JP5038692B2

JP5038692B2 - レトルト食品用容器

Info

Publication number: JP5038692B2
Application number: JP2006322063A
Authority: JP
Inventors: 順一萩野
Original assignee: 株式会社パックス
Priority date: 2006-04-06
Filing date: 2006-11-29
Publication date: 2012-10-03
Anticipated expiration: 2026-11-29
Also published as: EP1845031B1; US20070237913A1; EP1845031A1; KR20070100093A; JP2007276876A; US7582340B2; TW200740668A

Description

この発明はレトルト食品用容器に関し、詳しくは、電子レンジにて調理可能なレトルト食品用容器に関する。

レトルト食品は、多くの長所を有している。例えば、気密性のある容器に封入され、加圧・加熱殺菌されて衛生的であるため、長期保存が可能であり、しかも、使用時には湯に浸漬するなどすることによって加温が容易であり、調理が楽である。このような長所を有していることから、その使用量は多い。

加温する際に電子レンジを用いると、一層短時間に処理できる。しかも、省エネルギーにもなる。そのため、レトルト食品用容器を加温するのに、電子レンジを使用することも多く行われている。

電子レンジに使用できるレトルト食品用容器としては、内容物を収容した容器本体の上面開口部に、酸素遮断性に優れた塩化ビニリデンなどの樹脂を挟んだラミネートフィルムを熱融着して封入したものが一般的である（例えば、特許文献１）。その場合、機密性のあるレトルト食品用容器を加温すると、容器が破裂して内容物が飛び出すため、加温前にフォークなどを用いて予め容器の数か所に孔を空けることが行われている。また、加温を数回に分けることも行われている。つまり、容器のトップシール（易開封シール部）を剥離して、内容物を撹拌した後、カバーフィルムでソー被覆し加温した後、再度容器を電子レンジから取り出し、容器内の内容物を撹拌し、再度電子レンジで加温することも、しばしば行われている。このような場合は、容器に孔を空ける面倒な作業、更には撹拌作業を必要とし、孔の空け方によっては、内容物が孔から飛び出すこともあり、好ましいものではなかった。

そのような孔空け作業を要しないように、加温前に容器のシールを一部剥がしてから電子レンジで加温するレトルト食品用容器が製造されている。このレトルト食品用容器は、予めシールの特定箇所を剥がし易いように、易開封処理がなされている。この易開封処理は、例えば、容器本体と熱融着しているラミネートフィルムの一端にスリットを予め入れておき、接着剤を兼ねた特殊インクで密閉する方式が採用されている。

しかしながら、この方式では、容器本体に収容する内容物が、液状物であったり、ガス置換包装物であったりする場合、消費市場に搬送する途中でスリットから漏洩することがあり、必ずしも好ましいものではなかった。しかも、易開封処理をするため、容器自体の製造コストも高くならざるを得ない。

特開２０００−３１３４８０号公報

そこで、本発明の目的は、易開封処理を行う必要がなく、それでいて容器本体に収容する内容物が、液状物やガス置換包装物である場合でも、漏洩を確実に防止でき、しかも電子レンジで加温する際に、加温に従いラミネートフィルムが急激に破裂するのを防止できるレトルト食品用容器を提供することにある。

上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るレトルト食品用容器の特徴構成は、上面が開口されており、この開口の縁部に張出縁部を有していると共に、有底かつ略筒状をして、内部に内容物を収容可能になっている容器本体と、前記張出縁部に熱融着可能になっていて、前記内容物を収容した前記容器本体の開口をシール可能であるカバーフィルムとを有するレトルト食品用容器において、前記張出縁部に連なる位置に、前記カバーフィルムが熱融着されず、加温された際に、前記カバーフィルムとの間で小空間が形成される小空間部が設けられていて、前記カバーフィルムが、ラミネートフィルムからなるとともに、前記小空間部を覆う箇所のカバーフィルムのフィルム間に、加温され内圧が高まると容易に剥離可能で衛生上悪影響を及ぼさない接着性のプリンティングラッカーが、前記小空間部を覆う位置から前記張出縁部に至るまで塗布され、破断容易箇所が形成され、前記小空間部が、前記張出縁部から内側に張り出す凸部と前記カバーフィルムとの間に設けられていることにある。

このように構成されていると、電子レンジによる加温時間が短くなると共に、電子レンジで加温して内圧が高まった場合、小空間部に内圧が集中し、この部分を覆う箇所に形成された破断容易箇所のみが破断する。具体的には、小空間部を覆うカバーフィルムは熱融着されていないため、使用時に加温されカバーフィルムが内圧の高まり膨張し始めると、この箇所には小空間が形成され、更に内圧が高まると、形成された小空間に内圧が集中し、この部分のフィルムが破壊されて破断容易箇所となる。従って、ラミネートフィルムの一端にスリットを入れておく必要がなく、それでいて電子レンジで加温する場合に、カバーフィルムの破断容易箇所から容易かつ確実に蒸気が逃散するので、カバーフィルムが急激に破裂することがない。すなわち、加温前にフォークなどを用いて、予め容器の数か所に孔を空ける作業や撹拌作業の必要がなく、そのまま本発明のレトルト食品用容器を電子レンジに投入して、好ましい状態に加温し、短時間に調理できる。しかも、スリットを形成していないので、内容物が液状物やガス置換包装物であっても、搬送中にこれらが漏れるおそれがない。また、小空間部を覆う箇所のカバーフィルムのフィルム間に、加温され内圧が高まると容易に剥離可能で衛生上悪影響を及ぼさない接着性のプリンティングラッカーが塗布されることによって、容器本体から容易に蒸気が逃散でき、しかも内容物が食品である場合に都合がよい。さらに、プリンティングラッカーが小空間部を覆う位置から張出縁部に至るまで塗布されることによって、小空間部を覆う箇所に容易かつ確実に破断容易箇所を形成できる。

その結果、易開封処理を行う必要がなく、それでいて容器本体に収容する内容物が、液状物やガス置換包装物である場合でも、漏洩を確実に防止でき、しかも電子レンジで加温する際に、加温に従いラミネートフィルムが急激に破裂するのを防止できるレトルト食品用容器を提供することができた。

前記カバーフィルムが、少なくとも最表面層と、遮蔽層と、内層とを有するラミネートフィルムであって、前記遮蔽層が酸素遮断性を備えていることが好ましい。

この構成によれば、本発明のレトルト食品用容器を長期間保存ができて都合がよい。

前記カバーフィルムのフィルム間に、加温され内圧が高まると容易に剥離可能で衛生上悪影響を及ぼさない接着性のプリンティングラッカーが塗布されて前記フィルム間を貼着していることが好ましい。

この構成によれば、容器本体から容易に蒸気が逃散でき、しかも衛生上悪影響を及ぼさないプリンティングラッカーであるため、内容物が食品である場合に都合がよい。

前記プリンティングラッカーが、各種穀物澱粉、ガラクトマンナンなどの天然物由来の各種多糖類、コーンプロティン、アルブミン、ゼラチン等の蛋白質、天然ガム質、シェラック、グリセリン又はこれらを配合した混合物であることが好ましい。

この構成によれば、加温され内圧が高まって始めて剥離する程度の適度な接着力があり、衛生上悪影響を及ぼさないので都合がよい。

前記小空間部が、前記張出縁部から内側に張り出す凸部と前記カバーフィルムとの間に設けられていて、前記プリンティングラッカーが、前記容器本体の凸部を覆う位置から張出縁部に至るまで塗布されていることが好ましい。

この構成によれば、容器本体に凸部を形成するのは、真空成形法、圧空成形法などによって容易に成形でき、量産するのに都合がよく、容器を安価に生産できる。しかも、小空間部を覆う箇所に容易かつ確実に破断容易箇所を形成できる。

前記容器本体の張出縁部から複数の凸部が内側に向けて形成されていて、前記小空間部が、複数の前記凸部とカバーフィルムとの間隙箇所、及びこれら凸部どうしの間と前記カバーフィルムとの間隙箇所に設けられていてもよい。

この構成によっても、真空成形法、圧空成形法などによって容器を安価に生産でき、しかも、小空間部を覆う箇所に容易かつ確実に破断容易箇所を形成できる。

本発明にかかるレトルト食品用容器の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図１はレトルト食品用容器本体の平面構造を示す。

このレトルト食品用容器１は、図１，２に示すように、上面開口部に沿った張出縁部１ａを有する有底かつ略円筒状をした樹脂製容器本体１と、この容器本体１内に収容した、食品などの内容物２を被覆するように張出縁部１ａに熱融着されたカバーフィルム３とから構成されている。

容器本体１は、ポリプロピレンのような樹脂からなっており、ブロー成形法などによって製造され、内容物２を収容可能に深い凹所を有する。もっとも、容器本体１の成形方法は特に限定されない。

更に、この容器本体１は、容器本体の内側に突出し、張出縁部１ａと略同一平面となる平滑な上面を備えた凸部１ｂを有していて、この凸部１ｂにはカバーフィルム３が熱融着されていない。従って、使用時に加温されカバーフィルム３が内圧の高まり膨張し始めると、この箇所には小空間が形成される。加温されるに伴い、更に内圧が高まると、形成された小空間に内圧が集中し、この部分のフィルムが破壊されて破断容易箇所となり、後述するように、加温によって発生した蒸気は容易に逃散できる。その結果、内圧の高まりによって、カバーフィルムが瞬時に破壊し、内容物が容器本体から飛び出すことがない。従って、凸部１ｂとカバーフィルム３との間隙が、加温された際、張出縁部１ａに連なる位置に小空間が形成される小空間部となる。

カバーフィルム３は、複数種のフィルムが積層されたラミネートフィルムから構成されている。このラミネートフィルム３の中心部は、酸素遮断性の高い塩化ビニリデンフィルムなどである遮蔽層３ｂが配置されている。遮蔽層３ｂの両面の内、最表面側には印刷性のよいナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルム、ＯＰＰフィルムなどである最表面層３ａが配置され、容器本体と熱融着される側には、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等からなる内層３ｃが配置された多層フィルム構造となっている。もとより、この組み合わせ以外にも、種々の構成が考えられるが、少なくとも最表面層３ａと、遮蔽層３ｂと、内層３ｃとを有することが好ましい。また、内層３ｃは最表面層３ａ、遮蔽層３ｂよりも厚みが薄く破断し易い材質となっている。更に、カバーフィルム３は、電子レンジで調理できる材料であることが必要である。

容器本体の凸部１ｂを覆う遮蔽層３ｂと内層３ｃの間には、加温され内圧が高まると容易に剥離し接着性を有するプリンティングラッカー４が塗布され、遮蔽層３ｂと内層３ｃを貼着している。すなわち、このプリンティングラッカー４は、図１において一点鎖線で表すように、容器本体の凸部１ｂを覆う位置から張出縁部１ａに至るまで貼着されている。このプリンティングラッカー４は、衛生上、なんら問題がないだけでなく、容器本体の内圧の高まりによって容易に剥離する。プリンティングラッカーの塗布方法は、特に限定されるものではなく、従来がから知られている各種印刷法を適用できる。

プリンティングラッカー４は、ある程度の粘性を有していればよく、強い接着強度を必要としない。つまり、電子レンジにて加温する際、容器本体の内圧の高まりに応じて容易に剥離する程度の接着強度であることが好ましい。そのようなプリンティングラッカー４としては、各種穀物澱粉、ガラクトマンナンなどの天然物由来の各種多糖類、コーンプロティン、アルブミン、ゼラチン等の蛋白質、天然ガム質、シェラック、グリセリン又はこれらを適宜配合した混合物などを使用することができる。

ラミネートフィルム３と容器本体１とは、内容物を容器本体１内に収容した後、インパクトシーラー等の装置を用いて熱融着されシールされる。その後、所定の条件によって加熱され、内容物の殺菌が行われる。

次に、本実施形態に係るレトルト食品用容器を電子レンジで加温する場合を、図２，３を参照して説明する。

図２は、内容物を収容した加温する前のレトルト食品用容器の状態を表す。このレトルト食品用容器を電子レンジにて加温すると、内圧の高まりに応じて、カバーフィルムが膨張し始める。

そして、図３に示すように、容器本体の凸部１ｂとこれを覆うカバーフィルム３との間に小空間が形成され、容器本体１の他の場所に比べて内圧が高まり、内層３ｃが破れる。これと略同時的に、プリンティングラッカー４の塗布された箇所が剥離し、容器本体１内部の蒸気は速やかに外部に逃散する。従って、カバーフィルム３が急激に破裂して、内容物が電子レンジ内に飛び出し散逸することがない。しかも、このレトルト食品用容器は、従来技術のようなスリットを入れていないので、内容物が液状物であったり、ガス置換包装物であったりした場合でも、搬送途中で内容物が漏洩することがない。
〔別実施の形態〕
（１）上記実施形態では、容器本体の上面開口が略円形であったが、図４に示すように、容器本体１０の上面開口が略楕円形をしていて、２個の凸部１０ｂが容器本体１０の張出縁部１０ａから内側に向けて形成されていてもよい。このようにしても、上記した実施形態と同様に、内容物が電子レンジ内に飛び出し散逸することがない。凸部１０ｂの数は、これに限定されるものではなく、更に増やしてもよい。凸部１０ｂの形状も、図４に示す形状に限られず、角状、円弧状などであってもよい。

この場合、張出縁部１０ａに連なる位置に小空間が形成される小空間部は、２個の凸部１０ｂとカバーフィルムとの間隙箇所、及び２個の凸部１０ｂどうしの間とカバーフィルムとの間隙箇所が相当する。

〔参考となる実施形態〕
本発明の参考として、図５および６に例示するような実施形態を挙げる。
（１）図５に示すように、容器本体２０の上面開口が略楕円形をしていて、容器本体２０の張出縁部２０ａの一部に凹部２０ｂが形成されていてもよい。このようにしても、上記した実施形態と同様な効果を発揮する。この場合、張出縁部に連なる位置に小空間が形成される小空間部は、図５の引き出し円に断面構造を示すように、凹部２０ｂとカバーフィルムとの間隙箇所が相当する。また、容器本体２０の上面開口は、円形であってもよい。

（３）更に、図６に示すように、容器本体３０の上面開口が略角形をしていて、その対角隅部の２箇所における容器本体３０の張出縁部３０ａの一部に、凹部３０ｂが形成されていてもよい。もとより、凹部３０ｂは、対角隅部の１箇所のみであってもよいし、更に凹部の数を増やしてもよい。このようにしても、上記した実施形態と同様な効果を発揮する。この場合、張出縁部に連なる位置に小空間が形成される小空間部は、図６の引き出し円に断面構造を示すように、２箇所の凹部３０ｂとカバーフィルムとの間隙箇所が相当する。

本発明の一実施形態に係るレトルト食品用容器本体の平面図図１のレトルト食品用容器の加温前の状態を示す正面図図１のレトルト食品用容器の加温後の状態を示す正面図別実施形態のレトルト食品用容器本体の平面図更に別実施形態のレトルト食品用容器本体の平面図更に別実施形態のレトルト食品用容器本体の平面図

符号の説明

１容器本体
１ａ張出縁部
１ｂ凸部
２内容物
３カバーフィルム
３ａ最表面層
３ｂ遮蔽層
３ｃ内層
４プリンティングカラー
１０容器本体
１０ａ張出縁部
２０容器本体
２０ａ張出縁部
２０ｂ凹部
３０容器本体
３０ａ張出縁部
３０ｂ凹部

Claims

上面が開口されており、この開口の縁部に張出縁部を有していると共に、有底かつ略筒状をして、内部に内容物を収容可能になっている容器本体と、
前記張出縁部に熱融着可能になっていて、前記内容物を収容した前記容器本体の開口をシール可能であるカバーフィルムとを有するレトルト食品用容器において、
前記張出縁部に連なる位置に、前記カバーフィルムが熱融着されず、加温された際に前記カバーフィルムとの間で小空間が形成される、小空間部が設けられていて、
前記カバーフィルムが、ラミネートフィルムからなるとともに、
前記小空間部を覆う箇所のカバーフィルムのフィルム間に、加温され内圧が高まると容易に剥離可能で衛生上悪影響を及ぼさない接着性のプリンティングラッカーが、前記小空間部を覆う位置から前記張出縁部に至るまで塗布され、破断容易箇所が形成され、前記小空間部が、前記張出縁部から内側に張り出す凸部と前記カバーフィルムとの間に設けられているレトルト食品用容器。
前記容器本体の張出縁部から複数の凸部が内側に向けて形成されていて、前記小空間部が、複数の前記凸部とカバーフィルムとの間隙箇所、及びこれら凸部どうしの間と前記カバーフィルムとの間隙箇所に設けられている請求項１に記載のレトルト食品用容器。
前記カバーフィルムが、少なくとも最表面層と、遮蔽層と、内層とを有するラミネートフィルムであって、前記遮蔽層が酸素遮断性を備えている請求項１または２に記載のレトルト食品用容器。
前記プリンティングラッカーが、各種穀物澱粉、ガラクトマンナンなどの天然物由来の各種多糖類、コーンプロティン、アルブミン、ゼラチン等の蛋白質、天然ガム質、シェラック、グリセリン又はこれらを配合した混合物である請求項１〜３のいずれかに記載のレトルト食品用容器。