JP2004101406A - 外観検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現する。
【解決手段】光源と、光源からの入射光の共役点に配置される輪帯フィルタとを具備し、さらに、輪帯フィルタを通過した入射光の方向を変更するビームスプリッタとを具備し、該ビームスプリッタにより方向が変化した入射光は標本に入射した後に該標本により反射光として反射されており、前記反射光は前記ビームスプリッタを通過しており、入射光を輪帯フィルタにより標本に対して斜めに入射させるようにすることにより、反射光のうちの高次の回折光のみが入射光の光路内に進入するようにした外観検査装置が提供される。さらに、ビームスプリッタを通過した反射光の共役点に配置されるアパーチャを具備し、入射光の周方向反対側に反射する反射光の低次の回折光をアパーチャにより遮断するようにしてもよい。また輪帯フィルタおよびアパーチャの寸法が可変でもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】光源と、光源からの入射光の共役点に配置される輪帯フィルタとを具備し、さらに、輪帯フィルタを通過した入射光の方向を変更するビームスプリッタとを具備し、該ビームスプリッタにより方向が変化した入射光は標本に入射した後に該標本により反射光として反射されており、前記反射光は前記ビームスプリッタを通過しており、入射光を輪帯フィルタにより標本に対して斜めに入射させるようにすることにより、反射光のうちの高次の回折光のみが入射光の光路内に進入するようにした外観検査装置が提供される。さらに、ビームスプリッタを通過した反射光の共役点に配置されるアパーチャを具備し、入射光の周方向反対側に反射する反射光の低次の回折光をアパーチャにより遮断するようにしてもよい。また輪帯フィルタおよびアパーチャの寸法が可変でもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観検査装置、特に半導体製造に使用されるウェハーの外観検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の工程を経て製造される半導体製造においては、ウェハー上に形成されるパターンが特定の工程において検査される。通常は明視野式外観検査装置によって明視野照明下で検査が行われているが、近年のウェハー上パターンの微細化により暗視野照明下で検査するのが必要な場合が急速に増している。このため、通常の明視野式外観検査装置において暗視野照明状態を形成するために暗視野照明専用光路を設置することが想定されており、また明視野照明から暗視野照明に切替可能な外観検査装置も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2000−192616号公報(第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、明視野式外観検査装置に暗視野照明専用光路を設置する場合には、この暗視野照明専用光路を明視野式外観検査装置の対物レンズの外縁周りに設置する必要があるので、装置全体が大型化かつ複雑化すると共に製造費用も増す。また、このような場合には暗視野照明用の光源が別途必要となりうるので装置全体がさらに大型化する可能性がある。さらに明視野式外観検査装置において暗視野照明を行う際には絶対光量が不足しうるので、十分な検査ができない可能性もある。
【0005】
また、前述した特許文献1においては明視野照明と暗視野照明との両方に使用可能な検査装置が開示されているが、特許文献1における検査装置においては、明視野照明の光源と暗視野照明の光源とを共用しているので切替手段が必要となり、これにより検査装置の構造が複雑化および大型化すると共に製造費用も増大することとなる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために請求項1に記載の発明によれば、光源と、該光源からの入射光の共役点に配置される輪帯フィルタとを具備し、該輪帯フィルタは中心付近に位置する光遮断部分と該光遮断部分の周りに位置する環状の光透過部分とを備えており、さらに、該輪帯フィルタを通過した入射光の方向を変更するビームスプリッタとを具備し、該ビームスプリッタにより方向が変化した入射光は標本に入射した後に該標本により反射光として反射されており、前記反射光は前記ビームスプリッタを通過しており、前記輪帯フィルタにより前記入射光を前記標本に対して斜めに入射させるようにした外観検査装置が提供される。
【0008】
すなわち請求項1に記載の発明によって、輪帯フィルタにより入射光を標本に対して斜めに入射させることにより、入射光の光路に反射光のうちの高次の回折光が進入するようになる。これにより暗視野照明(ダークフィールド)状態を形成することができる。従って、請求項1に記載の発明においては輪帯フィルタを単に入射光の共役点に配置することにより、暗視野照明状態を極めて容易に形成することができる。またこの輪帯フィルタを単に取り外すことにより明視野照明状態に容易に戻すことができるので、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記輪帯フィルタの寸法が可変である。
すなわち請求項2に記載の発明によって、輪帯フィルタの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができる。輪帯フィルタの寸法を調節するために、異なる寸法の複数の輪帯フィルタが設けられた円板を外観検査装置に設けるのが好ましい。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、さらに、前記ビームスプリッタを通過した前記反射光の共役点に配置されるアパーチャを具備し、該アパーチャは中心付近に位置する光透過部分と該光透過部分の周りに位置する環状の光遮断部分とを備えており、前記入射光の周方向反対側に反射する前記反射光の低次の回折光を前記アパーチャにより遮断するようにした。
すなわち請求項3に記載の発明によって、入射光の周方向反対側に進入した反射光のうちの低次の回折光がアパーチャにより遮断される。すなわち反射光の低次の回折光が遮断されて高次の回折光のみが通過することとなり、これによりさらに完全な暗視野照明状態を形成することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、前記アパーチャの寸法が可変である。
すなわち請求項4に記載の発明によって、アパーチャの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができる。アパーチャとして一般的な絞りを採用するのが好ましい。またアパーチャとして液晶アパーチャを採用することもできる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、前記環状フィルタの前記光透過部分の寸法が前記アパーチャの前記光遮断部分の寸法に等しいようにした。
すなわち請求項5に記載の発明によって、最も暗い暗視野照明状態を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)は本発明に基づく外観検査装置の概略図である。図1(a)に示されるように本発明に基づく落射照明明視野式の外観検査装置10は、他の一般的な外観検査装置と同様な光源20と、光源20からの光をコリメートまたは収束させる複数のレンズ41から46と、光の方向を変化させるためのビームスプリッタ30(ハーフミラー)とを概ね含んでいる。検査されるべきウェハー50は外観検査装置10のステージ35上に設置されており、ウェハー50の状態が上方に配置されたカメラ部70、例えばTDIカメラにより観測される。
【0014】
図1(a)を参照しつつ本発明の外観検査装置10の動作を説明する。外観検査装置10の光源20からの光は光源20に隣接するよう設けられたコリメータレンズ41によりコリメートされる。コリメートされた光はレンズ42により収束されて、次いでレンズ43を介してビームスプリッタ30に進入する。図1(a)に示されるようにレンズ42とレンズ43との間には共役点31が形成されており、後述する輪帯フィルタ61がこの入射側の共役点31に配置されている。ビームスプリッタ30によって光の方向が変えられ、本発明においては約90°の角度だけ変えられる。次いで、光はレンズ44により収束されて、次いで対物レンズ45を介してウェハー50に入射する。レンズ44と対物レンズ45との間には共役点32が形成されている。ウェハー50上で反射した反射光は対物レンズ45およびレンズ44を再び通過する。次いでこの反射光はビームスプリッタ30を通過してレンズ46によってカメラ部70に収束される。図1(a)に示されるように、ビームスプリッタ30を通過した後の光路において共役点33がレンズ44とレンズ46との間に形成されており、後述するアパーチャ65がこの反射側の共役点33に配置されている。
【0015】
図1(a)に示されるように本発明の外観検査装置10においては輪帯フィルタ61が共役点31において光軸に対して垂直に配置されている。図1(b)は輪帯フィルタの拡大図である。輪帯フィルタ61は円板状の部材であって、中心付近に位置する光遮断部分62とこの光遮断部分62周りに位置する環状の光透過部分63とから構成されている。このような光遮断部分62が存在しているために、輪帯フィルタ61を通過する光の断面は環状となる。従って、ウェハー50上には環状の光が入射することとなる。さらに、この光は対物レンズ45によって収束されているので、入射光にはウェハー50に対して垂直に入射する光の成分はほとんど存在しておらず、ほとんど全ての入射光はウェハー50に対して斜めに入射することとなる。
【0016】
このような場合には、ウェハー50に斜入射してウェハー50上で反射した反射光のうちの低次の回折光、例えば0次および1次の光は、斜入射した入射光の入射光路には進入しない。従って、反射光のうちの高次の回折光、例えば2次以上の光のみが、斜入射した入射光の入射光路に選択的に進入することとなる。これにより暗視野照明(ダークフィールド)状態を形成することができる。すなわち本発明においては輪帯フィルタを単に入射光の共役点に配置することにより暗視野照明状態を極めて容易に形成することができる。またこの輪帯フィルタ61を単に取り外すことにより明視野照明状態に容易に戻すことができるので、本発明においては、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することができる。
【0017】
また、輪帯フィルタ61の光遮断部分62および光透過部分63の寸法は可変であるのが好ましく、これにより最適な照明状態を形成することができる。このような場合には、外形が等しくて光遮断部分62および光透過部分63の寸法の異なる複数の輪帯フィルタ61が周方向に配置された大型円板(図示しない)を採用することができる。この大型円板を共役点31に隣接するように回転可能に配置し、次いで大型円板を回転させることにより最適な寸法の輪帯フィルタ61を選択することができる。
【0018】
図1(a)に示されるように本発明の外観検査装置10においてはアパーチャ65が共役点33において光軸に対して垂直に配置されている。図1(c)はアパーチャの拡大図である。アパーチャ65は円板状の部材であって、中心付近に位置する光透過部分66とこの光透過部分66周りに位置する環状の光遮断部分67とから構成されている。またアパーチャ65の外形は輪帯フィルタ61の外形にほぼ等しくなっている。前述したように輪帯フィルタ61によって反射光のうちの低次の回折光は斜入射した入射光の入射光路には進入しないが、この低次の回折光はこの入射光からみて周方向反対側の光路に進入する可能性がある。このように低次の回折光が進入する場合には暗視野照明状態を形成するのが困難となるので、前述したアパーチャ65を反射側の共役点33に配置することにより、光路内における反射光のうちの低次の回折光を遮断することができる。これにより、反射光のうちの高次の回折光のみが光路に進入することとなり、さらに完全な暗視野照明状態を形成することができる。また、前述した輪帯フィルタ61と同様に、アパーチャ65も共役点33から容易に取り外すことができる。
【0019】
また、アパーチャ65の光透過部分66および光遮断部分67の寸法は可変であるのが好ましく、これにより最適な照明状態を形成することができる。アパーチャ65として一般的な絞りを採用することによりアパーチャ65の光透過部分66および光遮断部分67の寸法を極めて容易に変更することができる。さらに、図1(b)および図1(c)に示されるように、輪帯フィルタ61の外形とアパーチャ65の外形とが等しくて、輪帯フィルタ61の光透過部分63の寸法とアパーチャ65の光透過部分66の寸法とが等しいのが好ましい。このような場合には、最も暗い暗視野照明状態を形成することができる。
【0020】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現できるという共通の効果を奏しうる。
【0021】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、輪帯フィルタの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、さらに完全な暗視野照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、アパーチャの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、最も暗い暗視野照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に基づく外観検査装置の概略図である。
(b)輪帯フィルタの拡大図である。
(c)アパーチャの拡大図である。
【符号の説明】
10…外観検査装置
20…光源
30…ビームスプリッタ
31、32、33…共役点
35…ステージ
41…コリメータレンズ
42、43、44…レンズ
45…対物レンズ
46…レンズ
50…ウェハー
61…輪帯フィルタ
62…光遮断部分
63…光透過部分
65…アパーチャ
66…光透過部分
67…光遮断部分
70…カメラ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観検査装置、特に半導体製造に使用されるウェハーの外観検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の工程を経て製造される半導体製造においては、ウェハー上に形成されるパターンが特定の工程において検査される。通常は明視野式外観検査装置によって明視野照明下で検査が行われているが、近年のウェハー上パターンの微細化により暗視野照明下で検査するのが必要な場合が急速に増している。このため、通常の明視野式外観検査装置において暗視野照明状態を形成するために暗視野照明専用光路を設置することが想定されており、また明視野照明から暗視野照明に切替可能な外観検査装置も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2000−192616号公報(第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、明視野式外観検査装置に暗視野照明専用光路を設置する場合には、この暗視野照明専用光路を明視野式外観検査装置の対物レンズの外縁周りに設置する必要があるので、装置全体が大型化かつ複雑化すると共に製造費用も増す。また、このような場合には暗視野照明用の光源が別途必要となりうるので装置全体がさらに大型化する可能性がある。さらに明視野式外観検査装置において暗視野照明を行う際には絶対光量が不足しうるので、十分な検査ができない可能性もある。
【0005】
また、前述した特許文献1においては明視野照明と暗視野照明との両方に使用可能な検査装置が開示されているが、特許文献1における検査装置においては、明視野照明の光源と暗視野照明の光源とを共用しているので切替手段が必要となり、これにより検査装置の構造が複雑化および大型化すると共に製造費用も増大することとなる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために請求項1に記載の発明によれば、光源と、該光源からの入射光の共役点に配置される輪帯フィルタとを具備し、該輪帯フィルタは中心付近に位置する光遮断部分と該光遮断部分の周りに位置する環状の光透過部分とを備えており、さらに、該輪帯フィルタを通過した入射光の方向を変更するビームスプリッタとを具備し、該ビームスプリッタにより方向が変化した入射光は標本に入射した後に該標本により反射光として反射されており、前記反射光は前記ビームスプリッタを通過しており、前記輪帯フィルタにより前記入射光を前記標本に対して斜めに入射させるようにした外観検査装置が提供される。
【0008】
すなわち請求項1に記載の発明によって、輪帯フィルタにより入射光を標本に対して斜めに入射させることにより、入射光の光路に反射光のうちの高次の回折光が進入するようになる。これにより暗視野照明(ダークフィールド)状態を形成することができる。従って、請求項1に記載の発明においては輪帯フィルタを単に入射光の共役点に配置することにより、暗視野照明状態を極めて容易に形成することができる。またこの輪帯フィルタを単に取り外すことにより明視野照明状態に容易に戻すことができるので、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記輪帯フィルタの寸法が可変である。
すなわち請求項2に記載の発明によって、輪帯フィルタの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができる。輪帯フィルタの寸法を調節するために、異なる寸法の複数の輪帯フィルタが設けられた円板を外観検査装置に設けるのが好ましい。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、さらに、前記ビームスプリッタを通過した前記反射光の共役点に配置されるアパーチャを具備し、該アパーチャは中心付近に位置する光透過部分と該光透過部分の周りに位置する環状の光遮断部分とを備えており、前記入射光の周方向反対側に反射する前記反射光の低次の回折光を前記アパーチャにより遮断するようにした。
すなわち請求項3に記載の発明によって、入射光の周方向反対側に進入した反射光のうちの低次の回折光がアパーチャにより遮断される。すなわち反射光の低次の回折光が遮断されて高次の回折光のみが通過することとなり、これによりさらに完全な暗視野照明状態を形成することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、前記アパーチャの寸法が可変である。
すなわち請求項4に記載の発明によって、アパーチャの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができる。アパーチャとして一般的な絞りを採用するのが好ましい。またアパーチャとして液晶アパーチャを採用することもできる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、前記環状フィルタの前記光透過部分の寸法が前記アパーチャの前記光遮断部分の寸法に等しいようにした。
すなわち請求項5に記載の発明によって、最も暗い暗視野照明状態を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)は本発明に基づく外観検査装置の概略図である。図1(a)に示されるように本発明に基づく落射照明明視野式の外観検査装置10は、他の一般的な外観検査装置と同様な光源20と、光源20からの光をコリメートまたは収束させる複数のレンズ41から46と、光の方向を変化させるためのビームスプリッタ30(ハーフミラー)とを概ね含んでいる。検査されるべきウェハー50は外観検査装置10のステージ35上に設置されており、ウェハー50の状態が上方に配置されたカメラ部70、例えばTDIカメラにより観測される。
【0014】
図1(a)を参照しつつ本発明の外観検査装置10の動作を説明する。外観検査装置10の光源20からの光は光源20に隣接するよう設けられたコリメータレンズ41によりコリメートされる。コリメートされた光はレンズ42により収束されて、次いでレンズ43を介してビームスプリッタ30に進入する。図1(a)に示されるようにレンズ42とレンズ43との間には共役点31が形成されており、後述する輪帯フィルタ61がこの入射側の共役点31に配置されている。ビームスプリッタ30によって光の方向が変えられ、本発明においては約90°の角度だけ変えられる。次いで、光はレンズ44により収束されて、次いで対物レンズ45を介してウェハー50に入射する。レンズ44と対物レンズ45との間には共役点32が形成されている。ウェハー50上で反射した反射光は対物レンズ45およびレンズ44を再び通過する。次いでこの反射光はビームスプリッタ30を通過してレンズ46によってカメラ部70に収束される。図1(a)に示されるように、ビームスプリッタ30を通過した後の光路において共役点33がレンズ44とレンズ46との間に形成されており、後述するアパーチャ65がこの反射側の共役点33に配置されている。
【0015】
図1(a)に示されるように本発明の外観検査装置10においては輪帯フィルタ61が共役点31において光軸に対して垂直に配置されている。図1(b)は輪帯フィルタの拡大図である。輪帯フィルタ61は円板状の部材であって、中心付近に位置する光遮断部分62とこの光遮断部分62周りに位置する環状の光透過部分63とから構成されている。このような光遮断部分62が存在しているために、輪帯フィルタ61を通過する光の断面は環状となる。従って、ウェハー50上には環状の光が入射することとなる。さらに、この光は対物レンズ45によって収束されているので、入射光にはウェハー50に対して垂直に入射する光の成分はほとんど存在しておらず、ほとんど全ての入射光はウェハー50に対して斜めに入射することとなる。
【0016】
このような場合には、ウェハー50に斜入射してウェハー50上で反射した反射光のうちの低次の回折光、例えば0次および1次の光は、斜入射した入射光の入射光路には進入しない。従って、反射光のうちの高次の回折光、例えば2次以上の光のみが、斜入射した入射光の入射光路に選択的に進入することとなる。これにより暗視野照明(ダークフィールド)状態を形成することができる。すなわち本発明においては輪帯フィルタを単に入射光の共役点に配置することにより暗視野照明状態を極めて容易に形成することができる。またこの輪帯フィルタ61を単に取り外すことにより明視野照明状態に容易に戻すことができるので、本発明においては、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現可能な外観検査装置を提供することができる。
【0017】
また、輪帯フィルタ61の光遮断部分62および光透過部分63の寸法は可変であるのが好ましく、これにより最適な照明状態を形成することができる。このような場合には、外形が等しくて光遮断部分62および光透過部分63の寸法の異なる複数の輪帯フィルタ61が周方向に配置された大型円板(図示しない)を採用することができる。この大型円板を共役点31に隣接するように回転可能に配置し、次いで大型円板を回転させることにより最適な寸法の輪帯フィルタ61を選択することができる。
【0018】
図1(a)に示されるように本発明の外観検査装置10においてはアパーチャ65が共役点33において光軸に対して垂直に配置されている。図1(c)はアパーチャの拡大図である。アパーチャ65は円板状の部材であって、中心付近に位置する光透過部分66とこの光透過部分66周りに位置する環状の光遮断部分67とから構成されている。またアパーチャ65の外形は輪帯フィルタ61の外形にほぼ等しくなっている。前述したように輪帯フィルタ61によって反射光のうちの低次の回折光は斜入射した入射光の入射光路には進入しないが、この低次の回折光はこの入射光からみて周方向反対側の光路に進入する可能性がある。このように低次の回折光が進入する場合には暗視野照明状態を形成するのが困難となるので、前述したアパーチャ65を反射側の共役点33に配置することにより、光路内における反射光のうちの低次の回折光を遮断することができる。これにより、反射光のうちの高次の回折光のみが光路に進入することとなり、さらに完全な暗視野照明状態を形成することができる。また、前述した輪帯フィルタ61と同様に、アパーチャ65も共役点33から容易に取り外すことができる。
【0019】
また、アパーチャ65の光透過部分66および光遮断部分67の寸法は可変であるのが好ましく、これにより最適な照明状態を形成することができる。アパーチャ65として一般的な絞りを採用することによりアパーチャ65の光透過部分66および光遮断部分67の寸法を極めて容易に変更することができる。さらに、図1(b)および図1(c)に示されるように、輪帯フィルタ61の外形とアパーチャ65の外形とが等しくて、輪帯フィルタ61の光透過部分63の寸法とアパーチャ65の光透過部分66の寸法とが等しいのが好ましい。このような場合には、最も暗い暗視野照明状態を形成することができる。
【0020】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、大型化および複雑化することなしに簡易かつ低費用で明視野照明と暗視野照明との両方を実現できるという共通の効果を奏しうる。
【0021】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、輪帯フィルタの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、さらに完全な暗視野照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、アパーチャの寸法を調節することにより、最適な照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、最も暗い暗視野照明状態を形成することができるという効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に基づく外観検査装置の概略図である。
(b)輪帯フィルタの拡大図である。
(c)アパーチャの拡大図である。
【符号の説明】
10…外観検査装置
20…光源
30…ビームスプリッタ
31、32、33…共役点
35…ステージ
41…コリメータレンズ
42、43、44…レンズ
45…対物レンズ
46…レンズ
50…ウェハー
61…輪帯フィルタ
62…光遮断部分
63…光透過部分
65…アパーチャ
66…光透過部分
67…光遮断部分
70…カメラ部
Claims (5)
- 光源と、
該光源からの入射光の共役点に配置される輪帯フィルタとを具備し、該輪帯フィルタは中心付近に位置する光遮断部分と該光遮断部分の周りに位置する環状の光透過部分とを備えており、
さらに、
該輪帯フィルタを通過した入射光の方向を変更するビームスプリッタとを具備し、該ビームスプリッタにより方向が変化した入射光は標本に入射した後に該標本により反射光として反射されており、前記反射光は前記ビームスプリッタを通過しており、
前記輪帯フィルタにより前記入射光を前記標本に対して斜めに入射させるようにした外観検査装置。 - 前記輪帯フィルタの寸法が可変である請求項1に記載の外観検査装置。
- さらに、前記ビームスプリッタを通過した前記反射光の共役点に配置されるアパーチャを具備し、該アパーチャは中心付近に位置する光透過部分と該光透過部分の周りに位置する環状の光遮断部分とを備えており、
前記入射光の周方向反対側に反射する前記反射光の低次の回折光を前記アパーチャにより遮断するようにした請求項1または2に記載の外観検査装置。 - 前記アパーチャの寸法が可変である請求項3に記載の外観検査装置。
- 前記環状フィルタの前記光透過部分の寸法が前記アパーチャの前記光遮断部分の寸法に等しいようにした請求項3に記載の外観検査装置。
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