JP5016926B2 - 架橋したヒアルロナンおよび/またはハイランに由来する粘着性ゲル、その調製および使用法 - Google Patents

架橋したヒアルロナンおよび/またはハイランに由来する粘着性ゲル、その調製および使用法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、天然ポリマーおよび合成ポリマーをジビニルスルホン(DVS)で修飾することによって作られた材料(例えば、ゲル、流体、および固体)の生成、ならびにこれらの材料が有する独特の化学的特性、物理化学的特性、および機械的特性に関する。本発明はまた、多くの応用分野におけるこれらの材料の使用(例えば、医療分野および外科分野における、注射可能な装置および/または移植可能な装置としての使用;高分子薬物および低分子薬物ならびに他の治療剤のための薬物送達システムとしての使用;化粧品用途および局所用途のための使用)に関する。なお、本願は、2003年12月30日に出願された米国特許出願第60/533,429号に対して優先権を主張する。米国特許出願第60/533,429号はその全体が参照により本発明に組み入れられる。
発明の背景
並外れて優れた生体適合性を有するヒドロゲルが開発されている。これらのゲルは、ヒアルロナン(ヒアルロン酸およびその塩)、ならびに/またはハイラン(hylan)およびその塩をベースとしている。これらのゲルはまた、DVSと架橋したヒアルロナンもしくはハイラン(図1および図2,米国特許第4,605,691号および同第6,521,223号も参照)、ならびに/またはヒアルロナンと他のポリマーまたは低分子量物質との架橋混合物(米国特許第4,582,865号)もベースとしている。ハイランAは、少量のアルデヒド(一般的に、ホルムアルデヒド)との共有結合架橋によって化学修飾された水溶性ヒアルロナン調製物であるのに対して、ハイランBは、ハイランAがDVSによってさらに架橋されたものである(米国特許第4,713,448号参照)。ヒアルロナン、化学修飾ヒアルロナン、およびハイランから調製されたゲルスラリーも説明されている(米国特許第5,143,724号)。このようなヒドロゲルは、薬物送達(米国特許第4,636,524)および医療分野での他の目的に使用することができる。しかしながら、これらのゲルおよびゲルスラリーには、弾力性、粘着性、および接着性がない。
発明の概要
本発明は、その1つの局面において、架橋したヒアルロナンおよび/もしくはハイラン、またはヒアルロナンもしくはハイランと、DVSと架橋することができる他の親水性ポリマー(グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン4-硫酸およびコンドロイチン6-硫酸、キトサン);ポリアニオン多糖(例えば、セルロースのアルキルカルボキシエーテル誘導体およびその塩、アルギン酸およびその塩、ならびにポリヘキスロン酸(例えば、ペクチン、ポリグルクロン酸、およびポリマンヌロン酸);他の非荷電多糖(例えば、デンプン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、プルラン、カードラン、イヌリン、ならびにセルロースおよびそのヒドロキシアルキルエーテル誘導体);多糖ゴム(例えば、キサンタンガム、アラビアゴム(Arabic)、アラビアゴム(Acacia)、およびガーゴム(Guar)、ならびにこれらのアルキルカルボキシエーテル誘導体およびヒドロキシアルキルエーテル誘導体);ならびに合成ポリマー(例えば、ポリビニルアルコールおよびポリエチレンイミン)などがあるが、これに限定されない)との混合ゲルからなる粘着性、接着性、および弾力性の高いゲルを提供する。これらのゲルは、選択されたポリマー初濃度(IPC)と特定のDVS濃度またはDVS:ヒアルロナンおよび/もしくはハイラン比、ならびに/あるいは水性酸性媒体において行われる洗浄手順から調製される。本発明の様々な態様において、用語「ポリマー初濃度」(以下「IPC」)は、出発反応条件下での反応物の重量による濃度を意味する。2種類以上の出発ポリマーが反応に用いられる場合、ポリマー初濃度は、出発反応条件下での出発ポリマーの重量による総濃度を意味する。用語「ポリマー終濃度」(以下「FPC」)は、全ての処理が完了した後の修飾ポリマーの重量による濃度を意味する。2種類以上の出発ポリマーが反応に用いられる場合、ポリマー終濃度は、全ての処理が完了した後の修飾ポリマーの重量による総濃度を意味する。
別の局面において、本発明は、ヒアルロナンおよび/またはハイランをDVSで修飾し、これらの材料を水性酸性媒体(pH<4.0)で洗浄する方法を行うことによって形成された粘着性および弾力性の高いゲルを提供する。このような洗浄方法は、結果として得られる材料の機械的特性、粘着性、および弾力性を高めるのに重要である。
なお別の局面において、本発明は、低IPCで、ヒアルロナンおよび/またはハイランをDVSで修飾することによって形成された粘着性および弾力性の高いゲルを提供する。これらのゲルは特性および流動がさらに液体様になり、保存容器の形状に適合する。
さらに別の局面において、本発明は、比較的低いIPCで比較的高い機械的強度を有し、かつ低い流動性を示す、粘着性および弾力性の高いゲルを提供する。これらの材料は、透析チューブ内で洗浄した後に、前の容器の原形をとどめている。前記の米国特許第4,582,865号、同第4,605,691号、同第4,636,524号、同第4,713,448号、および同第5,143,724において、DVSとの架橋によってヒアルロナンおよび/またはハイランならびに他の多糖から形成された様々な種類のゲルの調製、特性、および使用が説明された。しかしながら、これらの特許に記載の材料の特性は本発明のものとはかなり異なる。すなわち、以前のゲルは、硬く、弾力性および粘着性のないゲルである。これらのゲルは、洗浄中または洗浄後に小さく不均一な粒子に容易に分解することができる。比較として、本発明のゲルは弾力性および粘着性があり、粒状にした後でさえも、再形成し、単一構造としてふるまう傾向が強い。
本発明は、前記のゲルを生成する方法を提供する。本発明はまた、水性酸性媒体(pH<4.0、好ましくは、pH2.0〜3.0、より好ましくは、2.3〜2.8の塩溶液を含む)でゲルを洗浄し、その後に、塩水溶液で洗浄し、塩水溶液単独で、または無機塩基もしくは有機塩基を用いてpHを4.5〜6.5にゆっくり調節する方法を提供する。所望であれば、材料を生理学的pH(6.9〜7.4)にするために、緩衝塩溶液を用いた最終洗浄工程を行ってもよい。
本発明は、ゲルを単独で、または薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と一緒に、注射可能なおよび/または移植可能な薬物送達システムとして(例えば、多くの種類の開腹手術(open surgery)、腹腔鏡下手術、関節鏡手術、または他の内視鏡手術(腹部手術、婦人科学的手術、心臓手術、脊髄手術、神経手術、整形手術、頭蓋手術、洞手術、および胸部手術を含むが、これに限定されない)における手術前または手術後の抗癒着材料として);眼手術(例えば、水晶体超音波吸引)において;硝子体液(vitreal fluid)の交換に;軟部組織の構造欠陥、組織増大、および創傷治癒を治すための充填材(filler)として;美容外科における瘢痕およびしわを治療するために;動脈瘤または静脈瘤を治療するための、および固形腫瘍への血流を阻止するための塞栓を作るために使用する方法を提供する。薬学的に許容される担体または賦形剤は、食塩水、ジメチルスルホキシド、ポリエチレングリコール、ヒアルロナン、グリセロール、およびリン脂質の溶液およびエマルジョンから選択することができるが、これに限定されない。さらに、本発明は、ゲルを、生物学的に活性な材料(薬物、細胞、タンパク質、DNA、およびビタミンを含む)の送達システムとして、ならびに眼科適応および創傷治癒適応の材料として使用するのに有用である。薬学的に活性な分子または薬物は、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびピロキシカム);麻酔薬(例えば、リドカインおよびブピバカイン);オピオイド鎮痛薬(例えば、コデインおよびモルヒネ);抗不整脈薬(anti-arrythmics)(例えば、アミオダロン、プロプラノロール、およびソタロール);コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾン);ならびに抗新生物薬(例えば、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、およびパクリタキセル);ならびに抗ウイルス薬(例えば、アシクロビルおよびビダラビン)から選択することができるが、これに限定されない。
最後に、本発明は、慢性関節リウマチの治療のための、関節の粘度補充療法(viscosupplementation)のための、眼適応のための、変形性関節症の治療のための、および創傷治癒のための装置としての、ゲルを含む薬学的組成物について述べる。
本発明はまた、出発ポリマーを修飾する間のポリマー:DVSの重量比および洗浄条件を制御することによって、本発明のポリマー材料の化学的特性、物理化学的特性、および機械的特性を制御する方法も提供する。
好ましい態様において、本発明は、変形性関節症(一般的に、膝の変形性関節症であるが、必ずしも膝の変形性関節症とは限らない)による疼痛の治療における使用を目的とした関節粘度補充療法装置を提供する。この装置は、膨張したヒドロゲルと非修飾流体を含む滅菌非発熱性組成物の1回用量を有する、予め充填された注射器である。膨張したヒドロゲルと非修飾流体は両方とも、好ましくは、分子量が1MDaを超え、pHおよびオスモル濃度が正常滑液と適合する細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムから得られるが、必ずしも、そうであるとは限らない。ヒドロゲル成分は、好ましくは、アルカリ条件下で細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ヒアルロン酸ナトリウムを修飾することによって、細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムから作られる。次いで、修飾されたヒアルロン酸ナトリウムは酸性食塩水で洗浄され、不純物を除去するためにリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。流体成分は、溶液(好ましくは、リン酸緩衝食塩水に溶解した細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムの溶液)である。2種類の成分は、ゲル:流体が重量比約80:20で混合される。ヒドロゲル成分のポリマー含有率は、8.25±1.5mg/ml、好ましくは、8.25±0.75mg/mlである。流体成分のポリマー含有率は、2.25±1.0mg/ml、好ましくは、2.25±0.25mg/mlである。従って、生成物の総ポリマー含有率(修飾および非修飾)は、10.5±2.5mg/ml、好ましくは10.5±1.0mg/mlである。生成物のレオロジー的性質は、剪断粘度(200Hz)30〜100Pas、貯蔵弾性率(5HzでのG')20〜150Pa、位相角(5Hzでのδ)35°未満である。
別の好ましい態様において、本発明は、変形性関節症(一般的に、膝の変形性関節症であるが、必ずしも膝の変形性関節症とは限らない)による疼痛の治療における使用を目的とした関節粘度補充療法装置を提供する。この装置は、膨張したヒドロゲルを含む滅菌非発熱性組成物の1回用量を有する、予め充填された注射器である。膨張したヒドロゲルは、好ましくは、分子量が1MDaを超え、pHおよびオスモル濃度が正常滑液と適合する細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムから得られるが、必ずしも、そうであるとは限らない。ヒドロゲルは、好ましくは、アルカリ条件下で細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ヒアルロン酸ナトリウムを修飾することによって、細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムから作られる。次いで、修飾されたヒアルロン酸ナトリウムは酸性食塩水で洗浄され、不純物を除去するためにリン酸緩衝食塩水で洗浄される。最終生成物におけるヒドロゲルのポリマー含有率は8.25±1.75mg/mlである。生成物のレオロジー的性質は、剪断粘度(200Hz)30〜100Pas、貯蔵弾性率(5HzでのG')20〜150Pa、位相角(5Hzでのδ)35°未満である。
発明の詳細な説明
本発明は、IPC、出発試薬の比などのプロセスパラメータを制御しながら、修飾試薬としてDVSを用いて、ヒアルロナンおよび/またはハイランを、単独で、および/または他のポリマー(天然および合成)と混合して修飾し、さらに、処理された材料を洗浄することによって、独特かつ有用な特性を有する材料を形成することができるという発見に基づいている。本発明は、DVSとの架橋反応によって形成された、均一な、単一の、かつ弾力性のある構造を有するゲルを提供する。これらのゲルは、もろいまたは壊れやすいゲルの場合のように小さな粒子に容易に分解されない。これらの生成物から「パテ」様の材料または弾力性のある材料が得られ、細かく切られた後に、粒子は粘着性が高いために合体する傾向がある。これらのタイプの粘着性のある壊れにくいゲルは、架橋反応条件、洗浄、IPC、およびDVS量のある特定の組み合わせを使用することによって得られることが観察されている。これらのゲルの機械的特性はこれらの条件の全てに左右されるが、最も重要なことには、使用されるDVS:ポリマー比(DVS:Pol)および酸洗浄に左右される。DVS:Pol比は、図3に示したようにIPCに反比例する。特定の機序によって限定されることを意図しないが、ポリマー濃度が低いほど、ゲル形成に必要とされるDVSの量は多くなると考えられる。これは、DVS濃度がIPCと正比例する、以前に述べられたゲルとは異なる。
希薄溶液では、ポリマー鎖は長距離によって分離され、ポリマー分子間の相互作用は極めて小さい。この状態では、溶液は、外力(例えば、重力、または撹拌機からの衝撃)の結果として自由に流動する。ポリマー濃度が上がるにつれて、溶液中の分子の数は増加するので、ポリマー鎖は接近せざるを得ず、それによって、分子間相互作用が高まる。極めて濃縮した溶液の場合、鎖は互いにからまり合い、相互作用は増大し、粘度は著しく高まり、溶液は、濃縮溶液からゲルへと転移し始める。ゲルは外力の結果として容易に変形せず、形状を変えない。共有結合架橋は、ポリマー鎖の相互作用を著しく高めてゲルを形成する方法の1つである。
貯蔵弾性率(storage modulus, storage elastic modulus)(G')および損失弾性率(loss modulus, loss viscous modulus)(G'')は、それぞれ、変形率(試験周波数)が変化するときに材料が回復(弾性応答)することができる相対的な程度、および流動(粘性応答)することができる相対的な程度を表している。両弾性率とも周波数の一次関数である。これらはポリマー溶液およびゲルの構造の感度の高いプローブ(probe)であることが分かっている。G'およびG''は両方とも周波数が上がるにつれて増加するが、一方は他方より速く増加する。G'=G''である点では、この周波数は交差周波数(fc)と呼ばれる。ポリマーの分子量または濃度が上がるにつれて、交差周波数は低下する。低周波数のポリマー溶液の場合、弾性応力は減少し、粘性応力が優位に立ち、結果として、fc未満の周波数でG''はG'より大きい。対照的に、ゲルの場合、G'とG''の間には交差はなく、周波数範囲全体にわたってG'はG''より大きい。特別の定めのない限り、試験周波数は0.04〜7 Hzである。複素弾性率Gは、弾性成分 (G') および粘性成分 (G'')の両方を反映している。これは、レオメーターを用いた振動試験の応力振幅とひずみ振幅の比として計算される。以下の関係:G'=GcosδおよびG''=Gsinδが存在する(式中、δは位相角である)。粘弾性材料の物理的性質およびこれらの特性を測定する方法の詳細な概要については、例えば、「Polymers as Rheology Modifiers」Schulz and Glass編, ACS Symposium Series 462,1991;An Introduction to Rheology」H. A. Barnes, J. F. Hutton and K. Walters, Elsevier, 1989;ならびにBohlin Rheometer Application Notes MRK544-01、MRK556-01、およびMRK573-01を参照。
低IPCから作られた本発明のゲルの特徴は、希薄溶液において起こる反応の結果であると考えられる。希薄溶液では、ポリマー分子は互いに近接しておらず、修飾薬剤DVSのビニル部分の1つだけがポリマーと反応し、ペンダント基を形成するか、またはDVSが完全に加水分解し、別の近くのポリマー分子と架橋しない傾向がある。従って、特定の特性を有するように材料を作るために、大量の修飾試薬と低IPC溶液を使用することが望ましい。ゲルの特性はまた、出発ポリマーの分子量(MW)(固有粘度,H. Bothner, T. Waaler and O. Wik ;International Journal of Biological Macromolecules [1988]10, 287-91;またはMW<4MDaではマルチアングルレーザー光散乱によって求められる)に左右される。高MWポリマーから作られたゲルと同様の特性を得るためには、低MWポリマーは高いDVS:Pol比を必要とする。
本発明の1つの好ましい態様は、精製され、化学修飾されていないヒアルロン酸またはその塩を出発材料として使用する方法によって生成された、弾力性のあるポリマーゲルクラスの例である。この出発材料は、調製中に化学修飾されなければ、動物組織または細菌から調製されてもいよい。次いで、出発材料とジビニルスルホンを反応させて、ゲルを形成する。次いで、結果として得られたゲルを、水性酸性(pH<4)洗浄工程にかける。この一般的な方法によって生成されたゲルは、軟らかく、弾力性があり、もろくないという望ましい機械的特性を有する。用語「ハイラスタン(hylastan)」は、一般的に、この方法によって作られたゲルのクラスを意味する。
適切なポリマーの平均MWは約500KDa〜約10MDaでもよいが、好ましくは、約1.3MDa〜約8MDaである。低MWは、好ましくは、約0.5MDa〜約1.3MDaであり、中MWは、好ましくは、約1.3MDa〜約2.7MDaであり、高MWは、好ましくは、約2.7MDa〜約10MDaである。ヒアルロン酸ナトリウムのMWは、好ましくは、約0.5MDa〜約4MDaであり、供給源によって、約0.5MDa〜約1.3MDaまたは約1.3MDa〜約2.7MDaである。ハイランのMWは、好ましくは、約3MDa〜約10MDaから選択され、最も好ましくは、約3〜6MDaまたは約4〜8MDaから選択される。出発ポリマーのIPCは0.25%〜8%w/wで変化してもよい。IPCが3〜10%w/wの範囲にある時、またはより好ましくは3〜6%w/wの範囲にある時、DVS:ポリマー(DVS:Pol)の比は、0.0025〜0.05w/w、好ましくは、0.0025〜0.025w/w、またはより好ましくは0.0025〜0.01w/wで変化してもよい。IPCが0.25〜0.9%w/wの範囲にある時、DVS:ポリマー(DVS:Pol)の比は1.4〜17.7w/wで変化してもよい。修飾の反応時間も変更してよいが、IPCに応じて、好ましくは、24時間以下であり、より好ましくは、4〜24時間である。高MWポリマー(例えば、ハイランA)の場合、0.15%w/w以下のIPCでは、どんなDVS濃度が用いられても、前記のようにDVSが自己重合するか(self-polymerize)、加水分解するか、ポリマー上にペンダント基を形成する傾向があるために、ゲル化は起こるように思われない。0.25〜0.9%w/wのIPCでは、ゲル形成は起こり、前記のように、ゲルを形成し、ゲルに粘着性および弾力性を付与するために、ある特定の最小限のDVS:ヒアルロナン比が必要とされる。DVS:Pol比がわずかに増加すると、ゲルの強度が上がり、弾力性および粘着性が下がるのに対して、この比がわずかに減少すると、ゲルは液体様になり、弾力性が上がる。従って、DVS:Pol比を変更すると、ある特定の目的に合うようにゲルを作ることができる。修飾後の洗浄手順はゲルの機械的特性に影響を及ぼし、酸洗浄は弾力性および粘着性に寄与する。結果として得られる酸洗浄されたゲルは、同様のポリマー濃度およびDVS濃度で調製されているが酸洗浄されていないゲル(例えば、ハイランB)より軟らかく (複素弾性率値,Gが低い)、弾力性が高く(降伏ひずみが高い)、もろくない。高IPCのゲルは、熱処理の際に(滅菌医療製品を製造するのに必要な滅菌の間に)、同様のIPCを有するハイランB(例えば)のゲルが硬さを維持するのに対して、弾力性が高くなる傾向がある。低IPCのゲルは非常に軟らかく、弾力性があり、熱処理をすると弾力性および粘度が低下する。
他の適切なポリマーの平均MWは500KDa以下であってもよい。超低MWポリマーのMWは、30KDa〜500KDa、例えば、30〜100KDa、100〜200KDa、200〜500KDa、200〜400KDa、200〜300KDa、300〜500KDa、および300〜400KDaであってもよい。
望ましい粘弾性を得るために、超低MWポリマーは、さらに高いIPCならびにさらに高いDVS:Pol比を必要としてもよい。例えば、超低MWポリマーのIPCは、ポリマーのMWに応じて、3〜50%(w/w)またはそれ以上で変化してもよく、さらに低いMWのポリマーはさらに高いIPCを必要とする。一般的に、図4に示したように、ポリマーのMWは、ある決まった粘度値で1/IPCと正比例するはずである。
中MWポリマー、低MWポリマー、超低MWポリマーのIPC範囲の例として、3%〜8%、3%〜12%、3%〜15%、3%〜30%、3%〜50%、8%〜12%、8〜15%、8%〜30%、8%〜50%、10%〜12%、約12%、12%〜30%、12%〜50%、および20%〜50%が挙げられるが、これに限定されない。超低MWポリマーのDVS:Pol比は、IPCに応じて、1:400〜1:20(w/w)またはそれ以下で変化してもよい。一般的に、図3に示したように、DVS:Pol比はIPCと反比例する。中MWポリマー、低MWポリマー、超低MWポリマーのDVS:Pol比の範囲の例として、約0.0025〜約20、約0.005〜約20、約0.01〜約20、0.0025〜17.7、0.005〜約17.7、0.01〜約17.7、約0.0025〜約10、約0.005〜約10、約0.01〜約10、約0.1〜約20、約0.1〜約10、約1〜約20、約1〜約10が挙げられるが、これに限定されない。
ある好ましい態様において、本発明のゲルは、以下の特徴:(a)IPC 8〜12%(好ましくは、10〜12%);(b)HA MW 500〜2500KDa(好ましくは、500〜600KDa);(c)DVS:Pol比1:200〜1:15(好ましくは、1:100〜1:15、例えば、1:50および1:60);(d)FPC約1%〜2.5%の1つまたはそれ以上を有する。ゲルは平衡状態まで洗浄されてもよく、その他の状態になるまで洗浄されてもよい。ゲルは酸洗浄されてもよく、または、中性食塩水で洗浄されてもよい。
本発明の1つの態様において、ゲルは、酸性水溶液(好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、もしくは塩化アンモニウムの酸性水溶液、またはその混合物、さらにより好ましくは、0.15M塩化ナトリウム濃度(生理食塩水)の酸性水溶液)で洗浄することができる。洗浄水溶液のpHは4.0未満または4.0でもよく、好ましくは、pH1.5〜3、2.0〜3.0であり、より好ましくは、2.3〜2.8である。次いで、ゲルは透析チューブの中で洗浄されてもよく(制限洗浄(restricted wash))、透析チューブを用いずに洗浄されてもよい(無制限洗浄(free wash))。ゲルのpHは4.0未満または4.0、好ましくは、pH2.0〜3.0、より好ましくは、2.3〜2.8に達する。次いで、ゲルのpHが4.5〜6.5になるまで、ゲルは、塩水溶液で、好ましくは、塩化ナトリウム水溶液、より好ましくは、0.15M塩化ナトリウムで洗浄されてもよい。同じIPCおよびDVS濃度で調製され、無制限洗浄条件で洗浄されたゲルについて、前記のように酸性水溶液で洗浄された後に、中性0.15M塩化ナトリウム水溶液で洗浄されたゲルの膨張率は、中性食塩水のみで洗浄されたゲルと比較して低いことが観察された。対照的に、透析チューブを使用すると、どのように洗浄されたかに関係なく、ゲルの膨張はほぼ完全に妨げられた。酸性水溶液洗浄から得られたヒアルロナンベースのゲルは、同様の濃度で調製されたハイランBゲルより弾性率が小さく、降伏ひずみが大きく、従って、軟らかく、弾力性があることも観察された。これらの材料はまた粘着性および/または接着性も高い。洗浄工程の間に断片および微粒子になるのがはっきりと分かるハイランBゲルとは異なり、これらの材料は洗浄手順の間に粒状化および断片化しにくい。このことから、酸(有機酸および無機酸)水溶液(特に、無機酸水溶液、好ましくは、塩酸水溶液)によって得られる低いpHが、ゲルの構造を、軟らかく、弾力性、粘着性、および接着性の高い材料に変え、固定したことが示唆される。酸洗浄の後に、24時間以下、規定食塩液中にゲルを保存し、その後に、ゲルをpH4.5〜6.5にゆっくりと制御して調節すると、酸洗浄プロセスによってゲルに付与された構造が維持される。ゲルのpHは、有機塩基もしくは無機塩基および/または緩衝液を用いて4.5〜6.5にゆっくりと調節されてもよい(特に、非平衡ゲルの場合)。または、平衡ゲルの場合、pHは、有機塩基もしくは無機塩基および/または緩衝液を使用することなく中性食塩水で洗浄することによって4.5〜6.5にゆっくりと調節されてもよい。必要に応じて、pHを生理学的条件にするために、ゲルは水性緩衝液で最終洗浄されてもよい。予想されるように、低IPCから調製された材料の膨張能力は、高IPCを有するものから調製された材料より実質的に低い。前者の材料の調製は多量のDVSの使用を必要とし、結果として、多くのペンダントアルキルスルホン基が予想される。IPCが0.25%w/w以下の材料の場合、透析チューブ内での膨張は極めて小さい。従って、酸洗浄と、pHのゆっくりとした調節と、アルキルスルホン基によるポリマーバックボーンの高度の単官能基化の全ての組み合わせがゲルの低膨張性に寄与している。
さらに、IPCが0.25〜0.9%w/wのポリマーから調製されたゲルは、ある特定の流動特性を有することも観察されている。これらのゲルはさらに液体様になり(粘度が低くなり)、保存容器の形状に適合する。これらの材料は比較的強いが、細いゲージの針に通すと液体のように容易に変形し、組織間の空間に流入することができる。従って、これらの材料は注射用製品として使用するのに適している。
一般的に、IPCが>1.0%w/wのポリマーから調製されたゲルは、機械的に強く、弾力性および接着性があるように合成することができる。これらの材料は、透析チューブの中での洗浄時に、容器内での保存時間に関係なく、チューブから取り外されると形を保っている。これらのゲルは、高いIPCが用いられ、多くの架橋を含んでいる可能性があるために膨張する傾向がある。しかしながら、膨張率は洗浄条件(すなわち、前記の低いpH)によって制御することができる。膨張はまた、透析チューブを使用する、ゲルを平衡状態まで洗浄しないなどの物理的手段によって制御することもできる。これらのゲルの一部は、わずかに膨張することが望ましい移植片に有用な場合がある。これらのゲルはまた接着性を有し、一部は、皮膚、ガラス、プラスチック、軟骨などの多くの異なる表面に容易にくっつくことができる。これらのゲルは、硬いゲルを用いた場合より、配置された位置に長くとどまると予想される。ゲルの表面にあるポリマー分子は硬いゲルのポリマー分子より大きな自由度を有すると考えられ、従って、他のゲル粒子と、および接触面と良好に相互作用することができる。
IPCが0.9%以下のポリマーから作られたゲルの場合、ゲル中の高含有量のアルキルスルホニルペンダント基も、ゲルが様々な表面に接着できるように役割を果たしているのかもしれない。低IPCの出発溶液の場合、結果として得られるゲルの粘着性または接着性が高くなるように、DVS量を制御することができる。
1つの態様において、本発明は、
a.0.25重量%〜50重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
b.少なくとも1種類の出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させる工程;および
c.工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄する工程
を含む、粘着性ゲルを調製する方法を提供する。
関連した態様において、IPCは、以下の範囲:0.25重量%〜50重量%、0.25重量%〜8重量%、3重量%〜6重量%、3重量%〜10重量%、3重量%〜15重量%、8重量%〜15重量%、10重量%〜20重量%、および9重量%〜20重量%から選択される。
関連した態様において、ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)は約0.0025〜約17.7から選択される。さらなる態様において、ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)は約0.005〜約17.7から選択される。さらに別の態様において、ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)は約0.01〜約17.7から選択される。
さらなる態様において、本発明は、
a.8重量%より大(例えば、8.1重量%、8.5重量%、9重量%、9.5重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、15重量%、および20重量%)〜25重量%、30重量%、40重量%、または50重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;および
b.出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ゲルを形成する工程であって、DVS:Pol(w:w)比は、約0.0025〜約0.033、約0.05〜約0.033、または約0.01〜約0.033から選択することができる工程
を含む、粘着性ゲルを調製する方法を提供する。任意に、この方法は、工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄する工程をさらに含んでもよい。
IPCが8重量%を超えるゲルの場合、出発ポリマーの平均MWは、30KDa〜5MDa、好ましくは、30KDa〜4MDa、500KDa〜3MDa、または500KDa〜2.5MDaから選択される。このような態様において、IPCは、以下の範囲、例えば、8%〜15%、8%〜30%、10%〜12%、約12%、12%〜30%、12%〜50%、および20%〜50%から選択することができる。
さらなる態様において、本発明は、
a.0.25重量%〜50重量%(例えば、3重量%〜8重量%、0.25重量%〜8重量%、3重量%〜6重量%、3重量%〜10重量%、3重量%〜15重量%、8重量%〜15重量%、10重量%〜20重量%、9重量%〜20重量%、8%〜30%、10重量%〜12重量%、約12重量%、12重量%〜30%、12重量%〜50重量%、および20重量%〜50重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;および
b.約0.025〜0.05、約0.0025〜約0.033、約0.05〜約0.033、または約0.01〜約0.033から選択されるジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)で、出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ゲルを形成する工程
を含む、粘着性ゲルを調製する方法を提供する。任意に、この方法は、工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄する工程をさらに含んでもよい。
さらなる態様において、本発明はまた、
a.0.25重量%〜0.9重量%(例えば、0.25重量%〜0.5重量%、0.3重量%〜0.8重量%、0.5重量%〜0.8%、約0.5重量%)のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
b.出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させる工程
を含む、粘着性ゲルを調製する方法を提供する。ある態様において、DVS:Pol(w:w)比は、約1.4〜約17.7、約2〜15、約5〜約15、約2〜約10から選択される。任意に、この方法は、工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄する工程をさらに含んでもよい。
関連する好ましい態様において、出発ポリマーの平均MWは500KDa〜6MDaから選択される。任意に、このようなゲルは酸洗浄されてもよい。様々な態様において、少なくとも1種類の出発ポリマーのうちの1つの平均分子量(MW)は、約30KDa〜約500KDa、例えば、30〜100KDa、100〜200KDa、200〜500KDa、200〜400KDa、200〜300KDa、300〜500KDa、および300〜400KDaから選択される。これらの態様または他の態様において、ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)は、約0.0025〜約20、例えば、約0.05〜約20、0.01〜約20、約0.0025〜約0.033、0.05〜約0.033、および0.01〜約0.033から選択される。
pH<4の水溶液でゲルを洗浄することを含む、ゲルを作る方法は、緩衝生理食塩溶液でゲルのpHを4以下から生理学的pHに調節する工程を含んでもよい。または、この方法は、緩衝生理食塩溶液でゲルのpHを4以下から約4.5〜6.5に調節する工程をさらに含む。別の態様において、本発明は、酸洗浄工程(工程c)においてゲルが洗浄されてpH約2.0〜3.0になる前記の方法を提供する。本発明はまた、架橋工程(工程b)がpH>9で行われる方法を提供する。本発明は、工程bが24時間以下続けられる方法をさらに提供する。
ある態様において、ゲルは透析チューブの中で非平衡状態になるまで洗浄される。
一般的に、本発明はまた、少なくとも1種類の出発ポリマーの平均分子量が約10MDa以下である方法を提供する。さらなる態様において、少なくとも1種類の出発ポリマーの平均分子量は約0.5MDa〜約4MDaから選択される。好ましい態様において、少なくとも1種類の出発ポリマーはヒアルロナンである。さらに別の態様において、少なくとも1種類の出発ポリマーの1つの平均分子量(MW)は約3MDa〜約10MDaから選択される。さらに別の態様において、ポリマーの平均MWは500KDa以下である。好ましい態様において、少なくとも1種類の出発ポリマーはハイランである。ある態様において、出発ポリマーの平均MWは約30KDa〜約500KDaである。
さらなる態様において、本発明は、ポリマー(例えば、ヒアルロナン、好ましくは細菌発酵HA)の含有率が8.25±1.75mg/mlのゲルを提供する。この生成物のレオロジー的性質は、剪断粘度(200Hz)30〜100Pas、貯蔵弾性率(5HzでのG')20〜150Pa(例えば、約80Pa)、および位相角(5Hzでのδ)35°未満(例えば、約20Pa)である。
ある態様において、本発明は、ゲル(「ゲル成分」)とポリマー溶液(「流体成分」)の混合物を含む組成物を提供する。ある特定の態様において、ゲル成分および流体成分は80:20の重量比で混合される。このような態様において、ゲル中のポリマー(HA)含有率は、8.25±1.5mg/ml、好ましくは、8.25±0.75mg/mlであるのに対して、流体成分のポリマー含有率は2.25±1.0mg/ml、好ましくは、2.25±0.25mg/mlである(従って、組成物の総ポリマー含有率(修飾および非修飾)は10.5±2.5mg/ml、好ましくは10.5±1.0mg/mlである)。または、成分は、60:40〜90:10の比で(例えば、70:30、75:25、および85:15で)混合することができる。組成物のレオロジー的性質は、剪断粘度(200Hz)30〜100Pas、貯蔵弾性率(5HzでのG')20〜150Pa、および位相角(5Hzでのδ)35°未満である。
さらに、本発明は、本明細書に開示された任意の方法に従って調製されたゲル成分を含む、またはゲル成分と流体成分を含む滅菌非発熱性組成物の1回用量を有する、予め充填された注射器である装置を提供する。
本発明はまた、架橋工程(工程b)が生物学的に活性な材料の存在下で行われる方法を提供する。生物学的に活性な材料は、薬理学的薬物、タンパク質、DNA、ビタミン、または他の望ましい生物学的に活性な材料を含んでもよい。
さらに、本発明は、生理学的pHのゲルと生物学的に活性な材料を混合する工程を含む方法を提供する。生物学的に活性な材料は、薬理学的薬物、タンパク質、DNA、ビタミン、細胞、または他の望ましい生物学的に活性な材料を含んでもよい。生物学的に活性な材料は、本発明の方法によって生成されたゲルと混合されてもよく、および/または出発材料と一緒に存在してもよい。
本発明はまた、出発ポリマーの溶液が、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物と、グリコサミノグリカン、ポリアニオン多糖、非荷電多糖、多糖ゴム、多価アルコール、およびポリアミンから選択される別のポリマーを含む方法を提供する。
本発明はまた、本発明の前記の任意の方法に従って調製されたゲルを提供する。さらなる態様において、本発明は、ゲルおよび薬学的賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、医学的状態(medical condition)の治療を必要とする患者にゲルを含む薬学的組成物を投与することによって、患者の医学的状態を治療する方法を提供する。
好ましい態様において、医学的状態は変形性関節症(OA)であり、組成物は、関節空間(例えば、膝関節、肩関節、顎関節、および手根中手関節、肘関節、股関節、手関節、足関節、ならびに脊椎の腰椎関節突起間関節(椎間関節))に投与される。粘度補充療法は、膝または他の罹患関節に何週間かにわたって投与される1回または複数回の関節内注射によって行われてもよい。例えば、膝OAのヒト被験者に、1つの膝につき約2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10mlまたはそれ以上の注射を1回、2回、または3回行ってもよい。他の関節の場合、関節にある大きさに基づいて投与体積を調節することができる。
別の態様において、組成物は塞栓を作るために用いられる。
さらなる態様において、医学的状態は手術後癒着の阻止であり、組成物は外科的切開部位に投与される。または、医学的状態は手術後癒着の阻止であり、組成物は外科的切開部位から離れた組織に投与される。好ましい態様において、組成物は内視鏡を介して投与される。
さらなる態様において、本発明の組成物は、皮膚充填材(dermal filler)として(例えば、しわ、および皮膚もしくは他の組織の体積欠陥を治療するために、または声帯を拡大するために)使用することができる。
前記の説明、以下の実施例および特許請求の範囲において、ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)は、特別の定めのない限り、w/wの単位で報告される。ヒアルロン酸ナトリウムまたは可溶性ハイラン繊維(ナトリウム塩)の重量は含水量を予め計算に入れるように調節した。中MWおよび高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウムのMWは、それぞれ、約1.7MDaおよび約2.7MDaであった。中MWヒアルロン酸ナトリウムは、Shiseido Corporation, Japanから入手した。高MWおよび低MWヒアルロン酸ナトリウムは、Genzyme Corporation, Cambridge, Massachusettsから入手した。低MWおよび超低MWポリマーは、米国特許第6,383,344号に記載のようにガンマ線照射法を用いて生成した。可溶性ハイラン繊維(ナトリウム塩)は約6MDaのMWを有し、Genzyme Biosurgery, Ridgefield, New Jerseyから入手し、米国特許第4,713,448号に従って調製した。中性食塩水は、pHが約6〜7の0.15M塩化ナトリウム溶液を意味する。無制限洗浄の場合、洗浄に使用する塩酸(HCl)の量は、中性食塩水洗浄液をpH<4.0(好ましくは、pH2.0〜3.0または1.5〜3.0、より好ましくは、pH2.3〜2.8)にするのに必要な量として計算し、次いで、反応混合物に使用した水酸化ナトリウムを中和し、次いで、塩形態の多糖を酸性形態へ(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムからヒアルロン酸へ)変換するのに必要な酸のモルに合わせて調整した。制限洗浄の場合、ゲルは、酸性食塩水溶液(pHが4.0未満または4.0になるまで、好ましくは、pH2.0〜3.0になるまでHClが添加されている中性食塩水)で洗浄した。好ましくは、ゲルのpHが2.3〜2.8になるまで、制限洗浄を続けた。特別の定めのない限り、リン酸緩衝食塩水(PBS)のpHは7.3〜7.4であった。特別の定めのない限り、ゲルは室温で洗浄した。用語「生理学的pH」は、約6.9〜7.5のpH範囲を意味することが意図される。ゲル試料の強度(軟らかいまたは硬い)は、位相角δおよび複素弾性率Gに基づいて求めた。位相角の値が小さく、複素弾性率の値が大きいと、ゲルに強度があることが分かる。ゲルの弾力性および粘着性は降伏ひずみによって求めた。降伏ひずみが大きいと、ゲルに弾力性および粘着性があることが分かる。ゲルの目視観察および手による操作でもゲルに弾力性および粘着性があることが分かる。ヒアルロナンおよびハイランの濃度は、自動カルバゾール法(Analytical Biochem 1965,12, 547-558)を用いたヘキスロン酸アッセイによって求めた。全ての透析試料に、分子量カットオフ12〜14KDaの透析チューブが用いられた。
本願全体を通して、様々な刊行物が言及される。これらの刊行物の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明は、以下の実施例においてさらに詳細に説明される。実施例は単に例示のために示され、特許請求の範囲に示される本発明の範囲を限定することを目的としない。
実施例において言及される表は末尾にある。以下の実施例において、塩が添加されている場合、IPCは、粘度調節剤(viscosity modifier)(例えば、NaCl、または他の塩(好ましくは生体適合性の塩))を添加する前の水酸化ナトリウム溶液中のポリマー濃度として計算した。特別の定めのない限り、IPCに関する用語「%」および「重量%」は同義に用いられる。
実施例1- 0.75%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWを使用した)
本実施例は、IPC 0.75%およびDVS:Pol比2:1でのゲルの調製を説明する。
滅菌反応容器に入っている中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム粉末(約1.7MDa,5.30g)に滅菌水525.7gを添加し、オービタルシェーカーで4℃で18時間混合した。この溶液に、室温で、滅菌濾過した1M NaOH溶液(60.00mL)を添加して、0.1M濃度のNaOHを含むポリマー溶液を得た。機械的に混合しながら(300〜500rpm)、ポリマー溶液にDVS(7.60mL)を添加し、混合物を室温で25分間攪拌した。反応混合物を透析チューブに入れ、次いで、室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、pHが2.3〜2.8になるまで、ゲルを、HCl溶液(7.70mL)を含む滅菌中性食塩水(10.0L)で洗浄した。次いで、pHが約5.1になるまで、ゲルを中性食塩水で大規模に洗浄した。次いで、pHが7.0〜7.4になるまで、12L部の中性食塩水(これには、0.5M NaHCO3を含む中性食塩水13.5mLが添加されている)で、ゲルを大規模に洗浄した。次いで、ゲルを取り出した。ゲルの最終収量は607.1gであり、FPCは0.72%であった。ゲルの一部を131℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性があり、軟らかく、粘着性があることが分かった。
実施例2- 0.5%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 0.5%およびDVS:Pol比4:1でのゲルの調製を説明する。
ハイランナトリウム塩の0.75%溶液(約6MDa,265.6g)に滅菌水(133.1g)を添加し、次いで、ローラー装置で室温で約18時間混合した。滅菌濾過した1M NaOH溶液(45.00mL)を添加し、流体を、Turbula T2Fエンドオーバー(end over)およびシェーカーで10分間混合した。次いで、DVS(2.50mL)を添加し、混合をもう30分間続けた。次いで、反応混合物を透析チューブに移し、室温で4時間保存した。pHが約2.3〜2.8になるまで、結果として生じたゲルを、12M HCl溶液(6.50mL)を含む中性食塩水で洗浄し、次いで、pHが約6.0〜6.5になるまで、3.0L部の中性食塩水で大規模に洗浄した。次いで、pHが約7になるまで、ゲルを、3.0L部の中性食塩水(これには、0.5M NaHCO3を含む中性食塩水4.0mLが添加されている)で大規模に洗浄した。ゲルは接着性および粘着性があったが、かなり軟らかかった(FPCは0.45%であった)。元素分析データに基づいて、硫黄含有率は3.56%であった。ゲルの一部を131℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは液体様で、弾力性があり、軟らかく、粘着性があることが分かった。
実施例3- 0.38%IPC(ハイラン繊維を使用)
本実施例は、IPC 0.38%およびDVS:Pol比6:1でのゲルの調製を説明する。
ハイラン繊維(ナトリウム塩)(1.34g)に滅菌水(261.9g)を添加し、混合物を室温で18時間機械的に攪拌した。ポリマー溶液に、室温で、1M NaOH溶液(30.00mL)を添加して、0.1M濃度のNaOHを含むポリマー溶液を得た。ポリマー溶液を300〜500rpmで10分間機械的に攪拌した。このポリマー溶液に、脱イオン水(0.880mL)に懸濁したDVS(1.940mL)を添加した。反応混合物を室温で約30分間攪拌し、次いで、追加のDVS(3.800mL)を添加した後に、もう30分間混合した。制限洗浄のために、漏斗を用いて反応混合物を透析チューブに注ぎ、湿り気を与え、チューブが乾燥しないようにするために少量の食塩水を入れた密封容器の中で、室温で3時間保存した。次いで、ゲルのpHが2.7になるまで、HCl溶液を用いてpHが約2.5になるまで酸性化されている0.15M食塩水に対して、結果として生じたゲルを透析した。次いで、pHが約pH6.5になるまで、ゲルを中性食塩水に対して透析した。ゲルのFPCは0.35%であった。ゲルの一部を131℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは軟らかく、粘着性があり、かなり弾力性があるが、特徴がゲル様というより液体様であることが分かった。
実施例4- 0.25%IPC(ハイラン繊維を使用)
本実施例は、IPC 0.25%およびDVS:Pol比8:1でのゲルの調製を説明する。
ハイラン繊維(ナトリウム塩)(0.144g)を、脱イオン水(42.00mL)に入れてオービタルシェーカーで約24時間振盪することによって溶解した。ポリマー溶液に1M NaOH溶液(5.00mL)を添加し、ポリマー溶液をオーバーヘッドミキサー(overhead mixer)で攪拌した。ポリマー溶液に、脱イオン水(1.875mL)に溶解したDVS(0.880mL)の懸濁液を添加し、室温で2時間混合した。生成物の色は、2時間の間に薄い灰色から濃い灰色に変化した。反応混合物を4℃まで(〜4℃)で一晩保存し、ゲルを得た。次いで、制限洗浄のために、ゲルを透析チューブに移し、HCl溶液でpH約2.5まで酸性化されている0.15M食塩水溶液に対して、2日間にわたって洗浄した。次いで、ゲルを中性食塩水に対して5〜7日間大規模に洗浄した。レオロジー分析(表1)および観察から、生成物は弾力性のある、比較的軟らかいゲルであることが分かった。
実施例5- 0.15%IPC(ハイラン繊維を使用)
本実施例は、IPC 0.15%およびDVS:Pol比17.7:1での材料の調製を説明する。
ハイラン繊維(ナトリウム塩)(0.231g)に0.1M NaOH溶液(97.52g)を添加し、混合物を500rpmまで(〜500rpm)で80分間まで(〜80分)攪拌した。次いで、5分間、激しく機械的に混合しながら、ポリマー溶液にDVS(2.250mL)を添加した。反応混合物の色は4時間まで(〜4時間)の間に桃色から乳白色に変化した。反応混合物を室温で一晩保存した。一晩保存した後、反応混合物は依然として液体のように見え、制限洗浄のために透析チューブに移した。混合物を、オービタルシェーカーで120rpmまで(〜120rpm)で、中性食塩水4.0L(これには、pH2.5の酸性食塩水洗浄液を得るために2M HCl 12.0mLが添加されている)に対して洗浄した。8時間後まで(〜8時間)、酸性食塩水洗浄液を、記載のように調製した新鮮な酸性食塩水洗浄液4.0Lと交換し、反応混合物を4℃で約72時間保存した。約72時間の保存の後、生成物はゲル化しているようには見えず、無色の上相と乳白色の下相の2つの相に分離していた。
実施例6- 4.0%細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MW
本実施例は、IPC 4%およびDVS:Pol比1:17でのゲルの調製を説明する。
中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(8.42g)を、0.2M NaOH溶液(190.60g)が入っているビーカーに添加し、室温で約90分間機械的に攪拌した(500〜750rpm)。ポリマー溶液に、イソプロピルアルコール(IPA)(0.600mL)に溶解したDVS(0.400mL)をゆっくりと添加し、混合物をさらに15分間攪拌した。(IPAは少量のDVSの多量のポリマー溶液への分散を助けるために使用した-任意の適切な水混和性希釈剤を選択することができる)。反応混合物を23×18cm Pyrex(登録商標)ガラスディッシュに注ぎ、蓋をし、4時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、2M HCl(36.00mL)が添加されている中性食塩水(4.8L)が入っているガラス容器に移し、オービタルシェーカーで室温で約24時間振盪した。ゲルのpHを測定し(2.7〜2.8)、次いで、ゲルを中性食塩水(10.0L)で約24時間洗浄した。ゲルのpHを測定し(3.3)、次いで、0.025Mリン酸緩衝食塩水溶液(3.0L)で24時間洗浄した。ゲルの最終収量は953.8gであり、FPCは0.81%であった。ゲルの一部を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルはある程度弾力性および粘着性があるが、比較的硬いことが分かった。元素分析データに基づいて、硫黄含有率は0.95%であった。
実施例7- 4.8%IPC細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MW
本実施例は、IPC 4.8%およびDVS:Pol比1:48でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(200ml)に中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(10.52g)をゆっくりと添加して、IPC 4.8%のポリマー溶液を得た。90分後に、IPA(0.830mL)に溶解したDVS(0.170mL)の溶液を、1分間にわたってピペットでゆっくりとポリマー溶液に添加した(5×〜0.2mL)。反応混合物を15分間攪拌し、次いで、Pyrex(登録商標)トレー(23×18×6.6cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を、室温で、さらに3.75時間保存した。次いで、結果として生じたゲルをガラス容器に移し、オービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌しながら、2M HCl溶液(16.50mL)が添加されている中性食塩水(3.0L)で無制限洗浄した。ゲルを取り出し、pHを記録し(2.8)、次いで、オービタルシェーカーで中性食塩水(10.0L)を用いて洗浄した。約24時間後、ふるいを用いて食塩水を流し、ゲルを、pH7.6の0.025Mリン酸緩衝食塩水(3.5L)で約24時間洗浄した。次いで、ゲル(1.19KgおよびpH7.2)を洗浄液から取り出した。FPCは0.53%であった。生成物の試料を121℃で15分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例8- 4.8%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MWを使用)
本実施例は、IPC 4.8%およびDVS:Pol比1:96でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(189.63g)に高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(10.27g)をゆっくりと添加して、IPC 4.8%のポリマー溶液を得た。90分後に、IPA(0.920mL)に溶解したDVS(0.080mL)の溶液を、1分間にわたってピペットでゆっくりとポリマー溶液に添加した(5×〜0.2mL)。反応混合物を15分間攪拌し、次いで、Pyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、2M HCl溶液(36.00ml)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器に移した。次いで、ゲルを、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルを取り出した。ゲルのpHを記録し(2.4)、次いで、オービタルシェーカーで中性食塩水(7.5L)で4時間洗浄した。1M NaOH溶液(21.50mL)を洗浄液に24時間にわたって添加することで、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。次いで、食塩水を流し、ゲルを、pH7.4の0.01M PBS溶液(3.0L)で7.5時間洗浄した。材料の一部を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例9- 5.6%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MWを使用)
本実施例は、IPC 5.6%およびDVS:Pol比1:48でのゲルの調製を説明する。
溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH(187.60g)にNaCl(11.70g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(12.30g)を添加し、次いで、攪拌を120分間続けて、IPC 5.6%のポリマー溶液を得た。ポリマー溶液に、IPA(0.800mL)に溶解したDVS(0.200mL)の溶液を添加した(1分間にわたってピペットでゆっくりと添加した(5×〜0.2mL))。2〜3分間攪拌した後に、混合物をPyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(36.00ml)が添加されている0.15M食塩水(3.0L)が入っているガラス容器にゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルを取り出した。ゲルのpHを記録し(2.2)、次いで、オービタルシェーカーで中性食塩水(7.5L)で4時間洗浄した。1M NaOH溶液(21.50mL)を洗浄液に24時間にわたって添加することで、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。食塩水を流し、ゲルを、pH7.4の0.01M PBS溶液(3.0L)で8〜24時間洗浄した。最終収量は1008.5gであり、FPCは1.0%であった。材料の一部の濃度を、0.01M PBS溶液を添加することで0.75%に調節し、126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例10- 5.6%細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MW
本実施例は、IPC 5.6%およびDVS:Pol比1:96でのゲルの調製を説明する。
溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(186.90g)にNaCl(11.70g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(12.30g)を添加し、攪拌を120分間続け、IPC 5.6%のポリマー溶液を得た。ポリマー溶液に、IPA(0.900mL)に溶解したDVS(0.100mL)の溶液を添加した(1分間にわたってピペットでゆっくりと添加した(5×〜0.2mL))。2〜3分間攪拌した後に、混合物をPyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、NaCl(13.80g)と2M HCl(39.50mL)が脱イオン水(3.0L)に溶解している溶液が入っているガラス容器にゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルを取り出した。pHを記録し(2.1)、次いで、ゲルを、オービタルシェーカーで、中性食塩水(7.0L)で4時間洗浄した。1M NaOH溶液(22.50mL)を洗浄液に24時間にわたって添加することで、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。洗浄液を流し、ゲルを、pH7.4の0.01M PBS溶液(3.0L)で8〜24時間洗浄した。ゲルの最終収量は883.5gであり、FPCは0.88%であった。ゲルの一部の濃度を、0.01M PBS溶液を添加することで0.74%に調節した。この材料を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例11- 6.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MWを使用した)
本実施例は、IPC 6%およびDVS:Pol比1:48でのゲルの調製を説明する。
溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(186.75g)にNaCl(11.70g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(13.00g)を添加し、攪拌を120分間続け、IPC 6.0%のポリマー溶液を得た。ポリマー溶液に、IPA(0.790mL)に溶解したDVS(0.210mL)の溶液を添加した(1分間にわたってピペットで添加した(5×〜0.2mL))。2〜3分間攪拌した後に、反応混合物をPyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(37.90ml)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器にゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルのpHを記録した(2.4)。次いで、ゲルを中性食塩水(7.0L)で4時間洗浄し、次いで、1M NaOH溶液(21.50mL)を洗浄液に24時間にわたって添加することで、5.0〜6.5にゆっくりと調節した。次いで、ふるいに通して食塩水を流し、ゲルをpH7.6の0.01Mリン酸緩衝食塩水(3.0L)で約8〜24時間洗浄した。ゲルの最終収量は1008.2gであり、FPCは0.97%であった。この材料の一部の濃度を、0.01M PBS溶液を添加することで0.68%に調節した。この材料を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例12- 6.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MWを使用した)
本実施例は、IPC 6%およびDVS:Pol比1:96でのゲルの調製を説明する。
溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(186.71g)にNaCl(11.79g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(13.17g)を添加し、攪拌を120分間続け、IPC 6.0%のポリマー溶液を得た。ポリマー溶液に、IPA(0.900mL)に溶解したDVS(0.105mL)を、約1分間にわたってピペットでゆっくりと添加した(5×〜0.2mL)。もう2〜3分間攪拌した後に、反応混合物をPyrex(登録商標)トレー(23×28×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(36.00mL)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器にゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。ゲルを取り出し、pHを記録し(2.2)、次いで、オービタルシェーカーで中性食塩水(7.0L)で約4時間洗浄した。1M NaOH溶液を洗浄液に24時間にわたって添加することで、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。ふるいに通して食塩水を流し、ゲルをpH7.6の0.01M PBS溶液(3.0L)で4時間洗浄した。最終収量は1040.4gであり、FPCは1.12%であった。ゲルの一部の濃度を、0.01M PBS溶液を添加することで0.74%に調節した。この材料を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例13- 8.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWを使用した)
本実施例は、IPC 8%およびDVS:Pol比1:100でのゲルの調製を説明する。
溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(91.58g)にNaCl(5.85g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(8.35g)を添加し、攪拌を120分間続け、IPC 8.0%のポリマー溶液を得た。ポリマー溶液に、IPA(0.932mL)に溶解したDVS(0.068mL)の溶液を添加した(約1分間にわたってピペットでゆっくりと添加した(5×〜0.2mL))。攪拌をもう2〜3分続けた。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(23.80mL)が添加されている中性食塩水(1.8LにNaCl 5.96g)が入っているガラス容器にゲルを移し、次いで、オービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルのpHを記録した(2.4)。次いで、ゲルを、オービタルシェーカーで中性食塩水(4.5L)で4時間洗浄し、次いで、洗浄液を流した。最初にゲルを中性食塩水で8時間洗浄し、洗浄液を流し、次いで、1M NaOH溶液(15.00mL)を含む中性食塩水(4.5L)を使用することによって、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。最終洗浄工程は0.01M PBS溶液(3.0L)を用いて行った。ゲルの最終収量は882.7gであり、FPCは0.81%であった。この材料を126℃で10分間オートクレーブした。表1に示したレオロジーデータから、ゲルは弾力性、粘着性があり、軟らかいことが分かった。
実施例14- 3%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 3%およびDVS:Pol比4:17でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.1M NaOH溶液(192.00g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(6.60g)を添加した。溶解するまで攪拌を2時間続けた。急速に機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(1.200mL)を添加した。反応混合物を約2分間、高速攪拌し、次いで、Pyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で2時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、中性食塩水の溶液(3.0L)が入っているガラス容器に移した。次いで、ゲルをオービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。次いで、ふるいを用いて洗浄液を流し、中性食塩水(3.0L)を用いて、もう1回洗浄を行った。洗浄液を3日間にわたって5回交換した。オートクレーブの前にゲルのpHが確実に6.9〜7.4になるように、最終洗浄を0.01M PBS溶液(3.0L)で24時間行った。ゲルの最終収量は821.0gであり、FPCは0.57%であった。ゲルの一部の濃度を、PBSを添加することで0.49%に調節した。この試料を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルはハイランBゲルに特有のものであり、弾力性がなく、粘着性がなく、硬いことが分かった。
実施例15- 3%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 3%およびDVS:Pol比4:17でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(192.00g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(6.60g)を添加した。溶解するまで攪拌を2時間続けた。機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(1.200mL)を添加した。反応混合物を約2分間攪拌し、次いで、Pyrex(登録商標)トレー(23×18×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。次いで、反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(23.10mL)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器にゲルを移した。次いで、ゲルをオービタルシェーカーで室温で攪拌した。約19時間後に、ふるいを用いて食塩水を流し、ゲルの重量(286.7g)およびpH(2.8)を書き留めた。ゲルを中性食塩水(3.0L)で再洗浄し、オービタルシェーカーで4時間振盪した。次いで、ゲルのpHを4.5〜6.5に上げるために、1M NaOH溶液を洗浄液に数時間にわたってゆっくりと添加した。約21時間後、洗浄液を流し、ゲルの重さ(626.2g)およびpH(6.8〜7.5)を書き留めた。次いで、ゲルを0.01M PBS溶液(3L)に移し、約17時間洗浄した。ゲルの最終収量は761.7gであり、FPCは0.64%であった。材料の一部の濃度を、0.01M PBS溶液を添加することで0.52%に調節した。この材料を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは実施例14のゲルより軟らかく、弾力性および粘着性が高いことが分かった。
実施例16- 1%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 1%およびDVS:Pol比5:1でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.1M NaOH溶液(93.90g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(1.10g)を添加した。溶解するまで攪拌を1時間続けた。急速に機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(それぞれ0.850mLの5分割量)を添加した。反応混合物を10分間、高速攪拌した。ビーカーに蓋をし、室温で2時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、中性食塩水(1.8L)が入っているガラス容器に移した。次いで、ゲルをオービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。次いで、ふるいを用いて洗浄液を流し、さらに中性食塩水(4.5L)をゲルに添加した。洗浄液を7日間にわたって10回(それぞれ4.5L)交換した。オートクレーブの前にゲルのpHが確実に6.9〜7.4になるように、0.01M PBS溶液(3.0L)で最終洗浄を行った。ゲルの最終収量は166.1gであり、FPCは0.42%であった。ゲルの一部を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは弾力性も粘着性もあまりなく、比較的硬いことが分かった。
実施例17- 0.9%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 0.9%およびDVS:Pol比5:1でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(94.00g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(1.00g)を添加した。溶解するまで攪拌を1時間続けた。急速に機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(それぞれ0.765mLの5分割量)を添加した。反応混合物を10分間、高速攪拌した。ビーカーに蓋をし、室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(15.10mL)が添加されている中性食塩水(1.8L)が入っているガラス容器にゲルを移した。次いで、ゲルをオービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌した。次いで、ふるいを用いて洗浄液を流し、pHを記録し(2.3)、さらに中性食塩水(4.5L)をゲルに添加した。ゲルを約4.5時間洗浄し、次いで、洗浄液を流した。1M NaOH溶液(2.00mL)が添加されている中性食塩水(4.5L)を用いて、洗浄を続けた。16〜18時間後に、洗浄液を流し、オートクレーブの前にゲルのpHが確実に6.9〜7.4になるように、ゲルを0.01M PBS溶液(2回洗浄(それぞれ20.0L))で約48時間洗浄した。ゲルの最終収量は155.9gであり、FPCは0.49%であった。ゲルの一部を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、実施例16のゲルより軟らかく、弾力性が高いことが分かった。
実施例18- 1%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 1%およびDVS:Pol比1.4:1でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.1M NaOH溶液(97.55g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(1.10g)を添加した。溶解するまで攪拌を1時間続けた。急速に機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(1.200mL)を添加した。反応混合物を10分間、高速攪拌し、混合物を透析チューブに移した。反応混合物を密封容器に入れて室温で2時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器に移した。膨張が可能なように、体積の約10%に相当する隙間または上部空き高をチューブに残した。次いで、ゲルをオービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。24時間後、ゲルは膨張してチューブの隙間をふさぎ、高い静水圧をチューブにかけていた。上部空き高が増してゲルが膨張するように、チューブを長くした。pHが6.5〜7.0になるまで、ゲルを中性食塩水で大規模に洗浄した。ゲルの最終収量は98.9gであり、FPCは0.73%であった。ゲルの一部の濃度を0.01M PBS溶液で0.50%に調節し、126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは、以下の実施例19のゲルより弾力性が低く、粘着性が低く、硬いことが分かった。
実施例19- 0.9%IPC(ハイラン繊維を使用した)
本実施例は、IPC 0.9%およびDVS:Pol比1.4:1でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(97.74g)にハイラン繊維(ナトリウム塩)(1.00g)を添加した。溶解するまで攪拌を2時間続けた。急速に機械的に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(1.070mL)を添加した。反応混合物を3分間、高速攪拌し、ゲルを透析チューブに移し、密封容器に入れて室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(15.10mL)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器に、チューブの中に入っているゲルを移した。膨張のために、チューブ体積の約10%である小さな隙間または上部空き高を残した。次いで、ゲルが入っているガラス容器を、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。実施例18とは異なり、最小限の膨張しか観察されなかった。洗浄液を流し、ゲルのpHを記録し(2.3)、中性食塩水(4.0L)で洗浄を行った。ゲルを約3時間洗浄した。次いで、1M NaOH溶液(2.60mL)を洗浄液に添加した。ゲルをさらに26.5時間洗浄し、次いで、洗浄液を流した。次いで、126℃で10分間のオートクレーブの前にゲルのpHが確実に6.9〜7.4になるように、洗浄液を0.01M PBS溶液(4.0L)に交換した。実施例18と極めて対照的に、わずかなゲル膨張しか観察されなかった。ゲルの最終収量は89.0gであり、FPCは0.78%であった。材料の一部の濃度をPBSで0.49%に調節し、126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータから、ゲルは実施例18のゲルより軟らかく、弾力性および粘着性が高いことが分かった。
実施例20- 4.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWを使用した)
本実施例は、IPC 4%およびDVS:Pol比約1:15でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.1M NaOH溶液(95.54g)に中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(4.21g)を添加した。溶解するまで攪拌を120分間続けて、IPC 4.0%のポリマー溶液を得た。2〜3分間、急速攪拌しながら、IPA(0.750mL)に溶解したDVS(0.225mL)の溶液を、ポリマー溶液に添加した。反応混合物を室温で1時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、中性食塩水(1.8L)が入っているガラス容器に移し、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、次いで、ゲルを、オービタルシェーカーで中性食塩水(4.0L)で24時間洗浄した。pHが約6.5〜7.0になるまで、ゲルを中性食塩水で大規模に洗浄した。食塩水中でのゲルの膨張率は低かった。次いで、食塩水をデカントした。ゲルの最終収量は562.5gであり、FPCは0.63%であった。材料の一部を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは実施例6のゲルより硬く、弾力性および粘着性が低いことが分かった。
実施例21- 8.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWを使用した)
本実施例は、IPC 8%およびDVS:Pol比2:35でのゲルの調製を説明する。溶解するまで攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(90.63g)にNaCl(5.85g)を添加した。急速に機械的に攪拌しながら、中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(8.40g)を添加した。溶解するまで攪拌を120分間続けて、IPC 8.0%のポリマー溶液を得た。IPA(0.610mL)に溶解したDVS(0.390mL)の溶液を、ポリマー溶液に、1分間にわたってピペットで添加した(5×〜0.2mL)。反応混合物を2〜3分間、高速攪拌し、室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、2M HCl溶液(21.00mL)が添加されている中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器に、ゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で約25時間攪拌した。ふるいを用いて洗浄液を流し、ゲルのpHを記録し(2.2)、さらにゲルをオービタルシェーカーで中性食塩水(4.0L)で17時間洗浄した。1M NaOH溶液(15.00mL)を洗浄液に7日間にわたって添加することで、ゲルのpHを5.0〜6.5にゆっくりと調節した。次いで、ゲルを0.01M PBS溶液(2.0L)で約24時間洗浄し、次いで、さらに0.01M PBS溶液4.0Lで7日間洗浄した(この時、ゲルのpHは7.4であった)。ゲルの最終収量は416.3gであり、FPCは1.73%であった。材料の一部の濃度を0.01M PBS溶液で1.5%に調節した。両方の材料の一部を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは非常に硬く、弾力性および粘着性がないが、相分離することなく、わずかに希釈できることが分かった。
実施例22- 8.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWを使用した)
本実施例は、IPC 8%およびDVS:Pol比1:15でのゲルの調製を説明する。
急速に機械的に攪拌しながら、0.1M NaOH溶液(90.91g)に中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(8.56g)を添加した。溶解するまで攪拌を120分間続けて、IPC 8.0%のポリマー溶液を得た。急速に攪拌しながら、ポリマー溶液にDVS(0.450mL)を添加した。反応混合物を2〜3分間、高速攪拌し、室温で2時間保存して、ゲルを得た。次いで、中性食塩水(1.8L)が入っているガラス容器に、ゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。9日間にわたって、ゲルを4.5L部の中性食塩水で大規模に洗浄した(この間、ゲルは洗浄工程中に容易に破砕および粒状化することが観察された)。食塩水中でのゲルの膨張率は低かった。ゲルの最終収量は400.1gであり、FPCは1.76%であった。材料の一部を126℃で10分間オートクレーブした。表2に示したレオロジーデータおよび観察から、ゲルは非常に硬く、弾力性および粘着性がないことが分かった。実施例21のゲルと比較して、相分離することなく材料の濃度を低濃度に調節することができなかった。
実施例23- 0.75%IPC(高MWヒアルロン酸ナトリウムおよび0.75%コンドロイチン6硫酸を使用する)
本実施例は、ヒアルロン酸ナトリウムおよびコンドロイチン6硫酸のIPCがそれぞれ0.75%であり、DVS:ヒアルロン酸ナトリウム比が2:1であるゲルをどのように調製できるかを説明する。
高MWヒアルロン酸ナトリウム(0.75g)およびコンドロイチン6-硫酸(0.75g)に脱イオン水(87.00g)を添加することができる。混合物を室温で約24時間機械的に攪拌する。混合ポリマー溶液に室温で1M NaOH溶液(10.00mL)を添加して、0.1M濃度のNaOHを含む混合ポリマー溶液を得る。ポリマー溶液を10分間、機械的に高速攪拌する。このポリマー溶液にDVS(1.275mL)を添加する。反応混合物を約30分間、高速攪拌する。反応混合物を透析チューブに注ぎ、室温で3時間保存すると、ゲルが得られる。次いで、HCl溶液を用いてpHが約2.5になるように酸性化されている0.15M食塩水(3.0L)に対して、ゲルを透析する。ゲルのpHが約2.3〜2.8になるまで、ゲルを洗浄する。次いで、洗浄液を流し、次いで、pHが約pH6.5になるまで、ゲルを3.0L部の中性食塩水に対して大規模に透析する。オートクレーブの前にゲルのpHが確実に約7.4になるように、0.01M PBS溶液(3.0L)で最終洗浄を行う。
実施例24- 0.75%IPC(高MWヒアルロン酸ナトリウムおよび0.75%ポリビニルアルコールを使用する)
本実施例は、ヒアルロン酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールのIPCがそれぞれ0.75%であり、DVS:ヒアルロン酸ナトリウム比が2:1であるゲルをどのように調製できるかを説明する。
熱い(60℃)脱イオン水(87.00g)にポリビニルアルコール(MW100KDaまで(〜100KDa)、0.75g)を添加し、混合物を約2時間機械的に攪拌する。ポリマー溶液を室温にし、次いで、中MWヒアルロン酸ナトリウム(0.75g)を、約24時間、機械的に攪拌しながら添加する。混合ポリマー溶液に1M NaOH溶液(10.00mL)を添加して、0.1M濃度のNaOHを含む混合ポリマー溶液を得る。混合ポリマー溶液を、10分間、機械的に高速攪拌する。このポリマー溶液にDVS(1.275mL)を添加する。反応混合物を約30分間、高速攪拌する。反応混合物を透析チューブに注ぎ、室温で3時間保存すると、ゲルが得られる。HCl溶液を用いてpHが約2.5になるように酸性化されている0.15M食塩水(3.0L)に対して、ゲルを透析する。ゲルのpHが約2.3〜2.8になるまで、ゲルを洗浄する。次いで、洗浄液を流し、次いで、pHが約pH6.5になるまで、ゲルを3.0L部の中性食塩水に対して大規模に透析する。オートクレーブの前にゲルのpHが確実に約7.4になるように、0.01M PBS溶液(3.0L)で最終洗浄を行う。
実施例25- 0.9%IPC(高MWヒアルロン酸ナトリウムおよび0.9%カルボキシメチルセルロースを使用する)
本実施例は、ヒアルロン酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースのIPCがそれぞれ0.75%であり、DVS:ヒアルロン酸ナトリウム比が1.4:1であるゲルをどのように調製できるかを説明する。
高MWヒアルロン酸ナトリウム(0.90g)およびカルボキシメチルセルロース(0.90g)に脱イオン水(86.90g)を添加し、混合物を室温で約24時間機械的に攪拌する。混合ポリマー溶液に、室温で、1M NaOH溶液(10.00mL)を添加して、0.1M濃度のNaOHを含む混合ポリマー溶液を得る。ポリマー溶液を、10分間、機械的に高速攪拌する。このポリマー溶液にDVS(1.105mL)を添加する。反応混合物を約30分間、高速攪拌する。反応混合物を透析チューブに注ぎ、室温で3時間保存すると、ゲルが得られる。HCl溶液を用いてpHが約2.5になるように酸性化されている0.15M食塩水(3.0L)に対して、ゲルを透析する。ゲルのpHが約2.3〜2.8になるまで、ゲルを洗浄する。次いで、洗浄液を流し、次いで、pHが約pH6.5になるまで、ゲルを3.0L部の中性食塩水に対して大規模に透析する。オートクレーブの前にゲルのpHが確実に約7.4になるように、0.01M PBS溶液(3.0L)で最終洗浄を行う。
実施例26- 3.0%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-中MWおよび1.0% IPCアルギン酸ナトリウムを使用する)
本実施例は、IPC 4.0%およびDVS:Pol比1:24でゲルを調製できることを説明する。
90〜120分間、急速に機械的に攪拌しながら、0.2M NaOH溶液(191.70g)に中MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(6.00g)およびアルギン酸ナトリウム(2.00g)をゆっくりと添加して、IPC 3.0%ヒアルロン酸ナトリウムおよび1.0%アルギン酸ナトリウムのポリマー溶液を得る。IPA(0.790mL)に溶解したDVS(0.210mL)の溶液をポリマー溶液に、1分間にわたってピペットでゆっくりと添加する(5×〜0.2mL)。反応混合物を15分間攪拌し、次いで、Pyrex(登録商標)トレー(23×18×6.6cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封する。反応混合物を室温でさらに225分間保存する。次いで、2M HCl溶液(27.80mL)を含む中性食塩水(3.0L)が入っているガラス容器に、結果として生じたゲルを移し、オービタルシェーカーで室温で約24時間攪拌する。次いで、ふるいを用いて洗浄液を流し、pHを記録し(2.8)、次いで、pHが5.0〜6.5になるまで、ゲルをオービタルシェーカーで3.0L部の中性食塩水で大規模に洗浄する。次いで、ゲルを0.01Mリン酸緩衝食塩水(3.0L)で約24時間洗浄する。
実施例27- 薬物送達用の水溶性薬物を含む酸洗浄ゲル混合物
無菌処理条件下(層流フード)にある実施例9のゲル(50.00g,0.75%FPC)に、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、ジクロフェナク(16.80mL,9mg/mL));局所麻酔薬(例えば、塩酸ブピバカイン(35.00mL,5mg/mL));および抗新生物薬(例えば、メトトレキセート(5.00mL,25mg/mL))または抗不整脈薬(例えば、塩酸プロプラノロール(5.00mL,25mg/mL))の0.01M PBS溶液を添加することができる。薬物を含むゲルを、Turbula T2Fミキサーで23min-1の速度で室温で約24時間混合する。次いで、混合物を凍らし、凍結乾燥させて、乾燥した発泡体様の材料にする。滅菌0.01M PBSまたは滅菌0.15M食塩水(49.63g)を添加し、Turbula T2Fミキサーで約24時間混合することによって、ゲルをFPC 0.75%まで再構成する。所望であれば、最後に、材料をオートクレーブで滅菌してもよい。
実施例28- 薬物送達用の水不溶性薬物を含む酸洗浄ゲル混合物
双極性非プロトン溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)に溶解した、ステロイド性抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン(5.00mL,25mg/mL));および抗新生物薬(例えば、パクリタキセル(25.00mL,5mg/mL))または抗不整脈薬(例えば、アミオダロン(5.00mL,5mg/mL))の溶液を、無菌処理条件下(層流フード)にある実施例9のゲル(50.00g,0.75%FPC)に添加することができる。ゲルおよび薬物溶液をTurbula T2Fミキサーで毎分23min-1の速度で、室温で約24時間混合してもよい。次いで、混合物を滅菌透析チューブに入れ、無菌条件下で2.0L部の中性食塩水で大規模に透析するか、または過剰量のエタノールもしくは薬物が溶けない他の水混和性溶媒から沈殿させ、真空下で乾燥させる。滅菌0.01M PBSまたは滅菌0.15M食塩水(49.63g)を添加し、Turbula T2Fミキサーで約24時間混合することによって、ゲルをFPC 0.75%まで再構成する。所望であれば、最後に、材料をオートクレーブで滅菌してもよい。
実施例29- 癒着軽減における酸洗浄ゲルの使用
ラット盲腸擦過(cecal-abration)モデルを用いて、実施例6および7の癒着軽減能力の評価を行った。この研究は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, National Academy Press, 1996に記載のNIHガイドラインに従って行った。盲腸の腹面および背面を機械的擦過装置で4回擦過し(これにより、作業者に左右されずに、ある決まった部位を制御して擦過することができる)、盲腸を腹腔内の解剖学的位置に戻した。動物を3つの群(1つは手術対照群、2つは処置群、それぞれ10匹の動物からなる)に割り当てた。2つの処置群の盲腸の両側に、実施例6および7に従って調製された1.5cm3のゲルを投与し、合計3cm3の盲腸表面に均一に塗布した。手術対照群には擦過後、何も処置をしなかった。手術後7日目に、動物の癒着形成を等級で評価した。
Figure 0005016926
§p<0.05 対対照群(Wilcoxon順位和分析)
p<0.05 対対照群(カイ二乗分析)
実施例30- 関節粘度補充療法剤(joint viscosupplement)としての酸洗浄ゲルの使用
ハートレイ系モルモットの膝において、試験物品(実施例31に従って調製されたゲルを含む)の関節内注射の安全性を評価した。これは、関節内での安全性を評価するのに適したモデルである。この研究は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, National Academy Press, 1996に記載のNIHガイドラインに従って行った。モルモットを、それぞれ6匹の動物からなる群(1つは対照群)に分けた。群には、後左の大腿膝蓋関節に、週1回の間隔で、3回注射を行った。それぞれの注射について注射前および注射の翌日に、ノギスを用いて、関節(脛骨プラトー)を基準にして両後肢の関節幅を評価した。動物の歩行異常も大まかに評価した。関節軟部組織の炎症を確かめるために組織学的分析も行った。評価した変数(運動の範囲、死体解剖日の膝の幅)について、対照と試験物品との間には違いがなかった。組織学的分析から、ゲルをモルモットの膝に注射したことに関連する炎症性または変形性の有意な変化は認められなかった。
実施例31- 5.25%細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-高MW
本実施例は、IPC 5.25%およびDVS:Pol比1:96でのゲルの調製を説明する。
NaCl 175.4gを0.2M NaOH溶液2829.6gに添加し、溶解するまで攪拌した。急速に機械的に攪拌しながら、混合物に、高MW細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(163.8g,5%LOD)を20分間隔で4回に分けて(41.0g、41.1g、40.8g、および40.9g)添加した。混合は合計120分間続けた。結果として生じたポリマー溶液のIPCは5.25%であった。ポリマー溶液に、DVS溶液(DVS 1.38mLおよびIPA 6.52mL)を約10秒間隔で4回等量で分けて(2mL)ピペットでゆっくりと添加した。約1分間攪拌した後、反応混合物を大きなポリプロピレントレーに注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。ゲルを、だいたい同じ8個の断片に切断し、次いで、0.15M塩化ナトリウム溶液44Kgおよび1M HCl 850mLが入っている大きなポリプロピレン容器に移した。約0.5〜3.5Lpmの速度で溶液に濾過済み窒素を通して泡立たせることによって、ゲルの断片を攪拌した。約18時間後、溶液のpHは2.6であった。酸性洗浄液を除去した後、ゲルの重さは5973.0gであった。次いで、中性食塩水75Kgをゲルに添加し、さらにゲルを窒素で4時間攪拌した。次いで、1M水酸化ナトリウム94.2gを溶液に、洗浄開始の4時間後、6時間後、および8時間後に3回添加した。ゲルを合計24時間洗浄した。洗浄液を流した後、ゲルの重さは11247.6gであった。次いで、洗浄液を10mM PBS溶液(41Kg)と交換し、さらにゲルを16時間攪拌した。次いで、洗浄液を流し、ゲルを秤量した(13783.6g)。全ての洗浄工程が終わった時のゲルのFPCは1.07%であった。この材料を20メッシュスクリーンを用いてホモジナイズした。ゲルのレオロジーデータを表3に示した。
実施例32- 1.0〜1.25%ヒアルロン酸ナトリウム溶液
本実施例は、滅菌1.0〜1.25%ヒアルロン酸ナトリウム溶液の調製を説明する。
高MWヒアルロン酸ナトリウム(HA)粉末40.5gを滅菌5L Biopak(登録商標)バッグに入れた。ポンプとBiopak(登録商標)バッグの間に配置された0.22μm滅菌ポイントオブユース(point-of-use)フィルターを用いて、10mMリン酸緩衝食塩水3420.0gをHAに添加した。バッグを密封し、内容物を、ウェーブテーブル(wave table)において、25〜35rpmの速度で室温で6日間攪拌した。この溶液のレオロジーデータを表3に示した。
実施例33- ゲル-流体80:20(w/w)混合物(ハイラスタン(Hytlastan)SGL-80)
本実施例はハイラスタンSGL-80の調製を説明する。
実施例31に記載のように調製したゲル11200gおよび実施例32に記載のように調製したヒアルロン酸ナトリウム溶液(「流体」)2800gを、滅菌18Lガラス容器に入れた。容器に蓋をし、lnversina(登録商標)ミキサーで25〜35rpmで室温で68時間振盪した。次いで、ゲル-流体混合物を5cm3ガラス注射器に充填し、次いで、注射器を131℃で2.5分間オートクレーブした。結果として生じた混合物のレオロジーデータを表3に示した。
実施例34- 10%IPC(細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-低MWを使用した)
実施例34および35は、皮膚充填材として使用するのに適したゲルの調製を説明する。一般的に、このようなゲルは、前記の実施例で説明したように、DVSと架橋したヒアルロナン(例えば、細菌発酵HA)から調製される。一般的に、皮膚充填材ゲルは、以下の特徴:(a)IPC 8〜12%(好ましくは、10〜12%);(b)HA MW 500〜2500KDa(好ましくは、500〜600KDa);(c)DVS:Pol比1:200〜1:15(好ましくは、1:100〜1:15、例えば、1:50および1:60);(d)FPC約1%〜2.5%を有する。ゲルは平衡状態まで洗浄されてもよく、その他の状態になるまで洗浄されてもよい。好ましくは、ゲルは酸洗浄されてもよく、または、中性食塩水で洗浄されてもよい。
本実施例は、IPC 約10%およびDVS:Pol比1:60でのゲルの調製を説明する。
NaCl 117.1gを0.2M NaOH溶液891.4gに添加し、溶解するまで攪拌した。次いで、急速に機械的に攪拌しながら、低MW(500〜600KDa)細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム107.0gを混合物に添加した。攪拌は120分間続けた。結果として生じたポリマー溶液のIPCは約10%であった。次いで、約1分間にわたってピペットで、DVS溶液(DVS 1.42mLおよびIPA 3.6mL)をポリマー溶液にゆっくりと添加した(5×〜1mL)。もう2分間攪拌した後、反応混合物を4個のPyrex(登録商標)トレー(23×28×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封した。反応混合物を室温で4時間保存して、ゲルを得た。次いで、ゲルを、中性食塩水30Kgおよび1M HCl 50mLが入っているプラスチック容器に移した。18時間、洗浄液に窒素を通してゆっくりと泡立たせることによって、ゲルを室温で攪拌した(この時、洗浄液のpHは2.36であった)。酸性洗浄液を除去した後に、ゲルの重さは1897.3gであった。中性食塩水30Kgを容器に添加し、さらに5時間窒素で泡立たせることによって、ゲルを室温でさらに攪拌し(この時、洗浄液のpHは3.34であった)、0.2M水酸化ナトリウム150mLを添加した。17時間後、洗浄液のpHは3.34であり、さらに、0.2M水酸化ナトリウム200mLを添加した。7時間後に、さらに、0.2M水酸化ナトリウム200mLを添加した。ゲルをもう17時間攪拌した後、洗浄液のpHは4.30であり、さらに、0.2M水酸化ナトリウム130mLを添加した。ゲルを25時間攪拌した(この時、pHは10.35であった)。洗浄液を捨てた後、ゲルの重さは6690.8gであった。ゲルに0.01M PBS溶液30Kgを添加し、ゲルを24時間洗浄した。PBSで洗浄した後、ゲルのpHは7.31であり、ゲルの重さは6916.5gであった。洗浄液を捨て、ゲルを0.01M PBS溶液30Kgで24時間、再洗浄した。最終洗浄液を捨てた後、ゲルの重さは6956.6gであり、平均FPCは1.17%であった。この材料を、20、40、60、および60メッシュスクリーンを用いてホモジナイズし、126℃で10分間オートクレーブした。このゲルのレオロジーデータを表3に示した。
実施例35- 12%細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム-皮膚充填材
本実施例は、IPC 約12%およびDVS:Pol比1:50でのゲルの調製を説明する。
NaCl 23.4gを0.2M NaOH溶液168.9gに添加し、溶解するまで攪拌した。急速に機械的に攪拌しながら、溶液に低MW(500〜600KDa)細菌発酵ヒアルロン酸ナトリウム(29.4g)を添加した。攪拌は合計120分間続けた。結果として生じたポリマー溶液のIPCは約12%であった。約30秒間にわたってピペットで、DVS溶液(IPA 1.6mLにDVS 0.41mLを溶解した)2mlをゆっくりと添加した(5×〜0.4mL)。もう2分間攪拌した後に、反応混合物をPyrex(登録商標)トレー(23×28×6.5cm)に注ぎ、プラスチックの蓋で密封し、室温で4時間保存して、ゲルを得た。1M HCl 100.1gが混合されている中性食塩水3Kgが入っているプラスチック容器に、ゲルを移した。ゲルをオービタルシェーカーで室温で24時間攪拌した。溶液のpHは2.28であった。洗浄液を捨てた後、ゲルの重さは416.2gであった。中性食塩水6Lをゲルに添加し、ゲルを18時間攪拌した。0時間、2時間、4時間、6時間、および8時間で、1M水酸化ナトリウムの9.7mLアリコートを溶液に添加した。ゲルを24時間攪拌した。洗浄後のpHは6.65であった。洗浄液を捨て、ゲルを2〜8℃で120時間保存した。次いで、洗浄液を0.01M PBS溶液(2L)と交換し、ゲルをさらに21時間攪拌した(この際に、洗浄液を流した)。この時、ゲルの重さは1036.2gであった。このゲルのFPCは2.4%であった。この材料を、20、40、60、40、60、100、および200メッシュスクリーンを用いてホモジナイズし、126℃で10分間オートクレーブした。この材料のレオロジーデータを表3に示した。
実施例36- 超低MWポリマーベースのゲル
様々な超低MW HA(500KDa未満)の溶液を、前記の実施例で述べたように0.2N NaOHに溶解して調製した。粘度は、Bohlin C-VORレオメーターを用いて、1sec-1の剪断速度で測定した。図4に示したように、ある決まった粘度値でのHA MWと1/IPCの関係は正比例関数である。従って、望ましい粘度、弾力性、および軟らかさを得るために、超低MWから調製されるゲルのDVS:Pol比の範囲は、ポリマーのIPCおよびMWに応じて、約0.0025〜約20、例えば、約0.05〜約20、0.01〜約20であることが予想される。
(表1)酸洗浄ゲルのレオロジー
Figure 0005016926
(表2)酸洗浄ゲルのレオロジーと中性洗浄ゲルのレオロジーの比較
Figure 0005016926
(表3)ゲルとゲルスラリーのレオロジー的性質
Figure 0005016926
(表4)様々なIPCおよびMWの超低MW HA溶液の粘度
Figure 0005016926
ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸;ヒアルロナン)構造を示す。 基本条件下でのヒアルロン酸ナトリウムとDVSの反応スキームを示す。 DVSとIPCの比の反比例関係を示したグラフである。 ある決まった粘度値でのMWと1/IPCの正比例に近い関係を示したグラフである。

Claims (32)

  1. 粘着性ゲルを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a.0.25重量%〜50重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
    b.出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ゲルを形成する工程;および
    c.工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄し、ゲルが4以下のpHを示すようにする、工程。
  2. IPCが0.25重量%〜8重量%である、請求項1記載の方法。
  3. IPCが3重量%〜10重量%である、請求項1記載の方法。
  4. IPCが3重量%〜15重量%である、請求項1記載の方法。
  5. 工程cにおいて、ゲルが洗浄されて、pH 2.0〜3.0になる、請求項1記載の方法。
  6. ゲルのpHを4以下から6.9〜7.5に調節する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. ゲルのpHを4以下から4.5〜6.5に調節する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  8. 工程bがpH>9で行われる、請求項1記載の方法。
  9. 工程bが24時間以下続けられる、請求項1記載の方法。
  10. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が0.5MDa〜4MDaから選択される、請求項1記載の方法。
  11. 出発ポリマーの1つがヒアルロナンである、請求項10記載の方法。
  12. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が30KDa〜500KDaから選択される、請求項1記載の方法。
  13. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が0.0025:1〜17.7:1から選択される、請求項1記載の方法。
  14. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が0.01:1〜17.7:1から選択される、請求項1記載の方法。
  15. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が0.5MDa〜4MDaから選択され、DVS:Pol(w:w)比が0.01:1〜17.7:1から選択される、請求項1記載の方法。
  16. 粘着性ゲルを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a.8重量%より大きく50重量%までのポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
    b.出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ゲルを形成する工程;および
    c.工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄し、ゲルが4以下のpHを示すようにする、工程。
  17. 工程cにおいて、ゲルが洗浄されて、pHが2.0〜3.0になる、請求項16記載の方法。
  18. ゲルのpHを4以下から6.9〜7.5に調節する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
  19. ゲルのpHを4以下から4.5〜6.5に調節する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
  20. 工程bがpH>9で行われる、請求項16記載の方法。
  21. 工程bが24時間以下続けられる、請求項16記載の方法。
  22. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が0.5MDa〜4MDaから選択される、請求項16記載の方法。
  23. 出発ポリマーの1つがヒアルロナンである、請求項22記載の方法。
  24. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が30KDa〜500KDaから選択される、請求項16記載の方法。
  25. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が0.0025:1〜0.033:1から選択される、請求項16記載の方法。
  26. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が0.01:1〜0.033:1から選択される、請求項16記載の方法。
  27. 粘着性ゲルを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a.0.25重量%〜50重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
    b. 出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を、0.0025:1〜0.05:1から選択されるジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)で反応させて、ゲルを形成する工程;および
    c.工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄し、ゲルが4以下のpHを示すようにする、工程。
  28. 工程bがpH>9で行われる、請求項27記載の方法。
  29. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が0.0025:1〜0.033:1から選択される、請求項27記載の方法。
  30. 粘着性ゲルを調製する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a.0.025重量%〜0.9重量%のポリマー初濃度(IPC)で、ヒアルロナン、ハイラン、またはその混合物を含む少なくとも1種類の出発ポリマー(Pol)の溶液を作成する工程;
    b.出発ポリマーとジビニルスルホン(DVS)を反応させて、ゲルを形成する工程;および
    c.工程bにおいて形成されたゲルをpH<4の水溶液で洗浄し、ゲルが4以下のpHを示すようにする、工程。
  31. 出発ポリマーの平均分子量(MW)が3MDa〜10MDaから選択される、請求項30記載の方法。
  32. ジビニルスルホン:ポリマー比(DVS:Pol)(w:w)が1.4:1〜17.7:1から選択される、請求項30記載の方法。
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