JP2010031092A - 植物由来樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を用いて効率良く硬化反応を進行させることができ、高い耐熱性を有する植物由来樹脂成形品を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分を含む、160〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を110〜150℃で加熱して半硬化物とし、当該半硬化物を130〜170℃で成形したものであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物由来樹脂成形品に関するものである。
近年、地球温暖化などの環境問題に対する関心が高まるにつれ、プラスチック分野においては、石油由来の材料に代替するものとして、低エミッションかつカーボンニュートラルな植物由来の分解物を重合して得られる樹脂に注目が集まってきている。
中でも、植物由来の分解物の一種である乳酸を重合して得られたポリ乳酸は、結晶性を有し、他の植物由来樹脂と比較して物性の高い樹脂の一つであり、大量生産も可能で生産コストも比較的低い。
しかしながら、ポリ乳酸は熱可塑性樹脂であり、汎用の石油由来の熱可塑性樹脂(PE、PP、ABSなど)に比較すると、耐熱性と機械的特性が低いために、広く普及するには至っていない。また、ポリ乳酸は耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックや熱硬化性樹脂に代替できるような物性を有していない。
一方、木材などに多く含まれるポリフェノール類であるリグニンは、植物由来の物質としてはセルロースに次ぐ存在量がある。リグニンはパルプ製造の際に廃棄物となるため、これを有効利用しようという試みが古くからなされてきた。
例えば、リグニンは化学構造がフェノール樹脂に類似していることから、フェノール樹脂と同様にリグニンをホルムアルデヒドと縮合反応させて接着剤として用いることが検討されてきた。また、樹皮などに含まれるタンニンもリグニンと同様にホルムアルデヒドと縮合反応させて接着剤として用いることが検討されてきた。さらに、フェノール樹脂のメチロール基とリグニンのフェノール性水酸基との反応を期待して、フェノール樹脂にリグニンを添加し、リグニンをフェノール樹脂の高分子骨格の中に取り込む検討もなされてきた。
しかしながら、リグニンなどをホルムアルデヒドを用いて反応させる場合、残留したホルムアルデヒドや加水分解によって発生したホルムアルデヒドが放散されるという問題があった。また、リグニンの反応性が従来のフェノール樹脂よりも低いため、物性と生産性が劣り、上記の技術は広く実用化されていないのが現状である。
リグニンを有効利用しようという他の試みとして、リグニンのフェノール性水酸基とポリイソシアナートを反応させてウレタン樹脂とすること(非特許文献1参照)、リグニンのフェノール性水酸基をエポキシ化し、他のエポキシ樹脂と反応させること(非特許文献2参照)、ロジン系成分およびそれと反応する成分をリグニンに加えること(特許文献1参照)などが検討されている。
しかしながら、これらの従来技術では石油由来成分を多く用いているため、植物由来成分の比率を高くできず、さらに反応性が低いため物性と生産性が劣るという問題があり、広く実用化されていないのが現状である。また特許文献1では、ロジン系成分を加えずにリグニンとエポキシ化合物を混合した配合は物性が低くなっている。これはリグニンの反応性の低さが原因と考えられる。
このような状況において本発明者らは、植物を160〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理することで、エポキシ化合物との反応性が高いフェノール性成分が抽出物として取り出され、この抽出物とエポキシ化合物との硬化反応により、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができることを見出している(特許文献2参照)。
特開2003−277615号公報 特願2007−191140 「木質新素材ハンドブック」技報堂出版 p. 685 「植物由来リグノフェノールを原料とする新規エポキシ樹脂」 ネットワークポリマー、27 (2)、118 (2006)
しかしながら、このように特定の加圧熱水で処理した植物の抽出成分を用いた場合であっても、エポキシ化合物との硬化条件によっては反応が十分に進行せず、例えば加熱温度を高めた場合においても硬化反応が却って進行しなくなり耐熱性の高い成形品が得られなくなる場合があるという問題点があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を用いて効率良く硬化反応を進行させることができ、高い耐熱性を有する植物由来樹脂成形品を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の植物由来樹脂成形品は、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分を含む、160〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を110〜150℃で加熱して半硬化物とし、当該半硬化物を130〜170℃で成形したものであることを特徴とする。
第2に、上記第1の植物由来樹脂成形品において、半硬化物を得るための加熱時間が5〜30分であることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の植物由来樹脂成形品において、成形時の加熱時間が30〜120分であることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、植物を特定の加圧熱水で処理し抽出することで、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分が抽出物として植物から取り出される。当該フェノール性成分には、パルプ製造時に副生されるクラフトリグニン、リグニンスルホン酸、硫酸を用いて抽出されるリグノフェノールなどと異なりエポキシ化合物との反応性が高いものが含まれているが、エポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分は低分子量であり加熱により揮発し易い。
そこで本発明では、半硬化物を得るための予備硬化を特定の温度範囲内で行うことで、成形時における加圧下での樹脂の流出を最低限に抑制できるように予備硬化を進行させると共にエポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分の揮発を抑制するようにし、さらに、硬化物を得るための成形工程を特定の温度範囲内で行うことで、エポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分の揮発を抑制しつつ硬化を進行させるようにしている。このようにすることで、耐熱性を向上させるフェノール性成分のフェノール骨格がエポキシ化合物との反応によって効率良く反応物中に取り込まれ、高い耐熱性を有する成形品を得ることができる。
上記第2の発明によれば、半硬化物を得るための予備硬化を特定の時間範囲内で行うことで、上記第1の発明の効果に加え、成形時における加圧下での樹脂の流出を最低限に抑制できるように予備硬化を進行させると共にエポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分の揮発をさらに抑制することができ、その結果として耐熱性を向上させるフェノール性成分のフェノール骨格がエポキシ化合物との反応によって効率良く反応物中に取り込まれ、高い耐熱性を有する成形品を得ることができる。
上記第3の発明によれば、硬化物を得るための成形工程を特定の時間範囲内で行うことで、上記第1および第2の発明の効果に加え、エポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分の揮発を抑制しつつ硬化を進行させることができ、その結果として耐熱性を向上させるフェノール性成分のフェノール骨格がエポキシ化合物との反応によって効率良く反応物中に取り込まれ、高い耐熱性を有する成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、加圧熱水処理による抽出成分の原料としての植物は、特に制限はないが、その具体例としては木本植物(マツ科、スギ科、ヒノキ科などの針葉樹、広葉樹)および草本植物の幹、茎、枝、樹皮、葉などの、リグニンやタンニンと呼ばれるポリフェノール類が含まれているものが挙げられる。植物の種類、部位などによって、含まれるポリフェノール類の構造は異なり、現在、これらの構造を特定するための研究が行われている。
上記の植物は、これを粉砕して植物材料とした後に、加圧熱水で処理され、そして抽出によってエポキシ化合物との反応性が高いフェノール性成分が抽出成分として取り出される。
加圧熱水による処理は、160〜400℃、0.8〜30MPaの条件で行われる。当該処理には、いわゆる蒸煮処理、爆砕処理、亜臨界流体処理、超臨界流体処理が含まれる。ここで、「亜臨界流体処理」とは、亜臨界水中における処理のことであり、亜臨界水とは、水の温度および圧力が水の臨界点(臨界温度374.4℃、臨界圧力22.1MPa)以下であって、かつ、温度が140℃以上、その時の圧力が0.36MPa(140℃の飽和蒸気圧)以上の範囲にある状態の水をいう。また「超臨界流体処理」とは、超臨界水中における処理のことであり、超臨界水とは、温度および圧力が臨界点を超える水のことをいう。
粉砕した植物材料を上記の条件下で処理することによって、加圧熱水による有機物の溶解作用と強い加水分解作用により高分子であるリグニンやタンニンなどが低分子化され、反応性が高いフェノール性成分となる。
加圧熱水による処理が160℃未満または0.8MPa未満の条件で行われると、粉砕した植物材料に含まれるリグニンやタンニンなどの有機物の水への溶解性が低下し、さらに加水分解する能力が低下する。そのため、低分子化が不十分となり、抽出されたフェノール性成分の反応性が低下する。
加圧熱水による処理が400℃を超えるか、または30MPaを超える条件で行われると、粉砕した植物材料に含まれるリグニンやタンニンなどの有機物に対する加水分解作用が強過ぎて、過剰に低分子化され、さらに縮合反応も同時に起こるため、反応性が高いフェノール性成分が得られなくなる。
加圧熱水処理による生成物の抽出条件は、特に制限はなく、生成物の溶解性に応じて水、有機溶媒などの溶媒が適宜選択され、抽出温度、圧力、時間なども適宜設定される。抽出操作により、反応性が高いフェノール性成分を含む抽出成分が得られる。
以上のようにして植物から抽出された抽出成分は、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分を含んでおり、パルプ製造時に副生されるクラフトリグニン、リグニンスルホン酸、硫酸を用いて抽出されるリグノフェノールなどと異なり、エポキシ化合物との反応性が高くなる。なお、「少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分」には、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する芳香族環、特にベンゼン環からなる化合物や、当該芳香族環を構造内に少なくとも1つ有する化合物が含まれる。当該芳香族環は、フェノール性水酸基以外の置換基を有していてもよい。
なお、上記のフェノール性成分の中でも、2つ以上の水酸基を有しているフェノール性成分は、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより3次元架橋し、これにより高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができる。
本発明において、植物由来組成物に含有されるエポキシ化合物は、特に制限はないが、例えば、市販されている大豆、亜麻、桐、ごま、やしの種子などの植物油脂のエポキシ化合物を用いることができる。これらは脂肪酸のグリセリンエステルのエポキシ化物であり、工業的に生産され市販されている植物油脂のエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常は100〜400である。
植物由来組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物との合計量に対して好ましくは1〜30質量%である。エポキシ化合物の含有量を当該範囲内とすることで、エポキシ化合物におけるエポキシ基と、加圧熱水で処理した植物の抽出成分におけるフェノール性成分の水酸基とが反応し易くなり、その結果として、耐熱性を向上させるフェノール性成分のフェノール骨格が反応物中に含有される割合が高くなるので、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を得ることができる。
植物由来組成物には、加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物に加えて、他の添加成分を配合してもよい。このような添加成分の具体例としては、パラトルエンスルホン酸一水和物、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン等の硬化性樹脂に一般に用いられている硬化促進剤、充填材、増量材などが挙げられる。また、植物由来組成物は、溶媒で希釈したものとしてもよい。
なお、植物由来組成物に硬化促進剤としてパラトルエンスルホン酸一水和物を添加すると、加圧熱水で処理した植物の抽出成分とエポキシ化合物との反応を特に促進し、反応性を向上させることができるので好適である。
本発明では、上記の植物由来組成物を所定の範囲内の温度で加熱して半硬化物とする予備硬化工程と、予備硬化工程で得られた半硬化物を所定の範囲内の温度で成形する成形工程とを経て植物由来樹脂成形品を製造する。
予備硬化工程について説明すると、植物由来組成物は、フェノール性成分の水酸基とエポキシ化合物のエポキシ基との重合反応によって分子量の増大と粘度の上昇を伴いながら高分子量の硬化物へと変化する。この際、硬化反応を進行させるために必要なエネルギー源として熱エネルギーを用いると、加熱による粘度低下と反応の進行による粘度上昇という相反する現象を生じることになるが、これを制御することが硬化物の作製において必須の要件となる。
すなわち、硬化反応の最も初期の段階においては、加熱によって徐々に硬化反応が進行し、緩やかな粘度上昇が起こる。そしてある程度(通常ゲル化点付近)まで硬化反応が進行すると、3次元網目状の架橋構造が形成され不融の硬化物となる。さらに加熱を続けると3次元架橋反応が進行し、耐熱性の高い硬化物となる。
以上の点から、硬化反応の初期段階からゲル化点付近への進行に際しては、粘度が低いために加圧を伴う加熱は困難であることから、予備硬化工程を設けて成形工程の前に植物由来組成物を予め半硬化する。
一方、加圧熱水で処理した植物の抽出成分を含有する植物由来組成物は、170℃に加熱した際に、バニリン(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド)およびグアヤコール(2−メトキシフェノール)が揮発物として放出される特性を有しており、このような特性を有するものにおいてエポキシ化合物との高い反応性を有するフェノール性成分が含まれており、高い反応性を有するものであることを本発明者らは確認している。そこで予備硬化工程および成形工程においては、この高い反応性を有するフェノール性成分が揮発しないように条件を考慮する必要がある。一つの指標としては、予備硬化工程後の半硬化物においても170℃に加熱した際にバニリンおよびグアヤコールが揮発物として検出される条件が好適なものとして考慮される。
予備硬化工程における加熱温度は、110〜150℃、好ましくは115〜145℃である。当該加熱温度が低過ぎると、成形時の粘度が低く金型から樹脂が大量に流出し、成形品の形成が困難となる。当該加熱温度が高過ぎると、植物由来組成物に含まれる高い反応性を有するフェノール性成分が揮発によって失われるか、あるいは硬化反応が過剰に進行してしまうため、成形品の形成が困難となり、あるいは成形品の耐熱性が低下する。
予備硬化工程における加熱時間は、好ましくは5〜30分である。当該加熱時間が短すぎると、成形時の粘度が低く金型から樹脂が大量に流出し、成形品の形成が困難となる。当該加熱時間が長過ぎると、植物由来組成物に含まれる高い反応性を有するフェノール性成分が揮発によって失われるか、あるいは硬化反応が過剰に進行してしまうため、成形品の形成が困難となるか、あるいは成形品の耐熱性が低下する。
成形工程における成形温度は、130〜170℃である。当該成形温度が低過ぎると、硬化反応のために必要なエネルギーが不十分となり硬化が進行せず成形品の形成が困難となる。当該成形温度が高過ぎると、急激な粘度低下により金型から樹脂が大量に流出し、あるいは植物由来組成物に含まれる高い反応性を有するフェノール性成分が揮発によって失われ、成形品の形成が困難となるか、あるいは成形品の耐熱性が低下する。
成形工程における成形時間は、好ましくは30〜120分である。当該成形時間が短過ぎると、硬化反応を十分に進行させることができず、成形品の形成が困難となる。当該成形時間が長過ぎると、植物由来組成物に含まれる高い反応性を有するフェノール性成分が揮発によって失われ、成形品の形成が困難となるか、あるいは成形品の耐熱性が低下する。
成形工程においては、例えば、植物由来組成物に紙やガラス繊維などを含浸し、あるいは植物由来組成物を単板に塗布して積層板として成形することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
スギの木粉(平均粒径0.7mm)300gおよび水5Lを耐圧釜に入れ、220℃、4MPa、10分間の条件で、加圧熱水で処理を行った。処理残渣を乾燥後、メチルエチルケトン(ナカライテスク(株)製)で常温、常圧下にて2時間抽出し、可溶部を減圧濃縮して、植物の抽出成分を得た。
得られた抽出成分をGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析計)により分析したところ、抽出成分は多種類の化合物からなる混合物であり、揮発物としてバニリンおよびグアヤコールなどが検出された。
この抽出成分と、植物油脂のエポキシ化合物(エポキシ化亜麻仁油、アデカサイザーO−180A、アデカ(株)製、エポキシ当量 176、エポキシ基の数 6)と、硬化促進剤のパラトルエンスルホン酸一水和物(ナカライテスク(株)製)を溶媒のメチルエチルケトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:植物油脂のエポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=98:2:2:200とした。
この植物由来組成物について、JIS K6910のゲル化時間B法に準拠して150℃でのゲル化時間を測定したところ21分であった。
次に、この植物由来組成物を130℃、20分で予備硬化し、半硬化物とした。半硬化物のゲル化時間を測定したところ7分であり、またGC−MSにより分析したところ、揮発物としてバニリンおよびグアヤコールなどが検出された。
次に、この半硬化物を用いて150℃、3.5MPa、75分の条件でプレスを行い、厚さ2mmの硬化物を得た。この硬化物についてTMA(熱機械的分析装置、TMA320、セイコー電子工業(株)製)により0.5g荷重、5℃/min昇温の条件で膨張率を測定し、その変曲点からガラス転移温度を求めたところ125℃であった。以上の試験結果を表1に示した。
<実施例2〜6>
加圧熱水による処理条件(熱水処理温度、熱水処理圧力、熱水処理時間)、植物由来組成物の予備硬化条件(予備硬化温度、予備硬化時間)、半硬化物の成形条件(成形温度、成形圧力、成形時間)を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件にて、植物由来組成物の調製、予備硬化、および成形を行った。植物由来組成物、半硬化物、および硬化物について実施例1と同様の試験を行った結果を表1に示す。
<実施例7>
実施例1と同様の条件にて植物由来組成物を調製し、これをクラフト紙に含浸させ、130℃、20分間で予備硬化し、半硬化物とした。この半硬化物について実施例1と同様にGC−MSによる分析を行った。さらに半硬化物を10枚積層して150℃、3.5MPa、75分の条件で積層成形を行い、厚さ2mmの積層板を作製した。この積層板についてガラス転移温度を測定し、また3点曲げ試験により曲げ強さを求めた。これらの試験結果を表1に示す。
<比較例1〜6>
加圧熱水による処理条件(熱水処理温度、熱水処理圧力、熱水処理時間)、植物由来組成物の予備硬化条件(予備硬化温度、予備硬化時間)、半硬化物の成形条件(成形温度、成形圧力、成形時間)を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の条件にて、植物由来組成物の調製、予備硬化、および成形を行った。植物由来組成物、半硬化物、および硬化物について実施例1と同様の試験を行った結果を表1に示す。
Figure 2010031092
表1より、160〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を110〜150℃で予備硬化して半硬化物とし、次いで半硬化物を130〜170℃で成形した実施例1〜6では、ガラス転移温度の高い耐熱性を有する植物由来樹脂成形品を得ることができた。
また、植物由来組成物をクラフト紙に含浸させて積層板を作製した実施例7では、耐熱性と共に機械的強度も備えた積層板を得ることができた。
一方、加圧熱水による処理温度を150℃とした比較例1、2では、植物由来組成物からの揮発物としてバニリンとグアヤコールは検出されず、この植物由来組成物のゲル化時間は長いものであった。さらに、この植物由来組成物を用いて作製した植物由来樹脂成形品はガラス転移温度が大幅に低いものであった。
また、比較例3では、予備硬化時間が長いために反応性の高いフェノール性成分の揮発が進み、この半硬化物を用いて成形した植物由来樹脂成形品はガラス転移温度が低下した。
また、比較例4では、予備硬化温度が高いために反応性の高いフェノール性成分の揮発が進み、半硬化物からは揮発物としてバニリンとグアヤコールが検出されなくなり、この半硬化物を用いて成形した植物由来樹脂成形品はガラス転移温度が低下した。
また、比較例5では、成形温度が低いために硬化が十分に進行せず、植物由来樹脂成形品のガラス転移温度が低下した。
また、比較例6では、成形温度が高いために反応性の高いフェノール性成分の揮発が進み、植物由来樹脂成形品のガラス転移温度が低下した。

Claims (3)

  1. 少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール性成分を含む、160〜400℃、0.8〜30MPaの加圧熱水で処理した植物の抽出成分と、エポキシ化合物とを含有する植物由来組成物を110〜150℃で加熱して半硬化物とし、当該半硬化物を130〜170℃で成形したものであることを特徴とする植物由来樹脂成形品。
  2. 半硬化物を得るための加熱時間が5〜30分であることを特徴とする請求項1に記載の植物由来樹脂成形品。
  3. 成形時の加熱時間が30〜120分であることを特徴とする請求項1または2に記載の植物由来樹脂成形品。
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