JP5040211B2 - 脱臭装置の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オゾン発生装置を備えた脱臭装置に係わり、より詳細には、脱臭運転におけるオゾン発生量と送風量とを制御する制御方法に関する。
従来、オゾン発生装置を備えた脱臭装置としては、図9の斜視図に示すものが開示されている。このオゾン脱臭殺菌装置81は、冷蔵或いは冷凍コンテナに設置されている。そして、コンテナ室内90の天井壁91の前端には、室内空気を吸入、冷却して室内に吹出す凝縮器(エバポレータ)92が据付られている。
この凝縮器92は、下面から室内空気を吸入し、内部の熱交換器でそれを冷却した後、後側面に位置された吹出口から冷却空気を吹出して、コンテナ室内90を冷蔵或いは冷凍温度に保持するものである。この凝縮器92の吹出口に入口部96を臨ませて、オゾン脱臭殺菌装置81が凝縮器92後方に隣接して取り付けられている。また、オゾン脱臭殺菌装置81は、その長手方向がコンテナ室内90の前後方向に沿うように天井壁91に取り付けられている。
また、オゾン脱臭殺菌装置81内には図示しないが、紫外線灯の連続点灯及びオゾン発生器の制御を行なう制御回路が備えられている。制御回路は第1モード或いは第2モードに基づいて制御を行なう。例えば、第1モードのときには、図示しないオゾンセンサの検出信号に応じてオゾン発生器をオン・オフ制御して、室内のオゾン濃度を低濃度に保持する。こうすると、コンテナ室内90は入室可能となり作業等を行なうことができる。
また第2モードのときには、先ずオゾン発生器を第1の所定時間だけオンとして室内のオゾン濃度を高濃度とし、室内の臭気が強い場合でも短時間で脱臭を行なうことができる。次いで、オゾン発生器を第2の所定時間だけオフとしてオゾン濃度を低濃度とする。
そして第2の所定時間後は第1モードに移行し、前述のオン・オフ制御によって室内オゾン濃度を低濃度に保持するように構成されている。このタイミングを示したものが図10のタイムチャートである。この図10を用いて第1モードと第2モードの説明を行なう。
図10(A)は凝縮器92内に備えられた送風ファンによる送風量を示している。従ってオゾン脱臭殺菌装置81の制御とは切り離されて動作している。ここでは凝縮器92とオゾン脱臭殺菌装置81とが電源を投入されたとして説明する。この場合、凝縮器92はコンテナ室内90を所定の温度まで冷却するため、凝縮器92の冷却能力、及び送風ファンを最大能力で駆動するため、送風量は最大風量で連続したままとなっている。
一方、オゾン脱臭殺菌装置81はコンテナ室内90に充満した臭気を除去するため、第2モードで運転される。このため、図10(B)で示すように、オゾン発生器の電源は一定時間、ONのままとなり、その後一定時間、OFFとなる。オゾン発生器の電源がONのままとなっている間、オゾンは連続して発生するので図10(C)に示すように、オゾン濃度が徐々に増加し、オゾン発生器の電源がOFFとなると、オゾン濃度が徐々に減少していく。
従って、オゾン濃度が一時的に高濃度となり、コンテナ室内90に溜まっていた臭気が除去される。その後、オゾン脱臭殺菌装置81は第2モードに移行し、コンテナ室内90に貯蔵されている荷物(図示せず)から連続的に発生する臭気を除去する。このため、図10(B)で示すように、オゾン発生器の電源は一定時間ごとにONとOFFを繰り返すように制御され、図10(C)に示すように、オゾン濃度を低い濃度で一定水準に維持するように制御される(例えば、特許文献1参照)。
ところで、オゾン発生装置内蔵の脱臭装置を備えた製品としては、図9のような業務用だけでなく、家庭用の空気調和機として多数販売されている。図1〜図4は本発明による脱臭器であるが、その制御方法を除けば従来と同じ構造のため、これらの図を用いて、空気調和機のひとつである脱臭器について説明する。
図1は、この脱臭器を示す斜視図、図2はこの脱臭器を示す側面断面図である。図3は、図1および図2に記載した脱臭器の吸着脱臭部を示す組立斜視図である。また、図3は脱臭器を用いて衣服の脱臭を行なう形態も同時に示している。
この脱臭器1は、室内に設置されて室内の臭気(室内に広がった臭気、壁や家具に染み付いた臭気、常時発生している体臭などの臭気など)を減少させ、臭気による不快感を低減する機能を有する。脱臭器1は、例えば、一般家庭や高齢者施設の居住空間、トイレ、汚物室、廊下、病院の待合室や病室、医院の処置室、ペットホテル、動物病院の待合室や処置室などに設置される。なお、この脱臭器1は、例えば、空気調和機や空気清浄機などに搭載される場合がある(図示省略)。
この脱臭器1は、筐体2と、吸着脱臭部(吸着部)3と、オゾン脱臭部(オゾン分解部)4と、送風機5と、制御ユニット6とを有する(図1および図2参照)。筐体2は、樹脂製の部材から成り、床面に立設可能な箱型形状を有する。筐体2は、その側部(設置状態にて床面に垂直な面)に吸込口21を有すると共に、その頂部に、回動自在に軸支された板状のルーバー23を備えた吹出口22を有する。また、筐体2の内部には、吸込口21から吹出口22に至る空気通路Rが形成されている。そして、この空気通路R上に吸着脱臭部3、オゾン脱臭部4および送風機5が配置されている。
オゾン脱臭部4は、紫外線ランプから成るオゾン発生部を備えており、空気通路Rを通過する空気(送風される空気)に紫外線を照射し、オゾンを発生させて脱臭、及び殺菌を行なうものである。また、発生したオゾンの一部は低濃度のオゾンにして、吹出口22から室内に放出されるようになっている。
このような脱臭器1は、室内の脱臭を行なうことが主目的であるが、副次的な用途として、衣服などに付着したタバコ、香水、焼き肉などの飲食による臭気を除去する場合にも用いられる。図3はこの状態を示す斜視図である。
脱臭器1の吹出口22の上方には、衣服71が掛けられたハンガー70がロープ72に吊り下げられている。従って、吹出口22のルーバー(図示せず)を調節することにより、衣服71に直接、吹出口22から放出された空気を送風することができる。前述したように、送風される空気は低濃度のオゾンが含まれており、このオゾンで衣類に付着した臭気を低減させ、また、送風により衣類に付着した臭気を発散させるようにしている。
ところで、衣服などに付着した臭気を除去する方法として2種類の方法がある。1つ目は、清浄空気、つまり、衣服に付着している臭気よりも濃度の薄い空気を衣服などに直接吹きつけ、臭気の濃度差による拡散力で臭気を除去する方法である(ここでは臭気拡散除去法と呼称する)。このため、脱臭器から送出される清浄空気を大量に、つまり、大風量で衣類に吹きつけている。
2つ目の方法は、臭気に接触するオゾンの量を多くすることで酸化分解を促進させる方法である(ここでは臭気酸化分解法と呼称する)。このため、多量のオゾンを発生させて衣類に吹きつけている。
このように衣服の脱臭を行なう時は、強風での送風と、大量の低濃度オゾンとを発生させる必要があり、脱臭器1を最大能力での脱臭運転(パワフルモード)を行なっていた。
しかしながら、強風での送風を行なうと、大量のオゾンを発生させても衣類の周辺では、オゾンの濃度が非常に低下して十分な脱臭効果が得られないため、衣服の脱臭に時間がかかってしまうと言う問題があった。
特開平8−11527号公報(第3頁、図10)
本発明は以上述べた問題点を解決し、脱臭装置を用いて衣服などの脱臭を行なう場合に、臭気拡散除去法と臭気酸化分解法との2つの臭気除去方法を併用して脱臭能力を高め、また、脱臭時間を短縮する制御方法を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決するため、空気の吸込口および吹出口と、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路に備えられた脱臭部と送風ファンとオゾン発生器と、前記送風ファンの回転数と前記オゾン発生器でのオゾン発生量とを制御する制御部とを備え、前記送風ファンは、高速、中速、低速で回転可能であり、前記吹出口から前記オゾン発生器で発生したオゾンを含んだ空気を放出可能な脱臭装置の制御方法において、
前記送風ファンを高速で回転させて、前記脱臭部で臭気を除去した空気を脱臭対象物に対して大風量で送風した後、前記脱臭部で臭気を除去した空気に対し前記オゾン発生器でオゾンを発生させると共に、前記送風ファンを低速で回転させて、脱臭対象物に対して小風量で送風し、さらに、前記送風ファンを高速で回転させて大風量で送風すると共に、前記オゾン発生器でのオゾン発生量を減少させるように、前記制御部が前記送風ファンと前記オゾン発生器とを制御する。
また、前記第一段階において、前記脱臭部で臭気を除去した空気に、前記オゾン発生器でオゾンを発生させるように、前記制御部が前記オゾン発生器を制御する。
以上の手段を用いることにより、本発明による脱臭装置の制御方法によれば、
請求項1に係わる発明は、大風量で送風した後、オゾンを発生させて小風量で送風し、吹出口でのオゾン濃度を高め、さらに、大風量で送風しつつオゾン発生量を減少させて、大量に放出されたオゾンを急激に減少させることにより、臭気拡散除去法による付着臭の除去と、臭気酸化分解法による付着臭の除去との2つの相乗効果を得ることができると共に、『衣服脱臭モード』が終了した後、他の動作モードへ素早く移行することができる。

つまり、『従来のパワフル脱臭』の場合のように連続動作による臭気の減衰が頭打ちとなる現象を改善し、大量のオゾンによる酸化分解による脱臭を促進させることができる。また、『従来のパワフル脱臭』と同じ時間だけ『衣服脱臭モード』を動作させれば、脱臭効果を増加させることができる。また、このように脱臭効果を増加させることができるため、『従来のパワフル脱臭』と同じ効果が得られるまでの時間が短くなり、結果的に脱臭にかかる時間を短くすることもできる。また、『衣服脱臭モード』が終了するときに大量に放出されたオゾンを急激に減少させることができ、他の動作モードへ素早く移行できる。
請求項2に係わる発明は、制御部が第一段階において、送風に加えてオゾン発生器でオゾンを発生させることにより、第一段階における脱臭効果を請求項1の方法よりも高めることができる。つまり、『従来のパワフル脱臭』の場合のように連続動作による臭気の減衰が頭打ちとなる現象を改善し、大量のオゾンによる酸化分解による脱臭をより促進させることができる。また、『従来のパワフル脱臭』と同じ時間だけ『衣服脱臭モード』を動作させれば、脱臭効果をさらに増加させることができる。また、このように脱臭効果を増加させることができるため、『従来のパワフル脱臭』と同じ効果が得られるまでの時間が短くなり、結果的に脱臭にかかる時間をさらに短くすることもできる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。本発明の特徴は、カーテンやペット用品、寝具や履物などに付着した臭気をオゾンを用いて除去する脱臭装置において、臭気を空気と臭気成分との濃度差により拡散させる段階と、臭気成分がオゾンと接触して酸化分解する段階とに分けて制御し、脱臭能力を高めて総合的な臭気除去時間を短縮することにある。
このため、背景技術で説明した臭気除去における2つの除去方法に着目し、この2つの除去方法を実施するタイミングを特定し、そのタイミングに最適なオゾン濃度と送風量との制御を同時に行なう。
この脱臭器1は、筐体2と、吸着脱臭部(吸着部)3と、オゾン脱臭部(オゾン分解部)4と、送風機5と、制御ユニット6とを有する(図1および図2参照)。筐体2は、樹脂製の部材から成り、床面に立設可能な箱型形状を有する。筐体2は、その側部(設置状態にて床面に垂直な面)に吸込口21を有すると共に、その頂部に、回動自在に軸支された板状のルーバー23を備えた吹出口22を有する。また、筐体2の内部には、吸込口21から吹出口22に至る空気通路Rが形成されている。そして、この空気通路R上に吸着脱臭部3、オゾン脱臭部4および送風機5が配置されている。
吸着脱臭部3は、空気中の塵およびガス状臭気を吸着する機能を有する。この吸着脱臭部3は、筐体2内の空気通路R上であって、筐体2の吸込口21付近に配置される。なお、空気中の塵とは、例えば、空気中の粗ゴミや煙臭(微粒子)などをいう。空気中のガス状臭気とは、例えば、生ゴミ臭や糞便臭等の硫黄系臭気、汗臭や建材臭等のアルデヒド系臭気、体臭等の脂肪酸系臭気、屎尿臭等のアンモニア臭気などをいう。
この吸着脱臭部3は、例えば、集塵フィルタ31、触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33により構成され、これらが積層されて成る三層構造を有する(図2参照)。また、これらの脱臭フィルタ31〜33は、送風での上流側から集塵フィルタ31、触媒フィルタ32、活性炭フィルタ33の順に配列されて積層されている。
集塵フィルタ31は、プリーツ構造を有すると共に、空気中の粗ゴミや煙臭(微粒子)などを捕集する機能を有する。触媒フィルタ32は、空気中のガス状臭気を吸着して分解する機能を有する。この触媒フィルタ32は、例えば、アンモニア吸着特性を有するゼオライトが配合されているフィルタ、ホルムアルデヒド分解特性を有する金属酸化物を含むフィルタなどにより構成される。活性炭フィルタ33は、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残を一時的に溜め込む機能を有する。この活性炭フィルタ33は、例えば、活性炭が充填されたハニカム構造のフィルタ、アルデヒド系臭気の化学的吸着特性を有する薬品が添着されている活性炭、アンモニア等の塩基性臭気の化学的吸着特性を有する薬品が添着されている活性炭などにより構成される。また、この活性炭フィルタ33には、硫黄系臭気の分解作用を有する触媒が添着される。
オゾン脱臭部4は、オゾンにより空気中の臭気を分解する機能を有する。このオゾン脱臭部4は、筐体2内の空気通路R上であって吸着脱臭部3の下流側(筐体2の吹出口22付近)に配置される。また、オゾン脱臭部4は、ケース41と、オゾン発生部42とを含み構成される。ケース41は、紫外線非透過材料(例えば、金属材料)から成る箱型部材であり、空気とオゾンとの反応空間を構成する。また、ケース41は、空気の入口部411および出口部412を有する。オゾン発生部42は、ケース41内にオゾンを発生させる機能を有し、例えば、紫外線ランプにより構成される。このオゾン発生部42は、ケース41の入口部411付近に配置される。
また、オゾン脱臭部4内には、光触媒が配置されている。具体的には、ケース41の内壁面等に光触媒(例えば、酸化チタン)が塗布されている。この光触媒に紫外線が照射されるとケース41内に水酸基ラジカルが発生する。この水酸基ラジカルは、オゾンよりも酸化分解力が強いため、オゾンによる分解が困難なアンモニア臭の分解に有効である。
なお、紫外線ランプから成るオゾン発生部42は、(1)室内の温度や湿度あるいは気圧等の影響を受け難いのでオゾンの発生量を一定に維持できる、(2)空気中の埃などによる異常放電が生じ難い、(3)窒素酸化物などの有害物質を発生させない、(4)殺菌線ならびに酸化分解力の強い酸素ラジカルを発生するので脱臭に関して高い貢献度を有する。
送風機5は、送風により空気通路Rに空気を流通させる機能を有する。この送風機5は、例えば、シロッコファンにより構成され、吸着脱臭部3の下流側かつオゾン脱臭部4の上流側に配置される。
制御ユニット6は、オゾン脱臭部4のオゾン発生部42の駆動制御、送風機5の駆動制御、赤外線リモコンの受信、本体でのキー操作、各種状態を表示する表示機能、その他、脱臭器1の駆動に必要な制御を行う。
この脱臭器1では、稼働時にて送風機5が駆動されると、室内の空気が吸込口21から吸い込まれて吸着脱臭部3を通過する。この吸着脱臭部3では、高濃度臭気の脱臭処理が行われて空気中の強い臭気が除去される。具体的には、まず、吸着脱臭部3の集塵フィルタ31にて、空気中の粗ゴミや煙臭などが捕集される。次に、触媒フィルタ32にて、空気中のガス状臭気が吸着されて分解される。次に、活性炭フィルタ33にて、触媒フィルタ32を通過した空気中のガス状臭気の分解残が一時的に溜め込まれる。
なお、触媒フィルタ32および活性炭フィルタ33がハニカム構造を有することにより、これらを通過する空気中のガス状臭気が効率的に吸着される。また、触媒フィルタ32では、吸着されたガス状臭気の分解が行われるので、臭気成分の蓄積が抑制される。これにより、触媒フィルタ32での臭気成分の飽和が遅くなるので、フィルタ(吸着脱臭部3)の交換寿命が延びる利点がある。
次に、空気が送風機5を経てオゾン脱臭部4に送られる。このオゾン脱臭部4では、空気中の低濃度臭気の脱臭処理が行われて、吸着脱臭部3にて除去されなかった空気中の微少な臭気が除去される。具体的には、オゾン脱臭部4のケース41内にて、オゾン発生部42により生成されたオゾンと空気とが反応して、空気の脱臭処理が行われる。また、オゾン脱臭部4では、ケース41内の光触媒に紫外線が照射されるとケース41内に水酸基ラジカルが発生する。そして、この水酸基ラジカルにより空気中の臭気が分解されて、空気の脱臭処理が行われる。
次に、オゾン脱臭部4を通過した空気が筐体2の吹出口22から室内に放出されて還元される。この空気は、吸着脱臭部3およびオゾン脱臭部4での脱臭処理により、無臭に近い状態となっている。
ここで、室内に還元される空気には、低濃度オゾンが含まれている。この低濃度オゾンは、オゾン脱臭部4にて空気に混合され、脱臭処理された空気と共に室内に放出される。この低濃度オゾンにより、室内の壁、ソファ、家具、衣服などに染み付いた臭気が分解される。
また、この脱臭器1では、上記のように、オゾン脱臭部4の出口にて空気中のオゾンが低濃度に調整されて空気と共に室内へ放出される。このとき、オゾンの放出量が風量に応じて切り替えられるようになっている。
例えば、脱臭器1の稼働時にて送風機5の回転数(風量)が取得されており、送風機5の回転数が所定の閾値(例えば、大風量および小風量にかかる閾値)を越えた場合に、オゾン発生部42の点灯時間(例えば、点灯のON/OFF時間比)が所定の設定パターンに従って切り替えられる。また、点灯時間の切り替えは、制御ユニット6により自動的に行われる。
例えば、大風量での運転時には、室内に還元される空気の容積が大きいため、オゾン発生部42の点灯時間が長め(例えば、連続点灯)に設定されて、オゾンの発生量が多くなるように制御される。逆に、小風量での運転時には、室内に放出されるオゾンの量を規格値(例えば、労働衛生基準の0.1[ppm]あるいはIEC空気清浄機規格の0.05[ppm]など)以下とするために、オゾン発生部42の点灯時間が短め(点滅点灯)に設定される。
ここで、この脱臭器1では、オゾンの発生量(オゾン発生部42の点灯時間)が風量に応じて切り替えられる構成において、オゾンの発生量の切り替えに関連する設定パターン、つまり、運転モードを構成する設定パターンが複数かつ選択可能に設けられている。例えば、図5(A)のパワフルモードでは、オゾンの放出量と送風量とが通常モードよりも高めに設定されている。おり、逆に、通常モードでは、オゾンの放出量と送風量とがパワフルモードよりも低めに設定されている。そして、これらの設定パターンを組み合わせたモード、つまり運転モードがユーザーの操作や、制御部により(自動モードに設定された場合)任意に選択あるいは変更可能となっている。
このような構成では、例えば、脱臭器1が設置された部屋の環境(温湿度や広さなど)、オゾン臭に対する個人差(オゾン臭が気になるかどうか)などに応じて、ユーザーが設定パターン(運転モード)を切り替えて室内へのオゾン放出量を任意に調整できる。これにより、より快適な空気環境が提供される利点がある。なお、オゾンの放出量の設定パターンは、ユーザーが手動により行うことができる。
次に図4の脱臭器1の電気的なブロック図を用いて制御ユニット6の説明を行なう。
制御ユニット6は、商用電源から脱臭器1に必要な直流電圧を生成する電源部66と、同電源部66から出力される直流電圧を入り切りするスイッチ部61と、同スイッチ部61を経由した直流電圧をUVランプ77(紫外線ランプ)を駆動できる電圧に昇圧するインバータ部62と、赤外線によるリモコン信号を受信するリモコン受信部67と、脱臭器1に備えられた操作キーからなる操作部68と、臭気の濃度を測定するガスセンサ69と、ファンモータ78を駆動するモータ駆動部63と、LED表示により脱臭器1の状態を表示する表示部64と、リモコン受信部67と操作部68とガスセンサ69からの信号を入力すると共に、スイッチ部61とモータ駆動部63と表示部64とに制御信号を出力するマイコンからなる制御部65とで構成されている。
そして電源部66には、一端が商用電源に接続される電源コード76の他端が接続され、また、インバータ部62には、昇圧された電圧で紫外線を放射するUVランプ77が、さらに、モータ駆動部63にはファンモータ78がそれぞれ接続されている。
制御部65は、リモコン受信部67や操作部68でユーザーが指示した運転モードに従って、ガスセンサ69で検出した臭気の程度に対応して、ファンモータ78の回転数(送風量)とUVランプ77の点灯/消灯時間(オゾン発生量)を制御する。ファンモータ78はPWM制御により、回転数をリニアに制御し、また、UVランプ77に対しては、スイッチ部61へON/OFF信号を出力し、これと対応してインバータ部62へ供給する電圧を入り切りする。従って、UVランプ77の点灯は間欠制御されることになる。
前述したように、この脱臭器1では、放出されるオゾンがオゾン脱臭部4にて生成される。このため、放出されるオゾンの濃度がオゾン脱臭部4のオゾン発生部42、つまり、UVランプ77の駆動制御により調整される。例えば、風量に応じてオゾン発生部42の出力(紫外線ランプの点灯時間)が制御されて、オゾンの発生量が調整される(例えば、小風量の場合には、紫外線ランプの点灯時間を短くする制御が行われる)。また、オゾン脱臭部4の各出口部412にオゾンを分解してオゾンの通過を制限するオゾン分解触媒413が配置され、このオゾン分解触媒413の作用を加味して放出されるオゾン濃度(低濃度オゾン濃度)が規制される。
次に図5と図6とを用いて本発明である脱臭装置の制御方法を用いた脱臭運転モード(以下、衣服脱臭モードと呼称)について説明する。図5は脱臭器1の各動作モードで使用する送風量とオゾンの放出量との設定パターンを示しており、図5(A)は従来のモードを、また、図5(B)は衣服脱臭モードをそれぞれ示している。
図6(A)は、従来のモードの1つであるパワフルモードでの、風量とオゾン送出量と吹出口付近のオゾン濃度のそれぞれの変化を示すタイムチャートである。また、図6(B)は、衣服脱臭モードでの風量とオゾン放出量と吹出口付近のオゾン濃度のそれぞれの変化を示すタイムチャートである。
背景技術で説明したように、衣服脱臭における従来の方法は、図5(A)のパワフルモードで示すように、送風を大風量として、さらにオゾン放出量が多くなるように設定している。この状況を図6(A)を用いて説明する。なお、図6の各モードのタイムチャートの説明において、対応するモード以外のタイミングでは、図5(A)における通常のモード(脱臭器の運転において最も多用される設定パターン〜中風量でオゾン放出量が普通)で動作しているものとして記載している。
図6(A)のパワフルモードは、T1とT2との2つの期間で構成され、このモードの期間(T1とT2の期間)、風量を『大風量』としている。また、オゾンの放出量はT1の期間のみ『多い』にし、T2の期間は『少ない』にしている。このように、パワフルモードの終了前のT2の期間にオゾンの放出量を『少ない』(放出しないを含む)にしており、通常のモードへの移行に先立って、オゾン濃度を低減させるようになっている。さらに、このパワフルモードでは、そのモードにおけるほとんどの時間をオゾン濃度が高いまま推移するように制御している。
一方、図5(B)、図6(B)に示す衣服脱臭モードは、初期(T1)と中期(T2)と終期(T3)との期間で構成されており、送風量はこの期間順に従って、『大風量』、『小風量』、『大風量』に設定され、オゾンの放出量はこの期間順に従って、『多い』、『多い』、『少ない』に設定されている。なお、このT1〜T3は、衣服脱臭モードにおいて制御部65が実施する制御の第一段階〜第三段階と対応している。
このように衣服脱臭モードの中期(T2)の期間に、送風量が『小風量』となるように制御しているため、オゾン濃度が初期(T1)に比較して高くなる。なお、終期(T3)については、パワフルモードのT2と同じ動作のため、説明を省略する。また、衣服脱臭モードの中期(T2)の期間にオゾン濃度が比較的高くなるが、この濃度は吹出口近辺でのオゾン濃度であり、室内のオゾン濃度が高くなる訳ではない。従って、前述のように室内に放出されるオゾンの濃度が各国で規制される規格値を越えることがない。
なお、図6(B)に示す衣服脱臭モードにおけるT1ではオゾンの放出量を、『多い』となるように制御しているが、脱臭器の使用者によってはオゾンが苦手な人もいいるため、このタイミングで必ずしもオゾンの放出量を『多い』とする必要はなく、『普通』や『少ない』、または、全く放出しなくてもよい。ただし、後述するように、オゾンの放出量を『多い』とした場合に比較して脱臭効果は低下する。
また、パワフルモードのT2や衣服脱臭モードにおけるT3では、オゾンの放出量を『少ない』にしているが、この場合、全く放出しないようにしてもよい。
図7は衣服に付着した臭気が減衰する4つの場合の様子を表したグラフであり、縦軸が付着臭の強さ(官能試験による結果)を表し、横軸が時間を表している。4つの場合とは、何も手を加えないで自然に臭気が減衰する『自然減衰』の場合と、脱臭器によるオゾンの付加がない送風(大風量)である『送風のみ』の場合と、『従来のパワフル脱臭』の場合と、本実施例で説明した『衣服脱臭モード』の場合とである。
図7を参照すると、『自然減衰』の場合よりも『送風のみ』の場合が、脱臭スピードと脱臭効果とが高いことが読み取れる。また、『送風のみ』の場合よりも『従来のパワフル脱臭』の場合が、脱臭スピードと脱臭効果とがさらに高いことが読み取れる。そして、『従来のパワフル脱臭』の場合よりも『衣服脱臭モード』の場合が、脱臭スピードと脱臭効果とがさらに一段と高いことが読み取れる。
これは背景技術の項で説明したように、『従来のパワフル脱臭』の場合のように、強風での送風を行なうと、大量のオゾンを発生させても衣類の周辺でオゾンの濃度が低下してしまい、十分な脱臭効果が得られない問題を解決するため、『従来のパワフル脱臭』のT1の期間を『衣服脱臭モード』のT1とT2との期間に分割し、T2の期間にオゾン濃度を比較的高くなるように、風量とオゾン放出量とを制御したためである。
『従来のパワフル脱臭』の場合のように連続動作を行なっていると、衣服に付着した付着臭の濃度と送風による清浄空気との濃度差が小さくなり、臭気の減衰が頭打ちとなる。本発明ではこの臭気の減衰が頭打ちとなるタイミングからT2の期間に切り替え、オゾンの送出量はそのまま『多い』を維持しながら、風量を『小風量』に制御している。この結果、吹出口近辺でのオゾン濃度は『高い』から『比較的高い』状態になる。
このため、衣服の周囲のオゾン濃度は『比較的高い』状態になり、オゾンによる酸化分解による脱臭を促進させることができ、『従来のパワフル脱臭』と同じ時間だけ『衣服脱臭モード』を動作させれば、脱臭効果を増加させることができる。一方、このように脱臭効果を増加させることができるため、『従来のパワフル脱臭』と同じ同じ効果が得られるまでの時間が短くなり、結果的に脱臭にかかる時間を短くすることもできる。
なお、上記の図6、図7における『衣服脱臭モード』のデータは以下の試験条件で行なった結果である。
試験室:8畳であり、送風量:『大風量』の場合で3立方メートル/分、『小風量』の場合で1立方メートル/分である。また、オゾン送出量:『多い』の場合で5.8ミリグラム/時間、『少ない』場合で0ミリグラム/時間である。
なお、吹出口付近のオゾン濃度は、衣服脱臭モードのT1の場合で0.015ppm、衣服脱臭モードのT2の場合で0.045ppm、また、オゾン送出量が0ミリグラム/時間の場合は0.0ppmとなる。また、T1:2時間、T2:6時間、T3:30分 である。
次に図8のフローチャートを用いて、制御部の『衣服脱臭モード』での処理内容を説明する。なお、このモードの選択は他のモードと同様に赤外線リモコンや本体の操作キーで指定することができる。図8において、STはステップを、その後に続く数字はステップ番号をそれぞれ示し、YはYesを、NはNoをそれぞれ表す。
まず、『衣服脱臭モード』がユーザーの操作により選択されると制御部65は、送風量を『大風量』とするため、モータ駆動部63に指示を出し、ファンモーター78の回転数を高く(高速回転)する(ST1)。そして、オゾンの放出量を『多い』にするため、スイッチ部61へON信号を送出し(ST2)、インバータ部62へ電源部66の電源を連続供給させ、UVランプ77を連続点灯させる。
次にT1に時間が経過したか確認し(ST3)、経過しない場合は(ST3−N)、ST3へジャンプし、経過した場合は(ST3−Y)、送風量を『小風量』とするため、モータ駆動部63に指示を出し、ファンモーター78の回転数を低く(低速回転)する(ST4)。
次にT2に時間が経過したか確認し(ST5)、経過しない場合は(ST5−N)、ST5へジャンプし、経過した場合は(ST5−Y)、送風量を『大風量』とするため、モータ駆動部63に指示を出し、ファンモーターの回転数を高く(高速回転)する(ST6)。そして、オゾンの送出量を『少ない』にするため、スイッチ部61へOFF信号を送出する(ST7)。
前述のようにオゾンの送出量は一定周期のON/OFF信号を送出することで行なわれており、ONの時間をOFFの時間より短くすることでオゾンの発生量を少なくする。
なお、オゾンの送出を停止(最もオゾンの送出量が『少ない』)する場合は、完全にOFF信号のみとする。また、この周期のON時間とOFF時間とが同じ場合、オゾンの送出量が多くでも少なくでもない『普通』の送出量となる。さらに、オゾンの送出を最大量(最もオゾンの送出量が『多い』)とする場合は、完全にON信号のみとする。
次に、T3に時間が経過したか確認し(ST8)、経過しない場合は(ST8−N)、ST8へジャンプし、経過した場合は(ST8−Y)、処理を終了する。
本実施例では、『衣服脱臭モード』のT1、T2の順で送風とオゾン送出を制御している。これは臭気が強い場合にはオゾン濃度を高めてもあまり脱臭効果がなく、先に送風による脱臭を行なって臭気を低減させ、その後、オゾンによる酸化分解による脱臭を行った方が脱臭効果が高いからである。
なお、本実施例では衣服を脱臭の対象として説明しているため、『衣服脱臭モード』と呼称しているがこれに限るものでなく、カーテンやペット用品、寝具や履物など幅広く応用可能であるため、本実施例での制御方法を他の名称で呼称してもよい。
また、本実施例では脱臭装置を脱臭器に搭載した場合の制御方法として説明しているが、これに限るものでなく、エアコンや空気清浄器などに搭載した脱臭装置の制御方法として幅広く応用できる。
本発明による脱臭器の実施例を示す斜視図である。 本発明による脱臭器の実施例を示す側面断面図である。 吸着脱臭部を示す組立斜視図である。また、脱臭器を用いた衣服脱臭における形態も示している。 制御ユニットを示すブロック図である。 動作モード毎の設定パターンを示す表であり、(A)は従来のモードを、(B)は衣服脱臭モードをそれぞれ示している。 動作モードを示すタイムチャートであり、(A)は従来のパワフルモードを、(B)は衣服脱臭モードをそれぞれ示している。 衣服を脱臭する複数の方法の効果を比較するグラフである。 本発明による衣服脱臭モードにおける制御部の処理を説明するフローチャートである。 従来の脱臭器を示す斜視図である。 従来の脱臭器の制御方法を示すタイムチャートであり、(A)は送風量を、(B)はオゾン発生器の電源状態を、(C)はオゾン濃度をそれぞれ示している。
符号の説明
1 脱臭器
2 筐体
3 吸着脱臭部
4 オゾン脱臭部
5 送風機
6 制御ユニット
21 吸込口
22 吹出口
23 ルーバー
31 集塵フィルタ
31 脱臭フィルタ
32 触媒フィルタ
33 活性炭フィルタ
41 ケース
42 オゾン発生部
61 スイッチ部
62 インバータ部
63 モータ駆動部
64 表示部
65 制御部
66 電源部
67 リモコン受信部
68 操作部
69 ガスセンサ
76 電源コード
77 UVランプ
78 ファンモータ
411 入口部
412 各出口部
412 出口部
413 オゾン分解触媒

Claims (2)

  1. 空気の吸込口および吹出口と、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路に備えられた脱臭部と送風ファンとオゾン発生器と、前記送風ファンの回転数と前記オゾン発生器でのオゾン発生量とを制御する制御部とを備え、前記送風ファンは、高速、中速、低速で回転可能であり、前記吹出口から前記オゾン発生器で発生したオゾンを含んだ空気を放出可能な脱臭装置の制御方法において、
    前記送風ファンを高速で回転させて、前記脱臭部で臭気を除去した空気を脱臭対象物に対して大風量で送風した後、前記脱臭部で臭気を除去した空気に対し前記オゾン発生器でオゾンを発生させると共に、前記送風ファンを低速で回転させて、脱臭対象物に対して小風量で送風し、さらに、前記送風ファンを高速で回転させて大風量で送風すると共に、前記オゾン発生器でのオゾン発生量を減少させるように、前記制御部が前記送風ファンと前記オゾン発生器とを制御することを特徴とする脱臭装置の制御方法。
  2. 前記送風ファンを高速で回転させて、前記脱臭部で臭気を除去した空気を脱臭対象物に対して大風量で送風する際に、前記脱臭部で臭気を除去した空気に対し、前記オゾン発生器でオゾンを発生させるように、前記制御部が前記オゾン発生器を制御することを特徴とする請求項1記載の脱臭装置の制御方法。
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