JP5390250B2 - 植物由来組成物とその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来組成物とその硬化物に関するものである。
近年、地球温暖化などの環境問題に対する関心が高まるにつれ、プラスチック分野においては、石油由来の材料に代替するものとして、低エミッションかつカーボンニュートラルな植物由来の分解物を重合して得られる樹脂に注目が集まってきている。
中でも、植物由来の分解物の一種である乳酸を重合して得られたポリ乳酸は、結晶性を有し、他の植物由来樹脂と比較して物性の高い樹脂の一つであり、大量生産も可能で生産コストも比較的低い。
しかしながら、ポリ乳酸は熱可塑性樹脂であり、汎用の石油由来の熱可塑性樹脂(PE、PP、ABS等)に比較すると、耐熱性と機械的特性が低いために、広く普及するには至っていない。また、ポリ乳酸は耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックや熱硬化性樹脂に代替できるような物性を有していない。
一方、木材樹皮等に含まれるポリフェノール類であるタンニンは、製材やパルプ利用において廃棄物となるため、これを有効利用しようという試みが古くからなされてきた。
例えば、タンニンは化学構造がフェノール樹脂に類似していることから、フェノール樹脂と同様にタンニンをホルムアルデヒドと反応させ縮合させて接着剤として用いることが検討されてきた。(特許文献1参照)さらに、フェノール樹脂のメチロール基とタンニンとの反応を期待して、フェノール樹脂にタンニンを添加し、タンニンをフェノール樹脂の高分子骨格の中に取り込む検討もなされてきた。(非特許文献1、2参照)
また、タンニンを有効利用しようという他の試みとして、タンニンのフェノール性水酸基とポリイソシアネートとを反応させてウレタン樹脂とすること等も検討されてきた(非特許文献2参照)。
しかしながら、タンニン等をホルムアルデヒドを用いて反応させる場合、残留したホルムアルデヒドや加水分解によって発生したホルムアルデヒドが放散されるという問題点があった。また、タンニンの反応性が従来のフェノール樹脂よりも低いため、物性と生産性が劣り、上記の技術は広く実用化されていないのが現状である。
そのため、反応性の高いエポキシ化合物とタンニンとの反応により重合を図ることが提案されている(特許文献2参照)。また、エポキシ化合物とタンニンとの重合については特許文献3においても言及されている。
特許3796604号公報 特開2002−53699号公報 特表2000−514112号公報
「木質新素材ハンドブック」技報堂出版 p. 361 「ウッドケミカルスの新展開」 シーエムシー出版 p. 225(2007) 「木材の接着・接着剤」 産調出版 p. 189
しかしながら、特許文献2では、エポキシ化合物とリグニンとの反応についての実施例のみが記載されており、エポキシ化合物とタンニンとの反応については実施例が記載されていない。そして特許文献2には、リグニンのフェノール基、水酸基、およびカルボニル基は、エポキシ化合物またはアミノアルデヒド架橋剤と反応する旨が記載されているが、タンニンとアミノアルデヒドとの反応は比較的反応性が高いのに比べ、エポキシ化合物とタンニンとを混合した場合、エポキシ化合物同士の自重合が優先的に起こる。これはエポキシ化合物とタンニンとの反応性の低さが原因と考えられ、エポキシ化合物とタンニンとを反応させることは非常に難しい。
また特許文献3では、エポキシ化合物およびタンニンの他に無機酸化物粒子を必須成分としており、そしてタンニンがタンパク質を捕集できる旨が明示的に記載されていることから、この場合エポキシ化合物とタンニンとは架橋しておらず、プラスチックとして利用できる硬化物ができるものではない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができ、しかも高い反応性を有する植物由来組成物とその硬化物を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の植物由来組成物は、植物より抽出したタンニン、エポキシ化合物、およびこれらの双方を溶解する有機溶媒を含有し、植物より抽出したタンニンとエポキシ化合物とが有機溶媒中で相溶した溶液状であることを特徴とする。
第2に、上記第1の植物由来組成物において、タンニンが縮合型タンニンであることを特徴とする。
第3に、上記第1の植物由来組成物において、タンニンが加水分解型タンニンであることを特徴とする。
第4に、本発明の硬化物は、上記第1ないし3のいずれかの植物由来組成物を硬化してなることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、植物より抽出したタンニンとエポキシ化合物とが有機溶媒中で相溶した溶液状としている。一般にタンニンに含まれる水酸基は反応性が低く、単純にエポキシ化合物と混合しても反応しないか、その反応は非常に遅い。そのためエポキシ化合物同士の自重合が優先的に起こり、エポキシ化合物のネットワーク中にタンニンが分離して存在することとなる。しかし植物より抽出したタンニンとエポキシ化合物とがこれらを共に溶解させる有機溶媒中に存在することで、簡便な方法によって、タンニン中の水酸基の反応性が向上してエポキシ化合物のエポキシ基と反応させることができる。また、タンニン中には2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物となる。従って本発明の植物由来組成物は成形材料や接着剤等として利用することができる。
上記第2の発明によれば、タンニンとして縮合型タンニンを用いている。縮合型タンニンは複数分子のカテキンが炭素−炭素結合で縮合したものであり、縮合型タンニンをホルムアルデヒドと反応させ縮合させる試みがなされているが、エポキシ化合物と混合しても反応しないか、その反応は非常に遅い。しかし縮合型タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物とがこれらを共に溶解させる溶媒中に存在することで、縮合型タンニン中の水酸基の反応性が向上してエポキシ化合物のエポキシ基と反応させることができる。また、縮合型タンニン中には2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物となる。従って本発明の植物由来組成物は成形材料や接着剤等として利用することができる。
上記第3の発明によれば、タンニンとして加水分解型タンニンを用いている。加水分解型タンニンは芳香族化合物とグルコース等の糖とがエステル結合を形成したものであり、縮合型タンニンより反応性が低いため、その利用については検討が進んでいない。しかし加水分解型タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物とがこれらを共に溶解させる溶媒中に存在することで、加水分解型タンニン中の水酸基の反応性が向上してエポキシ化合物のエポキシ基と反応させることができる。また、加水分解型タンニン中には2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物となる。従って本発明の植物由来組成物は成形材料や接着剤等として利用することができる。
上記第4の発明によれば、上記第1ないし第3の発明の植物由来組成物を反応硬化させることで硬化物としており、当該組成物は、従来の硬化性樹脂と同様に加熱、光照射、硬化促進剤の添加等により反応して三次元網状構造の硬化物となるため、熱可塑性樹脂等と比較してより高い耐熱性と機械的強度が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、タンニンを含有する植物の抽出成分の原料としての植物は、特に制限はないが、その具体例としては木本植物(マツ科、スギ科、ヒノキ科等の針葉樹、広葉樹)および草本植物の樹皮、幹、茎、枝、葉等の、ポリフェノール類であるタンニンが含まれているものが挙げられる。植物の種類、部位等によって、含まれるタンニンの構造は異なる。タンニンは天然物から抽出されるものであり、タンニンを含有する植物の抽出成分におけるタンニンの含有率は様々である。しかし、タンニンの含有率が10質量%未満であるとエポキシ化合物と反応するタンニンの官能基が少なくなり、反応に寄与しない成分が多くなるため、植物の抽出成分中のタンニンの含有率は10〜100質量%が好ましい。
タンニンは、植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称であり、植物界に普遍的に存在している。そして多数のフェノール性水酸基を持つ複雑な芳香族化合物であり、分子量500程度の低分子化合物から分子量20000に達する巨大な高分子化合物まで存在する。
そしてタンニンは、フラバノール骨格を持つ化合物が重合した縮合型タンニンと、没食子酸やエラグ酸等の芳香族化合物とグルコース等の糖とがエステル結合を形成した加水分解型タンニンとの2種類に分類される。
縮合型タンニンは針葉樹、広葉樹のどちらにも分布している。幹の部分よりも樹皮に多く分布しており、アカシア属の樹木の樹皮のタンニン含有率は20〜30質量%にのぼる。縮合型タンニンは世界で生産される総タンニン量のうち、90%を占めると言われている。
加水分解型タンニンは双子葉離弁花植物に局在して分布し、ウコギ科ヌルデの葉にヌルデノミミフシアブラムシが寄生してできる虫こぶ(五倍子と称する)に含まれるガロタンニンや、フウロソウ科ゲンノショウコに含まれるエラジタンニン等が挙げられる。
縮合型タンニンと加水分解型タンニンのいずれも分子内に多くのフェノール性水酸基を含み、酸性有機物質として分子量もかなり大きな多価フェノールであるという点で共通する。基本構造に違いはあってもタンニンは多価フェノールであることに基づく共通の性質がある。例えば、蛋白質等の生体高分子成分の含窒素塩基性官能基に結合し凝集させる性質等である。
タンニンは化学構造がフェノール樹脂に類似していることから、フェノール樹脂と同様にタンニンをホルムアルデヒドと反応させ縮合させて接着剤として用いることが検討されてきた。タンニンはフェノール樹脂と同様に水酸基に対してオルト、パラの位置でホルムアルデヒドと反応してメチロール化が進行した後、縮合反応が進行する。しかしながら、加水分解型タンニンは反応性が低く、生産量が少ないこともあり、ほとんど検討されていない(非特許文献3参照)。
タンニンの水酸基とエポキシ化合物との反応により重合を図ることは特許文献2で提案されている。しかしながら、前述したように、エポキシ化合物とリグニンとの反応についての実施例のみが記載されており、エポキシ化合物とタンニンとの反応については実施例が記載されていない。そして特許文献2には、リグニンのフェノール基、水酸基、およびカルボニル基は、エポキシ化合物またはアミノアルデヒド架橋剤と反応する旨が記載されているが、タンニンとアミノアルデヒドとの反応は比較的反応性が高いのに比べ、エポキシ化合物とタンニンとを混合した場合、エポキシ化合物同士の自重合が優先的に起こり、エポキシ化合物のネットワーク中にタンニンが分離して存在することとなる。これはエポキシ化合物とタンニンとの反応性の低さが原因と考えられる。
しかし本発明では、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との双方を溶解する溶媒を用いて、これらを相溶状態としていることにより、タンニン中の水酸基の反応性が向上してエポキシ化合物のエポキシ基と効率的に反応させることを可能としている。
タンニンは水酸基を多く含有しており極性が高く水溶性である。これに対して、一般に市販されているエポキシ化合物の大半は極性が低く非水溶性であり、タンニンとエポキシ化合物との相溶性は良好ではない。そこで本発明では、タンニンおよびエポキシ化合物を、これらを共に溶解させる溶媒中に存在させることで、簡便な方法によって、タンニン中の水酸基の反応性が向上してエポキシ化合物のエポキシ基と効率的に反応させることを可能としている。
本発明に用いられる、タンニンおよびエポキシ化合物を共に溶解させる溶媒は、タンニンおよびエポキシ化合物の分子量や極性により適宜のものが選択され、特に制限はないが、SP値が9〜15の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、DMF、ピリジン、アセトン、MEK等の溶媒は、極性の高いタンニンと極性の低いエポキシ化合物とを共に溶解させる可能性が高いので、ここで選ばれる溶媒となり得る
本発明の植物由来組成物における溶媒の配合量は、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との双方の溶解性により適宜に設定され、特に制限はないが、好ましくは、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との合計量100質量部に対して50〜500質量部である。溶媒の配合量が50質量部未満であると、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物とのいずれかが溶解しない可能性が高まり、結果として反応性が低下するおそれが高まる。溶媒の配合量が500質量部を超えると、加熱硬化成形時の熱により溶媒成分が気化して硬化樹脂中で発泡し、成形体の機械的特性を低下させるおそれがある。また、溶媒を除去するためのエネルギーやプロセスが必要になる場合がある。
本発明では、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との相溶性をさらに向上させて反応性を高め、あるいは溶媒の使用量を抑制する目的で、オキサゾリン系、エポキシ−アクリル系、エポキシ−酸無水物系等の相溶化剤を植物由来組成物に配合することができる。
本発明の植物由来組成物に含有されるエポキシ化合物としては、複数のエポキシ基を有するものであれば特に制限はない。エポキシ化合物中のエポキシ基が単数である場合は、反応物は3次元架橋することができなくなる。本発明に用いられるエポキシ化合物としては、例えば、石油由来のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、植物油脂のエポキシ化合物を用いることで、植物由来組成物とその硬化物中における植物由来成分の比率を高めることができ、カーボンニュートラルな特性をさらに高めることができる。このような植物油脂のエポキシ化合物としては、例えば、市販されている大豆、亜麻、桐、ごま、やしの種子等の植物油脂のエポキシ化合物等が挙げられる。
本発明の植物由来組成物における、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との配合比率は、タンニンの反応基当量およびエポキシ化合物のエポキシ当量によって適宜に設定される。なお、タンニンに含まれる芳香族環は複数の水酸基を有しているが、全ての水酸基がエポキシ基と反応するわけではなく、その一部が反応することを考慮する必要がある。
本発明の植物由来組成物におけるタンニンを含有する植物の抽出成分の配合比率は、タンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との合計量に対して好ましくは1〜99質量%、より好ましくは1〜75質量%である。当該配合比率を1〜99質量%とすることで、エポキシ化合物におけるエポキシ基と、タンニン中の水酸基とが反応し易くなり、その結果として、耐熱性を向上させるタンニン中のフェノール性芳香族環が反応物中に含有される割合が高くなるので、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を得ることができる。
タンニンを含有する植物の抽出成分の配合比率が99質量%を超えると、エポキシ化合物によるエポキシ基の数が不足するため、反応性が低下し、硬化物の形成が困難になる場合がある。一方、タンニンを含有する植物の抽出成分の配合比率が1質量%未満であると、エポキシ化合物におけるエポキシ基が、タンニンを含有する植物の抽出成分における水酸基に比べて過剰になり、エポキシ基同士の自重合が起こり易くなる。そのため耐熱性を向上させるタンニン中のフェノール性芳香族環が反応物中に含有される割合が低くなるので、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。
また、植物由来組成物はタンニンのフェノール性水酸基とエポキシ化合物のエポキシ基、またはエポキシ化合物のエポキシ基同士が1対1で反応して形成されるが、タンニンを含有する植物の抽出成分の配合比率をタンニンを含有する植物の抽出成分とエポキシ化合物との合計量に対して1〜75質量%とすることで、過剰なタンニンの存在により樹脂の結合の架橋が粗くなったり、結合内に取り込まれないタンニンが現れたりすることによる、ガラス転移温度の低下や機械的特性の低下を抑制することができる。
本発明の植物由来組成物には、上記した各成分に加えて、他の添加成分を配合してもよい。このような添加成分としては、例えば、パラトルエンスルホン酸水和物、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン等の硬化性樹脂に一般に用いられている硬化促進剤、および充填材、増量材等が挙げられる。
本発明の植物由来組成物は、適宜の条件にて反応させることによって硬化物とされる。硬化反応の反応機構としては、タンニンの水酸基と、エポキシ化合物のエポキシ基との反応が主反応として進行し、副反応としてエポキシ化合物のエポキシ基同士の反応が進行する。これにより3次元網状構造の硬化物が形成される。タンニンは2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物となる。
硬化反応の条件は、特に制限はなく、従来の硬化性樹脂と同様の条件が適用できる。例えば、加熱、光照射、硬化促進剤の添加などにより硬化反応を進行させることができる。
本発明の植物由来組成物は、高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物を形成することができるため、成形材料として好適に用いることができる。また、紙やガラス繊維などに含浸し、あるいは単板に塗布して積層板として好適に用いることができ、接着剤としても好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸KT−S(富士化学工業(株)製、縮合型タンニン、タンニン含有率90質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とする液状のエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化促進剤としてキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業(株)製)を用い、溶媒のDMF中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=100:100:1:200とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、エポキシ化合物が溶媒中で白濁していないかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
<実施例2>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸AL(富士化学工業(株)製、加水分解型タンニン、タンニン含有率96質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とするエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化促進剤としてキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業(株)製)を用い、溶媒のアセトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=100:100:1:200とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、エポキシ化合物が溶媒中で白濁していないかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
<実施例3>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸AL(富士化学工業(株)製、加水分解型タンニン、タンニン含有率96質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とするエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を用い、溶媒のアセトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:溶媒=100:300:400とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、エポキシ化合物が溶媒中で白濁していないかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸KT−S(富士化学工業(株)製、縮合型タンニン、タンニン含有率90質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とする液状のエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化促進剤としてキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業(株)製)を用い、溶媒を用いずに混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤=100:100:1とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸KT−S(富士化学工業(株)製、縮合型タンニン、タンニン含有率90質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とする液状のエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化促進剤としてキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業(株)製)を用い、溶媒のアセトン中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=100:100:1:200とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、エポキシ化合物が溶媒中で白濁していないかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
<比較例3>
タンニンを含有する植物の抽出成分としてタンニン酸KT−S(富士化学工業(株)製、縮合型タンニン、タンニン含有率90質量%以上)、エポキシ化合物として石油を原料とする液状のエポキシ化合物(エピクロン850S、DIC(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化促進剤としてキュアゾール 2E4MZ(四国化成工業(株)製)を用い、溶媒のメタノール中で混合して植物由来組成物とした。混合比は抽出成分:エポキシ化合物:硬化促進剤:溶媒=100:100:1:200とした。
この植物由来組成物について、粉状のタンニンを含有する植物の抽出成分が溶解しているかどうか、エポキシ化合物が溶媒中で白濁していないかどうか、および30℃から150℃まで5℃/minの速度で昇温、150℃で2時間加熱後、硬化しているかどうかを確認した。その結果を表1に示す。
Figure 0005390250
表1より、タンニンが縮合型、加水分解型のいずれの場合においても、混合時にタンニンとエポキシ化合物の双方が溶媒に溶解していた実施例1〜3の植物由来組成物は加熱により硬化した。
これに対して、混合時にタンニンとエポキシ化合物のいずれかが溶解しておらず、あるいは白濁していた比較例1〜3は加熱しても硬化しなかった。
実施例1〜3は、タンニンを含有する植物の抽出成分と、エポキシ化合物とが相溶状態にあることで、タンニンの水酸基の反応性が向上してエポキシ基と反応し、そしてタンニンは2つ以上の芳香族環を有し且つそれぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋し硬化物となったものと考えられる。

Claims (4)

  1. 植物より抽出したタンニン、エポキシ化合物、およびこれらの双方を溶解する有機溶媒を含有し、植物より抽出したタンニンとエポキシ化合物とが有機溶媒中で相溶した溶液状であることを特徴とする植物由来組成物。
  2. タンニンが縮合型タンニンであることを特徴とする請求項1に記載の植物由来組成物。
  3. タンニンが加水分解型タンニンであることを特徴とする請求項1に記載の植物由来組成物。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項に記載の植物由来組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
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