JP4991437B2 - 吸着材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
リグニンは、木質系材料中に含まれる芳香族化合物であり、通常はセルロース、ヘミセルロースと共に木質系材料の重要な構成要素を担っている。リグニンは木質系材料からの分離方法や純度により、リグニンスルホン酸塩、アルカリリグニン(クラフトリグニン)、加水分解リグニン、オルガノソルブリグニン、爆砕リグニン、リグノセルロース、砕木リグニンなどと呼ばれる。
分子内に二以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物としては、一般にエポキシ樹脂として知られているビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール系のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリまたはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導されるエポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、トリグリシジールイソシアネートやヒダントインエポキシの如き含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテルやペンタエリスリトール−ポリ−グリシジルエーテルなどの脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族もしくは芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、オルソ−アリル−フェノールノボラック化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのそれぞれの水酸基のオルソ位にアリル基を有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ化合物は分子内に二以上の反応性エポキシ基を有していれば、これらに限定されることなく用いることが出来る。
本発明に係るリグニン含有化合物を、一分子内に反応性官能基として働く二以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を用いて架橋させて得られる吸着材の製造方法は、リグニン含有化合物とエポキシ化合物の間で架橋反応が進行するいかなる方法を用いてもよい。このとき、溶媒を用いずにリグニン含有化合物とエポキシ化合物のみによって架橋反応を進行させることも可能であるし、溶媒としてアルカリ水溶液等水系溶媒や各種有機溶媒を用いることも可能であるが、作業性向上、廃棄物低減などの観点から、無溶媒系で架橋反応を進めることが好ましい。
吸着材の形態は膜状、多孔質、粉体状、顆粒状、シート状、成型体、またはこれらを組み合わせたものを用いることができるが、ここに記載されていない形態のものを用いることも可能であり、これらの記載によって何ら限定されるものではない。しかし、本発明に係る吸着システムの小型化のためには、単位重量当たりまたは単位体積当たりの吸着性能の向上させることが好ましく、比表面積の大きい膜状、多孔質、粉体状が好ましい。
このようにして得られる吸着材は、例えば水質汚濁物質浄化用として用いることができる。水質汚濁物質には種々の化学物質があるが、本発明に係る吸着材は分子構造に親水性および疎水性を有する化学物質やイオン性の化学物質をよく吸着する。このような例として界面活性剤が挙げられるが、本発明に係る吸着材はこのような界面活性材に対して特に優れた吸着特性を有する。
加水分解リグニン2重量部を1mol/L水酸化ナトリウム水溶液10重量部に溶解させた。その後、一分子内に反応性官能基として働く二以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物として2官能性脂肪族エポキシであるエチレングリコールジグリシジルエーテルを4重量部添加し、5分間攪拌した。25℃において24時間架橋反応を進めて硬化させた後、純水洗浄による中和処理により未反応エポキシ化合物、リグニン含有化合物を除去し、60℃で乾燥を行い、吸着材を得た。
リグニン含有化合物としてアルカリリグニンとした以外は実施例1と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は98.8%と優れた吸着性能を示した。
リグニン含有化合物としてリグニンスルホン酸塩とした以外は実施例1と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は99.1%と優れた吸着性能を示した。
リグニン含有化合物として爆砕リグニンを用い、実施例1の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は99.3%と優れた吸着性能を示した。
オルガノソルブリグニン4重量部をジメチルアセトアミド10重量部に溶解させた。その後、エポキシ化合物として2官能性エポキシである1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル5重量部をリグニンに対して当量、イミダゾール触媒(1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール)を1重量部添加し、150℃にて3時間反応させた。反応後、100℃にてジメチルアセトアミドを除去し、吸着材を得た。
オルガノソルブリグニン10重量部をエチレングリコールジグリシジルエーテル10重量部に添加し溶解させた。溶解後イミダゾール触媒(1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール)を1重量部添加し150℃にて10時間硬化させた。
エポキシ化合物として1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.2%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルとした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は98.7%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルとした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は98.5%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルとした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は98.3%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてレゾルシノールジグリシジルエーテルとした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は90.0%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828(商品名))とした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は90.2%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピコート807(商品名))とした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は90.5%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物としてエポキシ化亜麻仁油(ダイマックL−500(商品名))とした以外は実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は98.9%と優れた吸着性能を示した。
実施例7と同様の方法で得られた吸着材について被吸着媒体をステアリン酸ナトリウムとした以外は実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.1%と優れた吸着性能を示した。
実施例7と同様の方法で得られた吸着材について被吸着媒体を4級トリメチルアンモニウムクロライドとした以外は実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は98.8%と優れた吸着性能を示した。
実施例7と同様の方法で得られた吸着材について被吸着媒体をショ糖ステアリン酸エステルとした以外は実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.0%と優れた吸着性能を示した。
実施例7と同様の方法で得られた吸着材について被吸着媒体をアルキルアミノ脂肪酸ナトリウムとした以外は実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.1%と優れた吸着性能を示した。
リグニン含有化合物を爆砕リグニンとした以外は実施例7と同様の方法で得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.0%と優れた吸着性能を示した。
リグニン含有化合物を砕木リグニンとした以外は実施例7と同様の方法で得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示すとおり、その吸着率は99.0%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ含有化合物として1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを8重量部用い、実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。ただし、吸着材は膜状(溶解物を10μm厚に成型後、150℃で10時間硬化)とした。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は99.3%と優れた吸着性能を示した。
溶媒としてアセトンを用い、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを5重量部用いること以外は実施例5と同様の方法で吸着材を製造した。反応後にアセトンを揮発・除去することにより吸着材は多孔質となった。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は99.4%と優れた吸着性能を示した。
エポキシ化合物として1の官能基しか有さないエポキシであるフェニルグリシジルエーテル14重量部について、リグニン含有化合物10重量部と実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率45.0%であった。
エポキシ化合物として1の官能基しか有さないエポキシであるプロピレンオキサイド6重量部について、リグニン含有化合物10重量部と実施例6と同様の方法で吸着材を製造した。得られた吸着材について実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率46.0%であった。
オルガノソルブリグニン10重量部に無水酢酸100重量部、酢酸ナトリウム5重量部添加し、室温(25℃)で2時間攪拌した後、1000重量部の水で洗浄、乾燥を行い、吸着材としてアセチル化リグニンを得た。得られたアセチル化リグニンについて実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率は48.0%であった。
いかなる架橋も修飾処理も行っていない加水分解リグニンについて、実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率52.0%であった。
いかなる架橋も修飾処理も行っていないオルガノソルブリグニンついて、実施例1と同様の方法で吸着性能を評価した。この結果を表1に示す。表1に示す通り、吸着率58.0%であった。
Claims (5)
- 加水分解リグニン、オルガノソルブリグニン、アルカリリグニン、リグニンスルホン酸塩、爆砕リグニン、砕木リグニンから選ばれるリグニン含有化合物と、
一分子内に反応性官能基として働く二以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
を前記リグニン含有化合物10重量部に対して前記エポキシ化合物1重量部以上50重量部以下で架橋反応させた後、乾燥させて得ることを特徴とする吸着材。 - 前記エポキシ化合物が脂肪族化合物であることを特徴とする請求項1に記載の吸着材。
- 前記脂肪族化合物が植物由来化合物の誘導体であることを特徴とする請求項2に記載の吸着材。
- 前記吸着材が多孔質または膜状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸着材。
- 加水分解リグニン、オルガノソルブリグニン、アルカリリグニン、リグニンスルホン酸塩、爆砕リグニン、砕木リグニンから選ばれるリグニン含有化合物と、
一分子内に反応性官能基として働く二以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、
を前記リグニン含有化合物10重量部に対して前記エポキシ化合物1重量部以上50重量部以下で架橋反応させた後、乾燥させて得ることを特徴とする吸着材の製造方法。
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