JP2009221279A - 熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のフェノール樹脂成形材料と同等以上の性能を有しながら環境負荷を低減することができる熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料に関する。バイオマスフェノール樹脂及び石化フェノール樹脂を併用して調製される。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子部品や自動車部品等の製造に用いられる熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料及び成形品に関するものである。
フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、寸法安定性、成形性に優れているため、電気・電子部品や自動車部品の製造に使用されてきた実績がある。
しかし、近年の環境問題に対する関心の高まりから、石化製品の低減が重視され、木粉や古紙を液化して得られるバイオマスフェノール樹脂を成形材料として用いることが注目されている(例えば、特許文献1−4参照。)。
ところが、バイオマスフェノール樹脂自体には、(1)材料化する際の混練作業性が悪い、(2)吸水率が大きい、(3)成形収縮率が大きい等の問題があるため、成形材料としての実用化には至っていない。
特開2004−352978号公報 特開2005−281556号公報 特開2007−326940号公報 特開平6−87107号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、従来のフェノール樹脂成形材料と同等以上の性能を有しながら環境負荷を低減することができる熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料及び成形品を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料は、バイオマスフェノール樹脂及び石化フェノール樹脂を併用して調製されたことを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1において、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料全量に対して無機充填材を20質量%以上用いて調製されたことを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、ケナフ及びバンブーから選ばれる非木材系の有機充填材を用いて調製されたことを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る成形品は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料が加熱プレスにより成形されたことを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料によれば、従来のフェノール樹脂成形材料と同等以上の性能を有しながら環境負荷を低減することができるものである。
請求項2に係る発明によれば、吸水率及び成形収縮率を低減することができるものである。
請求項3に係る発明によれば、環境負荷をさらに低減することができるものである。
本発明の請求項4に係る成形品によれば、従来のフェノール樹脂成形材料と同等以上の性能を有しながら環境負荷を低減することができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料は、バイオマスフェノール樹脂及び石化フェノール樹脂を併用して調製することができる。
ここで、バイオマスフェノール樹脂としては、バイオマス、液化媒体、液化調整剤、酸触媒を混合・加熱することによって得られたものを用いることができる。
具体的には、バイオマスとしては、例えば、木粉、木材繊維、木材チップ、間伐材、単板屑樹皮等を粉砕したリグノセルロース類一般、ワラ、モミガラ等の植物繊維、古古米、食品廃棄物等を用いることができる。
また液化媒体としては、例えば、活性基を有するフェノール類、多価アルコール類、ε−カプロラクトン等の環状エステル、乳酸等のオキシ酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート、グリシジル化合物等を用いることができる。この液化媒体は、バイオマス100質量部に対して、100〜1000質量部用いるのが好ましい。
また液化調整剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール等を用いることができる。この液化調整剤は、バイオマス100質量部に対して、1〜20質量部用いるのが好ましい。
また酸触媒としては、例えば、硫酸、フェノールスルフォン等のプロトン酸等を用いることができる。この酸触媒は、バイオマス100質量部に対して、0.1〜10質量部用いるのが好ましい。
そして、上記のバイオマス、液化媒体、液化調整剤、酸触媒を混合し、この混合物を還流装置等を備えて形成される密閉容器内において110〜160℃で5〜200分間加熱することによって、バイオマスフェノール樹脂を製造することができる。このようにして得られたバイオマスフェノール樹脂を従来の石化フェノール樹脂からなる成形材料の一部と置き換えて用いることによって、石化フェノール樹脂のみからなる成形材料に比べて、環境負荷を低減することができるものである。
また石化フェノール樹脂としては、ベンゼンからクメン法などを使用して製造されたフェノールとホルムアルデヒドとを酸又は塩基の存在下で反応させることによって得られる石化ノボラック型フェノール樹脂や石化レゾール型フェノール樹脂等を用いることができる。このとき石化フェノール樹脂は、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料全量に対して5〜50質量%用いるのが好ましく、5〜10質量%用いるのが好ましい。このように、耐熱性、寸法安定性、成形性に優れた石化フェノール樹脂をバイオマスフェノール樹脂と共に用いることによって、バイオマスフェノール樹脂のみからなる成形材料に比べて、材料化する際の混練作業性が良く、しかも吸水率及び成形収縮率を低減することができるものである。なお、石化フェノール樹脂の使用量が5質量%未満であると、吸水率及び成形収縮率の低減効果が得られないおそれがあり、逆に50質量%を超えると、環境負荷の低減効果が得られないおそれがある。
また熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料には、無機充填材、有機充填材を配合することができる。
ここで、無機充填材としては、ウォラスナイト、タルク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、カオリン、マイカ、クレー、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等をそれぞれ単独で用いたり複数併用したりすることができるが、中でもウォラスナイト、タルクを用いるのが好ましい。また無機充填材は、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料全量に対して20質量%以上(上限は50質量%)用いるのが好ましい。これにより、吸水率及び成形収縮率を低減することができるものである。なお、無機充填材の配合量が50質量%を超えると、成形品の強度が低下するなど不具合が生じるおそれがある。
また有機充填材としては、ケナフ及びバンブーから選ばれる非木材系の有機充填材を用いるのが好ましい。これにより、環境負荷をさらに低減することができるものである。ただし、ケナフやバンブーは木粉に比べて吸水率が高いため、ケナフやバンブーを用いる場合には、これらの配合量は、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料全量に対して10質量%以下であることが好ましい。
さらに熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料には、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、カーボンブラック等の顔料を用いることができる。
そして、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料の調製は次のようにして行うことができる。まずバイオマスフェノール樹脂、石化フェノール樹脂、必要に応じて、無機充填材、有機充填材、硬化剤、離型剤、顔料を配合し、これを常温で1分間混合する。次にこの混合物を2軸ロール混練機などを用いて100〜110℃で2〜3分間混練する。その後、この混練物を冷却した後に粉砕し、さらにこの粉砕物を造粒することによって、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を調製することができる。
そして、上記のようにして調製された熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を加熱プレスにより成形することによって、成形品を製造することができる。具体的には、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を用いて、加熱プレスを伴う射出成形や直圧成形を行うことによって、電気・電子部品や自動車部品等の成形品を製造することができる。
上記のようにして製造された成形品にあっては、バイオマスフェノール樹脂及び石化フェノール樹脂を併用して調製された熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料で形成されているので、従来のフェノール樹脂成形材料と同等以上の性能を有しながら環境負荷を低減することができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料)
バイオマスフェノール樹脂として、アグリフューチャー・じょうえつ株式会社製「アグリウッド」を用いた。
また石化フェノール樹脂として、石化ノボラック型フェノール樹脂である松下電工株式会社製「PAR」(重量平均分子量2000〜4000)及び石化レゾール型フェノール樹脂(ジメチレンエーテル型)である松下電工株式会社製「AX−10」(重量平均分子量3000)を用いた。
また無機充填材として、ウォラスナイトであるNYCO社製「ウォラスナイトNYAD400」及びタルクである竹原化成製「TTタルク」を用いた。
また有機充填材として、木粉(三和セルロシン株式会社製)及びケナフパルプ(オージー株式会社製)を用いた。
また、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンである三井東圧株式会社製「S−4」を用い、離型剤としてステアリン酸亜鉛である堺化学工業株式会社製「SZ−P」を用い、顔料としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製)を用いた。
そして、まず下記[表1]に示す配合量でバイオマスフェノール樹脂、石化フェノール樹脂、無機充填材、有機充填材、硬化剤、離型剤、顔料を配合し、これを常温で1分間混合した。次にこの混合物を2軸ロール混練機を用いて100〜110℃で3分間混練した。その後、この混練物を冷却した後に粉砕し、さらにこの粉砕物を造粒することによって、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を調製した。
(成形収縮率)
JIS K6911に基づき、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を用いて、射出成形(成形温度165℃、硬化時間75秒)を行うことによって、成形収縮率測定用試験片を製造した。そしてこの試験片の成形収縮率を測定した。
(吸水率)
JIS K6911に基づき、熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料を用いて、直圧成形(金型温度165℃、圧力10MPa、硬化時間180秒)を行うことによって、吸水率測定用試験片(φ50mm×3mm)を製造した。そしてこの試験片の吸水率を測定した。
(混練作業性)
混練作業性(製造安定性)は、2軸ロール混練機による混練時において混練物がロールに巻き付いたり剥がれたりする様子を観察して、以下の基準で判定した。
「○」:混練物がロールに巻き付いて剥がれなかった場合。
「△」:混練物がロールに一旦巻き付いたが、剥がれてしまった場合。
「×」:混練物がロールに巻き付かなかった場合。
Figure 2009221279

Claims (4)

  1. バイオマスフェノール樹脂及び石化フェノール樹脂を併用して調製されたことを特徴とする熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料。
  2. 熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料全量に対して無機充填材を20質量%以上用いて調製されたことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料。
  3. ケナフ及びバンブーから選ばれる非木材系の有機充填材を用いて調製されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化バイオマスフェノール樹脂成形材料が加熱プレスにより成形されたことを特徴とする成形品。
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