JP3936214B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質から得られるリグニン系材料を主成分とする樹脂組成物に関し、特に、機械的強度及び耐水性に優れたリグニン系の樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
20世紀において、石油資源は、プラスチックの原料やエネルギーとして採掘され限りなく使用してきた。しかし、近年、石油を初めとする化石資源の枯渇化、プラスチックの燃焼に伴なう大気汚染や大量の二酸化炭素の発生による地球温暖化の問題、産業廃棄物による環境汚染等が深刻な環境問題となっている。
【0003】
そこで、石油や石炭由来のような化石資源ではなく、天然物由来の資源(いわゆる非化石資源)を利用した環境破壊の恐れの少ないプラスチック材料の開発が盛んに進められている。例えば、木材などの木質材料の主要な構成成分であるリグニンを原料とするプラスチックの検討がなされている(特開平9−278904号、特開平11−29647号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらにおいて提案されるリグニン系プラスチックは一般的に機械的強度や耐水性が劣るため、限られた用途でしか使用できないという欠点があり、実用上問題が多かった。
【0005】
本発明は、上記のような成形材料用プラスチックの問題点に鑑みてなされたものであり、枯渇の恐れがあり環境に対する負荷が大きな石油や石炭のような化石資源を用いることなく、環境問題の原因となる恐れの少ない非化石資源であるリグニン系材料を用いて、汎用性があり機械的強度及び耐水性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂組成物は、リグニン系材料(A)と、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の耐水化成分(B)と、前記耐水化成分(B)と架橋反応可能な官能基を有する架橋成分(C)とを必須成分とすることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の樹脂組成物は、リグニン系材料(A)と、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の耐水化成分(B)が架橋成分(C)と反応した架橋体とを含有することを要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、リグニン系材料(A)と、耐水化成分(B)と、架橋性の架橋成分(C)とを必須成分とし、耐水化成分(B)は、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり架橋性の架橋成分(C)は、耐水化成分(B)と架橋反応可能な官能基を有する化合物である。各構成成分について、以下に詳細に説明する。
【0009】
[リグニン系材料(A)]
リグニンは、植物や木材等の木質を構成する3成分(リグニン、セルロース及びヘミセルロース、これらを総じてリグノセルロースと称する)のうちの1つで、下記化学式(1)、(2)で示すようなメトキシ基を含有するヒドロキシフェニルプロパンを基本骨格とする構成単位が縮合してできた高分子化合物である。
【0010】
【化1】
Figure 0003936214
(尚、水素及び炭素鎖に結合する元素は、−OH、−SOHあるいは=O等の置換基または元素であってもよい)
本発明で用いるリグニン系材料は、リグノセルロース材料を原料とし、これからセルロースを除去した後の残渣分などの形態で得られる材料を示す。このようなリグニン系材料では、セルロースの除去方法及び残渣の回収方法などによってリグニンの形態が変化するので、リグニン系材料に含まれるリグニン由来の成分は異なってくるが、上記のリグニン基本骨格を有している。従って、リグニン系材料は、木質のリグニン又はリグニン由来の成分を含んだ材料である。
【0011】
本発明で用いられる(A)リグニン系材料には、例えば、リグニン誘導体、リグノフェノール誘導体、リグノセルロース分解生成物などのリグニン系材料が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0012】
リグニン誘導体としては、通常のパルプ製造に際して副生される「クラフトリグニン」、「リグニンスルホン酸」のほか、「酢酸蒸解リグニン」、「蒸煮爆砕リグニン」、「オルガノソルブリグニン」などが挙げられる。
【0013】
「クラフトリグニン」は、水酸化ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合水溶液を蒸解液として高温で木材チップを蒸解して得られる。「リグニンスルホン酸」は、木粉を中性または弱アルカリ性の亜硫酸塩溶液で高温で蒸解して得られる。「酢酸蒸解リグニン」は、木材チップを酢酸及び塩酸を用いて高温蒸煮して得られる。「蒸煮爆砕リグニン」は、高圧の飽和水蒸気で処理し、瞬時に圧力を開放して得られる。また、「オルガノソルブリグニン」は、アルコール類、酢酸エチル、酢酸を主とする低分子有機酸、フェノール類、エタノールアミン等の有機溶剤を用いて蒸解して得られるものである。
【0014】
リグノフェノール誘導体は、リグニンを含有するリグノセルロース材料にフェノール誘導体を添加した後、濃酸を添加して得られるフェノール誘導体相(有機相)と濃酸相(水相)とからなる相分離系のうちのフェノール誘導体相から得られるものである。リグノセルロース材料をフェノール誘導体で処理することにより、リグノセルロース材料中のリグニンがリグノフェノール誘導体として抽出される。このようなリグノフェノール誘導体を製造する方法については、特開平9−278904号公報、特開2001−131201号公報などに開示されている。
【0015】
尚、リグニンを含有するリグノセルロース材料は、木粉、木材チップ、おが屑、廃材、端材、樹皮等の木質材料、ワラ、パガス、籾殻、ビートパルプ等の各種植物材料が挙げられる。また、古紙等の紙、パルプ類なども用いることができる。また、リグノフェノール誘導体を製造するための原料であるフェノール誘導体としては、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、メトキシフェノール、ナフトールなどの1価のフェノール類;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの2価のフェノール類;ピロガロールなどの3価のフェノール類等が挙げられる。また、水溶性物質の抽出に用いる濃酸としては、例えば、濃度65重量%以上の硫酸、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸等が挙げられる。
【0016】
リグノセルロース分解生成物とは、リグニンを含有するリグノセルロース材料を酸触媒またはアルカリ触媒存在下でフェノール化合物、多価アルコール、環状エステル等を用いて分解処理して得られるものである。あるいは、リグノセルロース材料をヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アミノアルコール等の化合物を用いて分解処理して得られるものである。かかるリグノセルロース分解生成物を製造する方法については、特開平4−106128号、特開2000−325921号、特開2001−354774号公報などに開示されている。
【0017】
分解処理で用いる酸触媒としては、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。また、各種の分解試薬としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールAなどのフェノール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコール;プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチルカーボネートなどの環状エステル;グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸;2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール等が挙げられる。
【0018】
上述のようなリグニン系材料は、分子中にフェノール性およびアルコール性OH基などの官能基を有する高分子化合物であり、物同士の接着剤として利用できるため、成形材料におけるバインダーとしてリグニン系成形体等の製造に用いることができる。また、リグニン系材料に含まれるOH基はエポキシ化合物やイソシアネート化合物との反応性を持っているため、エポキシ樹脂やウレタン樹脂系成形体の原料として用いることもできる。
【0019】
[耐水化成分(B)]
上記のリグニン系材料(A)は粘性を有するが、耐水性がなく、強度も高くない。本発明においては、耐水性を補う天然の材料として、植物性の材料であるロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂が用いられる。
【0020】
[ロジン誘導体]
本発明で用いられるロジン誘導体としては、反応可能な官能基を有するロジン誘導体であれば良く、特に限定されるものではない。例えば、カルボキシル基含有ロジン、マレイン化ロジン、エポキシ化ロジン、ロジンアミン、ロジンアミド、ロジン骨格含有ジオール化合物、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0021】
カルボキシル基含有ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、グリコール酸変性ロジン、高純度精製ロジン等が挙げられる。このようなロジン誘導体の市販品としては、荒川化学(株)製の製品(番号:KR−85、KR−604、KR−610、KR−612、AG−100)等が挙げられる。
【0022】
マレイン化ロジンは、ロジンと無水マレイン酸を反応させて得られるロジン−無水マレイン酸付加体である。
【0023】
エポキシ化ロジンは、ロジンとエピクロルヒドリンを反応させて得られるロジングリシジルエステルである。
【0024】
ロジンアミン及びロジンアミドは、各々、ロジンのカルボキシル基を変性してアミノ基またはアミド基としたものである。
【0025】
ロジン骨格含有ジオール化合物は、ジエポキシ化合物1分子とロジン2分子とを触媒存在下、120〜200℃で酸価5以下となるまで開環付加反応させて得られる。このようなジエポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等が挙げられる。かかる触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、2−メチルイミダゾール等のアミン系触媒、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ルイス酸、ホウ酸エステル、有機金属化合物、有機金属塩等を使用できる。このようにして製造されるロジン骨格含有ジオール化合物の市販品としては、荒川化学(株)製の製品(番号:KE−601、KE−615、KE−624)等が挙げられる。
【0026】
ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンとフェノールホルムアルデヒド初期縮合物を混合し、200〜300℃の高温に加熱してから、グリセリン、ペンタエリスリトール、またはエチレングリコールなどでロジン中のカルボキシル基をエステル化して製造される。このようにして製造されるロジン変性フェノール樹脂の市販品としては、荒川化学(株)製の製品(製品名:タマノル135、145)等が挙げられる。
【0027】
本発明におけるロジン誘導体の添加量は特に制限されないが、リグニン系材料(A)100重量部に対して、10〜150重量部が好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の耐水性の向上効果が不十分であり、150重量部を超えるといわゆる生分解性が低下する。
【0028】
耐水化成分(B)は、架橋成分(C)と反応した架橋体として使用される。耐水化成分(B)としてロジン誘導体を用いた場合、耐水化成分(B)つまりロジン誘導体と架橋反応可能な官能基を有する架橋成分(C)としては、ロジン誘導体が有する官能基の種類に応じて、そのロジン誘導体と反応可能な官能基を複数含有する多官能性化合物を適宜選んで使用することができる。ロジン誘導体とこのような架橋性を有する多官能性化合物の組合せの具体例について、各態様ごとに詳しく説明する。
【0029】
(ロジン誘導体を用いる第1の態様)
ロジン誘導体が、カルボキシル基含有ロジン、マレイン化ロジン、エポキシ化ロジン、ロジンアミン、ロジンアミドから選ばれる少なくとも1種の化合物である場合、前記架橋成分(C)としては、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好適に使用される。
【0030】
本発明で用いられるエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール系のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリまたはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導されるエポキシ化合物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0031】
ここで、エポキシ化合物の添加量は特に制限されないが、ロジン誘導体100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0032】
また、本発明においては、エポキシ化合物とロジン誘導体の官能基の反応を促進するための硬化促進剤を適宜配合することができる。その硬化促進剤としては、例えば塩基性触媒が使用でき、その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン化合物;2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物およびその誘導体;DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)またはそのフェノール塩、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロウンデセン−7等が挙げられる。
【0033】
(ロジン誘導体を用いる第2の態様)
ロジン誘導体が、ロジン骨格含有ジオール化合物またはロジン変性フェノール樹脂である場合、前記架橋成分(C)としては、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(i)、または、多価カルボン酸および油脂からなる混合物(ii)が好適に使用される。
【0034】
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(i)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体例としては、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイシシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物、グリセリンやトリメチロールプロパン等のポリオール類と上記ジイソシアネート化合物との付加反応物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0035】
ここで、ポリイソシアネート化合物(i)の添加量は特に制限されないが、ロジン誘導体100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0036】
また、本発明においては、ポリイソシアネート化合物(i)とロジン誘導体の水酸基との反応を促進するウレタン化反応触媒として、活性水素原子化合物を適宜配合することができる。活性水素原子化合物としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン4,4´−ジアミン等が挙げられる。さらに、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)などのアミン系触媒、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジオクチル酸ジブチルスズなどのすず系触媒、鉄アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナートなどの有機金属化合物等もウレタン化反応触媒として適宜用いることができる。
【0037】
さらに、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、公知の多価アルコールを適宜添加しても差し支えない。その多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール、トリメチロールプロパン等の1分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールが挙げられる。
【0038】
本発明で用いられる1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸および油脂からなる混合物(ii)において、多価カルボン酸としては、例えば(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)トリメリット酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スペリン酸等が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0039】
また、油脂は、本発明の目的から天然油脂が好ましく、その具体例としては、アマニ油、サフラワー油、桐油、ひまし油、大豆油、綿実油、米糠油、ごま油、コーン油、なたね油、オリーブ油、ヤシ油、ひまわり油、落花生油、エノ油、つばき油等の植物油、鯨油、魚油、肝油等の動物油およびそれらの脂肪酸が挙げられる。これらの天然油脂は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0040】
本発明において、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(ii)は、ロジン誘導体の水酸基と反応してエステル結合を形成することにより架橋反応を行なうことができる。また、多価カルボン酸または油脂に含まれる不飽和二重結合を付加重合させることにより、さらに強固な架橋構造を形成することが可能となる。
【0041】
ここで、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(ii)の添加量は特に制限されないが、ロジン誘導体100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0042】
また、多価カルボン酸と油脂との混合比率は、重量比で80:20〜20:80の範囲であることが好ましい。この範囲から外れると、樹脂組成物の機械的強度の向上効果が不十分となる。
【0043】
本発明においては、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(ii)とロジン誘導体の水酸基との反応を促進するためのエステル化触媒を適宜配合することができる。そのエステル化反応触媒としては、例えば、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、シュウ酸第1スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、鉄アセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、トリフェニルビスマス、マグネシウムチタネート、マグネシウムジルコネート、酸化亜鉛、塩化スズ、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、オクチル酸ブチルスズ、テトラフェニルスズ、テトラブチルスズ等が挙げられる。
【0044】
また、本発明においては、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(ii)に含まれる不飽和二重結合の重合を促進する重合触媒を適宜配合することができる。その重合触媒としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
【0045】
さらに、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、公知の多官能性アルコールを適宜添加しても差し支えない。その多官能性アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール等の多価アルコールまたはアリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ブテン−2−オール、2−ヘキセン−1−オール、4−アリルカテコール等の不飽和結合を有するアルコールが挙げられる。
【0046】
(ロジン誘導体を用いる第3の態様)
ロジン誘導体がカルボキシル基含有ロジンである場合、架橋成分(C)としては、多価アルコールおよび油脂からなる混合物(iii)が好適に使用される。
【0047】
この態様で用いられる多価アルコールとしては、1分子中に2個以上の水酸基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0048】
また、油脂は、前述したように本発明の目的からは天然油脂が好ましく、その具体例としては、前述の混合物(ii)において記載したものが同様に挙げられ、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0049】
本発明において、かかる多価アルコール及び油脂からなる混合物(iii)はロジン誘導体のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成することにより架橋反応を行なうことができる。また、多価アルコールまたは天然油脂に含まれる不飽和二重結合を付加重合させることにより、さらに強固な架橋構造を形成することが可能となる。
【0050】
ここで、多価アルコール及び油脂からなる混合物(iii)の添加量は特に制限されないが、ロジン誘導体100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0051】
また、多価アルコールと油脂との混合比率は、重量比で80:20〜20:80の範囲であることが好ましい。この範囲から外れると樹脂組成物の機械的強度の向上効果が不十分となる。
【0052】
本発明においては、多価アルコール及び油脂からなる混合物(iii)とロジン誘導体のカルボキシル基との反応を促進するためのエステル化触媒を適宜配合することができる。そのエステル化反応触媒としては、前記第2の態様に記載されたものと同様の触媒を用いることができる。
【0053】
また、本発明においては、多価アルコール及び油脂からなる混合物(iii)に含まれる不飽和二重結合の重合を促進する重合触媒を適宜配合することができる。その重合触媒としては、前記第2の態様に記載されたものと同様の重合触媒を用いることができる。
【0054】
さらに、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、公知の多価カルボン酸を適宜添加しても差し支えない。その多価カルボン酸としては、例えば(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)トリメリット酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スペリン酸等が挙げられる。
【0055】
[テルペンフェノール樹脂]
本発明で用いられるテルペンフェノール樹脂は、環状テルペン化合物とフェノール類とを共重合させて得られる環状テルペンフェノール樹脂(a)、環状テルペン化合物1分子にフェノール類2分子の割合で付加させてなる環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)、この環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)とアルデヒド類とを縮合反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)、及び、環状テルペン化合物1分子にフェノール類1分子の割合で付加させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール化合物とアルデヒド類とを縮合反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0056】
これらのテルペンフェノール樹脂は、単独で使用することもできるし、2種類以上を併用して使用することもできる。
【0057】
本発明で用いられるテルペンフェノール樹脂を製造するための原料のテルペン化合物は、単環のテルペン化合物であっても、双環のテルペン化合物であってもよく、特に限定されるものではない。その具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、ターピネオール、パラメンテン類、パラメンタジエン類、カレン類等が挙げられる。
【0058】
また、本発明で用いられるテルペンフェノール樹脂を製造するための他方の原料であるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、メトキシフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフトール等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0059】
環状テルペンフェノール樹脂(a)は、環状テルペン化合物とフェノール類とをフリーデルクラフツ型触媒の存在下で共重合させることにより製造することができる。
【0060】
環状テルペンフェノール樹脂(a)を製造するための環状テルペン化合物とフェノール類との共重合反応は、環状テルペン化合物1モルに対してフェノール類を0.1〜12モル、好ましくは0.2〜6モル使用し、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で0〜120℃の温度で1〜10時間反応させる。そのフリーデルクラフツ型触媒としては、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素もしくはその錯体等が挙げられる。このようにして製造される環状テルペンフェノール樹脂(a)の市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製の製品(製品名:YSポリスター、マイテイエース)等が挙げられる。
【0061】
環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)は、環状テルペン化合物とフェノール類とを酸性触媒の存在下で付加反応させることにより製造することができる。
【0062】
環状テルペン化合物1分子とフェノール類2分子との付加反応は、環状テルペン化合物1モルに対してフェノール類を1〜12モル、好ましくは2〜8モル使用し、酸性触媒の存在下で20〜150℃の温度で1〜10時間行なわせる。その酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化ホウ素もしくはその錯体、陽イオン交換樹脂、活性白土等が挙げられる。このようにして製造される環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)の市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製の製品(番号:YP−90)等が挙げられる。
【0063】
環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)は、上記環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)とアルデヒド類とを縮合反応させることにより製造することができる。
【0064】
環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)を製造するための縮合剤として使用するアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等が挙げられる。
【0065】
前記環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)とアルデヒド類との縮合反応においては、通常のノボラック化反応が用いられる。この縮合反応におけるフェノール化合物とアルデヒド類との反応割合は、フェノール化合物1モルに対してアルデヒド類が0.1〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.7モルであり、酸性触媒の存在下で40〜200℃の温度で1〜12時間反応させる。アルデヒド類が多すぎると、環状テルペン骨格含有フェノール樹脂が高分子量化する。その縮合反応用酸性触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸等の有機酸を使用することができる。このようにして製造される環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)の市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製のテルペン変性ノボラック樹脂(製品番号YP−90の樹脂をノボラック化したもの)、ジャパンエポキシレジン(株)製のテルペン変性フェノールノボラック樹脂(番号:MP402FPY)等が挙げられる。
【0066】
また、環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)は、環状テルペン化合物1分子にフェノール類1分子の割合で酸性触媒の存在下で付加反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール化合物とアルデヒド類とを縮合反応させることにより製造することができる。
【0067】
環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)の前駆体である環状テルペン骨格含有フェノール化合物を製造するための環状テルペン化合物1分子とフェノール類1分子の付加反応は、環状テルペン化合物1モルに対してフェノール類を0.5〜6モル、好ましくは1〜4モル使用し、酸性触媒の存在下で20〜150℃の温度で1〜10時間行なう。その酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化ホウ素もしくはその錯体、陽イオン交換樹脂、活性白土等が挙げられる。
【0068】
環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)を製造するための上記環状テルペン骨格含有フェノール化合物とアルデヒド類との縮合反応は、前記環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)の製造と同様に行なう。このようにして製造される環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)の市販品としては、ヤスハラケミカル(株)製の製品(番号:DLN−120、DLN−140)等が挙げられる。
【0069】
本発明におけるテルペンフェノール樹脂の添加量は特に制限されないが、リグニン系材料(A)100重量部に対して、10〜150重量部が好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の耐水性の向上効果が不十分であり、150重量部を超えるといわゆる生分解性が低下する。
【0070】
テルペンフェノール樹脂は、架橋成分(C)と反応して得られる架橋体として用いられる。この態様で用いられる架橋成分(C)成分である、テルペンフェノール樹脂と架橋反応可能な官能基を有する化合物としては、テルペンフェノール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を含有し、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられるが、なかでも、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(I)、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(II)、多価カルボン酸および油脂からなる混合物(III)のうちから選ばれる化合物が好適に使用される。
【0071】
この態様で用いられるエポキシ化合物(I)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体例としては、前述のロジン誘導体を用いた第1の実施形態の場合と同様に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール系のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリまたはテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンから誘導されるエポキシ化合物、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0072】
ここで、エポキシ化合物(I)の添加量は特に制限されないが、テルペンフェノール樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0073】
また、この実施態様においては、エポキシ化合物(I)とテルペンフェノール樹脂の水酸基との反応を促進するための硬化促進剤を適宜配合することができる。その硬化促進剤としては、例えば塩基性触媒が使用でき、その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン化合物;2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物およびその誘導体;DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)またはそのフェノール塩、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロウンデセン−7等が挙げられる。
【0074】
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(II)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体的例としては、前述のロジン誘導体を用いた第2の実施形態と同様に、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイシシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物、グリセリンやトリメチロールプロパン等のポリオール類と上記ジイソシアネート化合物との付加反応物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0075】
ここで、ポリイソシアネート化合物(II)の添加量は特に制限されないが、テルペンフェノール樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0076】
また、本発明においては、ポリイソシアネート化合物(II)とテルペンフェノール樹脂の水酸基との反応を促進するウレタン化反応触媒として活性水素原子化合物を適宜配合することができる。その活性水素原子化合物としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン4,4´−ジアミン等が挙げられる。さらに、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、DBU(1,8−ジアザビシクロウンデセン−7)などのアミン系触媒、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジオクチル酸ジブチルスズなどのすず系触媒、鉄アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナートなどの有機金属化合物等もウレタン化反応触媒として適宜用いることができる。
【0077】
さらに、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、公知の多価アルコールを適宜添加しても差し支えない。その多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール、トリメチロールプロパン等の1分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールが挙げられる。
【0078】
この実施態様で用いられる、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(III)において、多価カルボン酸としては、例えば(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)トリメリット酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スペリン酸等が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0079】
また、油脂は、本発明の目的から天然油脂が好ましく、その具体的例としては、ロジン誘導体の実施態様と同様に、アマニ油、サフラワー油、桐油、ひまし油、大豆油、綿実油、米糠油、ごま油、コーン油、なたね油、オリーブ油、ヤシ油、ひまわり油、落花生油、エノ油、つばき油等の植物油、鯨油、魚油、肝油等の動物油およびそれらの脂肪酸が挙げられる。これらの天然油脂は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0080】
本発明において、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(III)は、テルペンフェノール樹脂の水酸基と反応してエステル結合を形成することにより架橋反応を行なうことができる。また、多価カルボン酸または油脂に含まれる不飽和二重結合を付加重合させることにより、さらに強固な架橋構造を形成することが可能となる。
【0081】
ここで、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(III)の添加量は特に制限されないが、テルペンフェノール樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲とすることが好ましく、20〜70重量部の範囲とすることがさらに好ましい。10重量部未満では樹脂組成物の機械的強度の向上効果が見られず、80重量部を超えると架橋密度が高くなり、再利用する場合にリサイクル性が低下する。
【0082】
また、多価カルボン酸と油脂との混合比率は、重量比で80:20〜20:80の範囲であることが好ましい。この範囲から外れると樹脂組成物の特性(機械的強度、耐熱性)の向上効果が不十分となる。
【0083】
本発明においては、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(III)とテルペンフェノール樹脂の水酸基との反応を促進するためのエステル化触媒を適宜配合することができる。そのエステル化反応触媒としては、例えば、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、シュウ酸第1スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、鉄アセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、トリフェニルビスマス、マグネシウムチタネート、マグネシウムジルコネート、酸化亜鉛、塩化スズ、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、オクチル酸ブチルスズ、テトラフェニルスズ、テトラブチルスズ等が挙げられる。
【0084】
また、この実施態様においては、多価カルボン酸及び油脂からなる混合物(III)に含まれる不飽和二重結合の重合を促進する重合触媒を適宜配合することができる。その重合触媒としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
【0085】
さらに、樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、公知の多官能性アルコールを適宜添加しても差し支えない。その多官能性アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、プロパンジオール等の多価アルコールまたはアリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ブテン−2−オール、2−ヘキセン−1−オール、4−アリルカテコール等の不飽和結合を有するアルコールが挙げられる。
【0086】
[添加剤]
本発明の樹脂組成物においては、上記(A)〜(C)の成分からなる必須成分のみでも機械的特性、耐水性の優れた樹脂組成物を得ることができるが、木材資源の有効利用と樹脂成形品の高強度化を図るために、さらに、植物性繊維粉末を配合することもできる。その植物性繊維粉末としては、例えば、木粉、紙粉、セルロース繊維の粉末等が挙げられる。
【0087】
木粉としては、破砕チップ、木材パルプ、木材の加工廃材、おが屑等を微粉砕したものが挙げられる。
【0088】
紙粉としては、バージンパルプや古紙パルプの粉末、古紙を微粉砕したもの等が挙げられる。古紙としては、OA用紙等の上質紙、新聞紙・週刊誌・ダンボール等の再生済古紙等を用いることができる。
【0089】
セルロース繊維としては、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプおよびこれらのリサイクルパルプ等の粉末を用いることができる。このようなセルロース繊維の原料としては、針葉樹や広葉樹を原料とする木材繊維、コウゾ、ケフナ、マニラ麻、ワラ、パガス、竹、籾殻などの非木材繊維が挙げられ、いずれをも使用することができる。また、セルロース繊維は、ボール紙、新聞紙等の各種紙製品を解繊して得たものを用いることもできる。
【0090】
本発明において、植物性繊維粉末のサイズは特に制限されないが、20〜300メッシュの範囲に粉砕された粉砕粉であることが好ましい。サイズが粗すぎると植物性繊維粉末の分散が悪くなり、添加効果が不十分であり、細かすぎると樹脂組成物の成形性が低下する。
【0091】
また、植物性繊維粉末の添加量は特に制限されないが、添加量が少ないと高強度化の効果が見られず、多すぎると樹脂組成物の成形性が著しく低下する。
【0092】
本発明の樹脂組成物には、上述したような成分に加え、さらに必要に応じて、無機充填剤、可塑剤、離型剤、顔料、着色剤、溶剤、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、相溶剤、発泡剤、香料、抗菌抗カビ剤、防腐剤等の各種添加剤を適宜配合することもできる。
【0093】
[組成物の調製方法]
本発明の樹脂組成物の調製は、従来公知の混合方法によって行なうことができ、特に限定されるものではない。例えば、上述したような各成分を加熱ロール、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、万能混合攪拌機、単軸あるいは二軸押出機等を用いて溶融混練することによって容易に調製することができる。また、架橋成分(C)として多価カルボン酸または多価アルコールと油脂とからなる混合物を用いる場合には、まず第一段階として溶融混練によりエステル化反応を行ない、次いで、第二段階として重合触媒を添加して再び混合処理する方法を用いることができる。調製の際の温度は、概して、架橋成分(C)としてエポキシ化合を用いる場合は約60〜120℃、ポリイソシアネート化合物を用いる場合は約40〜100℃、多価カルボン酸または多価アルコールと油脂との混合物を用いる場合はエステル化反応のために約120〜180℃とすると好ましい。
【0094】
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、圧縮成形、フィルム成形、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形などの従来公知の方法により適宜所望の形状に成形して、各種成形品を製造することができる。
【0095】
本発明で成形した樹脂組成物は、フィルム、シート、成形体、発泡体等の任意の形状で、包装用容器、発泡体、シート、建材や自動車、家電製品、OA機器の部材、内装材、ハウジング等に有効に利用することができる。
【0096】
本発明の樹脂組成物は、三次元架橋構造を有するが、従来の熱硬化性樹脂に比べて架橋密度が低く、しかも生分解性を有するリグニン系材料を含有するため、公知の分解剤を用いることにより容易に分解することができ、再利用あるいはリサイクルが可能である。
【0097】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0098】
[実施例1〜14、比較例1〜4]
原料として以下に示す各成分を用いて、下記表1及び表2(実施例1〜14、比較例1〜4)に示す割合で各成分を配合し、下記に示すように調製して所望の樹脂組成物を得た。表中の配合量は重量部を示す。
【0099】
(原料)
リグニン系材料A:リグニン誘導体(日本製紙社製リグニンスルホン酸、製品名:バニレックスRN)
リグニン系材料B:リグノフェノール誘導体(木粉を原料とし、p−クレゾールと72%硫酸を用いた相分離プロセス法により調製したリグノクレゾール誘導体)
リグニン系材料C:リグノセルロース分解生成物(木粉を原料とし、ポリエチレングリコール、グリセリン及び濃硫酸(触媒)を加えて分解処理を行なって得られた分解生成物)
ロジン誘導体A:カルボキシル基含有ロジン(荒川化学社製、製品番号:KR−610、酸価170)
ロジン誘導体B:マレイン化ロジン(荒川化学社製、酸価=366)
ロジン誘導体C:エポキシ化ロジン(荒川化学社製、エポキシ当量=350)
ロジン誘導体D:ロジンアミン(荒川化学社製)
ロジン誘導体E:ロジンアミド(荒川化学社製)
ロジン誘導体F:ロジン骨格含有ジオール化合物(荒川化学社製、製品番号:KE−601、水酸基価=110)
ロジン誘導体G:ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学社製、製品名:タマノル135、酸価=18)
ロジン誘導体H:ロジンエステル(荒川化学社製、製品番号:KE−100、官能基なし)
エポキシ化合物:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学社製、製品番号:ESCN−195XL、エポキシ当量=197)
硬化促進剤: 2−ヘプタデシルイミダゾール(四国化成社製、製品番号:C17Z)
ポリイソシアネート化合物:4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート
ウレタン化反応触媒:トリエチレンジアミン
多価カルボン酸A:無水マレイン酸
多価カルボン酸B:アジピン酸
多価アルコール:ジエチレングリコール
油脂:アマニ油
エステル化反応触媒:テトラブチルジルコネート
重合触媒:ジ−t−ブチルパーオキサイド
植物性繊維粉末A:木粉(三木産業社製、製品名:リグノセル)
植物性繊維粉末B:古紙(新聞紙)の微粉砕粉
植物性繊維粉末C:粉末セルロース(三木産業社製、製品名:アーボセル)
(実施例1〜5および11、比較例1〜4の調製)
まず、リグニン系材料、ロジン誘導体、エポキシ化合物、硬化促進剤もしくは植物性繊維粉末をヘンシェルミキサーで混合し、表中の温度に加熱した加熱ロールによって溶融混練した。次に、この混合物をシート状に取出し、冷却した後、粉砕することによって所望の樹脂組成物を得た。
【0100】
(実施例6、7および12の調製)
まず、リグニン系材料、ロジン誘導体、ポリイソシアネート化合物、ウレタン化反応触媒もしくは植物性繊維粉末をヘンシェルミキサーで混合した後、表中の温度に加熱したニーダーによって溶融混練した。次に、この混合物をシート状もしくはバルク状に取出し、所望の樹脂組成物を得た。
【0101】
(実施例8〜10および13、14の調製)
まず、リグニン系材料、ロジン誘導体、多価カルボン酸または多価アルコール、油脂およびエステル化反応触媒を万能混合攪拌機を用いて表中の温度において真空減圧下で溶融混合しながらエステル化反応を行なった。次に、この混合物に重合触媒もしくは植物性繊維粉末を加えてニーダーによって混合し、混合物をシート状もしくはブロック状に取出し、所望の樹脂組成物を得た。
【0102】
【表1】
Figure 0003936214
【表2】
Figure 0003936214
(樹脂組成物の評価)
実施例1〜14及び比較例1〜4の18種の樹脂組成物について、下記のような評価試験を行なった。
【0103】
各樹脂組成物を用いて、圧縮成形機により成形温度150℃、成形圧力100kgf/cmで10分間圧縮成形し、厚さ4mmの板状の成形品を得た。この成形品を各評価試験の試験片として用いた。
【0104】
(1)機械的強度
オートグラフを用いて、各樹脂組成物の成形品の引張強度を測定した。
【0105】
(2)耐水性
各樹脂組成物の板状の成形品を25℃の水中に24時間浸漬し、重量変化を測定して吸水率を求めた。
【0106】
上記試験で得られた評価結果を、下記表3及び表4に示す。
【0107】
【表3】
Figure 0003936214
【表4】
Figure 0003936214
上記表3及び4に示されるように、本発明の樹脂組成物(実施例1〜14)は、機械的強度及び耐水性に優れていることが確認された。
【0108】
これに対して、リグニン系材料だけからなる樹脂組成物(比較例1)は、表4に示されるように、機械的強度及び耐水性が著しく劣っている。耐水化成分(B)を含まない樹脂組成物(比較例2)は耐水性が不十分であり、架橋成分(C)が配合されていない樹脂組成物(比較例3)は機械的強度が不十分である。また、架橋成分(C)が配合されていても、耐水化成分(B)が官能基を持たないロジンエステル(ロジン誘導体H)の場合(比較例4)には機械的強度が低下する。
【0109】
[実施例15〜25、比較例5〜8]
原料として、以下に示す各成分を用い、下記表5及び表6(実施例15〜25、比較例5〜8)に示す割合で各成分を配合し、以下のように調製して所望の樹脂組成物を得た。表中の配合量は重量部を示す。
【0110】
(原料)
リグニン系材料A:リグニン誘導体(日本製紙社製リグニンスルホン酸、製品名:パールレックスNP)
リグニン系材料B:リグノフェノール誘導体(木粉を原料とし、p−クレゾールと72%硫酸を用いた相分離プロセス法により調製したリグノクレゾール誘導体)
リグニン系材料C:リグノセルロース分解生成物(木粉を原料とし、ポリエチレングリコール、グリセリン及び濃硫酸(触媒)を加えて分解処理を行なって得られた分解生成物)
テルペンフェノール樹脂a:環状テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、製品名:YSポリスターN125、水酸基当量=300)
テルペンフェノール樹脂b:環状テルペン骨格含有フェノール化合物(ヤスハラケミカル社製、製品番号:YP−90、水酸基当量=160)
テルペンフェノール樹脂c:環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、製品番号:MP402、水酸基当量=174)
テルペンフェノール樹脂d:環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、製品番号:DLN−120、水酸基当量=190)
テルペン樹脂:(ヤスハラケミカル社製、製品名:YSレジンPX1250、水酸基なし)
エポキシ化合物A:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学社製、製品番号:ESCN−195XL、エポキシ当量=197)
エポキシ化合物B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、製品名:エピコート828、エポキシ当量=190)
硬化促進剤: 2−ヘプタデシルイミダゾール(四国化成社製、製品番号:C17Z)
ポリイソシアネート化合物A:4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート
ポリイソシアネート化合物B:イソホロンジイソシアネート
ウレタン化反応触媒:トリエチレンジアミン
多価カルボン酸A:無水マレイン酸
多価カルボン酸B:アジピン酸
油脂:アマニ油
エステル化反応触媒:テトラブチルジルコネート
重合触媒:ジ−t−ブチルパーオキサイド
植物性繊維粉末A:木粉(三木産業社製、製品名:リグノセル)
植物性繊維粉末B:古紙(新聞紙)の微粉砕粉
植物性繊維粉末C:粉末セルロース(三木産業社製、製品名:アーボセル)
(実施例15〜19および23、比較例5〜8の調製)
まず、リグニン系材料、テルペンフェノール樹脂、エポキシ化合物、硬化促進剤もしくは植物性繊維粉末をヘンシェルミキサーで混合し、表中に記載の温度に加熱した加熱ロールによって溶融混練した。次に、この混合物をシート状に取出し、冷却した後、粉砕することによって所望の樹脂組成物を得た。
【0111】
(実施例20、21および24の調製)
まず、リグニン系材料、テルペンフェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、ウレタン化反応触媒もしくは植物性繊維粉末をヘンシェルミキサーで混合した後、表中の温度に加熱したニーダーによって溶融混練した。次に、この混合物をシート状もしくはバルク状に取出し、所望の樹脂組成物を得た。
【0112】
(実施例22および25の調製)
まず、リグニン系材料、テルペンフェノール樹脂、多価カルボン酸、油脂およびエステル化反応触媒を万能混合攪拌機にて表中の温度において真空減圧下で溶融混合しながらエステル化反応を行なった。次に、この混合物に重合触媒、もしくは植物性繊維粉末を加えて、ニーダーによって混合し、混合物をシート状もしくはブロック状に取出し、所望の樹脂組成物を得た。
【0113】
【表5】
Figure 0003936214
【表6】
Figure 0003936214
(樹脂組成物の評価)
実施例15〜25、比較例5〜8の15種の樹脂組成物について、実施例1〜14及び比較例1〜4と同様の評価試験によって機械的強度及び耐水性の評価を行なった。
【0114】
得られた評価結果を表7及び表8に示す。
【0115】
【表7】
Figure 0003936214
【表8】
Figure 0003936214
上記表7及び8に示されるように、本発明の樹脂組成物(実施例15〜25)は、機械的強度及び耐水性が優れていることが確認された。
【0116】
これに対して、リグニン系材料だけからなる樹脂組成物(比較例5)は、表8に示されるように、機械的強度及び耐水性が著しく劣っている。耐水化成分(B)を含まない樹脂組成物(比較例6)は耐水性が不十分であり、架橋成分(C)が配合されていない樹脂組成物(比較例7)は機械的強度が不十分である。また、架橋成分(C)が配合されていても耐水化成分(B)が水酸基を持たないテルペン樹脂の場合(比較例8)は機械的強度が低下する。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、リグニン系材料を用いて機械的強度及び耐水性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、容易に分解することができ、再利用あるいはリサイクルが可能な樹脂組成物を提供することができる。

Claims (9)

  1. リグニン系材料(A)と、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の耐水化成分(B)と、前記耐水化成分(B)と架橋反応可能な官能基を有する架橋成分(C)とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記リグニン系材料(A)は、リグニン基本骨格を有する成分を含有し、リグニン誘導体、リグノフェノール誘導体、リグノセルロース分解生成物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記耐水化成分(B)は、カルボキシル基含有ロジン、マレイン化ロジン、エポキシ化ロジン、ロジンアミン、ロジンアミドから選ばれる少なくとも1種のロジン誘導体であり、かつ、前記架橋成分(C)は、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ロジン誘導体は、ロジン骨格含有ジオール化合物及びロジン変性フェノール樹脂からなる群より選ばれる化合物であり、かつ、前記架橋成分(C)は、
    2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、及び、
    多価カルボン酸および油脂からなる混合物
    からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ロジン誘導体は、カルボキシル基含有ロジンであり、かつ、前記架橋成分(C)が、多価アルコールおよび油脂からなる混合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記耐水化成分(B)は、環状テルペン化合物とフェノール類を共重合させて得られる環状テルペンフェノール樹脂(a)、環状テルペン化合物1分子にフェノール化合物2分子の割合で付加させた環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)、該環状テルペン骨格含有フェノール化合物(b)とアルデヒド化合物とを縮合反応させた環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(c)、及び、環状テルペン化合物1分子にフェノール化合物1分子の割合で付加させた環状テルペン骨格含有フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合反応させて得られる環状テルペン骨格含有フェノール樹脂(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種のテルペンフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  7. 前記架橋成分(C)が、
    2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、
    2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、及び
    多価カルボン酸および油脂からなる混合物、
    からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. さらに、植物性繊維粉末を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. リグニン系材料(A)と、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の耐水化成分(B)が架橋成分(C)と反応した架橋体とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
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