JP5032143B2 - 塩化水素の回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工場内で排出される、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを主成分とする混合ガスから、塩化水素を塩酸として安全に分離・回収する塩酸の回収方法に関するものである。
一般式MPF(MはLi、Ag、Na若しくはKの金属元素、又はNH等の1価の分子である)で記載されるヘキサフルオロリン酸化合物は、各産業分野で重要な物質である。その中でもM=Liの場合、即ち、六フッ化リン酸リチウムは、リチウム電池の電解質材料として重要である。六フッ化リン酸リチウムは、極めて安全性が高く、優れた物性を有しており、特にリチウム二次電池には不可欠の物質と目されており、今後ハイブリッド自動車用としても大変期待されている。
また、M=Ag、Na、Kの場合は、光重合の開始・増殖反応に必要な酸を発生させるカウンターイオンとして注目されている。更に、M=NHの場合、医薬中間体の製造に用いられる原料として有用である。ヘキサフルオロリン酸化合物の中で、六フッ化リン酸リチウム等、著しい加水分解性を示す化合物を製造する場合、無水フッ酸中に金属フッ化物を溶解、又は縣濁させ、これにリン源として五塩化リンを投入し、下記反応式に示すようにフルオロリン酸化合物を製造する方法が知られている(下記非特許文献1参照)。
Figure 0005032143
また、十分な純度のヘキサフルオロリン酸化合物を得るために、即ち十分な反応を行わせるために、基材である金属フッ化物に対し当量以上の五塩化リンを使用することも併せて一般的であるといえる。
従って、当該方法によりヘキサフルオロリン酸化合物を製造する際には、反応系からは副生成物である塩化水素及び余剰の五フッ化リンが排ガスとして排出される。更に、これらのガスがキャリアーとなり、溶媒であるフッ化水素が排ガスに随伴することから、総じて当該反応系より排出される排ガスは塩化水素、フッ化水素及び五フッ化リンが主に含まれる。
更に、反応系に水が存在している場合には、五フッ化リンが加水分解を受け、オキシフッ化リン酸(POF等)が生成することが知られている。オキシフッ化リン酸はフッ化水素に溶解せず、また基材のフッ化物とも反応しないことから前記排ガスに含まれる場合がある。
前記化学反応式から分かるように、生産コストの面から、yは1を越えつつも、できるだけ1に近い値で操業されることが望ましい。この為、当該排ガスには大量の塩化水素中に少量の五フッ化リンが含まれた組成となる。更に、当該排ガス中に含まれるフッ化水素の含有量は、排ガスの温度に依存する。フッ化水素の蒸気圧は塩化水素の蒸気圧に比べて低いため、フッ化水素の含有量は塩化水素の含有量より少なくなる。その結果、当該排ガスの主成分は塩化水素となる。
リン及びフッ素には厳しい排出規制があるため、当該排ガスを何らかの形で回収・処理する必要がある。しかし、塩化水素の沸点は−84.9℃であり、五フッ化リンの沸点は−84.8℃である為、例えば、蒸留のような沸点差を利用する方法では分離が困難である。
排ガスの回収、処理方法としては、当該排ガスの全量を大量の水に吸収させることにより種々の排水処理を行っている。しかし、少量の五フッ化リンの処理のために、排ガスの主成分である大量の塩化水素も同時に処理しなくてはならず、排水処理設備規模及び処理費の負荷による製造コストの増大が大きくなっている。
Fluorine Chemistry Vol.1(1950)
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば、工場内で排出されるフッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスから、再利用可能な純度と濃度で、効率良く、安全に塩化水素を分別・回収する塩化水素の回収方法を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、塩化水素の回収方法について検討した。その結果、下記構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る塩化水素の回収方法は、前記の課題を解決する為に、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスから、塩化水素を分離して回収する塩化水素の回収方法であって、前記フッ化水素及び五フッ化リンが溶解性を示す第1吸収液に、前記混合ガスを接触させることにより、該第1吸収液に前記フッ化水素及び五フッ化リンを吸収させて塩化水素を分離する第1吸収工程と、前記塩化水素が溶解性を示す第2吸収液に、前記第1吸収工程で分離された塩化水素を接触させ、吸収させることにより、塩酸として回収する第2吸収工程を含むことを特徴とする。
前記の方法では、前記第1吸収液にフッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスを接触させることにより、フッ化水素及び五フッ化リンを吸収させる(第1吸収工程)。これにより、混合ガスから塩化水素のみを分離する。次に、分離した塩化水素に第2吸収液を接触させることにより、塩酸として回収する(第2吸収工程)。即ち、前記の方法によれば、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスから、塩化水素のみを塩酸として分離、回収することができるので、例えば、前記混合ガスからなる排ガスに対し、塩酸を有価物として回収することができ、その結果、塩酸の再利用が可能になり、製造コストの削減が図れる。
前記方法に於いては、前記第1吸収液として、水、塩酸、フッ酸、リン酸、硝酸、及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも何れか1種を使用することが好ましい。これにより、工場内で排出される廃液を第1吸収液として転用することができ、製造コストの一層の低減が図れる。
前記第1吸収液に、前記混合ガス中のフッ化水素を吸収させた後の液におけるフッ酸濃度が30重量%以下であることが好ましい。第1吸収液にフッ化水素を吸収させた後の液におけるフッ酸の濃度を30重量%以下にすることにより、分離の目的物質である塩化水素中にフッ化水素が含まれるのを防止することができる。
前記第1吸収液にリン酸又は硫酸の少なくとも何れか一方が含まれる場合に、その濃度は1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。第1吸収液にリン酸又は硫酸の少なくとも何れか一方を、その濃度が1〜30重量%の範囲内で含む吸収液を用いることにより、該第1吸収液のフッ化水素に対する吸収性を向上させると共に、塩化水素の吸収性を抑制する。その結果、塩化水素の分離を一層図ることができる。
前記第1吸収液として、フッ化金属を添加したものを使用することが好ましい。これにより、第1吸収液に対する五フッ化リンの吸収効率を向上させることができる。
本発明によれば、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスに第1吸収液を接触させることにより、フッ化水素及び五フッ化リンを該第1吸収液に吸収させて、塩化水素のみを分離させ、更に、分離させた塩化水素を水に吸収させて塩酸として回収する。即ち、本発明の回収方法であると、例えば、前記混合ガスからなる排ガスから、塩化水素を有価物として回収することができる。その結果、塩酸の再利用が可能になり、製造コストの削減が図れるという効果を奏する。
本実施の形態に係る塩化水素の回収方法は、所定の第1吸収液に、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスを接触させることにより、フッ化水素及び五フッ化リンを吸収させて塩化水素を分離する第1吸収工程と、分離された塩化水素を第2吸収液に接触させて吸収させることにより、塩酸として回収する第2吸収工程を少なくとも含む。
前記混合ガスは、フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンの三成分を少なくとも含むものであれば、特に限定されない。この様な混合ガスとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸化合物の合成系から排出されるもの等が挙げられる。
前記混合ガスは、更にフッ化水素/塩化水素の比が小さいガス、即ち随伴するフッ化水素が少ないものほど好ましい。フッ化水素/塩化水素の比が大きい、即ちフッ化水素の含有量が多いと、前記混合ガス中のフッ化水素の吸収除去のために必要な吸収液量が増加し、回収できる塩酸量が減少する場合がある。
また、前記混合ガスとしては、図1に示すように、予め冷媒を通した凝縮器に通し、フッ化水素の一部を凝縮させたものを用いるのが好ましい。これにより、塩化水素に随伴するフッ化水素の含有量を低減させることができ、後述の第1吸収工程に供することで、塩酸の回収量を増大させることができる。この際、コンプレッサー等で前記混合ガスを昇圧すれば、フッ化水素除去の効率を更に上昇させることができる。
前記第1吸収工程で用いる第1吸収液としては、水、塩酸、フッ酸、リン酸、硝酸、及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも何れか1種を含む水溶液を使用することができる。従って、前記の何れかを少なくとも含むものであれば、例えば、工場内で排出される廃液等を使用することもできる。また、本工程を複数の塔を用いて行う場合には、各々の塔で同種又は異種の第1吸収液を用いてもよい。
前記第1吸収液に、前記混合ガス中のフッ化水素を吸収させた後の液におけるフッ酸濃度が30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましい。第1吸収液に、前記混合ガス中のフッ化水素を吸収させた後の液(以下、回収液と言う)のフッ酸濃度が高い場合には、第1吸収工程より排出されるガス中にフッ化水素が含まれ、塩化水素の分離回収が不十分になる場合がある。また、第1吸収液に含まれる塩酸濃度については特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。また、本工程を複数の塔を用いて行う場合には、各々の塔でフッ酸濃度を同一又は異ならせて行うことができる。
前記第1吸収液には、リン酸又は硫酸等の重質の酸を添加するのが好ましい。これにより、第1吸収工程で第1吸収液にフッ化水素、五フッ化リンを吸収させた液に於けるフッ酸濃度を高め、かつ塩化水素濃度を低減させる効果がある。その結果、第1吸収液の使用量の低減が可能になると共に、第2吸収工程での塩酸の回収量を増加させることができる。尚、第1吸収液にリン酸や硫酸を添加する場合、第1吸収工程でフッ化水素を吸収した際には、リン酸や硫酸の一部又は全量がHPO(1≦x≦3、0≦y≦4、0≦z≦6)やHSO(1≦a≦2、2≦b≦4、0≦c≦3)の形態で存在する。従って、第1吸収液として当初からこれらHPOやHSOを含むものを使用してもよい。
第1吸収液にリン酸又は硫酸の少なくとも何れかの一方が含まれる場合、その濃度は1〜30重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。当該数値範囲内であると、第1吸収液に対するフッ化水素の吸収率を高めると共に、塩化水素の吸収率を低減させる。その結果、塩化水素の一層の分離が図られる。尚、本工程を複数の塔を用いて行う場合には、各々の塔でリン酸又は硫酸の濃度を同一又は異ならせて行うことができる。
更に、前記第1吸収液には、フッ化金属(例えばLiF、NaF、又はKF)を添加するのが好ましい。これにより、第1吸収液に対する五フッ化リンの吸収効率を向上させることができる。即ち、フッ化金属を加えることで下記反応式のように吸収と同時に安定なヘキサフルオロリン酸塩が生成されるため、リン分の吸収率が高まる。添加するフッ化金属量は五フッ化リンに対し、1当量以上であることが好ましいが、あまり多く添加すると生じるヘキサフルオロリン酸塩が固体で析出する。このため、溶液中のヘキサフルオロリン酸塩濃度が5重量%以下になるように添加するのが好ましい。
Figure 0005032143
第1吸収工程における吸収温度は50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、15℃以下が特に好ましい。吸収温度を下げるほどフッ化水素に対する第1吸収液の吸収率が上がるため、相対的に第1吸収液に対する塩化水素の吸収率を抑制することができる。一方、吸収温度が50℃を超えると、フッ化水素吸収率が低下し、塩酸吸収率が上昇する場合がある。尚、吸収温度を30℃以下にすることにより、本工程で得られる塩化水素ガス中にフッ化水素が含まれるのを防止することができる。
第1吸収工程で混合ガスの吸収に用いる第1吸収液の量は、吸収後のフッ酸濃度が30重量%以下になるように供給することが好ましく、25重量%以下になるように供給することがより好ましい。フッ酸濃度が30重量%を超える供給量では、混合ガス中のフッ化水素を全量吸収することができず、第1吸収工程から排出される塩化水素ガス中にフッ化水素が混入する場合がある。
第1吸収工程における運転圧力は特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。具体的には、例えば運転圧力は、0.05〜0.5MPaの範囲内であることが好ましく、0.08〜0.2MPaの範囲内であることがより好ましい。運転圧力が0.05MPa未満であると、第1吸収液へのフッ化水素及び五フッ化リンの吸収効率が低下し、塩化水素へのフッ化水素及び、又は五フッ化リンが混入するという不都合がある。その一方、0.5MPaを超えると、回収液濃度が高くなりすぎ、回収液の処理工程へ移送する際、あるいは処理工程で圧力が下がるとフッ化水素や五フッ化リンがフラッシュするという不都合がある。但し、ヘキサフルオロリン酸化合物の反応系から発生する混合ガスを原料とする場合には、そのヘキサフルオロリン酸化合物の反応系における運転圧力に適合させることが簡便で好ましい。また、コンプレッサーを用いて昇圧しても構わないし、最下流に真空ポンプ等を設置し、負圧で運転しても構わない。
尚、前記回収液は、消石灰等のアルカリを用いて中和するなど公知の方法で処理し廃棄することができる。更に、回収液に含まれるフッ化水素や、第1吸収液に吸収された一部の塩化水素を、蒸留等の操作により、それぞれ単独で又は混合酸として回収するなどの処理を行ってもよい。
前記第2吸収工程で塩化水素の吸収の為に用いられる第2吸収液としては、塩化水素を溶解可能な溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、塩酸水溶液等が挙げられる。前記水としては特に限定されないが、分離・回収後の塩酸として、その用途及び規格を満たすことが可能なレベルの水質を有するものが好ましい。具体的には、例えば、超純水、イオン交換水等が挙げられる。また、第2吸収液として塩酸水溶液を使用する場合、その吸収効率を考慮すれば、塩化水素の初期濃度が1〜30重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。
前記第2吸収工程で塩化水素の吸収の為に用いられる第2吸収液の量は、所望する塩酸濃度に応じて任意に設定され得る。
第2吸収工程における吸収条件は特に限定されず、公知の条件が制限なく採用される。例えば、吸収温度は0〜45℃の範囲内であることが好ましく、10〜30℃の範囲内であることがより好ましい。吸収温度が0℃未満であると、第2吸収液として水を使用する場合には凍結する、あるいは塩酸濃度が高くなりすぎタンク等で保管する場合、保冷を要する、保冷にトラブルが生じるとタンク内でフラッシュする等という不都合がある。その一方、45℃を超えると、回収できる塩酸の濃度が低下するという不都合がある。また、運転圧力は、0.05〜0.5MPa(Abs.)の範囲内であることが好ましく、0.08〜0.2MPa(Abs.)の範囲内であることがより好ましい。運転圧力が0.05MPa(Abs.)未満であると、回収する塩酸濃度が低くなるという不都合がある。その一方、0.5MPa(Abs.)を超えると、回収する塩酸濃度が高くなりすぎ、常圧等で移送、使用する場合にフラッシュするという不都合がある。
実運転上、前記混合ガス量が一時的に多くなる等の負荷変動が発生する場合には、第1吸収工程から排出される塩化水素ガスにフッ化水素が混入する場合がある。この様な場合、第2吸収工程へのフッ化水素の持込を回避するために、第1吸収工程から第2吸収工程への塩化水素ガスライン上に、フッ化水素除去工程を加えてもよい。フッ化水素の除去としては公知の方法を用いることができる。例えば、フッ化ナトリウムペレットを詰めたカラムにフッ化水素が混入した塩化水素ガスを通し、フッ化水素(HF)とフッ化ナトリウム(NaF)が酸性フッ化ナトリウム(NaF・HF)を形成することにより、フッ化水素をフッ化ナトリウムに固定化し、塩化水素ガスから除去することができる。また、例えば、塩化カルシウムや塩化ナトリウム等の固体金属塩化物を詰めたカラムに当該ガスを通すことで、下記反応式のような反応によりフッ素を金属に固定しつつ、さらに塩酸を得ることが可能となる。
Figure 0005032143
前記第1吸収工程および第2吸収工程に用いる吸収装置としては、公知のものを特に制限なく使用できる。一般的には、充填塔や棚段塔等が挙げられ、冷却器を通して液相を循環させる多段の吸収塔や、冷却部を内蔵した濡れ壁塔等も使用可能である。また、混合ガスと第1吸収液の流れ、又は塩化水素ガスと第2吸収液の流れについても向流、並流のどちらの形式でも適用可能である。但し、第2吸収工程で得られる塩酸の一部を第1吸収工程に戻す場合には、向流式が特に好ましい。
尚、第2吸収工程で得られる塩酸の一部を、第1吸収工程の最下流部、即ち吸収塔が向流式で1本であれば最上段に、複数本であれば最下流塔の最上段に供給することも可能である。これにより、分離された塩化水素中に含まれるフッ化水素の含有量を更に低減することが可能である。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施例1)
本実施例に於いては、図2に示す装置を用いて行った。即ち、内径25mm、充填高1,500mmのフッ素樹脂製充填塔2本を上下にスタックしたものを第1吸収工程における吸収塔として用いた(以下、下部に位置する吸収塔を第1吸収塔Aとし、上部に位置する吸収塔を第1吸収塔Bと呼ぶ)。
同じく、内径25mm、充填高1,500mmのフッ素樹脂製充填塔を第2吸収工程における第2吸収塔として用いた。各吸収塔には塔底から塔頂への循環ラインを設け、循環ラインには冷却器を備え付けた。また、各吸収塔には、内径5mm、外径6mmのフッ素樹脂チューブを幅約3mmでカットしたものを充填物として充填した。
混合ガス吸収操作の前に、第1吸収塔Aに塩酸10重量%、フッ酸10重量%の組成を持つ第1吸収液Aを630g仕込んだ。また、第1吸収塔Bには塩酸17重量%、フッ酸17重量%の組成を持つ第1吸収液Bを230g仕込んだ。更に、第2吸収塔には20重量%塩酸を450g仕込んだ。その後、各塔において循環運転を開始した。
次いで、塩化水素81.3重量%、フッ化水素16.3重量%、及び五フッ化リン2.4重量%からなる混合ガスを、2.5L/minで第1吸収塔Aに供給し吸収を開始した。吸収開始から1時間後、外部供給槽(図示しない)より前記第1吸収液Bを第1吸収塔Bに3.5mL/minで供給を開始した。また同時に、外部供給槽(図示しない)より純水(第2吸収液)を第2吸収塔に5mL/minで供給を開始した。第1吸収塔Aおよび第2吸収塔は、液面高さが一定になるようにポンプで抜き出しを行った。尚、各塔の運転温度(吸収温度)は外部循環ラインに設けた冷却器により15℃になるように調整した。また、第1吸収塔A及び第1吸収塔Bの運転圧力はそれぞれ103kPa(Abs.)とし、第2吸収塔の運転圧力は101kPa(Abs.)とした。
各吸収塔への液の供給を開始してから1時間毎に、各塔底から排出される液をサンプリングし、その組成を調べた。以下に吸収操作開始から4時間後の液組成を明記する。第1吸収塔Aから排出される液の組成は、塩酸濃度が13.1重量%、フッ酸濃度が25.8重量%、リン濃度0.5重量%であった。第1吸収塔Bから排出される液の組成は、塩酸濃度が32.5重量%、フッ酸濃度が10.5重量%、リン濃度が500ppmwであった。第2吸収塔から排出される液は、36.7重量%の塩酸であり、リンおよびフッ酸は検出されなかった。
第1吸収塔から第2吸収塔へ送られるガス中に、五フッ化リン若しくはフッ化水素のいずれか、または両方が含まれている場合には、第2吸収塔の塔底から抜き出される塩酸の一部を第1吸収塔Bに送り、五フッ化リン又はフッ化水素の除去効果を上げることが可能である。しかし、本実施例では第1吸収塔から第2吸収塔へ送られるガス中に、五フッ化リン及びフッ化水素の何れも含まれていなかった為、本ラインは使用しなかった。
本実施例に於ける塩化水素の回収では、系全体での塩酸の回収率が99.9%であり、混合ガス中の塩化水素の69.8%を再利用が可能な純度の36.7重量%の塩酸として回収できた。
(実施例2)
第1吸収塔Aに塩酸10重量%、フッ酸15重量%、リン酸30重量%(リン濃度:10.0%)の組成を持つ第1吸収液Aを630g仕込んだ。また、第2吸収塔には35重量%の塩酸(第2吸収液)を400g仕込んだ。更に、第1吸収塔Aの塔底から第1吸収塔Bへ供給を行うと同時に、第1吸収塔Bの塔底から第1吸収塔Aへ循環を行った。
次いで、塩化水素81.3重量%、フッ化水素16.3重量%、及び五フッ化リン2.4重量%からなる混合ガスを、2.5L/minで第1吸収塔Aに供給し吸収を開始した。吸収開始から1時間後、第2吸収塔に純水を3mL/minで供給を開始した。尚、各塔の運転温度(吸収温度)は外部循環ラインに設けた冷却器により15℃になるように調整した。また、第1吸収塔A及び第1吸収塔Bの運転圧力はそれぞれ103kPa(Abs.)とし、第2吸収塔の運転圧力は101kPa(Abs.)とした。
各吸収塔へ液の供給を開始してから1時間毎に、各塔底から排出される液をサンプリングし、その組成を調べた。以下に吸収操作開始から4時間後の液組成を明記する。第1吸収塔Aから排出された液の組成は、塩酸濃度が9.4重量%、フッ酸濃度が25.2重量%、リン濃度が10.5重量%であった。また、第2吸収塔から排出された液の組成は、37.2重量%の塩酸であり、リン及びフッ酸は検出されなかった。
系全体での塩酸の回収率は99.9%であり、混合ガス中の塩化水素の91.0%を再利用が可能な純度の37.2重量%の塩酸として回収できた。
(実施例3)
混合ガス吸収操作の前に、第1吸収塔Aに塩酸17重量%、フッ酸17重量%の組成を持つ第1吸収液Aを450g仕込んだ。また、第1吸収塔Bには塩酸10重量%、フッ酸10重量%の組成を持つ第1吸収液Bを250g仕込んだ。更に、第2吸収塔には20重量%塩酸を570g仕込んだ。その後、各塔において循環運転を開始した。
次いで、塩化水素82.1重量%、フッ化水素15.9重量%、及び五フッ化リン2.0重量%からなる混合ガスを、2.5L/minで第1吸収塔Aに供給し吸収を開始した。吸収開始から1時間後、外部供給槽(図示しない)より前記第1吸収液Bを第1吸収塔Bに3.5mL/minで供給を開始した。また同時に、外部供給槽(図示しない)より純水(第2吸収液)を第2吸収塔に4mL/minで供給を開始した。第1吸収塔Aおよび第2吸収塔は、液面高さが一定になるようにポンプで抜き出しを行った。尚、各塔の運転温度(吸収温度)は外部循環ラインに設けた冷却器により15℃になるように調整した。また、第1吸収塔A及び第1吸収塔Bの運転圧力はそれぞれ102kPa(Abs.)とし、第2吸収塔の運転圧力は102kPa(Abs.)とした。
各吸収塔への液の供給を開始してから1時間毎に、各塔底から排出される液をサンプリングし、その組成を調べた。以下に吸収操作開始から4時間後の液組成を明記する。第1吸収塔Aから排出される液の組成は、塩酸濃度が10.3重量%、フッ酸濃度が29.7重量%、リン濃度0.5重量%であった。第1吸収塔Bから排出される液の組成は、塩酸濃度が32.6重量%、フッ酸濃度が11.5重量%、リン濃度が990ppmwであった。第2吸収塔から排出される液は、37.8重量%の塩酸であり、リンおよびフッ酸は検出されなかった。
第1吸収塔から第2吸収塔へ送られるガス中に、五フッ化リン若しくはフッ化水素のいずれか、または両方が含まれている場合には、第2吸収塔の塔底から抜き出される塩酸の一部を第1吸収塔Bに送り、五フッ化リン又はフッ化水素の除去効果を上げることが可能である。しかし、本実施例では第1吸収塔から第2吸収塔へ送られるガス中に、五フッ化リン及びフッ化水素の何れも含まれていなかった為、本ラインは使用しなかった。
本実施例に於ける塩化水素の回収では、系全体での塩酸の回収率が99.9%であり、混合ガス中の塩化水素の73.9%を再利用が可能な純度の37.8重量%の塩酸として回収できた。
本発明の実施の一形態に係る塩化水素の回収方法を説明する為の工程図である。 本発明の実施例に係る塩化水素の回収工程を模式的示す工程図である。

Claims (5)

  1. フッ化水素、塩化水素及び五フッ化リンを含む混合ガスから、塩化水素を分離して回収する塩化水素の回収方法であって、
    前記フッ化水素及び五フッ化リンが溶解性を示す第1吸収液に、前記混合ガスを接触させることにより、該第1吸収液に前記フッ化水素及び五フッ化リンを吸収させて塩化水素を分離する第1吸収工程と、
    前記塩化水素が溶解性を示す第2吸収液に、前記第1吸収工程で分離された塩化水素を接触させ、吸収させることにより、塩酸として回収する第2吸収工程を含むことを特徴とする塩化水素の回収方法。
  2. 前記第1吸収液として、水、塩酸、フッ酸、リン酸、硝酸、及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも何れか1種を使用することを特徴とする請求項1に記載の塩化水素の回収方法。
  3. 前記第1吸収液に、前記混合ガス中のフッ化水素を吸収させた後の液におけるフッ酸濃度が30重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化水素の回収方法。
  4. 前記第1吸収液にリン酸又は硫酸の少なくとも何れか一方が含まれる場合に、その濃度は1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の塩化水素の回収方法。
  5. 前記第1吸収液として、フッ化金属を添加したものを使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の塩化水素の回収方法。
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