JP5096457B2 - 光学ベースの自己検証量子乱数発生器 - Google Patents

光学ベースの自己検証量子乱数発生器 Download PDF

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Description

本発明は乱数発生器に関し、詳細には、量子光学系の特性を用いて乱数列を生成する方法及びシステムに関する。
乱数は、ほんの数例を挙げると、ゲームプレー、統計的サンプリング、積分方程式の計算、粒子輸送計算、統計物理学における計算を含む多数の分野において用途を有する。結果として、乱数を用いる方法及びシステムにおいて、乱数発生器(「RNG」)が重要な位置を占める。たとえば、RNGは、安全システムの重要な構成要素であり、暗号技術のための鍵を生成するために広く用いられる。理想的なRNGは、予め予測することができず、且つ確実に再現することができない数を生成する。言い換えると、RNGは理想的には、偏りのない乱数列を生成する。しかしながら、一般的に用いられる数多くのRNGは、見せかけの乱数列を生成するか、偏った数列を生成しがちであるかのいずれかである。
公式及び/又は数値演算による方法を用いて、見せかけの乱数列を生成するために、RNGはソフトウエアで実施されてきた。ソフトウエアベースのRNGは「擬似乱数発生器」と呼ばれる。なぜなら、同じ初期パラメータを用いると、公式によって擬似乱数列を予測し、再現できるようになるからである。再帰的レーマ擬似乱数発生器(「LPNG」)が、一般的に用いられる擬似乱数発生器の一例であり、以下の式によって与えられる。
n+1=Axn+C(mod M)
式中、xnは、乱数列のn番目の数であり、A、C及びMは、LPNGによって生成される数列がランダムに見えるのを確実にするために調整することができるパラメータである。典型的には、Mは擬似乱数列を計算するために用いられるコンピュータのワードサイズを割り当てられ、x0は、シードであり、素数を割り当てられる。たとえば、A、C及びMにそれぞれ値21、1及び32(5ビット)を割り当て、x0に素数13を割り当てると、LPNGは、13、18、27、24、25、14、7等の整数の擬似乱数列を生成する。代替的には、擬似乱数発生器が起動される度に、擬似乱数発生器に、コンピュータシステムクロックによって生成される時刻を供給してもよい。しかしながら、システムクロックによって与えられる時刻を用いる場合であっても、擬似乱数発生器が起動されたときの時刻を特定することができるため、絶対的に信頼できるものではない。
原子系、分子系及び電気系によって生成される熱雑音において観測されるカオスゆらぎから乱数列を生成するために、ハードウエアベースのRNGも開発されている。たとえば、電気導体の中に流れる電流によって熱雑音が生成され、それは、電圧平衡ゆらぎを測定することによって、乱数列の発生源として用いることができる。電圧が印加されても、されなくても、導体内の電子のランダム運動のために熱雑音が生じる。しかしながら、ハードウエアベースのRNGによって用いられる系は環境変化の影響を受けやすいため、ハードウエアベースのRNGは必ずしも乱数列の信頼性のある発生源であるとは限らない。たとえば、乱数列を生成するために用いられる、電気雑音ベースのRNGは、その系の温度を変更することによって偏ることがある。さらに、ハードウエアベースのRNGによって生成される数列のランダム性を検証するために典型的に用いられる方法は、ソフトウエアベースの決定論的方法であり、その方法は、その数列が統計的に良好に振舞うか否かを判定するために用いることができるが、その数列のランダム性を評価することができない。
「量子乱数発生器」(「QRNG」)と呼ばれる別のタイプのRNGは、量子系の量子力学的特性に基づく。QRNGは典型的には、同一の量子系において測定を実行することによって乱数を生成するために用いられる。各測定は、各量子系の状態を、測定が実行される時刻において取り得る数多くの状態のうちの1つに射影する。測定によって判定される状態は数に関連付けられる。このようにして生成される数は真にランダムである。なぜなら、量子力学の標準的な解釈によれば、測定方法及び測定システムをいくら改良しても、この不確定性を克服することはできないためである。結果として、QRNGは、乱数列を生成するのに極めて望ましいシステムである。
QRNGを実現するために、|0>及び|1>によって表される、2つの離散した状態のみを含む量子系を用いることができる。2状態量子系の例は、電磁界の任意の2つの光子状態又はエネルギー状態、電磁界の垂直偏光状態及び水平偏光状態、及び電子又は原子核の2つのスピン状態を含む。2つの離散した状態を有する量子系は「キュービット系」と呼ばれ、「キュービット基底状態」と呼ばれる状態|0>及び|1>は、集合表記において{|0>,|1>}として表すこともできる。キュービット系は、状態|0>や、状態|1>や、両方の状態|0>及び|1>を同時に含む無数の状態のうちの任意の状態で存在することができる。状態|0>及び/又は|1>を含むいずれの状態も、数学的には、状態の線形重ね合わせとして表すことができる。
|ψ>=α|0>+β|1>
式中、状態|ψ>は「キュービット」と呼ばれ、パラメータα及びβは以下の条件を満たす複素数値係数である。
|α|2+|β|2=1
|0>及び|1>が、状態|ψ>にあるキュービット系上について実行される測定によって決定される2つの取り得る状態であるとき、状態|0>にあるキュービット系を見つける確率は|α|2であり、状態|1>にあるキュービット系を見つける確率は|β|2である。測定は、基底{|0>,|1>}にあるキュービット系について実行されると言われる。
キュービット系に関連付けられる無数の状態は、「ブロッホ球」と呼ばれる、単位半径の3次元球によって幾何学的に表すことができる。
Figure 0005096457
式中、0≦θ<πであり、0≦φ<2πである。
図1はキュービット系のブロッホ球表現を示す。図1に示されるように、線101〜103はそれぞれ、直交するx、y及びzデカルト座標軸であり、ブロッホ球106が原点を中心にして位置する。ブロッホ球106上には無数の点があり、各点はキュービット系の1つの固有状態を表す。たとえば、ブロッホ球106上の点108はキュービット系の1つの固有状態を表しており、それは、部分的に状態|0>、及び部分的に状態|1>を同時に含む。しかしながら、キュービット系の状態が基底{|0>,|1>}において測定されると、キュービット系の状態は状態|0>110上に、又は状態|1>112上に射影される。
図2は、仮想的な単一偏光ビームスプリッタベースのQRNG200を示す。QRNG200は、偏光ビームスプリッタ202と、2つの光子検出器204及び206と、光子源208とを備える。ビームスプリッタ202は、2つのプリズム212と214との間に狭持される多層誘電体薄膜210を備える。ビームスプリッタ202は、1つの入力チャネル216と、2つの出力チャネル218及び220とを備える。チャネル216、218及び220は、光ファイバ又は自由空間のいずれかを表す。ビームスプリッタ202は、垂直偏光電磁放射を反射し、水平偏光電磁放射を透過する。光子源208は、以下のように、偏りがない、状態のコヒーレントな線形重ね合わせで表される電磁放射の単一光子を出力する。
Figure 0005096457
式中、|V>は光子の垂直偏光状態を表し、|H>は光子の水平偏光状態を表す。
垂直偏光状態|V>及び水平偏光状態|H>は、単一光子量子系の直交する基底状態である。光子検出器D1204又は光子検出器D2206のいずれかにおいて光子が検出されるまで、光子は状態|χ>のままである。状態|χ>の係数の二乗は、検出器D1204において光子を検出する確率が1/2であり、検出器D2206において光子を検出する確率が1/2であることを示す。結果として、いずれかの光子検出器における光子の検出はランダムな事象である。
QRNG200を用いて、2進数の乱数列を生成することができ、それを、nビットワードの乱数列に分割することができる。このnビットワードの乱数列を、様々な乱数の用途において用いることができる。たとえば、QRNG200を用いて、以下のように、0〜31の整数の乱数列を生成することができる。検出器D2206によって光子が検出されると、2進数「1」が2進数列に追加され、検出器D1204によって光子が検出されると、2進数「0」が同じ2進数列に追加される。状態|χ>を30回生成することによって、以下の2進数の乱数列が生成されるものと仮定する。
000110101011100101010111100100
2進数の乱数列を5ビットワードに分割して、2進法の乱数列00011、01010、11100、10101、01111及び00100を与えることができ、その後、それらを10進法の対応する整数の乱数列3、10、28、21、15及び4にそれぞれ変換することができる。
QRNG200は乱数列を生成する好都合の方法及びシステムを提供するように見えるが、QRNG200は、光子源208に手を加えることによって、擬似乱数列を生成する場合がある。たとえば、光子源208の制御権を有する敵対者は、光子源208を偏らせることによって、以下の状態によって表される光子を出力することができる。
Figure 0005096457
結果として、QRNG200は偏った2進数列を生成する。その場合に、2進数の約2/3が、「1」に等しく、2進数の約1/3が「0」に等しい。さらに、QRNG200のようなデバイスによって生成される数列のランダム性を検証するのに典型的に用いられる方法は、多くの場合に、ソフトウエアベースの決定論的方法であり、それは、上記のように真のRNGではないため、数列のランダム性を検証するのに信頼性がない。物理学者、暗号研究者、コンピュータ科学者及び量子情報使用者は、乱数列を確実に生成することができ、量子系の非決定論的な特性を利用する方法を用いて、乱数列内の偏りを検出し、検証し、補正することもできるQRNGの必要性を認識している。
本発明の様々な実施形態は、量子乱数発生器を用いて乱数を生成するための方法及びシステムを対象とする。本発明の一実施形態では、量子乱数発生器は、エンタングルした状態にある第1の光量子系及び第2の光量子系を生成する入力状態発生器と、第1の光量子系の状態及び第2の光量子系の状態を測定する検出器と、第1の光量子系の状態及び第2の光量子系の状態を測定することから得られた結果を評価し、その結果に関連する数を乱数列に付加するか否かを判定するシステムコントロールとを備える。その量子乱数発生器はさらに、入力状態発生器と検出器との間に配置され、第1の光量子系及び第2の光量子系について実行された先行する測定から得られた結果に基づいて、エンタングルした状態を保持するためにシステムコントロールによって動作を制御される状態コントローラも備えることができる。
本発明の様々な実施形態は、2進数の乱数列を生成するために用いることができる、光学ベースの(すなわち、光学技術を利用する)自己検証QRNGに関する。本発明の実施形態は、数列のランダム性を評価及び検証し、偏った2進数を除去するための量子力学に基づく方法を含む。本発明の実施形態は事実上数学的であり、このため、数多くの式及び数多くの図解表示を参照しながら以下に説明される。数式はそれのみで、量子光学及び量子情報の分野の当事者に対して、本発明の実施形態を完全に記述し、特徴付けるのに十分であるかもしれないが、様々な背景を有する読者が本発明を利用できるように、以下の説明に含まれる、より図式的で、問題に合わせた例及び制御フロー図の手法は、本発明の様々な実施形態を様々な異なる方法で示すことを意図している。また、読者が本発明の様々な実施形態の説明を理解するのを助けるために、物理学における関連するトピックスを概説するサブセクションが提供される。第1のサブセクションでは、量子力学の概説が提供される。第2のサブセクションでは、電磁放射及び量子光学の概説が提供される。第3のサブセクションでは、量子エンタングルメントの概説が提供される。第4のサブセクションでは、偏光状態及びストークスパラメータの概説が提供される。最後に、第5のサブセクションでは、本発明の様々なシステム及び方法の実施形態が記述される。
量子力学の概説
本発明の実施形態は量子力学の概念を利用する。Claude Cohen-Tannoudji、Bernard Diu及びFrank Laloeによる教本「Quantum Mechanics, Vol. I and II」(Hermann, Paris, France, 1977)は、量子力学の分野のための数多くの参考文献のうちの1つである。このサブセクションでは、本発明の実施形態に関係する量子力学のトピックスが記述される。さらに詳しい事柄は、上記で参照された教本から、又は量子力学に関連する他の多くの教本、論文及び雑誌記事から入手することができる。
量子力学は、光子、電子、原子及び分子を含む系の観測された挙動、原子及び亜原子のレベルをモデル化する。量子系は離散した状態において存在し、その状態は、離散的な測定可能な量によって特徴付けられる。量子系の状態はケットによって表され、|Ψ>で示される。ここで、Ψは量子系の状態を表すラベルである。たとえば、電子は2つの固有のスピン角運動量状態を有し、それらの状態は2つの測定可能なスピン角運動量値
Figure 0005096457
に対応する。ここで、
Figure 0005096457
は約1.0546×10-34Jsである。スピン角運動量値
Figure 0005096457
に対応するスピン状態は「スピンアップ」と呼ばれ、|↑>で表され、スピン角運動量値
Figure 0005096457
に対応するスピン状態は「スピンダウン」と呼ばれ、|↓>で表される。様々な異なるラベルを、様々な異なる量子状態に割り当てることができる。たとえば、スピンアップ状態|↑>はケット|1/2>、スピンダウン状態|↓>はケット|−1/2>によって表すこともできる。また、全く異なる量子系における異なる状態を表すために、ただ1つのラベルを用いることもできる。たとえば、ケット「|1>」は、二原子分子の第1の量子化された振動準位を表すことができ、以下のサブセクションにおいて説明されるように、単一光子を表すために用いることもできる。
電子のスピン角運動量のような、量子系の測定可能な量を求めるために用いられる測定は、演算子
Figure 0005096457
によって表される。ここで、符号「^」は演算子を表す。一般的に、演算子は、以下のように、左からケットに作用する。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は観測された量子状態を表すケットである。典型的には、演算子
Figure 0005096457
は「固有状態」と呼ばれる1組の状態に関連付けられる。固有状態は、|ψi>として表され、以下の特性を有する。
Figure 0005096457
式中、iは負でない整数であり、ψiは「固有値」と呼ばれる実数値であり、量子系が固有状態|ψi>にあるときに観測される離散した測定可能な量に対応する。たとえば、z軸に平行な電子のスピン角運動量を求めるために用いられる測定は、
Figure 0005096457
によって表され、観測されるスピン角運動量値の固有値−固有状態表現は以下のとおりである。
Figure 0005096457
演算子の固有状態は、「状態空間」と呼ばれる複素ベクトル空間に張る複素ベクトルである。状態空間に属するあらゆる状態が基底に関する固有の線形重ね合わせを有する場合には、固有状態はベクトル空間の基底を構成する。たとえば、演算子
Figure 0005096457
のN個の固有状態{|ψi>}で張られる状態空間内の状態|Ψ>は、以下のように、固有状態の線形重ね合わせとして書くことができる。
Figure 0005096457
式中、ciは「振幅」と呼ばれる複素数値係数である。演算子に関連付けられる状態空間は、「ヒルベルト空間」とも呼ばれる。ヒルベルト空間は、「内積」と呼ばれる数学演算を含む。2つの状態|Ψ>及び|Ξ>の内積は以下のように表される。
<Ξ|Ψ>
式中、<Ξ|は「ブラ」と呼ばれ、状態|Ξ>の複素共役転置を表す。内積は以下の特性を有する。
<Ξ|Ψ>=<Ξ|Ψ>*
式中、「*」は複素共役を表す。ヒルベルト空間の基底固有状態は正規直交であり、すなわち数学的な表記では、以下のようになる。
<ψi|ψj>=δij
式中、δijは、iがjに等しいときに1であり、そうでない場合には0である。たとえば、単一電子ヒルベルト空間の固有状態の内積は以下のようになる。
<↑|↑>=<↓|↓>=1、及び
<↑|↓>=<↓|↑>=0
ヒルベルト空間の固有状態の正規直交性を用いて、状態|Ψ>の線形重ね合わせの係数を求めることができる。|Ψ>と<ψj|との内積をとることによって、次にように対応する係数が与えられる。
Figure 0005096457
この係数を線形重ね合わせに代入すると、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
|Ψ>はヒルベルト空間内の任意のケットであるため、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は恒等演算子である。その総和は「完全性関係」と呼ばれ、固有状態{|ψi>}は「完全である」と言われる。
演算子の固有状態は正規直交列ベクトルによって表すことができ、その演算子は正方行列によって表すことができる。たとえば、演算子
Figure 0005096457
に関連付けられる単一電子ヒルベルト空間の固有状態は、以下の列ベクトルによって表される。
Figure 0005096457
式中、記号「B」は「〜によって表される」を表す。固有状態の転置複素共役は以下の行ベクトルによって表される。
Figure 0005096457
完全性関係を用いると、基底{|ψi>}に対する演算子
Figure 0005096457
は以下の式によって表すこともできる。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は行列要素である。基底{|ψi>}に対する演算子
Figure 0005096457
に対応する行列は以下のように表すことができる。
Figure 0005096457
Figure 0005096457
に等しい演算子
Figure 0005096457
の行列表現は、対角要素以外は0を有し、対角要素は固有値{ψi}である。たとえば、電子スピンz軸演算子を以下の式によって与えることができる。
Figure 0005096457
ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
電子スピン演算子
Figure 0005096457
の行列表現は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
Figure 0005096457
である場合には、演算子
Figure 0005096457
は「エルミート演算子」と呼ばれる。
対応する行列要素は以下の条件を満たす。
Figure 0005096457
演算子
Figure 0005096457
に対応する測定の前に、量子系は、演算子
Figure 0005096457
の全ての固有状態{|ψi>}に同時に存在すると考えることができ、それは、次のように状態の(純粋状態)線形重ね合わせによって表される。
Figure 0005096457
演算子
Figure 0005096457
に対応する測定は、最初に状態|Ψ>にある量子系を固有状態|ψi>のうちの1つに射影する。言い換えると、量子系に関する測定は基本的にはフィルタリング処理であり、この処理によって、測定の時刻に、量子系の状態が、線形重ね合わせの固有状態のうちの1つになる。たとえば、演算子
Figure 0005096457
に対応する測定の前に未知のスピン配向を有する電子は、状態の線形重ね合わせで次のように表される。
Figure 0005096457
スピン判定測定
Figure 0005096457
は、測定の時刻において、電子の状態を状態|↑>又は状態|↓>のいずれかに射影する。言い換えると、スピン判定測定直後に、電子は状態|↑>又は状態|↓>のいずれかにある。
測定の結果として、量子系の状態に相応の不可逆的変化が生じる。不可逆性は、測定が実行される前に、量子系が既に量子状態のうちの1つにあるときにのみ避けることができる。結果として、ただ一度の測定の結果に基づいて、量子系の以前の状態を推測ことはできない。たとえば、スピン測定の結果が
Figure 0005096457
である場合には、測定の時刻において、その系が既に状態|↑>にあったか、スピン状態|↑>と|↓>の線形重ね合わせの状態にあったかを判定することはできない。
量子系の状態が様々な状態|ψi>のうちのいずれに射影されることになるかを予め知ることはできないが、測定の直後に量子系が特定の状態|ψi>において見いだされる確率は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
式中、|Ψ>は正規化されており、|ci2はci *iに等しく、結果の確率を与える。たとえば、スピン基底{|↑>,|↓>}におけるスピン判定測定の前に、スピン状態|↑>において見いだされる確率が1/2であり、スピン状態|↓>において見いだされる確率が1/2である、コヒーレントに準備された電子を考える。スピン判定測定前のそのようなスピン状態にある電子に関連付けられる状態は、以下の式によって表すことができる。
Figure 0005096457
状態|Ψ>の線形重ね合わせによって表される量子系に対して実行される測定の期待値は数学的に以下の式によって表され、
Figure 0005096457
これは、以下のように完全性関係を適用することによって求められる。
Figure 0005096457
この期待値は、集合内の量子系についての測定から予想される、重み付けされた固有値平均結果を表す。ここで、量子系の初期状態|Ψ>は、集合の各メンバについて同じである。言い換えると、各量子系を表す状態の線形重ね合わせは、測定前には同じである。実際には、そのような集合は、全てが同じ状態にある数多くの同一の独立した量子系を準備することによって、又は同じ状態にある単一の系を繰返し準備することによって実現することができる。期待値は、各測定で得られる値ではないことがあり、それゆえ、測定から得られる固有値と混同されるべきでないことに留意されたい。たとえば、
Figure 0005096457
の期待値は固有値
Figure 0005096457
の間の任意の実数値でありうるが、電子に関する
Figure 0005096457
の実際に測定された値は、個々の測定において常に
Figure 0005096457
のいずれかである。
状態|Ψ>にある単一の量子系の期待値は、以下の式によって定義される密度演算子を用いて記述することもできる。
Figure 0005096457
式中、状態|Ψ>は「純粋状態」とも呼ばれ、以下に記述される状態の統計的混合とは区別される。密度演算子は、{|ψi>}基底において、「密度行列」と呼ばれる行列によって表され、その行列の行列要素は以下のとおりである。
Figure 0005096457
密度演算子は、量子系の状態を特徴付ける。言い換えると、密度演算子は、状態|Ψ>から計算することができる全ての物理的な情報を提供する。たとえば、密度行列の対角行列要素の和は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
式中、Trは行列の固有和、すなわち対角要素の和である。たとえば、純粋状態にある2状態量子系
Figure 0005096457
の密度行列は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
式中、対角要素は、量子系を|ψ1>又は|ψ2>のいずれかに射影することに関連する確率であり、対角以外の要素は、状態|ψ1>と|ψ2>との間の干渉効果を表す。さらに、状態|Ψ>にある量子系の期待値は、以下のように表すことができる。
Figure 0005096457
しかしながら、量子系についての情報が不完全である状況も珍しくない。たとえば、量子系が、各々が関連する確率p1、p2、p3、...を有する状態|Ψ1>、|Ψ2>、|Ψ3>、...のいずれか1つの状態をとることができ、この場合、それらの確率は以下の条件を満たす。
Figure 0005096457
この量子系は、「状態の統計的混合」において存在すると言われる。状態の統計的混合の密度演算子は、以下のように求めることができる。上記のように、純粋状態|Ψi>にある量子系についての観測可能な
Figure 0005096457
の測定が結果ψnをもたらす確率は以下のとおりである。
Figure 0005096457
しかしながら、状態の統計的混合にあるψnを観測する確率Pri(ψn)を、piによって重み付けし、iにわたって加算すると、以下の式が得られる。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は、状態の統計的混合に関連する密度演算子である。関連する密度行列の要素は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
密度行列の物理的な意味はを、状態の混合を含む2状態量子系について次のように記述される。
Figure 0005096457
対応する密度行列は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
対角行列要素は、量子系の状態が|Ψi>であるときに、対角行列要素ρ11が、状態|ψ1>にある量子系を見つける平均確率を表し、対角行列要素ρ22が、状態|ψ2>にある量子系を見つける平均確率を表すことを意味するものと解釈することができる。同一の条件下で同じ測定がN回実行されるときには、状態|ψ1>においてNρ11が見つけられることになり、状態|ψ2>においてNρ22が見つけられることになる。対角以外の要素ρ12及びρ21は、状態|ψ1>と|ψ2>との間の平均干渉効果を表す。対角行列要素とは異なり、対角以外の行列要素は、積
Figure 0005096457
がいずれも0でない場合であっても、0になりえるが、これは、N回の測定にわたる平均が、状態|ψ1>と|ψ2>の干渉効果を相殺していることを意味することに留意されたい。
テンソル積は、異なる量子系のヒルベルト空間を合成して、合成された量子系を表すヒルベルト空間を形成する1つの方法である。たとえば、HΨが第1の量子系のヒルベルト空間であり、HΞが第2の量子系のヒルベルト空間である。
Figure 0005096457
によって表されるヒルベルト空間は、合成されたヒルベルト空間を表す。ここで、記号
Figure 0005096457
はテンソル積を表す。演算子
Figure 0005096457
はヒルベルト空間HΨに対応し、演算子
Figure 0005096457
はヒルベルト空間HΞに対応し、それぞれ、以下のように、対応する固有状態についてのみ作用する。
Figure 0005096457
式中、|ψ>はヒルベルト空間HΨの状態を表し、|ξ>はヒルベルト空間HΞの状態を表す。テンソル積
Figure 0005096457
は、|ψ>|ξ>、|ψ,ξ>、又は|ψξ>として短縮して書くことができる。たとえば、原子軌道内にある2つの電子のスピン状態は、合成ヒルベルト空間の基底である。2つの電子は、いずれもスピンアップであるか、いずれもスピンダウンであるか、第1の電子がスピンアップであり、第2の電子がスピンダウンであるか、又は第1の電子がスピンダウンであり、第2の電子がスピンアップであるかのいずれかであり得る。2つのスピンアップ電子の様々なテンソル積表現は、以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
式中、下付き文字1は第1の電子、下付き文字2は第2の電子を指す。
量子力学では、連続する固有値スペクトルを有する測定可能な量もある。対応するヒルベルト空間の次元数は無限であり、離散した量子系に関して上述した特性の多くは、連続する量子系の場合に一般化することができる。連続固有値方程式は以下のとおりである。
Figure 0005096457
式中、ζは連続固有値を表し、ケット|ζ>は演算子
Figure 0005096457
の連続固有状態である。たとえば、1次元における非拘束粒子の場合、位置q及び運動量pはいずれも、それぞれ位置演算子
Figure 0005096457
及び運動量演算子
Figure 0005096457
の連続固有値であり、−∞〜∞の任意の実数値をとることができる。
連続変数ζの特性は、以下のように一般化することができる。
Figure 0005096457
式中、δ(ζ−ζ’)はデルタ関数であり、以下のような多数の極限表現を有する。
Figure 0005096457
任意の物理状態の状態ケットは、以下のように状態{|ζ>}に関して拡張することができる。
Figure 0005096457
たとえば、粒子の経路内に、その粒子が位置qにあるときに、粒子の位置を出力する検出器を配置するものとする。最初に状態|α>にあった系は、測定が行なわれた直後に、スピン検出測定が実行されるときに任意の電子スピン状態が2つのスピン状態のうちの一方に射影されるのと概ね同じように、|q>によって表される状態に射影される。連続変数ζの他の特性は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
運動量演算子
Figure 0005096457
は微分演算子
Figure 0005096457
によって表すこともできる。結果として、位置演算子及び運動量演算子はいずれも、次の正準交換関係を満たす。
Figure 0005096457
式中、i及びjはx、y、zデカルト座標のような直交座標を表し、交換子は[A,B]=AB−BAと定義される。
電磁放射及び量子光学の概説
このサブセクションでは、本発明の実施形態に関係する電磁放射及び量子光学の簡単な説明が記述される。教本、M. O. Scully及びM. S. Zubairy著「Quantum Optics」(Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom, 1997))ならびにR. Loudon著「The Quantum Theory of Light (3rd Edition)」(Oxford University Press, New York, 2000)は、量子光学の数多くの参考文献のうちの2つである。さらに詳しい事柄は、これらの教本から、又はこの分野における数多くの他の教本、論文及び雑誌記事から入手することができる。
量子光学は、電磁放射への量子力学の適用に関係する物理学の一分野である。完全反射性の壁を有する空洞に閉じ込められた電磁放射が量子化される。量子化された電磁放射を、自由空間内又は光ファイバ内を伝搬する電磁放射のような、より一般的な閉じ込められない光学系に適用することができる。
自由電荷も電流も有しない空洞に閉じ込められた電磁放射は、電界成分
Figure 0005096457
及び磁界成分
Figure 0005096457
を含み、それらの成分は、波動方程式
Figure 0005096457
及び非相対論的クーロンゲージ条件
Figure 0005096457
を満たすベクトルポテンシャル
Figure 0005096457
で関連付けられる。ここで、電界成分及び磁界成分は以下の式によって求められる。
Figure 0005096457
電磁放射は、伝搬していると仮定され、完全反射性の壁を有する、立方体空洞、すなわち量子化空洞によって課せられる周期的境界条件にかけられる。ここで、この壁は長さLを有する。図3は、立方体空洞300を示す。直交する軸302、304及び306はx、y及びzデカルト座標軸を表す。限られた寸法の立方体空洞300は、波動方程式の解に周期的境界条件を課す。たとえば、x、y及びz方向において、ベクトルポテンシャル波動方程式の平面波解は条件
Figure 0005096457
を満たす。式中、
Figure 0005096457
はベクトル(L,L,L)であり、
Figure 0005096457
は「波数ベクトル」と呼ばれ、以下の成分を有する。
Figure 0005096457
式中、mx、my及びmzは整数である。各整数組(mx,my,mz)は電磁放射のノーマルモードを規定し、波数ベクトル
Figure 0005096457
の大きさkはωk/cに等しい。ここで、cは自由空間内の光の速さを表し、ωkは角周波数である。現実には、電磁界のノーマルモードのスペクトルは実際には連続であり、波数ベクトル
Figure 0005096457
によって示唆されるノーマルモードの離散スペクトルは、連続スペクトルに対する近似であることに留意されたい。
周期的境界条件を満たす上記の波動方程式に対する伝搬するベクトルポテンシャル解は以下のとおりである。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は電磁放射の複素振幅であり、
Figure 0005096457
は2単位長偏光ベクトルを表し、
x、my、mz=0、±1、±2、±3、...
である。
Figure 0005096457
にわたる和は整数(mx,my,mz)にわたる和を表し、sにわたる和は、各
Figure 0005096457
に関連する2つの独立した偏光にわたる和である。2つの偏光ベクトルは以下の式によって示されるように直交する。
Figure 0005096457
両者の偏光方向がsの場合に、上記で与えられたゲージ条件から、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
2つの偏光ベクトル
Figure 0005096457
は、以下の式によって与えられる正規化された波数ベクトルを用いる右手座標系を形成する。
Figure 0005096457
図4は、基底ベクトルとして2つの独立した偏光ベクトル
Figure 0005096457
と、正規化された波数ベクトル
Figure 0005096457
とを用いる3次元右手座標系を示す。図4において、波数ベクトル
Figure 0005096457
及び偏光ベクトル
Figure 0005096457
はそれぞれ、線408、410及び412によって表される座標軸を有する座標系の3つの直交する単位長基底ベクトルである。
ベクトルポテンシャルの伝搬する電界成分及び磁界成分は以下のとおりである。
Figure 0005096457
電界
Figure 0005096457
及び磁界
Figure 0005096457
はいずれも、電界及び磁界の「古典的」表現と呼ばれる伝搬波解であり、互いに直交し、いずれも波数ベクトル
Figure 0005096457
に直交する。
図5は、図4に示される右手座標系における電磁放射の電界成分及び磁界成分を示す。電磁放射は、波数ベクトル
Figure 0005096457
軸に沿って向けられる。電界成分
Figure 0005096457
と磁界成分
Figure 0005096457
はそれぞれ直交する偏光ベクトル
Figure 0005096457
と、
Figure 0005096457
に沿って向けられ、特定の時刻tにおいて凍結されるように見える。
電磁放射のエネルギーは、以下のハミルトニアンを数値計算することによって求めることができる。
Figure 0005096457
式中、ε0は自由空間の誘電率であり、μ0は自由空間の透磁率であり、Vは空洞の体積である。誘電率ε0は、電界の影響下で、真空空間が電気的ポテンシャルエネルギーを蓄えることができる度合いを表し、透磁率μ0は、真空が磁束を変更する度合いを表す。非導電性媒体では、誘電率はさらにεを乗算され、それは、媒体が電気的ポテンシャルエネルギーの蓄積を増す度合いであり、また透磁率はさらにμを乗算され、それは、媒体が磁束をさらに増す度合いである。
電界成分
Figure 0005096457
及び磁界成分
Figure 0005096457
を量子化するために、位置
Figure 0005096457
及び運動量
Figure 0005096457
の正準変数が、以下の式を設定することによって、ハミルトニアンに導入される。
Figure 0005096457
結果として、電磁放射に関するハミルトニアンは以下のようになる。
Figure 0005096457
ハミルトニアン内の各項は、振動モード
Figure 0005096457
を有する調和振動子のエネルギーである。式中、項
Figure 0005096457
は運動エネルギーであり、項
Figure 0005096457
は単位質量を有する調和振動子のポテンシャルエネルギーである。ハミルトニアンは、位置変数
Figure 0005096457
を量子力学的位置演算子
Figure 0005096457
で、運動量変数
Figure 0005096457
を量子力学的運動量演算子
Figure 0005096457
で、それぞれ置き換えることによって量子化され、以下の量子ハミルトニアン演算子が与えられる。
Figure 0005096457
消滅演算子及び生成演算子が以下の式によって定義され、
Figure 0005096457
量子ハミルトニアン演算子に消滅演算子及び生成演算子を代入することによって、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は「個数演算子」と呼ばれ、
Figure 0005096457
によっても表される。位置演算子及び運動量演算子に関して正準交換関係を用いると、消滅演算子及び生成演算子は、以下の式によって与えられる交換関係を満たす。
Figure 0005096457
電磁放射が量子化されると、振幅
Figure 0005096457
は演算子
Figure 0005096457
になり、これを上記の古典的な電界方程式及び磁界方程式に代入して、下記の電界演算子及び磁界演算子を得ることができる。
Figure 0005096457
電界演算子及び磁界演算子はいずれもエルミート演算子であり、測定可能な電界及び磁界を表す。
磁界の大きさは1/c倍だけ電界よりも小さいため、電界が、帯電した物質との相互作用の大部分の原因となる。結果として、一般的には電界のみを用いて、電磁放射の挙動及び帯電した物質との任意の相互作用が特徴付けられ、磁界成分は無視することができる。
量子計算及び量子情報処理システムは、電磁放射の単一モード
Figure 0005096457
を用いて動作することができる。結果として、電磁放射の単一モードに関するハミルトニアン演算子は、以下の式に変換される。
Figure 0005096457
式中、上記のハミルトニアン内のモード依存演算子
Figure 0005096457
の代わりに、
Figure 0005096457
が用いられる。単一モードハミルトニアンの固有状態及び対応するエネルギー固有値は以下のとおりである。
Figure 0005096457
式中、|n>は「個数状態」と呼ばれ、nは、「光子数」と呼ばれる負でない整数であり、Enはエネルギー固有値である。
消滅演算子及び生成演算子は、以下のように、個数状態に対して作用する。
Figure 0005096457
式中、
Figure 0005096457
は演算子
Figure 0005096457
を表し、「個数演算子」と呼ばれる。個数状態は、個数状態に消滅演算子及び生成演算子を繰返し適用することによって生成することができる。たとえば、個数状態に消滅演算子を繰返し適用することによって、以下のように光子数が減少する。
Figure 0005096457
式中、|0>は「真空状態」と呼ばれ、電磁放射の最も低いエネルギー状態を表す。真空状態で開始し、生成演算子を繰返し適用することによって、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
個数状態は直交し、以下の式によって表される完全集合を形成する。
Figure 0005096457
一般的に、個数状態|n>に関連付けられるエネルギー固有値方程式は以下のとおりである。
Figure 0005096457
エネルギー固有値方程式に消滅演算子及び生成演算子を適用することによって、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
これは、電磁放射のエネルギー準位がエネルギー量子
Figure 0005096457
だけ離隔して等間隔に配置されることを示している。言い換えると、電磁放射の励起は、「光子」と呼ばれるエネルギーの離散した量
Figure 0005096457
において生じる。光子数nは、電磁放射を含む光子
Figure 0005096457
の数を指す。
図6は、量子化された電磁放射のエネルギー準位図である。水平線602のような水平線は、電磁放射のエネルギー準位を表す。エネルギー準位604は最も低いエネルギー準位であり、真空状態|0>に対応する。真空状態のエネルギーは、
Figure 0005096457
、すなわち単一光子のエネルギーの1/2である。電磁放射のエネルギー準位が高くなるのに応じて、それぞれ同じエネルギー量子
Figure 0005096457
だけ分離される。たとえば、エネルギー準位606は、
Figure 0005096457
の全電磁エネルギーを有する電磁放射を表し、それは、2つの光子のエネルギーに、真空状態エネルギー
Figure 0005096457
を加えたエネルギーと見なすことができる。消滅演算子は、電磁放射からの1つの光子の除去に対応し、生成演算子は、電磁放射への1つの光子の追加に対応する。たとえば、消滅演算子
Figure 0005096457
は状態|n>602から低いエネルギー状態|n−1>608への電磁放射遷移610を表す。遷移610は、周囲に1つの光子を引き渡すことによって達成される。対照的に、生成演算子
Figure 0005096457
は、状態|n>602から高いエネルギー状態|n+1>612への電磁放射遷移614を表す。遷移614は、周囲から1つの光子を受け取ることによって達成される。典型的には、周囲は、原子、量子ドット、又は双極子相互作用を通じて場に結合する任意の他の系であり得ることに留意されたい。光子の損失又は吸収は、周囲の系が同時に励起することを伴うことになり、光子の生成又は放射は、周囲の系がそれに応じて脱励起することを伴うことになる。
光子は光子源によって生成され、自由空間を通じて、又は光ファイバ内で伝送することができる。光子源は、単一のパルスを生成するか、又は、各パルスが、波長や方向などの光学特性が全ての光子について同じである1つ又は複数の光子を含むパルス列を生成する、パルス式レーザとすることができる。同じ光学特性を有する光子は「コヒーレント」と呼ばれる。しかしながら、光子源、検出器、及び検出器から光子源を分離する光ファイバのような媒体は光共振器を画定しない。光子源及び検出器は、光エネルギーの著しい反射又は循環を生じない、光エネルギーの連続する一方向への流れを構成する部品である。自由空間又は光ファイバを通じて伝送されるパルスは波束によって記述され、波束は、以下の式によって与えられる時間依存性のガウス形関数によって表すことができる。
Figure 0005096457
式中、ω0はパルススペクトルの中心周波数であり、tは時刻であり、t0は、波束のピークが光子源からの距離z0に位置する時刻であり、Δ2は、強度スペクトルの分散である。時刻t0は、z0/vによって求めることができる。ここで、vは自由空間を通じて、又は光ファイバ内を進行するパルスの速度である。
波束ξ(t)はパルスの振幅であり、|ξ(t)|2はパルスの光検出確率密度関数であり、光検出確率密度関数|ξ(t)|2は、次の正規化条件を満たす。
Figure 0005096457
光子源からの距離z0において時間間隔(t1,t2)内で1つの光子の光検出の確率は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
図7は、光子源702から出力され、光ファイバ704内を検出器706まで伝送されるパルスに関連する確率分布を示す。水平線708は、光子源702から検出器706まで光子が進行する距離z0を表し、水平線710は時間軸である。曲線712は、光検出確率密度関数|ξ(t)|2を表す。図7では、光検出確率密度関数|ξ(t)|2712は、時刻t0に中心があり、それは、パルスが距離z0を進行するのにかかる時間に対応する。曲線712の下の面積は、特定の時間期間内にパルスを検出する確率を表す。たとえば、斜線の領域714は、時間期間t1<t0<t2内に光子を検出する確率を表す。時間期間716は「時間ビン」と呼ばれ、光子が検出器706において検出される時間期間に対応する。
時間依存生成演算子を用いて、以下のように、光子波束生成演算子を生成することができる。
Figure 0005096457
生成演算子を用いて、以下のように、自由空間を通じて、又は光ファイバ内を伝送される光子を表す連続モード個数状態を構成することができる。
Figure 0005096457
式中、|0>は連続モード真空状態である。連続モード個数状態は、以下の同じ条件を満たす。
Figure 0005096457
結果として、連続モード個数状態を特定するために用いられる下付き文字ξは取り去ることができる。波束で構成される光子はいかなるハミルトニアンの固有状態でもないことに留意されたい。
量子エンタングルメントの概説
第1のサブ量子系及び第2のサブ量子系を含む量子系はヒルベルト空間
Figure 0005096457
を有する。ここで、HAは第1の量子系に関連付けられるヒルベルト空間であり、HBは第2の量子系に関連付けられるヒルベルト空間である。ケット|i>Aは、ヒルベルト空間HAの正規直交固有状態を表し、ケット|j>Bは、ヒルベルト空間HBの正規直交固有状態を表す。ここで、i及びjは正の整数である。ヒルベルト空間
Figure 0005096457
における状態の任意の線形重ね合わせは以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
式中、振幅cijは以下の条件を満たす複素数である。
Figure 0005096457
状態|Ψ>ABの特殊な種類の線形重ね合わせは「直積状態」と呼ばれ、積
Figure 0005096457
によって表される。式中、|ψ>Aは、ヒルベルト空間HAにおける状態の正規化された線形重ね合わせであり、|ψ>Bは、ヒルベルト空間HBにおける状態の正規化された線形重ね合わせである。たとえば、2つのキュービット系を含む合成されたキュービット系の状態は、以下のように、キュービットの積によって表される。
Figure 0005096457
ここで、第1のキュービット系の状態は以下のとおりである。
Figure 0005096457
また第2のキュービット系の状態は以下のとおりである。
Figure 0005096457
状態|ψ>12は、状態の線形重ね合わせとして次のように書くこともできる。
Figure 0005096457
式中、項|0>1|0>2、|0>1|1>2、|1>1|0>2及び|1>1|1>2は積状態である。状態|ψ>12にある各積状態は、関連する係数1/2を有し、それは、第1のキュービット系の状態が基底{|0>1,|1>1}において測定され、第2のキュービット系の状態が基底{|0>2,|1>2}において測定されるとき、積状態のいずれか1つにおいて、合成されたキュービット系が見いだされる確率が1/4であることを示す。たとえば、第1のキュービット系の状態が基底{|0>1,|1>1}において測定され、第2のキュービット系の状態が基底{|0>2,|1>2}において測定されるとき、合成されたキュービット系の状態が積状態|1>1|1>2に射影される確率は、1/4(|1/2|2)である。
しかしながら、積状態として書くことができないヒルベルト空間
Figure 0005096457
における他の線形重ね合わせはエンタングルした状態である。一般的に、2つ以上のサブ量子系を含むヒルベルト空間の場合、エンタングルした状態は、直積状態として書くことができない、状態の線形重ね合わせである。たとえば、エンタングルした2キュービット系のエンタングルした状態表現は以下のように書くことができる。
Figure 0005096457
エンタングルした状態|φ>12は、パラメータα1、β1、α2及びβ2をどのように選択しても、キュービットα1|0>1+β1|1>1及びα2|0>2+β2|1>2の積に分解することはできない。
以下のように、エンタングルしていない2キュービット系の状態は、エンタングルした2キュービット系の状態と区別することができる。エンタングルしていない状態|ψ>12にある、エンタングルしていない2キュービット系について考える。基底{|0>1,|1>1}にある第1のキュービット系について実行される第1の測定が、第1のキュービット系の状態を状態|0>1に射影するものと仮定する。状態|ψ>12によると、測定直後のエンタングルしていない2キュービット系の状態は、状態
Figure 0005096457
の線形重ね合わせである。同一の基準座標系における第1の測定の直後に、基底{|0>2,|1>2}にある第2のキュービット系について第2の測定が実行されるとき、第2のキュービット系の状態が状態|0>2上に射影される確率は1/2であり、第2のキュービット系の状態が状態|1>2上に射影される確率は1/2である。言い換えると、第2のキュービット系の状態は第1のキュービット系の状態とは相関がない。対照的に、エンタングルした状態|φ>12にあるエンタングルした2キュービット系について考える。基底{|0>1,|1>1}にある第1のキュービット系について実行される第1の測定が、同じく、第1のキュービット系の状態を状態|0>1に射影するものと仮定する。エンタングルした状態|φ>12によると、第1の測定後のエンタングルした2キュービット系の状態は、積状態|0>1|1>2である。基底{|0>2,|1>2}にある第2のキュービット系について第2の測定が実行されるとき、第2のキュービット系の状態は確かに|1>2である。言い換えると、エンタングルした状態|φ>12にある第1のキュービット系の状態と第2のキュービット系の状態とには相関がある。
偏光状態及びストークスパラメータ
このサブセクションでは、電磁放射の偏光状態が説明される。図5を参照して上述したように、電磁放射は、伝搬するTEM波(transverse electromagnetic wave:横電磁波)として取り扱うことができる。各電磁波は、電界成分
Figure 0005096457
及び磁界成分
Figure 0005096457
を含む。しかしながら、電界が、帯電した物質との相互作用の大部分の原因となり、磁界の大きさは1/c倍だけ電界よりも小さいため、電磁波を表すために、電界成分のみを用いることができる。図5に示されるように、電磁界の振動する電界成分
Figure 0005096457
及び関連する波数ベクトル
Figure 0005096457
がいずれも振動面内に存在するときには、その電磁界は「直線偏光している」と言われる。多数のランダムに偏光した電磁波を含む電磁放射を1つ又は複数の偏光子の中に通すことによって、一定の偏光状態を作り出すことができる。各偏光子は、偏光子の偏光軸に沿った電界成分を有する電磁波のみを透過するデバイスである。
任意の2つの直交する直線偏光状態を用いて、{|H>,|V>}によって表される、偏光基底を定義することができる。第1の偏光状態|H>は、「水平偏光」と呼ばれる、第1の方向に偏光された電磁波を表し、第2の偏光状態|V>は、「垂直偏光」と呼ばれる、第1の方向と直交する第2の方向に偏光された電磁波を表す。偏光基底状態は、以下の条件を満たす。
Figure 0005096457
図8A及び図8Bは、偏光基底状態|H>及び|V>のプロットを示す。図8A及び図8Bでは、図8Aにおける互いに垂直な軸801〜803のような互いに垂直な軸は、それぞれ、x、y及びzデカルト座標軸を表す。図8Aは、yz平面内に存在する電界
Figure 0005096457
の垂直偏光状態|V>を示す。矢印806は、電界
Figure 0005096457
が観測面808に向かって伝搬する方向を表す。観測面808から、波がz軸に沿って一波長λだけ伝搬するのに応じて、電界
Figure 0005096457
が1つの完全な振動サイクルだけ進行することを観測することができる。振動サイクルは、双方向矢印810によって表される。図8Bは、xz平面内に存在する電界
Figure 0005096457
の水平偏光状態|H>を示す。関連する水平振動サイクルは、観測面808内の双方向矢印816によって表される。
偏光基底{|H>,|V>}を用いて、|χ>によって表される無数の偏光状態を構成することもできる。これらの偏光状態は|H>及び|V>の両方を同時に含み、数学的には、状態のコヒーレントな線形重ね合わせとして次のように表すことができる。
Figure 0005096457
式中、0≦θ<π及び0≦φ<2πである。電磁波の無数の偏光状態は、幾何学的には、3次元ブロッホ球によって表すことができ、この場合には、「ポアンカレ球」とも呼ばれる。
図9は、偏光状態のポアンカレ球表現を示す。図9に示されるように、線901〜903はそれぞれ直交する座標軸であり、ポアンカレ球904の中心がその原点に位置する。ポアンカレ球904上には無数の点があり、各点は電磁波の固有の純粋偏光状態|χ>を表す。たとえば、ポアンカレ球904上の点905は、部分的に状態|H>、部分的に状態|V>を同時に含む偏光状態|χ>を表す。6つの点906〜911は、ポアンカレ球904と座標軸901〜903との間の交点を特定する。点906及び907はそれぞれ偏光基底状態|H>及び|V>を特定し、点908〜点911はそれぞれ以下の直交する偏光状態を表す。
Figure 0005096457
図10A〜図10Dはそれぞれ、4つの偏光状態、|45°>、|−45°>、|R>及び|L>のプロットを示す。図10Aは、水平なxz平面に対して45°だけ傾けられた振動面1002内に存在する45°偏光状態|45°>を示す。偏光状態|45°>の振動サイクルは、双方向矢印1004によって表される。図10Bは、水平なxz平面に対して−45°だけ傾けられた振動面1006内に存在する−45°偏光状態|−45°>を示す。偏光状態|−45°>の振動サイクルは、双方向矢印1008によって表される。図10Cは、図8A及び図8Bに示される、垂直偏光電界804及び水平偏光電界812を含み、−π/2の相対的な位相差を有する、右円偏光状態|R>を示す。この結果は、2つの直交する双方向矢印1010及び1012によって表される振動サイクルであり、それらの矢印は、電界804及び812がz軸に沿って伝達されるのに応じて、観測面808内で時計回りに回転する。図10Dは、同じく垂直偏光電界804及び水平偏光電界812を含むが、π/2の相対的な位相差を有する左円偏光状態を示す。左偏光状態の振動サイクルは、2つの直交する双方向矢印1014及び1016によって表され、それらの矢印は観測面808内で反時計回りに回転する。
任意の偏光状態は、電磁放射の強度のみの関数である、「ストークスパラメータ」と呼ばれる、4つの量の線形結合によって表すことができる。ストークスパラメータは、電磁放射の偏光状態を表すのに都合の良い方法である。なぜなら、電磁放射測定は典型的には、強度のみを決定することができ、偏光状態を決定することができないためである。ストークスパラメータは、それぞれが任意の入射電磁放射のうちの50%を透過し、残りの50%を除去する4個1組のフィルタを考えることによって、その作用を定義することができる。第1のフィルタは、電磁放射の全ての偏光状態を透過するものと仮定される。第2のフィルタ及び第3のフィルタは直線偏光子であり、それぞれ、水平偏光の放射のみ、及び水平に対して45°に偏光された放射のみを透過する。第4の偏光子は、右円偏光の電磁放射だけを透過する。これら4つのフィルタはそれぞれ、電磁放射のビームの経路内に配置される。フィルタの選択は、ただ1つに限定されないことに留意されたい。数多くの等価な偏光が存在する。強度は検出器によってカウントされる光子の数に比例するため、ストークスパラメータは以下の式によって定義することができる。
Figure 0005096457
ここで、右円偏光状態及び左円偏光状態に関して、光子の数は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
ここで、
Figure 0005096457
は電磁放射の偏光度を表す2×2密度行列である。
典型的には、ストークスパラメータは、各パラメータをパラメータS0で割ることによって正規化され、それは、単位強度の入射ビームを使用することに等価である。正規化された表現におけるランダムに偏光された電磁放射のストークスパラメータ(S0,S1,S2,S3)は、(1,0,0,0)である。正規化されたストークスパラメータを表1に示す。
Figure 0005096457
本発明の実施形態
本発明の様々な実施形態は、2進数の乱数列を生成するのに用いることができる光学ベースの自己検証QRNGを対象とする。本発明の実施形態は、数列を評価し、検証し、シフト(または変更)するのに用いられる最小エントロピーを構成するための量子力学に基づく方法を含む。本発明は、特定の光子偏光状態を参照しながら以下に記述される。本発明は光子偏光状態を使用することに限定されないことに留意されたい。量子光学及び量子情報の分野の当業者であれば、50:50ビームスプリッタから出力されるフイッチパス光子(which path photon:たとえば経過情報を含む光子)、又は時間ビン光子のような他の光量子系を用いて、説明された本発明の方法及びシステムを利用することができる。
図11は、本発明の一実施形態を表す、光学ベースのQRNG1100を示す。図11に示されるように、QRNG1100は、入力状態発生器1102と、ファイバスクイーザ偏光コントローラ(「FSPC」)1104及び1106と、偏光ビームスプリッタ1108及び1110と、光子検出器1112〜1115と、一致ボックス1116と、システムコントロール1118とを備える。光ファイバ1120が、入力状態発生器1102をFSPC1104に接続し、FSPC1104をビームスプリッタ1108に接続し、光ファイバ1122が、入力状態発生器1102をFSPC1106に接続し、FSPC1106をビームスプリッタ1110に接続する。また、光ファイバは、ビームスプリッタ1108を検出器1112及び1113に接続し、ビームスプリッタ1110を検出器1114及び1115に接続する。光ファイバは、入力状態発生器1102によって生成される電磁放射を伝送するためのチャネルとしての役割を果たす。信号線1124のような電気信号線が、検出器1112〜1115を一致ボックス1116に接続し、一致ボックス1116をシステムコントロール1118に接続し、システムコントロール1118をFSPC1104と1106に個別に接続する。一致ボックス1116は、信号をシステムコントロール1118に伝送し、それに応答して、システムコントロール1118は、FSPC1104及び1106に信号を送信して、光ファイバ1120及び1122において伝送される電磁放射の状態を調整する。
入力状態発生器1102は、エンタングルした偏光状態にある光子対の形態で光量子系を順次に生成する。光子対のうちの第1の光子は入力状態発生器1102から光ファイバ1120に出力され、FSPC1104を通じてビームスプリッタ1108まで伝送され、光子対のうちの第2の光子は、入力状態発生器1102から光ファイバ1122に出力され、FSPC1106を通じてビームスプリッタ1110まで伝送される。光子対のエンタングルした偏光状態は、次のようにベル状態(Bell state)によって表される。
Figure 0005096457
式中、状態|H12>にある光子対は、水平偏光状態|H>1にある第1の光子、及び垂直偏光状態|V>2にある第2の光子を表し、状態|V12>にある光子対は、垂直偏光状態|V>1にある第1の光子及び水平偏光状態|H>2にある第2の光子を表す。ビームスプリッタ1108は、状態|V>1にある第1の光子を検出器1112へと反射し、状態|H>1にある第1の光子を検出器1113へと透過させる。ビームスプリッタ1110は、状態|V>2にある第2の光子を検出器1114へと反射し、状態|H>2にある第2の光子を検出器1115へと透過させる。
検出器1112〜1115において光子対が検出されるまで、エンタングルした光子対はベル状態|ψ+>のままである。入力状態発生器1102によって生成される各光子対は理想的には、以下のように、1つの2進数「0」又は「1」を生成する。ベル状態|ψ+>の係数の二乗係数は、光子対が検出器1112〜1115に到達するときに、検出器1113と1114との検出器対において状態|H12>を検出する確率が1/2であり、検出器1112と1115との検出器対において状態|V12>を検出する確率が1/2であることを示す。言い換えると、状態|H12>又は状態|V12>を検出することはランダムな事象である。光子状態|H12>及び|V12>を異なる2進数に関連付けることによって、このランダムな事象を用いて、単一の2進数の乱数を生成することができる。たとえば、検出器1113と1114との検出器対において状態|H12>にある光子対を検出することは2進数「1」に対応し、検出器1112と1115との検出器対において状態|V12>にある光子対を検出することは2進数「0」に対応する。
図12は、本発明の一実施形態を表す、検出器1112〜1115と一致ボックス1116との間の相互接続を示す。図12では、一致ボックス1116は2つのANDゲート1202及び1204と、4つの入力信号線1206〜1209と、2つの出力信号1212及び1214とを備える。信号線1206及び1209は、検出器1112及び1115をANDゲート1204に接続し、信号線1207及び1208は、検出器1113及び1114をANDゲート1202に接続し、信号線1212及び1214はそれぞれ、ANDゲート1202及び1204をシステムコントロール1118に接続する。検出器1112〜1115のそれぞれは、その検出器に到達する光子の強度を検出するが、特定の偏光状態を識別しない。検出器が光子を検出するとき、接続されたANDゲートに信号が送信される。ANDゲート1202及び1204は、それぞれが2つの入力信号を同時に受信するときにのみ、信号、すなわちパルスを出力し、そうでない場合には、ANDゲート1202及び1204は、信号を出力しない。ANDゲート1202によって出力される信号はP1によって表され、ANDゲート1204によって出力される信号はP0によって表される。たとえば、検出器1112及び1115が状態|V12>にある光子対を検出するとき、検出器1112及び1115はANDゲート1204に同時に信号を送信し、ANDゲート1204は、図11に示されるシステムコントロール1118に、信号P0を出力することによって応答する。
システムコントロール1118は、出力信号P0及びP1を受信し、対応する2進数を記録する。図13は、本発明の一実施形態を表す、システムコントロール1118が受信することができる出力信号の4つのタイプの組み合わせを表す、出力信号対時間の2つのプロットを示す。図13において、線1302のような水平線は時間軸であり、垂直線1304のような垂直線は電圧軸である。プロット1306はP1出力信号に対応し、プロット1308はP0出力信号に対応する。垂直方向の破線1310〜1313は、時間間隔1314〜1317の上限及び下限を特定する。各時間間隔内で、システムコントロール1118は4つの事象のうちの1つを記録し、各事象は入力状態発生器1102によって生成される単一光子対に関連付けられ、「生カウント(raw count)」と呼ばれる。ANDゲートによって出力される信号は、パルス1314のような、電圧又は電流のパルスによって表される。時間間隔1314では、システムコントロール1118によって信号が受信されない。これは、いずれの光子も検出器1112〜1115に達しないこと、又は単一光子のみが検出器のうちの1つに達すること、又は光子対が検出器1112〜1115に達するが、光子対が状態|H12>と状態|V12>のいずれの状態にもないこと、の結果として生じうる。結果として、システムコントロール1118は生カウント「信号なし」を記録する。時間間隔1315及び1316では、単一パルス1314及び1316がシステムコントロール1118に連続して入力され、システムコントロール1118は、生カウント2進数「0」、その後、2進数「1」を記録する。時間間隔1317では、2つのパルス1318及び1320が、システムコントロール1118によって同時に受信され、システムコントロール1118は、ANDゲート1202及び1204からの2つのパルスの受信を「誤り」と識別する。
理想的には、QRNG1100を用いて、それぞれの対がベル状態|ψ+>にある複数の光子対を繰返し準備することによって、2進数の乱数列を生成することができる。しかしながら、実際には、図13を参照しながら上記で説明された、信号なし及び誤りのように、2進数の乱数列を生成する過程において任意の数の摂動(乱れ)が存在することがあり、これらの多数の摂動が乱数列を偏らせることがある。結果として、本発明の実施形態は、生カウントの数列を2進数の生の乱数列に変換する方法を含む。量子力学に基づく方法を用いて、生の数列のランダム性を評価及び検証し、生の数列から2進数の任意の偏りを除去して、2進数のより小さな乱数列を生成する。
図14は、本発明の一実施形態を表す、QRNG1100をN回仮想的に動作させることによって生成される生カウントの数列から2進数の乱数列を生成する様子を示す。図14において、N個の生カウントからなる数列1402は、生カウント信号なし1404及び生カウント誤り1406によって分離された2進数「0」及び「1」の数列を含む。信号なし1404及び誤り1406に対応する生カウントが、生カウントの数列1402から除去され、n個の2進数からなる生の乱数列が生成される。ここで、n<Nである。図14において、2進数の生の乱数列は
Figure 0005096457
によって表される列ベクトル1408に組み立てられる。生の数列1408は、偏った2進数1410〜1412のような、多数の仮想的に偏らされた2進数を含む。本発明の量子力学に基づく方法が、m×nテプリッツ行列(Toeplitz matrix)Tn×mを構成するために用いられ、その行列は、生の数列1408内の偏った2進数を選別して除去し、以下のように、m個の変更された2進数の乱数列を生成するのに用いられる。
Figure 0005096457
ここで、m<n<Nである。2進数の乱数列
Figure 0005096457
は列ベクトル1414によって表される。C.D.Walter等(編集)による「Cryptographic Hardware and Embedded Systems CHES 2003」の中の、Barak等著「True Random Number Generators Secure in a Changing Environment」(pp. 166-180, Springer-Verlag (2003))において、テプリッツ行列の定義が提供されている。以下の説明は、本発明の方法に関連する範囲で、Barakの参考文献にしたがってテプリッツ行列を構成するために必要とされる識見を提供する。
2進数の乱数列を生成するための量子力学に基づく方法を、敵対者が存在するシナリオを参照して以下に説明する。以下の敵対者が存在するシナリオでは、入力状態発生器1102は、「イブ」と呼ばれる敵対者の制御下に入る。イブは、「アリス」と呼ばれるQRNG1100のユーザにはランダムに見えるが、イブには少なくとも部分的にわかっている数列を生成することを望む。アリスは、状態|H12>及び|V12>のみを用いて2進数の乱数を生成するため、以下の解析は、状態|H12>及び|V12>によって張られる部分空間に限定される。それゆえ、イブは以下の形のエンタングルした状態を生成するものと仮定される。
Figure 0005096457
ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
アリスは、QRNG1100の制御権を有するが、イブによって制御される入力状態発生器1102の制御権は有しない。イブは、アリスが各光子対に適用する測定について知らないものと仮定される。イブが純粋状態|ψi>にある単一光子対を準備するとき、アリスは、測定に関連する次の密度行列を求めることができる。
Figure 0005096457
密度行列
Figure 0005096457
は、アリスがイブによって提供される光子対の状態について、アリスが得ることができる最大限の情報量を表す。イブによって提供された光子対に関してトモグラフィ解析を実行することによって、アリスは密度行列
Figure 0005096457
の要素を求めることができる。トモグラフィ解析を用いて、乱数列のランダム性が評価され、その解析は「自己検証」と呼ばれる。量子状態のトモグラフィ解析は、当該技術分野では周知であり、たとえば、James等著「Measurement of Qubits」(Phys. Rev. A, Vol. 64, 052312)に記述されている。トモグラフィ解析を用いて、イブによって準備された状態|ψi>が特定される。James等の参考文献に記述されているように、bキュービット系のためのトモグラフィ解析は典型的には、密度行列
Figure 0005096457
を求めるのに、(4b−1)個の異なる期待値を必要とする。結果として、期待値を測定するために、同一の状態の多数のコピーが必要とされる。状態に関する(4b−1)個の異なる期待値及び正規化要件は理想的には、一般的なbキュービット系の2b個の複素係数に関する4b個の独立した制約を生成し、測定された状態を定義する密度行列
Figure 0005096457
及び/又は2b個の複素係数についての解析的解法を可能にする。QRNG1100によって生成される2キュービット偏光光子対に関するトモグラフィ解析は、16個の独立した期待値を必要とする。
イブは、各状態が関連する確率piを有する、状態の統計的混合|ψi>において光子対を送信することによって、イブにはわかるが、アリスにはランダムに見えるように数列を偏らせることを試みることができる。アリスは、トモグラフィ解析を実行して、密度行列演算子
Figure 0005096457
及び関連する密度行列
Figure 0005096457
を求める。ここで、
Figure 0005096457
は状態|H12>を測定する確率であり、
Figure 0005096457
は状態|V12>を測定する確率である。密度行列演算子及び密度行列は、純粋状態密度行列演算子及び関連する密度行列の合成である。イブは、アリスが毎回測定している各光子対の状態|ψi>を準備し、知っているが、アリスによって実行される各測定の結果は量子力学の法則によって支配されるため、イブは純粋状態|ψi>に関するアリスの測定の結果を制御することはできないことに留意されたい。
アリスは、トモグラフィ解析を実行して、密度行列
Figure 0005096457
を求め、ランダム性に関する発生源の品質を評価する。ランダム性に関する発生源の品質は厳密には、以下のように定義される最小エントロピー(「min-entropy」)関数を用いて評価することができる。
Figure 0005096457
式中、Xは確率変数であり、Pr(x)は事象xの確率であり、
Figure 0005096457
は、X内の全ての事象xにわたる最大確率Pr(x)を意味する。言い換えると、最小エントロピーは、確率分布のランダム性の量の尺度と見なすことができる。図15は、本発明の一実施形態を表す、最小エントロピーのプロットである。図15において、水平軸1502は事象xの確率Pr(x)に対応し、垂直軸1504は、最小エントロピーの値を表し、曲線1506は、最小エントロピーHMin(X)を表す。最小エントロピーが「0」1508であるとき、事象xが生じる最大確率Pr(x)は「1」1510である。事象xは確実に生じ、完全に決定論的な事象である。最小エントロピーが「1」1512であるとき、事象xが生じる最大確率Pr(x)は「1/2」1514である。事象xは偏りなく生じ、真にランダムな事象に対応する。点1516のように、最小エントロピーが「0」と「1」との間にあるとき、事象xが生じる最大確率は1/2よりも大きく、点1518によって表される。
最小エントロピーの使用を例示するために、以下の説明は、イブによって生成される3つの異なる種類の状態集合についての最小エントロピーの定義において、密度行列の要素がどのように用いられるかを記述する。アリスが、イブによって提供された純粋状態|ψ>にある単一光子対に関してトモグラフィ解析を実行するとき、確率変数Xは集合{0,1}にわたって分布し、最小エントロピーは以下のとおりである。
Figure 0005096457
ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
最小エントロピーは、アリスが、イブによって提供された、全てが同じ純粋状態|ψ>にあるn個の光子対に関してトモグラフィ解析を実行する事例に拡張することができる。確率変数Xは集合{0,1}nにわたって分布し、最小エントロピーは以下のとおりである。
Figure 0005096457
最後に、アリスが、イブによって提供された純粋状態|ψi>の統計的混合にあるn個の光子対に関してトモグラフィ解析を実行するとき、最小エントロピーは次のようになる。
Figure 0005096457
ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
アリスは、イブが提供している光子対の状態の分解を知らない。アリスは、トモグラフィ解析中に自分が生成する密度行列
Figure 0005096457
を手に入れることができるのみである。任意の状態への最小エントロピーの拡張を得るために、光子対に関連する最小エントロピーが、密度行列
Figure 0005096457
の全ての取り得る分解にわたる最も小さい最小エントロピーと定義される。最も小さい最小エントロピーのそのような定義を用いて、イブがアリスの数列について入手することができる情報の量に上限が設けられる。
最小エントロピーHMinが0に等しくない限り、イブは、QRNG1100によって生成された2進数列を完全には制御できないことに留意されたい。言い換えると、最小エントロピーが0よりも大きい限り、QRNG1100によって生成されるn個の2進数の数列内に、いくつかの数であるm個の2進数の乱数が存在する。ここで、m<nである。
アリスは、図11に示される検出器1112〜1115において強度を測定するので、最小エントロピー
Figure 0005096457
をストークスパラメータの関数として再び特徴付けることができる。ここでは、ストークスパラメータを用いて、ベクトル|H12>及び|V12>によって張られる2次元空間が特徴付けられ、その空間は、単一光子の偏光の空間と同形である。上記の状態|ψi>の統計的混合に関連する2×2密度行列
Figure 0005096457
を以下のようにストークスパラメータ(S0,S1,S2,S3)に関して書き換えることができる。
Figure 0005096457
式中、下付き文字「S」はストークスパラメータに関して書き換えられた密度行列を特定し、ストークスパラメータS0は、「1」に正規化され、及びσ1、σ2及びσ3はパウリ行列である。状態の統計的混合の場合、密度行列
Figure 0005096457
の行列要素は密度行列
Figure 0005096457
の行列要素に等しい。ここで、対角要素は以下のように関係付けられる。
Figure 0005096457
密度行列
Figure 0005096457
を有する純粋状態はポアンカレ球の表面上に存在する。図16は、ポアンカレ球の表面上に位置する純粋状態のストークスパラメータを示す。図16には、ポアンカレ球のただ1つの象限1602のみが示されている。線1604〜1606はそれぞれ直交する座標軸
Figure 0005096457
を表し、座標(S1,S2,S3)を有する点1608が、ポアンカレ球の表面に位置する。ポアンカレ球は以下の単位半径を有する(すなわち単位球である)。
Figure 0005096457
ポアンカレ球の表面上に位置する純粋状態の場合、パラメータS3は、以下のように、パラメータS1及びS2に関係付けられる。
Figure 0005096457
全ての密度行列
Figure 0005096457
について実数値関数
Figure 0005096457
を定義することによって以下の定理を表明することができる。
定理1.密度行列
Figure 0005096457
によって記述される系の最小エントロピーは以下のとおりである。
Figure 0005096457
定理1の証明は後述の付録において提供される。定理1は、2進数列を生成するのに用いられる状態の密度行列の測定において、イブのような敵対者が得ることができる情報の量に上限があることを実証する。Barak等の参考文献は、最小エントロピーHMinを有するn個の2進数の数列が与えられると、m個の2進数の乱数を抽出できることを示している。ここで、m<nである。m個の2進数の乱数は、或る分布に従って分布し、その分布は任意的に2進数の均一な分布に近い。
図17は、2進数の乱数列を生成するための本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す制御フロー図を示す。ステップ1702では、ルーチン「トモグラフィ解析」が呼び出される。ルーチン「トモグラフィ解析」は、密度行列
Figure 0005096457
及び最小エントロピー
Figure 0005096457
を求めるための方法である。ステップ1704では、ルーチン「生の2進数列を生成する」が呼び出され、それは、図14を参照して上述したように、n個の2進数からなる生の乱数列
Figure 0005096457
を生成する。ステップ1706では、ルーチン「生の2進数列を選別(または変更)する」が呼び出され、そのルーチンは、ステップ1702で求められた最小エントロピーHMinを用いて、数列
Figure 0005096457
から偏りを除去し、m個の2進数からなる、より小さな乱数列
Figure 0005096457
を生成する。ステップ1708では、2進数の乱数列
Figure 0005096457
が出力される。
図18は、図17のステップ1702において呼び出されるルーチン「トモグラフィ解析」のための制御フロー図を示し、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ1802において開始するforループでは、ステップ1810において密度行列
Figure 0005096457
を生成し、ステップ1812において最小エントロピー
Figure 0005096457
を生成するために、ステップ1803〜1806が繰り返される。ステップ1803では、インデックスiに応じた所定の値に一致するように、図11のFSCP1104及び1106のような偏光コントローラを調整する。ステップ1804では、図13を参照して上述したように、生カウントの数列が生成される。ステップ1805では、4つの異なる種類の生カウントの移動平均が保持される。ステップ1806では、インデックスiがインクリメントされる。ステップ1808では、インデックスiが(4b−1)よりも大きいとき、制御がステップ1810に移り、そうでない場合には、ステップ1803〜1806が繰り返される。ステップ1810では、James等の参考文献において記載されているように、密度行列
Figure 0005096457
が構成される。ステップ1812では、密度行列
Figure 0005096457
を用いて、最小エントロピー
Figure 0005096457
が構成される。
図19は、図17のステップ1704において呼び出されるルーチン「生の2進数列を生成する」のための制御フロー図を示し、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ1902において開始するループでは、生の数列の長さに対応するインデックスiが予め指定された長さN以上になるまで、ステップ1902〜1908が繰り返される。ステップ1902では、M個の生カウントが生成される。ステップ1903では、「0」及び「1」に対応する生カウントの平均が求められる。ステップ1904では、当該平均を用いて、誤差信号が計算され、その誤差信号は、光ファイバによって導入される複屈折欠陥を検出する。ステップ1905では、誤差信号を用いて、FSPCが調整され、複屈折誤差が補正される。システムコントロールは、システムコントロールが光ファイバ内で伝送される光子対の偏光状態を調整できるようにするソフトウエア又はファームウエアを含むことができる。Shimizu等の「Highly Practical Fiber Squeezer Polarization Controller」(J. of Lightwave Technology, Vol. 9, No. 10 (1991))は、光子の偏光状態を制御するためのFSPCの動作を記述している。ステップ1906では、図14を参照して上述したように、信号なし又は誤りのいずれかに対応する生カウントを破棄し、2進数の生の乱数列を残すことによって、生カウントが選別(または変更)される。ステップ1907では、生の2進数列が数列
Figure 0005096457
に追加される。ステップ1908では、長さインデックスiがインクリメントされる。ステップ1909では、インデックスiがN以上であるとき、制御がステップ1902に移り、そうでない場合には、2進数の生の乱数列
Figure 0005096457
が出力される。
図20は、図17のステップ1706において呼び出されるルーチン「生の2進数列を選別(または変更)する」のための制御フロー図であり、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す。ステップ2002では、図19のルーチン「生の数列を生成する」において生成された2進数の生の乱数列
Figure 0005096457
が入力される。ステップ2004では、図18のルーチン「トモグラフィ解析」において生成された最小エントロピーが入力される。ステップ2006では、Barakの参考文献において記述されているように、テプリッツ行列Tn×mが構成される。ステップ2008では、数列
Figure 0005096457
が求められ、図14を参照して上述したように、図17のステップ1708において出力される。
Barak等の参考文献に基づいて、n個の2進数からなる生の乱数列から抽出することができる2進数の最大数は以下のとおりである。
Figure 0005096457
式中、εは、m個の2進数の分布と均一な分布との間の統計的距離である。統計的距離は、数学的には、以下のように定義される。
Figure 0005096457
式中、X及びWは異なる分布を表す。収率Yは、2進数の乱数の割合m/nであり、2進数の生の乱数列から求めることができる。2進数の乱数列
Figure 0005096457
を抽出する方法を試験するために、QRNG1100によって生成されたn=3200の生の2進数列が、ε=2-35の統計的距離及び0.38の最小エントロピーを用いて生成された。得られた収率は0.33であった。統計的距離及び生の2進数の数をQRNG1100演算子によって変更して、様々なセキュリティ要求及び計算資源に対応することができる。
本発明の代替的な実施形態では、単一光子状態にある光子を用いて乱数列を生成することに基づくQRNGにも、トモグラフィ解析を適用することができる。図21は、単一光子状態を用いて乱数列を生成し、本発明の一実施形態を表す、光学ベースのQRNG2100を示す。図21に示されるように、QRNG2100は、入力状態発生器2102と、FSPC2104と、偏光ビームスプリッタ2106と、2つの光子検出器2108及び2110と、解析器2112と、システムコントロール2114とを備える。光ファイバ2116のような光ファイバが、入力状態発生器2102をFSPC2104に接続し、FSPC2104をビームスプリッタ2106に接続する。また、光ファイバがビームスプリッタ2106を検出器2108及び2110に接続する。信号線2118のような電気信号線が、検出器2108及び2110を解析器2112に接続し、解析器2112をシステムコントロール2114に接続し、システムコントロール2114をFSPC2104に接続する。
入力状態発生器2102は、以下の式によって与えられる垂直偏光状態及び水平偏光状態の線形重ね合わせにある光子を生成し、順次に出力する。
Figure 0005096457
ただし、
Figure 0005096457
である。ビームスプリッタ2106は、偏光状態|V>を検出器2108へと反射し、偏光状態|H>を検出器2110へと透過させる。理想的には、検出器2108及び2110において検出されるまで、各光子は状態|ξ>のままである。検出器2108及び2110において光子が検出されるとき、解析器は、どの検出器が光子を検出したかを特定するパルスをシステムコントロール2114に送信する。図13を参照して上述したように、解析器2112は、異なる種類の生カウントを特定する情報を送信する。
敵対者が存在するシナリオにおいて上述したように、イブは、以下の状態にある光子を準備することによって、偏りがある2進数列を生成することを望む。
Figure 0005096457
ただし、
Figure 0005096457
である。アリスが、イブによって提供された純粋状態の統計的混合|ξi>にあるn個の光子に関してトモグラフィ解析を実行するとき、最小エントロピーは以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
図17〜図20を参照して上述した方法は、QRNG2100を用いて、2進数の乱数列
Figure 0005096457
を生成するのに用いることができる。
本発明の代替的な実施形態では、検出器において偏光状態に関連付けられる確率を調整するために、QRNG1100及び2100に可変損を追加することができる。たとえば、図22は、可変損を含み、本発明の一実施形態を表す、光学ベースのQRNG2200を示す。図22に示されるように、QRNG2200は、QRNG2200が可変損2202及び2204を含む点を除いて、図11のQRNG1100と同じである。可変損は、検出された「0」及び「1」の平均個数に基づいて、システムコントロール1118によって調整される。たとえば、検出された「0」の平均個数が検出された「1」の平均個数よりも大きいときは、システムコントロール1118は、状態|V>1にある光子の数を減らすように可変損2202に指示するが、これは、状態|V12>において検出される光子対の数を減らす効果を有する。一般的に、可変損によって状態|ψi>に関して実行される演算は、以下の式によって表すことができる。
Figure 0005096457
結果として、可変損は最小エントロピーを増加させる。その密度行列が
Figure 0005096457
であり、その最小エントロピーが
Figure 0005096457
である光子対は「補正されていない光子対」と呼ばれる。ただし、
Figure 0005096457
である。
Figure 0005096457
であると仮定すると、光子対の状態を補正するには、チャネルのうちの1つに損失を追加する必要がある。たとえば、行列要素1+S3が、状態|H12>にある光子対に関連付けられる確率を表す場合には、可変損が、偏光状態|H>1を搬送する光ファイバに適用される。どの偏光状態が可変損を受けるかは、ただ1つに限定されない。状態|H12>にある光子対を検出する確率を下げるために、偏光状態|V>2を搬送する光ファイバにも可変損を適用することができる。入力状態発生器1102において生成されるエンタングルした状態を補正する、すなわちその偏りをなくすために、損失係数
Figure 0005096457
が必要とされる。偏りのない状態のために正規化された密度行列は
Figure 0005096457
であり、関連する最小エントロピーは
Figure 0005096457
である。補正されていない状態の事例では、入手することができる2進数の乱数の部分は以下のとおりである。
Figure 0005096457
式中、Keは、Barak等において記述されている、2進数の生の乱数列を選別(または変更)することによって導入されるオーバーヘッドである。損失ηを考慮に入れると、収率は以下のとおりである。
Figure 0005096457
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明をこれらの実施形態に限定することは意図していない。本発明の思想の範囲内での変更は当業者には明らかであろう。本発明の代替的な実施形態では、当業者は、偏光状態の代わりに、「フイッチパス(which path)」キュービット及び時間ビンキュービットのような他の光量子系を用いることができることを認識するであろう。たとえば、入力状態発生器2102を用いて、ランダムに偏光した光子を生成することができ、偏光ビームスプリッタ2106の代わりに、50:50ビームスプリッタを用いることができる。言い換えると、入力状態発生器2102及び50:50スプリッタを用いて、「フイッチパス」光キュービット系を生成することができる。さらに、本発明のシステムの実施形態を、時間ビンキュービットで動作するように変更することができる。本発明の代替的な実施形態では、図11のQRNG1100において、ベル状態|ψ+>にある光子対を用いる代わりに、ベル状態
Figure 0005096457
のうちのいずれか1つにある光子対を用いることもできる。ベル状態のうちのいずれか1つにおいて生成される光子を用いて、2進数の乱数列を生成することができるように、一致ボックス1116の構成を変更することができる。本発明の代替的な実施形態では、図11のQRNG1100及び図21のQRNG2100を実施するのに使用された光ファイバの代わりに、ミラーによって誘導される光ビームを用いることができる。たとえば、図23は、光ビーム及びミラーを使用し、本発明の一実施形態を表す、光学ベースのQRNG2300を示す。図23では、QRNG2300は、ミラー2302のようなミラーを用いて、入力状態発生器1102から出力される電磁放射の光子ビームを誘導する。
これまでの記述は、説明の目的上、本発明を十分に理解できるようにするために特定の用語を使用した。しかしながら、本発明を実施するために、特定の細部が必要とされないことは当業者には明らかであろう。本発明の特定の実施形態についてのこれまでの記述は、例示及び説明のために提示されたものである。それらは、本発明を網羅することや本発明を開示した形態そのものに限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて、数多くの変更及び変形が可能であることは明らかである。それらの実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を最もわかりやすく説明し、それによって、当業者が、本発明及び様々な実施形態を、意図する特定の用途に適するように様々な変更を加えて最も好適に利用できるようにするために図示及び説明されたものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって画定されるものである。
[付録]
定理1.密度行列
Figure 0005096457
によって記述される系の最小エントロピーは以下のとおりである。
Figure 0005096457
定理1を証明するために、以下の3つの補助定理が証明される。
補助定理1.純粋状態|ψ>毎に、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
補助定理1の証明は、PrHV>1/2、PrHV<1/2及びPrHV=1/2の場合に、以下の式が成り立つことを示すことによって証明される。
Figure 0005096457
最初に、|ψ>は純粋状態であるため、図15を参照して上述したように、関連するストークスパラメータはポアンカレ球の表面上のある点に対応し、具体的には、パラメータS1及びS2は以下の式によって与えられる。
Figure 0005096457
1及びS2を右辺に代入すると、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
PrHV>1/2のときは、左辺は以下のように変換され、
Figure 0005096457
右辺は以下のように変換される。
Figure 0005096457
PrHV<1/2のときは、左辺は以下のように変換され、
Figure 0005096457
右辺は以下のように変換される。
Figure 0005096457
最後に、自明なケース、すなわち、PrHV=1/2のときは、左辺と右辺はいずれも1/2になる。
補助定理2.密度行列
Figure 0005096457
によって表される2つの純粋状態|ψ1>及び|ψ2>は、密度行列
Figure 0005096457
の分解である。ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
補助定理2の証明:密度行列は、
Figure 0005096457
を満たす対角行列要素を有する
Figure 0005096457
の分解である純粋状態を表す。|ψ1>及び|ψ2>はいずれも純粋状態であるため、補助定理1に基づくと以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
さらに、上記の
Figure 0005096457
に関する式に基づいて、n=1の場合に、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
補助定理3.関数
Figure 0005096457
はポアンカレ球上のストークスパラメータS1、S2、S3の凸関数である。
補助定理2の証明:
Figure 0005096457
のヘシアン行列の固有値は、領域(1/2,1)にわたって負でない。
この定理の証明:凸関数の特性によれば、
Figure 0005096457
の各分解について以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
補助定理1の結果を代入し、上記の式
Figure 0005096457
を用いると、以下の式が与えられる。
Figure 0005096457
これは、
Figure 0005096457
が、
Figure 0005096457
の最小エントロピーの下限であることを意味する。しかし、補助定理2によれば、
Figure 0005096457
の少なくとも1つの分解が存在する。ただし、以下の式が成り立つ。
Figure 0005096457
それゆえ、
Figure 0005096457
は、
Figure 0005096457
の全ての分解にわたるHMinの最小値に等しい。以上で証明終り。
キュービット系のブロッホ球表現を示す図である。 仮想的な単一偏光ビームスプリッタを使用する量子乱数発生器を示す図である。 立方体空洞(立方体キャビティ)を示す図である。 基底ベクトルとして、2つの独立した偏光ベクトルと、正規化された波数ベクトルとを用いる3次元座標系を示す図である。 図4に示される座標系における電磁放射の電界成分及び磁界成分を示す図である。 量子化された電磁放射のエネルギー準位図である。 光子源から出力され、検出器まで伝送される光子パルスを検出することに関連する確率分布関数を示す図である。 垂直偏光基底状態のプロットを示す図である。 水平偏光基底状態のプロットを示す図である。 偏光状態のポアンカレ球表現を示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 4つの偏光状態のうちの1つのプロットを示す図である。 本発明の一実施形態を表す光学ベースの量子乱数発生器を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、検出器と、量子乱数発生器の一致ボックスとの間の相互接続を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、量子乱数発生器のシステムコントロールが受信することができる出力信号の4つのタイプの組み合わせを表す、出力信号対時間の2つのプロットを示す図である。 本発明の一実施形態を表す、生カウントの数列から2進数の乱数列を生成する様子を示す図である。 本発明の一実施形態を表す最小エントロピーのプロット図である。 ポアンカレ球の表面に配置される純粋状態の1組のストークスパラメータを示す図である。 2進数の乱数列を生成するための本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す制御フロー図である。 図17のステップ1702において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、ルーチン「トモグラフィ解析」のための制御フロー図である。 図17のステップ1704において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、ルーチン「生の2進数列を生成する」のための制御フロー図である。 図17のステップ1706において呼び出され、本発明の数多くの実施形態のうちの1つを表す、ルーチン「生の2進数列を選別(または変更)する」のための制御フロー図である。 本発明の一実施形態を表す、単一光子状態を用いて乱数列を生成する、光学ベースの量子乱数発生器を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、可変損を含む、光学ベースの量子乱数発生器を示す図である。 本発明の一実施形態を表す、光ビーム及びミラーを用いる、光学ベースの量子乱数発生器を示す図である。

Claims (9)

  1. 乱数列を生成するための光学ベースの自己検証システムであって、
    状態の線形重ね合わせにある光量子系を生成する入力状態発生器(1102、2102)と、
    前記光量子系の状態を測定する検出器(1112〜1115、2108、2110)と、
    前記光量子系の前記状態の測定から得られた結果を評価して、該結果に関連する数を前記乱数列に付加するか否かを判定するシステムコントロール(1118、2114)と、
    状態コントローラ(1104、1106、2104)であって、前記入力状態発生器(1102、2102)と前記検出器(1112〜1115、2108、2110)との間に配置され、前記光量子系の前記状態の測定から得られた結果に基づいて、前記光量子系の前記状態を保持するために前記システムコントロール(1118、2114)によって動作を制御される、状態コントローラ(1104、1106、2104)と、
    前記入力状態発生器(1102、2102)と前記検出器(1112〜1115、2108、2110)との間に配置され、前記光量子系の前記状態を測定することに関連する確率のバランスをとるために、前記システムコントロール(1118、2114)によって動作を制御される可変損(2202、2204)
    とを備える、自己検証システム。
  2. 状態の線形重ね合わせにある前記光量子系は、
    偏光した状態の線形重ね合わせにある単一光子、
    ベル状態にある光子対、
    フイッチパス光子
    エンタングルした状態にあるフイッチパス光子、
    時間ビン光子、
    エンタングルした状態にある時間ビン光子
    のうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記光量子系を伝送するためのチャネルをさらに備え、該チャネルは、光ファイバ(1120、1122、2116)と自由空間とのうちの一方である、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記状態コントローラ(1104、1106、2104)は、前記光量子系の偏光状態を保持するための1つ又は複数のファイバスクイーザ偏光コントローラをさらに備え、前記検出器は、1つ又は複数の光子検出器をさらに備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
  5. 乱数列を生成するための方法であって、
    入力状態発生器によって状態の線形重ね合わせにある光量子系を生成するステップと、
    検出器によって前記光量子系の状態を測定するステップと、
    前記光量子系の状態を測定するステップから得られた結果を評価して、該結果に関連する数を前記乱数列に付加するか否かを判定するステップと、
    前記入力状態発生器と前記検出器との間に配置された状態コントローラによって、前記光量子系の状態を測定するステップから得られた結果に基づいて、前記光量子系の状態を保持するステップと、
    前記光量子系の状態を測定するステップから得られた結果に基づいて、前記入力状態発生器と前記検出器との間に配置された可変損を制御することによって、前記光量子系の状態を測定することに関連する確率のバランスをとるステップ
    を含む方法。
  6. 前記光量子系の前記状態に基づいて乱数を求めるステップと、
    生の乱数列を生成するために、前記生成するステップと、前記測定するステップと、前記求めるステップとを繰り返すステップと、
    前記生の乱数列から乱数列を抽出するのに用いることができる最小エントロピーを得るために、前記光量子系についてトモグラフィ解析を実行するステップ
    をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 線形重ね合わせにある光量子系を生成する前記ステップは、
    偏光した状態の線形重ね合わせにある単一光子、
    ベル状態にある光子対、
    フイッチパス光子
    エンタングルした状態にあるフイッチパス光子、
    時間ビン光子、
    エンタングルした状態にある時間ビン光子
    のうちの1つ又は複数を生成するステップをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. トモグラフィ解析を実行する前記ステップは、光量子系を生成する前記ステップが所望の量子状態を生成したか否かを確認するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記最小エントロピーは
    Figure 0005096457
    によって与えられ、ここで、Xは確率変数であり、Pr(x)は事象xの確率であり、
    Figure 0005096457
    はX内の全ての事象xにわたる最大確率Pr(x)である、請求項6に記載の方法。
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