JP5026373B2 - 気相成長装置及び気相成長方法 - Google Patents
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この問題を解決するため特許文献1では、複数のガス流路が同軸に形成されたノズルから、反応炉へガスを導入することにより、ノズルの目詰まりを防ぎつつ、基板上面で効率よく混合させ、材料効率を向上させる方法が示されている。
また、特許文献2では、シャワーヘッドのノズルにおいて、周辺部よりも中央部のノズルの分布密度を大きくすることにより、中央部で反応が不十分になることを避け、膜質の向上させる方法が示されている。
また、特許文献2に開示された方法によると、中央部と周辺部とでノズル数、あるいはノズル径の異なるシャワーヘッド用いているが、いずれの場合もノズル以外の部分が小さくなる。このため、ノズル間で連通しないように高精度の加工の必要性からシャワープレートのコストが高くなる恐れがある。また、ノズル間に冷却層のあるシャワープレートでは、ノズル密度が高くなるとノズル以外の冷却層として使用できる空間が小さくなるため、冷却媒体も少なくなる。例えば水を冷却媒体とした場合、冷却層に流れる水量が少なくなるため、シャワープレートで冷却差が生じ、膜質や膜圧分布が不均一となる恐れがある。また、ノズル密度の高い部分に合わせてシャワープレートの冷却層の空間を均一に設けると、冷却層の空間が小さくなり、冷却効果が低下する。そのため、シャワープレート内で成長反応が起こり、材料効率や膜質が低下する恐れがある。
また、実際の装置では、求める成膜レートや膜質に応じて、成膜条件や成膜領域が変更されることも多い。その際、成膜条件や成膜領域に応じて、最適なノズルの分布密度も異なるが、特許文献2ではシャワーヘッドを交換しないと、ノズルの分布密度を変更するのは困難である。もし、シャワーヘッドを交換する場合、装置の基幹部分を交換するため、軸調整などの作業が複雑で手間がかかる、さらにシャワーヘッド自体も熱やガスなどに対する耐性を鑑みて、石英などコストの高い部材で作製されることが多く、何種類かのシャワーヘッドを取り揃えると、コストがかかるという問題がある。また、シャワーヘッドを交換しない場合は、成膜条件や成膜領域が限定されるため、成膜条件の最適化が困難となるという問題がある。
さらに、特許文献2の構成によると、混合室がないため異種類のガスの混合性が低いため、気相反応が均一に行われず、膜質や膜厚分布が不均一となる恐れがあるという問題がある。
図1は、実施の形態1に係る気相成長装置1の構成を示す断面図である。気相成長装置1は、縦型シャワーヘッド型MOCVD装置によって構成されている。気相成長装置1は、反応炉14を備えている。反応炉14の中には、被処理基板15を載置した円盤状の基板保持部材16が設けられている。基板保持部材16の下側には、軸状の回転伝達部材20が結合されており、図示しない駆動機構により、被処理基板15の表面に垂直な回転伝達部材20の周りに回転可能に基板保持部材16が設けられている。基板保持部材16の下側には、基板保持部材16を加熱する加熱ヒータ17がさらに設けられている。
このように、混合室12の体積が、シャワープレート2の周縁部分に比べて中央部分で大きくなるように、ガス導管5の突出長さを中央部分で短くなるように調節してある。ガス導管5の突出長さは、成膜条件によって適宜調節すれば良い。
このように、中央から周縁に向かって成膜レートが速くなるような条件でも、中央で、第1ガスと第2ガスとの混合性を高めることで、中央部分の成膜レートを速くすることができ、膜厚の均一化が可能となる。逆に、中央から周縁に向かって成膜レートが遅くなる場合は、中央と周縁とのパーツを逆にすれば良い。
なお、シャワープレート2の中央部分と、周縁部分とで2種類の突出長さのガス導入管5にするだけでなく、3種類以上の多種類の突出長さのガス導入管5を用いても良い。例えば、ガス流路4aとガス導管5との間の相対的空間位置関係は、シャワープレート2の中央と、シャワープレート2の周縁と、前記中央と前記周縁との間の中間領域とで、互いに異なっているように構成してもよい。また、流量や成長圧によっては、周縁部付近で成膜レートが小さくなる場合がある。その際には、周縁部の突出長さを大きくすることも考えられる。
混合室12およびガス導入管5の部分を拡大した図3に示すように、ガス導管5の流路出口27の反対端の外周には、雄ネジ加工が施してある。ガス導管5に形成された雄ネジの流路出口27側には、フランジ40が形成されている。
下方プレート34aに形成された貫通孔41には、ガス導管5の雄ネジに対応する雌ネジ加工が施してあり、更に、ザグリ孔42が、フランジ40に対応するように形成されている。このように、ガス導管5は、ネジ構造によって、下方プレート34aに固定することが可能となる。更に、フランジ40を設けることによって、ガス導管5の突出長さDを正確に規定することが可能である(フランジ40が無いと、ネジの締め込み具合に応じて突出長さDが変化してしまう)。更に、下方プレート34aのザグリ孔42に、前記フランジ40を挿入することで、ガス分配空間9に余分な突起を生じることが無く、ガス分配空間9内の流れを乱すことが無い。また、ネジ部を通じて、第1ガスと第2ガスとが拡散し混合する可能性もあるため、ネジ部には、グラファイトシートを挟み、封止構造をとることもできる。また、グラファイトシート以外に、白金薄膜シート等の材料ガスに対して耐食性を有する金属薄膜シートも使用可能である。但し、フランジ40の高さが、ガス分配空間9内の流れを乱さない程度の突起であれば、ザグリ孔42を設けることは必須では無い。
上記構成によれば、ガス導管5は、下方プレート34aから取り外し(着脱)可能な構成になっており、ガス導管5の突出長さDを容易に変えることが可能となる。このため、求める成膜レートや膜質に応じた、流量や成膜温度、成長圧などの様々な成膜条件に対応して、混合室12の体積を調節することが可能である。また、成膜時に反応精製物が流路口壁面に付着し、流路出口が詰まることがあり、膜質や膜厚分布の均一性、成膜レートの低下を引き起こす恐れがある。しかし、着脱可能な構成であれば、ガス導管5の壁面に付着物が発生し、流路出口が詰まった場合でも、全体を洗浄することなく、詰まった箇所のガス導管5aのみを交換することが可能である。そのため、装置のメンテナンス時間も大幅に短縮することが可能であり、装置の稼働率向上を図ることも可能である。
なお、ガス導管5は、上記のように着脱可能でなくとも、混合室12の体積を調節することで、本発明の効果は得られる。この場合、第2ガス流路の下方プレート(ベース7)に、多数の貫通孔が配置される。複数のガス導管5は、気密を保つよう、真空ロウ付や電子ビーム溶接、TIG溶接、拡散接合等によって接合される。第2ガス流路下方プレート(ベース7)に直接、ガス導管5を切削加工等により形成してもよい。しかし、先に記載したように、様々な成膜条件に対応する場合や、メンテナンス性を考えると着脱可能な構成とした方が好ましい。
さらに、図8(c)に示すように、ガス導管5に形成する孔を、中央ではガス導管5の先端に形成し、周縁ではガス導管5の側壁に形成し、かつ、周縁では、ガス導管5の先端をガス流路4aの先端まで伸ばすように構成してもよい。この構成により、周縁での導入ガスの流量が中央での導入ガスの流量よりも少なくなる。中央で成膜レートが遅い成膜条件の場合、周縁の導入ガス流量を少なくして、成膜レートを遅くすることで、膜厚の均一化が可能である。なお、中央で成膜レートが速い場合は、中央と周縁とのパーツを逆にすれば良い。
図9(b)に示すように、ガス導管5の側壁に形成する孔の大きさを中央と周縁とで変えてもよい。具体的には、中央のガス導管5の側壁には大きい孔6eを形成し、周縁のガス導管5の側壁には小さい孔6fを形成してもよい。この構成により、第2ガスの流量が、周縁において中央よりも少なくなり、図8(a)に示す構成と同様の効果を奏する。
図10(b)に示すように、ガス導管5に形成する孔の態様を中央と周縁とで異ならせてもよい。具体的には、中央では、ガス導管5の先端に孔を形成し、周縁では、ガス導管5の側壁に孔を形成し、孔は、ガス導管5の内側から外側に向かってガス導管5の先端に近づく斜め方向に沿って形成してもよい。この構成により、周縁での導入ガスの流量が中央での導入ガスの流量よりも少なくなり、図8(c)に示す構成と同様の効果を奏する。
このような構成によって作製された気相成長装置(MOCVD装置)1によって、成膜実験を行った。なお、シャワープレート2・3は、略円盤状であり、約2400個のノズルをピッチ7.5mmの格子上に配置した。また、ガス導管5の流路出口はφ1.5mmのノズル径とし、混合室12の流路出口25はφ4.0mmのノズル径とした。また、突出し長さDは、シャワープレート2の中央部分の約300個のノズルにおいて、ガス導管5の突出し長さDを他の周縁部分より15mm短くし、混合室の高さLは、中央部分約300個のノズルを20mm、その他の周縁部分を5mmとした。これから混合室12の体積は周縁部よりも中央部分の方が大きくなる。成膜する基板はノズル部分とほぼ同じ範囲内に、19枚の4インチ基板を配置した。用いた材料ガスは、III族のTMGを流量10sccm(Standard cc/min)にて導入し、V族にAsH3を流量60sccmにて導入するように、流量を調節した。また、キャリアガスとして流量260slm(Standard liter/min)の水素を、III族、V族それぞれに同量ずつ材料ガスと混合させて導入し、GaAs結晶をGaAs基板上に成膜した。
このときの、成膜レートの分布を図11に示す。図11は、曲線C1が本実施の形態にいて混合室12の大きさをシャワープレートの中央と周縁とで調節した場合であり、曲線C2は混合室12の大きさを中央と周縁とで調節していない従来の(混合室12が同じ)場合のグラフである。横軸は、シャワープレート中心からの距離を表しており、縦軸は、GaAs成長レートを表している。従来では(図中曲線C2)、シャワープレート中央部分で成長レートが小さく、径方向に沿って周縁に近づくにしたがって、成長レートが増加する傾向にある。一方、混合室12をシャワープレート中央部分で大きくすることにより(図中曲線C1)、中央部分の成膜レートが上がり、均一性が向上する。
図12は、実施の形態2に係る気相成長装置1aの構成を示す断面図である。前述した構成要素と同一の構成要素には、同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
図13は、実施の形態3に係る気相成長装置に設けられたガス供給部の構成を示す拡大断面図である。ガス導管5aの流路出口27aの反対端の外周には、雄ネジ加工が施してある。ガス導管5aに形成された雄ネジの流路出口27a側には、フランジ40が形成されている。
図13(a)は上記気相成長装置のガス供給部に設けられたガス導管5aの構成を示す斜視図であり、(b)は他のガス導管5bの構成を示す斜視図である。図13(a)に示す構成によると、ガス導管5aの流路出口に複数個の孔6を形成することによって、第2ガスの噴出しをより広げることが可能となり(パイプ形状の場合、直線状に噴出すのみである)、各孔6からの第二ガス流出速度は、従来よりも増加し、かつ、狭ピッチの細かな噴出しが実現できる。このため、流出した第二ガスの乱れが増加し、より、第一ガスとの混合性が向上する。また、被処理基板面上のガス濃度分布を均一化することができ、被処理基板表面反応の制御性を向上させ、つまり、成膜厚や組成比を向上させると共に、原料利用効率を向上させることができる。
2 シャワープレート(第1シャワープレート)
3 シャワープレート(第2シャワープレート)
4a、4b ガス流路
5 ガス導管
6 孔
7 ベース
8 上方プレート(カバープレート)
9 ガス分配空間(第1ガス分配空間)
10 ガス分配空間(第2ガス分配空間)
11 冷媒流路
12 混合室
13 昇降機構
14 反応炉
15 被処理基板
16 基板保持部材
40 フランジ
Claims (21)
- 反応炉内の被処理基板を載置する基板保持部材に対向して配置されて前記被処理基板に向かって第1ガスを供給する第1シャワープレートと、
前記第1シャワープレートに対して前記基板保持部材の反対側に配置されて前記被処理基板に向かって第2ガスを供給する第2シャワープレートとを備えた気相成長装置であって、
前記第1シャワープレートには、前記被処理基板に向かって前記第1ガスが流れるガス流路が形成されており、
前記第2シャワープレートは、前記第2シャワープレートから突出して前記ガス流路の内部に挿入されて前記被処理基板に向かって前記第2ガスを流すガス導管を有しており、
前記第1シャワープレートの中央において前記ガス流路と前記ガス導管とにより形成される空間の態様と、前記第1シャワープレートの周縁において前記ガス流路と前記ガス導管とにより形成される空間の態様とが、成膜条件に応じて、前記第1シャワープレートの中央における成膜レートと前記第1シャワープレートの周縁における成膜レートとの間の差を小さくするように異なっていることを特徴とする気相成長装置。 - 前記ガス導管の長さ、外径、または内径が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管の長さが、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管の外径が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管の内径が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管の先端から前記被処理基板までの距離が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス流路の長さまたは内径が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス流路の長さが、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス流路の内径が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管に形成される孔の態様が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記孔は、前記ガス導管の先端に形成される請求項10記載の気相成長装置。
- 前記孔は、前記ガス導管の側壁に形成される請求項10記載の気相成長装置。
- 前記第1シャワープレートは、前記ガス導管の先端の前方において前記ガス流路の内壁により形成されて前記第1ガスと前記第2ガスとを混合する混合室を有しており、
前記混合室の体積が、前記中央と前記周縁とで互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。 - 前記ガス流路と前記ガス導管との間の相対的空間位置関係は、前記第1シャワープレートの前記中央と、前記第1シャワープレートの前記周縁と、前記中央と前記周縁との間の中間領域とで、互いに異なっている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記第1シャワープレートと前記第2シャワープレートとの間に前記第1ガスを前記ガス流路に供給する第1ガス分配空間が形成され、
前記第2シャワープレートは、前記第1ガス分配空間が露出するように前記第1シャワープレートから取り外し可能に設けられている請求項1記載の気相成長装置。 - 前記ガス導管は、前記第2シャワープレートと嵌合するフランジを有し、
前記ガス導管の前記フランジの外径は、前記ガス流路の内径よりも小さい請求項1記載の気相成長装置。 - 前記ガス導管は、前記第2シャワープレートに着脱可能に設けられている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記ガス導管の温度を調整する冷媒を流す冷媒流路が前記第1シャワープレートに形成されている請求項1記載の気相成長装置。
- 前記第1ガスは、III族ガスを含み、
前記第2ガスは、V族ガスを含む請求項1記載の気相成長装置。 - 前記ガス導管の長手方向に沿って前記ガス導管と前記ガス流路とを相対的に昇降させる昇降機構を設けた請求項1記載の気相成長装置。
- 反応炉内の被処理基板を載置する基板保持部材に対向して配置された第1シャワープレートによって前記被処理基板に向かって第1ガスを供給し、
前記第1シャワープレートに対して前記基板保持部材の反対側に配置された第2シャワープレートによって前記被処理基板に向かって第2ガスを供給する気相成長方法であって、
前記第1シャワープレートには、前記被処理基板に向かって前記第1ガスが流れるガス流路が形成されており、
前記第2シャワープレートは、前記第2シャワープレートから突出して前記ガス流路の内部に挿入されて前記被処理基板に向かって前記第2ガスを流すガス導管を有しており、
前記第1シャワープレートの中央において前記ガス流路と前記ガス導管とにより形成される空間の態様と、前記第1シャワープレートの周縁において前記ガス流路と前記ガス導管とにより形成される空間の態様とを、成膜条件に応じて、前記第1シャワープレートの中央における成膜レートと前記第1シャワープレートの周縁における成膜レートとの間の差が小さくなるように、互いに異ならせて前記第1及び第2ガスを前記被処理基板に向かって供給することを特徴とする気相成長方法。
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