JP5043575B2 - 植物由来組成物とその硬化物 - Google Patents

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本発明は、植物由来組成物とその硬化物に関するものである。
近年、地球温暖化などの環境問題に対する関心が高まるにつれ、プラスチック分野においては、石油由来の材料に代替するものとして、低エミッションかつカーボンニュートラルな植物由来の分解物を重合して得られる樹脂に注目が集まってきている。
中でも、植物由来の分解物の一種である乳酸を重合して得られたポリ乳酸は、結晶性を有し、他の植物由来樹脂と比較して物性の高い樹脂の一つであり、大量生産も可能で生産コストも比較的低い。
しかし、ポリ乳酸は熱可塑性樹脂であり、汎用の石油由来の熱可塑性樹脂(PE、PP、ABSなど)に比較すると、耐熱性と機械的特性が低いために、広く普及するには至っていない。また、ポリ乳酸は耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックや熱硬化性樹脂に代替できるような物性を有していない。
一方、木材などに多く含まれるポリフェノール類であるリグニンは、植物由来の物質としてはセルロースに次ぐ存在量がある。リグニンはパルプ製造の際に廃棄物となるため、これを有効利用しようという試みが古くからなされてきた。
たとえば、リグニンは化学構造がフェノール樹脂に類似していることから、フェノール樹脂と同様にリグニンをホルムアルデヒドと反応させ縮合させて接着剤として用いることが検討されてきた。また、樹皮などに含まれるタンニンもリグニンと同様にホルムアルデヒドと反応させ縮合させて接着剤として用いることが検討されてきた。さらに、フェノール樹脂のメチロール基とリグニンのフェノール性水酸基との反応を期待して、フェノール樹脂にリグニンを添加し、リグニンをフェノール樹脂の高分子骨格の中に取り込む検討もなされてきた。
しかしながら、リグニン等をホルムアルデヒドを用いて反応させる場合、残留したホルムアルデヒドや加水分解によって発生したホルムアルデヒドが放散されるという問題があった。また、リグニンの反応性が従来のフェノール樹脂よりも低いため、物性と生産性が劣り、上記の技術は広く実用化されていないのが現状である。
リグニンを有効利用しようという他の試みとして、リグニンのフェノール性水酸基とポリイソシアナートを反応させてウレタン樹脂とすること(非特許文献1参照)、リグニンのフェノール性水酸基をエポキシ化し、他のエポキシ樹脂と反応させること(非特許文献2参照)、ロジン系成分等およびそれと反応する成分をリグニンに加えること(特許文献1参照)などが検討されている。
特開2003−277615号公報 「木材新素材ハンドブック」技報堂出版 p. 685 「植物由来リグノフェノールを原料とする新規エポキシ樹脂」 ネットワークポリマー、27 (2)、118 (2006)
しかしながら、これらの従来技術では石油由来成分を多く使用しているため、植物由来成分の比率を高くできず、さらに反応性が低いため物性と生産性が劣るという問題があり、広く実用化されていないのが現状である。また特許文献1では、ロジン系成分を加えずにリグニンとエポキシ化合物を混合した配合は物性が低くなっている。これはリグニンの反応性の低さが原因と考えられる。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができ、しかも高い反応性を有する植物由来組成物とその硬化物を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の植物由来組成物は、少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分を含む、160℃〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物と、硬化促進剤としてパラトルエンスルホン酸水和物とを含有することを特徴とする。
第2に、上記第1の植物由来組成物において、エポキシ化合物が、植物油脂のエポキシ化合物であることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の植物由来組成物において、パラトルエンスルホン酸水和物の含有量が、植物の抽出成分およびエポキシ化合物の合計量100質量部に対して0.2〜4質量部の範囲であることを特徴とする。
第4に、本発明の硬化物は、上記第1ないし第3のいずれかの植物由来組成物を硬化してなることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、植物を特定条件の加圧熱水で処理し抽出することで、エポキシ化合物との反応性が高いフェノール性成分が抽出物として植物から取り出される。当該フェノール性成分を含む抽出成分は、パルプ製造時に副生されるクラフトリグニン、リグニンスルホン酸、硫酸を用いて抽出されるリグノフェノール等とは異なり、エポキシ化合物との反応性が高い。さらに、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができ、成形材料や接着剤等として利用することができる。また、硬化促進剤としてパラトルエンスルホン酸水和物を用いることで、上記のフェノール性成分とエポキシ樹脂との反応を促進し、反応性を向上させることができる。
上記第2の発明によれば、エポキシ化合物として植物油脂のエポキシ化合物を用いているので、上記第1の発明の効果に加え、植物由来組成物および硬化物中の植物由来成分の比率を高めることができ、カーボンニュートラルな特性をさらに高めることができる。
上記第3の発明によれば、特定量のパラトルエンスルホン酸水和物を用いたので、上記の発明の効果に加え、上記のフェノール性成分とエポキシ樹脂との反応を特に促進し、反応性を大幅に向上させることができる。
上記第4の発明によれば、上記第1ないし第3の発明の植物由来組成物を反応させることで硬化物としており、当該組成物は、従来の硬化性樹脂と同様に加熱、光照射、硬化促進剤の添加などにより反応して三次元網状構造の硬化物となるため、熱可塑性樹脂等と比較してより高い耐熱性と機械的強度が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、抽出成分の原料としての植物は、特に制限はないが、その具体例としては木本植物(針葉樹、広葉樹)および草本植物の幹、茎、枝、樹皮、葉などの、リグニンやタンニンと呼ばれるポリフェノール類が含まれているものが挙げられる。植物の種類、部位などによって、含まれるポリフェノール類の構造は異なり、現在、これらの構造を特定するための研究が行われている。
上記の植物は、これを粉砕して植物材料とした後に、加圧熱水で処理され、そして抽出によってエポキシ化合物との反応性が高いフェノール性成分が抽出成分として取り出される。
加圧熱水による処理は、160℃〜400℃、0.8〜30MPaの条件で行われる。当該処理には、いわゆる蒸煮処理、爆砕処理、亜臨界処理、超臨界処理が含まれる。ここで、「亜臨界処理」とは、亜臨界水中における処理のことであり、亜臨界水とは、水の温度および圧力が水の臨界点(臨界温度374.4℃、臨界圧力22.1MPa)以下であって、かつ、温度が140℃以上、その時の圧力が0.36MPa(140℃の飽和蒸気圧)以上の範囲にある状態の水をいう。また「超臨界処理」とは、超臨界水中における処理のことであり、超臨界水とは、温度および圧力が臨界点を超える水のことをいう。
粉砕した植物材料を上記の条件下で処理することによって、加圧熱水による有機物の溶解作用と強い加水分解作用により高分子であるリグニンやタンニンなどが低分子化され、反応性が高いフェノール性成分となる。
加圧熱水による処理が160℃未満または0.8MPa未満の条件で行われると、粉砕した植物材料に含まれるリグニンやタンニンなどの有機物の水への溶解性が低下し、さらに加水分解する能力が低下する。そのため、低分子化が不十分となり、抽出されたフェノール性成分の反応性が低下する。
加圧熱水による処理が400℃を超えるか、または30MPaを超える条件で行われると、粉砕した植物材料に含まれるリグニンやタンニンなどの有機物に対する加水分解作用が強過ぎて、過剰に低分子化され、さらに縮合反応も同時に起こるため、反応性が高いフェノール性成分が得られなくなる。
加圧熱水処理による生成物の抽出条件は、特に制限はなく、生成物の溶解性に応じて水、有機溶媒などの適宜の溶媒が選択され、抽出温度、圧力、時間なども適宜に設定される。抽出操作により、反応性が高いフェノール性成分を含む抽出成分が得られる。
以上のようにして植物から抽出された、少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分を含む抽出成分は、その要因は明らかではないが、パルプ製造時に副生されるクラフトリグニン、リグニンスルホン酸、硫酸を用いて抽出されるリグノフェノールなどと異なり、エポキシ化合物との反応性が高くなる。なお、「少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分」には、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する芳香族環、特にベンゼン環からなる化合物、当該芳香族環を構造内に少なくとも1つ有する化合物が含まれる。当該芳香族環は、フェノール性水酸基以外の置換基を有していてもよい。
本発明の植物由来組成物に含有されるエポキシ化合物としては、エポキシ基を有するものであれば特に制限はないが、特に、植物油脂のエポキシ化合物を用いることで、植物由来組成物とその硬化物中における植物由来成分の比率を高めることができ、カーボンニュートラルな特性をさらに高めることができる。このような植物油脂のエポキシ化合物として、たとえば、市販されている大豆、亜麻、桐、ごま、やしの種子などの植物油脂のエポキシ化合物を用いることができる。
その他、本発明の植物由来組成物には、植物油脂のエポキシ化合物以外のもの、たとえば石油由来のものをエポキシ化合物として用いてもよい。このようなエポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の植物由来組成物は、上記のフェノール性成分を含む抽出成分とエポキシ化合物とを混合することによって調製することができる。当該抽出成分とエポキシ化合物との混合比は、当該抽出成分におけるフェノール性成分の反応性、水酸基当量などを考慮して適宜に設定される。
本発明の植物由来組成物には、上記の抽出成分とエポキシ化合物に加えて、他の添加成分を配合してもよい。このような添加成分の具体例としては、パラトルエンスルホン酸水和物、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン等の硬化性樹脂に一般に用いられている硬化促進剤、充填材、増量材などが挙げられる。また、本発明の植物由来組成物は、溶媒で希釈したものとしてもよい。
本発明の植物由来組成物に、硬化促進剤としてパラトルエンスルホン酸水和物を添加すると、上記のフェノール性成分とエポキシ化合物との反応を特に促進し、反応性を大幅に向上させることができる。パラトルエンスルホン酸水和物の含有量は、上記の抽出成分およびエポキシ化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.2〜4質量部の範囲である。含有量が0.2質量部未満であると、反応の促進効果が小さく、含有量が4質量部を超えると、強酸であるパラトルエンスルホン酸水和物が過剰となるために硬化物が分解し、硬化物の物性が低下する場合がある。
本発明の植物由来組成物は、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができるため、成形材料として好適に用いることができる。また、紙やガラス繊維等に含浸し、あるいは単板に塗布して積層板として好適に用いることができ、接着剤としても好適に用いることができる。
本発明の植物由来組成物は、適宜の条件にて反応させることによって硬化物とされる。硬化反応の反応機構は明らかではないが、主反応としてフェノール性水酸基とエポキシ基との反応が進行し、副反応としてエポキシ基同士の反応が進行することで、三次元網状構造の硬化物となるものと考えられる。硬化反応の条件は、特に制限はなく、従来の硬化性樹脂と同様の条件が適用できる。具体的には、たとえば加熱、光照射、硬化促進剤の添加などにより硬化反応を進行させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
シラカンバの木粉(平均粒径0.7mm)300gおよび水5Lを耐圧釜に入れ、220℃、4MPa、10分間の条件で、加圧熱水で処理を行った。処理残渣を乾燥後、メチルエチルケトン(ナカライテスク(株)製)で常温、常圧下にて2時間抽出し、可溶部を減圧により濃縮して、植物の抽出成分を得た。
得られた抽出成分をGC-MS分析したところ、当該抽出成分は多種類の化合物からなる混合物であり、2−メトキシフェノールやバニリンなどの、少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分を含んでいることが確認された。
この抽出成分と、石油を原料とするエポキシ化合物(エポキシ樹脂「EP4100」 (株)アデカ)と、硬化促進剤のベンゾイミダゾール(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=75:25:5:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間 B法 に準拠して150℃でのゲル化時間を測定した。その結果を表1に示す。
<実施例2>
スギの木粉(平均粒径0.7mm)300gおよび水5Lを耐圧釜に入れ、180℃、1MPa、10分間の条件で、加圧熱水で処理を行った。処理残渣を乾燥後、メチルエチルケトン(ナカライテスク(株))で常温、常圧下にて2時間抽出し、可溶部を減圧により濃縮して、植物の抽出成分を得た。
得られた抽出成分をGC-MS分析したところ、当該抽出成分は多種類の化合物からなる混合物であり、2−メトキシフェノールやバニリンなどの、少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分を含んでいることが確認された。
この抽出成分と、石油を原料とするエポキシ化合物(エポキシ樹脂「EP4100」 (株)アデカ)と、硬化促進剤のベンゾイミダゾール(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=75:25:5:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間 B法 に準拠して150℃でのゲル化時間を測定した。その結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にして得た植物の抽出成分と、植物由来のエポキシ化合物(エポキシ化亜麻仁油「ダイマックL−500」 ダイセル化学工業(株))と、硬化促進剤のパラトルエンスルホン酸水和物(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=95:5:2:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間 B法 に準拠して150℃でのゲル化時間を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
植物の抽出成分であるリグニンスルホン酸塩(「バニレックスN」 日本製紙ケミカル(株))と、植物由来のエポキシ化合物(エポキシ化亜麻仁油「ダイマックL−500」 ダイセル化学工業(株))と、硬化促進剤のパラトルエンスルホン酸水和物(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=95:5:2:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間 B法 に準拠して150℃でのゲル化時間を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
シラカンバの木粉(平均粒径0.7mm)300gおよび水5Lを耐圧釜に入れ、130℃、0.4MPa、10分間の条件で、加圧熱水で処理を行った。処理残渣を実施例1と同様に乾燥、抽出した後、濃縮して植物の抽出成分を得た。
この抽出成分と、石油を原料とするエポキシ化合物(エポキシ樹脂「EP4100」 (株)アデカ)と、硬化促進剤のベンゾイミダゾール(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=75:25:5:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間 B法 に準拠して150℃でのゲル化時間を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005043575
表1に示されるように、特定条件の加圧熱水で処理された植物の抽出成分とエポキシ化合物を混合した実施例1,2の植物由来組成物は、加熱によって反応しゲル化した。
また、植物由来のエポキシ化合物であるエポキシ化亜麻仁油を用いた実施例3においても、特定条件の加圧熱水で処理された植物の抽出成分と植物由来のエポキシ化合物を混合した植物由来組成物は、加熱によって反応しゲル化した。
これに対して、植物の抽出成分としてリグニンスルホン酸塩を用いた比較例1の植物由来組成物は、加熱してもゲル化しなかった。これは、リグニンスルホン酸塩は加圧熱水で処理されておらず、エポキシ基との反応性が低いことによるものと考えられる。
また、加圧熱水で処理した植物の抽出成分を用いたが処理温度および処理圧力が低かった比較例2の植物由来組成物は、加熱してもゲル化しなかった。これは、加圧熱水処理による低分子化が不十分であるため抽出成分のエポキシ基に対する反応性が低いことによるものと考えられる。
<実施例4>
実施例3で得た植物由来組成物を積層板用含浸紙(日本製紙(株))に含浸した後、130℃で乾燥した。これを20枚積み重ねて、150℃、120分、4MPa加圧の条件でプレスを行った。
得られた積層板の厚さは2.0mm、比重は1.2、紙と硬化物との重量比は40:60であった。この積層板を切り出し、JIS K6911に準拠して曲げ強さと荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)の測定を行った。その結果を表2に示す。
<比較例3>
植物の抽出成分としてリグニンスルホン酸塩(「バニレックスN」 日本製紙ケミカル(株))を石油系フェノール樹脂(「レヂトップPL−2211」 群栄化学工業(株))と、硬化促進剤の炭酸ナトリウム((株)トクヤマ)を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:フェノール樹脂の150℃不揮発分:硬化促進剤:溶媒=95:5:2:200とした。
この植物由来組成物を積層板用含浸紙に含浸した後、130℃で乾燥した。これを20枚積み重ねて、150℃、120分、4MPa加圧の条件でプレスを行ったが、適切に成形することができなかった。そのため、上記の混合比を50:50:2:200とし、石油系フェノール樹脂の比率を多くして含浸、乾燥後、プレスを行った。
得られた積層板の厚さは2.0mm、比重は1.2、紙と硬化物との重量比は40:60であった。この積層板を切り出し、JIS K6911に準拠して曲げ強さと荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)の測定を行った。その結果を表2に示す。
<実施例5>
実施例1と同様にして得た植物の抽出成分と、植物由来のエポキシ化合物(エポキシ化亜麻仁油「ダイマックL−500」 ダイセル化学工業(株))と、硬化促進剤のパラトルエンスルホン酸水和物(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=95:5:5:200とした。
この植物由来組成物を積層板用含浸紙(日本製紙(株))に含浸した後、130℃で乾燥した。これを20枚積み重ねて、150℃、120分、4MPa加圧の条件でプレスを行った。
得られた積層板の厚さは1.8mm、比重は1.2、紙と硬化物との重量比は60:40であった。この積層板を切り出し、JIS K6911に準拠して曲げ強さと荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)の測定を行った。その結果を表2に示す。
<実施例6>
実施例1と同様にして得た植物の抽出成分と、植物由来のエポキシ化合物(エポキシ化亜麻仁油「ダイマックL−500」 ダイセル化学工業(株))と、硬化促進剤のパラトルエンスルホン酸水和物(ナカライテスク(株))を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=95:5:0.1:200とした。
この植物由来組成物を積層板用含浸紙(日本製紙(株))に含浸した後、130℃で乾燥した。これを20枚積み重ねて、150℃、120分、4MPa加圧の条件でプレスを行った。
得られた積層板の厚さは2.0mm、比重は1.2、紙と硬化物との重量比は50:50であった。この積層板を切り出し、JIS K6911に準拠して曲げ強さと荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)の測定を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005043575
実施例4〜6では、特定条件の加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物を含有する植物由来組成物を反応させることによって積層板を成形することができた。
また、表2に示されるように、実施例4の積層板は比較例3の積層板を物性で上回っており、高い機械的強度と耐熱性を有していた。さらに実施例4の積層板では、紙を除いた硬化物中の植物由来成分比率が98%と非常に高くすることができ、カーボンニュートラルな特性を高めることができた。
実施例4と実施例5,6を比較すると、硬化促進剤であるパラトルエンスルホン酸水和物の添加率が異なるが、これにより、積層板の強度と耐熱性に大きな差が現れた。実施例5の積層板は、実施例4の積層板と比較してプレス後の厚さが薄く、含浸紙から多くの樹脂がしみだしており、また、非常に脆いものであった。これは、強酸のパラトルエンスルホン酸水和物による分解によって樹脂が低粘度化することで、しみだしが多くなると共に、物性も低下したものと考えられる。
実施例6の積層板も、含浸紙から樹脂がしみだしており、実施例4と比較すると物性は大きく低下した。これは、硬化反応が遅いためにしみだしが多くなり、結果として物性も低下したものと考えられる。
これに対して、実施例4の積層板では、硬化物の分解が起こらない適切な量のパラトルエンスルホン酸水和物を硬化促進剤として用いて、硬化反応を進行させることができたために、優れた物性の積層板を得ることができたものと考えられる。

Claims (4)

  1. 少なくとも1つのフェノール核を有するフェノール性成分を含む、160℃〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物と、硬化促進剤としてパラトルエンスルホン酸水和物とを含有することを特徴とする植物由来組成物。
  2. エポキシ化合物が、植物油脂のエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載の植物由来組成物。
  3. パラトルエンスルホン酸水和物の含有量が、植物の抽出成分およびエポキシ化合物の合計量100質量部に対して0.2〜4質量部の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の植物由来組成物。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項に記載の植物由来組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
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