JP5026508B2 - 光学ベースの自己検証量子乱数発生器 - Google Patents

光学ベースの自己検証量子乱数発生器 Download PDF

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Description

本発明は乱数発生器に関し、具体的には、量子光学系の量子力学的特性を用いて乱数列を生成するための方法及びシステムに関する。
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年4月20日に出願の米国特許出願第11/407,513号の一部継続出願である。
乱数は、ほんの数例を挙げると、ゲームプレー、統計的サンプリング、積分方程式の計算、粒子輸送計算、統計物理学における計算を含む多くの分野において用途を有する。結果として、乱数を用いる方法及びシステムにおいて、乱数発生器(「RNG」)が重要な位置を占める。たとえば、RNGは、安全システムの重要な構成要素であり、暗号技術のための鍵を生成するために広く用いられる。理想的なRNGは、予め予測することができず、且つ確実に再現することができない数を生成する。言い換えると、RNGは理想的には、偏りのない乱数列を生成する。しかしながら、一般的に用いられる数多くのRNGは、見せかけの乱数列を生成するか、偏った数列を生成しがちであるかのいずれかである。
公式及び数値演算による方法を用いて、見せかけの乱数列を生成するために、RNGはソフトウエアで実施されてきた。ソフトウエアベースのRNGは、一般的には公式ベースのRNGであり、「擬似乱数発生器」と呼ばれる。なぜなら、同じ初期パラメータが用いられる場合には、公式によって擬似乱数列を予測し再現できるようになるからである、。再帰的レーマ擬似乱数発生器(「LPNG」)が、一般的に用いられる擬似乱数発生器の一例であり、それは、以下の式によって与えられる。
n+1=Axn+C(mod M)
ここで、xnは、乱数列のn番目の数であり、A、C及びMは、LPNGによって生成される数列がランダムに見えるのを確実にするために調整することができるパラメータである。典型的には、Mは擬似乱数列を計算するために用いられるコンピュータのワードサイズを割り当てられ、x0は、シードであり、素数を割り当てられる。たとえば、A、C及びMにそれぞれ値21、1及び32(5ビット)を割り当て、x0に素数13を割り当てると、LPNGは、13、18、27、24、25、14、7等の整数の擬似乱数列を生成する。代替的な手法は、擬似乱数発生器が起動される度に、擬似乱数発生器に、コンピュータシステムクロックによって導入される時刻を供給する。しかしながら、システムクロックによって与えられる時刻を用いる場合であっても、擬似乱数発生器が起動されたときの時刻を特定することができるため、絶対的に信頼できるというものではない。
原子系、分子系及び電気系によって生成される熱雑音において観測されるカオスゆらぎから乱数列を生成するために、ハードウエアベースのRNGも開発されている。たとえば、電気導体の中に流れる電流によって熱雑音が生成され、それは、数を電圧平衡ゆらぎの大きさに関連付けることによって、乱数列の発生源として用いることができる。電圧が印加されても、されなくても、導体内の電子のランダムな運動のために熱雑音が生じる。しかしながら、ハードウエアベースのRNGによって用いられる系は環境変化の影響を受けやすいため、ハードウエアベースのRNGは必ずしも乱数列の信頼性のある発生源であるとは限らない。たとえば、乱数列を生成するために用いられる、電気雑音ベースのRNGは、その系の温度を変更することによって偏ることがある。さらに、ハードウエアベースのRNGによって生成される数列のランダム性を検証するために典型的に用いられる方法は、ソフトウエアベースの決定論的方法であり、その方法は、数列が統計的に良好に振舞うか否かを判定するために用いることができるが、数列の真のランダム性を評価するために用いることはできない。
量子乱数発生器(「QRNG」)は別のタイプのハードウエアベースのRNGである。QRNGは、同一の量子系の量子力学的特性に基づく。各数を量子系について実行される測定の結果と関連付けることによって乱数列を生成することができる。このようにして生成される数は確かにランダムである。なぜなら、各測定は、量子系の状態をその測定が実行される時刻について取り得る数多くの状態のうちの1つに射影し、量子力学の標準的な解釈によれば、測定方法及び測定デバイスをいくら改良しても、量子系において実行される測定の結果の不確定性を克服することができないためである。結果として、QRNGは、乱数列を生成するのに極めて望ましいシステムである。
QRNGを実現するために、|0>及び|1>によって表される、2つの離散した状態のみを含む量子系を用いることができる。2状態量子系の例は、電磁界の垂直偏光状態及び水平偏光状態、原子系の2つのエネルギー状態、及び電子又は原子核の2つのスピン状態を含む。2つの離散した状態を有する量子系は「キュービット系」と呼ばれ、「キュービット基底状態」と呼ばれる状態|0>及び|1>は、集合表記において{|0>,|1>}として表すこともできる。キュービット系は状態|0>や、状態|1>や、両方の状態|0>及び|1>を同時に含む無数の状態のうちの任意の状態で存在することができる。両方の状態|0>及び|1>を含むいずれの状態も、数学的には、状態の線形重ね合わせとして次のように表すことができる。
ここで、状態|ψ>は「キュービット」と呼ばれ、パラメータα及びβは以下の条件を満たす複素数値係数である。
|0>及び|1>が、状態|ψ>にあるキュービット系について実行された測定によって決定される2つの取り得る状態であるとき、状態|0>にあるキュービット系を見つける確率は|α|2であり、状態|1>にあるキュービット系を見つける確率は|β|2である。測定は、基底{|0>,|1>}にあるキュービット系について実行されると言われる。
キュービット系に関連付けられる無数の状態は、「ブロッホ球」と呼ばれる、単位半径の3次元球によって次のように幾何学的に表すことができる。
ここで、0≦θ<πであり、0≦φ<2πである。
図1はキュービット系のブロッホ球表現を示す。図1に示されるように、線101〜103はそれぞれ、直交するx、y及びzデカルト座標軸であり、ブロッホ球106の中心がその原点に位置する。ブロッホ球106上には無数の点があり、各点はキュービット系の1つの固有状態を表す。たとえば、ブロッホ球106上の点108はキュービット系の1つの固有状態を表しており、それは、部分的に状態|0>、及び部分的に状態|1>を同時に含む。しかしながら、キュービット系の状態が基底{|0>,|1>}において測定されると、キュービット系の状態は状態|0>110に、又は状態|1>112に射影される。
図2は、仮想的な単一偏光ビームスプリッタベースのQRNG200を示す。QRNG200は、偏光ビームスプリッタ202と、2つの光子検出器204及び206と、光子源208とを備える。ビームスプリッタ202は、2つのプリズム212と214との間に狭持される多層誘電体薄膜210を備える。ビームスプリッタ202は、1つの入力チャネル216と、2つの出力チャネル218及び220とを備える。チャネル216、218及び220は、光ファイバ又は自由空間のいずれかを表す。ビームスプリッタ202は、垂直偏光電磁放射を反射し、水平偏光電磁放射を透過する。ビームスプリッタ202及び光子源208を用いて、以下のように、乱数を生成することができる。光子源208が、ビームスプリッタ202の平面に対して45°に偏光した電磁放射の単一光子を出力するとき、関連する状態のコヒーレントな線形重ね合わせは、以下の式によって与えられる。
ここで、|V>は光子の垂直偏光状態を表し、|H>は光子の水平偏光状態を表す。
垂直偏光状態|V>及び水平偏光状態|H>は45°に偏光した単一光子の直交する基底状態であり、偏光状態|V>と偏光状態|H>を観測することをそれぞれ、2進数の「1」と「0」に関連付けることができる。光子検出器D1204又は光子検出器D2206のいずれかにおいて光子が検出されるまで、光子は状態|45°>のままである。状態|45°>の係数の二乗は、検出器D1204において光子|V>を検出する確率が1/2であり、検出器D2206において光子|H>を検出する確率が1/2であることを示す。言い換えると、検出器204において光子を検出することを、2進数値「1」を生成することに関連付けることができ、検出器206において光子を検出することを、2進数値「0」を生成することに関連付けることができる。いずれの偏光状態を検出する確率も1/2であるため、2進数値「0」又は「1」を生成することは、確かにランダムな事象である。
QRNG200を用いて、2進数の乱数列を生成することができ、それを、nビットワードの乱数列に分割することができる。その際、nビットワードの乱数列を、様々な乱数の用途において用いることができる。たとえば、QRNG200を用いて、以下のように、0〜31の整数の乱数列を生成することができる。検出器D2206によって光子|H>が検出されると、2進数「0」が2進数列に追加され、検出器D1204によって光子|V>が検出されると、2進数「1」が、同じ2進数列に追加される。状態|45°>を30回連続して生成することによって、以下の2進数の乱数列が生成されるものと仮定する。
2進数の乱数列を5ビットワードに分割して、2進法の乱数列00011、01010、11100、10101、01111及び00100を与えることができ、その後、それらを10進法の対応する整数の乱数列3、10、28、21、15及び4にそれぞれ変換することができる。
QRNG200は乱数列を生成する好都合の方法及びシステムを提供するように見えるが、QRNG200は、光子源208に手を加えることによって、擬似乱数列を生成する場合がある。たとえば、光子源208の制御権を有する敵対者は、光子源208を偏らせることによって、光子源208によって出力される光子のコヒーレントな線形重ね合わせが、以下の状態によって表されるようにすることができる。
結果として、QRNG200は偏った2進数列を生成する。その場合に、生成される2進数の約2/3が「0」に等しく、生成される2進数の約1/3が「1」に等しい。さらに、QRNG200のようなデバイスによって生成される数列のランダム性を検証するために典型的に用いられる方法は多くの場合に、ソフトウエアベースの決定論的方法であり、それは、2進数列が確かに乱数であるか否かを判定するのに信頼性がない。物理学者、暗号研究者、コンピュータ科学者及び量子情報の使用者は、乱数列を確実に生成するために用いることができ、量子系の非決定論的な特性を利用する方法を用いて、QRNGによって乱数列内の偏りを検出し、検証し、補正することもできるQRNGの必要性を認識している。
本発明の様々な実施形態は、乱数を生成するための方法及びシステムを対象とする。本発明の一実施形態では、量子乱数発生器は、コヒーレント状態にある量子系を生成するように構成された状態発生器と、量子系を4つの異なる偏光状態のうちの1つに射影すると共に、4つの異なる偏光状態のそれぞれを検出するように構成された偏光状態解析器と、量子系を単一光子に変換すると共に、第1の2進数に対応する第1の偏光状態にあるか、又は第2の2進数に対応する第2の偏光状態にある単一光子を検出するように構成された生ビット発生器と、偏光状態解析器及び生ビット発生器から、偏光状態に対応する信号を受けると共に、単一光子の第1の偏光状態及び第2の偏光状態に基づいて乱数を出力するように構成されたシステムコントロールとを備える。
本発明の様々な実施形態は、2進数の乱数列を生成するために用いることができる、光学ベースの自己検証QRNGを対象とする。本発明の実施形態は、数列のランダム性を評価及び検証し、偏った2進数を除去するための量子力学に基づく方法を含む。本発明の実施形態は事実上数学的であり、このため、数多くの式及び数多くの図解表示を参照しながら以下に説明される。数式はそれのみで、量子光学及び量子情報の分野の当事者に対して、本発明の実施形態を完全に記述し、特徴付けるのに十分であるかもしれないが、様々な背景を有する読者が本発明を利用できるように、以下の説明に含まれる、より図式的で、問題に合わせた例及び制御フロー図の手法は、本発明の様々な実施形態を様々な異なる方法で示すことを意図している。また、読者が本発明の様々な実施形態の説明を理解するのを助けるために、物理学における関連するトピックスを概説するサブセクションが提供される。第1のサブセクションでは、量子力学の概説が提供される。第2のサブセクションでは、電磁放射及び量子光学の概説が提供される。第3のサブセクションでは、偏光状態及びストークスパラメータの概説が提供される。最後に、第5のサブセクションでは、本発明の様々なシステム及び方法の実施形態が記述される。
量子力学の概説
本発明の実施形態は量子力学の概念を利用する。Claude Cohen-Tannoudji、Bernard Diu及びFrank Laloeによる教本「Quantum Mechanics, Vol. I and II」(Hermann, Paris, France, 1977)は、量子力学の分野のための数多くの参考文献のうちの1つである。このサブセクションでは、本発明の実施形態に関係する量子力学のトピックスが記述される。さらに詳しい事柄は、上記で参照された教本から、又は量子力学に関連する他の数多くの教本、論文及び雑誌記事から入手することができる。
量子力学は、光子、電子、原子及び分子を含む系の観測された挙動、原子及び亜原子のレベルをモデル化する。量子系は離散した状態において存在し、その状態は、離散的な測定可能な量によって特徴付けられる。量子系の状態はケットによって表され、|Ψ>で示される。ここで、Ψは量子系の状態を表すラベルである。たとえば、電子は2つの固有のスピン角運動量状態を有し、それらの状態は2つの測定可能なスピン角運動量値
に対応する。ここで、
は約1.0546×10-34Jsである。スピン角運動量
に対応するスピン状態は「スピンアップ」と呼ばれ、|↑>で表され、スピン角運動量
に対応するスピン状態は「スピンダウン」と呼ばれ、|↓>で表される。様々な異なるラベルを、様々な異なる量子状態に割り当てることができる。たとえば、スピンアップ状態|↑>はケット|1/2>、スピンダウン状態|↓>はケット|−1/2>によって表すこともできる。また、全く異なる量子系における異なる状態を表すために、ただ1つのラベルを用いることもできる。たとえば、ケット「|1>」は、二原子分子の第1の量子化された振動準位を表すことができ、以下のサブセクションにおいて説明されるように、単一光子を表すために用いることもできる。
電子のスピン角運動量のような、量子系の測定可能な量を求めるために用いられる測定は、演算子
によって表される。ここで、符号「^」は演算子を表す。一般的に、演算子は、以下のように、左からケットに作用する。
ここで、
は観測された量子状態を表すケットである。典型的には、演算子
は「固有状態」と呼ばれる1組の状態に関連付けられる。固有状態は、|ψi>として表され、以下の特性を有する。
ここで、iは負でない整数であり、ψiは「固有値」と呼ばれる実数値であり、量子系が固有状態|ψi>にあるときに観測される離散した測定可能な量に対応する。たとえば、z軸に平行な電子のスピン角運動量を求めるために用いられる測定は、
によって表され、観測されるスピン角運動量値の固有値−固有状態表現は以下のとおりである。
演算子の固有状態は、「状態空間」と呼ばれる複素ベクトル空間に張る複素ベクトルである。状態空間に属するあらゆる状態が基底に関する固有の線形重ね合わせを有する場合には、固有状態はベクトル空間の基底を構成する。たとえば、演算子
のN個の固有状態{|ψi>}で張られる状態空間内の状態|Ψ>は、以下のように、固有状態の線形重ね合わせとして書くことができる。
ここで、ciは「振幅」と呼ばれる複素数値係数である。演算子に関連付けられる状態空間は、「ヒルベルト空間」とも呼ばれる。ヒルベルト空間は、「内積」と呼ばれる数学演算を含む。2つの状態|Ψ>及び|Ξ>の内積は以下のように表される。
式中、<Ξ|は「ブラ」と呼ばれ、状態|Ξ>の複素共役転置を表す。内積は以下の特性を有する。
ここで、「*」は複素共役を表す。ヒルベルト空間の基底固有状態は正規直交であり、すなわち数学的な表記では、以下のようになる。
式中、δijは、iがjに等しいときに1であり、そうでない場合には0である。たとえば、単一電子ヒルベルト空間の固有状態の内積は以下のようになる。
ヒルベルト空間の固有状態の正規直交性を用いて、状態|Ψ>の線形重ね合わせの係数を求めることができる。|Ψ>と<ψj|との内積をとることによって、次のように対応する係数が与えられる。
この係数を線形重ね合わせに代入すると、以下の式が与えられる。
|Ψ>はヒルベルト空間内の任意のケットであるため、以下の式が成り立つ。
ここで、
は恒等演算子である。その総和は「完全性関係」と呼ばれ、固有状態{|ψi>}は「完全である」と言われる。
演算子の固有状態は正規直交列ベクトルによって表すことができ、その演算子は正方行列によって表すことができる。たとえば、演算子
に関連付けられる単一電子ヒルベルト空間の固有状態は、以下の列ベクトルによって表される。
ここで、記号「B」は「〜によって表される」を表す。固有状態の転置複素共役は以下の行ベクトルによって表される。
完全性関係を用いると、基底{|ψi>}に関する演算子
は以下の式によって表すこともできる。
ここで、
は行列要素である。基底{|ψi>}に関する演算子
に対応する行列は以下のように表すことができる。
に等しい演算子
の行列表現は、対角要素以外は0を有し、対角要素は固有値{ψi}である。たとえば、電子スピンz軸演算子を以下の式によって与えることができる。
ただし、以下の式が成り立つ。
電子スピン演算子
の行列表現は以下の式によって与えられる。
である場合には、演算子
は「エルミート演算子」と呼ばれる。
対応する行列要素は以下の条件を満たす。
演算子
に対応する測定の前に、量子系は、演算子
の全ての固有状態{|ψi>}内に同時に存在するものと考えることができ、それは、次のように状態の(純粋状態)線形重ね合わせによって表される。
演算子
に対応する測定は、最初に状態|Ψ>にある量子系を固有状態のうちの1つ|ψi>に射影する。言い換えると、量子系に対する測定は基本的にはフィルタリング処理であり、この処理によって、測定の時刻に、量子系の状態が、線形重ね合わせの固有状態のうちの1つになる。たとえば、演算子
に対応する測定の前に未知のスピン配向を有する電子は、次のように状態の線形重ね合わせで表される。
スピン判定測定
は、測定の時刻において、電子の状態を状態|↑>又は状態|↓>のいずれかに射影する。言い換えると、スピン判定測定直後に、電子は状態|↑>又は状態|↓>のいずれかにある。
測定の結果として、量子系の状態に相応の不可逆的変化が生じる。不可逆性は、測定が実行される前に、量子系が既に量子状態のうちの1つにあるときにのみ避けることができる。結果として、ただ一度の測定の結果に基づいて、量子系の以前の状態を推測ことはできない。たとえば、スピン測定の結果が
である場合には、測定の時刻において、その系が既に状態|↑>にあったか、スピン状態|↑>及び|↓>の線形重ね合わせの状態にあったかを判定することはできない。
量子系の状態が様々な状態|ψi>のうちのいずれに射影されることになるかを予め知ることはできないが、測定の直後に量子系が特定の状態|ψi>において見いだされる確率は以下の式によって与えられる。
ここで、|Ψ>は正規化されており、|ci2はci *iに等しく、結果の確率を与える。たとえば、スピン基底{|↑>,|↓>}におけるスピン判定測定の前に、スピン状態|↑>において見いだされる確率が1/2であり、スピン状態|↓>において見いだされる確率が1/2である、コヒーレントに準備された電子を考える。スピン判定測定前のそのようなスピン状態にある電子に関連付けられる状態は、以下の式によって表すことができる。
状態|Ψ>の線形重ね合わせによって表される量子系について実行される測定の期待値は数学的に以下の式によって表され、
これは、以下のように完全性関係を適用することによって求められる。
この期待値は、集合内の量子系に関する測定から予想される、重み付けされた固有値平均結果を表す。ここで、量子系の初期状態|Ψ>は、集合の各メンバについて同じである。言い換えると、各量子系を表す状態の線形重ね合わせは、測定前には同じである。実際には、そのような集合は、全てが同じ状態にある数多くの同一の独立した量子系を準備することによって、又は同じ状態にある単一の系を繰返し準備することによって実現することができる。期待値は、各測定で得られる値ではないことがあり、それゆえ、測定から得られる固有値と混同されるべきでないことに留意されたい。たとえば、
の期待値は固有値
の間のいずれかの実数値でありうるが、電子に関する
の実際に測定された値は、個々の測定において常に
または、
のいずれかである。
状態|Ψ>にある単一の量子系の期待値は、以下の式によって定義される密度演算子を用いて記述することもできる。
式中、状態|Ψ>は「純粋状態」とも呼ばれ、以下に記述される状態の統計的混合とは区別される。密度演算子は、{|ψi>}基底において、「密度行列」と呼ばれる行列によって表され、その行列の行列要素は以下のとおりである。
密度演算子は、量子系の状態を特徴付ける。言い換えると、密度演算子は、状態|Ψ>から計算することができる全ての物理的な情報を提供する。たとえば、密度行列の対角行列要素の和は以下の式によって与えられる。
ここで、Trは行列の固有和、すなわち対角要素の和である。たとえば、純粋状態にある2状態量子系
の密度行列は以下の式によって与えられる。
式中、対角要素は、量子系を状態|ψ1>又は状態|ψ2>のいずれかに射影することに関連する確率であり、対角以外の要素は、状態|ψ1>と|ψ2>との間の干渉効果を表す。さらに、状態|Ψ>にある量子系の期待値は、以下のように表すことができる。
しかしながら、量子系についての情報が不完全である状況も珍しくない。たとえば、量子系が、各々が関連する確率p1、p2、p3、...を有する状態|Ψ1>、|Ψ2>、|Ψ3>、...のいずれか1つの状態をとることができ、この場合、それらの確率は以下の条件を満たす。
この量子系は、「状態の統計的混合」において存在すると言われる。状態の統計的混合の密度演算子は、以下のように求めることができる。上記のように、純粋状態|Ψi>にある量子系に対する観測可能な
の測定が結果ψnをもたらす確率は以下のとおりである。
しかしながら、状態の統計的混合にあるψnを観測する確率Pri(ψn)を、piによって重み付けし、iにわたって加算すると、以下の式が与えられる。
ここで、
は、状態の統計的混合に関連する密度演算子である。関連する密度行列の要素は以下の式によって与えられる。
密度行列の物理的な意味は、状態の混合を含む2状態量子系について次のように記述される。
対応する密度行列は以下の式によって与えられる。
対角行列要素は、量子系の状態が|Ψi>であるときに、対角行列要素ρ11が状態|ψ1>にある量子系を見つける平均確率を表し、対角行列要素ρ22が状態|ψ2>にある量子系を見つける平均確率を表すことを意味するものと解釈することができる。同一の条件下で同じ測定がN回実行されるときに、状態|ψ1>においてNρ11が見つけられることになり、状態|ψ2>においてNρ22が見つけられることになる。対角以外の要素ρ12及びρ21は、状態|ψ1>と|ψ2>との間の平均干渉効果を表す。対角行列要素とは異なり、対角以外の行列要素は、積
及び、
がいずれも0でない場合であっても、0になりえるが、これは、N回の測定にわたる平均が、状態|ψ1>と|ψ2>の干渉効果を相殺していることを意味することに留意されたい。
テンソル積は、異なる量子系のヒルベルト空間を合成して、合成された量子系を表すヒルベルト空間を形成する1つの方法である。たとえば、HΨが第1の量子系のヒルベルト空間であり、HΞが第2の量子系のヒルベルト空間である。
によって表されるヒルベルト空間は、合成されたヒルベルト空間を表す。ここで、記号
はテンソル積を表す。演算子
はヒルベルト空間HΨに対応し、演算子
はヒルベルト空間HΞに対応し、それぞれ以下のように、対応する固有状態についてのみ作用する。
ここで、|ψ>はヒルベルト空間HΨの状態を表し、|ξ>はヒルベルト空間HΞの状態を表す。テンソル積
は、|ψ>|ξ>、|ψ,ξ>、又は|ψξ>として短縮して書くことができる。たとえば、原子軌道内にある2つの電子のスピン状態は、合成ヒルベルト空間の基底である。2つの電子は、いずれもスピンアップであるか、いずれもスピンダウンであるか、第1の電子がスピンアップであり、第2の電子がスピンダウンであるか、又は第1の電子がスピンダウンであり、第2の電子がスピンアップであるかのいずれかであり得る。2つのスピンアップ電子の様々なテンソル積表現は、以下の式によって与えられる。
ここで、下付き文字1は第1の電子、下付き文字2は第2の電子を指す。
量子力学では、連続する固有値スペクトルを有する測定可能な量もある。対応するヒルベルト空間の次元数は無限であり、離散した量子系に関して上述した特性の多くは、連続する量子系の場合に一般化することができる。連続固有値方程式は以下のとおりである。
ここで、ζは連続固有値を表し、ケット|ζ>は演算子
の連続固有状態である。たとえば、1次元における非拘束粒子の場合、位置q及び運動量pはいずれも、それぞれ位置演算子
及び運動量演算子
の連続固有値であり、−∞〜∞の任意の実数値をとることができる。
連続変数ζの特性は、以下のように一般化することができる。
ここで、δ(ζ−ζ’)はデルタ関数であり、以下のような多数の極限表現を有する。
任意の物理状態の状態ケットは、以下のように状態{|ζ>}に関して拡張することができる。
たとえば、粒子の経路内に、その粒子が位置qにあるときに、粒子の位置を出力する検出器を配置するものとする。最初に状態|α>にあった系は、測定が行なわれた直後に、スピン検出測定が実行されるときに任意の電子スピン状態が2つのスピン状態のうちの一方に射影されるのと概ね同じように、|q>によって表される状態に射影される。連続変数ζの他の特性は以下の式によって与えられる。
運動量演算子
は微分演算子
によって表すこともできる。結果として、位置演算子及び運動量演算子はいずれも、次の正準交換関係を満たす。
ここで、i及びjはx、y、zデカルト座標のような直交座標を表し、交換子は、
と定義される。
電磁放射及び量子光学の概説
このサブセクションでは、本発明の実施形態に関係する電磁放射及び量子光学の簡単な説明が記述される。量子光学は、電磁放射への量子力学の適用に関係する物理学の一分野である。完全反射性の壁を有する空洞に閉じ込められた電磁放射が量子化される。量子化された電磁放射は、自由空間内又は光ファイバ内を伝搬する電磁放射のような、より一般的な閉じ込められない光学系に適用することができる。
自由電荷も電流も有しない空洞に閉じ込められた電磁放射は、電界成分
及び磁界成分
を含み、それらの成分は、波動方程式
及び非相対論的クーロンゲージ条件
を満たすベクトルポテンシャル
で関連付けられる。ここで、電界成分及び磁界成分は以下の式によって求められる。
電磁放射は、伝搬していると仮定され、完全反射性の壁を有する、立方体空洞、すなわち量子化空洞によって課せられる周期的境界条件にかけられる。ここで、壁は長さLを有する。図3は、立方体空洞(立方体キャビティ)300を示す。直交する軸302、304及び306はx、y及びzデカルト座標軸を表す。限られた寸法の立方体空洞300は、波動方程式への解に周期的境界条件を課す。たとえば、x、y及びz方向において、ベクトルポテンシャル波動方程式への平面波解は条件
を満たす。ここで、
はベクトル(L,L,L)であり、
は「波数ベクトル」と呼ばれ、以下の成分を有する。
式中、mx、my及びmzは整数である。各整数組(mx,my,mz)は電磁放射のノーマルモードを規定し、波数ベクトル
の大きさkはωk/cに等しい。ここで、cは自由空間内の光の速さを表し、ωkは角周波数である。現実には、電磁界のノーマルモードのスペクトルは実際には連続であり、波数ベクトル
によって示唆されるノーマルモードの離散スペクトルは、連続スペクトルに対する近似であることに留意されたい。
周期的境界条件を満たす上記の波動方程式に対する伝搬するベクトルポテンシャル解は以下のとおりである。
ここで、
は電磁放射の複素振幅であり、
は2単位長偏光ベクトルを表し、
x、my、mz=0、±1、±2、±3、...
である。
にわたる和は整数(mx,my,mz)にわたる和を表し、sにわたる和は、各
に関連する2つの独立した偏光にわたる和である。2つの偏光ベクトルは以下の式によって示されるように直交する。
両者の偏光方向がsの場合に、上記で与えられたゲージ条件から、以下の式が成り立つ。
2つの偏光ベクトル
は、以下の式によって与えられる正規化された波数ベクトルを用いる右手座標系を形成する。
図4は、基底ベクトルとして2つの独立した偏光ベクトル
と、正規化された波数ベクトル
とを用いる3次元右手座標系を示す。図4において、波数ベクトル
及び偏光ベクトル
はそれぞれ、線408、410及び412によって表される座標軸を有する座標系の3つの直交する単位長基底ベクトルである。
ベクトルポテンシャルの伝搬する電界成分及び磁界成分は以下のとおりである。
電界
及び磁界
はいずれも、電界及び磁界の「古典的」表現と呼ばれる伝搬波解であり、互いに直交し、いずれも波数ベクトル
に直交する。
図5は、図4に示される右手座標系内の電磁放射の電界成分及び磁界成分を示す。電磁放射は、波数ベクトル
軸に沿って向けられる。電界成分
及び磁界成分
はそれぞれ直交する偏光ベクトル
に沿って向けられ、特定の時刻tにおいて凍結されるように見える。
電磁放射のエネルギーは、以下のハミルトニアンを数値計算することによって求めることができる。
ここで、ε0は自由空間の誘電率であり、μ0は自由空間の透磁率であり、Vは空洞の体積である。誘電率ε0は、電界の影響下で、真空空間が電気的ポテンシャルエネルギーを蓄えることができる度合いを表し、透磁率μ0は、真空が磁束を変更する度合いを表す。非導電性媒体では、誘電率はさらにεを乗算されるが、これは、媒体が電気的ポテンシャルエネルギーの蓄積を増す度合いであり、また透磁率はさらにμを乗算されるが、これは、媒体が磁束をさらに増す度合いである。
電界成分
及び磁界成分
を量子化するために、位置
及び運動量
の正準変数が、以下の式を設定することによって、ハミルトニアンに導入される。
結果として、電磁放射に関するハミルトニアンは以下のようになる。
ハミルトニアン内の各項は、振動モード
を有する調和振動子のエネルギーである。ここで、項
は運動エネルギーであり、項
は単位質量を有する調和振動子のポテンシャルエネルギーである。ハミルトニアンは、位置変数
を量子力学的位置演算子
で、運動量変数
を量子力学的運動量演算子
で、それぞれ置き換えることによって量子化され、以下の量子ハミルトニアン演算子が与えられる。
消滅演算子及び生成演算子が以下の式によって定義され、
量子ハミルトニアン演算子に消滅演算子及び生成演算子を代入することによって、以下の式が与えられる。
ここで、
は「個数演算子」と呼ばれ、
によっても表される。位置演算子及び運動量演算子に関して正準交換関係を用いると、消滅演算子及び生成演算子は、以下の式によって与えられる交換関係を満たす。
電磁放射が量子化されると、振幅
は演算子
になり、それを上記の古典的な電界方程式及び磁界方程式に代入して、下記の電界演算子及び磁界演算子を得ることができる。
電界演算子及び磁界演算子はいずれもエルミート演算子であり、測定可能な電界及び磁界を表す。
磁界の大きさは1/c倍だけ電界よりも小さいため、電界が、帯電した物質との相互作用の大部分の原因となる。結果として、一般的には電界のみを用いて、電磁放射の挙動及び帯電した物質との任意の相互作用が特徴付けられ、磁界成分は無視することができる。
量子計算及び量子情報処理システムは、電磁放射の単一モード
を用いて動作することができる。結果として、電磁放射の単一モードに関するハミルトニアン演算子は、以下の式に変換される。
ここで、上記のハミルトニアン内のモード依存演算子
の代わりに、
が用いられる。単一モードハミルトニアンの固有状態及び対応するエネルギー固有値は以下のとおりである。
ここで、|n>は「個数状態」と呼ばれ、nは、「光子数」と呼ばれる負でない整数であり、Enはエネルギー固有値である。
消滅演算子及び生成演算子は、以下のように、個数状態に対して作用する。
ここで、
は演算子
を表し、「個数演算子」と呼ばれる。個数状態は、個数状態に消滅演算子及び生成演算子を繰返し適用することによって生成することができる。たとえば、個数状態に消滅演算子を繰返し適用することによって、以下のように光子数が減少する。
式中、|0>は「真空状態」と呼ばれ、電磁放射の最も低いエネルギー状態を表す。真空状態で開始し、生成演算子を繰返し適用することによって、以下の式が与えられる。
個数状態は直交し、以下の式によって表される完全集合を形成する。
一般的に、個数状態|n>に関連付けられるエネルギー固有値方程式は以下のとおりである。
エネルギー固有値方程式に消滅演算子及び生成演算子を適用することによって、以下の式が与えられる。
これは、電磁放射のエネルギー準位がエネルギー量子
だけ離隔して等間隔に配置されることを示す。言い換えると、電磁放射の励起は、「光子」と呼ばれるエネルギーの離散した量
において生じる。光子数nは、電磁放射を含む光子
の数を指す。
図6は、量子化された電磁放射のエネルギー準位図である。水平線602のような水平線は、電磁放射のエネルギー準位を表す。エネルギー準位604は最も低いエネルギー準位であり、真空状態|0>に対応する。真空状態のエネルギーは、
、すなわち単一光子のエネルギーの1/2である。電磁放射のエネルギー準位が高くなるのに応じて、それぞれが、同じエネルギー量子
だけ分離される。たとえば、エネルギー準位606は、
の全電磁エネルギーを有する電磁放射を表し、それは、2つの光子のエネルギーに、真空状態エネルギー
を加えたエネルギーと見なすことができる。消滅演算子は、電磁放射からの1つの光子の除去に対応し、生成演算子は、電磁放射への1つの光子の追加に対応する。たとえば、消滅演算子
は状態|n>602から低いエネルギー状態|n−1>608への電磁放射遷移610を表す。遷移610は、周囲に1つの光子を引き渡すことによって達成される。対照的に、生成演算子
は、状態|n>602から高いエネルギー状態|n+1>612への電磁放射遷移614を表す。遷移614は、周囲から1つの光子を受け取ることによって達成される。典型的には、周囲は、原子、量子ドット、又は双極子相互作用を通じて場に結合する任意の他の系であり得ることに留意されたい。光子の損失又は吸収は、周囲の系が同時に励起することを伴うことになり、光子の生成又は放射は、周囲の系がそれに応じて脱励起することを伴うことになる。
光子は光子源によって生成され、自由空間を通じて、又は光ファイバ内で伝送することができる。光子源は、単一のパルスを生成するか、又は各パルスが、波長及び方向などの光学特性が全ての光子について同じである1つ又は複数の光子を含むパルス列を生成する、パルス式レーザ(パルスレーザ)とすることができる。同じ光学特性を有する光子は「コヒーレント」と呼ばれる。しかしながら、光子源、検出器、及び検出器から光子源を分離する光ファイバのような媒体は光共振器を画定しない。光子源及び検出器は、光エネルギーの著しい反射又は循環を生じない、光エネルギーの連続する一方向への流れを構成する部品である。自由空間又は光ファイバを通じて伝送されるパルスは波束によって記述され、波束は、以下の式によって与えられる時間依存性のガウス形関数によって表すことができる。
ここで、ω0はパルススペクトルの中心周波数であり、tは時刻であり、t0は、波束のピークが光子源からの距離z0に位置する時刻であり、Δ2は、強度スペクトルの分散である。時刻t0は、z0/vによって求めることができる。ここで、vは自由空間を通じて、又は光ファイバ内を進行するパルスの速度である。
波束ξ(t)はパルスの振幅であり、|ξ(t)|2はパルスの光検出確率密度関数であり、光検出確率密度関数|ξ(t)|2は、次の正規化条件を満たす。
光子源からの距離z0において時間間隔(t1,t2)内で1つの光子の光検出の確率は以下の式によって与えられる。
図7は、光子源702から出力され、光ファイバ704内を検出器706まで伝送されるパルスに関連する確率分布を示す。水平線708は、光子源702から検出器706まで光子が進行する距離z0を表し、水平線710は時間軸である。曲線712は、光検出確率密度関数|ξ(t)|2を表す。図7では、光検出確率密度関数|ξ(t)|2712は、時刻t0に中心があり、これは、パルスが距離z0を進行するのにかかる時間に対応する。曲線712の下の面積は、特定の時間期間内にパルスを検出する確率を表す。たとえば、斜線の領域714は、時間期間t1<t0<t2内に光子を検出する確率を表す。時間期間716は「時間ビン」と呼ばれ、光子が検出器706において検出される時間期間に対応する。
時間依存生成演算子を用いて、以下のように、光子波束生成演算子を生成することができる。
生成演算子を用いて、以下のように、自由空間を通じて、又は光ファイバ内を伝送される光子を表す連続モード個数状態を構成することができる。
ここで、|0>は連続モード真空状態である。連続モード個数状態は、以下の同じ条件を満たす。
結果として、連続モード個数状態を特定するために用いられる下付き文字ξは取り去ることができる。波束で構成される光子はいかなるハミルトニアンの固有状態でもないことに留意されたい。
コヒーレント状態の概説
最も一般的な種類の単一モード状態は、個数状態の線形重ね合わせである。個数状態の複数の異なる取り得る線形重ね合わせがあるが、コヒーレント状態
は、量子化された電磁放射の数多くの用途において用いられる個数状態の線形重ね合わせである。コヒーレント状態は、消滅演算子
の固有状態であり、複素共役をとることによって、以下の式が与えられる。
しかしながら、コヒーレント状態|α>は生成演算子
の固有状態ではない。なぜなら、αにわたる総和を配列し直しても、
からコヒーレント状態を与えることはできないからである。
個数演算子に関するコヒーレント状態期待値
は、|α|2が光子の平均数であることを示す。光子の数の測定においてn個の光子を検出する確率は次で表されるポアソン分布である。
ポアソン分布は、|α|2の値が大きい場合にはガウス分布に近付く。
コヒーレント状態は、その特性が、振幅が安定で位相が一定の古典的な電磁波に最もよく似ている量子状態である。たとえば、z方向に伝搬している電界に対応する電界演算子は、モード下付き文字k及びsを除去して、以下のように表される。
ここで、時間t及び変位zは次のように位相角に含まれ、
電界は、
の単位で測定される。
コヒーレント状態は、電界期待値又はコヒーレント信号に関して次のような正確な正弦波形を与えるので、概ね古典的な状態である。
ここで、
であり、φはモードのコヒーレント状態励起の平均位相角である。
偏光状態及びストークスパラメータ
このサブセクションでは、電磁放射の偏光状態が説明される。図5を参照して上述したように、電磁放射は、伝搬するTEM波(transverse electromagnetic wave:横電磁波)として取り扱うことができる。各電磁波は、電界成分
及び磁界成分
を含む。しかしながら、電界が、帯電した物質との相互作用の大部分の原因となり、磁界の大きさは1/c倍だけ電界よりも小さいため、電磁波を表すために、電界成分のみを用いることができる。図5に示されるように、電磁界の振動する電界成分
及び関連する波数ベクトル
がいずれも振動面内に存在するときには、その電磁界は「直線偏光している」と言われる。多数のランダムに偏光した電磁波を含む電磁放射を1つ又は複数の偏光子の中に通すことによって、一定の偏光状態を作り出すことができる。各偏光子は、偏光子の偏光軸に沿った電界成分を有する電磁波のみを透過するデバイスである。
任意の2つの直交する直線偏光状態を用いて、{|H>,|V>}によって表される、偏光基底を定義することができる。第1の偏光状態|H>は、「水平偏光」と呼ばれる、第1の方向に偏光された電磁波を表し、第2の偏光状態|V>は、「垂直偏光」と呼ばれる、第1の方向と直交する第2の方向に偏光された電磁波を表す。偏光基底状態は、以下の条件を満たす。
図8A及び図8Bは、偏光基底状態|H>及び|V>のプロットを示す。図8A及び図8Bでは、図8Aにおける互いに垂直な軸801〜803のような互いに垂直な軸はそれぞれ、x、y及びzデカルト座標軸を表す。図8Aは、yz平面内に存在する電界
の垂直偏光状態|V>を示す。矢印806は、電界
が観測面808に向かって伝搬する方向を表す。観測面808から、波がz軸に沿って一波長λだけ伝搬するのに応じて、電界
が1つの完全な振動サイクルだけ進行することを観測することができる。振動サイクルは、双方向矢印810によって表される。図8Bは、xz平面内に存在する電界
の水平偏光状態|H>を示す。関連する水平振動サイクルは、観測面808内の双方向矢印816によって表される。
偏光基底{|H>,|V>}を用いて、|χ>によって表される無数の偏光状態を構成することもできる。これらの偏光状態は|H>及び|V>の両方を同時に含み、数学的には、状態のコヒーレントな線形重ね合わせとして次のように表すことができる。
ここで、0≦θ<π及び0≦φ<2πである。電磁波の無数の偏光状態は、幾何学的には、3次元ブロッホ球によって表すことができ、この場合には、「ポアンカレ球」とも呼ばれる。
図9Aは、偏光状態のポアンカレ球表現を示す。図9Aに示されるように、線901〜903はそれぞれ直交する座標軸であり、ポアンカレ球904の中心がその原点に位置する。ポアンカレ球904上には無数の点があり、各点は電磁波の固有の純粋偏光状態|χ>を表す。たとえば、ポアンカレ球904上の点905は、部分的に状態|H>、部分的に状態|V>を同時に含む偏光状態|χ>を表す。6つの点906〜911は、ポアンカレ球904と座標軸901〜903との間の交点を特定する。点906及び907はそれぞれ偏光基底状態|H>及び|V>を特定し、点908〜点911はそれぞれ以下の直交する偏光状態を表す。
図9B〜図9Eはそれぞれ、4つの偏光状態、|45°>、|−45°>、|R>及び|L>のプロットを示す。図9Bは、水平なxz平面に対して45°だけ傾けられた振動面912内に存在する45°偏光状態|45°>を示す。偏光状態|45°>の振動サイクルは、双方向矢印914によって表される。図9Cは、水平なxz平面に対して−45°だけ傾けられた振動面916内に存在する−45°偏光状態|−45°>を示す。偏光状態|−45°>の振動サイクルは、双方向矢印918によって表される。図9Dは、図8A及び図8Bに示される、垂直偏光電界804及び水平偏光電界812を含み、−π/2の相対的な位相差δを有する、右円偏光状態|R>を示す。この結果は、2つの直交する双方向矢印920及び922によって表される振動サイクルであり、それらの矢印は、電界804及び812がz軸に沿って伝達されるのに応じて、観測面808内で時計回りに回転する。図9Eは、同じく垂直偏光電界804及び水平偏光電界812を含むが、π/2の相対的な位相差δを有する左円偏光状態を示す。左偏光状態の振動サイクルは、2つの直交する双方向矢印924及び926によって表され、それらの矢印は観測面808内で反時計回りに回転する。
任意の偏光状態は、「ストークスパラメータ」と呼ばれる、4つの量の線形結合によって表すことができる。ストークスパラメータは、準単色電磁放射の偏光状態を表すのに都合の良い方法である。なぜなら、電磁放射測定は典型的には、強度又は光子の数のみを決定することができ、偏光状態を決定することができないからである。ストークスパラメータは全て同じ次元を有し、単色波の場合は、以下の4つの量によって与えられる。
式中、記号<・>は平均値を表し、a1及びa2は電界ベクトルの2つの異なる直交成分Ex及びEyの瞬時振幅であり、δは成分ExとEyとの間の位相差である。単色波の場合、ストークスパラメータのうちの3つだけが独立している。これは、それらのパラメータが以下の恒等式によっても関連付けられるためである。
部分的にコヒーレントな準単色波の場合、ストークスパラメータは次の不等式によって関連付けられることに留意されたい。
ストークスパラメータは、次のストークスの関係式によって互いに関連付けられる。
ここで、0≦ψ≦π及び−π/4≦χ≦π/4である。
図10は、ストークスパラメータS1、S2及びS3の幾何学的表現を示す。図10に示されるように、線1002〜1004はそれぞれ、直交するx、y及びzデカルト座標軸である。半径S0の球1006は、全ての異なる偏光状態の幾何学的表現を示す。ストークスパラメータS1、S2及びS3は、球1006上の点P1008のデカルト座標と見なされ、2χ及び2ψは点P1008の球面角座標である。所与の強度S0の取り得る偏光状態毎に、球1006上に1つの対応する点があり、逆も同様である。右偏光は、赤道xy平面1010よりも上にある、球1006上の点によって表され、左偏光は、赤道xy平面1010よりも下にある、球1006上の点によって表される。直線偏光電磁放射の場合、位相差δは0、又はπの整数倍であり、パラメータS3は0である。言い換えると、直線偏光電磁波は、球1006とxy平面1010とが交差する場所にある点によって表される。円偏光電磁放射の場合、<a1>は<a2>に等しく、位相差δはπ/2又は−π/2である。それゆえ、右円偏光電磁放射は点1012によって表され、左円偏光電磁放射は点1014によって表される。部分的にコヒーレントな準単色波の場合、状態は、上記の不等式によって示されるように、球1006内にある点によって表されることに留意されたい。
典型的には、ストークスパラメータは、各パラメータをパラメータS0で割ることによって正規化され、それは、単位強度の入射ビームを使用することと等価である。正規化された表現におけるランダムに偏光された電磁放射に関するストークスパラメータ(S0,S1,S2,S3)は(1,0,0,0)であり、これは球1006の中心に対応する。正規化されたストークスパラメータを表Iに示す。
電磁放射の任意の準単色波のストークスパラメータを、強度又は光子数測定によって求めることができ、それらは以下の関係式によって与えられる。
ここで、I(θ,ε)は、y成分がx成分に対してεだけ遅れるときに、x軸とθの角度を成す電界振動を伴う電磁放射の強度を表す。たとえば、強度I(0°,0)は水平偏光電磁放射の強度、I(90°,0)は垂直偏光電磁放射の強度を表し、I(45°,0)は45°偏光の電磁放射の強度、I(−45°,0)は−45°偏光の電磁放射の強度を表すことができ、I(45°,π/2)は右円偏光電磁放射の強度、I(−45°,π/2)は左円偏光電磁放射の強度を表す。
パラメータS0は全強度を表すことに留意されたい。パラメータS1は、90°に等しいθの角度を有する直線偏光を受ける偏光子によって透過された電磁放射の強度に対して、0°に等しいθの角度を有する直線偏光を受ける偏光子によって透過された電磁放射の強度が上回る量に等しい。パラメータS2にも類似の解釈が当てはまる。パラメータS3は、左円偏光電磁放射の強度に対して、右円偏光電磁放射を受ける偏光子によって透過された電磁放射の強度が上回る量に等しい。
本発明の実施形態
本発明の様々な実施形態は、2進数の乱数列を生成するために用いることができる、光学ベースの自己検証QRNGを対象とする。本発明の実施形態は、最小エントロピーを構成するための量子力学に基づく方法を含み、最小エントロピーを用いて、2進数の乱数列を評価し、検証する。図11は、本発明の一実施形態を表すQRNG1100の概略図を示す。QRNG1100は、状態発生器1102と、偏光状態解析器(「PSA」)1104と、生ビット発生器(「RBG」)1106と、システムコントロール1108とを備える。状態発生器1102は、パルス式レーザダイオードと、直線偏光子とを備え、次の式で表される、電磁放射の45°偏光パルス1110をコヒーレント状態において出力する。
ここで、|αH>は水平偏光コヒーレント状態を表し、|αV>は垂直偏光コヒーレント状態を表す。用語「水平」は、QRNG1100の平面に対して平行に偏光された電界成分を有する電磁波を指し、用語「垂直」は、QRNG1100の平面に対して垂直に偏光された電界成分を有する電磁波を指す。電磁放射の偏光パルス|α45>1110は、パルス|α45>1110の第1の部分がPSA1104に伝送され、パルス|α45>1110の第2の部分がRBG1106に伝送されるように分割される。PSA1104及びRBG1106についての異なるデバイスの実施形態が、図12〜図14を参照して後で説明される。状態発生器1102によって生成されるパルス|α45>1110毎に、PSA1104は、初期状態を、電磁放射の4つの異なる偏光コヒーレント状態に射影する。4つの異なる偏光のコヒーレント状態は、(1)45°偏光パルス|α45>1112、(2)−45°偏光パルス|α-45>1114、(3)右円偏光パルス|αR>1116、及び(4)左円偏光のパルス|αL>1118である。PSA1104は、状態1112〜1116を検出し、検出結果をシステムコントロール1108に送信する検出システム1120を備える。RBG1106は、以下のように、パルス|α45>1110内の光子の数を減少させる減衰器1120を備える。
ここで、|H>は、単一光子を含む水平偏光パルスを表し、|V>は、単一光子を含む垂直偏光パルスを表す。
RBG1106は、状態|H>又は状態|V>のいずれかである単一光子の存在を検出し、検出結果をシステムコントロール1108に送信する検出システム1122を備える。2進数を符号化するために、光子偏光状態|H>及び|V>が用いられる。たとえば、状態|H>の検出を用いて、2進数「1」を表すことができ、状態|V>の検出を用いて、2進数「0」を表すことができる。QRNG1100のN回の動作サイクルにわたって、システムコントロール1108は、PSA1104及びRBG1106によって供給される検出結果を受信し、ベクトル
によって表される2進数の乱数列を出力する。ここで、mは2進数の乱数の数を表し、m<Nである。2進数の乱数列
を構成することに関する方法の実施形態については、図15〜図21を参照して後述する。
図12〜図14は、上記の一般的なQRNG1100の実施形態による、本発明の3つの異なるQRNGデバイスの実施形態を示す。簡略にするために、図12〜図14において、図11に示した一般的なQRNG1100の構成要素と同一であるQRNGの構成要素には同じ参照番号を付しており、それらの構造及び機能については繰り返し説明しない。
図12Aは、本発明の一実施形態を表す第1のQRNG1200の概略図である。PSA1104は、パルス式状態発生器1102と、第1のビームスプリッタ(「BS1」)1202と、第2のビームスプリッタ(「BS2」)1204と、半波長板(2分の1波長板)1206と、4分の1波長板1208と、第1の偏光ビームスプリッタ(「PBS1」)1210と、第2の偏光ビームスプリッタ(「PBS2」)1212と、4つのフォトダイオード検出器1214〜1217とを備える。4つの光検出器1214〜1217は、当該技術分野において既知であるp−i−n(PIN)フォトダイオードとすることができる。点線1218のような点線は、PSA1104内の電磁放射伝送経路を表し、光ファイバ、又は自由空間内の伝送経路のいずれかを表すことができる。RBG1106は、減衰器1120と、結合器(カプラー)1220と、単一モードファイバ(「SMF」)1222と、ファイバ偏光ビームスプリッタ(「FPBS」)1224と、遅延ファイバ1226と、多モード光ファイバ1228と、単一光子カウントモジュール(「SPCM」)1230とを備える。遅延ファイバ1226及びSMF1222は単一モード光ファイバであり、電磁放射の0光子又は単一光子のいずれかを伝送するのに用いることができる。結合器1220は減衰器1120をSMF1222に結合し、MMF1228はSPCM1230に電磁放射の2つ以上のモードを送信する。SPCMは、単一光子を検出するために、高い信号強度で動作するアバランシェフォトダイオードとすることができる。フォトダイオード検出器1214〜1217及びSPCM1230は、信号線1232のような信号線によって、システムコントロール1108に接続される。BS11202及びBS21204は、パルス|α45>を、図12においてA、B及びCとして特定される3つの異なる伝送経路に分割する。BS11202及びBS21204の後のパルス|α45>の状態は以下の式によって与えられる。
ただし、以下の式が成り立つ。
また、|α45Aは、伝送経路A内に反射される45°偏光の電磁放射を表し、|α45Bは、伝送経路B内に反射される45°偏光の電磁放射を表し、|α45Cは、伝送経路Cに沿って伝送される45°偏光の電磁放射を表す。BS11202によって反射された電磁放射の偏光は、HWP1206によって、以下のように変更され、
BS21204によって反射された電磁放射の偏光状態は、QWP1208によって、以下のように変更される。
水平偏光されたパルス|αH>は検出器1215及び1216によって検出され、垂直偏光されたパルス|αV>は検出器1214及び1217によって検出される。
時間ビン符号化を用いて、RBG1106によって2進数の乱数列が生成される。図12Bは、本発明の一実施形態を表すRBG1106の動作を示す。減衰器1120が、パルス|α45C1234の状態を、真空状態|0>、又は状態
のコヒーレントな線形重ね合わせにある単一光子のいずれかに変換する。FPBS1224は、単一の水平偏光光子|H>をSMF1222に沿ってMMF1228に伝送し、単一の垂直偏光光子|V>を遅延ファイバ1226内に反射する。遅延ファイバ1226はFPBS1224とMMF1228との間の距離よりも長いため、垂直偏光光子|V>がSPCM1230に達するのにかかる時間は、水平偏光光子|H>がSPCM1230に達するのにかかる時間よりも長い。線1236は時間軸を表し、「0」は、パルス|α45>1110が状態発生器1102から出力される開始時刻を特定する。双方向矢印1238は、パルス|α45>1110が、結果としてSPCM1230において単一の水平偏光光子|H>として検出されるのにかかる平均時間を表す。双方向矢印1240は、パルス|α45>1110が、結果としてSPCM1230において単一の垂直偏光光子|V>として検出されるのにかかる平均時間を表す。曲線1242及び1244は、SPCM1230における光子検出事象の正規分布を表す。曲線1242と1244の裾部分が重ならないように、遅延ファイバ1226の長さを調整することができる。曲線1242及び1244の幅はそれぞれ、重複しない時間ビン1246及び1248を画定し、それらは2進数の乱数を生成するのに用いられる。たとえば、状態発生器1102から出力されるパルス|α45>1110毎に、システムコントロール1108によって事象が記録される。システムコントロール1108によって記録される事象を次に説明する。時間ビン1246において1つの光子が検出されると、2進数「1」が記録され、時間ビン1248において1つの光子が検出されると、2進数「0」が記録される。時間ビン1246、時間ビン1248のいずれにおいても光子が検出されないときは、「光子なし」が記録され、両方の時間ビン1246及び1248において光子が検出されると、「エラー(誤り)」が記録される。表IIは、状態発生器1102から出力される各パルス|α45>1110について、システムコントロール1108が記録することができる4種類の事象を示す。
システムコントロール1108によって記録される各事象は「生カウント(raw count)」と呼ばれる。図12Cは、本発明の一実施形態を表す、状態発生器1102によって生成されたN個のパルス|α45>1110について、システムコントロール1108によって記録されるN個の生カウントの仮想的な数列1250を示す。N個の生カウントの数列1250は、生カウント「光子なし」1252と生カウント「エラー(誤り)」1254によって分離された2進数「0」と「1」の数列を含む。図15〜図21を参照して後述する本発明の方法の実施形態は、2進数の乱数列
を得るために、PSA1104によって生成されたデータ偏光状態を用いて、N個の生カウントの数列を選別(または変更)することに関連する。PSA1104とRBG1106の両方によるパルスの検出は同期することに留意されたい。
図13A及び図13Bは、本発明の一実施形態を表す、第2のQRNG1300の概略図を示す。図13Aに示されるように、QRNG1300は、パルス式状態発生器1102と、図12に示されるQRNG1200のRBG1106と同一の構成要素及び動作を含むRBG1106を備える。それゆえ、簡略にするために、図13Aにおいて、これらの構成要素には同じ参照番号を付しており、それらの構造及び動作については繰返し説明しない。QRNG1300は、PSA1104も備えており、PSA1104は、ビームスプリッタ(「BS」)1302と、凹レンズ1304と、象限偏光フィルタ1306と、象限フォトダイオード検出器1308とを備える。BS1302は、電磁放射の偏光パルス|α45>を、伝送経路1310中へと反射される第1のパルス|α45Aと伝送経路1312に沿って伝送される第2のパルス|α45Bに分割する。パルスが象限偏光フィルタ1306に達すると、凹レンズ1304によって、パルス|α45Aの電磁放射が発散させられる。
図13Bは、象限偏光フィルタ1306及び象限フォトダイオード検出器1308の斜視図を示す。拡大された矢印1313によって示されるように、凹レンズ1304によって、第1のパルス|α45A1310内の電磁放射が発散させられる。象限偏光フィルタ1306は4つの偏光セクタに分割され、各偏光セクタは、4つのタイプの偏光のうちの1つを出力する。たとえば、象限偏光フィルタ1306は、以下の偏光セクタ、すなわち、(1)45°偏光パルス|α45>を出力する第1の偏光セクタ1314と、(2)−45°偏光パルス|α-45>を出力する第2の偏光セクタ1315と、(3)右円偏光パルス|αR>を出力する第3の偏光セクタ1316と、(4)左円偏光パルス|αL>を出力する第4の偏光セクタ1317とを備える。象限フォトダイオード検出器1308は、4つの独立した検出エリア1320〜1322に分割され、各検出エリアは、象限偏光フィルタ1306の偏光セクタと位置合わせされ、各検出エリアは、位置合わせされた対応する偏光セクタから出力されるパルスを個別に検出することができる。たとえば、検出エリア1320〜1322はそれぞれ、偏光セクタ1314〜1317と位置合わせされ、位置合わせされた偏光セクタ1314〜1417から出力されるパルスを検出する。象限フォトダイオード検出器1308は、各検出事象をシステムコントロール1108に送信する。
図14は、本発明の一実施形態を表す、第3のQRNG1400の概略図を示す。QRNG1400は、持続電磁波状態発生器1102と、1:6BS1402と、偏光フィルタ1404〜1409と、減衰器1412及び1414と、p−i−nフォトダイオード1416〜1419と、SPCM1420及び1421とを備える。SPCM1420及び1421は、アバランシェフォトダイオードとすることができる。またQRNG1400は、図12及び図13を参照して上述した状態発生器1102及びシステムコントロール1108も備える。1:6BS1402は格子形ビームスプリッタであり、これは、以下のように、コヒーレント状態|α>において入力される電磁放射の単一持続波を、A〜Fとラベル付けされた伝送経路に沿って伝送される6つの別個のビームに分割する。
偏光フィルタ1404〜1409は、伝送経路A〜Fにおいて送信される各ビームが、以下のように、6つの異なる偏光コヒーレント状態のうちの1つを出力するように配列される。
減衰器1412及び1414は、持続波|αHA及び|αVBを構成する光子の数を、それぞれ、真空(グランド)状態|0>Aと|0>B、又はそれぞれ、状態|H>Aと|V>Bにある単一光子、のいずれかに変換する。単一光子状態は、アバランシェフォトダイオード1420及び1421で検出される。検出器1416〜1421は、検出事象をシステムコントロール1108に送信する。検出事象の結果として、図12を参照して上述したように、生カウントの数列が生成される。2進数の乱数列
を生成するために検出事象を処理することは、p−i−nフォトダイオード1416〜1419とアバランシェフォトダイオード1420及び1421との間の同期検出を必要としないことに留意されたい。
図15は、本発明の一実施形態を表す、図11〜図14を参照して上述したQRNGのうちの任意の1つをN回動作させることによって生成された生カウントの数列から、2進数の仮想的な乱数列を生成する様子を示す。QRNG1100をN回動作させることによって、図12Cに示されるN個の生カウントの数列1250が生成される。「光子なし」1252及び「エラー(誤り)」1254のような「光子なし」及び「エラー(誤り)」検出事象に対応する生カウントは、n個の2進数の生の数列を生成するために、生カウントの数列から除去され、その生の数列は、
によって表される列ベクトル1502に組み立てられる。ここで、n<Nである。生の数列1502は、仮想的に偏らせた2進数1504〜1506のような、多数の仮想的に偏らせた2進数を含む。本発明の量子力学に基づく方法が、m×nテプリッツ行列Tn×mを構成するために用いられ、この行列は、生の数列
内の偏った2進数を選別(または変更)して除去し、
で表される、m個の2進数の乱数列
を生成するのに用いられる。ここで、m<n<Nである。2進数の乱数列
は列ベクトル1508によって表される。
C.D.Walter等(編集)による「Cryptographic Hardware and Embedded Systems CHES 2003」と題する本の中の「True Random Number Generators Secure in a Changing Environment」と題する章(pp. 166-180, Springer-Verlag (2003))において、Barak等は、テプリッツ行列の数学的な定義を提供している。以下の説明は、Barak等の参考文献による、テプリッツ行列を構成するために必要とされる識見を提供する。
本発明の方法を用いて、状態発生器1102から出力される状態に偏りがあっても真の乱数列を生成することができることを強調するために、本発明の量子力学に基づく方法の実施形態が、敵対者が存在するシナリオを用いて、2進数の乱数列
を生成することを参照しながら以下に説明される。図16は、敵対者が存在するシナリオ下にある、図11を参照して上述したQRNG1100を示す。敵対者が存在するシナリオでは、状態発生器1102は、「イブ」1602と呼ばれる敵対者の制御下に入り、QRNG1100の残りの部分は、「アリス」1604と呼ばれる、ユーザの制御下にある。イブは、アリス1604にはランダムに見え、イブが部分的にわかっている2進数列を生成することを望む。アリスは、状態|H>及び|V>のみを用いて2進数の乱数を生成するので、以下の解析は、基底{|H>,|V>}によって張られる部分空間に限定される。それゆえ、イブは以下の形のコヒーレント状態を生成するものと仮定される。
ただし、以下の式が成り立つ。
イブは、アリスが状態|ψ>にある光子に適用する測定について知らないものと仮定される。イブが、全て同じ純粋状態|ψ>にあるパルスを準備するとき、アリスは、各パルスについて測定を実行して、次の密度行列を得ることができる。
密度行列
は、アリスがイブによって提供されるパルスの状態について、アリスが得ることができる最大限の情報量を表す。イブによって提供されるパルスについてトモグラフィ解析を実行することによって、アリスは密度行列
の要素を求めることができる。トモグラフィ解析を用いて、2進数列のランダム性が評価され、その解析は「自己検証」とも呼ばれる。量子状態のトモグラフィ解析は、当該技術分野では周知であり、たとえば、James等による参考文献「Measurement of Qubits」(Phys. Rev. A, Vol. 64, 052312)に記述されている。トモグラフィ解析を用いて、イブによって準備された状態|ψ>が特定される。James等の参考文献に記述されているように、bキュービット系についてのトモグラフィ解析は典型的には、密度行列
を求めるのに、(4b−1)個の異なる期待値を必要とする。結果として、期待値を測定するために、同一の状態の多数のコピーが必要とされる。状態に関する(4b−1)個の異なる期待値及び正規化要件は理想的には、一般的なbキュービット系の2b個の複素係数に4b個の独立した制約を生成し、測定された状態を画定する密度行列
及び2b個の複素係数についての解析的解法を可能にする。
イブは、状態の統計的混合
にあるパルスを送信することによって、イブにはわかるが、アリスにはランダムに見えるように数列を偏らせることを試みることもできる。この場合、各パルスの状態は関連する確率piを有する。アリスは、トモグラフィ解析を実行して、密度行列演算子
及び関連する密度行列
を求める。ここで、
は状態|H>を測定する確率であり、
は状態|V>を測定する確率である。密度行列演算子及び密度行列は、純粋状態密度行列演算子及び関連する密度行列の合成である。イブは、アリスが毎回測定している各パルスの状態|ψi>を準備し、知っているが、アリスによって実行される各測定の結果は量子力学の法則によって支配されるため、イブは状態|ψi>に関するアリスの測定の結果を制御することはできないことに留意されたい。
アリスは、トモグラフィ解析を実行して、密度行列
を求め、ランダム性に関する発生源の品質を評価する。ランダム性に関する発生源の品質は厳密には、以下のように定義される最小エントロピー(「min-entropy」)関数を用いて評価することができる。
ここで、Xは確率変数であり、Pr(x)は事象xの確率であり、
はX内の全ての事象xにわたる最大確率Pr(x)を意味する。言い換えると、最小エントロピーは、確率分布のランダム性の量の尺度と見なすことができる。図17は、本発明の一実施形態を表す、最小エントロピーのプロットである。図17において、水平軸1702は事象xの確率Pr(x)に対応し、垂直軸1704は、最小エントロピーの値を表し、曲線1706は、最小エントロピーHMin(X)を表す。事象xが生じる最大確率Pr(x)が「1」1708であるときは、最小エントロピーは「0」1710である。言い換えると、0の最小エントロピーは、事象xが確実に生じ、完全に決定論的であることを意味する。事象xが生じる最大確率Pr(x)が「1/2」1712であるときは、最小エントロピーは「1」1714である。言い換えると、「1」1714の最小エントロピーは、事象xが偏りなく生じ、真にランダムな事象に対応することを意味する。事象xが生じる最大確率が1/2よりも大きいときは、点1718に対応する点1716のように、最小エントロピーは「0」と「1」との間にあり、偏りがある事象であると言われる。
最小エントロピーの使用を例示するために、以下の説明は、イブによって生成される3つの異なる種類の状態集合についての最小エントロピーの定義において、密度行列の要素がどのように用いられるかを記述する。アリスが、イブによって提供される純粋状態|ψ>にある単一パルスに関してトモグラフィ解析を実行するとき、確率変数Xは集合{0,1}にわたって分布し、最小エントロピーは次のとおりである。
ただし、以下の式が成り立つ。
最小エントロピーは、アリスが、イブによって提供される、全てが同じ純粋状態|ψ>にあるn個のパルスに関してトモグラフィ解析を実行する事例に拡張することができる。確率変数Xは集合{0,1}nにわたって分布し、最小エントロピーは次のとおりである。
最後に、アリスが、イブによって提供される純粋状態|ψi>の統計的混合にあるn個のパルスに関してトモグラフィ解析を実行するとき、最小エントロピーは次のようになる。
ただし、以下の式が成り立つ。
アリスは、イブが提供しているパルスの状態の分解を知らない。アリスは、トモグラフィ解析中に自分が生成する密度行列
を手に入れることができるのみである。任意の状態への最小エントロピーの拡張を得るために、パルスに関連付けられる最小エントロピーが、密度行列
の全ての取り得る分解にわたる最も小さい最小エントロピーと定義される。最も小さい最小エントロピーのそのような定義を用いて、イブがアリスの数列について入手することができる情報の量に上限が設けられる。
最小エントロピーHMinが0に等しくない限り、イブは、上記のQRNGによって生成される2進数列を完全には制御できないことに留意されたい。言い換えると、最小エントロピーが0よりも大きい限り、QRNGによって生成されるn個の2進数の数列内に、いくつかの数であるm個の2進数の乱数が存在する。ここで、m<nである。
トモグラフィ解析を容易にするために、最小エントロピー
がストークスパラメータの関数として再び特徴付けられる。最初に、上記の状態|ψi>の統計的混合に関連する2×2密度行列
を以下のようにストークスパラメータ(S0,S1,S2,S3)に関して書き換えることができる。
ここで、下付き文字「S」はストークスパラメータに関して書き換えられた密度行列を特定し、ストークスパラメータS0は、「1」に正規化され、σ1、σ2及びσ3は既知のパウリ行列基底{|R>,|L>}である。密度行列
のストークスパラメータは、以下のように、検出事象に基づいて求めることができる。図11〜図14を参照して上述した本発明のデバイスの実施形態では、アリスは、図12〜図14に示されるSPCM1230、1420及び1421を用いて、単一光子を検出する。システムコントロール1108は、各検出事象に対応するSPCMから信号を受信し、水平偏光光子<H>の平均数、及び垂直偏光光子<V>の平均数を計算する。アリスは、フォトダイオード1214〜1217及び1416〜1419ならびに象限フォトダイオード1308を用いて、電磁放射I(α45)、I(α-45)、I(αR)及びI(αL)の強度を検出する。システムコントロール1108は、強度に対応する信号を受信し、対応する平均強度<α45>、<α-45>、<αR>及び<αL>を計算する。その後、正規化されたストークスパラメータを以下の式によって求めることができる。
全ての密度行列
について次の実数値関数
を定義することによって、以下の定理を表明することができる。
定理1.密度行列
によって記述される系の最小エントロピーは以下のとおりである。
定理1の証明は後述の付録において提供される。定理1は、2進数列を生成するのに用いられる状態の密度行列の測定において、イブのような敵対者が得ることができる情報の量に上限があることを実証する。Barak等の参考文献は、最小エントロピーHMinを有するn個の2進数の数列が与えられると、2進数の生の数列からm個の2進数の乱数を抽出できることを示している。ここで、m<nである。m個の2進数の乱数は、或る分布に従って分布し、その分布は任意的に2進数の均一な分布に近い。
図18は、2進数の乱数列を生成するための本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す制御フロー図を示す。ステップ1802では、上記のQRNG1100、1200、1300、1400をN回用いて、偏光成分|α45>、|α-45>、|αR>及び|αL>をフィルタリングすると共に、偏光状態|H>及び|V>にある単一光子を生成及びフィルタリングする。ステップ1804では、ステップ1802において得られた検出結果に基づいて、システムコントロール1108が平均強度<α45>、<α-45>、<αR>及び<αL>を計算し、それらの平均強度を用いて、上記のように、ストークスパラメータS2及びS3が求められる。ステップ1806では、ルーチン「生の2進数列を生成する」が呼び出され、これによって、図15を参照して上述したように、N個の生カウントの数列から、n個の2進数の生の乱数列
が生成される。ステップ1808では、ルーチン「トモグラフィ解析」が呼び出される。ルーチン「トモグラフィ解析」は上記のように、密度行列
及び最小エントロピー
を求めるための方法である。ステップ1810では、ルーチン「生の2進数列を選別(または変更)する」が呼び出され、そのルーチンは、最小エントロピーHMinを用いて、数列
から偏りを除去し、m個の2進数からなる、より小さな乱数列
を生成する。ステップ1812では、2進数の乱数列
が出力される。
図19は、図18のステップ1808において呼び出されるルーチン「生の2進数列を生成する」のための制御フロー図を示し、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ1902では、図12Cを参照して上述したように、M個の生カウントが収集される。ステップ1904では、図15を参照して上述したように、「光子なし」又は「エラー(誤り)」のいずれかに対応する生カウントを破棄し、n個の2進数からなる生の乱数列を残すことによって、生カウントが選別(または変更)される。ステップ1906では、上述したように、ストークスパラメータS1を求めるために後で用いられる平均<H>及び<V>を求めるために、システムコントロール1108が、状態|H>及び|V>に対応する生カウントを平均する。
図20は、図18のステップ1806において呼び出されるルーチン「トモグラフィ解析」のための制御フロー図を示し、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ2002では、図18のステップ1804において得られる平均<α45>、<α-45>、<αR>及び<αL>、ならびに図19のステップ1904において得られる平均<H>及び<V>が取得される。ステップ2004では、上記のように、密度行列
が構成される。ステップ2006では、密度行列
を用いて、最小エントロピー
が構成される。
図21は、図18のステップ1810において呼び出されるルーチン「生の2進数列を選別(または変更)する」のための制御フロー図であり、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ2102では、図20のルーチン「生の数列を生成する」によって生成された2進数の生の乱数列
が入力される。ステップ2104では、図20のルーチン「トモグラフィ解析」において生成された最小エントロピー
が入力される。ステップ2106では、Barak等の参考文献において記述されているように、テプリッツ行列Tn×mが構成される。ステップ2108では、数列
が求められ、図15を参照して上述したようにステップにおいて出力される。
Barak等の参考文献に基づくと、n個の2進数からなる生の乱数列から抽出することができる2進数の最大数は以下のとおりである。
ここで、εは、m個の2進数の分布と均一な分布との間の統計的距離である。統計的距離は、数学的には、以下のように定義される。
ここで、XとWは異なる分布を表す。収率Yは、2進数の乱数の割合m/nであり、2進数の生の乱数列から求めることができる。2進数の乱数列
を抽出するための方法を試験するために、QRNG1100によって生成されるn=3200の生の2進数列が、ε=2-35の統計的距離及び0.38の最小エントロピーを用いて生成された。得られた収率は0.33であった。統計的距離及び生の2進数の数をQRNG1100演算子によって変更して、様々なセキュリティ要求及び計算資源に対応することができる。
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明をこれらの実施形態に限定することは意図していない。本発明の思想の範囲内での変更が、当業者には明らかであろう。本発明の代替的な実施形態では、他の光量子系において、図12〜図14に示されるPSA1104を実現するために用いられる光ファイバの代わりに、光ファイバを用いることができることを当業者であれば認識するであろう。本発明の別の実施形態では、当業者は、図11〜図14に示されるQRNG実施形態を、電子コンピューティングデバイス及び量子コンピューティングデバイスのようなさらに大規模の電子コンピューティングデバイス内の乱数発生器として組み込むことができることを認識するであろう。本発明の別の実施形態では、熱状態のような、コヒーレント状態以外の状態を用いることができる。たとえば、状態発生器1102は、電球(または白熱電球)又は発光ダイオードとすることもできる。本発明の代替的な実施形態では、James等の参考文献に記述されている偏光状態のような、偏光状態|H>、|V>、|α45>、|α-45>、|αR>及び|αL>以外の偏光状態を用いることができる。
これまでの記述は、説明の目的上、本発明を十分に理解できるようにするために特定の用語を使用した。しかしながら、本発明を実施するために、特定の細部が必要とされないことは当業者には明らかであろう。本発明の特定の実施形態についてのこれまでの記述は、例示及び説明の目的で提示されたものである。それらは、本発明を網羅することや本発明を開示した形態そのものに限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて、数多くの変更及び変形が可能であることは明らかである。それらの実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を最もわかりやすく説明し、それによって、当業者が、本発明及び様々な実施形態を、意図する特定の用途に適するように様々な変更を加えて最も好適に利用できるようにするために図示及び説明されたものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって画定されるものである。
[付録]
定理1.密度行列
によって記述される系の最小エントロピーは以下のとおりである。
定理1を証明するために、以下の3つの補助定理が証明される。
補助定理1.純粋状態|ψ>毎に、以下の式が成り立つ。
補助定理1の証明は、PrH>1/2、PrH<1/2及びPrV=1/2の場合に、以下の式が成り立つことを示すことによって証明される。
最初に、|ψ>は純粋状態であるため、図10を参照して上述したように、関連するストークスパラメータはポアンカレ球の表面上のある点に対応し、具体的には、パラメータS1及びS2は以下の式によって与えられる。
1及びS2を右辺に代入すると、以下の式が与えられる。
PrH>1/2のときは、左辺は以下のように変換され、
右辺は以下のように変換される。
PrH<1/2のときは、左辺は以下のように変換され、
右辺は以下のように変換される。
最後に、自明なケース、すなわち、PrV=1/2のときは、左辺及び右辺はいずれも1/2になる。
補助定理2.密度行列
によって表される2つの純粋状態|ψ1>及び|ψ2>は、密度行列
の分解である。ただし、
である。
補助定理2の証明:密度行列は、
を満たす対角行列要素を有する
の分解である純粋状態を表す。|ψ1>及び|ψ2>はいずれも純粋状態であるため、補助定理1に基づくと以下の式が成り立つ。
さらに、上記の
に関する式に基づくと、n=1の場合に、以下の式が成り立つ。
補助定理3.関数
はポアンカレ球上のストークスパラメータS1、S2、S3の凸関数である。
補助定理3の証明:
のヘシアン行列の固有値は、領域(1/2,1)にわたって負でない。
この定理の証明:凸関数の特性によれば、
の各分解について、以下の式が成り立つ。
補助定理1の結果を代入し、上記の式
を用いると、以下の式が与えられる。
これは、
が、
の最小エントロピーの下限であることを意味する。しかし、補助定理2によれば、
の少なくとも1つの分解が存在し、それについて、
が成立する。それゆえ、
は、
の全ての分解にわたるHMinの最小値に等しい。以上で証明終り。
キュービット系のブロッホ球表現を示す図である。 仮想的な単一偏光ビームスプリッタを用いる量子乱数発生器を示す図である。 立方体空洞を示す図である。 基底ベクトルとして、2つの独立した偏光ベクトルと、正規化された波数ベクトルとを用いる3次元座標系を示す図である。 図4に示される座標系における電磁放射の電界成分及び磁界成分を示す図である。 量子化された電磁放射のエネルギー準位図である。 光子源から出力され、検出器まで伝送される光子パルスを検出することに関連する確率分布関数を示す図である。 垂直偏光基底状態のプロット図である。 水平偏光基底状態のプロット図である。 偏光状態のポアンカレ球表現を示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 ストークスパラメータの幾何学的表現を示す図である。 本発明の一実施形態を表す量子乱数発生器の光学ベースの概略図である。 本発明の一実施形態を表す第1の量子乱数発生器の概略図である。 本発明の一実施形態を表す、2進数をランダムに生成するランダムビット発生器の動作を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、システムコントロールによって記録される生カウントの仮想的な数列を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、第2の量子乱数発生器の概略図である。 本発明の一実施形態を表す、第2の量子乱数発生器の概略図である。 本発明の一実施形態を表す、第3の量子乱数発生器の概略図である。 本発明の一実施形態を表す、生カウントの数列から2進数の乱数列を生成する様子を示す図である。 敵対者が存在するシナリオ下での図11に示される量子乱数発生器を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、最小エントロピーのプロット図である。 2進数の乱数列を生成するための本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す制御フロー図である。 図18のステップ1808において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、「生の2進数列を生成する」ルーチンのための制御フロー図である。 図18のステップ1806において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、「トモグラフィ解析」ルーチンのための制御フロー図である。 図18のステップ1810において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、「生の2進数列を選別(または変更)する」ルーチンのための制御フロー図である。

Claims (10)

  1. 光学ベースの自己検証乱数発生器(1100、1200、1300)であって、
    コヒーレント状態にある量子系を生成するように構成された状態発生器(1102)と、
    前記量子系を4つの異なる偏光状態のうちの1つに射影し、及び、該4つの異なる偏光状態のそれぞれを検出するように構成された偏光状態解析器(1104)と、
    前記量子系を単一光子に変換し、及び、第1の2進数に対応する第1の偏光状態と、第2の2進数に対応する第2の偏光状態とのいずれかにある前記単一光子を検出するように構成された生ビット発生器(1106)と、
    前記偏光状態解析器及び前記生ビット発生器から、前記偏光状態に対応する信号を受信し、及び、前記単一光子の前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態に基づいて乱数を出力するように構成されたシステムコントロール(1108)
    とを備える、自己検証乱数発生器。
  2. 前記状態発生器(1102)は、
    レーザダイオードと、
    電球と、
    発光ダイオード
    とのうちの1つをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記量子系は電磁放射のパルスをさらに含む、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記偏光状態解析器(1104)が、
    前記量子系を第1の反射量子系と第1の透過量子系に分割するように構成された第1のビームスプリッタであって、前記第1の反射量子系と前記第1の透過量子系はいずれも第1の偏光状態にある、第1のビームスプリッタ(1202)と、
    前記第1の透過量子系を第2の反射量子系と第2の透過量子系に分割するように構成された第2のビームスプリッタであって、前記第2の反射量子系と前記第2の透過量子系はいずれも前記第1の偏光状態にあり、該第2の透過量子系は前記生ビット発生器に向けて送られる、第2のビームスプリッタ(1204)と、
    前記第1の偏光状態にある前記第1の反射量子系を受け、及び、第2の偏光状態にある前記第1の反射量子系を出力するように構成された半波長板(1206)と、
    前記第1の偏光状態にある前記第2の反射量子系を受け、及び、第3の偏光状態にある前記第2の反射量子系を出力するように構成された4分の1波長板(1208)と、
    前記第1の反射量子系を第1の水平偏光量子系と第1の垂直偏光量子系に分割するように構成された第1の偏光ビームスプリッタ(1210)と、
    前記第2の反射量子系を第2の水平偏光量子系と第2の垂直偏光量子系に分割するように構成された第2の偏光ビームスプリッタ(1212)と、
    4つのフォトダイオード検出器であって、該フォトダイオード検出器の各々が、前記水平偏光量子系と前記垂直偏光量子系のうちの一方を検出するように構成された、4つのフォトダイオード検出器(1214−1217)
    とをさらに備えることからなる、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
  5. 前記偏光状態解析器(1104)が、
    前記量子系を反射量子系と透過量子系に分割するように構成されたビームスプリッタであって、前記反射量子系及び前記透過量子系はいずれも第1の偏光状態にあり、該透過量子系は前記生ビット発生器に向けて送られる、ビームスプリッタ(1302)と、
    前記反射量子系を受け、及び、発散量子系を出力するように構成された凹レンズ(1304)と、
    前記発散量子系を受け、及び、4つの量子系を出力するように構成された象限偏光フィルタであって、前記4つの量子系はそれぞれ4つの偏光状態のうちの1つにあることからなる、象限偏光フィルタ(1306)と、
    前記4つの偏光状態にある前記4つの量子系のそれぞれを別個に検出するように構成された象限フォトダイオード検出器(1308)
    とをさらに備えることからなる、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
  6. 前記生ビット発生器(1106)が、
    前記コヒーレント状態にある前記量子系を真空状態と前記単一光子とのいずれかに変換するように構成された減衰器であって、前記単一光子は直交する第1の偏光状態と第2の偏光状態との線形重ね合わせにあることからなる、減衰器(1120)と、
    前記第1の偏光状態にある前記単一光子を透過し、及び、前記第2の偏光状態にある前記単一光子を反射するように構成された偏光ビームスプリッタ(1224)と、
    前記偏光ビームスプリッタに接続された遅延ファイバであって、前記第2の偏光状態にある前記単一光子を伝送するように構成された遅延ファイバ(1226)と、
    前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とのいずれかにある前記単一光子を検出し、及び、対応する信号を前記システムコントロールに出力するように構成された単一光子カウントモジュール(1230)
    とをさらに備えることからなる、請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
  7. 前記システムコントロール(1108)は、前記偏光状態解析器から出力される信号であって、それぞれが前記4つの異なる偏光状態のうちの1つの検出を表すところの信号を受信し、前記システムコントロールは、さらに、前記生ビット発生器から出力される信号であって、それぞれが前記単一光子の偏光状態を表すところの信号を受信し、トモグラフィ解析を実行して、前記生ビット発生器から出力される信号のランダム性を検証することからなる、請求項1乃至6のいずれかに記載の乱数発生器。
  8. 光学ベースの自己検証乱数発生器(1400)であって、
    コヒーレント状態にある量子系を生成するように構成された状態発生器(1102)と、
    前記量子系を、6つのそれぞれ別個の量子系である第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の量子系に分割するように構成されたビームスプリッタであって、該6つの量子系のそれぞれが前記コヒーレント状態にある、ビームスプリッタ(1402)
    前記6つの量子系のそれぞれを互いに異なる偏光状態に射影して、6つの異なる偏光状態を生成するように構成された偏光フィルタ(1404−1409)
    記第1の量子系を減衰させるように構成された第1の減衰器(1412)と、
    記第2の量子系を減衰させるように構成された第2の減衰器(1414)と、
    前記6つの量子系のそれぞれを検出するように構成された6つのフォトダイオード(1416−1421)と、
    前記フォトダイオードのそれぞれから出力される信号であって、それぞれの出力信号が前記6つの異なる偏光状態のうちの1つの検出を表すところの信号を受信し、及び、2進数の乱数を出力するように構成されたシステムコントロール(1108)
    とを備える、自己検証乱数発生器。
  9. 前記状態発生器(1102)はさらにレーザダイオードを備える、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記6つのフォトダイオード(1416−1421)は、前記第1の量子系と前記第2の量子系をそれぞれ検出するように構成された2つのアバランシェフォトダイオード(1420、1421)と、前記第3、第4、第5、及び第6の量子系それぞれ検出するように構成された4つのPINフォトダイオード(1416−1419)をさらに備えることからなる、請求項8または9に記載のシステム。
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