JP3632763B2 - 自然崩壊性を有するプラスチック成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽光,雨水の作用による自然崩壊性を有するプラスチック成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境汚染問題への関心の高まり等を背景として、生体系において分解される高分子材料が広く研究されている。その1つとして植物由来の原料から乳酸を経由して得られるポリ乳酸は、高融点を有し力学的性能及び生体適合性に優れ、包装資材を始め多方面への展開が最も期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリ乳酸は反面、固くて脆く、そのうえ生分解速度が極めて緩慢であるという短所も併せ持った材料でもある。またポリ乳酸は太陽光,雨水の自然環境下で、それらの作用による材料劣化が進みにくいという優れた性能が、土中での微生物による分解を遅らせる原因にもなっている。
一方、再生可能な植物資源の有効利用技術の確立が資源循環型社会を構築する上で重要な課題となっているなか、植物資源に含まれるリグニンを新規分子素材としてのリグノフェノール誘導体に変換分離して取り出す方法、即ち「相分離システム」と呼ばれる方法が開発された(特許第2895087号)。植物資源をより完全に活用していくためにも、このリグノフェノール誘導体の新規用途の開拓が必要となっている。当該リグノフェノール誘導体は、従来の工業リグニン(リグニンスルフォン酸等)に比べて、化学的変性が少なく活性で極性有機溶媒に可溶等の特徴をもつ分子素材であるが、ポリ乳酸に単にリグノフェノール誘導体を配合させて例えばプラスチックフィルム成形しても力学的初期性能が低下し、また自然崩壊性を促すに至らないなどの問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するもので、植物由来の生分解性ポリ乳酸をベースプラスチックとし、植物由来のリグノフェノール誘導体とそのフェノール活性を利用して複合化させ、力学的初期性能を低下させることなく、太陽光,雨水の作用による自然崩壊性をもつプラスチック成形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1の発明の要旨は、ポリ乳酸 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部配合して成形され、太陽光 , 雨水の作用で自然崩壊する機能をもつことを特徴とする自然崩壊性を有するプラスチック成形品にある。ここで、「補助剤」はエステル結合をもつ多官能性ビニル化合物をいい、多官能性化合物とは2つ以上の官能基をもつものを意味する。補助剤には例えば無水マレイン酸,メタクリル酸グリシジル等がある。
【0006】
請求項2の発明の要旨は、ポリ乳酸にポリアミドを10重量%以下の割合(但し、0を除く。)で添加し両者の合計 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部と、触媒を1〜3重量部配合して成形され、太陽光 , 雨水の作用で自然崩壊する機能をもつことを特徴とする自然崩壊性を有するプラスチック成形品にある。ここで、「触媒」とは主としてベースのポリ乳酸とポリアミドの加水分解を促すための触媒をいい、例えば無水炭酸カリウム,無水炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自然崩壊性を有するプラスチック成形品について詳述する。本実施形態はプラスチック成形品としてプラスチックフィルム成形品(以下、フィルム成形品という。)を取り上げる。図1はフィルム成形品の初期の引張強度のグラフ、図2はフィルム成形品の暴露時間に対する引張強度を示すグラフである。
【0008】
フィルム成形品はポリ乳酸 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部配合して成形される。フィルム成形品は例えば次のようにして造られる。まずリグノフェノール誘導体と補助剤を充分混合し、次いで、ポリ乳酸と混合する。そして、混合したものを一軸押出成形機等により複合化ペレットを製造し、その後、このペレットを複合材料としてフィルム成形してフィルム成形品が造られる。
【0009】
ポリ乳酸(ポリ乳酸樹脂)はとうもろこし等のデンプンを発酵させてできる乳酸を重合させたものである。本実施形態ではポリ乳酸として株式会社島津製作所の商品名「ラクティ」で品番9030を用いている。
【0010】
リグノフェノール誘導体は、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加して混合し、その後、過剰の水を加えて不溶区分として分離して得られるものである。木粉等のリグノセルロース系材料にフェノール誘導体が溶解した溶媒を浸透させた後、溶媒を留去する(フェノール誘導体の収着工程)。次に、このリグノセルロース系材料に酸を混合しセルロース分を酸に溶解させる。リグニンとフェノール誘導体が反応したリグノフェノール誘導体相がセルロース成分を溶解した酸の相から相分離される。その後、この相分離した反応液に過剰の水を加えて不溶区分を回収してリグノフェノール誘導体を得る。前記リグノセルロース系材料とはリグニンとセルロースを含有する針葉樹,広葉樹などの植物で、例えば木材,木片,木粉、木質材料としての合板,集成材,パーティクルボード等、さらにそれらの廃材がある。また各種草本植物、農産廃棄物等も該当する。本実施形態は特許第2895087号の「相分離システム」に準拠して木粉(製材所の鋸屑)から製造したリグノフェノール誘導体を用いる。
【0011】
前記フェノール誘導体には1価のフェノール誘導体,2価のフェノール誘導体,3価のフェノール誘導体などを用いることができる。具体的には、フロログルシノール・ヒドロキシヒドロキノン・ピロガロール等の三価体、カテコール・レゾルシノール・ハイドロキノン等の二価体、フェノールなどを挙げることができる。リグノセルロース系材料がフェノール誘導体により合成されるリグノフェノール誘導体が疎水性の反応なので一価のフェノールをフェノール誘導体として使用するのが好ましく、コスト,安定性,取り扱い易さ等を鑑みればクレゾールがより好ましい。なお、フェノール誘導体が有していてもよい置換基の種類は限定されない。前記酸とはセルロースに対して膨潤性を有する酸で、65重量%以上の硫酸(例えば、72重量%の硫酸)、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸などを挙げることができる。
【0012】
本発明では生分解性ポリ乳酸をベースプラスチックとし、リグノフェノール誘導体とそのフェノール活性を利用して複合化させるが、ポリ乳酸 100重量部に対しリグノフェノール誘導体は0.3重量部以上で5重量部未満の範囲の量を配合する。リグノフェノール誘導体が5重量部以上になると、補助剤があってもフィルム成形が困難でまた力学的初期特性が得られず、一方、リグノフェノール誘導体が0.3重量部未満では本発明の効果が得られないからである。本実施形態のフィルム成形品は、押出成形で複合材料を製造し、その複合材料を用いてフィルム化するという製造工程を辿るため、最初に、ポリ乳酸とリグノフェノール誘導体との配合比を変化させたうえで、それら混合物の押出成形性を確認する必要がある。リグノフェノール誘導体の配合量を5重量部以上にすると、複合材料の流動性が高くなり過ぎ成形不良(或いは成形不能)を招くことから、配合量をそれより少なくする。より好ましい範囲として、ポリ乳酸 100重量部に対しリグノフェノール誘導体は0.3〜3重量部配合する。ただ、配合量を3重量部に減らして良く成形できたフィルムについても、ベースのポリ乳酸フィルムに比べて、力学的初期性能については低下し、紫外線照射72時間後の力学的性能についても低下したまま平行移動すると共に紫外線吸収能も落ちるという特徴のないフィルムになってしまう。そこで、リグノフェノール誘導体が持っている高反応性を効果的に引き出し、目的とする力学的初期性能を具備し且つ自然崩壊性を備えるフィルムとするため補助剤が選定される。
【0013】
補助剤は既述のごとくエステル結合をもつ多官能性ビニル化合物をいい、具体的には無水マレイン酸,メタクリル酸グリシジル, シトラコン酸無水物,イタコン酸無水物,アクリル酸グリシジル等が挙げられる。本発明は高温,高剪断が加わる押出成形下及び太陽光,雨水が作用する自然環境下におけるリグノフェノール誘導体のフェノール活性(ラジカル活性種が容易に発生)に着目し、ポリ乳酸に対するリグノフェノール誘導体の配合量、併せて用いる補助剤の選定とその配合量によってリグノフェノール誘導体の高反応性を制御するもので、力学的初期性能を低下させることなく自然崩壊性を発現させている。補助剤は初期にポリ乳酸とリグノフェノール誘導体間の仲立ちをして相溶性を高め、相溶化剤的な働きをして強度を発現させる。と同時に、出来上がったフィルム成形品の材料劣化(高分子主鎖の切断による分子量の低下)を促す役割を果たす。この材料劣化は、生分解性を促進させるうえでの必要条件にもなる。
ポリ乳酸とリグノフェノール誘導体を配合しただけでは、既述のごとくベースのポリ乳酸フィルムに比べて力学的初期性能が低下し、また力学的性能についても低下したまま推移するという特徴のないフィルムになってしまう。しかるに、これらに補助剤が配合されることによってリグノフェノール誘導体がもっている高反応性を効果的に引き出し、力学的初期性能を保有し、且つ太陽光,雨水の作用による自然崩壊性を持つフィルム成形品ができる。
本発明では補助剤をリグノフェノール誘導体 100重量部に対し5〜20重量部配合するが、この範囲とするのは5重量部未満になると初期強度の低下をくい止めることが困難になり、一方、20重量部を越えると押出成形での複合材料の製造工程で成形不良を起こすといった問題が生じるからである。こうした不具合をより確実に解決するため、リグノフェノール誘導体 100重量部に対し、補助剤は7〜20重量部配合するのがより好ましく、10〜20重量部配合するのが特に好ましい範囲となる。
【0014】
また、本発明のフィルム成形品は次のように成形することもできる。すなわち、ポリ乳酸にポリアミドを10重量%以下の割合(但し0を除く)で添加し両者の合計 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部と、加水分解を促す触媒を1〜3重量部配合して成形するのである。ここで、ポリ乳酸とリグノフェノール誘導体と補助剤については前記内容と同様でありその説明を省く。
【0015】
ポリアミド(ポリアミド樹脂)は「主鎖中にアミド結合−NH−CO−をもつ重合体の総称で、繊維形成能のあるものをナイロンという(『化学大辞典』,東京化学同人)」とされるが、ポリアミドとしてはその融点がポリ乳酸の融点に近いものが好ましい。押出成形による異なる材料間の複合化では、成形条件の類似性、特に成形温度に大きな差がないこと(目安として30℃程)が重要とされるからである。こうしたことから本発明で使用されるポリアミドはナイロン12やナイロン11等が好ましい。
ポリアミドの量はポリ乳酸にポリアミドを10重量%以下の割合(但し0を除く)で添加されるが、10重量%以下とするのは本発明が植物由来の生分解性ポリ乳酸をベースに植物由来のリグノフェノール誘導体とそのフェノール活性を利用して複合化させる自然還元型エコ素材たるフィルム成形品を目指しているからである。ここで、石油由来のポリアミド(ナイロン12等)を加えるのは別の視点で捉え、今後ポリ乳酸のような植物由来の材料との複合化の進展が期待できるからである。
ポリアミドに関しては、成形温度等の成形条件が類似していることを前提に、主鎖にアミド結合、エステル結合、ウレタン結合、及びそれらが混在したプラスチックに変更可能である。例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリアミド系,ポリエステル系の熱可塑性エラストマー等である。
【0016】
加水分解を促す触媒は、主としてベースのポリ乳酸とポリアミドの加水分解を促すための触媒をいい、例えば無水炭酸カリウム,無水炭酸ナトリウム等である。リグノフェノール誘導体 100重量部に対し、触媒を1〜3重量部と配合を少なくするのは、この範囲で発明の効果が十分得られると同時に、環境配慮の観点からより少ない方が望ましいからである。
【0017】
本発明に係るフィルム成形品の力学的初期性能と自然崩壊性を調べるため、以下のような試験を行った。
(1)成形方法と性能試験
▲1▼実施例1
リグノフェノール誘導体(粉体)30g(3重量部)と乳鉢により充分に粉砕した無水マレイン酸6gをビーカー内で混合した後、所定の温度で充分乾燥させたポリ乳酸(ペレット)1kgとポリ袋中で混ぜ、一軸押出成形機内へ投入して、成形温度190℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件でペレットを製造し、同じ製造を数回繰り返した。更に、同様の成形条件で、ポリ乳酸に対するリグノフェノール誘導体の配合比を1重量部に調整するための製造を行った。この複合材料ペレットを多層膜製造装置内へ投入し、成形温度180℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件で、フィルム・シート引取装置(フィルム巻取速度3〜5m/min)を用いてフィルムを成形した。
成形フィルムからダンベル試験片を作製した。試験片の形状はJIS−K−7127のタイプ5とし、試験条件23℃、50%、引張速度10mm/minで引張試験を行った。その結果、57.1N/mmの強度が得られた。
【0018】
▲2▼実施例2
実施例1に記載の無水マレイン酸をメタクリル酸グリシジル3gに変更する以外、同様の方法でフィルム成形を実施した。引張試験についても同様の方法で行い、その結果58.1N/mmの強度が得られた。
【0019】
▲3▼実施例3
リグノフェノール誘導体(粉体)36g(1.8重量部)とメタクリル酸グリシジル3.6gをビーカー内で混合した後、更に無水炭酸カリウム1.08gをビーカー内に加えて充分に混ぜ、これを所定の温度で充分乾燥させたポリ乳酸とナイロン12(重量比で9対1)のペレット2kgとポリ袋中で混合して、一軸押出成形機内へ投入し、成形温度210℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件でペレットを製造した。更に、成形温度を200℃に変えて、リグノフェノール誘導体の配合比を0.6重量部に調整するための製造を行った。この複合材料ペレットを用いて、成形温度を190℃に変えた以外は実施例1と同様の方法でフィルムを成形した。
引張試験についても同様の方法で行い、その結果57.8N/mmの強度が得られた。
【0020】
▲4▼比較例1
所定の温度で充分乾燥させたポリ乳酸(ペレット)2.5kgを一軸押出成形機内へ投入して、成形温度190℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件でペレットを製造した。このペレットを用いて、成形温度を190℃に変えた以外は実施例1と同様の方法でフィルムを成形した。引張試験の結果、57.1N/mmの強度が得られた。
【0021】
▲5▼比較例2
リグノフェノール誘導体(粉体)30g(3重量部)と所定の温度で充分乾燥させたポリ乳酸(ペレット)1kgをポリ袋中で充分に混合し、一軸押出成形機内へ投入して、成形温度190℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件でペレットを製造した。更に、同様の成形条件で、ポリ乳酸に対するリグノフェノール誘導体の配合比を1重量部に調整するための製造を行った。この複合材料ペレットを用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを成形した。引張試験の結果、55.3N/mmの強度が得られた。
【0022】
▲6▼比較例3
リグノフェノール誘導体(粉体)150g(3重量部)と所定の温度で充分乾燥させたポリ乳酸(ペレット)5kgをポリ袋中で充分に混合し、一軸押出成形機内へ投入して、成形温度190℃、スクリュー回転数40rpmの成形条件でペレットを製造した。この複合材料ペレットを用いて、実施例1と同様の方法でフィルムを成形した。引張試験の結果、52.3N/mmの強度が得られた。
【0023】
▲7▼比較例4
リグノフェノール誘導体(粉体)300g(5重量部)とポリ乳酸(ペレット)6kg、更に押出成形温度160℃以外、比較例3と同様の方法でペレットを製造した。成形したフィルムは不良であった。
【0024】
(2)初期強度の試験結果と評価
実施例1〜3及び比較例1〜3の引張強度試験結果より、ポリ乳酸とリグノフェノール誘導体のみから成形したフィルムは、ポリ乳酸のみのフィルムに比べて強度低下を起こした。しかし、メタクリル酸グリシジル等の補助剤を添加して成形したことで、初期強度の改善が確認できた(図1)。
【0025】
(3)耐候性試験と評価
前記実施例1〜3及び比較例1,2で得られたフィルムについて、JIS−K−7350−2に準拠して耐候性試験を実施し、引張強度の経時変化を調べた。その結果を図2に示す。メタクリル酸グリシジル等の補助剤を添加して成形したフィルムについては、358時間暴露後の値に大幅な強度低下が認められ、太陽光,雨水の作用で自然崩壊性を有することが裏付けられた。ポリ乳酸に比べ短期間で生分解を促すフィルム成形品が期待できる。
【0026】
尚、本発明においては、前記具体的実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更した実施形態とすることができる。フィルム成形品には用途等に応じて適宜着色剤等の添加剤が添加される。実施形態ではプラスチック成形品としてプラスチックフィルム成形品を例に挙げたが、他にシートや繊維等のプラスチック成形品とすることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上ごとく本発明によれば、ポリ乳酸及び同じく植物由来の高分子材料であるリグノフェノール誘導体を主体にして、力学的初期性能を低下させることなく太陽光,雨水の作用で自然崩壊する機能をもつ環境に配慮したプラスチック成形品ができる。ポリ乳酸とリグノフェノール誘導体と補助剤、或いはポリ乳酸をポリ乳酸とポリアミド等に代えてリグノフェノール誘導体,補助剤,触媒を加えることによって、工業的な量産が可能で力学的初期性能を低下させることなく自然崩壊性を有するプラスチック成形品(フィルム成形品)を成形することができる。斯るプラスチック成形品は、ベースとなる生分解性ポリ乳酸と同等の優れた力学的初期性能をもつことから、一定の期間工業用フィルム等として使用された後自然崩壊し、更に生分解も期待される環境に優しい循環型の成形品となり、極めて有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスチックフィルム成形品の初期の引張強度の性能比較グラフである。
【図2】プラスチックフィルム成形品の暴露時間に対する引張強度の性能比較グラフである。

Claims (2)

  1. ポリ乳酸 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部配合して成形され、太陽光 , 雨水の作用で自然崩壊する機能をもつことを特徴とする自然崩壊性を有するプラスチック成形品。
  2. ポリ乳酸にポリアミドを10重量%以下の割合(但し、0を除く。)で添加し両者の合計 100重量部に対し、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合して前記リグノセルロース系材料をリグノフェノール誘導体と炭水化物に分離することによって得られるリグノフェノール誘導体を0.3重量部以上5重量部未満の範囲の量配合し、且つこのリグノフェノール誘導体 100重量部に対し補助剤を5〜20重量部と、触媒を1〜3重量部配合して成形され、太陽光 , 雨水の作用で自然崩壊する機能をもつことを特徴とする自然崩壊性を有するプラスチック成形品。
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