従来のアンテナ3およびブリッジ1の機械的形成方法においては、図7及び図8に示すように、アンテナ3とブリッジ1とは別々に形成され、既に絶縁性基材4に形成されたアンテナ3を、基盤7に対向するように配置された基台8上において、絶縁性基材4に重ねた金属箔2から打ち抜き刃6によりブリッジ1を打ち抜く際、アンテナ3のアンテナ線3a,3a同士の間や、アンテナの端子部3b,3bとアンテナ線3aとの間に隙間δが存在する箇所で金属箔2にかかる打ち抜き刃6の力が低下しやすく、端子部3b,3bやアンテナ線3aが存在する箇所では金属箔2にかかる打ち抜き刃6の力が大きくなりやすい。このため、打ち抜き刃6に加える力の加減が難しく、打ち抜き刃6に対する押圧力が小さ過ぎるとブリッジの打ち抜きが不正確になり、正確に打ち抜こうとして大きくし過ぎるとアンテナ線が破断することになり、適正な押圧力を調整するための作業が極めて煩雑になる。
また、アンテナ3とブリッジ1とが別々に形成されるので、打ち抜き刃6の打ち抜き方向の動作とアンテナ3が形成された絶縁性基材4の機械による送り速度とのタイミングが良好でない場合または機械的な誤差がある場合には、アンテナ3とブリッジ1との形成位置がずれることがあり、生産の歩留まりに影響を及ぼすことも考えられた。
従って、本発明は上記課題を解決することができる手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
すなわち、請求項1に係る発明は、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)が一定ピッチ(p)で形成されるべき、熱可塑性接着剤層(11)が形成された第一の導電性細帯(21)と、各導電性パターン(13)の前記端子部(13b、13b)間を結ぶべき導電性細片(14)と同幅に形成され、熱可塑性接着剤層(12)が形成された第二の導電性細帯(14a)と、絶縁性帯状基材(10a)とを、前記熱可塑性接着剤層(11および12)を介して、前記絶縁性帯状基材(10a)を中層として重ね合わせる工程と、 前記第一の導電性細帯(21)における、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を一定ピッチで形成する仮切断工程と、前記第一の導電性細帯(21)における対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を、前記第一の導電性細帯(21)の熱可塑性接着剤層(11)を介し前記基材(10a)に接着する第一の接着工程と、前記第一の導電性細帯(21)における隣接する導電性パターン(13)の端子部(13b、13b)間に介在する部分を不要部(14b)として前記導電性細片(14)との境で前記第二の導電性細帯(14a)から切り離す切断工程と、前記第一の導電性細帯(21)における各導電性パターン(13)の前記端子部(13b、13b)間を結ぶ部分を、前記導電性細片(14)として前記第二の導電性細帯(14a)の熱可塑性接着剤層(12)を介して前記基材(10a)に接着する第二の接着工程と、前記第一の導電性細帯(21)における、前記対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン(13a)を除くその他の導電性部分(13c)を剥し取る第一の不要部除去工程と、前記不要部(14b)を前記基材(10a)から剥し取る第二の不要部除去工程と、を包含してなることを特徴とする非接触型データキャリア用導電部材の製造方法。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び前記切断工程を同時に行うことを特徴とする。
請求項3に記載されるように、請求項1に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記導電性細片(14)を、前記仮切断工程の実行とともに、前記重ね合わせ工程において重ね合わされた前記第一の導電性細帯(21)、前記第二の導電性細帯(14a)、および前記絶縁性帯状基材(10a)を有する積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動した場所において、前記積層材料(29)に対して前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程を同時に行うことを特徴とする。
請求項4に記載されるように、請求項3に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記仮切断工程の実行と同時に実行される前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程の後に、前記仮切断工程が実行された前記積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動し、前記仮切断工程が実行された前記積層材料(29)に対して、前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程が同時に行われ、前記重ね合わせ工程において重ね合わせられた積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動するごとに、前記仮切断工程の実行と同時に前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程を実行することを特徴とする。
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、第一の不要部除去工程および第二の不要部除去工程を吸引ノズルにより吸引することにより行うことを特徴とする。
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記第一の不要部除去工程および前記第二の不要部除去工程をエア吹出しノズルでエアを吹き付けることを特徴とする。
請求項7に記載されるように、 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、導電性パターン(13)がアンテナであり、導電性細片(14)がブリッジであることを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)が一定ピッチ(P)で形成されるべき、熱可塑性接着剤層(11)が形成された第一の導電性細帯(21)と、各導電性パターン(13)の前記端子部(13b,13b)間を結ぶべき導電性細片(14)と同幅に形成され、熱可塑性接着剤層(12)が形成された第二の導電性細帯(14a)と、絶縁性帯状基材(10a)とを、前記熱可塑性接着剤層(11および12)を介して、前記絶縁性帯状基材(10a)を中層として重ね合わせて一方向に送る搬送手段と、前記第一の導電性細帯(21)における、対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を一定ピッチで形成する仮切断刃(24)と、前記第一の導電性細帯(21)における前記対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る前記導電部(13a)とを有する前記導電性パターン(13)を、前記第一の導電性細帯(21)の熱可塑性接着剤層(11)を介し前記基材(10a)に接着する第一の接着手段と、前記第一の導電性細帯(21)における各導電性パターン(13)の前記端子部(13b,13b)間を結ぶ部分に、前記導電性細片(14)を用いて前記第二の導電性細帯(14a)の熱可塑性接着剤層(12)を介して前記基材(10a)に接着する第二の接着手段と、前記第一導電性細帯(21)における隣接する導電性パターン(13)の端子部(13b,13b)間に介在する部分を不要部(14b)として前記導電性細片(14)との境で前記第二の導電性細帯(14a)から切り離す切断刃(23、23)と、前記第一の導電性細帯(21)における、前記対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る前記導電部(13a)とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン(13)を除くその他の導電性部分(13c)を剥し取る第一の不要部除去手段(27)と、前記不要部(14b)を前記基材(10a)から剥し取る第二の不要部除去手段(28)と、を包含してなることを特徴とする。
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び前記切断刃(23,23)が一体化されていることを特徴とする。
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記仮切断刃(24)と、一体化されている前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び切断刃(23、23)との間隔を予め定められたピッチ(P)間隔とすることを特徴とする。
請求項11に記載されるように、請求項10に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記仮切断刃(24)、前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び切断刃(23、23)が一体化されていることを特徴とする。
請求項12に記載されるように、請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の不要部除去手段および前記第二の不要部除去手段が吸引ノズルを含むことを特徴とする。
請求項13に記載されるように、請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の不要部除去手段および前記第二の不要部除去手段がエアを吹き付けるエア吹出しノズルを含むことを特徴とする。
請求項14に記載されるように、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部とを有する導電性パターン(13a)が形成された第一の導電性細帯(21)が絶縁性基材(10a)に熱可塑性接着剤層(11)を介して接着され、導電性細片(14)がその両端部と上記端子部(13b、13b)とが合致するように前記絶縁性基材(10a)の他の面に他の熱可塑性接着剤層(12)を介して接着され、この導電性細片(14)の両端縁を整える切断刃(23、23)が前記第一の導電性細帯(21)、前記絶縁性基材(10a)、前記熱可塑性接着剤層(11、12)、を貫通することにより貫通孔(30、30)が形成されていることを特徴とする。
請求項15に記載されるように、請求項14に記載の非接触型データキャリア用導電部材において、導電性パターン(13)がアンテナであり、導電性細片(14)がブリッジであることを特徴とする。
請求項16に記載されるように、請求項14又は15に記載の非接触型データキャリア用導電部材において、前記基材(10a)の表裏面が被覆層(18、19)で覆われ、前記基材(10a)の表裏面の被覆層(18,19)が貫通孔(30、30)を通じて互いに接着していることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)が一定ピッチ(p)で形成されるべき、熱可塑性接着剤層(11)が形成された第一の導電性細帯(21)と、各導電性パターン(13)の前記端子部(13b、13b)間を結ぶべき導電性細片(14)と同幅に形成され、熱可塑性接着剤層(12)が形成された第二の導電性細帯(14a)と、絶縁性帯状基材(10a)とを、前記熱可塑性接着剤層(11および12)を介して、前記絶縁性帯状基材(10a)を中層として重ね合わせる工程と、前記第一の導電性細帯(21)における、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を一定ピッチで形成する仮切断工程と、前記第一の導電性細帯(21)における対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を、前記第一の導電性細帯(21)の熱可塑性接着剤層(11)を介し前記基材(10a)に接着する第一の接着工程と、前記第一の導電性細帯(21)における隣接する導電性パターン(13)の端子部(13b、13b)間に介在する部分を不要部(14b)として前記導電性細片(14)との境で前記第二の導電性細帯(14a)から切り離す切断工程と、前記第一の導電性細帯(21)における各導電性パターン(13)の前記端子部(13b、13b)間を結ぶ部分を、前記導電性細片(14)として前記第二の導電性細帯(14a)の熱可塑性接着剤層(12)を介して前記基材(10a)に接着する第二の接着工程と、前記第一の導電性細帯(21)における、前記対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン(13a)を除くその他の導電性部分(13c)を剥し取る第一の不要部除去工程と、前記不要部(14b)を前記基材(10a)から剥し取る第二の不要部除去工程と、を包含してなることを特徴とする非接触型データキャリア用導電部材の製造方法であるから、従来のような幅広の金属箔からブリッジのような導電性細片を打ち抜く必要がなく、第二の導電性細帯(14a)を一対の端子部(13b,13b)の両側で切断することにより導電性細片(14)を形成するので、金属箔の不要部の発生が低減し、したがって金属箔の無駄を防止することができる。
また、従来の工程数に比較して半分の工程数になるので、コストの削減、および歩留まりの向上が可能になる。
また、導電性細片(14)は第二の導電性細帯(14a)を一対の端子部(13b,13b)の両側で切断することにより形成することができ、従来のような端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)を横切るように打ち抜き刃を入れて導電性細片(14)を形成する必要がないので、簡易かつ正確に導電性細片(14)を形成することができ、端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)の断線も防止される。また、不要部(14b)は基材(10a)に仮留めされたうえで除去されるので、不要部(14b)の散乱が防止され、不要部(14b)の円滑な回収が可能になる。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び前記切断工程を同時に行うようにすれば、各工程間を搬送することによる機械的な誤差が少なくなり、確実に接着し、および正確な精度で切断を行なうことが可能となる。
請求項3に記載されるように、請求項1に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記導電性細片(14)を、前記仮切断工程の実行とともに、前記重ね合わせ工程において重ね合わされた前記第一の導電性細帯(21)、前記第二の導電性細帯(14a)、および前記絶縁性帯状基材(10a)を有する積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動した場所において、前記積層材料(29)に対して前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び前記切断工程を同時に行うようにすれば、ピッチ(P)間隔で非接触型データキャリア用導電部材を精度よく生産できるので、非接触型データキャリア用導電部材を量産するために効率的な生産方法で作成することができる。
請求項4に記載されるように、請求項3に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記仮切断工程の実行と同時に実行される前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程の後に、前記仮切断工程が実行された前記積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動し、前記仮切断工程が実行された前記積層材料(29)に対して、前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程が同時に行われ、前記重ね合わせ工程において重ね合わせられた積層材料(29)を予め定められたピッチ(P)移動するごとに、前記仮切断工程の実行と同時に前記第一の接着工程、前記第二の接着工程、及び切断工程を実行するようにすれば、非接触型データキャリア用導電部材の製造ラインを短くすることができる。また、各工程が一体となっているので、ピッチ(P)の送り精度が正確であれば、機械的な誤差の発生がなく、均一な機械的寸法の非接触型データキャリア用導電部材を効率的に量産することが可能となる。
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、第一の不要部除去工程および第二の不要部除去工程を吸引ノズル(27、28)により吸引することにより行うようにすれば、基材(21)や導電性細片(14)に非接触で不要部(14b)、およびその他の導電性部分(13c)を除去することができる。
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、第一の不要部除去工程および第二の不要部除去工程をエア吹出しノズル(30、31)でエアを吹き付けるようにすれば、基材(21)や導電性細片(14)に非接触で不要部(14b)、およびその他の導電性部分(13c)を除去することができる。また、吸引ノズル(27、28)を併用することにより不要部(14b)およびその他の導電性部分(13c)をより円滑かつ確実に除去することができる。
請求項7に記載されるように、 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、導電性パターン(13)がアンテナであり、導電性細片(14)がブリッジとすることにより、アンテナ(13)にブリッジ(14)を簡易かつ正確に取り付けることができる。
また、請求項8に係る発明は、対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)が一定ピッチ(P)で形成されるべき、熱可塑性接着剤層(11)が形成された第一の導電性細帯(21)と、各導電性パターン(13)の前記端子部(13b,13b)間を結ぶべき導電性細片(14)と同幅に形成され、熱可塑性接着剤層(12)が形成された第二の導電性細帯(14a)と、絶縁性帯状基材(10a)とを、前記熱可塑性接着剤層(11および12)を介して、前記絶縁性帯状基材(10a)を中層として重ね合わせて一方向に送る搬送手段と、前記第一の導電性細帯(21)における、対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)とを有する導電性パターン(13)を一定ピッチで形成する仮切断刃(24)と、前記第一の導電性細帯(21)における前記対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る前記導電部(13a)とを有する前記導電性パターン(13)を、前記第一の導電性細帯(21)の熱可塑性接着剤層(11)を介し前記基材(10a)に接着する第一の接着手段と、前記第一の導電性細帯(21)における各導電性パターン(13)の前記端子部(13b,13b)間を結ぶ部分に、前記導電性細片(14)を用いて前記第二の導電性細帯(14a)の熱可塑性接着剤層(12)を介して前記基材(10a)に接着する第二の接着手段と、前記第一導電性細帯(21)における隣接する導電性パターン(13)の端子部(13b,13b)間に介在する部分を不要部(14b)として前記導電性細片(14)との境で前記第二の導電性細帯(14a)から切り離す切断刃(23、23)と、前記第一の導電性細帯(21)における、前記対になった端子部(13b,13b)とこの端子部(13b,13b)間を通る前記導電部(13a)とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン(13)を除くその他の導電性部分(13c)を剥し取る第一の不要部除去手段(27)と、前記不要部(14b)を前記基材(10a)から剥し取る第二の不要部除去手段(28)と、を包含してなる非接触型データキャリア用導電部材の製造装置であるから、従来のような幅広の金属箔からブリッジのような導電性細片を打ち抜く必要がなく、第二の導電性細帯(14a)を一対の端子部(13b,13b)の両側で切断することにより導電性細片(14)を形成するので、金属箔の不要部の発生が低減し、したがって金属箔の無駄を防止することができる。
また、従来の工程数に比較して半分の工程数になるので、コストの削減、および歩留まりの向上が可能になる。
また、導電性細片(14)は第二の導電性細帯(14a)を一対の端子部(13b,13b)の両側で切断することにより形成することができ、従来のような端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)を横切るように打ち抜き刃を入れて導電性細片(14)を形成する必要がないので、簡易かつ正確に導電性細片(14)を形成することができ、端子部(13b,13b)間を通る導電部(13a)の断線も防止される。また、不要部(14b)は基材(10a)に仮留めされたうえで除去されるので、不要部(14b)の散乱が防止され、不要部(14b)の円滑な回収が可能になる。
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び前記切断刃(23,23)が一体化されていれば、各工程を同時に行うことになるので、各工程間を搬送することによる機械的な誤差が少なくなり、確実に接着し、および正確な精度で切断を行なうことが可能となる。
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造方法において、前記仮切断刃(24)と、一体化されている前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び切断刃(23、23)との間隔を予め定められたピッチ(P)間隔とすることにより、前記第一の接着、前記第二の接着、及び切断を同時に行うようにすれば、ピッチ(P)間隔で非接触型データキャリア用導電部材を精度よく生産できるので、非接触型データキャリア用導電部材を量産するために効率的な生産方法で作成することができる。
請求項11に記載されるように、請求項10に記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記仮切断刃(24)、前記第一の接着手段、前記第二の接着手段、及び切断刃(23、23)が一体化されているので、仮切断、第一の接着、第二の接着及び切断を同時に実行するようにすれば、非接触型データキャリア用導電部材の製造ラインを短くすることができる。また、各工程が一体となっているので、ピッチ(P)の送り精度が正確であれば、機械的な誤差の発生がなく、均一な機械的寸法の非接触型データキャリア用導電部材を効率的に量産することが可能となる。
請求項12に記載されるように、請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の不要部除去手段および前記第二の不要部除去手段が吸引ノズル(27、28)を含むものにすれば、基材(21)や導電性細片(14)に非接触で不要部(14b)、およびその他の導電性部分(13c)を除去することができる。
請求項13に記載されるように、請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の非接触型データキャリア用導電部材の製造装置において、前記第一の不要部除去手段および前記第二の不要部除去手段がエアを吹き付けるエア吹出しノズル(30、31)を含むものとすると、基材(21)や導電性細片(14)に非接触で不要部(14b)、およびその他の導電性部分(13c)を除去することができる。また、吸引ノズル(27、28)を併用することにより不要部(14b)をより円滑かつ確実に除去することができる。
請求項14に記載されるように、対になった端子部(13b、13b)とこの端子部(13b、13b)間を通る導電部とを有する導電性パターン(13a)が形成された第一の導電性細帯(21)が絶縁性基材(10a)に熱可塑性接着剤層(11)を介して接着され、導電性細片(14)がその両端部と上記端子部(13b、13b)とが合致するように前記絶縁性基材(10a)の他の面に他の熱可塑性接着剤層(12)を介して接着され、この導電性細片(14)の両端縁を整える切断刃(23、23)が前記第一の導電性細帯(21)、前記絶縁性基材(10a)、前記熱可塑性接着剤層(11、12)、を貫通することにより貫通孔(15、15)が形成されている非接触型データキャリア用導電部材であるから、貫通孔(15、15)の存否を目視等で確認することで、導電性細片(14)が基材(10a)に適正に取り付けられているか否かを判別することができる。
請求項15に記載されるように、請求項14に記載の非接触型データキャリア用導電部材において、導電性パターン(13)がアンテナであり、導電性細片(14)がブリッジとすることにより、貫通孔の存否を目視等で確認することで、ブリッジ(14)がアンテナ(13)に適正に接続されているか否かを判別することができる。
請求項16に記載されるように、請求項14又は15に記載の非接触型データキャリア用導電部材において、前記基材(10a)の表裏面が被覆層(18、19)で覆われ、前記基材(10a)の表裏面の被覆層(18,19)が貫通孔(15、15)を通じて互いに接着たものとすることにより、被覆層(18,19)の剥がれ等を防止することができ、耐久性に優れたICカード等とすることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1、図2及び図4(A)は、この非接触型データキャリア用導電部材の製造方法により製造することができる非接触型データキャリア用導電部材を示している。
これらの図に示すように、非接触型データキャリア用導電部材における絶縁性基材10の表裏面には、それぞれ熱可塑性接着剤層11,12がアンテナ13やブリッジ14の所望の導電性パターンに形成され、この熱可塑性接着剤層11,12の上にアンテナ13やブリッジ14のパターンに対応する導電層が積層され固着される。
絶縁性基材10は、合成樹脂製シートあるいはそれらを積層したシートにより形成される。絶縁性基材10の厚さは、大体30μm〜70μmである。絶縁性基材10は、図示例では長方形に形成されるが、その他の所望の形状とすることができる。合成樹脂としては例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。
図1及び図4(A)に示すように、上記アンテナ13は、渦巻状に形成されたアンテナ線13aや、対になった端子部13b,13bを備える。アンテナ線13aは対になった端子部13b,13b間を通っている。アンテナ線13aの一部には、対になった接続部13b,13bが形成される。
また、絶縁性基材10の裏面のブリッジ14は、金属箔製の導電性細片で形成され、リボン状の細長い長方形に形成される。
ブリッジ14は、後述するように細い帯状のアルミニウム箔等の金属箔を絶縁性基材10に貼着することにより形成される。図2及び図4(A)において、符号15は後述するように導電性細片をブリッジ14として整える際に導電性細片の両端に切断刃により形成される切抜き部分を示す。
上記非接触型データキャリア用導電部材を非接触型データキャリアとして機能させるには、上記アンテナ13の端子部13b,13b間を電気的に導通させなければならない。そのため、図3及び図4(B)に示すように、上記非接触型データキャリア用導電部材におけるアンテナ13の対になった端子部13b,13bとブリッジ14の両端部とが接合され、アンテナ13の導電層とブリッジ14の導電層との間の電気的導通が確保される。
この電気的導通は、例えばアンテナ13の対になった端子部13b,13bとブリッジ14の両端部とを絶縁性基材10の厚さ方向で超音波溶接することによって行われる。図3及び図4(B)において、符号16,16は超音波振動子により押圧されることにより形成された凹陥部を示す。その他、上記電気的導通は、抵抗溶接、機械的カシメ、スルーホール等によっても行うことができる。
また、上記非接触型データキャリア用導電部材を非接触型データキャリアとして機能させるため、図3に示すように、アンテナ13の対になった接続部13b,13bにICチップ17が乗せられ、電気的に接続される。
上記の如くブリッジ14がアンテナ13に電気的に接続され、ICチップ17が搭載された非接触型データキャリア用導電部材は、例えば図5に示すように絶縁性基材10の表裏面がカード用被覆層18,19で覆われることにより例えばICカードとされる。
図5において、符号18a,19aは絶縁性基材10の表面と裏面にそれぞれアンテナ13の導電層及びブリッジ14の導電層の上から被せられる芯材層を示し、符号18b,19bは芯材層18a,19aの表面をそれぞれ覆う表面層を示す。芯材層18a,19aはカードとしての強度を与える樹脂シート等を含んでおり、表面層18b,19bは所望の内容を表示する印刷インキ層等を含んでいる。
上記構成のICカードの使用に際して、ICチップ17に対して図示しない読取書込器により電磁界内において種々の情報の読み取り又は書き込みが行われる。この読み取り又は書き込みに使用される周波数は、例えば8MHz〜208MHzである。
次に、図1、図2及び図4(A)に示した非接触型データキャリア用導電部材1の製造方法及び装置について、図6に基づいて説明する。
図6に示すように、対になった端子部13b,13bとこの端子部13b,13b間を通るアンテナ線13aである導電部とを有するアンテナ13の導電性パターンが一定ピッチで形成されることになる第一の導電性細帯21が、矢印で示す方向に所定のピッチpで間欠送りされる。図6中、符号22は第一の導電性細帯21を絶縁性帯状基材10aに押し当てるためのローラを示す。この第二の導電性細帯14aの絶縁性帯状基材10aに対向する片面には、熱可塑性接着剤層11(図4参照)が形成されている。熱可塑性接着剤層11の材料である熱可塑性接着剤としては、ポリエステル系接着剤を用いることができる。ポリエステル系接着剤は80℃程度で加熱することにより粘着性を呈し、比較的熱に弱いPET製の絶縁性帯状基材10aに第二の導電性細帯14aを接着するのに好適である。
また、上記各アンテナ13の端子部13b,13b間を結ぶべき導電性細片であるブリッジ14と同幅に形成された第二の導電性細帯14aが、上記アンテナ13の端子部13b,13bで合致するように絶縁性帯状基材10aに重ね合わせられる。図6中、符号20は第二の導電性細帯14aを絶縁性帯状基材10aに押し当てるためのローラを示す。さらに、第一の導電性細帯21と同様に、矢印で示す方向に所定のピッチpで間欠送りされる。この第二の導電性細帯14aの絶縁性帯状基材10aに対向する片面には、第一の導電性細帯21と同様に、熱可塑性接着剤層12(図4参照)が形成されている。熱可塑性接着剤層12の材料である熱可塑性接着剤としては、ポリエステル系接着剤を用いることができる。ポリエステル系接着剤は80℃程度で加熱することにより粘着性を呈し、比較的熱に弱いPET製の絶縁性帯状基材10aに第二の導電性細帯14aを接着するのに好適である。
また、第一の導電性細帯21と第二の導電性細帯14aとに挟まれる中層としての絶縁性帯状基材10aが、第一の導電性細帯21と第二の導電性細帯14aとの搬送と同期して矢印で示す方向に所定のピッチpで間欠送りされる。すなわち、重なり合った第一の導電性細帯21と第二の導電性細帯14aと絶縁性帯状基材10aとの重畳体(積層材料29)は、矢印で示す方向に所定のピッチpで間欠送りされる。絶縁性帯状基材10aは図1乃至図4に示した絶縁性基材10の連続体である。
この絶縁性帯状基材10a(および重畳体(積層材料29))を送る搬送手段は、図示しないが例えば絶縁性帯状基材10aを上下から挟むローラ、サーボモータ等で構成することができ、ローラをサーボモータで間欠回転させることにより絶縁性帯状基材10aを矢印方向に間欠的に走行させることができる。また、絶縁性帯状基材10aの左右両側に形成された図示しないマージナルパンチホールにピン車を係止し、ピン車を間欠回転させることによっても搬送することができる。
さらに、第一の導電性細帯21における、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を一定ピッチで形成する仮切断刃24と、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を第一の導電性細帯21の熱可塑性接着剤層11を介し基材10aに接着する加熱盤26(第一の接着手段)と、重畳体の送り方向に沿って、第二の導電性細帯14aにおける各アンテナ13の端子部13b,13b間を結ぶ部分をブリッジ14として熱可塑性接着剤層12を介し絶縁性帯状基材10aに接着する加熱盤25(第二の接着手段)と、上記不要部14bをブリッジ14との境で第二の導電性細帯14aから切り離す切断刃23,23と、前記第一の導電性細帯21における、前記対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン13aとを除くその他の絶縁性帯状基材10aに仮留めされた導電性部分13cを剥し取る第一の不要部除去手段27と、絶縁性帯状基材10aに仮留めされた不要部14bを絶縁性帯状基材10aから剥し取る第二の不要部除去手段28とが配置される。
また、本実施形態においては、図6に示したように、第一の導電性細帯21における、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を一定ピッチで形成する仮切断刃24と、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を第一の導電性細帯21の熱可塑性接着剤層11を介し基材10aに接着する加熱盤26(第一の接着手段)と、重畳体の送り方向に沿って、第二の導電性細帯14aにおける各アンテナ13の端子部13b,13b間を結ぶ部分をブリッジ14として熱可塑性接着剤層12を介し絶縁性帯状基材10aに接着する加熱盤25(第二の接着手段)とは、一つの基盤31(彫刻刃)に一体として形成されている。
さらに、詳述すると、基盤31の上流側には、第一の導電性細帯21における、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を一定ピッチで形成する仮切断刃24が設けられ、基盤31の下流側には、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン13を第一の導電性細帯21の熱可塑性接着剤層11を介し基材10aに接着する加熱盤26(第一の接着手段)と、重畳体の送り方向に沿って、第二の導電性細帯14aにおける各アンテナ13の端子部13b,13b間を結ぶ部分をブリッジ14として熱可塑性接着剤層12を介し絶縁性帯状基材10aに接着する加熱盤25(第二の接着手段)とが基盤31に一体として形成されている。
加熱盤25,26は、上記重畳体の搬送方向に設けられる。加熱盤25が設けられることで、ブリッジ14が絶縁性帯状基材10aやアンテナ13の端子部13b,13bに、強固に接着されることになる。この加熱盤25は、ブリッジ14の形状に合致する形状の加熱面を有する。
また、加熱盤26が設けられることで、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン13aが絶縁性帯状基材10aに、強固に接着されることになる。この加熱盤25は、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン13aの形状に合致する形状の加熱面を有する。
切断刃23,23は、基盤31に設けられる。切断刃23,23はそれぞれ第二の導電性細帯14aを横断するように配置され、ブリッジ14の長さに対応した間隔で設けられる。
上流側の仮切断刃24及び下流側の加熱盤25、加熱盤26、切断刃23,23は、重畳体の搬送方向に一ピッチpずれるように配置される。そして、前述したように、上流側の仮切断刃24及び下流側の加熱盤25、加熱盤26、切断刃23,23のすべては、一枚の板状の基盤25に固定されることにより一体化されている。基盤25内には図示しない電気熱線が組み込まれ、この電気熱線の熱が加熱盤25および加熱盤26に伝わるようになっている。
基盤25は加熱盤25,加熱盤26等が第一の導電性細帯21に対峙するように重畳体の上方に配置される。また、重畳体を間に挟んで基盤25に対向するように重畳体の下方には基台30が設けられる。
ただし、本実施形態は、上述した図6における上方から基盤25、重畳体、基台30の順番に配置される場合に限定されるわけではなく、図6における一番上方に基台30があり、一番下方に基盤25があり、基台30と基盤25との間に重畳体が搬送される形態とすることも可能である。この場合には、重畳体の層構成は図6と逆になる。すなわち、図6において重畳体の最下層は第一の導電性細帯21となり、重畳体の最上層は第二の導電性細帯14aとなり、中層に絶縁性帯状基材10aが位置するようになる。また、図6において基盤25の上面側に仮切断刃24、加熱盤25、加熱盤26、および切断刃23,23が設けられる。
第一の不要部除去手段および第二の不要部除去手段は、吸引ノズル27並びに吸引ノズル28及びエア吹出しノズル30並びにエア吹出しノズル31を含むものとして構成される。
吸引ノズル27は重畳体の搬送方向に見て下流側の基盤25よりも更に下流側において、その吸引口27aが第一の導電性細帯21に対峙するように配置される。吸引ノズル27は図示しないブロア等の駆動により負圧を生じ、その吸引口27aから第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cを絶縁性帯状基材10aに非接触で吸引し除去するようになっている。
エア吹出しノズル30は、吸引ノズル27の近傍において、その吹出し口30aが第一の導電性細帯21と絶縁性帯状基材10aとの間にエアを吹き付けることができるように配置される。エア吹出しノズル30は、図示しないブロア等から供給されるエアを吹出し口30aから第一の導電性細帯21に向かって吹き出し、絶縁性帯状基材10aに仮留めされた第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cを絶縁性帯状基材10aから剥し取る。これにより、第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cは非接触で絶縁性帯状基材10aから確実に除去される。
なお、吸引ノズル27及びエア吹出しノズル30は、この実施形態のように併用してもよいし、各々単独で設けて吸引又はエア吹き付けによって第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cを基材10aから除去するようにしてもよい。
吸引ノズル28は重畳体の搬送方向に見て下流側の基盤25よりも更に下流側において、その吸引口28aが第二の導電性細帯14aに対峙するように配置される。吸引ノズル28は図示しないブロア等の駆動により負圧を生じ、その吸引口28aから第二の導電性細帯14aの不要部14bを絶縁性帯状基材10aに非接触で吸引し除去するようになっている。
エア吹出しノズル31は、吸引ノズル28の近傍において、その吹出し口31aが第二の導電性細帯14aと絶縁性帯状基材10aとの間にエアを吹き付けることができるように配置される。エア吹出しノズル31は、図示しないブロア等から供給されるエアを吹出し口31aから第二の導電性細帯14aに向かって吹き出し、絶縁性帯状基材10aに仮留めされた不要部14bを絶縁性帯状基材10aから剥し取る。これにより、不要部14bは非接触で絶縁性帯状基材10aから確実に除去される。
なお、吸引ノズル28及びエア吹出しノズル31は、この実施形態のように併用してもよいし、各々単独で設けて吸引又はエア吹き付けによって不要部14bを基材10aから除去するようにしてもよい。
図6に示すように、第一の導電性細帯21、絶縁性帯状基材10a、および第二の導電性細帯14aが重なった重畳体が、矢印方向に所定のピッチpで間欠送りされると、重畳体が停止する都度上記基盤25が矢印方向に一往復する。
これにより、基盤25が上下に一往復することにより重畳体の一ピッチ内に図1、図2及び図4(A)に示した一つの非接触型データキャリア用導電部材が形成されることになる。
すなわち、基盤25が上下方向に一往復すると、上流側の仮切断刃24が、第一の導電性細帯21において、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部13aとを有する導電性パターン(アンテナパターン)13を一定ピッチで形成する。これにより、アンテナパターンが絶縁性帯状基材10aに接着した状態で形成される。仮切断刃24は、第一の導電性細帯21を切断するが、絶縁性帯状基材10aは切断しないように仮切断刃24の位置調整が成される。
また、同時に(基盤25の一往復目の下降時に)、基盤25の下流側では、加熱盤25がアンテナ13の端子部13b,13b間に第二の導電性細帯14aのブリッジ14に相当する部分を押し付け熱圧着する。これにより、ブリッジ14に相当する部分の熱可塑性接着剤層12が熱により粘着性を呈し、このブリッジ14に相当する部分が絶縁性帯状基材10aに接着する。
さらに、同時に(基盤25の一往復目の下降時に)、基盤25の下流側では、加熱盤26が、対になった端子部13b、13bとこの端子部13b、13b間を通る導電部とを有する一定ピッチで形成された導電性パターン13aを押し付け熱圧着する。これにより、導電性パターン13aに相当する部分の熱可塑性接着剤層11が熱により粘着性を呈し、この導電性パターン13aに相当する部分が絶縁性帯状基材10aに接着する。
さらに、同時に(基盤25の一往復目の下降時に)、二枚の切断刃23,23が第一の導電性細帯21および絶縁性帯状基材10aを貫通しつつ、第二の導電性細帯14aを押し付けるようにして切断する。これにより、第二の導電性細帯14aのブリッジ14と不要部14bとの境が切断され、ブリッジ14の両端縁が整えられる。また、その際二枚の切断刃23,23によって図2及び図4(A)に示したような貫通穴15,15が第一の導電性細帯21および絶縁性帯状基材10aに形成される。
更に、基盤25が二往復目の上昇を行い、重畳体が更に一ピッチ進んで停止し、基盤25が下降すると、上流側の仮切断刃24、および下流側の加熱盤25、加熱盤26および切断刃23、23が、上述した工程を繰り返す。
以上のように基盤25が上下方向に一往復するごとに重畳体に一つのアンテナ13が形成されると共に、重畳体の一つのアンテナ13に対するブリッジ14の取り付けが完了し、このような基盤25の上下往復動が繰り返されることによりブリッジ14が取り付けられたアンテナ13が連続して基盤25外へと送り出される。また、第二の導電性細帯14aにおけるブリッジ14,14間の不要部14b、および第一の導電性細帯21におけるその他の導電性部分13cが絶縁性帯状基材10aに仮留めされた状態で絶縁性帯状基材10aと共に基盤25外へと送り出される。
基盤25外へと送り出された重畳体は吸引ノズル28の直上へと搬送され、その表面が吸引ノズル28の吸引口28aにより吸引される。また、エア吹出しノズル31の吹出し口31aからのエアが不要部14bと絶縁性帯状基材10aとの間に送られる。これにより、絶縁性帯状基材10aに仮留めされた第二の導電性細帯14aの不要部14bが絶縁性帯状基材10aから剥し取られ、吸引ノズル28内に吸引されて図示しない集塵袋等に回収される。
同様に、基盤25外へと送り出された重畳体は吸引ノズル27の直下へと搬送され、その表面が吸引ノズル27の吸引口27aにより吸引される。また、エア吹出しノズル30の吹出し口30aからのエアが第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cと絶縁性帯状基材10aとの間に送られる。これにより、絶縁性帯状基材10aに仮留めされた第一の導電性細帯21のその他の導電性部分13cが絶縁性帯状基材10aから剥し取られ、吸引ノズル27内に吸引されて図示しない集塵袋等に回収される。
この第二の導電性細帯14aにおけるブリッジ14,14間の不要部14b、および第一の導電性細帯21におけるその他の導電性部分13cが除去された重畳体は、図3及び図4(B)に示したように電気的導通処理、ICチップ装着処理、裁断処理等の後工程に付され、更には図5に示したような例えばICカードに加工される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では重畳体を間欠送りしつつ非接触型データキャリア用導電部材を製造するようになっているが、基盤をロータリー式に改変して重畳体を連続送りすることで非接触型データキャリア用導電部材を製造するようにしてもよい。また、実施の形態では絶縁性帯状基材をPET等の合成樹脂で構成したが、紙又は紙と樹脂との積層体で絶縁性帯状基材を構成することも可能である。