JP4457195B2 - セルロース系繊維板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース系繊維板の製造方法に関する。より詳しくは、本発明はセルロース系材料とリグニン系材料とを含むセルロース系繊維板(セルロース系ファイバーボード)の製造方法に関する。ここで、「繊維板」には、「硬質繊維板」、「半硬質繊維板」及び「軟質繊維板」ばかりでなく、「パーティクルボード」「チップボード」も含む広義の概念である。
なお、本明細書で、配合量(添加量)、混合比、含量を示す数値は、特に断らない限り、質量(重量)単位とする。
近年、木材チップや、工場、オフィス、あるいは一般家庭などから排出される古紙を原料としたセルロース系繊維板が、土木用あるいは建築用の型枠材、床材、防水材などの用途に広く用いられるようになっている。
従来のセルロース系繊維板は、セルロース系材料に接着剤として、多量の尿素系樹脂(尿素メラミン樹脂を含む。)、フェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂を混合し、加熱硬化させることにより製造するのが主流である。
しかし、これらの樹脂は、下記のような問題点があった。
尿素樹脂は、熱硬化性に優れているものの、含水率の高い基材への接着性能及び製品としての耐水性能に劣る。
フェノール樹脂は、熱硬化性が悪く、高温で長時間の熱圧を必要とし、エネルギーコスト、生産性を考慮すると汎用性に欠ける。
このため、ポリイソシアナート化合物を上記各樹脂との混合系において使用することが試されており、且つ、更なる物性の向上を目的に、触媒を併用する方法が検討されている。
例えば、特許文献1では、接着剤としてポリイソシアナート化合物を用い、さらに繊維板の原料となる木質繊維系材料にイソシアヌレート化触媒を予め含浸させ、必要に応じて活性水素基含有化合物を含浸又は塗布する方法により添加して、熱圧成形により得られる木質ボードの製造方法が開示されている。
しかし、この方法又は従来の方法のいずれの場合でも、接着剤として使用する樹脂を繊維系材料に対して、相当量使用する必要がある。即ち、天然繊維とプラスチック(合成樹脂)との複合体であるため、使用の終わったボードを廃棄する場合において環境面を考慮したものとはいい難い。
他方、現代社会においては化石資源の利用は不可欠なもとなっているが、化石資源は再生産が不可能であり、近い将来枯渇が懸念されている。
化石資源に替わる資源の一つとしては、バイオマス(生物起源)資源が着目されている。
中でも木質系バイオマスは、地球上に膨大に存在し、短期間で再生産可能であり、適切な維持管理により持続的供給が可能な資源である点、さらに資源としての利用後は、自然界で分解し、新たなバイオマス資源として生まれ変わる(循環形)という点で着目されている。
現在の木質系バイオマスの利用法としては、木材としての利用と、パルプとしての利用に分類される。しかし、木材としての利用では、大量の廃棄物が排出され、パルプとしての利用ではセルロース(多糖類)の利用を目的とするため、リグニンはほとんど利用されていなかった。
このためリグニンを原料とするプラスチック成形体に係る技術が特許文献2・3・4等に記載されている。
特開2003−276011 特開平9−278904号 特開平11−29647号 特開2003−277615号
本発明は、上記にかんがみて、上記従来技術に記載されていない新規なリグニン系材料を用いた熱板成形法によるセルロース系繊維板の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、製造が容易であり、セルロース系材料と分離されたリグニン系材料とを組み合わせた環境に優しいセルロース系繊維板(セルロース系ファイバーボード)の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成のセルロース系繊維板の製造方法に想到した。
本発明の一つは、セルロース系材料にリグニン系材料及び多官能性化合物を添加して調製した三成分系組成物を、所定板形状に熱圧成形(ホットプレス成形)することを特徴とする。
本発明の方法においては、予めリグニン系材料及び多官能性化合物が添着(粘着、接着又は付着)したファイバーを、加熱・加圧成形することにより、全体に均一にリグノフェノール誘導体が含有された板状成形体(繊維板)を形成することができる。したがって、本発明の方法は均一な物性を有する繊維板の製造法として好ましい。
本発明の他の一つは、セルロース系材料を所定板状形状に成形して予備成形体とし、該予備成形体を、リグニン系材料及び多官能性化合物を有機溶媒に分散させて調製した含浸液に浸漬させた後、前記有機溶媒を留去させて製造することを特徴とする。
本発明の方法においては、溶媒留去に際して、リグニン系材料及び多官能性化合物は、成形体の表層側に移動する。すなわち、予備賦形繊維板(予備成形体)の表層にリグニン系材料及び多官能性化合物が多く(高密度で)添着(粘着、接着又は付着)した状態となる。このため、表層側でのリグニン系材料及び多官能性化合物の結合(バインダー)作用が相対的に増大して、効率よく耐水性と強度が付与された繊維板(成形体)を得ることができる。
上記各発明において、多官能性化合物として、ポリイソシアネート化合物及びポリエポキシ化合物のいずれか一方又は双方を選択する。上記のような多官能性化合物は、リグニン系材料(リグノフェノール誘導体)さらにはセルロース系材料に含まれるOH基との反応性が良好であるため、物性の良好なセルロース系繊維板を製造できる。
本発明の一つは、セルロース系材料とリグニン系材料と、多官能性化合物とを混合し、熱板を押圧することにより加熱しながら圧締するホットプレス法によって成形することにより、機械的強度の優れたパルプ系ボードを提供することができる。
また、本発明の他の一つは、セルロース系材料を用いて成形した予備成形体を、リグニン系材料と多官能性化合物を有機溶媒中に分散させた含浸液に浸漬して、有機溶媒を留去することにより、表層に結合強度を付与でき、実用強度を有し相対的に軽量なセルロース系繊維板を容易に製造できる。
これらの本発明の方法で製造したセルロース系繊維板は、容易に分解ができ、再利用あるいはリサイクル可能な環境に優しいものである。
手段(構成)の詳細な説明
<熱圧成形法によるセルロース系繊維板の製造方法>
本発明の方法は、セルロース系材料にリグニン系材料及び多官能性化合物を添加(混合)して調製した三成分系組成物を、所定板形状に熱圧成形(ホットプレス成形)することを基本的構成とする。ここで、三成分組成物の調製を、さらに、有機溶剤を添加して行うことも可能である。
ここで、上記三成分の混合方法及び混合装置は、特に限定されない。即ち、攪拌混合、ポンプ混合、押出混合、容器回転混合、さらには、粉砕混合等任意である。
このときセルロース系材料及びリグニン系材料は、特別な前処理等は必要でないが、好ましくは、前処理として、乾燥処理を行う。各材料の含水率(水分)が高い場合は、材料に含まれる水分によって、熱プレス成形前に多官能性化合物が反応してしまうおそれがある。
この乾燥処理は、真空乾燥機や除湿乾燥機などで行う。真空乾燥(減圧乾燥)が加熱をせずに迅速乾燥が可能となるため好ましい。
また、有機溶媒を用いる場合も同様の理由により、脱水溶媒等、水分含量が、可及的に少ないものを用いる。
セルロース系材料とリグニン系材料の組成比は、セルロース系材料とリグニン系材料との混合比が、通常、前者/後者≒99/1〜50/50、好ましくは、90/10〜70/30の範囲で、繊維板の要求物性に応じて、適宜設定する。リグニン系材料が過少であると、多官能性化合物との反応が期待されるリグニン系材料による、セルロース系材料(繊維板形成主材)に対するバインダー作用(結合作用)の促進が期待できない。また、リグニン系材料が、過多であると、セルロース系材料が本来有する曲げ強さを繊維板に得難い。
また、多官能性化合物の添加量は、セルロース系材料とリグニン系材料の合計量(総量)100部に対して、通常約0.1〜50部、好ましくは約1〜20部、さらに好ましくは約2〜8部の範囲で、繊維板に要求される特性(物性)に応じて、適宜設定する。
多官能性化合物の添加量が過少であると、該多官能性化合物とセルロース系材料とリグニン系材料との反応(官能基/OH基間)による結合力増大作用を期待できない。多官能性化合物が過多であると、該多官能性化合物がセルロース系材料又はリグニン系材料との間の架橋密度(ゲル化分率)を増大させて、繊維板に実用的な柔軟性や成形性を得難い。
なお、各多官能性化合物は、分子量及び官能基数が異なるため、それらに応じて添加量を決定する。
セルロース系材料とリグニン系材料と、多官能性化合物との混合に際して有機溶媒を用いる場合、成形前に溶媒を留去させる工程が必要となる。この場合、有機溶媒を完全に留去させてしまうのでなく、必要に応じて溶媒を若干含有させた状態で熱圧成形することが好ましい。成形材料が可塑性(plasticity)を有し、成形性(賦形性)を確保し易いためである。
具体的には、繊維板形成三成分(セルロース系材料、リグニン系材料、多官能性化合物)と溶媒の総量を100部としたとき、そのうち溶媒含量は、通常、約10〜50部、好ましくは、約25〜40部の範囲で、要求される可塑性に応じて適宜設定する。
上記繊維板形成三成分を混合するに際して、適宜、空気中湿度が高く、安定した物性の繊維板を製造できないときは、適宜、乾燥雰囲気又は不活性ガス(例えば、N2)雰囲気下で行う。
こうして調製した三成分系の組成物(セルロース系材料・リグニン系材料・多官能性化合物)を、適宜、有機溶剤を含有させた状態で、熱プレス成形により繊維板を製造(成形)する。即ち、一段〜数段仕様の熱プレス機を用いて、熱成形可能な温度・圧力条件下で行う。
このときの成形条件としては、下記の如くとする。
成形温度は、多官能性化合物と、リグニン系材料さらにはセルロース系材料との間で、実用的な反応速度が得られ、かつ、賦形可能な可塑性を付与できる温度以上で、繊維板形成材料に熱劣化(熱分解)を発生させるおそれのない温度以下とする。
通常は、100〜200℃、好ましくは、120〜150℃の範囲で、適宜設定する。
また、成形圧力及び時間は、成形温度により異なるが、通常1〜15MPa×1〜20min、好ましくは5〜10MPa×5〜10minの間で適宜設定する。
熱プレスした後、締圧(プレス)したまま常温まで冷却後、成形品(繊維板)を取り出す。熱プレス後、熱い状態で、繊維板(成形品)を取り出すと、放冷中に繊維板(成形品)が反ってしまうおそれがある。
<含浸法によるセルロース系繊維板の製造方法>
本発明方法は、セルロース系材料を所定板状形状に成形して予備成形体とし、該予備成形体を、リグニン系材料及び多官能性化合物を有機溶媒に分散させて調製した含浸液に浸漬させた後、前記有機溶媒を留去させることを基本とする。ここで、予備成形体を、前記有機溶媒を残存(例えば、10〜50%)させた状態で、さらにプレス成形(ホットプレスを含む。)
上記予備成形体の成形方法は、特に限定されず、抄造法(湿式プレス法)、ニードルロック法など任意である。ここで、「抄造法」とは、例えば、古紙を水中で解繊して、抄造後、金属板で挟着し賦形した後、金網等を用いて脱水していわゆるファイバーモールドを得る方法をいう。
また、含浸方法(態様)や含浸装置などは特に限定されるものではなく、通常、工業的生産の見地から、連続的に処理できるものとする。例えば、浸漬、フローコート、スプレー等任意である。なお、浸漬に際して、超音波等の浸透補助手段を併用することもできる。
有機溶媒に、リグニン系材料及び多官能性化合物を分散(通常溶解・混合)させて、これを予備成形体用の含浸液とする。
ここで、リグニン系材料100部に対する多官能性化合物の添加部数は、通常、約0.1〜100部、好ましくは約1〜50部、さらに好ましくは5〜30部の範囲で、繊維板に要求される物性に応じて適宜設定する。前記同様、多官能性化合物の分子量、官能基数さらには官能基の種類に応じて、適宜設定する。
また、当該含浸液のリグニン系材料濃度は、通常1〜300g/dm3、好ましくは10〜250g/dm3、さらに好ましくは100〜200g/dm3の範囲で、予備成形体の含浸に適した粘度となるように適宜設定する。ここで、リグニン系材料濃度が、過少であると、繊維板に実用強度を得難い。逆に、過多であると、リグニン系材料の溶解度を超え、かつ、高粘度となりやすく、リグニン系材料濃度が高過ぎると、含浸後の予備成形体に、いわゆる粉吹き現象が発生し、粉吹き除去のための後処理が必要であるとともに、過剰品質となりコスト高となる。なお、濃度が高い方が、剛性の高い製品を得やすいことを確認している。
予備成形体を、リグニン系材料/多官能性化合物の二成分を混合溶解させた含浸溶液を用いて含浸させる。含浸態様を、浸漬とする場合は、下記の如くとする。
含浸時間は、予備成形体の密度及び含浸液濃度(粘度)並びに製品要求特性により異なるが、たとえば、比重0.8の予備成形体で、リグニン系材料濃度が150g/dm3の場合、1〜60minの範囲で適宜設定する。
浸漬(含浸)が終わったら、含浸液から予備成形体を取り出し、溶媒を留去させる。この溶媒留去は、自然乾燥でもよいが、加熱揮散、減圧吸引、蒸気乾燥等により行う。そして、加熱と同時に加圧(熱プレス成形、常温プレス成形)してもよい。
加熱温度(熱プレス成形温度)としては、前述の如く、通常は、100〜200℃、好ましくは、120〜150℃の範囲で、適宜設定する。
また、熱プレス成形した場合は、前述の如く、繊維板を常温まで冷却させた後、プレス機から取り出す。
<各成分の説明>
(1)セルロース系材料(繊維素資材)としては、下記例示のものを使用できる。ここでセルロース系材料とは、セルロースを全部又は主体としたものをいう。
セルロースとしては、木質繊維(針葉樹・広葉樹)、葉繊維、茎繊維(麻類、ミツマタ、コウゾ、タケなど)、種子毛繊維(モメン、キワタ、カボックなど)を挙げることができる(化学大辞典編集委員会編「化学大辞典5」(昭和37年)共立出版p.402「セルロース」の項参照)。そして、これらの処理品、誘導体、いわゆる、再生繊維(ビスコース)や半合成繊維(セルロースエステル)等も使用可能である。
そして、材料形態としては、ファイバー状(線状、フィラメント状、短繊維、ステープル、糸状)、チップ状、粉体状(パーティクル、粉末、顆粒)任意である。ただし、前記含浸法による製造方法の場合は、ファイバー状のものが好ましい。
また、ファイバー状のセルロースとしては、リグノセルロース系材料から製造されたパルプ加工品であるボール紙、新聞紙等の各種廃棄セルロース製品を解繊して得たものを用いれば、木質資材の循環に寄与する。
なお、これらのセルロースと共に、金属系、ガラス系、多結晶系、繊維、多相(複合)系、金属系材料、さらには、他のタンパク繊維(羊毛、絹等)、生分解性ポリマー繊維及び、さらには、実質的に生分解性に影響を与えない量の汎用合成繊維も添加可能である。これらの繊維は、繊維質廃棄物からのリサイクル品を好適に使用可能である。
(2)リグニン系材料としては、特許文献4段落009〜0018に記載のものを使用できる(引用によって説明に代える。)。
「リグニンは、植物や木材等の木質を構成する3成分(リグニン、セルロース及びヘミセルロース、これらを総じてリグノセルロースと称する)のうちの1つで、下記化学式(1)、(2)で示すようなメトキシ基を含有するヒドロキシフェニルプロパンを基本骨格とする構成単位が縮合してできた化合物である。
Figure 0004457195
(なお、水素及び炭素鎖に結合する元素は、−OH、−SO3Hあるいは=O等の置換基または元素であってもよい。)
本発明で用いるリグニン系材料は、リグノセルロース材料を原料とし、これからセルロースを除去した後の残渣分などの形態で得られる材料を示す。このようなリグニン系材料では、セルロースの除去方法及び残渣の回収方法などによってリグニンの形態が変化するので、リグニン系材料に含まれるリグニン由来の成分は異なってくるが、上記のリグニン基本骨格を有している。従って、リグニン系材料は、木質のリグニン又はリグニン由来の成分を含んだ材料である。
本発明で用いられるリグニン系材料には、例えば、リグニン誘導体、リグノフェノール誘導体、リグノセルロース分解生成物などのリグニン系材料が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
リグニン誘導体としては、通常のパルプ製造に際して副生される『クラフトリグニン』、『リグニンスルホン酸』のほか、『酢酸蒸解リグニン』、『蒸煮爆砕リグニン』、『オルガノソルブリグニン』などが挙げられる。
『クラフトリグニン』は、水酸化ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合水溶液を蒸解液として高温で木材チップを蒸解して得られる。
『リグニンスルホン酸』は、木粉を中性または弱アルカリ性の亜硫酸塩溶液で高温で蒸解して得られる。『酢酸蒸解リグニン』は、木材チップを酢酸及び塩酸を用いて高温蒸煮して得られる。『蒸煮爆砕リグニン』は、高圧の飽和水蒸気で処理し、瞬時に圧力を開放して得られる。また、『オルガノソルブリグニン』は、アルコール類、酢酸エチル、酢酸を主とする低分子有機酸、フェノール類、エタノールアミン等の有機溶剤を用いて蒸解して得られるものである。
また、リグノフェノール誘導体は、リグニンを含有するリグノセルロース材料にフェノール誘導体を添加した後、濃酸を添加して得られるフェノール誘導体相(有機相)と濃酸相(水相)とからなる相分離系のうちのフェノール誘導体相から得られる。
リグノセルロース材料をフェノール誘導体で処理することにより、リグノセルロース材料中のリグニンがリグノフェノール誘導体として抽出される。
このようなリグノフェノール誘導体を製造する方法は、特開平9−278904号・特開2001−131201号公報などに具体的に記載されている。
なお、リグニンを含有するリグノセルロース材料は、木粉、木材チップ、おが屑、廃材、端材、樹皮等の木質材料、ワラ、パガス、籾殻、ビートパルプ等の各種植物材料が挙げられる。また、古紙等の紙、パルプ類なども用いることができる。また、リグノフェノール誘導体を製造するための原料であるフェノール誘導体としては、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、メトキシフェノール、ナフトールなどの1価のフェノール類;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの2価のフェノール類;ピロガロールなどの3価のフェノール類等が挙げられる。
また、水溶性物質の抽出に用いる濃酸としては、例えば、濃度65%以上の硫酸、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸等が挙げられる。
ここで、リグノセルロース分解生成物は、リグニンを含有するリグノセルロース材料を、1)酸触媒またはアルカリ触媒存在下でフェノール化合物、多価アルコール、環状エステル等を用いて分解処理して、又は、2)ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アミノアルコール等の化合物を用いて分解処理して得る。
これらのリグノセルロース分解生成物を製造する方法については、特開平4−106128号、特開2000−325921・2001−354774号公報などに、具体的に記載されている。
分解処理で用いる酸触媒としては、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素等が挙げられる。
また、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。
各種の分解試薬としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールAなどのフェノール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコール;プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチルカーボネートなどの環状エステル;グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸;2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール等が挙げられる。
上述のようなリグニン系材料は、分子中にフェノール性およびアルコール性OH基などの官能基を有する高分子化合物である。このため成形材料におけるバインダーとしてリグニン系成形体等の製造に用いることができる。また、リグニン系材料に含まれるOH基はエポキシ化合物やイソシアナート化合物との反応性を持っているため、エポキシ樹脂やウレタン樹脂系成形体の原料として用いることもできる。」
(3)多官能性化合物としては、リグニン系材料のもつOH基と反応する反応基(官能基)を持つ化合物を使用できる。
例えば、ポリイソシアナート化合物及びポリエポキシ化合物の一方又は双方を好適に使用できる。
1)ポリイソシアナート化合物としては、下記例示の汎用のものを1種又は2種以上併用して使用可能であるが、特に、環境適応形ポリイソシアナートと称されているリジン誘導体系のものが環境保全の見地から好ましい。
(a)ジイソシアナート化合物:1,5−ナフタレンジイソシアナート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、4,4´−ジベンジルイソシアナート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアナート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイシシアネート、1,4−フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ブタン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート。
(b)多官能イソシアナート化合物:ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート。
さらに、グリセリンやトリメチロールプロパン等のポリオール類と上記ポリイソシアナート化合物との付加反応物(アダクトポリイソシアナート)、重合ポリイソシアナート、マックスドポリイソシアナート、また、上記ポリイソシアナートとポリオールとをジイソシアナート過剰で反応させて得られるイソシアナートプレポリマー等も使用できる。
(c)リジン誘導体系:リジンジイソシアナート、リジントリイソシアナート。
これらのポリイソシアナートは、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
ここで、ポリイソシアナート化合物を使用する場合、ポリイソシアナートとリグニン系材料の水酸基との反応を促進するウレタン化反応触媒として、活性水素原子化合物を適宜、配合してもよい。
この活性水素原子化合物としては、特許文献4段落0036に記載の下記例示のものを使用可能である。
アミン系触媒:エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン4,4´−ジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)。
錫系触媒:ジラウリン酸ジブチル錫、ジオクチル酸ジブチル錫、等。
その他有機金属化合物:鉄アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート。
さらに、ポリイソシアナート化合物を使用する場合、物性に悪影響を与えない範囲で、公知の下記例示の多価アルコールを適宜添加してもよい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール、トリメチロールプロパン。
2)ポリエポキシ化合物としては、特に限定されないが、下記例示のものを単独で又は2種以上併用して使用できる。
ビスフェノール型エポキシ化合物:ビスフェノールAジグリシジルエーテル
ノボラック型/レゾルシン型エポキシ化合物:フェノールノボラックやクレゾールノボラック
脂環エポキシ化合物:ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド。
その他:グリシジルエーテル類、ポリエポキシ化ポリブタジエン。
また、エポキシ化合物とリグニン系材料との官能基の反応を促進するための硬化促進剤を適宜配合することができる。
その硬化促進剤としては、例えば塩基性触媒が使用できる。下記例示のものを1種又は2種以上併用して使用できる。
有機ホスフィン化合物:トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン
イミダゾール系化合物:2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールの及びそれらの誘導体
その他;DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)又はそのフェノール塩、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロウンデセン−7

(4)有機溶媒としては、多官能性化合物に対して実質的な反応性を示さず、加熱することなくリグニン系材料及び多官能性化合物を溶解させるものを使用できる。例えば、低級アルコール類は、多官能性化合物の反応基と反応してしまうおそれがあり、不適である。
また、使用する有機溶媒は、許容濃度が高くかつ、相対的に沸点の低くて(例えば、80℃以下)、毒性の低いもの(許容濃度が低いもの)が好ましい。沸点が低いことが要求されるのは、有機溶媒は、セルロース系ファイバーボードの主成分となるものではなく、その製造過程の途中で留去させるためである。
例えば、下記各種汎用の有機溶媒を単独で又は2種以上併用して使用できる。なお、化合物名後の2個括弧内は、その順に沸点範囲及び許容濃度である(日本化学会編「化学便覧応用編改訂3版」(昭55−3−15)丸善、表9.23:p.745〜749参照)。
ケトン類:アセトン(55〜60℃)(1000ppm)、メチルエチルケトン(MEK)(77〜80℃)(200ppm)、
エーテル類:テトラヒドロフラン(63〜68℃)(200ppm)、テトラヒドロピラン(88℃)(−)、
エステル類:酢酸メチル(31.5℃)(100ppm)、酢酸エチル(75〜80℃)(200ppm)、酢酸ブチル(75〜80℃)(−)。
炭化水素類:クロロホルム(60〜62℃)、1,2−ジクロロエタン(60〜62℃)等。
沸点及び許容濃度の見地から、沸点50〜80℃で許容濃度100ppm以上範囲内にあるアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランが好ましい。
以下に本発明実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例では、以下に示すようにセルロース系材料及びリグニン系材料に対し、3種類のイソシアナート化合物(HMDI、LTI及びLDI)、3種類のエポキシ化合物(E1〜E3)を使用して実験を行った。
以下に本発明実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。
本実施例・比較例で使用した材料および薬剤として、下記のものを使用した。
<セルロース系材料>
広葉樹ミキサー解繊したバージンパルプ
<リグニン系材料>
特開2001−131201号公報第10柱の実施例1に記載の下記方法によりより製造したリグノフェノール誘導体
「p−クレゾール(0.4g)をアセトン(10g)に溶解し、木粉(1g)に加え、数時間放置した。濾過により過剰量のp−クレゾールとアセトンを除去した。この際、木粉内に残留させるp−クレゾールの量はリグニンユニットあたり3モル倍とした(等モル倍以上であればよい)。得られたp−クレゾールが収着した木粉に72%硫酸(10ml)を加え、約1時間激しく攪拌した。次いで、10mlの不活性低沸点有機溶媒(n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン)を加えて約10分間激しく攪拌した。反応液を全て遠心管に移し、3500rpm、25℃で10分間遠心分離した。反応混合物は未反応フェノール誘導体を含む有機相(上層)、バンド状に凝集したリグノフェノール画分(中間層)、炭水化物を溶解した硫酸相(下層)の3層に分離した。4種の不活性低沸点有機溶媒のいずれを用いた場合においても、上層は無色透明であり、中間層には茶色の固層がバンド状に形成され、下層は透明な黄色であった。
硬いベルトを形成しているリグノフェノール誘導体を含む中間層をそのまま薬匙で取り出し、上記で用いたのと同じ低沸点有機溶媒で洗浄し、付着しているフェノール誘導体を除去した。洗浄した中間層に過剰量の水を加え、激しく攪拌し、遠心分離(8000rpm、10分間)により水不溶区分を回収した。この操作を繰り返し、中性付近に達するまで洗浄を繰り返して脱酸した。水不溶区分を乾燥後、アセトンにてリグノフェノール誘導体を抽出した。アセトン抽出液を濃縮および乾固することによって粗リグニノフェノール誘導体を得た(収量0.3g)。
リグノフェノール誘導体のアセトン溶液を濃縮後、大過剰のジエチルエーテルに滴下した。沈殿区分を遠心分離にて回収し、ジエチルエーテルにて洗浄後、溶媒を留去、乾燥して精製リグノフェノール誘導体を得た(収量0.25g)。」
<ポリイソシアナート化合物>
HMDI・・・ヘキサメチレンジイソシアナート
LTI・・・2−イソシアナートエチル−2,6−ジイソシアナートカプロエート(略称:リジントリイソシアナート)(協和発酵社製)
Figure 0004457195
LDI・・・2,6−ジイソシアナートヘキサン酸メチルエステル(略称:リジンジイソシアナート)(協和発酵社製)
Figure 0004457195
<ポリエポキシ化合物>
E1・・・「EPICLON725」大日本インキ工業社製、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(比重1.1、粘度130mPa・s)
Figure 0004457195
E2・・・「CY192−1」ハンツマンアドバンストマテリアルズ社製、脂環式エポキシ樹脂(比重1.24、粘度約650mPa・s)
Figure 0004457195
E3・・・「CY177」ハンツマンアドバンストマテリアルズ社製、脂環式エポキシ樹脂(比重1.14、粘度約700mPa・s)
Figure 0004457195
なお、曲げ試験は、JIS−A1408に準じて測定を行ったものである。
(1)プレス法による試作例
<実施例1−1>
500mLのナスフラスコに脱水テトラヒドロフラン200mLを入れ、セルロース系材料を37.5g(75%)、リグニン系材料を12.5g(25%)とし、前記2種の材料合計量100部に対してHMDIを2.5部(1.25g)を投入し、室温で約10min、攪拌棒を用いて手動で攪拌混合した。
得られた混合物中のテトラヒドロフラン(THF)が混合物全体の30%程度になるまでエバポレータを用いた減圧留去により濃縮した。これを140℃、7.85MPa(80kg/cm2)の下で10分間熱プレスを行い、さらにプレスしたまま10min放冷して、プレスすることにより本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−2>
実施例1−1において、HMDIを5.0部(2.5g)とした以外は、同様にして、本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−3>
実施例1−1において、HMDIを7.5部(3.75g)とした以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−4>
実施例1−2において、脱水THFを工業用アセトンに代えるとともにHMDIをLTIに代えた以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−5>
実施例1−4において、LTIをLDIに代えた以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−6>
実施例1−4において、LTIを「EPICLON 725」(E1)に代えた以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−7>
実施例1−6において、E1を「CY192−1」(E2)に代えた以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<実施例1−8>
実施例1−6において、E1を「CY177」(E2)に代えた以外は、同様にして本実施例の繊維板を調製した。
<比較例1−1>
実施例1−1において、ポリマー材料(主剤)として、セルロース系材料(A)のみの50.0g(100%)とした以外は、同様にして本比較例の繊維板を調製した。
<比較例1−2>
実施例1−1において、得られた混合物中のテトラヒドロフランがほとんどなくなるまでエバポレータを用いた減圧留去により濃縮した以外は同様にしてポリマー組成物を調製した。該ポリマー組成物を同様にして、熱圧プレスにより本比較例の繊維板を調製した。
<比較例1−3>
比較例2において、架橋剤(硬化剤)としてのHMDIを添加しなかった以外は、同様にして、本比較例の繊維板を調製した。
<比較例1−4>
比較例3において、混合物全体の30%程度になるまでエバポレータを用いた減圧留去により濃縮してポリマー組成物を調製した。該ポリマー組成物を同様にして、熱圧プレスにより本比較例の繊維板を調製した。
以上の各実施例及び各比較例から作製した90mm×20mm×5mmtの試験片について曲げ試験を行った。それらの結果を示す表1から下記のことが分かる。
架橋剤がポリイソシアナートの場合、添加量の増大に伴い、曲げ強さが増大した(実施例1−1〜1−3)。
また、架橋剤の官能基数の違いによる曲げ強さにおいて、ポリイソシアナートでは、有意差が認められなかった(実施例1−2、1−4、1−5)が、エポキシ化合物では、3官能(実施例1−6)と2官能(実施例1−7、1−8)では、明らかな有意差が見られた(前者が後者の約1.5〜2倍)。
これは、同じ条件下では、イソシアナート基がエポキシ基に比して、OH基に対する反応性が高いためであると推定される。
Figure 0004457195
(2)含浸法による実施例
含浸法を用いるための予備成形体は、下記の如く調製した。
「セルロース系材料200gを水に浸して十分に解繊させ、抄造プレスにより120℃で30minの熱プレスすることにより、24cm角×4.6mmtのパルプモールド成形体(予備成形体)を得た。該予備成形体から、20mm×90mm×4.6mmtの曲げ試験片を作製して、下記実施例・比較例の試験片とした。
<比較例2−1>
300mLの三角フラスコにリグニン系材料15.0gと工業用アセトン85mLをいれ、マグネチックスターラーを用いて約1時間攪拌し、完全にリグニン系材料を溶解させ含浸液とした。この含浸液90mLを100mLのバイアルに入れ、上記で作製した曲げ試験片を約60min浸漬後、該含浸液から取り出した試験片は裏表を交互に回転させながら風乾して本比較例の繊維板を調製した。
<実施例2−1>
上記比較例の含浸液に、さらにHMDI:3.0gを添加し、10min攪拌することにより本得られた溶液を含浸液とした。上記比較例と同様に曲げ試験片を浸漬、風乾させた後、140℃×30min熱プレスを行って、本実施例の繊維板を調製した。このときの、熱プレスの圧力計は、0.32MPa(3.3kg/cm2)を示していた。
上記予備成形体及び実施例・比較例について、曲げ試験を行った。それらの結果を示す表2から下記のことが分かる。
含浸なしの予備成形体に比して、リグニン系材料のみの含浸液を用いた比較例2−1は、約2倍、リグニン系材料にポリイソシアナート添加の含浸液を用いた実施例2−1は、さらにその2倍の曲げ強さを示した。
Figure 0004457195

Claims (5)

  1. セルロース系材料を所定板状形状に成形して予備成形体とし、該予備成形体を、リグノフェノール誘導体及び多官能性化合物を有機溶媒に分散させて調製した含浸液に浸漬させた後、前記有機溶媒を留去させて製造することを特徴とするセルロース系繊維板の製造方法。
  2. 前記多官能性化合物として、ポリイソシアナート化合物及びポリエポキシ化合物のいずれか一方又は双方を選択することを特徴とする請求項記載のセルロース系繊維板の製造方法。
  3. 前記ポリイソシアナート化合物として、リジンジイソシアナート、リジントリイソシアナート等のリジン誘導体系の群から選択した1種又はそれらの混合物を使用することを特徴とする請求項記載のセルロース系繊維板の製造方法。
  4. 前記含浸液の調製を、前記リグノフェノール誘導体濃度を1〜200g/dm、前記多官能性化合物濃度を1〜200g/dmの各範囲に設定して行うことを特徴とする請求項又は記載のセルロース系繊維板の製造方法。
  5. 請求項のいずれかに記載した製造方法によって製造されてなることを特徴とするセルロース系繊維板。
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