JP5032515B2 - 走行減速機用潤滑油の冷却装置 - Google Patents

走行減速機用潤滑油の冷却装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5032515B2
JP5032515B2 JP2009016243A JP2009016243A JP5032515B2 JP 5032515 B2 JP5032515 B2 JP 5032515B2 JP 2009016243 A JP2009016243 A JP 2009016243A JP 2009016243 A JP2009016243 A JP 2009016243A JP 5032515 B2 JP5032515 B2 JP 5032515B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
speed
oil pump
mounting cylinder
wheel mounting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009016243A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010174943A (ja
Inventor
高嘉 村橋
俊和 美濃島
隆雄 黒沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2009016243A priority Critical patent/JP5032515B2/ja
Priority to US12/615,529 priority patent/US8108101B2/en
Priority to DE102009046795A priority patent/DE102009046795B4/de
Publication of JP2010174943A publication Critical patent/JP2010174943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5032515B2 publication Critical patent/JP5032515B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/0434Features relating to lubrication or cooling or heating relating to lubrication supply, e.g. pumps ; Pressure control
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60KARRANGEMENT OR MOUNTING OF PROPULSION UNITS OR OF TRANSMISSIONS IN VEHICLES; ARRANGEMENT OR MOUNTING OF PLURAL DIVERSE PRIME-MOVERS IN VEHICLES; AUXILIARY DRIVES FOR VEHICLES; INSTRUMENTATION OR DASHBOARDS FOR VEHICLES; ARRANGEMENTS IN CONNECTION WITH COOLING, AIR INTAKE, GAS EXHAUST OR FUEL SUPPLY OF PROPULSION UNITS IN VEHICLES
    • B60K17/00Arrangement or mounting of transmissions in vehicles
    • B60K17/04Arrangement or mounting of transmissions in vehicles characterised by arrangement, location, or kind of gearing
    • B60K17/043Transmission unit disposed in on near the vehicle wheel, or between the differential gear unit and the wheel
    • B60K17/046Transmission unit disposed in on near the vehicle wheel, or between the differential gear unit and the wheel with planetary gearing having orbital motion

Description

本発明は、例えば鉱山等で採掘した砕石物を運搬する大型のダンプトラック等の作業車両に用いる場合に好適な走行減速機用潤滑油の冷却装置に係わり、特に作業車両の起動運転時に潤滑油冷却装置を作動させる装置に関する。
一般に、ダンプトラックと呼ばれる運搬車は、車体のフレーム上に起伏可能となるベッセルを備え、このベッセルに砕石物等の重い荷物を多量に積載した状態で運搬するものである。このため、ダンプトラックの駆動輪を駆動する走行駆動装置は、車体に取付けられた筒状のモータ収容筒と、このモータ収容筒内に設けられ回転軸を回転駆動する電動モータまたは油圧モータ等の駆動モータと、前記モータ収容筒の先端側に設けた筒状スピンドルの外周に軸受を介して回転可能に取付けられ、かつ車輪が外嵌固定された車輪取付筒と、この車輪取付筒内に取付けられ、前記駆動モータの回転を減速して前記車輪取付筒(車輪)に伝達する走行用減速機等を備えている(例えば特許文献1,2参照)。
また、走行用の車輪が取付けられる前記車輪取付筒内には、減速歯車機構を構成する各歯車等を潤滑状態に保つために潤滑油が溜められる。この潤滑油は、走行時間の経過により温度が上昇し、粘度が低下し、これに伴って潤滑作用が低下する。この潤滑作用の低下および潤滑油の劣化を防止するため、この潤滑油を車輪取付筒の外部に設けた潤滑油ポンプにより車輪取付筒の内、外に強制的に循環させると共に、循環路の途中に設けたオイルクーラにより潤滑油を冷却する構成としている。
この場合、潤滑油ポンプの吸込み側には吸込配管が接続され、この吸込配管は前記車輪取付筒内に差し込まれ、その吸込み口は、車輪取付筒の底面に向き、車輪取付筒内の潤滑油の液面下に浸漬される位置まで延びている。一方、潤滑油ポンプの吐出側には供給配管が接続され、この供給配管も前記車輪取付筒内に差し込まれ、車輪取付筒内に潤滑油ポンプからの潤滑油を供給する構成となっている。
特開昭62−221918号公報 特開2006−264394号公報
上述したように、従来の大型ダンプトラック等の作業車両の走行駆動装置においては、走行に伴って減速機用潤滑油の温度が上昇した場合、この潤滑油を冷却することが必要となるため、走行用モータを収容したモータ収容筒内に潤滑油ポンプおよびオイルクーラを設け、車輪取付筒内の潤滑油を車輪取付筒外に潤滑油ポンプによって吸い出し、潤滑油ポンプから吐出した潤滑油をオイルクーラで冷却して車輪取付筒内に供給する構成としている。
このような潤滑油の冷却装置においては、潤滑油の上昇を検出するため、温度センサを設ける必要がある。そこで実際に減速機において潤滑機能を発揮している潤滑油の温度を検出する意味では、この温度センサを車輪取付筒内に設け、潤滑油の温度を直接検出することが好ましい。しかし、温度センサを車輪取付筒内に設けて潤滑油の温度を検出することにすると、この温度センサが故障した場合、車輪を車輪取付筒から外し、さらに走行用モータを車輪取付筒から外して温度センサを取外さなければならない。ところが、大型作業車両においては車輪自体の直径が例えば最大4mにも及ぶ大型で大重量のものであるため、この交換に多大の時間、労力、費用を要する上、その交換の間に作業車両を休止させなければならず、経済的損失が多大となる。
このため、温度センサを車輪取付筒内に設けることは断念しなければならず、温度センサを車輪取付筒外の潤滑油循環路に設けることが考えられる。しかしながら、温度センサを車輪取付筒外に設けると次のような問題が生じる。標高4000m以上の高地や寒冷地や緯度の比較的高い地域での冬季等のような低温の環境で作業車両が使用される場合、作業車両の走行に伴い、実際に潤滑作用を発揮する車輪取付筒内の潤滑油の温度が上昇しても、温度センサで検出される温度は車輪取付筒外であるので、検出される温度は実際に潤滑油として用いられている部分の温度ではなく、環境温度に近い低温のままである。
ここで、従来装置においては、潤滑油ポンプは、潤滑油の温度が例えば70℃以上に上昇した場合にのみ作動させて潤滑油を車輪取付筒内外で循環させ、この循環の途中で潤滑油をオイルクーラに通して冷却することを前提にしているので、車輪取付筒内で潤滑油の温度が上昇していても、この温度センサを車輪取付筒外に取付けた場合には、検出温度は環境温度に相当する低温状態を検出したままであり、車輪取付筒内の実際の潤滑油温度を検出していることにならない。このため、温度センサを車輪取付筒の外に設けると、車輪取付筒内の潤滑油温度が冷却すべき高い温度にまで上昇していても、冷却されること無く放置されたままとなる虞がある。このように、潤滑油が車輪取付筒内にて高い温度で放置されると、潤滑油は粘度低下による潤滑作用の低下や潤滑油性能の劣化が生じる虞がある。
このように、車輪取付筒外の循環路に温度センサを設けた場合の問題を解決し、車輪取付筒内の潤滑油の実際の温度に近い温度を検出するため、温度センサによる検出温度が低いにも係わらず潤滑油ポンプを回転させることにより、車輪取付筒内の潤滑油を車輪取付筒外に吸い出すことが考えられる。
しかしながら、大型作業車両においては、減速機の歯車にかかる負荷が多大であるため、この負荷に耐えるため、潤滑油として粘度の高い例えば#90あるいは#140のものが使用される。このような潤滑油は低温になると蜂蜜状あるいは蜂蜜と水あめの中間程度の流動性しか有していない。このため、環境温度がマイナス20℃以下にもなる寒冷な環境では、潤滑油ポンプの負荷が過大となり、定格回転数では回転することができなくなる。また、たとえ回転できたとしても、潤滑油の流動抵抗が過大となるため、インバータ制御の電動モータ駆動による潤滑油ポンプではインバータエラーによる停止状態となってしまう虞がある。
このため、車輪取付筒内の潤滑油温度がある程度上昇し粘度がかなり低下したと想定される状態になった後、潤滑油ポンプを低速で駆動することにより、潤滑油を低速で循環させることが考えられる。しかしながら、作業車両の走行により車輪取付筒が回転するため、車輪取付筒内の潤滑油が車輪取付筒の内壁に沿って上昇し、これにより、車輪取付筒の底部に溜まる潤滑油の液面が潤滑油ポンプの吸込配管の吸込口よりも下がり、潤滑油ポンプの作動により吸込口から空気が吸込まれ、潤滑油ポンプがキャビテーションを起こす虞がある。ここで、車輪取付筒の内壁に沿って一旦上がった潤滑油は、車輪取付筒内の温度が低温になり、潤滑油の粘度が高いほど流下し難くなるため、寒冷な作業環境ほど前記空気吸込みによるキャビテーションを生じやすくなる。潤滑油ポンプがキャビテーションを起こすと、潤滑油ポンプのシール類、軸受等が早期に摩耗、損傷しやすくなる。
本発明は、上記問題点に鑑み、潤滑油の温度センサを車輪取付筒外に設け、かつ寒冷な作業環境で作業する場合であっても、潤滑油ポンプ等の損傷を惹起する虞が無い走行減速機用潤滑油の冷却装置を提供することを目的とする。
請求項1の走行減速機用潤滑油の冷却装置は、
作業車両の車輪と一体に回転する筒状の車輪取付筒と、
前記車輪取付筒駆動用の走行用モータと、
前記車輪取付筒内に設けられ、前記走行用モータの回転を減速して前記車輪取付筒に伝える歯車機構からなる減速機と、
前記車輪取付筒の外部に設けられ、減速機用潤滑油を前記車輪取付筒内から吸い出し、オイルクーラにより冷却して前記車輪取付筒内に戻す循環路および潤滑油ポンプとを備えた作業車両における走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
前記走行用モータの速度を検出する速度センサと、
通常運転時において潤滑油ポンプの空気吸込みを防止するために潤滑油ポンプを停止させる基準速度Vh、および起動運転時潤滑油ポンプの空気吸込みを防止するために潤滑油ポンプを停止させるための、前記基準速度Vhより低い起動運転時基準速度Vcを予め設定する基準速度設定手段と、
前記速度センサの検出速度Vと前記走行用モータの起動運転時基準速度Vcとを比較する速度比較手段と、
前記検出速度Vが前記起動運転時基準速度Vcより低い際に通常運転速度より低い速度で潤滑油ポンプの駆動モータを作動させ、前記検出速度Vが前記起動運転時基準速度Vcより高い際に潤滑油ポンプの駆動モータを停止させる起動運転時用制御手段とを備えた
ことを特徴とする。
請求項2の走行減速機用潤滑油の冷却装置は、請求項1に記載の走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
前記基準速度Vh、Vcの関係を、
Vc=α×Vh(ただしα=0.4〜0.6)に設定した
ことを特徴とする。
請求項3の走行減速機用潤滑油の冷却装置は、請求項1または2に記載の走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
潤滑油ポンプの起動運転時基準速度Vcとして、潤滑油ポンプの作動を停止させる起動運転時基準速度Vc1と、この基準速度Vc1より低い速度であって、潤滑油ポンプの作動を再開させる起動運転時基準速度Vc2とを設定し、
その偏差Δ=Vc1−Vc2を、
Δ=β×Vc1(ただしβ=0.1〜0.2)に設定した
ことを特徴とする。
請求項1の発明は、作業車両の起動運転時において、潤滑油ポンプを低速で作動させて車輪取付筒内の潤滑油を潤滑油ポンプにより循環させることを前提としている。そして起動運転時には、潤滑油温度が低温であることを想定し、潤滑油ポンプを停止させる基準温度となる起動運転時基準速度を通常運転時基準速度より低く設定しているので、起動運転時の潤滑油低温の状況に適合したキャビテーションの無い潤滑油ポンプの運転が可能となる。
すなわち、車輪取付筒内の潤滑油温度が低温である状況では、通常運転時に比較して潤滑油の粘度が高く、作業車両の走行によって車輪取付筒の内壁に沿って上昇する潤滑油が底部に流下し難くなる。このため、起動運転時の潤滑油低温状況では潤滑油ポンプの吸込配管の吸込口より潤滑油液面が下になり易いが、潤滑油ポンプを停止させる走行用モータ起動運転時基準速度を低く設定しているので、吸込口が潤滑油液面より低いと想定される場合でのみ潤滑油ポンプを作動させることとなり、潤滑油ポンプのキャビテーションを防止することができる。
請求項2の発明によれば、経験則から、起動運転時基準速度を通常運転時基準速度の4〜6割に設定したので、潤滑油温度が50℃より低い状況において、実情に適合した潤滑油ポンプの運転が可能となる。
請求項3の発明によれば、潤滑油ポンプの作動を停止させる起動運転時基準速度Vc1と、潤滑油ポンプの作動を再開させる起動運転時基準速度Vc2との間にVc1の10〜20%の偏差Δを持たせたので、潤滑油ポンプが頻繁に起動、停止を繰り返すことなく、安定した制御動作が可能となる。
本発明を適用する作業車両の一例を示す側面図である。 本発明を適用する走行駆動装置の一例を示す構成図である。 本発明による潤滑油の冷却装置の一実施の形態を含む走行駆動装置を示す構成図である。 この実施の形態の潤滑油の冷却装置の系統図である。 この実施の形態における潤滑油と吸込配管との位置関係を示す断面図である。 この実施の形態の潤滑油の冷却装置の機器をキャビン側から透視して見た図である。 この実施の形態の走行駆動装置の制御ブロック図である。 この実施の形態の潤滑油の冷却装置の機能ブロック図である。 大型作業車両における潤滑油温度と空気吸込みを生じる限界速度との関係を示すグラフである。 この実施の形態の起動運転時用運転を説明するフローチャートである。 この実施の形態の起動運転時用運転の詳細を説明するフローチャートである。 この実施の形態のモータ動作制御例を示す図である。 この実施の形態の通常運転を説明するフローチャートである。 本発明の他の実施の形態の潤滑油の冷却装置の機能ブロック図である。
図1は本発明を適用する大型作業車両の一例を示す側面図である。この例は作業車両がダンプトラックである場合について示す。このダンプトラックは頑丈なフレーム構造をなし、前輪2および後輪3を有する車体1と、車体1上に搭載された荷台としてのベッセル4とキャビン5とを備える。ベッセル4は、例えば砕石物や石炭等の重い荷物を多量に積載するため、全長が10〜13mにも及ぶ大型の容器として構成され、前側上部にキャビン5を上側から覆う庇部4aが一体に設けられている。このベッセル4は、後側のピン連結部6により車体1に起伏可能に取付けられる。7はこのベッセル4を起伏させる起伏シリンダである。
前輪2はダンプトラックの運転者により操舵される操舵輪を構成する。後輪3は左右にそれぞれ2本ずつ設けられ、ダンプトラックの駆動輪を構成する。前輪2および後輪3は例えば2〜4mに及ぶ大きな外径寸法を持つものである。
図2にはこの作業車両の全体構成を示す平面図である。図2において、8は車体1上におけるキャビン5の下側に搭載される原動機としてのエンジンであり、このエンジン8は、例えば大型のディーゼルエンジンにより構成される。このエンジン8は、主発電機9を駆動して3相交流の電力(例えば1500kW程度)を発生させる。また、エンジン8は、例えば直流24Vの電圧を発生させる副発電機10等も駆動する。11は副発電機10により充電されるバッテリである。また、エンジン8は、油圧源となる油圧ポンプ(図示せず)等を回転駆動し、ベッセル4を起伏させる起伏シリンダ7や操舵シリンダ(図示せず)等に圧油を給排させる機能も有している。図1に示すように、油圧ポンプから吐出される作動油タンク12は、車体1の側部に搭載されている。
図2において、14は電力制御装置であり、これはこのダンプトラックの電力制御を車体コントローラ15と共に行うものである。車体コントローラ15はバッテリ11を電源とする。電力制御装置14は、図1に示すように、キャビン5の側方に位置して車体1上に立設された配電制御盤等により構成されている。そして電力制御装置14は、図2に示す車体コントローラ15から出力される制御信号に従って、主発電機9で発生させた電力により交流電動モータでなる走行用モータ16や潤滑油ポンプ17の駆動モータ18(図3参照)等を駆動するものである。なお、走行用モータ16は、その回転数が個別にフィードバック制御されるものである。
20はこのダンプトラックの後部に設けられた走行用モータ16を含む走行駆動装置である。この走行駆動装置20は、左右の走行用モータ16、左右の走行用モータ16を収容するモータ収容筒22、走行用モータ16により回転駆動される回転軸24、および減速機27(図3参照)等により構成される。
図3は走行用モータ16や減速機27等の構造および潤滑油の冷却装置の配管接続構造を示す図である。図3において、モータ収容筒22の軸方向の外端には、筒状スピンドル25がボルト26により着脱可能に固着される。筒状スピンドル25は、軸方向の外側を小径にしたテーパー部25aと、このテーパー部25aから外方に延出させた小径部25bとを有する。この小径部25bには、軸受30,31を介して車輪取付筒32が回転可能に外嵌される。車輪取付筒32には、左右2本の車輪3のリム3aが外嵌固定される。
筒状スピンドル25のテーパー部25aの内端部には、径方向内向きに突出する複数の取付座25cが一体に形成される。これらの取付座25cに走行用モータ16の外周に設けた取付用フランジ16aを合わせてボルト(図示せず)によって結合することにより、走行用モータ16が筒状スピンドル25に取付けられる。また、筒状スピンドル25のテーパー部25aの内周側には、径方向内向きに突出する環状の取付部25dが形成され、この取付部25dと走行用モータ16との間に走行用モータ16と減速機収容部との間を隔離する隔壁33が取付けられている。34は筒状スピンドル25の外周と車輪取付筒32との間に設けたシール材である。このシール材34は、車輪取付筒32内に収容する潤滑油29の漏出を防止すると共に、外部からの塵埃等が車輪取付筒32内に侵入することを防止するものである。
次に回転軸24と車輪取付筒32との間に設けられる減速機27について説明する。車輪取付筒32の外端には、内歯車36と外側ドラム37とが、長尺ボルト(図示せず)により、固定して取付けられる。減速機27は、第1の減速機構39と、第2の減速機構40とにより構成される。第1の減速機構39は、回転軸24の先端にスプライン結合された太陽歯車41と、この太陽歯車41に噛合し、太陽歯車41の回転に従って自転する例えば3個の遊星歯車42(1個のみ図示)と、各遊星歯車42を支持ピン43を介して回転可能に支持したキャリア44と、遊星歯車42に噛合する内歯車45とにより構成される。キャリア44はボルト46により外側ドラム37の外端に着脱可能に固定される。キャリア44の中心部には点検用の開口部が形成され、その開口部に蓋板47がボルトにより着脱可能に取付けられる。
第2の減速機構40は、第1の減速機構39の内歯車45と一体をなすカップリング49を介して回転軸24と同心に設けた太陽歯車50と、筒状スピンドル25の小径部25bの外端部に筒状部51aがスプライン結合等により回転不能にかつ着脱可能に内嵌されたキャリア51と、前記車輪取付筒32に固定された前記内歯車36と、前記キャリア51に固定した例えば3本の支持ピン53にそれぞれ回転可能に取付けられ、前記太陽歯車50および内歯車36に噛合する遊星歯車54とからなる。
このように、減速機27は、第1の減速機構39と第2の減速機構40とにより、走行用モータ16により回転される回転軸24の回転速度に対し、車輪3の回転速度を例えば30〜40分の1程度の速度に減速し、大トルクで車輪3を回転させるものである。
55は走行用モータ16の回転軸24に取付けたディスク、56はこのディスクの外周に対向させて設けられた速度センサである。この速度センサ56は、走行用モータ16の回転軸24の回転速度を検出するものである。走行用モータ16は、その固定子にこの走行用モータ16の温度を検出する温度センサ(以下第1の温度センサと称す。)57が設けられている。
次に減速機27に供給する潤滑油の冷却装置について説明する。図4は潤滑油の冷却装置の系統図である。潤滑油ポンプ17は左右の車輪3,3に対応してそれぞれ設けられ、潤滑油の循環路58,58もそれぞれ左右の車輪3,3に対応して設けられる。2台の潤滑油ポンプ17,17は1台の駆動モータ18により駆動される。なお、2台の潤滑油ポンプ17をそれぞれ個別の駆動モータ18により駆動する構成としてもよい。
循環路58は、図3、図4に示すように、隔壁33より筒状スピンドル25内の軸心方向の外側領域に設けられた吸込配管59と、この吸込配管59に隔壁33の部分で接続され、内端が潤滑油ポンプ17の吸込ポートに接続された吸込配管60と、潤滑油ポンプ17の吐出ポートから隔壁33に至る供給配管61と、この供給配管61に隔壁33において接続され、隔壁33より筒状スピンドル25内の軸心方向の外側領域に設けられた供給配管62とを備える。
吸込配管59は、図3、図5に示すように、筒状スピンドル25の小径部25bの底部に設けた孔25eに通し、その下端の吸込口59aは車輪取付筒32の底部に溜められた潤滑油29内に浸漬される。一方隔壁33より軸心方向の外側に設けられた供給配管62は、図3に示すように、筒状スピンドル25内を通り、先端をキャリア51内に望ませて設けている。
ここで、潤滑油ポンプ17の作動による車輪取付筒32からの空気吸込みについて図5により説明しておく。図5において、走行により車輪取付筒32が矢印80で示すように回転する際に、回転速度の上昇に伴う遠心力の増大により、潤滑油29が矢印81に示すように車輪取付筒32の内壁に沿って上昇する。これに伴い、潤滑油29の液面が吸込配管59の吸込口59aよりも低くなると、潤滑油ポンプ17の作動により吸込口59aから空気吸込みが生じることとなる。このような車輪取付筒32の底部における潤滑油液面の低下、およびこれに伴う空気吸込みは、潤滑油温度が低い(すなわち粘度が高い)状態で生じやすく、また、走行用モータ16の速度(すなわち車速)が高いほど生じやすくなる。
図6はモータ収容筒22内の機器の配置を、走行用モータ16の図示を省略して、キャビン5側(前方)より透視して見た図である。図4、図6に示すように、潤滑油ポンプ17の供給配管61には、吐出された潤滑油の圧力(吐出圧力)を検出する圧力センサ64と、潤滑油の温度を検出する温度センサ(以下第2の温度センサと称す。)65と、圧力保持弁66と、除塵用フィルタ67と、オイルクーラ68とを備える。なお、潤滑油ポンプ17は、1台で2つの入力ポートと2つの出力ポートを有するものについて示している。また、圧力センサ64と第2の温度センサ65は1つのケースに収められている。また、圧力保持弁66は、例えば0.15MPa程度のクラッキング圧で開弁し、潤滑油ポンプ17から吐出された潤滑油をフィルタ67が設置された下流側へと流通させるものである。
また、オイルクーラ68は、車体1上におけるモータ収容筒22より前部に搭載されたファン(図示せず)から、モータ収容筒22の前面に空けられた通風孔22aを通して供給されるモータ空冷用冷却風を流用して潤滑油を冷却するものである。
69は供給配管61におけるオイルクーラ68より上流側と吸込配管60との間に設けたオイルクーラ68保護用のバイパス弁である。このバイパス弁69は逆止弁でなり、供給配管61内の潤滑油の圧力が過剰圧(P2)となった際に開弁して供給配管61の潤滑油を吸込配管60側に還流させるものである。このバイパス弁69のクラッキング圧はオイルクーラ68が破損される虞がある1MPaより低い例えば0.4〜0.6MPa程度に設定される。なお、図4において、70はエアブリーザであり、このエアブリーザ70は、車輪取付筒32の上方に設置され、車輪取付筒32内の空気圧が内部温度の影響で変動するのを防止し、内部の圧力を大気圧程度に保つ機能を有している。
図7は前記走行用モータ16および潤滑油ポンプ駆動モータ18の制御ブロック図である。図示のように、車体コントローラ15はバッテリ11を電源とし、前記走行用モータ16の速度センサ56、圧力センサ64、第1の温度センサ57および第2の温度センサ65の検出信号が入力される。車体コントローラ15の出力側にはキャビン5に備える表示器71が接続されると共に、電力制御装置14に接続される。表示器71は、オペレータに対し、センサ異常等の警報情報を表示するものである。車体コントローラ15は、ROM,RAM(不揮発性のメモリを含む。)等からなる記憶部15Aを有し、この記憶部15Aには、第1、第2の温度センサ57,65や圧力センサ64で検出される温度や圧力と比較する基準値等が格納される。また、潤滑油ポンプ17の駆動モータ18の駆動、停止を行う潤滑油の供給制御用のプログラム等が格納されている。
図8は図7に示した車体コントローラ15が持つプログラムにより実現される潤滑油ポンプ17用駆動モータ18の制御用機能ブロック図である。図8において、走行用モータ基準温度設定手段73は、起動運転時において、走行用モータ16の温度と車輪取付筒32内の潤滑油温度とがある程度の相関関係があるという経験則から、起動運転時において、潤滑油ポンプ17の起動により潤滑油の循環が可能な温度に達したか否かを判定するための基準温度Tms(例えば50℃)を設定するものである。モータ温度比較手段78は、第1の温度センサ57により検出される走行用モータ16の温度Tmと走行用モータ基準温度設定手段73により設定される基準温度Tmsとを比較するものである。
起動運転時用基準速度設定手段74は、起動運転時において、空気吸込みを生じると思われる基準速度Vcを設定するものである。起動運転時用速度比較手段79は、速度センサ56により検出される走行用モータ16の検出速度Vと起動運転時基準速度Vcとを比較するものである。
起動運転時用制御手段82は、Tm≧Tmsとなった状態、すなわち走行用モータ16の温度Tmが基準温度Tms以上になったことを条件として、走行用モータ16の検出速度Vが起動運転時基準速度Vcより低い場合にモータ駆動回路83により潤滑油ポンプ17の駆動モータ18を作動させ、検出速度Vが基準速度Vcより高い場合に駆動モータ18を停止させるものである。
通常運転時用冷却基準温度設定手段75は、潤滑油温度Tが冷却を必要とするか否かの基準温度Tcs(例えば55℃)を設定するものである。通常運転時用潤滑油温度比較手段84は、第2の温度センサ65により検出される循環路58の潤滑油温度(潤滑油ポンプ17の吐出油の温度)Tと通常運転時と判定される基準温度Tcsとを比較するものである。
通常運転時用制御手段85は、通常運転時用潤滑油温度比較手段84による潤滑油温度の比較結果がT≧Tcsになるとモータ駆動回路83により潤滑油ポンプ17の駆動モータ18を作動させ、T<Tcsになると駆動モータ18を停止させるものである。
基準吐出圧力設定手段76は、潤滑油ポンプ17が空気吸込みを生じているかを判定する基準吐出圧力P1(例えば0.1MPa)を設定するものである。吐出圧力比較手段86は、圧力センサ64により検出される潤滑油ポンプ17の吐出圧力Pと基準吐出圧力P1とを比較し、P<P1であれば起動運転時制御手段82あるいは通常運転時制御手段85を介して駆動モータ18を停止させて空気吸込みによるキャビテーションを防止するものである。
通常運転時基準速度設定手段77は、通常運転時において、走行用モータ16の検出速度Vが吸込口59aから空気吸込みを生じるおそれがあると判定できる速度Vhを設定するものである。通常運転時速度比較手段87は、検出速度Vと基準速度Vhとを比較し、V≧Vhになると、通常運転時制御手段85を介して駆動モータ18を停止させるものである。なお、通常運転時基準速度設定手段77と起動運転時基準速度設定手段74は別々に設けるのではなく、通常運転時基準速度設定手段77により設定される基準速度Vhから演算等により基準速度Vcを自動的に算出するようにしてもよい。
図9は潤滑油ポンプ17の自吸特性の一例を示すグラフである。このグラフは、潤滑油として#90のものを用い、第2の温度センサ65で検出される潤滑油温度(サクション温度)と車両速度とを変化させ、空気吸込みを生じる作業車両の速度を示したものである。図9に示すように、通常運転時の潤滑油温度が70℃と仮定した場合、吸込み限界となる速度、すなわち空気吸込みを生じる可能性が生じる基準速度Vhは46km/hr程度であると読み取ることができる。一方、Tm<Tms(=55℃)である起動運転時においては、空気吸込みを生じる車速は低下するが、20℃に近くなると空気吸込みを生じる車速はばらつく。ただし、多くの場合
Vc=α×Vh(ただしα=0.4〜0.6)
を超える車速の場合には潤滑油ポンプ17を停止すれば、多くの場合、無用のキャビテーションを避けることができることが判明した。なお、潤滑油の材質にもよるが、前記Vhを設定するための通常運転時の潤滑油温度は、60〜80℃に設定される。なお、潤滑油の冷却開始を必要とする温度は、一般的には50℃〜70℃である。
次にこの図8に示す車体コントローラ15の動作を説明する。図10のフローチャートに示すように、作業車両の走行を開始した後、第1の温度センサ57から走行用モータ16の温度Tmを車体コントローラ15に読み込む(ステップ1)。モータ温度比較手段78は、この走行用モータ16の温度Tmと走行用モータ基準温度設定手段73に設定された基準温度Tms(例えば50℃)とを比較し(ステップ2)、Tm<Tmsであればステップ1に戻る。一方、Tm≧Tmsになると、車輪取付筒32内の潤滑油の温度が冷却を要する温度にまで上昇した可能性があると判断し、潤滑油ポンプ17の起動ルーチンに入る(ステップ3)。
図11は潤滑油ポンプ17の起動ルーチンを示しており、この起動ルーチンにおいては、まず第2の温度センサ65により検出される循環路58における潤滑油温度Tを車体コントローラ15に読み込む(ステップ13)。次に、この潤滑油温度Tを基準温度T0(例えば5℃),T1(例えば35℃)と比較する(ステップ14)。そして、T<T0であれば起動運転時用制御手段82はモータ駆動回路83に微速指令を加え、駆動モータ18を例えば4Hz(好ましくは3〜6Hz)で駆動する(ステップ15,18)。また、T0≦T<T1であれば起動運転時用制御手段82はモータ駆動回路83に微速指令を加え、駆動モータ18を例えば15Hz(好ましくは10〜20Hz)で駆動する(ステップ16,18)。また、T1≦Tであれば起動運転時用制御手段はモータ駆動回路83に中速指令を加え、駆動モータ18を例えば50Hz(好ましくは40〜60Hz)で駆動する(ステップ17,18)。
図12は潤滑油温度Tによって駆動モータ18の入力周波数を変化させるモータ動作制御例を示しており、この例はZ1=4Hz、Z2=15Hz、Z3=50Hzとした例である。また、図12において、P1は潤滑油ポンプ17における空気吸込みに相当する吐出圧力を示す。また、P2はバイパス弁69のクラッキング圧(例えば0.47MPa)に相当する吐出圧力である。P3はオイルクーラ68が破損する虞がある吐出圧力(例えば1.0MPa)に相当する吐出圧力である。
ステップ13〜18で示したように、第2の温度センサ65により検出される潤滑油温度に応じた速度で駆動モータ18(潤滑油ポンプ17)を作動させた後、図10の処理に戻る。そして、速度センサ56により検出される走行用モータ16の速度Vを車体コントローラ15に読み込む(ステップ4)。起動運転時用速度比較手段79は、速度センサ56により検出される検出速度Vを起動運転時用基準速度設定手段74により設定された基準速度Vcと比較する(ステップ5)。そしてV≧Vcであれば、空気吸込みの虞ありとしてステップ6に移り、駆動モータ18すなわち潤滑油ポンプ17を停止し、ステップ4に戻る。反対にV<Vcであれば、空気吸込みの虞が無いとして潤滑油ポンプ17の作動を継続するかあるいは再起動する(ステップ7)。
続いてステップ8においては、第2の温度センサ65により検出される潤滑油温度Tが通常運転に入るべきTcs(例えば55℃)に達したか否かを判定し、T<Tcsであれば、車体コントローラ15に付帯したタイムカウンタを起動するかあるいはタイム加算を行う(ステップ9)。ここで、タイムカウンタとは、潤滑油ポンプ17を起動してから潤滑油ポンプ17を作動させた時間を積算するものである。次にステップ10では、第2の温度センサ65により検出される潤滑油温度が、車輪取付筒32内の潤滑油によって置換されたものと想定されるN秒(例えば300〜600秒)だけ潤滑油ポンプ17の作動時間が経過したか否かを判定し、この時間に達していれば駆動モータ18、すなわち潤滑油ポンプ17を停止させると共にタイムカウンタをリセットする(ステップ11)。この起動運転時の潤滑油ポンプ17の運転時間がこの時間N秒に達していなければ、ステップ3の起動運転時ルーチンに戻る。
一方、ステップ8において、T≧Tcsであれば、潤滑油温度が十分高く、すなわち潤滑油の粘度が潤滑油ポンプ17(駆動モータ18)の定格回転数での運転に十分耐えるだけの低い粘度に低下したものとみなし、ステップ12(図13)の通常運転時のルーチンに入る。この通常運転時の定格周波数Z4は図12に示すように、例えば90Hzである。
図13のフローチャートに示すように、通常運転においては、速度センサ56により検出される走行用モータ16の速度Vを読込み(ステップ19)、この速度Vと基準速度設定手段77により設定された基準速度V1とを速度比較手段87により比較する(ステップ20)。そして、V≦Vhであれば、潤滑油ポンプ17は空気吸込みを起こさないと見なして通常運転時用制御手段85はモータ駆動回路83を介して駆動モータ18を定格回転数(例えば90Hz)で駆動するかあるいは回転を継続し、潤滑油を車輪取付筒32と循環路58との間で循環させ、潤滑油を冷却する(ステップ21)。
一方、V>Vhであれば、図5において説明したように、車輪取付筒32内で潤滑油29が遠心力により車輪取付筒32の内壁に沿って上がり、潤滑油29の液面が吸込口59a以下となる虞があるとして潤滑油ポンプ17(駆動モータ18)を停止させ(ストッパ24)、ステップ19に戻る。
ステップ21において、駆動モータ18を起動あるいは回転を継続させた後、圧力センサ64で検出される吐出圧力Pを読込み(ステップ22)、基準吐出圧力P1と比較する(ステップ23)。そして、P<P1であれば、空気吸込みを起こしていると判断し、駆動モータ18を停止する(ステップ24)。一方、P≧P1であれば、第2の温度センサ65により検出される潤滑油温度Tを読込み(ステップ25)、この潤滑油温度Tと基準温度Tcsとを比較する(ステップ26)。そしてT<Tcsであれば潤滑油が冷却されたものと見なして駆動モータ18を停止し(ステップ27)、図9のステップ1に戻る。T≧Tcsであれば、ステップ19に戻る。
なお、この実施の形態においては、第1の温度センサ57、第2の温度センサ65、速度センサ56、圧力センサ64をそれぞれ左右の走行用モータ16,16および潤滑油ポンプ17,17ごとに設ける一方、駆動モータ18は潤滑油ポンプ17,17に対して共通に1台設けた例について示した。この場合、左右にそれぞれ設けたセンサ出力の処理の仕方としては、左右のいずれか一方のセンサの出力または双方のセンサの出力が閾値(基準温度、基準速度、基準圧力)に達したかもしくは閾値より低くなったかによって駆動モータ18をオンもしくはオフとするかあるいは速度切換えを行う。このようなセンサ出力処理ではなく、左右のセンサの平均値が閾値に達したかもしくは閾値より低くなったか場合に駆動モータ18をオンもしくはオフとするかあるいは速度切換えを行うようにしてもよい。また、これらは各種センサについてすべて同様の態様で処理を行うのではなく、センサの種類によって処理態様を変更してもよい。また、左右の潤滑油ポンプ17についてそれぞれ駆動モータ18を設けた場合には、左右のセンサの出力をそれぞれ対応する側の駆動モータ18の制御に用いる。
以上に述べたように、この実施の形態においては、起動運転時に、走行用モータ16の温度Tmが基準温度Tms以上に上昇すると、車輪取付筒32内の潤滑油29の温度が潤滑油ポンプ17により吸込み可能となったものとみなして潤滑油ポンプ17を低速で作動させて車輪取付筒32内の潤滑油29を潤滑油ポンプ17により循環させる。そして起動運転時には、潤滑油温度が低温であることを想定し、潤滑油ポンプを停止させる基準温度となる起動運転時基準速度Vcを通常運転時基準速度Vhより低く設定しているので、起動運転時の潤滑油低温の状況に適合したキャビテーションの無い潤滑油ポンプの運転が可能となる。
すなわち、車輪取付筒32内の潤滑油温度が低温である状況では、通常運転時に比較して潤滑油の粘度が高く、作業車両の走行によって車輪取付筒32の内壁に沿って上昇する潤滑油が底部に流下し難くなる。このため、起動運転時の潤滑油低温状況では潤滑油ポンプ17の吸込配管59の吸込口59aより潤滑油液面が下になり易いが、潤滑油ポンプ17を停止させる走行用モータ起動運転時基準速度Vcを低く設定しているので、吸込口59aが潤滑油液面より低いと想定される場合でのみ潤滑油ポンプ17を作動させることとなり、潤滑油ポンプ17のキャビテーションを防止することができる。このため、起動運転時における潤滑油ポンプ17のキャビテーションによる潤滑油ポンプ17や配管60,61等の機器の損傷の発生を防止することができる。
また、この実施の形態においては、経験則から、起動運転時基準速度Vcを通常運転時基準速度Vhの4〜6割に設定したので、実情に適合した潤滑油ポンプ17の運転が可能となり、キャビテーションを有効に防止することができる。
またこの実施の形態においては、潤滑油ポンプ17の運転時において、圧力センサ64により検出される吐出圧力が潤滑油ポンプ17の空気吸込みの可能性がある第1の基準圧力P1未満である際に前記潤滑油ポンプ17の駆動モータ18を停止するため、前記速度Vに関する制御とも相俟って、潤滑油ポンプ17のキャビテーションによる破損をより確実に防止することができる。
図14は本発明の他の実施の形態を示す走行用モータ16の速度Vと基準速度Vcと潤滑油ポンプ17の作動、停止の関係を説明する図である。この実施の形態においては、図8の起動運転時基準速度Vcとして、潤滑油ポンプの作動を停止させる起動運転時基準速度Vc1と、この基準速度Vc1より低い速度であって、潤滑油ポンプの作動を再開させる起動運転時基準速度Vc2とを設定したものである。これらの基準速度Vc1,Vc2は、図8の機能ブロック図において、起動運転時用基準速度設定手段74により個別にあるいは一方の基準速度Vc1(またはVc2)に関連させて他方の基準速度Vc2(またはVc1)も演算や関数設定により同時に決定される。
図14に示すように、車速(速度センサ56の検出速度)が頻繁に変化しても、基準速度Vc1,Vc2の偏差Δの範囲内においては、潤滑油ポンプ17の起動後の停止あるいは停止後の再起動を行わないことにより、潤滑油ポンプ17が頻繁に起動、停止を繰り返すことなく、安定した制御動作が可能となる。ここで、基準速度Vc1,Vc2間の偏差Δは、Δ=Vc1−Vc2=β×Vc1(ただしβ=0.1〜0.2)
に設定することが好ましい。係数βの下限値0.1は速度センサ56の誤差や動作の遅れを考慮して設定されるもので、この下限値が0.1より小さいと安定制御を期待することが難しくなる。また、βの上限値が0.2より大きいと精度の良い制御が難しくなる。
なお、上記実施の形態においては、起動運転時において、駆動モータ18の駆動周波数を段階的に変化させることにより、潤滑油ポンプ17の速度を変化させたが、この駆動周波数は通常運転時より低い一定の周波数としてもよい。また、起動運転時用制御手段82において、第2の温度センサ65から得られる潤滑油の検出温度Tから、例えば下記の式により駆動周波数Zを求めることにより、駆動モータ18を駆動するようにしてもよい。
Z=a+b×(T+c)
なお、この実施の形態においては、例えばa=4(Hz)、b=0.77、c=20(℃)とする。上記式は経験則から求められた式であり、定数a,b,cの数値は一義的に決まるものでなく、車体ごとの配管サイズ長さ、ポンプ容量、駆動モータ18のサイズ等によって適宜調整されるものである。
1:車体、2:前輪、3:後輪、4:ベッセル、5:キャビン、7:起伏シリンダ、8:エンジン、9:主発電機、10:副発電機、11:バッテリ、12:作動油タンク、14:電力制御装置、15:車体コントローラ、16:走行用モータ、17:潤滑油ポンプ、18:駆動モータ、20:走行駆動装置、22:モータ収容筒、24:回転軸、25:筒状スピンドル、27:減速機、30,31:軸受、32:車輪取付筒、33:隔壁、34:シール材、36:内歯車、37:外側ドラム、39:第1の減速機構、40:第2の減速機構、41:太陽歯車、42:遊星歯車、43:支持ピン、44:キャリア、45:内歯車、47:蓋板、50:太陽歯車、51:キャリア、53:支持ピン、54:遊星歯車、55:デイスク、56:速度センサ、57:第1の温度センサ、58:循環路、59,60:吸込配管、61,62:供給配管、64:圧力センサ、65:第2の温度センサ、66:圧力保持弁、67:除塵用フィルタ、68:オイルクーラ、69:バイパス弁、70:エアブリーザ

Claims (3)

  1. 作業車両の車輪と一体に回転する筒状の車輪取付筒と、
    前記車輪取付筒駆動用の走行用モータと、
    前記車輪取付筒内に設けられ、前記走行用モータの回転を減速して前記車輪取付筒に伝える歯車機構からなる減速機と、
    前記車輪取付筒の外部に設けられ、減速機用潤滑油を前記車輪取付筒内から吸い出し、オイルクーラにより冷却して前記車輪取付筒内に戻す循環路および潤滑油ポンプとを備えた作業車両における走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
    前記走行用モータの速度を検出する速度センサと、
    通常運転時において潤滑油ポンプの空気吸込みを防止するために潤滑油ポンプを停止させる基準速度Vh、および起動運転時潤滑油ポンプの空気吸込みを防止するために潤滑油ポンプを停止させるための、前記基準速度Vhより低い起動運転時基準速度Vcを予め設定する基準速度設定手段と、
    前記速度センサの検出速度Vと前記走行用モータの起動運転時基準速度Vcとを比較する速度比較手段と、
    前記検出速度Vが前記起動運転時基準速度Vcより低い際に通常運転速度より低い速度で潤滑油ポンプの駆動モータを作動させ、前記検出速度Vが前記起動運転時基準速度Vcより高い際に潤滑油ポンプの駆動モータを停止させる起動運転時用制御手段とを備えた
    ことを特徴とする走行減速機用潤滑油の冷却装置。
  2. 請求項1に記載の走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
    前記基準速度Vh、Vcの関係を、
    Vc=α×Vh(ただしα=0.4〜0.6)に設定した
    ことを特徴とする走行減速機用潤滑油の冷却装置。
  3. 請求項1または2に記載の走行減速機用潤滑油の冷却装置において、
    潤滑油ポンプの起動運転時基準速度Vcとして、潤滑油ポンプの作動を停止させる起動運転時基準速度Vc1と、この基準速度Vc1より低い速度であって、潤滑油ポンプの作動を再開させる起動運転時基準速度Vc2とを設定し、
    その偏差Δ=Vc1−Vc2を、
    Δ=β×Vc1(ただしβ=0.1〜0.2)に設定した
    ことを特徴とする走行減速機用潤滑油の冷却装置。
JP2009016243A 2009-01-28 2009-01-28 走行減速機用潤滑油の冷却装置 Expired - Fee Related JP5032515B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009016243A JP5032515B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 走行減速機用潤滑油の冷却装置
US12/615,529 US8108101B2 (en) 2009-01-28 2009-11-10 Lubricating oil cooling device for traveling speed reduction gear
DE102009046795A DE102009046795B4 (de) 2009-01-28 2009-11-18 Schmieröl-Kühlvorrichtung für Fahrgeschwindigkeits-Untersetzungsgetriebe

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009016243A JP5032515B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 走行減速機用潤滑油の冷却装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010174943A JP2010174943A (ja) 2010-08-12
JP5032515B2 true JP5032515B2 (ja) 2012-09-26

Family

ID=42282734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009016243A Expired - Fee Related JP5032515B2 (ja) 2009-01-28 2009-01-28 走行減速機用潤滑油の冷却装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8108101B2 (ja)
JP (1) JP5032515B2 (ja)
DE (1) DE102009046795B4 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009016884A1 (ja) * 2007-07-30 2009-02-05 Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. 作業車両の走行駆動装置
JP5185846B2 (ja) * 2009-01-28 2013-04-17 日立建機株式会社 作業車両の走行駆動装置
JP5014358B2 (ja) * 2009-01-28 2012-08-29 日立建機株式会社 走行減速機用潤滑油の冷却装置
DE102011050571A1 (de) * 2011-04-08 2012-10-11 Allweier Präzisionsteile GmbH Getriebevorrichtung
JP6192919B2 (ja) * 2012-11-02 2017-09-06 Ntn株式会社 インホイールモータ駆動装置
DE102012112377A1 (de) * 2012-12-17 2014-06-18 Linde Material Handling Gmbh Antriebsachse für eine mobile Arbeitsmaschine
MY188847A (en) * 2013-12-02 2022-01-09 Honda Motor Co Ltd Vehicle
DE102017122017B4 (de) 2017-09-22 2020-03-12 Saf-Holland Gmbh Gehäuseeinheit und Achsendanordnung
JP7367429B2 (ja) * 2019-09-27 2023-10-24 ニデックパワートレインシステムズ株式会社 モータユニットの制御装置
CN112072857B (zh) * 2020-08-10 2022-03-25 北京汽车股份有限公司 新能源汽车电机冷却系统控制方法、装置及新能源汽车
KR20220022506A (ko) * 2020-08-18 2022-02-28 현대자동차주식회사 차량용 전동식 오일 펌프의 제어방법
CN113623387B (zh) * 2021-07-23 2023-12-26 东风汽车集团股份有限公司 一种车辆冷却润滑系统、控制方法及电控系统

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0743026B2 (ja) * 1985-12-12 1995-05-15 トヨタ自動車株式会社 車両用自動変速機の潤滑油量制御装置
JPH0626932B2 (ja) 1986-03-24 1994-04-13 三菱重工業株式会社 エレクトリツクホイ−ルドライブ装置
US5127485A (en) * 1988-06-29 1992-07-07 Aisin Aw Co., Ltd. Electric motorized wheel with integral motorized cooling oil pump
JP3565024B2 (ja) * 1998-06-30 2004-09-15 日産自動車株式会社 自動変速機のオイルポンプ制御装置
JP4490316B2 (ja) 2005-03-22 2010-06-23 日立建機株式会社 ダンプトラックの走行駆動装置
JP4699817B2 (ja) * 2005-06-23 2011-06-15 日立建機株式会社 ダンプトラックの走行駆動装置
JP5443984B2 (ja) * 2006-06-26 2014-03-19 フォールブルック インテレクチュアル プロパティー カンパニー エルエルシー フロントエンド補機駆動(fead)システム
JP2008291897A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Nsk Warner Kk 発進クラッチの潤滑制御方法及び潤滑制御装置
JP5270525B2 (ja) * 2009-12-22 2013-08-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 制御弁装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010174943A (ja) 2010-08-12
DE102009046795B4 (de) 2013-01-31
US20100187042A1 (en) 2010-07-29
DE102009046795A1 (de) 2010-07-29
US8108101B2 (en) 2012-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5014358B2 (ja) 走行減速機用潤滑油の冷却装置
JP5032515B2 (ja) 走行減速機用潤滑油の冷却装置
JP5027234B2 (ja) 作業車両の走行駆動装置
JP5185846B2 (ja) 作業車両の走行駆動装置
JP5009943B2 (ja) 作業車両の走行駆動装置
JP7172762B2 (ja) 車両用油供給装置の制御装置
JP7081434B2 (ja) 車両の冷却システム
US6524218B1 (en) Auxiliary machinery driver for car
KR102564011B1 (ko) 차량용 모터 구동장치 및 그의 냉각 및 윤활방법
JP5092919B2 (ja) 冷却機構
JP2016065617A (ja) インホイールモータ駆動装置の潤滑装置
JP5014359B2 (ja) 走行減速機用潤滑油の冷却装置
JP4645877B2 (ja) 車両用駆動装置の潤滑装置
EP3306095B1 (en) Oil supply device and method of controlling electric oil pump
CN111486218A (zh) 齿轮箱
KR20080110179A (ko) 물을 작동매체로 사용하는 가변속 구동장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110704

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120621

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120626

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120628

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5032515

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150706

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees