JP2005232407A - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の重荷重用空気入りタイヤは、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム30〜80質量部、スチレン−ブタジエンゴムとブタジエンゴムとの合計が20〜70質量部からなるゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを40〜60質量部配合してなるゴム組成物であって、該スチレン−ブタジエンゴムが、Snを有すると共にスチレン成分を20〜45質量%の範囲で含み且つビニル量を30質量%以下とするスズ変性スチレン−ブタジエンゴムであるゴム組成物を、トレッドゴムに使用するものである。
【選択図】 なし
Description
発熱性の悪化を避けるためにトレッドに使用するゴム組成物中のカーボンをシリカに置換する手法がある。しかし、シリカの過剰な使用は耐摩耗性を悪化させるとされている(特許文献1を参照)。そこで、トレッドのゴム組成物としてゴム成分にスチレン−ブタジエンゴムを用い高密度ポリエチレンとシリカ及びシランカップリング剤とを組合せ添加することが提案されている(特許文献1を参照。)。スチレン−ブタジエンゴムはヒステリシスロスが増加するために使用され、耐偏摩耗性を改善するものであるとしている。しかしながら、このようなスチレン−ブタジエンゴムの大量使用は発熱性を悪化させる傾向にあるためその配合量に制約がある。
即ち、本発明は、以下の(1)乃至(6)の手段或いは構成を特徴するものである。
(3)上記のスズ変性スチレン−ブタジエンゴムが、スチレンの重合開始末端又は重合活性末端の少なくとも一方の末端にSnを有するスズ変性スチレン−ブタジエンゴムからなるゴム組成物を、トレッドゴムに使用する請求項1又は2記載の重荷重用空気入りタイヤ。
(4)上記のゴム成分100質量部に対してヒドラジド化合物が0.3〜3.0質量部の範囲で含むゴム組成物を、トレッドゴムに使用する請求項1〜3の何れかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
(5)トレッドにおける最大溝の深さが24mm以上である請求項1〜4の何れかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム30〜80質量部、スチレン−ブタジエンゴムとブタジエンゴムとの合計が20〜70質量部からなるゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを40〜60質量部配合してなるゴム組成物であって、該スチレン−ブタジエンゴムが、Snを有すると共にスチレン成分を20〜45質量%の範囲で含み且つビニル量を30質量%以下とするスズ変性スチレン−ブタジエンゴムであるゴム組成物を使用するものである。
上記のスズ変性スチレン−ブタジエンゴム及びブタジエンゴムの合計が20質量部未満では、耐偏摩耗性を十分に向上させない。また、これらの合計が70質量部を超えると、ゴム全体の耐破壊特性を悪くする。
基本的には原料として1,3−ブタジエン及びスチレンを用いる。また、アルカリ金属化合物、好ましくはリチウム化合物を重合開始剤とし、溶液重合(アニオン重合)させることにより得る。そして、このような重合により、末端が重合活性末端であるスチレン−ブタジエン共重合体からなるベースポリマー(反応停止前の活性末端を有する共重合体)を得る。ベースポリマーの末端をスズ化合物で変性することにより、所望のスズ変性スチレン−ブタジエンゴムを得る。
また、重合開始剤としては、スズ原子を有するアルカリ金属化合物、好ましくはスズ原子を有するリチウム化合物を重合開始剤とすることができる。この場合、重合開始末端にもスズ原子が導入される。また、ポリマー鎖中にスズ原子を導入するものとしては、原料として1,3−ブタジエン及びスチレンに加えてスズ原子含有化合物(モノマー)を使用することができる。
リチウム化合物としては、例えばヒドロカルビルリチウム、リチウムアミド化合物などが用いられる。ヒドロカルビルリチウムでは、重合開始末端がヒドロカルビル基であるスチレン−ブタジエン共重合体のベースポリマーが得られる。また、リチウムアミド化合物では、重合開始末端に窒素含有基を有するベースポリマーが得られる。
上記スズ化合物としては、例えば四塩化スズ,トリブチルスズクロリド,トリオクチルスズクロリド,ジオクチルスズジクロリド,ジブチルスズジクロリド,塩化トリフェニルスズなどが挙げられる。
スズ変性スチレン−ブタジエンゴムのスチレン成分が20質量%未満では、トレッドゴムにおける耐偏摩耗性及び低発熱性の両効果が十分でない。またスチレン成分が45質量%を超えると、トレッドゴムにおける発熱性を悪化させる。
また、スズ変性スチレン−ブタジエンゴムに含まれるビニル量が30質量%を超えると、耐摩耗性が低下する。
ヒドラジド化合物が0.3質量部未満では、ヒドラジド化合物による耐偏摩耗性及び発熱性の改善効果が十分でなく、3.0質量部を超えるとトレッドゴムにおける作業性に悪影響を与える。また、ヒドラジド化合物は以下に示すように一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、一般式:Z−A−CO−NHN=C(R3)R4・・・(I)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(I)において、Aは、アリーレン基、二価のヒダントイン残基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の二価の鎖状炭化水素基を示す。
アリーレン基は、二価の芳香族性複素環式基を包含する。ここで、アリーレン基としては、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、そしてその環上には、低級アルキル基や低級アルコキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。
また、二価のヒダントイン残基は、その環上に、低級アルキル基や低級アルコキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。
炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の二価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基が挙げられ、これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。このようなアルキレン基やアルケニレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ヘキシレン基,オクチレン基,デシレン基,ビニレン基,アリレン基,プロペニレン基,ブテニレン基,ヘキセニレン基,オクテニレン基,デセニレン基などが挙げられる。
又は一般式基:−CO−NHN=C(R5)R6・・・(II)で表される基を挙げることができる。ここで、R3〜R6は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18のヒドロカルビル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またR3とR4、R5とR6はたがいに結合して環構造を形成していてもよい。
炭素数1〜18のヒドロカルビル基としては、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基及び炭素数7〜18のアラルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の環上には、低級アルキル基や低級アルコキシル基アミノ基、アルキル置換アミノ基、ヒドロキシル基などの適当な置換基を有していてもよい。
上記のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などがある。
アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基などが、シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などがある。
アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などがある。
上記のカーボンブラックは、通常ゴム業界で用いられるものから適宜選択することができ、例えば、SAF、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF等を挙げることができるが、中でもSAFが物性の面から好ましい。
本発明の上記タイヤに充填される気体には、空気、又は窒素などの不活性なガスが用いられる。
(実施例1〜3及び比較例1及び2)
各実施例及び比較例のゴム組成物を下記表1に示し、下記表1の配合表に従ってバンバリーミキサーを使用して架橋前のゴム組成物を調製した。295/75R22.5の未加硫タイヤを作成し、加硫してトレッド部材に適用した。尚、トレッドパターンはブロックパターンとし、その主溝深さ(最大溝深さ)をそれぞれ表1に示した。
*1のポリマー(I);#1500(乳化重合SBR)
*2のポリマー(II);スズ変性スチレン−ブタジエン
*3のBMH;2−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−ナフタレン酸ヒドラジド
*4の加硫促進剤;CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
である。尚、ポリマー(II)は、以下の如く製造した。
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体37.5g、スチレン単量体12.5g、カリウム−t−アミレート0.03mmol、THF2mmolを注入し、さらに二級アミンとしてヘキサメチレンイミン0.41mmolを加えた。これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.45mmolを加えた後、50℃で2.5時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈澱は見られず均一で透明であった。重合転化率はほぼ100%であった。
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状共重合体を得た。この共重合体についてミクロ構造、分子量、及び分子量分布を測定した。この重合系にさらいに変性剤としてTTC(四塩化錫)の1Mシクロヘキサン溶液0.09mmolを加えた後にさらに30分間変性反応を行った。この後重合系にさらに2,6−ジ−ターシャリブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロピルアルコール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することによりポリマー(II)を得た。スチレン成分が25質量%、ビニル量が28質量%であった。
<発熱性の評価>
65km/hの速度・ステップロード条件のドラムシステムを実施し、タイヤトレッド内部の一定mmの深さの位置の温度を測定し、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例を指数で表示した。指数の値が大きい程、低発熱性であることを示す。
<耐偏摩耗性の評価>
トラックのドライブ軸に装着し、10万km走行後の偏摩耗面積を測定し、その逆数を用いて比較例1を対照値(コントロール)100として、各例を指数で表示した。数値が大きい程、耐偏摩耗性が良好であることを示す。
<耐摩耗性の評価>
トラックのドライブ軸に装着、残溝5mmまでの走行距離を、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例を指数で表示した。指数の値が大きい程、完摩耗までのライフが長いことを示す。
Claims (5)
- 天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴム30〜80質量部、スチレン−ブタジエンゴムとブタジエンゴムとの合計が20〜70質量部からなるゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを40〜60質量部配合してなるゴム組成物であって、該スチレン−ブタジエンゴムが、Snを有すると共にスチレン成分を20〜45質量%の範囲で含み且つビニル量を30質量%以下とするスズ変性スチレン−ブタジエンゴムであるゴム組成物を、トレッドゴムに使用する重荷重用空気入りタイヤ。
- 上記のゴム成分中にスズ変性スチレン−ブタジエンゴムが20〜50質量%を含むゴム組成物を、トレッドゴムに使用する請求項1記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- 上記のスズ変性スチレン−ブタジエンゴムが、スチレンの重合開始末端又は重合活性末端の少なくとも一方の末端にSnを有するスズ変性スチレン−ブタジエンゴムからなるゴム組成物を、トレッドゴムに使用する請求項1又は2記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- 上記のゴム成分100質量部に対してヒドラジド化合物が0.3〜3.0質量部の範囲で含むゴム組成物を、トレッドゴムに使用する請求項1〜3の何れかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- トレッドにおける最大溝の深さが24mm以上である請求項1〜4の何れかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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