JP5032725B2 - ゴム組成物及びそれを用いた重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いた重荷重用空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、耐摩耗性、抗破壊性及び低発熱性能を向上させてなる、特に重荷重用空気入りタイヤのトレッドゴムなどとして好適なゴム組成物、及び該組成物をトレッドゴムとして用いてなる重荷重用空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラックやバスなどに用いられる重荷重用空気入りタイヤにおいて、耐摩耗性を向上させ、タイヤの寿命を長くするには、トレッドの剛性を向上させると共に、外傷による寿命の低下を抑制することと、走行により繰り返し加わる歪によるトレッドゴムの温度上昇を抑制することが重要である。
従来、タイヤの寿命を長くするためには、例えばカーボンブラックの充填量の増加、樹脂の添加量の増加、硫黄などの加硫剤や加硫促進剤の増量などの処置がとられている。しかしながら、カーボンブラックの充填量を増加すると、耐摩耗性は向上するものの、低発熱性能及び抗破壊性が悪化するのを免れない。また、硫黄などの加硫剤や加硫促進剤の増量は、低発熱性能や耐摩耗性はあまり変わらず、むしろ抗破壊性が低下し、樹脂の添加量の増加は、抗破壊性は向上するものの、耐摩耗性及び低発熱性能が低下する。さらに、高温時の最大伸びに強い天然ゴムに、低変形での硬さの高いSBRをブレンドすると、耐摩耗性及び抗破壊性は向上するが、低発熱性能が問題となることが知られている。
【0003】
また、重荷重用空気入りタイヤのトレッドゴムには、耐摩耗性と低発熱性能を高いレベルでバランスさせるために、一般に、天然ゴムなどのイソプレン系ゴムをベースとし、補強用充填材としてカーボンブラック/シリカ併用系を配合することが行われている。
しかしながら、ゴム成分としてイソプレン系ゴムを主体とするものは、過加硫による加硫戻りに起因して弾性率が低下し、低発熱性能が悪化しやすく、特にタイヤハンプトータルゲージが50mm以上の大型サイズのタイヤにおいては、低発熱性能が悪化すると共に、耐摩耗性も低下するなど、好ましくない事態を招来する。
また、重荷重用タイヤの低発熱性能を改良するために、前記配合において、さらに5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンに代表される低ロス化剤(低発熱性付与剤)を加えることがよく行われている。しかしながら従来の低ロス化剤では、加硫度依存性を有し、特に大型サイズのタイヤなどにおいては、発生する過加硫によって、弾性率が低下し、低発熱性能の改良効果が充分に発揮されにくいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、耐摩耗性、抗破壊性及び低発熱性能を向上させてなる、特に重荷重用空気入りタイヤのトレッドゴムなどとして好適なゴム組成物、及び該組成物をトレッドゴムに用いてなる重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、溶液重合により得られ、かつ分子中に少なくとも一つのスズ原子を有する変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムと、天然ゴムや合成イソプレンゴムを必須成分として所定の割合で含有するゴム成分、及びヒドラジド化合物を含むゴム組成物が、その目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(イ)溶液重合により得られ、かつ分子中に少なくとも一つのスズ原子を有する変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム15〜55重量%と、(ロ)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム45〜85重量%とからなるゴム成分、及び(B)ヒドラジド化合物を配合してなることを特徴とするゴム組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記ゴム組成物をトレッドゴムとして用いたことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤをも提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物においては、(A)成分であるゴム成分として、(イ)変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、(ロ)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム及び所望により用いられる(ハ)他の共役ジエン系ゴムからなるものが用いられる。
上記(イ)成分の変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムは、溶液重合により得られ、かつ分子鎖の重合開始末端又は重合活性末端の少なくとも一方の末端、又は分子鎖中にスズ原子を導入し、変性したものである。
このような変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムは、例えば以下に示す方法により好ましく製造することができる。
すなわち、その第1及び第2の方法は、原料として1,3−ブタジエン及びスチレンを用い、アルカリ金属化合物好ましくはリチウム化合物を重合開始剤とし、溶液重合(アニオン重合)させることにより、末端が重合活性末端であるスチレン−ブタジエン共重合体からなるベースポリマーが得られる。このようにして得られたベースポリマーはスズ化合物で変性することにより、所望の変性スチレン−ブタジエン共重合体を得ることができる。
第3の方法は、原料として1,3−ブタジエン及びスチレンを用い、スズ原子を有するアルカリ金属化合物好ましくはリチウム化合物を重合開始剤とし、溶液重合(アニオン重合)させることにより、末端が重合活性末端であるスチレン−ブタジエン共重合体からなるベースポリマーが得られる。続いて、この活性末端は、スズ化合物,アルコキシシラン化合物,窒素含有化合物などの変性剤により変性される。この場合、変性剤を使用せずに反応を停止してもよい。
第4の方法は、原料として1,3−ブタジエン及びスチレンを用い、スズ原子と窒素原子とを有するアルカリ金属化合物好ましくはリチウム化合物を重合開始剤とし、溶液重合(アニオン重合)させることにより、分子中にスズ原子と窒素原子とを導入したスチレン−ブタジエン共重合体が得られる。
第5の方法は、原料として1,3−ブタジエン,スチレン及びスズ原子含有化合物(モノマー)を用い、アルカリ金属化合物好ましくはリチウム化合物を重合開始剤とし、溶液重合(アニオン重合)させることにより、末端が重合活性末端であるスチレン−ブタジエン共重合体からなるベースポリマーが得られる。続いて、この活性末端は、スズ化合物,アルコキシシラン化合物,窒素含有化合物などの変性剤により変性される。この場合、変性剤を使用せずに反応を停止してもよい。
上記方法は適宜組み合わせて行うことができる。また、前記第3から第5の方法においては、変性剤による末端変性工程を行うことなく、スス原子が導入された共重合体を得ることができる。
【0007】
前記第1,第2及び第5の方法において、重合開始剤のリチウム化合物としては、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端がヒドロカルビル基であるスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン又はブタジエンのモノマー単位中にスズ原子を導入した共重合体を含む)のベースポリマーが得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有するスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン又はブタジエンのモノマー単位中にスズ原子を導入した共重合体を含む)のベースポリマーが得られる。
上記で、ベースポリマーとは、反応停止前の活性末端を有する共重合体を意味する。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム,n−プロピルリチウム,イソプロピルリチウム,n−ブチルリチウム,sec−ブチルリチウム,t−ブチルリチウム,tert−オクチルリチウム,n−デシルリチウム,フェニルリチウム,2−ナフチルリチウム,2−ブチル−フェニルリチウム,4−フェニル−ブチルリチウム,シクロヘキシルリチウム,シクロペンチルリチウム,ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、n−ブチルリチウムが好ましい。
【0008】
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド,リチウムピロリジド,リチウムピペリジド,リチウムヘプタメチレンイミド,リチウムドデカメチレンイミド,リチウムジメチルアミド,リチウムジエチルアミド,リチウムジブチルアミド,リチウムジプロピルアミド,リチウムジヘプチルアミド,リチウムジヘキシルアミド,リチウムジオクチルアミド,リチウムビス−2−エチルヘキシルアミド,リチウムジデシルアミド, リチウム−N−メチルピペラジド,リチウムエチルプロピルアミド,リチウムエチルブチルアミド, リチウムメチルブチルアミド,リチウムエチルベンジルアミド,リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、リチウムヘキサメチレンイミド,リチウムピロリジド,リチウムピペリジド,リチウムヘプタメチレンイミド,リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
また、前記第3の方法において、重合開始剤に用いられるリチウム化合物としては、トリブチルスズリチウム,トリオクチルスズリチウムなどのトリオルガノスズリチウム化合物が好ましく用いられる。
さらに、前記第4の方法において、重合開始剤に用いられるスズ原子と窒素原子とを有するリチウム化合物としては、下記の一般式(I)で表されるトリオルガノアミドスズリチウム、又は一般式(II)で表されるトリオルガノイミドスズリチウムが好ましく用いられる。
【0009】
【化1】
Figure 0005032725
【0010】
〔式中、R1 ,R2 は炭素数1〜20の脂肪族、脂環族、芳香族の各炭化水素基から選ばれる基を表し、同一であっても、異なっていてもよい。〕
【0011】
【化2】
Figure 0005032725
【0012】
〔式中Xは次の構造基から選ばれる。X−I:(CR3 4 n からなる飽和型環状構造基、X−II:(R5 6 m - Y- ( R5 6 l (但し、YはNR7 ,O又は炭素・炭素二重結合を有するイミン化合物である)。ここで、R3 ,R4 ,R5 ,R6 は水素及び炭素数1〜10の脂肪族,炭素数3〜10の脂環族、炭素数6〜10の芳香族の各炭化水素基から選ばれる基を表わし、また、R7 は炭素数1〜10の脂肪族、炭素数3〜10の脂環族、炭素数5〜10の芳香族の各炭化水素基から選ばれる基を表わし、互いに同一であっても、異なっていてもよい。nは3〜10の整数、mとl の合計は2〜9である。〕
これらの中で、好ましいはトリオルガノアミドスズリチウムとしては、例えばトリピロリジドスズリチウム,トリヘキサメチレンイミドスズリチウム,トリジエチルアミドスズリチウム,及びトリ(ジプロピルアミド)スズリチウムなどが挙げられる。
【0013】
なお、前記において、トリオルガノアミドスズリチウムについては米国特許第5502129号明細書に記載されており、トリオルガノアミドスズリチウム及びトリオルガノイミドスズリチウムについては米国特許第5463003号明細書に記載されている。
また、前記第5の方法として、目的とするスチレン−ブタヂエン共重合体は、スズ原子を有する第三モノマーを導入することによっても得ることができる。ここで、スチレン,ブタヂエンと共重合される第三モノマーとしては、下記の一般式 (III)又は(IV)で表される化合物が好適に用いられる。
【0014】
【化3】
Figure 0005032725
【0015】
〔式中、R8 ,R9 及びR10は炭素数1〜30の脂肪族、脂環族又は芳香族の各炭化水素基を表し、互いに同一であっても、異なっていてもよい。〕
【0016】
【化4】
Figure 0005032725
【0017】
〔式中、R1112C=CR13- ,R14,R15,R16,R17はベンゼン環に結合する基であり、R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17,R18,R19,R20,R21,R22は、水素原子又は炭素数1〜30の脂肪族、脂環族又は芳香族の各炭化水素基を表し、互いに同一であっても、異なっていてもよい。ただし、R20,R21,R22は水素原子を含まない。〕
具体的には、前記一般式(III) で表される化合物としては、2−トリブチルスタニル−1,3−ブタジエン、2−トリオクチルスタニル−1,3−ブタジエン、2−トリシクロヘキシルスタニル−1,3−ブタジエン、2−トリフェニルスタニル−1,3−ブタジエン、2−ジブチルフェニルスタニル−1,3−ブタジエン、2−ジフェニルオクチルスタニル−1,3−ブタジエンなどが挙げらる。
また、前記一般式(IV)で表わされる化合物としては、m−ビニルベンジルトリブチルスズ,m−ビニルベンジルトリオクチルスズ,m−ビニルベンジルトリフェニルスズ,m−(1−フェニルビニル)ベンヂルトリブチルスズ、これらのp体,m体/p体混合物などなどが好適に挙げられる。
【0018】
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によってスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン又はブタジエンのモノマー単位中にスズ原子を導入した共重合体を含む)を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族,脂環族,芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、スチレンと1,3−ブタジエンを、前記有機リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的のスチレン−ブタジエン共重合体が得られる。
この重合反応における温度は、通常−80〜150℃、好ましくは−20〜100℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つ十分な圧力で操作することが望ましい。所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
このようにして得られた、重合開始末端にヒドロカルビル基又は窒素含有基を有し、かつ他方の末端が重合活性である変性前のスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン又はブタジエンのモノマー単位中にスズ原子を導入した共重合体を含む)の該重合活性末端に、スズ化合物を反応させることにより、所望の変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが得られる。
上記スズ化合物としては、例えば四塩化スズ,トリブチルスズクロリド,トリオクチルスズクロリド,ジオクチルスズジクロリド,ジブチルスズジクロリド,塩化トリフェニルスズなどが挙げられる。また、変性剤を使用せず反応を停止しても分子中にスズ原子が導入されている。
本発明のゴム組成物の(A)成分においては、(ロ)成分として、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムが用いられるが、該合成イソプレンゴムは、イソプレンモノマーの重合により得られたものであり、中でもシス1,4−結合が98%前後のタイプは、天然ゴムに極めて類似の分子構造を有するため、天然ゴムに近い基本的な特性を有している。
【0019】
一方、所望により用いられる(ハ)成分の他の共役ジエン系ゴムとしては、例えばポリブタジエンゴム(BR)、上記以外のスチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR),ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、(A)成分における各ゴム成分の含有割合は、(イ)成分が15〜55重量%、(ロ)成分が45〜85重量%及び(ハ)成分が0〜40重量%である。各ゴム成分の含有割合が、上記範囲を逸脱すると所望の物性を有するゴム組成物が得られない。特に該(A)成分として、(イ)成分15〜55重量%と、(ロ)成分85〜45重量%とからなるものが、加硫ゴム組成物の物性バランスの面から好適である。
本発明のゴム組成物において、(B)成分として用いられるヒドラジド化合物としては、例えば一般式(V)
【0020】
【化5】
Figure 0005032725
【0021】
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(V)において、Aはアリーレン基、二価のヒダントイン残基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の二価の鎖状炭化水素基を示す。なお、アリーレン基は、二価の芳香族性複素環式基を包含する。ここで、アリーレン基としては、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、そしてその環上には、低級アルキル基や低級アルコキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。また、二価のヒダントイン残基は、その環上に、低級アルキル基や低級アルコキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の二価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基が挙げられ、これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。このようなアルキレン基やアルケニレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基,オクチレン基,デシレン基,ビニレン基,アリレン基,プロペニレン基,ブテニレン基,ヘキセニレン基,オクテニレン基,デセニレン基などが挙げられる。
Zは水素原子,ヒドロキシル基,アミノ基又は式
【0022】
【化6】
Figure 0005032725
【0023】
で表される基を示す。
23〜R26は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18のヒドロカルビル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またR23とR24、R25とR26はたがいに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、炭素数1〜18のヒドロカルビル基としては、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基及び炭素数7〜18のアラルキル基を挙げることができる。上記シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の環上には、低級アルキル基や低級アルコキシル基アミノ基、アルキル置換アミノ基、ヒドロキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。
【0024】
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが、アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基などが、シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などが、アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
この一般式(V)で表される化合物の中で、Aがアリーレン基で、かつZがヒドロキシル基であるものが好ましく、特に、一般式(V−a)及び一般式(V−b)
【0025】
【化7】
Figure 0005032725
【0026】
(式中、R23及びR24は、前記と同じである。)
で表されるヒドラジド化合物が性能の点から好ましい。
上記一般式(V)で表されるヒドラジド化合物の例としては、1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルブチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1,3−ジメチルブチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルブチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1,3−ジメチルブチリデン)ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(ベンジリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)安息香酸ヒドラジド,N’−(4−メトキシフェニルメチレン)安息香酸ヒドラジド,N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)安息香酸ヒドラジド,N’−(1−フェニルエチリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(ジフェニルメチレン)安息香酸ヒドラジド,N’−(1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン)安息香酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(ベンジリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−メトキシフェニルメチレン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−フェニルエチリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(ジフェニルメチレン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン)1−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(ベンジリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−メトキシフェニルメチレン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−フェニルエチリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(ジフェニルメチレン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−(2,4−ヒドロキシフェニル)ベンジリデン)2−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(ベンジリデン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(4−メトキシフェニルメチレン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−フェニルエチリデン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(ジフェニルメチレン)プロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−(2,4−ヒドロキシフェニル)ベンジリデン)プロビオン酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン),2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(ベンジリデン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(4−メトキシフェニルメチレン)2−メチルプロピオンヒドラジド,N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−フェニルエチリデン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(ジフェニルメチレン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン)2−メチルプロピオン酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)2,2−ジメチルンプロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロビリデン)2,2−ジメチルンプロピオン酸ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(ベンジリデン)2,2−ジメチルンプロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)2,2−ジメチルンプロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェニルメチレン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−フェニルエチリデン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(ジフェニルメチレン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン)2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジドなどを挙げることができる。
【0027】
これらの中で好ましいヒドラジド化合物は、1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1−メチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,1−ヒドロキシN’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1−メチルブチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(1,3−ジメチルブチリデン)ヒドラジド,イソフタル酸ジ(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1−メチルブチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)ヒドラジド,イソニコチン酸(1,3−ジメチルブチリデン)ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−サリチル酸ヒドラジドなどであり、特に好ましいヒドラジド化合物は、前記一般式(I−a)及び(I−b)で表される化合物、具体的には2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルプロピリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1−メチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,2−ヒドロキシ−N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド,N’−(1−メチルエチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルプロピリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1−メチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド,N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−サリチル酸ヒドラジドである。
【0028】
この(B)成分のヒドラジド化合物は、加硫戻りによる過加硫に起因する弾性率の低下を抑え、低発熱性能及び耐摩耗性の低下を抑制する作用を有している。
本発明においては、この(B)成分は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、前記(A)成分であるゴム成分100重量部に対し、0.05〜5重量部の範囲で選定されることが好ましい。この量が0.05重量部未満では弾性率低下の抑制効果が充分に発揮されないおそれがあり、一方、5重量部を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる場合がある。効果及び経済性などを考慮すると、この(B)成分の好ましい配合量は、0.3〜3重量部の範囲である。
【0029】
本発明のゴム組成物においては、(C)成分として、カーボンブラックを配合することができる。このカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2 SA)が50m2 /g以上のものが好ましい。このN2 SAが50m2 /g未満では充分な耐摩耗性が得られにくい。また、N2 SAが大きすぎると低発熱性能が低下する原因となることがある。耐摩耗性及び低発熱性能のバランスなどの面から、より好ましいN2 SAは80〜160m2 /gの範囲である。なお、該N2 SAはASTM D3037−88に準拠して測定した値である。
上記カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。上記好適なボンブラックの例としては、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFなどが挙げられるが、これらの中で、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF及びSAFが特に好適である。
本発明においては、この(C)成分のカーボンブラックは、前記(A)成分のゴム成分100重量部に対し、20〜70重量部の範囲で配合することができる。この配合量が20重量部未満では耐摩耗性が充分に発揮されないおそれがあり、70重量部を超えると低発熱性能が低下したり、分散不良をもたらし、耐摩耗性などが悪化する原因となる。耐摩耗性、低発熱性能及び分散性などを考慮すると、このカーボンブラックの配合量は30〜60重量部の範囲が好ましい。
【0030】
本発明のゴム組成物においては、所望により、さらに(D)成分としてシリカを配合することができる。このシリカは、窒素吸着比表面積(N2 SA)が160〜260m2 /gの範囲にあり、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が180〜260ミリリットル/100gの範囲にあるものが好適である。このN2 SAが160m2 /g未満やDBPが180ミリリットル/100g未満では耐摩耗性が不充分になるおそれがあり、一方、N2 SAが260m2 /gを超えたり、DBPが260ミリリットル/100gを超えると分散不良を引き起こし、低発熱性能及び耐摩耗性が低下する原因となることがある。
なお、上記N2 SAは、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値であり、DBPは、ASTM D2414−93に準拠して測定した値である。
【0031】
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、これらの中で、特に湿式シリカが好適である。
本発明においては、この(D)成分のシリカは、前記(A)成分のゴム成分100重量部に対し、30重量部以下の範囲で配合されることが好ましい。この配合量が30重量部を超えると低発熱性能が低下するおそれがある。さらに好ましいシリカの配合量は20重量部以下の範囲である。
本発明のゴム組成物は、前記(A)成分であるゴム成分、(B)成分であるヒドラジド化合物、さらには(C)成分であるカーボンブラック、(D)成分であるシリカ、通常使用される加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、軟化剤、その他配合剤を適宜含有することができる。
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、前記ゴム組成物をトレッドゴムとして用い、通常の加硫条件に従って加硫成形することにより、製造することができる。
また、本発明の上記タイヤに充填される気体には、空気、又は窒素などの不活性なガスが用いられる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜5
第1表に示す組成のゴム成分100重量部に対し、2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフタレン酸ヒドラジド(BMH)を第1表に示す量で加え、さらにカーボンブラック(SAF級)50重量部、ワックス「WMO2」(精工化学社製)1.0重量部、ステアリン酸2.0重量部、老化防止剤6C〔N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン〕1.3重量部、亜鉛華3.5重量部、加硫促進剤CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)1.0重量部及び硫黄1.2重量部を配合し、ゴム組成物を調製した。このゴム組成物をトレッドゴムとして使用し、145℃で30分間加硫を行った。
加硫ゴムから試験片を取り出し、以下に示す方法に従い、低発熱性能及び抗破壊性を求めると共に、タイヤについて、以下に示す方法に従い耐摩耗性を評価した。
【0033】
(1)低発熱性能
東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用い、幅5mmの試料片について、歪±2%、周波数52Hz、温度100℃の条件でE’(tanδ)を測定した。低発熱性は、tanδの逆数を、比較例1のものを100とし、指数値で示した。数値が大きいほど低発熱性能は良好である。
(2)抗破壊性
摩耗試験終了後のタイヤのトレッドを、10×10×200mmのブロックでサンプルとして取り出し、厚さ方向中央部に30mmのカットをいれ、カットをいれた両側を一定の速度で引張った時の引裂き強力を測定し、比較例1を100とし指数値で示した。数値が大きいほど良好である。
(3)耐摩耗性
サイズ11R22.5のタイヤを、トレッド部分以外は従来構造と同一で、トレッド部分に第1表(実施例,比較例)のゴム組成物を用いて評価を行った。すなわち、リム、内圧は下記のように設定し、実車に装着し(装着位置は同じ)、悪路20000km走行後の摩耗量を測定した。
ここで、内圧とは、日本自動車タイヤ協会編の「JATMA Year Book 」に規格として記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、また、リムとは同規格に記載されている適用サイズにおける標準リムのことである。
耐摩耗性は、摩耗量の逆数を、比較例1を100とした指数値で示した。数値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0034】
【表1】
Figure 0005032725
【0035】
【表2】
Figure 0005032725
【0036】
(注)
1)E−SBR:ジェイ・エス・アール(株)製、乳化重合SBR、商標「JSR#1500」
2)S−SBR:ファイアストンケミカル社製、Sn変性溶液重合SBR、商標「FSケミカルHX765」
3)BR:宇部興産(株)製、ポリブタジエンゴム、商標「150L」
4)BMH:2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフタレン酸ヒドラジド
第1表から分かるように、Sn変性溶液重合SBRとヒドラジド化合物BMHを含む本発明のゴム組成物は、加硫後の低発熱性能、抗破壊性及び耐摩耗性の物性バランスに優れている。
【0037】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、耐摩耗性、抗破壊性及び低発熱性能のバランスが高いレベルでとれており、特に重荷重用空気入りタイヤのトレッドゴムなどとして好適に用いられる。

Claims (5)

  1. (A)(イ)溶液重合により得られ、かつ分子中に少なくとも一つのスズ原子を有する変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム15〜55重量%と、(ロ)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム85〜45重量%とからなるゴム成分100重量部当たり、(B)ヒドラジド化合物0.05〜5重量部を配合してなることを特徴とするゴム組成物。
  2. (A)(イ)成分の変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが、重合開始剤としてリチウム化合物を用い、溶液重合で得られたスチレン−ブタジエン共重合体を変性したものである請求項1記載のゴム組成物。
  3. (B)成分のヒドラジド化合物が、ナフトエ酸ヒドラジド類及び/又はサリチル酸ヒドラジド類である請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. さらに(C)カーボンブラックを、(A)成分100重量部当たり、20〜70重量部の割合で含む請求項1ないしのいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムとして用いたことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
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