、誘導加熱出力と共振音との関係を示しており、図26の右側のグラフは、時間と誘導加熱出力との関係を示している。
誘導加熱出力を低下させることにより、共振音を抑制することができる。しかしながら、誘導加熱出力を低下させることにより、加熱能力も低下する虞がある。そこで、実施の形態6では、誘導加熱出力を周期的に変化させる。
図28の左側のグラフに示すように、現在の誘導加熱出力1.5kWを1.2kWに低下させる又は1.8kWに増加させることにより、共振音を抑制することができる。そこで、誘導加熱出力変更部172は、誘導加熱部13の誘導加熱出力を周期的に増減させる。すなわち、図28の右側のグラフに示すように、誘導加熱出力変更部172は、誘導加熱部13の誘導加熱出力を1.2kWと1.8kWとに周期的に切り替えることにより、加熱能力の低下を抑えつつ、共振音を抑制する。
なお、本実施の形態では、誘導加熱部13の誘導加熱出力を周期的に変更しているが、本発明は特にこれに限定されず、誘導加熱部13の誘導加熱出力を単に低下させてもよく、また、誘導加熱部13の誘導加熱出力を単に増加させてもよい。
このように、共振音の発生が検知された場合、誘導加熱出力変更部172によって、誘導加熱部13の誘導誘導加熱出力が低下されるので、共振音を抑制することができる。
次に、実施の形態7に係る誘導加熱調理器について説明する。上述の実施の形態5,6では、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、共振音を検知しているが、実施の形態7では、高速フーリエ変換した振動波形中に出現する複数の発振波形に基づいて共振音を検知する。図29は、実施の形態7に係る誘導加熱調理器の構成を示す図である。なお、実施の形態7において、実施の形態5と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
共振音検知部23は、振動検出部14によって検出された振動波形を高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換した振動波形中に複数の発振波形が出現した場合、誘導加熱部13の振動に共振することにより調理容器11が発する共振音を検知する。
続いて、実施の形態7における誘導加熱調理器の動作について説明する。図30は、実施の形態7における誘導加熱調理器の動作について説明するためのフローチャートである。
ステップS31の処理は、図19の実施の形態5における誘導加熱調理器のステップS21の処理と同じであるので、説明を省略する。ステップS32において、共振音検知部23は、入力された振動波形に対して高速フーリエ変換を用いたバンドパス処理を施す。次に、ステップS33において、共振音検知部23は、高速フーリエ変換した振動波形中に複数の発振波形が出現したか否かを判断する。ここで、高速フーリエ変換した振動波形中に複数の発振波形が出現していないと判断された場合(ステップS33でNO)、ステップS31の処理へ戻り、ステップS31からステップS33までの処理が、繰り返し実行される。
一方、高速フーリエ変換した振動波形中に複数の発振波形が出現したと判断された場合(ステップS33でYES)、誘導加熱周波数変更部171は、誘導加熱部13の誘導加熱周波数を変更する(ステップS34)。誘導加熱周波数変更部171による誘導加熱周波数変更処理は、実施の形態5と同じである。なお、実施の形態7では、誘導加熱周波数変更部171により誘導加熱部13の誘導加熱周波数を変更しているが、本発明は特にこれに限定されず、誘導加熱出力変更部172により誘導加熱部13の誘導加熱出力を変更してもよい。誘導加熱出力変更部172による誘導加熱出力変更処理は、実施の形態6と同じである。
このように、共振音検知部23によって、振動検出部14により検出された振動波形が高速フーリエ変換され、高速フーリエ変換された振動波形中に複数の発振波形が出現した場合、誘導加熱部13の振動に共振することにより調理容器11が発する共振音が検知される。すなわち、共振時において、高速フーリエ変換された振動波形中に複数の発振波形が出現する。そこで、高速フーリエ変換された振動波形中に出現する複数の発振波形を検知することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
なお、実施の形態5〜7では、共振音のみを検知しているが、本発明は特にこれに限定されず、共振音の検知に加えて、実施の形態1〜4の沸騰判定処理を行ってもよい。図20〜図25に示すように、共振時において、誘導加熱周波数の略2倍の周波数(46kHz)での波形変化はない。そのため、共振時においても、振動検出部14によって検出された振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出することが可能であり、沸騰検知処理を行うことができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る誘導加熱調理器は、被加熱物を入れる調理容器を誘導加熱する誘導加熱部と、前記調理容器の振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部によって検出された振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出する振動波形抽出部と、前記振動波形抽出部によって抽出された振動波形に基づいて、前記被加熱物の状態を判定する判定部とを備える。
本発明の他の局面に係る誘導加熱調理方法は、被加熱物を入れる調理容器を誘導加熱する誘導加熱ステップと、前記調理容器の振動を検出する振動検出ステップと、前記振動検出ステップにおいて検出された振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出する振動波形抽出ステップと、前記振動波形抽出ステップにおいて抽出された振動波形に基づいて、前記被加熱物の状態を判定する判定ステップとを含む。
本発明の他の局面に係る誘導加熱調理プログラムは、被加熱物を入れる調理容器を誘導加熱する誘導加熱部と、前記調理容器の振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部によって検出された振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形を抽出する振動波形抽出部と、前記振動波形抽出部によって抽出された振動波形に基づいて、前記被加熱物の状態を判定する判定部としてコンピュータを機能させる。
これらの構成によれば、誘導加熱部によって、被加熱物を入れる調理容器が誘導加熱され、振動検出部によって、調理容器の振動が検出される。次に、振動波形抽出部によって、振動検出部により検出された振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形が抽出され、判定部によって、振動波形抽出部により抽出された振動波形に基づいて、被加熱物の状態が判定される。
調理容器が誘導加熱されると、誘導加熱周波数の1周期の間に2回の反発力が調理容器に付与される。そのため、調理容器の振動周波数は誘導加熱周波数の略2倍となる。したがって、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形が抽出され、抽出された振動波形に基づいて、被加熱物の状態が判定されるので、調理容器内の被加熱物の状態を正確に検知することができる。また、例えば、被加熱物の沸騰状態を検知して加熱する熱量を調節することにより、ふきこぼれ等の調理の失敗をより効果的に防ぐことができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記振動波形抽出部は、前記振動検出部によって検出された振動波形を高速フーリエ変換することにより、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅を抽出することが好ましい。
この構成によれば、検出された振動波形が高速フーリエ変換されることにより、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出されるので、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅を高速フーリエ変換により容易に抽出することができ、調理容器の振動を容易に検知することができる。なお、振動波形抽出部として、高速フーリエ変換ではなく、フィルタ回路によって誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出することも可能である。この場合には、アナログ電子回路が必要となるため、近年のデジタル処理よりもコストアップになる可能性が高いので、好ましくない。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記振動検出部によって検出された振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値を算出し、算出した絶対値を誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出することが好ましい。
この構成によれば、検出された振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値が算出され、算出された絶対値が誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出されるので、特定周波数のバンドパスフィルタ等の複雑な処理が不要となり、直接的に波形処理を行うことにより低コストで誘導加熱調理器を実現することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、前記被加熱物の状態を判定することが好ましい。
この構成によれば、抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、被加熱物の状態が判定される。すなわち、沸騰時の気泡等の存在による振幅の変化は、主にトッププレートから調理容器への方向の振動に変化が生じ易く、単に振動の平均値だけでは振動の変化は少ない。そのため、振動の変化を検出するには、振幅の最大値をモニタリングする方が効果的であり、所定サンプリング時間毎にサンプリングした振幅の最大値を選択することで気泡に対する振動波形をより顕著に検知することができる。また、この最大値と規定値とを比較して被加熱物の状態を判定することにより、例えば、被加熱物の沸騰状態を検知して加熱する熱量を調節し、ふきこぼれ等の調理の失敗をより効果的に防ぐことができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記調理容器の振動波形の波形変化パターンを、前記調理容器の種類、前記被加熱物の種類及び前記被加熱物の量のうちの少なくとも1つに対応付けて予め記憶する波形変化パターン記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出される振動波形の波形変化パターンと、前記波形変化パターン記憶部に記憶されている波形変化パターンとを比較し、前記調理容器の種類、前記被加熱物の種類及び前記被加熱物の量のうちの少なくとも1つを特定する波形変化パターン特定部を含むことが好ましい。
この構成によれば、調理容器の振動波形の波形変化パターンが、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つに対応付けて波形変化パターン記憶部に予め記憶されており、波形変化パターン特定部によって、振動波形抽出部により抽出される振動波形の波形変化パターンと、波形変化パターン記憶部に記憶されている波形変化パターンとが比較され、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つが特定される。したがって、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つに応じた振動の変化を高精度に検知することができ、調理容器の種類、被加熱物の種類及び被加熱物の量のうちの少なくとも1つに応じて被加熱物の状態を判定することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された振動波形に基づいて、前記被加熱物の沸騰状態を判定することが好ましい。この構成によれば、抽出された振動波形に基づいて、被加熱物の沸騰状態が判定されるので、沸騰状態を検知して加熱する熱量を調節することにより、ふきこぼれを防ぐことができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された振動波形に基づいて、前記被加熱物に他の被加熱物が追加されたことを判定することが好ましい。この構成によれば、抽出された振動波形に基づいて、被加熱物に他の被加熱物が追加されたことが判定されるので、例えば、他の被加熱物が追加された場合に誘導加熱の熱量を調節するなどし、調理の手順に応じたタイムリーな加熱制御や調理アドバイスを行うことができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記誘導加熱部は、複数の調理容器を誘導加熱する複数の誘導加熱部を含み、前記振動波形抽出部は、前記複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値を算出し、算出した絶対値を誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出し、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された各々の振幅と規定値とを比較し、前記被加熱物の状態を前記複数の誘導加熱部毎に区別して判定することが好ましい。
この構成によれば、複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値が算出され、算出された絶対値が誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出される。そして、抽出された各々の振幅と規定値とが比較され、被加熱物の状態が誘導加熱部毎に区別して判定される。
複数の誘導加熱部で複数の調理容器を同時に加熱した場合、各誘導加熱部の誘導加熱周波数が同じであっても、加熱を開始するタイミングがそれぞれ異なることがある。そのため、各誘導加熱部の誘導加熱周波数の周期がずれ、それぞれの振動波形もずれて検出される。したがって、複数の誘導加熱部で複数の調理容器を同時に加熱した場合であっても、複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形のピーク値とボトム値との差の絶対値を算出し、算出した絶対値を誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅として抽出することにより、各々の調理容器の被加熱物の状態を正確に検知することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部によって判定された前記被加熱物の状態に応じて、前記誘導加熱部を制御する加熱制御部をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、加熱制御部によって、判定部により判定された被加熱物の状態に応じて、誘導加熱部が制御されるので、調理の失敗を防止し、適切な調理支援を図ることができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部によって判定された前記被加熱物の状態に応じて、前記誘導加熱部を制御する加熱制御部と、前記判定部によって判定された前記被加熱物の状態、及び前記加熱制御部によって制御される前記誘導加熱部の制御状態のうちの少なくとも一方に応じて、前記規定値及び前記波形変化パターン記憶部に記憶されている波形変化パターンのうちの少なくとも一方を変更する変更部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、判定部により判定された被加熱物の状態、及び加熱制御部により制御される誘導加熱部の制御状態のうちの少なくとも一方に応じて、規定値及び波形変化パターン記憶部に記憶されている波形変化パターンのうちの少なくとも一方が変更される。したがって、被加熱物の状態や誘導加熱部の制御状態毎に異なる加熱パターンに応じて、被加熱物の状態や調理容器の種類を最適に検知することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記判定部は、前記調理容器の振動波形の波形変化パターンのみに基づいて、前記被加熱物の沸騰状態を判定することが好ましい。この構成によれば、調理容器の振動波形の波形変化パターンのみに基づいて、被加熱物の沸騰状態が判定される。すなわち、波形変化パターンに沸騰時と同じ波形の変化が見られる場合に、被加熱物が沸騰状態であると判定することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記誘導加熱部は、複数の調理容器をそれぞれ異なる誘導加熱周波数で誘導加熱する複数の誘導加熱部を含み、前記振動波形抽出部は、前記振動検出部によって検出された振動波形を高速フーリエ変換することにより、前記複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅を抽出し、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された各々の振幅と規定値とを比較し、前記被加熱物の状態を前記複数の誘導加熱部毎に区別して判定することが好ましい。
この構成によれば、複数の誘導加熱部によって、複数の調理容器がそれぞれ異なる誘導加熱周波数で誘導加熱される。そして、振動波形抽出部によって、振動波形が高速フーリエ変換されることにより、複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出される。続いて、判定部によって、振動波形抽出部により抽出された各々の振幅と規定値とが比較され、被加熱物の状態が複数の誘導加熱部毎に区別して判定される。
したがって、誘導加熱周波数がそれぞれ異なる複数の誘導加熱部で複数の調理容器を同時に加熱した場合、振動波形を高速フーリエ変換することにより、複数の誘導加熱部の各々の誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振幅が抽出されるので、各々の調理容器の被加熱物の状態を正確に検知することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記誘導加熱部は、複数の調理容器を誘導加熱する複数の誘導加熱部を含み、前記複数の調理容器の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出部と、前記複数の温度検出部によって検出された各調理容器の温度に基づいて、前記複数の誘導加熱部のうちの1の誘導加熱部の誘導加熱出力を低下させる加熱制御部とをさらに備え、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された振動波形の変化を検出することにより、前記被加熱物の状態を前記複数の誘導加熱部毎に区別して判定することが好ましい。
この構成によれば、複数の誘導加熱部によって、複数の調理容器が誘導加熱され、複数の温度検出部によって、複数の調理容器の温度がそれぞれ検出される。そして、加熱制御部によって、複数の温度検出部により検出された各調理容器の温度に基づいて、複数の誘導加熱部のうちの1の誘導加熱部の誘導加熱出力が低下される。続いて、判定部によって、振動波形抽出部により抽出された振動波形の変化が検出されることにより、被加熱物の状態が複数の誘導加熱部毎に区別して判定される。したがって、複数の誘導加熱部の誘導加熱周波数が同じであっても、被加熱物の状態を複数の誘導加熱部毎に区別して判定することができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記振動検出部は、前記調理容器の超音波域の振動を検出するとともに、前記調理容器の可聴域の振動を検出し、前記振動波形抽出部は、前記振動検出部によって検出された超音波域の振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の第1の振動波形を抽出するとともに、前記振動検出部によって検出された可聴域の第2の振動波形を抽出し、前記判定部は、前記振動波形抽出部によって抽出された第1の振動波形に基づいて、前記被加熱物の沸騰状態を判定し、前記振動波形抽出部によって抽出された第2の振動波形の変化に基づいて、前記沸騰状態の判定を補償することが好ましい。
この構成によれば、振動検出部によって、調理容器の超音波域の振動が検出されるとともに、調理容器の可聴域の振動が検出される。そして、振動波形抽出部によって、振動検出部により検出された超音波域の振動波形から、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の第1の振動波形が抽出されるとともに、振動検出部により検出された可聴域の第2の振動波形が抽出される。続いて、判定部によって、振動波形抽出部により抽出された第1の振動波形に基づいて、被加熱物の沸騰状態が判定され、振動波形抽出部により抽出された第2の振動波形の変化に基づいて、沸騰状態の判定が補償される。したがって、可聴域の振動波形の変化に基づいて、超音波域の振動波形に基づく沸騰状態の判定が補償されるので、沸騰状態の判定の精度を向上させることができる。
また、上記の誘導加熱調理器において、前記調理容器の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部によって検出された前記調理容器の温度の時間変化量を算出する温度時間変化量算出部とをさらに備え、前記判定部は、前記温度時間変化量算出部によって算出された前記時間変化量が規定値よりも大きい場合、又は前記時間変化量が0より小さい場合、前記被加熱物は沸騰していないと判定することが好ましい。
この構成によれば、温度検出部によって、調理容器の温度が検出され、温度時間変化量算出部によって、温度検出部により検出された調理容器の温度の時間変化量が算出される。そして、判定部によって、温度時間変化量算出部により算出された時間変化量が規定値よりも大きい場合、又は時間変化量が0より小さい場合、被加熱物は沸騰していないと判定される。
加熱初期において、誘導加熱周波数の略2倍に相当する周波数成分の振動波形が一時的に上昇し、沸騰状態であると誤って検知される場合がある。しかしながら、温度時間変化量算出部により算出された時間変化量が規定値よりも大きいか否か、又は時間変化量が0より小さいか否かを判断することにより、加熱初期における沸騰状態の誤検知を防止することができる。
本発明の他の局面に係る共振音検知装置は、振動源と、前記振動源によって振動される振動体の振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部によって検出された振動波形に基づいて、前記振動源の振動に共振することにより前記振動体が発する共振音を検知する共振音検知部とを備える。
本発明の他の局面に係る共振音検知方法は、振動源を振動させる振動制御ステップと、前記振動源によって振動される振動体の振動を検出する振動検出ステップと、前記振動検出ステップにおいて検出された振動波形に基づいて、前記振動源の振動に共振することにより前記振動体が発する共振音を検知する共振音検知ステップとを含む。
本発明の他の局面に係る共振音検知プログラムは、振動源を振動させる振動制御部と、前記振動源によって振動される振動体の振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部によって検出された振動波形に基づいて、前記振動源の振動に共振することにより前記振動体が発する共振音を検知する共振音検知部としてコンピュータを機能させる。
これらの構成によれば、振動検出部によって、振動源により振動される振動体の振動が検出され、共振音検知部によって、振動検出部により検出された振動波形に基づいて、振動源の振動に共振することにより振動体が発する共振音が検知される。したがって、振動源により振動される振動体の振動波形を観測することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、上記の共振音検知装置において、前記振動源は、被加熱物を入れる調理容器を誘導加熱する誘導加熱部を含み、前記振動検出部は、前記調理容器の振動を検出することが好ましい。
この構成によれば、共振音検知部によって、振動検出部により検出された振動波形に基づいて、誘導加熱部の振動に共振することにより調理容器が発する共振音が検知される。したがって、誘導加熱部により振動される調理容器の振動波形を観測することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、上記の共振音検知装置において、前記共振音検知部は、前記振動検出部によって検出された振動波形を高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換した振動波形中に複数の発振波形が出現した場合、前記誘導加熱部の振動に共振することにより前記調理容器が発する共振音を検知することが好ましい。
この構成によれば、共振音検知部によって、振動検出部により検出された振動波形が高速フーリエ変換され、高速フーリエ変換された振動波形中に複数の発振波形が出現した場合、誘導加熱部の振動に共振することにより調理容器が発する共振音が検知される。共振時において、高速フーリエ変換された振動波形中に複数の発振波形が出現する。そこで、高速フーリエ変換された振動波形中に出現する複数の発振波形を検知することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、上記の共振音検知装置において、前記振動検出部によって検出された振動波形を高速フーリエ変換することにより、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅を抽出する振動波形抽出部をさらに備え、前記共振音検知部は、前記振動波形抽出部によって抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、前記誘導加熱部の振動に共振することにより前記調理容器が発する共振音を検知することが好ましい。
この構成によれば、振動検出部により検出された振動波形が高速フーリエ変換されることにより、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅が抽出される。そして、振動波形抽出部により抽出された振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を用いて、誘導加熱部の振動に共振することにより調理容器が発する共振音が検知される。共振時において、高速フーリエ変換された振動波形の誘導加熱周波数近傍に発振波形が出現する。そこで、誘導加熱周波数近傍の周波数成分の振幅を所定サンプリング時間毎にサンプリングした最大値を観測することにより、共振音の発生を確実に検知することができる。
また、上記の共振音検知装置において、前記共振音検知部によって共振音の発生が検知された場合、前記誘導加熱部の誘導加熱周波数を変更する誘導加熱周波数変更部をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、共振音の発生が検知された場合、誘導加熱部の誘導加熱周波数が変更されるので、共振音を抑制することができる。
また、上記の共振音検知装置において、前記共振音検知部によって共振音の発生が検知された場合、前記誘導加熱部の誘導加熱出力を低下する誘導加熱出力変更部をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、共振音の発生が検知された場合、誘導加熱部の誘導加熱出力が低下されるので、共振音を抑制することができる。