JP6808192B2 - 乾燥水電解ガスの製造方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥水電解ガスの製造方法及びその装置に関する。
太陽光、風力などの再生可能エネルギーは、貴重なエネルギー資源である。しかしながら、日照や風況の適地は偏在しており、得られる場所が消費地から遠隔にあったり、季節や時間によって得られる発電電力が変動する。そのため、場所や量、時期を調整するために再生可能エネルギーを水素に転換して利用する方法が研究されている。例えば、アルカリ水電解、固体高分子型水電解などの、水を電解して水素を製造する方法がある。この水の電解では、同時に酸素も製造できる。
特許文献1には、固体高分子電解質膜を用いた水電解装置が開示されている。この水電解装置では、固体高分子電解質膜の陽極側に水を供給すると、陽極側で酸素ガスと水素イオンが発生する。この水素イオンは、水を伴い高分子電解質膜を通って陰極側に移動し、陰極側で反応して水素ガスが発生する。この陰極側からは、水素ガスと、水素ガスが溶存している水が排出される。気液分離装置によって水素ガスが溶存している水から水素ガスが取り出される。陽極側からは、酸素ガスと、酸素ガスが溶存している水が排出される。
また、特許文献2には、高分子電解質膜を用いた固体高分子型の高圧容器収納型水電解水素発生装置が開示されている。この水素発生装置では、電解槽の陰極側から発生した水素は水素ラインを経て水素気液分離器へ送られ、ここで水と気液分離され、さらに水素ラインを経て水素タンクへ送られる。水電解槽の陽極側から発生した酸素は酸素気液分離器へ送られ、ここで水と気液分離され、酸素ラインを経て所定箇所へ供給される。
特開2010−280975号公報 特開2006−199995号公報
これらの水電解によって得られる水電解ガスは、陽極側から水素ガスが、陰極側から酸素ガスが別々に得られる。また、炭化水素の水蒸気改質によって得られる水素ガスのように二酸化炭素などの副生成物を含んでいない。一方、原料の水が水蒸気として同伴している。そのため、用途によっては、それを取り除いて高純度化する必要がある。
気体の一般的な除湿プロセスとしては、水蒸気を含む混合気体をチラーで冷却して露点を下げるプロセス、水蒸気を含む混合気体を吸着剤や吸収剤に接触させるプロセスなどがある。
しかしながら、前者の除湿プロセスを水電解ガスに適用すると、除去対象の水だけでなく、水電解ガスそのものも冷却しなければならず、余分にエネルギーが必要となる。また、水電解ガスの水素ガスは、除湿後に圧縮し、貯蔵や運搬することが多いが、冷却による水素ガスの分圧低下は、その後の圧縮工程の圧縮エネルギーの増加に繋がり、エネルギー的に不利となる。
後者の除湿プロセスには、固体吸着剤と液体吸収剤を用いる方法がある。ゼオライトなどの固体吸着剤を用いて除湿を行う場合、水分を吸収した固体吸着剤の再生には、高温(〜200℃)で加熱処理する必要がある。そのため、この除湿プロセスを水分の量が多い水電解ガスに適用すると、必要とされるエネルギーが多大となる。また、一般に固体吸着剤による除湿はバッチ処理(2筒あるいは多筒式)が行われている。このバッチ処理は、その都度バッチ処理部全体を加熱し、その後に冷却する必要がある。そしてこの処理においては熱交換が困難であるので、必要とされるエネルギーが多大となる。
液体吸収剤としては、トリエチレングリコール(TEG)がガス吸収剤や空気調湿剤として知られている。しかし、TEGを吸収剤として用いようとすると、吸収剤自体が蒸気圧を有しており、水素の高純度化の妨げになる。また、TEGは、可燃性を有しており、水素ガスや酸素ガスを対象とするのには不適であるなどの他の課題もある。
したがって、本発明の課題は、水電解により製造された、高湿度な水電解ガスから、エネルギー効率良く、安全に、乾燥した水電解ガスを製造する方法、を提供することである。
本発明者らは、前記課題を達成すべく鋭意検討を行った結果、水電解によって製造された高湿度の水電解ガスの除湿にはイオン液体が有用であることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するため、本発明の乾燥水電解ガスの製造方法は、
水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成工程と、
前記水電解ガス生成工程で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収工程と、
前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離工程と、
前記富吸収液を、加熱及び減圧して、又は減圧して、水分を除去して吸収液を再生させる再生工程と、
を含む。
前記吸収工程の前の前記水電解ガスと、前記富吸収液とで熱交換を行う熱交換工程を更に含むと好ましい。
前記再生工程で再生した吸収液と、前記富吸収液とで熱交換を行う第2の熱交換工程を更に含むと好ましい。
前記イオン液体を構成するアニオンは、オキソ酸イオンであると好ましい。
前記オキソ酸イオンは、式1で表されるカルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、式2で表されるスルホン酸イオン、式3で表されるリン酸エステルイオン若しくはリン酸イオン、又は、式4で表されるホスホン酸エステルイオン若しくはホスホン酸イオンであると好ましい。
(式1中R は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
(式2中R は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
(式3中R とR は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
(式4中R は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
前記オキソ酸イオンは、式1で表されるカルボン酸イオン、硝酸イオン、式3で表されるリン酸エステルイオン若しくはリン酸イオン、又は、式4で表されるホスホン酸エステルイオン若しくはホスホン酸イオンであると好ましい。
(式1中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。
(式3中RとRは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
(式4中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
前記水電解ガスは水素ガスであると好ましい。
また、本発明の乾燥水電解ガスの製造装置は、
水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成手段と、
前記水電解ガス生成手段で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収手段と、
前記吸収手段によって湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離手段
前記水蒸気を吸収した富吸収液を、加熱及び減圧して、又は減圧して、水分を除去して吸収液を再生させる再生手段と、
を備える。
本発明により、水電解により製造された、高湿度な水電解ガスから、エネルギー効率良く、安全に、乾燥した水電解ガスを製造する方法が提供される。
本発明の乾燥水電解ガスの製造装置の一態様を示す図。 塩化カルシウム及び各種イオン液体の25℃における水蒸気吸収量の相対湿度依存性。 塩化カルシウム及び各種イオン液体の80℃における水蒸気吸収量の相対湿度依存性。
本発明の乾燥水電解ガスの製造方法は、水を電解して水素および酸素を得る水電解ガス生成工程と、前記水素および酸素生成工程で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に吸収液に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離工程と、を含む。
(水電解ガス生成工程)
本発明に係る水素および酸素生成工程は、水を電解して水電解ガスを得る方法であれば特に限定されないが、アルカリ水電解、固体高分子型水電解、高温水蒸気電解などが挙げられる。
アルカリ水電解は、通常、電解質として水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いる。アルカリ水電解では、陰極側で、水から水素と水酸化物イオンが得られるため、得られる水素ガスは蒸気圧分の高湿度で水を含む。そして、陽極側で、水酸化物イオンから水と酸素が得られるため、得られる酸素は蒸気圧分の高湿度で水を含む。このように、陽極側(アノード側)で酸素が得られ、陰極側(カソード側)で水素が得られるので、水素と酸素は分離して得ることができるが、それぞれ蒸気圧分の高湿度で水を含む。アルカリ水電解の電解温度は、通常室温〜200℃、好ましくは70℃〜90℃である。高温であると電極反応速度が向上する傾向にある。
固体高分子型水電解は、通常、電解質膜としてフッ素樹脂系カチオン膜などの、プロトン型のカチオン膜を用いる。固体高分子型水電解では、陽極側に水を供給すると酸素と水素イオンが生成する。水素イオンは膜中を通り陰極側に移動し、電子を得て水素となる。水素イオンの膜中の移動に伴い、水も親和水として陰極側に移動する。陰極側で、発生したガスと移動した水を気液分離して、水素ガスが得られるが、得られた水素ガスは、蒸気圧分の高湿度で水を含む。このように、水素と酸素は、分離して得ることができるが、それぞれ蒸気圧分の高湿度で水を含む。固体高分子型水電解の電解温度は、通常60℃〜100℃である。
高温水蒸気電解は、アルカリ水電解を改良したものであり、電解質として酸化ジルコニウム等を用いる。高温水蒸気電解では、陰極側に供給された水蒸気の一部が水素と酸化物イオンになり、水素と水蒸気の混合物が得られる。酸化物イオンは電解質の膜中を移動して陽極側で酸素になる。従って、水素と酸素は分離して得ることができる。陰極側で、発生したガスと未反応の水蒸気の混合ガスとして水素ガスが得られる。従って、得られた水素ガスは、蒸気圧分の高湿度で水を含む。高温水蒸気電解の電解温度は、例えば500℃以上や700℃以上、1000℃以下である。
(吸収工程)
本発明に係る吸収工程は、前記の水電解ガス生成工程で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に吸収液に吸収させる。
前述の通り、水電解ガス生成工程で得られる水素や酸素は、気体又は液体の水を伴う。液体の水が存在する場合は、吸収工程の前に気液分離して除去できる。必要により気液分離して得られた気体は、水素または酸素と、水蒸気の混合ガスになるが、水分を多く含み、通常、飽和水蒸気量の水蒸気を含む。例えば、25℃、常圧では、1m当たり飽和水蒸気量の23gの水蒸気を含む。
吸収工程において、水電解ガスを吸収液と接触させる。この吸収液は、イオン液体を含有する。イオン液体は、水素や酸素をほとんど吸収せずに水を吸収する。したがって、吸収液を水電解ガスと接触させることによって、気相側の水蒸気を、液相の吸収液側に移動させて、気相の水分量を減らすことができる。
(イオン液体)
本発明に用いるイオン液体は、カチオンとアニオンからなり、100℃、大気圧で液体の塩である。本発明に係るイオン液体は、特に室温(25℃)で液体であると好ましい。すなわち、本発明に係るイオン液体の融点は、100℃以下であれば特に限定されないが、50℃未満であると好ましく、25℃未満であるとより好ましく、10℃未満であると特に好ましい。このイオン液体には、微量の水分を含むことで融点が100℃以下になるものも含まれる。また、本発明に係るイオン液体の融点の下限は、特に限定されない。なお、イオン液体は融点以下でも過冷却となり液体状態をとることが多く、そのような液体状態を保持できれば融点が高くとも限定されない。
本発明に用いるイオン液体を構成するアニオンは、特に限定されないが、オキソ酸イオンであると好ましい。本明細書においてオキソ酸とは、酸素を含む無機又は有機の酸である。
オキソ酸としては例えば、カルボン酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸が挙げられる。
カルボン酸イオンは、式1で表されるアニオンである。
ここで、式1中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基が挙げられ、環状であっても非環状であってもよく、骨格にヘテロ原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などのアルキル基;これらのアルケニル基、アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などアルコキシ基、アリル基、アリール基などが挙げられる。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。置換基としては、フッ素、塩素臭素、ヨウ素などのハロゲン基;水酸基;シアノ基などが挙げられる。
カルボン酸のより具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、安息香酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸が挙げられる。中でも、酢酸、トリフルオロ酢酸が好ましい。
スルホン酸イオンは、式2で表されるアニオンである。
ここで、式2中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。スルホン酸の具体例としては、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸;トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸などのパーフルオロアルキルスルホン酸;ラウリル硫酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸などのアルキル硫酸が挙げられる。中でもメチルスルホン酸が好ましい。
リン酸エステルイオン及びリン酸イオンは、式3で表されるアニオンである。
ここで、式3中RとRは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。式3で表されるアニオンは、RとRが水素原子である場合がリン酸イオンであり、一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合がリン酸モノエステルイオンであり、両方が炭化水素基である場合がリン酸ジエステルイオンである。リン酸エステルの具体例としては、ブチルホスフェート、フェニルホスフェートなどのリン酸エステル、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのリン酸ジエステルが挙げられる。
ホスホン酸エステルイオン及びホスホン酸イオンは、式4で表されるアニオンである。
ここで、式4中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。式4で表されるアニオンは、Rが水素原子である場合がホスホン酸イオンであり、Rが炭化水素基である場合がホスホン酸エステルイオンである。炭化水素基の中でも、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数2以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。ホスホン酸エステルの具体例としては、メチルホスファイト((MeO)HPOO)が挙げられる。
本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、特に限定されないが、例えばイミダゾリウム類、ピロリジニウム類、ピペリジニウム類、ピリジニウム類、モルホリニウム類、アンモニウム類、ホスホニウム類、スルホニウム類が挙げられる。中でも、イミダゾリウム類が好ましい。
イミダゾリウム類は、イミダゾール(1,3−diaza−2,4−cyclopentadiene)の水素原子が炭化水素基に置換されている化合物のカチオンであり、例えば、式5で表される。
ここで、式5中、R、R、R、R及びR10は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有する炭化水素基である。
イミダゾリウム類の炭化水素基は、特に限定されないが、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。炭化水素基は、1つであっても2以上であってもよいが、1,3位の2つの窒素原子に炭化水素基を有していると好ましい。また、炭化水素基は、2以上の炭化水素基を有するときは、同一であっても異なっていてもよい。
イミダゾリウム類としては、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウムなどの1つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された非対称型のイミダゾリウム;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウムなどの2つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された対称型のイミダゾリウム;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムなどの2つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された非対称型のイミダゾリウム;2つ以上の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換されたイミダゾリウムなどが挙げられる。中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム([emim])が好ましい。
本発明に係るイオン液体において、前述のカチオンとアニオンの組合せは、塩がイオン液体になるものであれば特に限定されないが、より具体的には、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ベンゾエート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム メチルホスファイトは、吸収液としてトリエチレングリコールを用いた場合に比べて除湿量が2倍以上となり、好ましい。
本発明に係るイオン液体は、公知の方法により製造することができ、原料に応じて最適な条件を採用することができる。
(吸収液)
本発明に係る吸収液は、前述のイオン液体を含有する。本発明に係る吸収液は、単独又は複数の種類のイオン液体を用いることができ、本発明の効果を損ねない範囲でイオン液体以外の成分を含有させることもできる。
水電解ガスと吸収液の接触方法は、水電解ガス中の水蒸気が吸収液に吸収される限り特に限定されない。例えば、水電解ガスに吸収液をスプレーする方法、塔の壁面に上方から吸収液を流下させ、水電解ガスを流通させる方法、充填物を充填した充填塔の上方から吸収液を流下させ、水電解ガスを流通させる方法、吸収液中に水電解ガスをバブリングさせる方法が挙げられる。
(分離工程)
本発明に係る分離工程は、前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する。本明細書では、水蒸気を吸収した富吸収液を、吸収前の吸収液と区別するために「富吸収液」と呼ぶことがある。吸収液に含まれるイオン液体は、水蒸気を吸収し、かつ蒸気圧が低いので、気液分離して、富吸収液を除くだけで乾燥水電解ガスが得られる。
本発明に係る分離工程は、前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離できる方法であれば特に限定されないが、吸収工程と同時に行うことが好ましい。例えば、吸収工程で、水電解ガスに吸収液をスプレーする方法を用いた場合には、管の一方から他方に水電解ガスを流通させ、その水電解ガスに吸収液をスプレーし、水蒸気を吸収した富吸収液を下方から抜き出す方法が挙げられる。水電解ガス中の水蒸気は吸収液に吸収されて抜き出され、管の他方から乾燥水電解ガスが排出される。
また、吸収工程として、塔の壁面に上方から吸収液を流下させ、水電解ガスを流通させる方法や、充填物を充填した充填塔の上方から吸収液を流下させ、水電解ガスを流通させる方法を用いた場合には、下方から水電解ガスを吹き込み、上方から、乾燥水電解ガスを抜き出し、下方から水蒸気を吸収した富吸収液を抜き出すことができる。
前記の水電解ガス生成工程は、温度が高いとエネルギー効率が高い。一方、吸収工程の吸収液に用いるイオン液体は、温度が低いほど、水の吸収量が多い。従って、高湿水電解ガスを吸収工程前に冷却すると好ましい。そのため、吸収工程前の水電解ガスと富吸収液とで熱交換を行う熱交換工程を行うと、エネルギー効率の点で好ましい。
(再生工程)
本発明の乾燥水電解ガスの製造方法は、前述の分離工程で得られた富吸収液を再生させる再生工程を含むことができる。
富吸収液を吸収液に再生させる方法は特に限定されない。本発明の吸収液に用いるイオン液体の水の吸収量は、温度が高いほど低下する傾向にある。従って、水電解ガスと吸収液を接触させた温度よりも富吸収液を高温にすることで、水蒸気を放出させ、吸収液を再生させることができる。また、イオン液体の低蒸気圧と水の蒸気圧の差や、イオン液体の水の吸収性が水蒸気分圧が低いほど低下することを利用して、富吸収液を減圧することによって物理的に水蒸気を放出させる方法や、加熱と減圧を同時に行う方法などが挙げられる。加熱と減圧の併用が好ましい。放出された水蒸気は、水電解の原料として再利用することもできる。
再生工程で、富吸収液を加熱する場合、富吸収液の加熱は、吸収工程前の水電解ガスとの熱交換で行うと、エネルギー効率の点で好ましい。
一方、再生工程で再生した吸収液を、吸収工程に用いる際は、水の吸収量を上げるために温度を下げることが好ましい。再生した吸収液の冷却には、再生工程前の富吸収液を用いることができる。すなわち、再生工程で再生した吸収液と、富吸収液とで熱交換を行う第2の熱交換工程を行うと、エネルギー効率の点で好ましい。
前述のイオン液体を含有する吸収液を用いた吸収工程は、水蒸気量の非常に高い水電解ガスを中程度の湿度まで低下させることを、連続的に、かつ低コストで行うこともできる。従って、その後の分離工程で得られた、水分量を減らした乾燥水電解ガスを、塩化カルシウムやゼオライトなどの固体乾燥剤などで水分を更に低下させる場合にも、固体乾燥剤の使用量を減らす事や使用期間を延ばす事ができる。
(乾燥水電解ガスの製造装置)
本発明の乾燥水電解ガスの製造装置は、水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成手段と、その水電解ガス生成手段で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収手段と、その吸収手段によって湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離手段と、を備える。以下、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の乾燥水電解ガスの製造方法に用いる装置の一態様である。
電解槽1(水電解ガス生成手段)は、陽極2と陰極3を備える。電解槽1には、水酸化ナトリウム水溶液などの電解液4が入っている。図には示されていないが、電解層は、陽極側と陰極側に分かれる様に膜が設けられている。電解槽1には、必要によりヒーターやチラーなど温度調節装置5を備えることができる。電解槽1には、原料の水6が供給される。電解槽1で、水6を電気分解する。陰極側からは水素と水蒸気の混合ガスが得られ、陽極2側からは酸素と水蒸気の混合ガスが得られる。図1では、これらの混合ガスの一方を水電解ガス7として示してある。必要により熱交換器8で水電解ガス7の温度を下げる。
水電解ガス7は、吸収塔9(吸収手段・分離手段)で吸収液10と接触させる。吸収液は、水蒸気を選択的に吸収して、富吸収液11になる。水電解ガス7は、乾燥水電解ガス12になる。
必要により、熱交換器8と熱交換器13で富吸収液11の温度を上げる。富吸収液11は再生器14で水分を除去し、再生されて、吸収液10になる。再生器14(再生手段)は、ヒータ15と減圧ポンプ16を備え、富吸収液11を加熱、減圧して水分を除去する。再生された吸収液10は、送液ポンプ17によって、必要により熱交換器13と予冷器18で冷却したのち、吸収塔9に戻される。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。圧力は、特に断りのない限り絶対圧である。
(水蒸気吸収量の測定)
塩化カルシウム及び吸収液として各種のイオン液体を用いて、その水蒸気吸収量を測定した。測定は、高温恒湿器内に所定の質量の吸収液(ただし、塩化カルシウムは無水の固体)を設置し、所定の温度で所定の湿度の空気を接触させ、所定の時間間隔で吸収量の質量変化を測定した。吸収液の質量変化が無くなった時点を飽和状態とみなし、水蒸気吸収量wH2O(g/g−イオン液体)と水蒸気モル分率xH2Oを求めた。
温度及び相対湿度の条件は、約25℃(相対湿度約50%、約70%、約90%)及び約80℃(相対湿度約30%、約50%、約70%、90%)で行った。結果を表1及び2に示す。また、塩化カルシウム及び各吸収液の水蒸気吸収量の相対湿度に対する依存性を、図2(25℃)及び図3(80℃)に示す。
表1・2中のイオン液体を構成するアニオン及びカチオンの略称は以下の通りである。[emim]は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムの略称である。[AcO]は酢酸アニオン(アセテート;CHC(=O)O)の、[TFA]はトリフルオロ酢酸アニオン(トリフルオロアセテート;CFC(=O)O)の、[BZA]は安息香酸アニオン(ベンゾエート;PhC(=O)O)の、[MeSOはメチルスルホネート(MeS(=O))の、[MeSOはメチルスルフェイト(MeOS(=O)の、[HSOは硫酸水素アニオン((HO)S(=O))の、[MeHPOはメチルホスファイト((MeO)HP(=O)O)の、[TCB]はテトラシアノボレート(B(CN) )の略称である。
上記の各種吸収液の水蒸気吸収量の測定結果に基づいて、水電解ガス1m/hの乾燥に必要な吸収液の量を計算した。計算の条件は、水電解ガス生成工程で得られる、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスを、大気圧・25℃・90RH%(水蒸気圧2.84kPa)とし、再生工程の温度を80℃、富吸収液を再生した吸収液の水蒸気圧を、0RH%(水蒸気圧0kPa)、30RH%(水蒸気圧142.3kPa)、50RH%(水蒸気圧237.08kPa)、70RH%(水蒸気圧33.564kPa)、又は90RH%(水蒸気圧424.54kPa)とした。また、水電解ガス(吸収塔入口・大気圧)の水電解ガスと水分の分圧を、水電解ガス(HまたはO);98.40kPa(80.04kg/m)・HO;2.84kPa(20.60kg/m)とし、吸収効率及び再生効率を100%(即ち、吸収工程で、水電解ガス中の水蒸気が全てイオン液体に移動し、回収工程で、イオン液体中の余剰な水が全て蒸発する)と仮定した。
比較として、塩化カルシウムと、トリエチレングリコール(TEG)についても計算した。TEGの水蒸気吸収量は、ダウケミカル社、2007年発行の「Triethylene Glycol」に記載のデータから推算した。ここで、25℃・100RH%における吸収液の水蒸気吸収量を外挿することも考えられるが誤差が大き過ぎる恐れがあるので、90RH%に設定している。また、試算では空気中における水蒸気圧の吸収結果を使用しているが、イオン液体の水蒸気吸収量は、空気中と水素や酸素中の場合でほぼ差がないと考えられる。
再生工程における相対湿度を90RH%とした、必要なイオン液体の量の計算結果を表3に示す。また、相対湿度を70RH%とした場合を表4に、50RH%とした場合を表5に、30RH%とした場合を表6に、0RH%とした場合を表7に示す。表3・4において、回収量が負の値となっている場合は、25℃、90RH%より80℃、90RH%の方が水蒸気の吸収量が大きいことを意味する。また、それぞれの表に、トリエチレングリコールとの差を示した。この数値が大きいほど、必要な吸収液の量が少ないことを意味する。
以下、除湿に必要なエネルギー量を計算する。
(比較例1:冷却による除湿)
水電解ガス1m/hを、従来法の、大気圧・露点−20℃まで冷却して除湿する場合に必要なエネルギー量を計算する。水電解ガスは、大気圧・25℃・90RH%とする。この水電解ガスの条件は、水電解ガス生成工程をアルカリ水電解で行った場合に対応する。
(1)除去すべき水の質量を計算する。
大気圧・25℃・90RH%の水電解ガスを、大気圧・−20℃まで冷却して除湿する場合、25℃・90RH%(pH2O=28.5kPa)の水電解ガスの含水量は1mあたり20.60gであり、−20℃・100RH%(pH2O=0.125kPa)の乾燥水電解ガスの含水量は1mあたり1.07gであるので、除去すべき水の質量は19.53gである。
(2)次に、ガス冷却に必要なエネルギーを計算する。
−20℃・pH2O=0.125kPaの水電解ガスの密度は20.79L/molであり、エンタルピーは6.684kJ/molである。
25℃・pH2O=0.125kPaの水電解ガスの密度は24.49L/molであり、エンタルピーは7.973kJ/molである。
従って、水電解ガスを1m/h処理するので、ガス冷却に必要なエネルギーは、
7.973kJmol−1×(1000Lh−1/24.49Lmol−1
−6.684kJmol−1×(1000Lh−1/20.79Lmol−1
=4.061kJ/hである。
(3)次に、水蒸気を液化乃至固化して、分離するために必要なエネルギーを、3つのケースで計算する。なお、計算において、水の物理定数は、以下の値を用いた。
水の比熱(kJ/kg・K) :4.186
氷の比熱(kJ/kg・K) :2.1
水蒸気の凝縮熱(kJ/mol) :40.8
水の凝固熱(kJ/mol) :6.03335
水蒸気の比熱(kJ/kg・K) :2
(a)ケース1
1時間で、25℃で全て水蒸気を凝縮し、水を0℃まで冷却し、0℃で凝固し、氷を−20℃まで冷却する場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{40.8kJ・mol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)+4.186kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(298K−273K)+6.03kJmol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)+2.1kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(273K−253K)}/1h
=53.65kJ/hである。
(b)ケース2
1時間で、水蒸気を25℃から0℃まで冷却し、0℃で凝縮・凝固し、氷を−20℃まで冷却する場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{2.0kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(298K−273K)+40.8kJ・mol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)+6.03kJ・mol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)+2.1kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(273K−253K)}/1h
=52.58kJ/hである。
(c)ケース3
1時間で、水蒸気を25℃から−20℃まで冷却し、−20℃で全て凝縮させ凝固させる場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{2.0kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(298K−253K)+40.8kJ・mol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)+6.03kJ・mol−1×(19.53g/18.01g・mol−1)}/1h
=52.54kJ/hである。
(4)従って、最もエネルギーの小さいケース3の試算でも、除湿に必要なエネルギー量は、
4.061kJ/h+52.54kJ/h
=56.60kJ/hである。
(実施例1:吸収液(イオン液体;[emim][AcO])による除湿)
比較例1と同等の除湿を、イオン液体を吸収液として用いて行った場合のエネルギー量を計算する。すなわち、大気圧・25℃・90RH%(pH2O=28.5kPa)の水電解ガスを、吸収液(イオン液体)で、大気圧・25℃・0.4RH%(pH2O=0.125kPa・−20℃の飽和蒸気圧)まで除湿する。従って、回収工程において、富吸収液中の水分量をほぼゼロにしなければならないので、再生工程(80℃)において富吸収液中の水を全て回収するとして計算する。吸収液として、イオン液体[emim][AcO]を用いる。
(1)除去すべき水の質量は、比較計算例と同様に、水電解ガス1mあたり19.53gである。この19.53gの水を吸収するために必要なイオン液体[emim][AcO]は、表1の結果より、
(19.53g/h)/2.471g
=7.903g/hである。
(2)イオン液体水溶液を80℃に加熱し、水を蒸発させるために必要な熱量を求める。物性値は以下の値を用いた。
[emim][AcO]の比熱(kJ/kg・K) :1.95
水の蒸発熱(kJ/mol) :40.8
水の比熱(kJ/kg・K) :4.186
(2−1)1時間で、イオン液体[emim][AcO]の水溶液を25℃から80℃への昇温に要する熱量は、
{1.95kJ・kg−1・K−1×(0.007903kg)×(353K−298K)+4.186kJ・kg−1・K−1×(0.01953kg)×(353K−298K)}/1h
=5.34kJ/hである。
(2−2)また、水の蒸発に要する熱量(純水の蒸発熱と同じと仮定)は、
{40.8kJmol−1×(19.53g/18.01gmol−1)}/1h
=44.24kJ/hである。従って、イオン液体水溶液を80℃に加熱し、水を蒸発させるために必要な熱量は、
5.34kJ/h+44.24kJ/h
=49.58kJ/hである。
仮にイオン液体を5倍使用した場合は、
8.73kJ/h+44.24kJ/h
=52.97kJ/hが必要である。
(3)イオン液体[emim][AcO]を送液するために要する動力を計算する。
ポンプの軸動力は、以下の式で与えられるとする。
P=ρgQH/η
(ここで、ρは密度(kgm−3)、gは重力加速度(9.80665ms−2)、Qは全揚程(m)、Hは吐出し量(m−1)、ηはポンプ効率(0.8)である。)
物性値は、以下の値を用いた。
質量流量(kg/h) :0.00790274
[emim][AcO]の密度(kg/m)@80℃ :1066.01
体積流量(m/h) :7.41338E−06
全揚程(m) :10
イオン液体[emim][AcO]を送液するために要する動力は、
1066.01kgm−3×9.80665ms−2×10m×(7.41338E−6m−1)/0.8
=0.9687kgm−2−1
=0.0009687kJ/hである。
仮にイオン液体を5倍使用したとして、0.004844kJ/hが必要である。
(4)以上の再生熱量と送液動力を合計すると、49.58kJ/hである。この値は、比較例1の冷却除湿よりも7.08kJ/h少ない。仮にイオン液体を5倍使用したとしても、52.98kJ/hであり、冷却除湿の場合よりも必要なエネルギーが3.62kJ/h少ない。なお、以上のイオン液体による除湿では熱交換による効率向上を加味していないので、さらに省エネルギー化を図ることが可能である。
(比較例2:冷却による除湿)
水電解ガスを、1MPa・25℃・90RH%とし、この水電解ガス1m/hを従来法の、大気圧・露点−20℃まで除湿する場合に必要なエネルギー量を計算する。この条件は、水電解ガス生成工程を固体高分子型水電解で行った場合に対応する。
(1)除去すべき水の質量を計算する。
1MPa・25℃・90RH%の水電解ガスを1MPa・−20℃まで冷却して除湿する場合、25℃・90RH%(pH2O=28.5kPa)の水電解ガスの含水量は1mあたり20.60gであり、−20℃・100RH%(pH2O=0.125kPa)の乾燥水電解ガスの含水量は1mあたり1.06gであるので、除去すべき水の質量は水電解ガス1mあたり19.54gである。
(2)次に、ガス冷却に必要なエネルギーを計算する。
−20℃・pH2O=0.125kPaの含水水素ガスの密度は2.118L/molであり、エンタルピーは6.647kJ/molである。
25℃・pH2O=0.125kPaの含水水素ガスの密度は2.494L/molであり、エンタルピーは7.939kJ/molである。
従って、水電解ガスを1m/h処理するので、ガス冷却に必要なエネルギーは、
7.939kJmol−1×(1000Lh−1/2.494Lmol−1)−6.647kJmol−1×(1000Lh−1/2.118Lmol−1
=44.90kJ/hである。
(3)次に、水蒸気を液化乃至固化して、分離するために必要なエネルギーを、3つのケースで計算する。なお、計算において、水の物理定数は、比較例1と同じ値を用いた。
a)ケース1
1時間で、25℃で全て水蒸気を凝縮し、水を0℃まで冷却し、0℃で凝固し、氷を−20℃まで冷却する場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{40.8kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)+4.186kJkg−1−1×(0.01954kg)×(298K−273K)+6.03kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)+2.1kJkg−1−1×(0.01954kg)×(273K−253K)}/1h
=53.67kJ/hである。
b)ケース2
1時間で、水蒸気を25℃から0℃まで冷却し、0℃で凝縮・凝固し、氷を−20℃まで冷却する場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{2.0kJkg−1−1×(0.01954kg)×(298K−273K)+40.8kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)+6.03kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)+2.1kJkg−1−1×(0.01954)×(273K−253K)}/1h
=52.61kJ/hである。
c)ケース3
水蒸気を25℃から−20℃まで冷却し、−20℃で全て凝縮させ凝固させる場合;
水分の分離に必要なエネルギーは、
{2.0kJkg−1−1×(0.01954kg)×(298K−253K)+40.8kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)+6.03kJmol−1×(19.53g/18.01gmol−1)}/1h
=52.57kJ/hである。
(4)従って、最もエネルギーの小さいケース3の試算で、除湿に必要なエネルギー量は、
44.90kJ/h+52.57kJ/h
=97.47kJ/hである。
(実施例2:吸収液(イオン液体;[emim][AcO])による除湿)
比較例2と同等の除湿を、イオン液体を吸収液として用いて行った場合の必要なエネルギー量を計算する。すなわち、1MPa・25℃・90RH%(pH2O=28.5kPa)の水電解ガスを、吸収液(イオン液体)で、1MPa・25℃・0.4RH%(pH2O=0.125kPa・−20℃の飽和蒸気圧)まで除湿する。従って、回収工程において、富吸収液中の水分量をほぼゼロにしなければならないので、再生工程(80℃)において富吸収液中の水を全て回収するとして計算する。吸収液として、イオン液体[emim][AcO]を用いる。
(1)除去すべき水の質量は、比較例2と同様に水電解ガス1mあたり19.54gである。この19.54gの水を吸収するために必要なイオン液体[emim][AcO]は7.907g/hである。
(2)イオン液体水溶液を80℃に加熱し、水を蒸発させるために必要な熱量を求める。物性値は比較例1と同じ値を用いた。
(2−1)1時間で、イオン液体[emim][AcO]の水溶液を25℃から80℃への昇温に要する熱量は、
{1.95kJkg−1−1×(0.007907kg)×(353K−298K)+4.186kJkg−1−1×(0.01954kg)×(353K−298K)}/1h
=5.35kJ/hである。
(2−2)また、水の蒸発に要する熱量は、
{40.8kJmol−1×(19.54g/18.01gmol−1)}/1h
=44.26kJ/hである。従って、イオン液体水溶液を80℃に加熱し、水を蒸発させるために必要な熱量は、
5.35kJ/h+44.26kJ/h
=49.61kJ/hが必要である。
仮にイオン液体を5倍使用した場合は、
8.74kJ/h+44.24kJ/h
=52.98kJ/hが必要である。
(3)イオン液体[emim][AcO]を送液するために要する動力を計算する。
ポンプの軸動力は、以下の式で与えられるとする。
P=ρgQH/η
(ここで、ρは密度(kgm−3)、gは重力加速度(9.80665ms−2)、Qは全揚程(m)、Hは吐出し量(m−1)、ηはポンプ効率(0.8)である。)
物性値は、以下の値を用いた。
質量流量(kg/h):0.00790274
[emim][AcO]の密度(kg/m)@80℃:1066.01
体積流量(m/h):7.41338E−06
全揚程(m):100
イオン液体[emim][AcO]を送液するために要する動力は、
1066.01kgm−3×9.80665ms−2×100m×(7.41338E−6m−1)/0.8
=9.687kgm−2−1
=0.009687kJ/hである。
仮にイオン液体を5倍使用したとして、0.04844kJ/hが必要である。
(4)以上の再生熱量と送液動力を合計すると、49.62kJ/hである。この値は、比較例1の冷却除湿よりも47.85kJ/h少ない。仮にイオン液体を5倍使用したとしても、53.03kJ/hであり、冷却除湿の場合よりも必要なエネルギーが44.44kJ/h少ない。このように本発明の効果は、水電解ガス生成工程を固体高分子型水電解で行った場合に特に優れている。なお、以上のイオン液体による除湿では熱交換による効率向上を加味していないので、さらに省エネルギー化を図ることが可能である。
本発明の乾燥水電解ガスの製造方法によれば、(1)チラーによる冷却法に比べて省エネ化が達成可能であり、(2)常温で水素あるいは酸素ガス源から水蒸気成分のみを除去できるので、水素あるいは酸素分圧の低下が無く、(3)100℃以下の低品位の熱源でも吸収液の再生が可能であり、(4)吸収液の循環により除湿・再生の連続プロセスが組め、熱交換が容易で顕熱を節約でき、種々の排熱源を利用可能であり、(5)従来の吸収液より高効率、省エネで除湿及び再生が可能であり、(6)従来吸収液の課題であった水電解ガスへの吸収液の同伴が無く、高純度化の妨げとならない、などの効果も得られる。
1 ・・・電解槽
2 ・・・陽極
3 ・・・陰極
4 ・・・電解液
5 ・・・温度調節装置
6 ・・・水
7 ・・・水電解ガス
8 ・・・熱交換器
9 ・・・吸収塔
10・・・吸収液
11・・・富吸収液
12・・・乾燥水電解ガス
13・・・熱交換器
14・・・再生器
15・・・ヒータ
16・・・減圧ポンプ
17・・・送液ポンプ
18・・・予冷器

Claims (8)

  1. 水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成工程と、
    前記水電解ガス生成工程で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収工程と、
    前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離工程と、
    前記富吸収液を、加熱及び減圧して、又は減圧して、水分を除去して吸収液を再生させる再生工程と、
    を含む乾燥水電解ガスの製造方法。
  2. 前記吸収工程の前の前記水電解ガスと、前記富吸収液とで熱交換を行う熱交換工程を更に含む、請求項1に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
  3. 前記再生工程で再生した吸収液と、前記富吸収液とで熱交換を行う第2の熱交換工程を更に含む、請求項1又は2に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
  4. 前記イオン液体を構成するアニオンは、オキソ酸イオンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
  5. 前記オキソ酸イオンは、式1で表されるカルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、式2で表されるスルホン酸イオン、式3で表されるリン酸エステルイオン若しくはリン酸イオン、又は、式4で表されるホスホン酸エステルイオン若しくはホスホン酸イオンである、請求項に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
    (式1中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
    (式2中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
    (式3中RとRは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素
    基である。)
    (式4中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
  6. 前記オキソ酸イオンは、式1で表されるカルボン酸イオン、硝酸イオン、式3で表されるリン酸エステルイオン若しくはリン酸イオン、又は、式4で表されるホスホン酸エステルイオン若しくはホスホン酸イオンである、請求項5に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
    (式1中R は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
    (式3中R とR は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素
    基である。)
    (式4中R は、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
  7. 前記水電解ガスは水素ガスである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の乾燥水電解ガスの製造方法。
  8. 水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成手段と、
    前記水電解ガス生成手段で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収手段と、
    前記吸収手段によって湿度の減少した乾燥水電解ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離手段と、
    前記水蒸気を吸収した富吸収液を、加熱及び減圧して、又は減圧して、水分を除去して吸収液を再生させる再生手段と、
    を備える乾燥水電解ガスの製造装置。
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