以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図11を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示した図である。
図1において、本実施の形態の表面検査装置は、被検査体であるウエハ1を表面検査装置に出し入れするためのインタフェース部である1つ以上(例えば2つ)のロードポート100と、表面検査装置内においてウエハ1を搬送する搬送部200と、ウエハ1の粗位置補正を行うプリアライメント部300と、ウエハ1の表面検査(欠陥検出)を行う検査部400と、表面検査装置全体の制御機能を有するデータ処理部500とを備えている。
ロードポート100は、被検査体であるウエハ1を収納したウエハポッド110を載置し、このウエハポッド110内に収納されたウエハ1を表面検査装置に出し入れするインタフェース部であり、ウエハ1を表面検査装置に出し入れするゲートバルブ120を備えている。
ウエハポッド110は、検査対象である複数のウエハ1を埃等の異物から隔離して収納する収納容器であるとともに、表面検査装置やその他の半導体製造装置間においてウエハ1を搬送する搬送容器でもある。ウエハポッド110は、ウエハ1を出し入れする開閉部(図示せず)を有しており、この開閉部をロードポート100のゲートバルブ120と気密性を保持して接続することにより、表面検査装置内及びウエハポッド110内への埃等の異物の侵入を抑制しつつ、ウエハ1の出し入れを行うことができる。
ロードポート100におけるウエハポッド110の載置位置近傍には、ウエハポッド110内のウエハ1の有無や位置を検出するセンサ(図示せず)が設けられており、ウエハポッド110内のウエハ1の配置状況を検出し、その情報をデータ処理部500(後述)に出力する。
搬送部200は、ウエハ1を保持して移動させるハンドリングアーム220と、ハンドリングアーム220を駆動する駆動手段(図示せず)と、ハンドリングアーム220を搬送する搬送手段210とを備えている。搬送部200は、ハンドリングアーム220によりウエハ1を保持し、ロードポート100のウエハポッド110、プリアライメント部300、及び検査部400(後述)の間を搬送する。
プリアライメント部300は、ウエハ1を載置する載置部310と、載置部310に載置されたウエハ1の外周(エッジ)位置、及びウエハ1の方向の基準となるノッチ位置を検出するセンサ320とを備えている。プリアライメント部300は、載置部310に載置されたウエハ1の外周位置及びノッチ位置をセンサ320により検出し、ウエハ1の中心位置及びウエハ1の方向を予め定めた位置及び方向に調整する粗位置補正(プリアライメント)を行う。
図2は、表面検査装置の検査部400の詳細を示す側面図である。
図2において、検査部400は、ウエハ1を保持する保持機構410と、保持機構410を駆動し、ウエハ1の位置調整を行うウエハ駆動手段470と、ウエハ1の表面(被検査面)に光ビーム458を照射する光照射部450と、ウエハ1からの散乱光459を検出する1つ以上(例えば2つ)の光検出器460a,460bとを備えている。
ウエハ駆動手段470は、保持機構410を周方向に回転駆動する回転駆動機構420と、回転駆動機構420を保持し、上下方向(垂直方向)に駆動する昇降駆動機構430と、昇降駆動機構430を保持し、水平方向に駆動する進退駆動機構440とを備えている。
回転駆動機構420は、例えばスピンドルモータ等の回転装置であり、エンコーダ等からなる回転角度検出器(図示せず)を備えている。また、昇降駆動機構430及び進退駆動機構440は、それぞれ上下方向(垂直)位置、及び水平方向位置を検出する垂直位置検出器(図示せず)及び水平位置検出器(図示せず)を備えている。ウエハ駆動手段470の各検出器(回転角度検出器、垂直位置検出器、水平位置検出器)で検出された検出信号(角度データ、位置データ)は、データ処理部500に入力される。
ウエハ駆動手段470は、ウエハ1を回転駆動しつつ、水平駆動することにより、光照射部450から照射される光ビーム458をウエハ1の表面(被検査面)に螺旋状、又は同心円状に走査させる。
図3は、光照射部450の詳細を示す平面図であり、図4は図3に示した光照射部450のA−A線断面図である。
図3及び図4において、光照射部450は、光ビーム458を発生させるレーザ光源451と、光ビーム458の強度(エネルギー密度)を調整するアッテネータ453と、光ビーム458の光軸を補正する光軸補正機構454と、光ビーム458の遮断又は通過を切り換えるシャッタ452と、光ビーム458の断面形状(光径、形状)を成形する2つのビーム成形機構456a,456bと、光ビーム458の進行方向をビーム成形機構456aとビーム成形機構456bのいずれか一方に切り換える照射方向切換機構455と、光ビーム458を反射し、その進行方向を変える複数のミラー457a〜457gと、光ビーム458をウエハ1の表面(被検査面)に対して斜方から照射する出射部700aと、光ビーム458をウエハ1の表面(被検査面)に対して略垂直に照射する出射部700bとを備えている。
レーザ光源451から照射された光ビーム458は、ミラー457aにより反射され、アッテネータ453によりエネルギー密度を調整され、光軸補正機構454により光軸を補正され、シャッタ452を通過し、ミラー457bにより反射されて照射方向切換機構455に入射される。
照射方向切換機構455により、光ビーム458の進行方向がビーム成形機構456a側に切り換えられると、光ビーム458はミラー457cにより反射され、ビーム成形機構456aを通過して成形され、ミラー457d,457eにより反射されて、出射部700aのミラー457fに反射されてウエハ1の表面(被検査面)に照射される。また、照射方向切換機構455により、光ビーム458の進行方向がビーム成形機構456b側に切り換えられると、光ビーム458はビーム成形機構456bを通過して成形され、出射部700bのミラー457gに反射されてウエハ1の表面(被検査面)に照射される。
出射部700aのミラー457fには、角度を調整する駆動機構(図示せず)を備えられており、この駆動機構によりミラー457fの角度を調整することにより、ウエハ1の表面(被検査面)における法線と出射部700aからウエハ1の表面(被検査面)に照射される光ビーム458の光軸の成す角度(照射角度)θiが調整される。
図5〜図7は、同様の構成を有する複数の光検出器460a,460bのうち、光検出器460aを代表して示す図である。
図5において、光検出器460aは、ウエハ1の表面(被検査面)における光ビーム458の照射部からの散乱光を集光するレンズ461と、レンズ461により集光された散乱光を受光し、その受光した散乱光の光量に応じた電気信号をプリアンプ(図示せず)を介してデータ処理部500に入力する受光素子463と、レンズ461と受光素子463の間の焦点面(結像面)に配置され、光ビーム458の照射部における測定視野458aの範囲外からの散乱光(ノイズ要因)を遮断する視野絞り462と、視野絞り462を駆動する駆動装置(図示せず)とを備えている。
ここで、本実施の形態における測定視野とは、ウエハ1の表面(被検査面)に照射された光ビーム458の照射範囲(照射部)のうち、照度が欠陥検出に必要な値(予め設定する)に達している範囲のことである。これに対し、測定視野の範囲外(照度の不十分な範囲)の散乱光は欠陥検出(表面検査)におけるノイズとなる。
図5において、測定視野458aからの散乱光459aは、レンズ461によって集光され、視野絞り462の透過部(後述)を通過して受光素子463に受光される。一方、測定視野458aの範囲外からの散乱光(図示せず)も同様にレンズ461によって集光されるが、視野絞り462により遮断される。
図6に示すように、図5に示した測定視野458aよりも小さい(面積の狭い)測定視野458bからの散乱光459bが光検出器460aに入射される場合、図5に示した視野絞り462における透過範囲(透過部の大きさ)のままでは、測定視野458bの範囲外からの散乱光464b(図6参照)が視野絞り462を通過し、受光素子463に受光されてしまう。
したがって、この場合、図示しない駆動装置により視野絞り462を駆動し、図7に示すように散乱光の透過範囲(透過部の大きさ)を測定視野458bからの散乱光459bに合わせることにより、測定視野458bの範囲外からの散乱光464bを遮断する。
図8は、図5〜図7に示した視野絞り462を散乱光の入射方向(図5〜図7中左方向)から見た図である。
図8において、視野絞り462は、その平面部に散乱光を透過する複数(例えば4つ)の透過部462a〜462dを有する略円盤状の部材であり、レンズ461から受光素子463に向かう散乱光に対して垂直に配置されている(図5〜図7参照)。
透過部462a〜462dは、視野絞り462の一方の面から他方の面に散乱光459が通過可能とした部分であり、例えば、視野絞り462の平面に貫通して設けられた孔である。
透過部462a〜462dは、長軸を視野絞り462の径方向に向けた略楕円形であり、視野絞り462の中心から同一半径上に周方向に等間隔に配置されている。また、透過部462a〜462dは、相似形状で互いに大きさが異なり、例えば、透過部462a,462b,462c,462dの順に面積が小さくなるよう構成されている。
視野絞り462は、複数の透過部462a〜462dのうちの1つがレンズ461と受光素子463の間、すなわち、散乱光の経路上に位置するよう配置されている。視野絞り462を図示しない駆動装置により周方向に回転駆動することにより、散乱光の経路上に配置される透過部の大きさを変更し、視野絞り462の透過範囲を変更することができる。
図1に戻り、表面検査装置のデータ制御部500は、表面検査装置全体の制御を行うコントローラ510と、コントローラ510にウエハ1の表面検査開始等の指示や種々の設定値等を入力する入力装置520(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、及びGUI(Graphical User Interface)等)と、表面検査の設定条件、検査結果、及び検査装置の動作状態等を表示する表示装置530(例えば、CRT、フラットパネルディスプレイ等)と、表面検査の設定条件、検査結果、及び検査装置の動作状態等の情報を出力する出力装置540(例えば、プリンタ等)と、表面検査の検査条件及び検査結果等を記憶する外部記憶装置550(例えば、ハードディスク、光学ディスクレコーダ等)とを備えている。
図9を用いて、コントローラ510の処理内容の詳細を説明する。
図9は、コントローラ510の機能ブロックを、その周辺構成及び検査部400と共に示す図である。
図9において、コントローラ510は、コントローラ510全体の制御を行う制御装置513と、制御装置513からの指令に基づき演算処理を行う演算処理装置511と、ソフトウェア(検査プログラムなど)、設定条件、及び検査結果(演算結果)等を記憶する記憶装置512と、検査部400の光検出器460a,460bからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路514と、コントローラ510の外部との信号(各種データ)のやり取りを仲介するインタフェース515とを備えている。
記憶装置512には、上記ソフトウェア(検査プログラムなど)、設定条件、及び検査結果(演算結果)等の他に、光照射部450の出射部700a(又は出射部700b)から照射される光ビーム458の光径(測定視野)と光検出器460a,46bの視野絞り462の透過部462a〜462dの対応テーブルが記憶されている。
制御装置513は、記憶装置512及び演算処理装置511の動作、表面検査装置の搬送部200及びプリアライメント部300の動作、検査部400の光照射部450、光検出器460a,460b、及びウエハ駆動手段470の動作等を入力装置520により入力された設定条件や指令に基づいて制御する。例えば、制御装置513は、入力装置520により入力された走査条件の設定(後述)に従って光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と視野絞り462の透過部462a〜462dの対応テーブルに基づいて、視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)を設定する。
A/D変換回路514は、光照射部450からウエハ1の表面(被検査面)に照射された光ビーム458による散乱光459を検出した光検出器460a,460bからのアナログ信号をデジタル信号に変換し、記憶装置512に記憶する。
演算処理装置511は、記憶装置512に記憶された光検出器460a,460bによる散乱光459の検出データと、ウエハ駆動手段470のセンサ(図示せず)からの位置データを用いて、ウエハ1の表面(被検査面)上の欠陥の有無、大きさ、位置座標等を演算し、記憶装置512に記憶する。
図10は、図9のウエハ載置部に載置されたウエハ1を被測定面側から見た平面図である。
光ビーム458が出射部700aから予め設定した照射角度θi(図4参照)でウエハ1の略中心に照射される。ウエハ1は保持機構410を介して回転駆動機構420で高速回転させられながら、光ビーム458が出射される出射部700aの方向(矢印Bの方向)に向かって、進退駆動機構440により水平方向に移動される。このウエハの矢印B方向への直進移動(水平移動)により、ウエハ1の表面(被検査面)に対する光ビーム458の照射位置が移動し、光ビーム458による走査が行われる。
光ビーム458によるウエハ1の表面(被検査面)の走査は、螺旋状(スパイラル)、又は同心円状に行われる。ウエハ1の表面を螺旋状に走査する場合は、光ビーム458をウエハ1の表面に照射した状態で、ウエハ駆動手段470の回転駆動機構420によりウエハ1を回転させながら進退駆動機構440により水平方向に連続的に移動する。ウエハ1の表面を同心円状に走査する場合は、光ビーム458をウエハ1の表面に照射した状態で、ウエハ駆動手段470の回転駆動機構420によりウエハ1を回転させながら、ウエハ1が予め定めた設定数だけ回転する度に進退駆動機構440により水平方向に予め定めた距離ずつ移動する。
図11は、データ制御部500の表示装置530に表示される走査条件設定画面を示す図である。
走査条件設定画面531は、走査方式設定部531a、回転数設定部531b、及びビーム倍率設定部531cを有している。
走査方式設定部531aは、光ビーム458によるウエハ1の表面(被検査面)の走査方式を設定する設定部であり、「スパイラル」と「同心円」から選択して走査方式を設定する。走査方式設定部531において「スパイラル」が選択されると、光ビーム458によってウエハ1の表面(被検査面)は螺旋状に走査され、「同心円」が選択されると、光ビーム458によってウエハ1の表面(被検査面)は同心円状に走査される。
回転数設定部531bは、ウエハ1の走査時における回転数を設定する設定部であり、「高速」、「中速」、「低速」の3つから1つを選択して設定する。ウエハ1は、選択された回転数に応じて、一定速度で回転駆動機構420により回転駆動される。
ビーム倍率設定部531cは、表面検査の解像度を設定する設定部であり、ウエハ1の表面(被検査面)に照射される光ビーム458の光径、即ち測定視野の大きさを設定する。ビーム倍率設定部531では、「通常」、「高倍」、「超高倍」の3つから1つを選択して設定する。各設定に対するビーム光径(測定視野)の大きさは、「通常」、「高倍」、「超高倍」の順に小さくなる。
データ処理部500のデータ処理部510は、上記のビーム倍率設定部531cの設定に従って光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と視野絞り462の透過部462a〜462dの対応テーブルに基づいて、視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)を設定する。例えば、ビーム倍率設定部531において「通常」が設定された場合は、視野絞り462の透過部462bが設定される。また、「高倍」が設定された場合は、透過部462cが設定され、「超高倍」が設定された場合は、透過部462dが設定される。
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
<検査準備>
まず、検査対象であるウエハ1が収納されたウエハポッド110をロードポート100に載置する。
この時、検査部400の光照射部450のシャッタ452によりレーザ光源451からの光ビーム458は遮断されており、従って、射出部700a,700bから光ビーム458は照射されない。
次に、表示装置530に表示された走査条件設定画面531の設定内容(走査方式、回転数、ビーム倍率)を入力装置520により設定する。このとき、ビーム倍率の設定に応じて、光検出器460a,460bの視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)が設定される。すなわち、光ビーム458の光径の設定に応じて視野絞り462による散乱光の透過範囲を設定する。
<被検査体の搬入>
この状態において、入力装置520により、検査プログラムの実行をデータ処理部510に指示すると、ウエハポッド110に収納されたウエハ1は搬送部200のハンドリングアーム220により、ゲートバルブ120を介してプリアライメント部300に搬送され、中心位置及びノッチ位置が調整される。その後、ハンドリングアーム220によりゲートバルブ490を介して検査部400の保持機構410に載置される。
ウエハ1が保持機構410に載置され、搬送部200のハンドリングアーム220が検査部400から退避すると、光照射部450の出射部700a又は700bの予め設定した一方から光ビーム458がウエハ1の表面(被検査面)に照射される。
ウエハ駆動機構470は、光ビーム458がウエハ1の検査開始位置に照射されるように位置補正を行うと同時に、ウエハ1の回転数を上昇させ、回転数が設定数まで上昇したら、その後は回転数を保持する。
<表面検査(欠陥検査)>
検査開始位置の補正が終了し、ウエハ1の回転数が設定の回転数に達すると、表面検査(欠陥検査)を開始する。
走査条件設定画面531により設定した走査方式(螺旋・同心円)に基づいて光ビーム458によりウエハ1上を走査する。
光ビーム458によるウエハ1上からの散乱光は、光検出器460a,460bにより検出され、その検出データ(散乱光の光量)がデータ処理部500の記憶装置512に入力されると共に、その検出データが取得された時のウエハ1上における光ビーム458の照射位置(位置データ)がウエハ駆動機構470の各センサにより検出されデータ処理部500の記憶装置512に入力される。
データ処理部500は、記憶装置512に記憶された検査部400からの散乱光の検出データ(散乱光の光量)と位置データを基に、ウエハ1上の各位置における、欠陥の有無、大きさなどを演算し、記憶装置512に記憶し、表示装置530に表示する。
<被検査体の搬出>
ウエハ1の表面(被検査面)の走査対象範囲を走査が終了し、表面検査(欠陥検査)が終了したら、搬送部200のハンドリングアーム220により、ゲートバルブ120,490を介して所望のウエハポッド110に収納される。
以上のように構成した本実施の形態においては、欠陥検査における測定視野の大きさに応じて視野絞りの透過範囲(透過部の大きさ)を変更するように構成したので、測定視野の大きさによらず、測定視野外からの散乱光(ノイズ要因)を低減することができ、誤検出の増加や大小判別精度の低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、視野絞りとして、図7に示した円盤状の視野絞り462を例にとり説明したが、これに限られず、例えば、図12に示すように、帯状の視野絞り467の長手方向(図12中左右方向)に沿って大きさの異なる複数の透過部467a〜467dを設け、この視野絞り467を長手方向にスライド(移動)させることによって、透過範囲(透過部の大きさ)を変更する構成としても良い。透過部467a〜467dは、長軸を視野絞り462の幅方向(図12中上下方向)に向けた略楕円形であり、視野絞り462の長手方向に等間隔に配置されている。この場合においても、本実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
また、視野絞り462の透過部462a〜462dの形状は略楕円形状としたがこれに限られず、例えば円形や多角形でも良い。
さらに、視野絞り462として透過部462a〜462dを有する略円盤状の部材を用い、この視野絞り462を図示しない駆動装置により周方向に回転駆動することにより視野絞り462の透過範囲を変更するように構成したがこれに限られず、例えば、複数枚の絞り羽根を有する視野絞りを用い、この絞り羽根を駆動することにより視野絞りの透過範囲を変更する虹彩絞りを視野絞り462として用いても良い。
また、ビーム倍率設定部531は3つのビーム倍率から1つを選択する方式としたがこれに限られず、選択するビーム倍率の数を変えたり、数値設定の方式としたりしても良い。
本発明の第2の実施の形態を図13を用いて説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の視野絞り462に換えて、液晶シャッタの視野絞り468を用いたものである。
図13は、本実施の形態における視野絞り468を示す図である。
図13において、視野絞り468は、任意の範囲において光(散乱光)の透過率を変更することができる液晶シャッタであり、光(散乱光)を遮断する遮断部468aと、光(散乱光)を透過させる透過部468bとを有している。
液晶シャッタは、電気的な刺激(例えば電圧)を与えた範囲の透過率を変更することができるものであり、任意の範囲に電圧を印加できるよう多数の透明な電極(図示せず)が設けられている。すなわち、遮断部468aは、その範囲の電極を介して予め定められた電圧を印加し、透過率を最小とした範囲であり、透過部468bは、その範囲の電極に電圧を印加せず、透過率を最大とした範囲である。
したがって、図示しない電極を介して電圧を印加する範囲を変えることにより、遮断部468a及び透過部368bの範囲(形状及び大きさ)、すなわち、視野絞り468の透過範囲を大きさに限らず、形状等も変更することが出来る。
また、本実施の形態において、記憶装置512には、光照射部450の出射部700a(又は出射部700b)から照射される光ビーム458の光径(測定視野)と光検出器460a,46bの視野絞り468の透過部468bの範囲(形状及び大きさ)の対応テーブルが記憶されている。
制御装置513は、入力装置520により入力された走査条件の設定(図11参照)に従って光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と視野絞り468の透過部468bの範囲の対応テーブルに基づいて、視野絞り468の透過範囲を設定する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、走査条件設定画面531のビーム倍率設定部531dにおいて、光ビーム458の光径(測定視野)を例えば数値設定のように、より細かに設定できるようにした場合においても、光ビーム458の光径の設定値と視野絞り468の透過範囲の対応テーブルを用意し、測定視野に対応する視野絞り468の透過範囲を設定することにより、測定視野外からの散乱光(ノイズ要因)を低減することができ、誤検出の増加や大小判別精度の低下を抑制することができる。
さらに、光ビーム458の光径の径時変化などの微小な変化にも対応することができるので、光ビーム458の光径(測定視野)の面積を測定し、設定値との誤差を算出して、視野絞り468の透過範囲の大きさに反映させることにより、測定視野外からの散乱光(ノイズ要因)をより確実に低減することができる。
また、視野絞り468の電圧印加範囲を変えるだけで、透過範囲の大きさ及び形状を変更することができるので、光ビーム458の光径、形状の変更にも容易に対応することができる。
本発明の第3の実施の形態を図14を用いて説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態の視野絞り462を周方向に回転駆動する構成に加え、レンズ461により集光され受光素子463に受光される散乱光459の経路(散乱光経路)方向(図14中左右方向)に駆動する構成を用いたものである。
図14は、本実施の形態の光検出器460aの詳細を示す図である。図中、図5〜図7に示した部材と同様のものには同じ符号を付し、説明を省略する。
図14において、光検出器460aは、ウエハ1の表面(被検査面)における光ビーム458の照射部からの散乱光を集光するレンズ461と、レンズ461により集光された散乱光を受光し、その受光した散乱光の光量に応じた電気信号をプリアンプ(図示せず)を介してデータ処理部500に入力する受光素子463と、レンズ461と受光素子463の間の焦点面(結像面)に配置され、光ビーム458の照射部における測定視野458aの範囲外からの散乱光(ノイズ要因)を遮断する視野絞り462と、視野絞り462を周方向に回転駆動する駆動装置(図示せず)と、視野絞り462を図14中左右方向に駆動する駆動装置(図示せず)とを備えている。
図5で示したように、測定視野458aからの散乱光459aは、レンズ461によって集光され、視野絞り462の透過部(後述)を通過して受光素子463に受光される。一方、測定視野458aの範囲外からの散乱光(図示せず)も同様にレンズ461によって集光されるが、視野絞り462により遮断される。
図14に示すように、測定視野458a(図5参照)よりも小さい(面積の狭い)測定視野458bからの散乱光459bが光検出器460aに入射される場合、図5に示した視野絞り462における透過範囲(視野絞り462の位置)のままでは、測定視野458bの範囲外からの散乱光464b(図14参照)が視野絞り462を通過し、受光素子463に受光されてしまう。
したがって、この場合、図示しない駆動装置により視野絞り462を散乱光経路方向(図14中左右方向)に駆動し、散乱光の透過範囲を測定視野458bからの散乱光459bに合わせることにより、測定視野458bの範囲外からの散乱光464bを遮断する。
また、本実施の形態において、記憶装置512には、光照射部450の出射部700a(又は出射部700b)から照射される光ビーム458の光径(測定視野)と光検出器460a,46bの視野絞り462の透過範囲(散乱光経路方向の位置)の対応テーブルが記憶されている。
制御装置513は、入力装置520により入力された走査条件の設定(図11参照)に従って光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と視野絞り462の透過範囲(散乱光経路方向の位置)の対応テーブルに基づいて、視野絞り462の透過範囲を設定する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、視野絞り462の散乱経路方向の位置をより細かく設定することができるので、その位置によって決まる透過範囲の細かく調整することができる。
本発明の第4の実施の形態を図15を用いて説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態において、ビーム倍率設定部531cの設定に従って視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)を設定したのに対して、視野絞り462の透過範囲の設定に従ってビーム倍率(ビーム光径)を設定するものである。
図15は、データ制御部500の表示装置530に表示される走査条件設定画面を示す図である。図中、図11と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図15において、本実施の形態の走査条件設定画面531Aは、走査方式設定部531a、回転数設定部531b、及びスリットサイズ設定部531dを有している。
スリットサイズ設定部531dは、視野絞り462のスリットサイズを設定する設定部であり、透過範囲(透過部の大きさ)を設定する。スリットサイズ設定部531dでは、設定「A」〜設定「D」の4つの設定から1つを選択して設定する。各設定に対する透過部は、例えば、設定「A」〜設定「D」に対して、それぞれ視野絞り462の透過部462a〜462dが対応する。
また、本実施の形態のデータ処理部500のデータ処理部510は、上記のスリットサイズ設定部531dの設定に従って視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と視野絞り462の透過部462a〜462dの対応テーブルに基づいて光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定する。
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の第5の実施の形態を図16及び図17を用いて説明する。
本実施の形態は、第1の形態において、第1〜第4の実施の形態で説明した光検出器460a,460bと同様の構成の複数の光検出器を仰角が異なるように配置したものである。
図16は、コントローラ510の機能ブロックを、その周辺構成及び検査部400Aと共に示す図である。図中、図9に示した部材と同様のものには同じ符号を付し、説明を省略する。
図16において、検査部400Aは、ウエハ1を保持する保持機構410と、保持機構410を駆動し、ウエハ1の位置調整を行うウエハ駆動手段470と、ウエハ1の表面(被検査面)に光ビーム458を照射する光照射部450と、ウエハ1からの散乱光458c(後述の図17参照)を検出する複数の光検出器を有する光検出器群465とを備えている。
光検出器群465の複数の光検出器は、ウエハ1の表面(被検査面)に対する配置により、さらに2つの光検出器群に分けられる。2の光検出器群はそれぞれ1つ以上の検出器を有している。一方は、ウエハ1の表面(被検査面)における光ビーム458の照射部から見て、ウエハ1の表面に対する仰角がより高い光検出器によって構成された光検出器群465aであり、他方は、ウエハ1の表面に対する仰角がより低い光検出器によって構成された光検出器群465bである(図16及び図17参照)。つまり、光検出器群465bの光検出器に対し光検出器465aの光検出器の方が、ウエハ1の表面に対する仰角が高くなるよう配置されている。
図17は、光ビーム458によりウエハ1上の欠陥(異物含む)で生じる散乱光458cと光検出器群465a,465bの位置関係を示す図である。なお、図17には欠陥10として付着異物を例に示しているが、結晶欠陥等の欠陥においても同様に示される。
図17に示すように、ウエハ1の表面(被検査面)の光ビーム458の照射部に欠陥(異物、傷、欠陥および汚れ等)10がある場合、その欠陥10により散乱光458cが生じる。散乱光458cの生じ方は、欠陥10の種類により異なる。
例えば、欠陥10が汚れ等の付着異物の場合、散乱光458cはほぼ無指向性である。しかし、欠陥10が結晶欠陥等のように深さが直径に較べて非常に浅い欠陥の場合、散乱光458cはウエハ1の表面(被検査面)に対して約30°以上という指向性を持ち、これ以下の角度(方向)にはほとんど散乱されない。
そこで、ウエハ1の表面を基準とした仰角が35°〜60°の角度方向に設けた光検出器群465aの光検出器により付着異物や結晶欠陥による散乱光458cを主に検出し、ウエハ1の表面を基準とした仰角が30°以下の角度方向に設けた光検出器群465bの光検出器により付着異物による散乱光458cを主に検出する。これにより、光検出器群465aの光検出器と光検出器群465bの光検出器の両方により散乱光458cが検出された場合の欠陥は付着異物等であり、主に光検出器465bの光検出器により散乱光458cが検出された場合の欠陥は結晶欠陥等であると判定することができる。
図16に戻り、コントローラ510は、コントローラ510全体の制御を行う制御装置513と、制御装置513からの指令に基づき演算処理を行う演算処理装置511と、ソフトウェア(検査プログラムなど)、設定条件、及び検査結果(演算結果)等を記憶する記憶装置512と、検査部400Aの光検出器群465の各光検出器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路514と、コントローラ510の外部との信号(データ)のやり取りを仲介するインタフェース515とを備えている。
記憶装置512には、上記ソフトウェア(検査プログラムなど)、設定条件、及び検査結果(演算結果)等の他に、光照射部450の出射部700a(又は出射部700b)から照射される光ビーム458の光径(測定視野)と光検出器群465の各光検出器の視野絞りの透過部の対応テーブルが個別に記憶されている。
制御装置513は、記憶装置512及び演算処理装置511の動作、表面検査装置の搬送部200及びプリアライメント部300の動作、検査部400Aの光照射部450、光検出器群465の各光検出器、及びウエハ駆動手段470の動作等を入力装置520により入力された設定条件や指令に基づいて制御する。例えば、光検出器群465の各光検出器が第1の実施の形態の光検出器462の場合、制御装置513は、入力装置520により入力された走査条件設定部531のビーム倍率設定部531dの設定に従って光ビーム458の光径、すなわち、測定視野を設定すると共に、記憶装置512に記憶した光ビーム458の光径(測定視野)と光検出器群465の各光検出器の視野絞り462の透過部462a〜462dの対応テーブルに基づいて、各視野絞り462の透過範囲(透過部の大きさ)を個別に設定する。
A/D変換回路514は、光照射部450からウエハ1の表面(被検査面)に照射された光ビーム458による散乱光459を検出する光検出器群456の各光検出器からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、記憶装置512に記憶する。
演算処理装置511は、記憶装置512に記憶された光検出器群465の各光検出器による散乱光459の検出データと、ウエハ駆動手段470のセンサ(図示せず)からの位置データを用いて、ウエハ1の表面(被検査面)上の欠陥の有無、大きさ、位置座標等を演算し、記憶装置512に記憶する。
以上のように構成した本実施の形態においても、第1〜第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、ウエハ1の表面を基準とした仰角が異なる高さに光検出器群465a及び光検出器群465bを配置したので、欠陥10の種類による散乱光458cの指向性の違いを検出することができ、欠陥10の種類を判別することができる。
さらに、ウエハ1の表面からの仰角、及び光ビーム458の照射方向に対する光検出器群465の各光検出器の位置によって、各光検出器からのウエハ1上の照射部(測定視野)の形状の見え方が異なるが、各光検出器のそれぞれについて視野絞りの透過範囲を適切に設定することができるので、各光検出器毎に測定視野外からの散乱光を除去することができ、誤検出の増加や大小判別精度の低下、欠陥種類の判別精度の低下をより確実に抑制することができる。