(第1実施形態)
以下、本発明の外装材をフェンダライナに具体化した第1実施形態について説明する。
図1は、車両に、フェンダライナを取り付けた状態を示す概略図である。車両11の前部において、ボディを構成するフェンダ11aの下部にはタイヤ12を収容するためのタイヤハウス13が設けられている。このタイヤハウス13は、車両下方向及び車両横方向(紙面に対して直交方向)に開放されており、その外面13aが路面12aと向き合うように配設されている。そして、タイヤハウス13の外面13aには、フェンダライナ14が添設されている。このフェンダライナ14は、タイヤハウス13の外面13aを被覆することにより、タイヤ12が路面12aから跳ね上げる小石、泥、砂利、雨水、氷塊(雪)等による傷つきから、該外面13aを保護している。さらに、このフェンダライナ14は、小石等が外面13aに衝突して発生する衝撃音(チッピングノイズ)、車両11の走行時に路面12aとタイヤ12との接触によって生じる擦過音(パターンノイズ)、こもり音(ロードノイズ)等といった騒音を低減する騒音低減性能を発揮することにより、車室内における静粛性能の向上に寄与している。
図2及び図3は、フェンダライナ14をそれぞれ車両11の外側及び内側から見た状態を示す斜視図である。フェンダライナ14は、前記タイヤハウス13に対応する形状となるように、シート材15をタイヤハウス13の外面13aに沿う形状とすることによって成形されたものである。フェンダライナ14の外縁部には、複数の取付孔16が透設されている。これら取付孔16を介してピン、ネジ等がタイヤハウス13に嵌着、あるいは螺着されることにより、フェンダライナ14は、タイヤハウス13に固定されている。フェンダライナ14の中央部には、前記タイヤ12を支持するサスペンション(図示略)を収容するためのサス孔17が設けられている。このサス孔17は、フェンダライナ14とサスペンションとの接触を避けることにより、フェンダライナ14が該サスペンションと接触することによって生じる擦過音等といった騒音の発生を抑制している。
また、フェンダライナ14の表面(内面)には、ビード18が突設されている。このビード18は、フェンダライナ14の内面をタイヤハウス13の外面13aに向かってコ字状に突出させて形成された2つの突条によって構成されている。そして、このビード18は、フェンダライナ14を補強することにより、該フェンダライナ14の剛性の向上に寄与している。さらに、このビード18は、フェンダライナ14をタイヤハウス13に取り付けた場合、その表面がタイヤハウス13の外面13aに接触されることにより、フェンダライナ14の内面の大半をタイヤハウス13の外面13aから離隔させる。このように、当該ビード18は、フェンダライナ14の内面の大半をタイヤハウス13の外面13aから離隔させることにより、該内面とタイヤハウス13の外面13aとの間に空気層19を形成するべく利用されている(図4参照)。
図4は、図1の4−4指示線におけるフェンダライナ14の断面構造を示す模式図である。フェンダライナ14は、シート材15からなる層と、前記空気層19とが積層された積層構造を有している。また、シート材15には、複数の層が積層された積層構造を有するものが使用されている。なお、本実施形態において、シート材15は、3つの層が積層されてなる積層構造とされている。すなわち、このシート材15は、フェンダライナ14がタイヤハウス13の外面13a上に取り付けられた場合に、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21と、該表層21とタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される内層22とを有している。さらに、この内層22は、表層21側に配置される第1層22aと、タイヤハウス13の外面13a側に配置される第2層22bとを有している。これら表層21と、第1層22aと、第2層22bとは、それぞれが不織布を材料として形成されている。そして、フェンダライナ14は、シート材15からなる層である表層21、第1層22a及び第2層22bと、該第2層22bとタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される空気層19との4つの層が積層されてなる積層構造とされている。
次に、フェンダライナ14を構成する各層について詳述する。
まず、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21について説明する。表層21は、そのフェンダライナ14がチッピングに耐え得るように、該フェンダライナ14の剛性(硬度)を向上させることを主目的として設けられたものである。また、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音は、フェンダライナ14に対し、まず当該表層21から伝搬される。このため、表層21には、該騒音を低減させるべく、吸音性能が付与される。
表層21は、多数の第1繊維23と、バインダー24とから構成されている。第1繊維23は、表層21を形成する不織布の主繊維である。バインダー24は、第1繊維23同士を互いに接着するためのものである。この表層21は、バインダー24によって互いに接着された第1繊維23同士が相互に交絡した状態とされることにより、網目状構造とされている。網目状構造とされた表層21の内部には、第1繊維23により囲まれた極めて微小な空間であるセル25が多数形成されている。つまり、表層21は、いわゆる「セル25の集合体」として構成されている。そして、これらセル25がそれぞれ吸音効果を発揮することにより、表層21は、騒音を低減する機能を発揮する。
第1繊維23には、合成繊維からなる短繊維が使用されている。本実施形態では、ポリエチレン(PE)繊維が使用されている。また、短繊維には、その製糸時において短繊維として形成されたもの(ステープル)と、長繊維を切断等することによって短繊維とされたもの(ステープルファイバー)とが存在する。本実施形態の第1繊維23には、使用済みのシート表皮、ドアパネル表皮等を再利用することが可能であり、製造コストの低減を図ることができるという観点から、繊維からなる廃材(リサイクル材)を裁断することによって形成されたステープルファイバーが使用されている。
第1繊維23の繊維径は、フェンダライナ14の剛性を向上させつつ、騒音の低減性能を好適に維持するという観点から、好ましくは5μm以上、20μm以下である。第1繊維23の繊維径が5μm未満の場合、該第1繊維23が切れやすくなる等の理由から、表層21の剛性が低下してしまうおそれがある。一方、第1繊維23の繊維径が20μmを超える場合、相互に交絡する第1繊維23同士の間に空間(セル25)が形成されにくくなったり、セル25が他の第1繊維23によって塞がれたり等することにより、騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
バインダー24には、第1繊維23よりも低融点な熱可塑性樹脂製の短繊維が使用されている。本実施形態のバインダー24には、低融点の熱可塑性樹脂を紡糸して単体の繊維(フィラメント)としたものが使用されている。また、フィラメントとしては、入手が容易で、かつ安価であることから、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維、ポリスチレン繊維が好適に使用される。本実施形態では、バインダー24として、ポリオレフィン繊維であるポリプロピレン(PP)繊維からなるフィラメントが使用されている。
バインダー24に使用する熱可塑性樹脂は、その融点が、第1繊維23の融点よりも20℃以上低いことが好ましい。第1繊維23の融点とバインダー24との融点との差が20℃未満の場合、バインダー24のみを溶融させることが困難となり、溶融したバインダー24がセル25を塞ぐことによって騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
具体的に、バインダー24に使用する熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは80〜170℃であり、より好ましくは100〜170℃である。融点が80℃未満の場合、車両11のボディから加わる熱(例えば、エンジン熱等)により、バインダー24が軟化し、フェンダライナ14が変形してしまうおそれがある。一方、融点が170℃を超える場合、フェンダライナ14を成形しづらくなり、加工性が低下してしまうおそれがある。
バインダー24に使用するフィラメントの繊維径は、フェンダライナ14の剛性を向上させつつ、騒音の低減性能を好適に維持するという観点から、好ましくは10μm以上、50μm以下である。繊維径が10μm未満の場合、フェンダライナ14の耐久性能が低下してしまうおそれがある。一方、繊維径が50μmを超える場合、バインダー24がセル25を塞ぎ、騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
第1繊維23及びバインダー24の繊維長は、好ましくは10〜100mmである。繊維長が10mm未満の場合には、繊維同士が相互に交絡しても、セル25が十分に形成されず、騒音低減性能が低下したり、繊維同士の交絡が不十分となり、フェンダライナ14の耐久性能が低下したり等するおそれがある。また、繊維長が100mmを超える場合、第1繊維23の繊維密度が過剰に高まる等により、騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
表層21を形成する不織布は、フェンダライナ14の剛性(硬度)を向上させるという観点から、繊維密度が高められている。つまり、表層21は、繊維密度を高め、繊維(第1繊維23)を緊密に詰めることにより、その剛性(硬度)が高められている。具体的に、表層21を形成する不織布の繊維密度は、騒音の低減性能を好適に発揮させつつ、耐久性能を好適に維持するという観点から、好ましくは0.05g/cm3以上、0.95g/cm3以下である。繊維密度が0.05g/cm3未満の場合、チッピングに対して好適に耐え得るだけの十分な硬度が得られなくなるおそれがある。一方、繊維密度が0.95g/cm3を超える場合、繊維が過剰に詰まり、騒音の低減性能を十分に発揮し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
表層21を形成する不織布において、目付け量は、フェンダライナ14の剛性を向上させつつ、騒音の低減性能を好適に維持するという観点から、好ましくは100g/m2以上、500g/m2以下であり、より好ましくは200g/m2以上、300g/m2以下である。また、表層21の厚み寸法は、目付け量と同様の観点から、好ましくは0.3mm以上、8mm未満であり、より好ましくは0.5mm以上、5mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上、2mm以下である。目付け量が100g/m2未満、あるいは厚み寸法が8mm以上の場合、繊維密度が過剰に低下し、表層21を所望の剛性(硬度)とすることができなくなるおそれがあるうえ、表層21に水分が浸入しやすくなるおそれもある。一方、目付け量が500g/m2を超える、あるいは厚み寸法が0.3mm未満の場合、表層21を形成する不織布の繊維密度が過剰に高まり、騒音の低減性能を十分に発揮し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
さらに、表層21は、フェンダライナ14の最外層に配置されるため、水分が付着しやすいことから、撥水性を付与することが好ましい。表層21に撥水性を付与する方法としては、第1繊維23の表面に撥水性付与剤を塗布する、表層21を形成する不織布に撥水性付与剤を塗布又は含浸させる等の方法が挙げられる。なお、撥水性付与剤としては、シリコーンゴム等が挙げられる。また、第1繊維23にリサイクル材を使用する場合には、例えばシート表皮、ドアパネル表皮等の車両部品は、その所望に応じて撥水性を付与されているものが存在する。このため、このような撥水性を付与された車両部品からなるリサイクル材を第1繊維23として積極的に使用することが好ましい。
次いで、内層22を構成する前記第1層22aについて説明する。第1層22aは、フェンダライナ14に騒音の低減性能を発揮させることを主目的として設けられたものである。つまり、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等といった騒音であって、前記表層21を通り抜けたものは、当該第1層22aによって吸音される。従って、第1層22aは、該第1層22aとともにシート材15を構成する表層21及び第2層22bよりも、吸音性能が高められている。
第1層22aは、多数の第2繊維26及び第3繊維27と、バインダー24とから構成されている。第2繊維26は、第1層22aを形成する不織布の主繊維である。第3繊維27は、第2繊維26とともに不織布を構成するとともに、第1層22aの嵩を増すべく含ませている。バインダー24は、多数の第2繊維26及び第3繊維27を接着するためのものである。この第1層22aは、バインダー24によって互いに接着された第2繊維26、第3繊維27が、それぞれ同士、あるいはそれぞれが相互に交絡した状態とされることにより、網目状構造とされている。網目状構造とされた第1層22aの内部には、第2繊維26、第3繊維27により囲まれた極めて微小な空間であるセル25が多数形成されている。つまり、第1層22aは、いわゆる「セル25の集合体」として構成されており、これらセル25がそれぞれ吸音効果を発揮することにより、第1層22aは、吸音性能を発揮する。
第1層22aにおいて、第2繊維26及びバインダー24は、前記表層21で挙げたバインダー24と同様のものである。但し、第2繊維26においては、その繊維径が第1繊維23よりも太くされている。一方、バインダー24は、前記表層21で使用するバインダー24と全く同じものを使用してもよく、あるいは全く同じものを使用することに限らず、第1層22aの仕様に合わせ、例えば熱可塑性樹脂をPETとしたり、フィラメントの繊維長、繊維径を変更したり等してもよい。
第2繊維26には、本実施形態では第1繊維23と同様に、リサイクル材を裁断することによって形成されたステープルファイバーからなるポリエチレン(PE)繊維が使用されている。一方、第3繊維27には、ポリアミド(PA)繊維からなる短繊維が使用されている。このポリアミド繊維(通称、ナイロン繊維)は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐疲労性に優れており、第1層22aにおける剛性の維持に寄与している。また、ポリアミド繊維は、車両11に搭載されるエアバッグの廃材から得ることも可能である。すなわち、エアバッグは、その製造時において材料とされる基布の端材が生じたり、あるいは廃車時に分別されて回収される。このような端材、あるいは廃材を裁断し、ステープルファイバーとしたうえで使用することにより、フェンダライナ14の製造コストの低減を図ることができる。
第2繊維26及び第3繊維27の繊維径は、騒音の低減性能を良好に発揮しつつ、フェンダライナ14の剛性を維持するという観点から、少なくとも何れか一方の繊維径が第1繊維23の繊維径よりも太くされている。本実施形態では、第2繊維26の繊維径を、第1繊維23及び第3繊維27の各繊維径よりも太くしている。具体的に、第2繊維26及び第3繊維27の繊維径は、好ましくは10μm以上、50μm以下である。繊維径が10μm未満の場合、フェンダライナ14の剛性を好適に維持することができなくなるおそれがある。一方、繊維径が50μmを超える場合、第1層22aにおいてセル25が形成されにくくなり、フェンダライナ14の騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
第1層22aを形成する不織布は、フェンダライナ14の騒音低減性能を良好に発揮させるという観点から、表層21よりも繊維密度が低くされている。つまり、第1層22aは、繊維密度を低くし、繊維(第2繊維26及び第3繊維27)を緩慢に詰めて、多数のセル25を形成し、かつ軟らかなものとすることによって、その吸音性能を高められている。具体的に、第1層22aを形成する不織布の繊維密度は、吸音性能を良好に発揮させつつ、適度な剛性を維持するという観点から、好ましくは0.005g/cm3以上、0.5g/cm3以下である。繊維密度が0.005g/cm3未満の場合、第1層22aが過剰に軟らかくなり、フェンダライナ14の剛性が低下してしまうおそれがある。一方、繊維密度が0.5g/cm3を超える場合、繊維が過剰に詰まることにより、吸音性能を良好に発揮し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
第1層22aを形成する不織布において、目付け量は、騒音低減性能を良好に発揮させつつ、フェンダライナ14の剛性を維持するという観点から、表層21よりも高くされる。具体的に、第1層22aの目付け量は、好ましくは800g/m2以上、1300g/m2以下であり、より好ましくは1000g/m2以上、1300g/m2以下である。また、第1層22aの厚み寸法は、目付け量と同様の観点から、2mm以上、8mm以下である。目付け量が800g/m2未満、あるいは厚み寸法が8mmを超える場合、繊維密度が過剰に低下し、第1層22aの剛性が低下してしまうおそれがあるうえ、第1層22aに水分が浸入しやすくなるおそれもある。目付け量が1300g/m2を超える、あるいは厚み寸法が2mm未満の場合、第1層22aを形成する不織布の繊維密度が過剰に高まり、騒音の低減性能を十分に発揮し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
続いて、内層22を構成する前記第2層22bについて説明する。第2層22bは、フェンダライナ14に、吸水による重量増加に耐え得る剛性を付与することを主目的として設けられたものである。つまり、前記表層21及び第1層22aは、吸音性能を発揮させるべく、それぞれが多数のセル25を有している。フェンダライナ14においては、タイヤ12が跳ね上げた水分が、セル25を介して表層21に浸入し、さらに表層21から第1層22aへと染み込むことにより、表層21及び第1層22aの重量が増加し、これら表層21及び第1層22aが撓んだり等する可能性が高い。そこで、第2層22bは、このような表層21及び第1層22aの重量増加に伴う形状変化に抗するべく、表層21及び第2層22bよりも、引張強度が高められている。また、騒音が表層21及び第1層22aを通り抜けた場合を考慮し、第2層22bには、該騒音を低減させるべく、騒音低減性能も付与される。
第2層22bは、スパンボンド法によって得られた不織布から形成されている。このスパンボンド法とは、合成樹脂を紡糸して得られた合成繊維からウェッブを形成し、このウェッブを形成する合成繊維を交絡、あるいは接着して不織布を得る方法である。本実施形態の第2層22bは、第4繊維28と、バインダーとしての接着剤29とから構成されている。第4繊維28は、第2層22bを形成する不織布の主繊維であり、合成繊維からなる。接着剤29は、第4繊維28同士を互いに接着するためのものである。この第2層22bは、接着剤29によって互いに接着された第4繊維28同士が相互に交絡した状態とされることにより、網目状構造とされている。網目状構造とされた第2層22bの内部には、第4繊維28により囲まれた極めて微小な空間であるセル25が多数形成されている。つまり、第2層22bは、いわゆる「セル25の集合体」として構成されており、これらセル25がそれぞれ吸音効果を発揮することにより、第2層22bは、騒音の低減性能を発揮する。
また、スパンボンド法によって得られた不織布から形成される第2層22bにおいて、第4繊維28は、大きな塊状をなす接着剤29を接着点として、この接着点を中心に複数が接着されている。また、これら接着点(塊状をなす接着剤29)は、第4繊維28を介して相互に繋がっている。従って、第2層22bを形成する不織布は、第4繊維28及び接着点が、相互に拘束し合い、互いに位置ずれを抑制し合う状態とされることにより、架橋構造とされている。架橋構造とされた不織布は、コシ感(弾力感)を付与できる程度の硬さを有しており、形状がくずれにくくなる。その結果、第2層22bは、好適な引張強度を発揮することとなり、表層21及び第1層22aが重量増加に伴って形状変化しようとする場合には、該形状変化に耐え、フェンダライナ14の形状を維持する。
第4繊維28には、スパンボンド法に適用可能なもの、すなわち溶融紡糸、湿式紡糸、メルトブロー、フラッシュ紡糸等の紡糸方法によって得られた合成繊維が使用されている。なお、第4繊維28の材料となる合成樹脂としては、スパンボンド法に適用可能な合成樹脂であれば何れを使用してもよい。本実施形態では、ポリエチレン(PE)繊維が使用されている。また、接着剤29は、第4繊維28を接着可能であれば何れを使用してもよく、第4繊維28の材料に使用する合成樹脂に応じ、適宜選択される。本実施形態では、ポリエチレンを接着可能な、アクリル系のエマルジョン型接着剤が使用されている。
第2層22bを形成する不織布は、良好な引張強度を有しつつ、フェンダライナ14の騒音低減性能を好適に維持するという観点から、表層21に比べ、繊維密度が同じか、あるいは低くされている。つまり、第2層22bは、架橋構造を形成できる程度に繊維(第4繊維28)を詰め、その繊維間に多数のセル25を形成することにより、騒音低減性能を付与しつつ、その引張強度が高められている。具体的に、第2層22bを形成する不織布の繊維密度は、良好な引張強度を有しつつ、騒音低減性能を維持するという観点から、好ましくは0.01g/cm3以上、0.95g/cm3以下である。繊維密度が0.01g/cm3未満の場合、架橋構造を好適に形成することができず、引張強度を良好に発揮することができなくなるおそれがある。一方、繊維密度が0.95g/cm3を超える場合、繊維が過剰に詰まることにより、騒音低減性能を維持し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
第2層22bを形成する不織布において、目付け量は、良好な引張強度を有しつつ、フェンダライナ14の騒音低減性能を好適に維持するという観点から、好ましくは50g/m2以上、500g/m2以下であり、より好ましくは50g/m2以上、300g/m2以下である。また、第2層22bの厚み寸法は、目付け量と同様の観点から、好ましくは0.3mm以上、8mm未満であり、より好ましくは0.5mm以上、5mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上、2mm以下である。目付け量が50g/m2未満、あるいは厚み寸法が8mm以上の場合、繊維密度が過剰に低下し、第2層22bが良好な引張強度を発揮できなくなるおそれがある。一方、目付け量が500g/m2を超える、あるいは厚み寸法が0.3mm未満の場合、第2層22bを形成する不織布の繊維密度が過剰に高まり、騒音の低減性能を維持し得るだけのセル25が形成されなくなるおそれがある。
次に、フェンダライナ14において、そのシート材15の製造について説明する。
シート材15の製造においては、表層21、第1層22a及び第2層22bのそれぞれを形成する不織布を得るべく、繊維及びバインダーを開繊・沈積させ、各層毎にウェッブをそれぞれ形成する。その後、これらウェッブを重ね合わせ、ニードルパンチを施す。すると、各ウェッブ間で繊維が互いに交絡されることにより、各ウェッブが一体化される。そして、一体化されたウェッブをプレス成形機によってプレスしつつ、加熱処理することにより、バインダーによって繊維同士が接着され、フェンダライナ14の原反となるシート材15が形成される。なお、このシート材15からフェンダライナ14を成形する場合、シート材15は、プレス成形機の型内で加熱されつつ、さらにプレスされ、所定形状とされることにより、フェンダライナ14となる。従って、シート材15からフェンダライナ14が成形される際、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層は、さらに圧縮される。
フェンダライナ14の原反となるシート材15は、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層が積層された状態となっている。フェンダライナ14は、原反となるシート材15の状態で、所望とする引張強度とされる。すなわち、フェンダライナ14は、シート材15を加熱プレスして所定形状に成形されるものであり、その引張強度は、シート材15の状態における引張強度よりも、低くなることはなく、同じ、あるいは高くなる。従って、フェンダライナ14は、シート材15の状態で所望とする引張強度を満たせばよい。この所望とする引張強度とは、フェンダライナ14が水分を吸水し、重量増加したとき、その重量増加に耐え得る引張強度を示す。具体的に、シート材15の状態における引張強度は、好ましくはタテで1500N以上、ヨコで1700N以上である。引張強度がタテで1500N未満、ヨコで1700N未満の場合、吸水による重量増加時において、フェンダライナ14の形状変化を抑制することができなくなるおそれがある。なお、この引張強度は、JIS L 1085:1998に規定される不織布しん地試験方法によって測定された値とする。
次に、フェンダライナ14の作用を説明する。
さて、フェンダライナ14は、騒音に対し、表層21、第1層22a及び第2層22bのそれぞれが防音性能を発揮することにより、騒音を低減する。すなわち、車両11における、いわゆる「騒音」について考慮した場合、例えばパターンノイズのように空気を媒介として伝播される騒音と、例えばロードノイズのようにボディ等の固体を媒介として伝播される騒音とがある。これら騒音のうち、空気を媒介とする騒音は、「吸音効果」によって低減することができる。つまり、表層21、第1層22a及び第2層22bの各セル25を騒音が通過しようとする際には、各セル25が吸音効果を発揮することにより、フェンダライナ14は、空気を媒介とする騒音を吸音し、該騒音を低減する。一方、固体を媒介として伝播される騒音は、「制振効果」によって低減することができる。つまり、フェンダライナ14は、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層でそれぞれ繊維密度が異なることから、強度及び柔軟性の双方を兼ね備えるものとなる。このため、フェンダライナ14は、騒音によって生じる振動に抗して変形しにくくなり、さらには振動を柔軟に吸収するという制振効果を発揮することにより、固体を媒介として伝播される騒音を低減する。
さらに、フェンダライナ14においては、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層を騒音が通過した場合であっても、空気層19により、騒音が低減される。すなわち、空気層19は、空気のみによって構成されているため、吸音効果及び制振効果の双方を発揮する。つまり、表層21、第1層22a及び第2層22bを通り抜けた騒音が空気を媒介として伝播される場合、空気層19は、その媒介となって伝播される騒音の位相をずらすことにより、吸音効果を発揮する。このように位相をずらされた騒音は、いわゆる「騒音」として認識されにくい音となる。また、空気層19は、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層と、タイヤハウス13との接触を抑制し、固体である各層の振動がタイヤハウス13へ伝播されることを抑えることにより、制振効果を発揮する。その結果、フェンダライナ14の空気層19は、空気及び固体を媒介とする騒音を低減する。
なお、フェンダライナ14においては、この空気層19の体積を変更することにより、低減したい騒音の周波数帯に応じ、吸音効果を発揮する周波数帯が適宜調整される。このように空気層19の体積を変更する場合、その変更は、ビード18の高さ、つまりは空気層19の厚みを変えることによって行う。具体的に、空気層19の厚みは、騒音の低減性能を好適に向上させつつ、フェンダライナ14をタイヤハウス13の内部に好適に収容するという観点から、好ましくは5mm以上、40mm以下である。空気層19の厚みが5mm未満の場合、空気層19が十分な吸音効果を発揮することができず、騒音の低減性能の向上に十分に寄与し得なくなるおそれがある。一方、空気層19の厚みが40mmを超える場合、十分な吸音効果を発揮することは可能であるものの、フェンダライナ14の取り付けに要するスペースが嵩み、フェンダライナ14をタイヤハウス13の内部に収容することができなくなるおそれがある。
加えて、フェンダライナ14は、車両11の車室内へ侵入する騒音の低減のみならず、車両11外部へ漏れ出そうとする騒音をも低減する。すなわち、フェンダライナ14は、車両11のエンジンノイズ、モータノイズ等のような、車両11内部から車両11外部へ漏れ出そうとする騒音に対しても、上記のような吸音効果、制振効果を発揮する。従って、車両11外部へ漏れ出そうとする騒音がフェンダライナ14によって低減され、該フェンダライナ14を備える車両11は、環境配慮に高度に寄与し得るものとなる。
また一方、車両11の走行時においては、タイヤ12が跳ね上げた小石等がフェンダライナ14に衝突し、チッピングノイズを発生させようとする。このとき、フェンダライナ14は、繊維密度を高めることによって剛性(硬さ)を付与された表層21により、衝突による力を受け止め、さらに繊維密度を表層21よりも低くして柔軟性を付与された第1層22aにより、衝突による力を吸収する。その結果、チッピングノイズの発生が抑制される。また、フェンダライナ14に衝突した小石等は、表層21の表面で繊維に絡み付き、固着しようとする。これに対し、表層21は、繊維密度を高め、繊維(第1繊維23)が緊密に詰められることにより、平滑性が向上される。従って、表層21の表面における繊維の毛羽立ちが低減されており、小石等の固着が抑制されるため、フェンダライナ14は、汚損に対して好適に耐え得るものとされる。
さらに、車両11の走行時等において、フェンダライナ14には、雨水、雪等の水分が付着し、該水分が吸水されてしまう場合がある。この場合、表層21の表面に付着した水分のうち、一部は、表層21に撥水性を付与したことにより、撥水される。従って、表層21における水分の吸水が抑制される。一方、撥水されることなく、表層21から吸水されてしまった水分は、フェンダライナ14の重量を増加させ、該フェンダライナ14を撓ませる等して変形させようとする。このとき、第2層22bは、そのフェンダライナ14を変形させようとする力に抗し、該変形を抑制する。また、表層21及び第1層22aを比べた場合、表層21は、第1層22aよりも繊維密度が高い分、剛性が高く、変形しづらい。このため、剛性を有する第2層22b及び表層21が、軟らかな第1層22aを挟み込み、支持することにより、重量変化に伴う変形が好適に抑制される。加えて、第2層22bは、スパンボンド法によって得られた不織布によって形成されるため、そのセル25は、表層21及び第1層22aに形成されるセル25よりも小さくなる。従って、空気層19に水分が入り込んだ場合において、第2層22bからの水分の吸水が抑制される。
前記の第1実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)フェンダライナ14において、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層は、それぞれ不織布から形成されることにより、セル25の集合体として構成されている。従って、セル25が吸音効果を発揮することにより、フェンダライナ14は、騒音の低減性能を発揮することができる。また、第1層22aと第2層22bとから構成される内層22は、その引張強度が表層21よりも高められている。このため、フェンダライナ14が水分の吸水により重量を増加させ、形状変化しようとした場合、内層22が形状変化しようとする力に抗し、その形状変化を抑制する。このため、各層のセル25による吸音効果によって騒音の低減性能を好適なものとしつつ、表層21よりも内層22の引張強度を高めたことにより、フェンダライナ14に吸水による重量増加に耐え得る剛性を付与することができる。
(2)表層21の繊維密度を、0.05g/cm3以上、0.95g/cm3以下としたことにより、フェンダライナ14にチッピング等に対して十分に耐え得る耐久性能を付与することができる。
(3)表層21において、第1繊維23の繊維径を、5μm以上、20μm以下としたことにより、十分な吸音効果を発揮させるに足るセル25を形成することができるとともに、表層21の剛性を好適なものとすることができる。
(4)第2層22bとタイヤハウス13の外面13aとの間には、空気層19が設けられている。この空気層19を設けることにより、騒音の位相がずらされるとともに、騒音によるフェンダライナ14の振動が車両11のボディに伝わりにくくなるため、フェンダライナ14の騒音低減性能を好適に向上させることができる。
(5)第2層22bをスパンボンド法により得られる不織布で形成したことにより、該第2層22bにおいて、第4繊維28と接着点(接着剤29)とを相互に拘束させ、互いの位置ずれを抑制することができる。このため、第2層22bによって内層22の引張強度を好適に高めることができる。また、内層22を第1層22aと第2層22bとの複層構造としたことにより、第1層22aには良好な吸音性能を、第2層22bには良好な引張強度を付与することができる。
(6)表層21、第1層22a及び第2層22bの順番で積層させたことにより、軟らかい第1層22aを、剛性を有する表層21及び第2層22bで挟み込み、支持することができる。つまり、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層で、いわゆる外骨格構造を構成し、表層21及び第2層22bがいわゆる梁の機能を発揮することにより、フェンダライナ14の剛性を好適なものとすることができる。
(7)表層21、第1層22a及び第2層22bを積層させたシート材15の状態で、引張強度をタテで1500N以上、ヨコで1700N以上としたことにより、フェンダライナ14を吸水による重量増加に良好に耐え得るものとすることができる。
(8)第2層22bを形成する不織布は、表層21を形成する不織布に比べ、繊維密度が同じ又は低くされているため、第2層22bにおいて、第4繊維28同士の間に十分な吸音効果を発揮させるに足る大きさのセル25を形成することができる。
(9)第2層22bを形成する不織布は、繊維密度を0.01g/cm3以上、0.95g/cm3以下としたことにより、第2層22bにおいて、騒音の低減性能を好適に維持しつつ、引張強度を良好なものとすることができる。
(10)第1層22aを形成する不織布は、表層21を形成する不織布よりも、繊維密度が低くされているため、第1層22aにおいて、その耐久性能を好適に維持しつつ、良好な吸音性能を発揮させることができる。
(11)第1層22aを形成する不織布は、繊維密度を0.005g/cm3以上、0.5g/cm3以下としたことにより、第1層22aの耐久性能を好適に維持しつつ、該第1層22aに主として吸音性能を発揮させることができる。
(12)第1層22aにおいて、第2繊維26は、第1繊維23よりも、繊維径が太くされているため、良好な吸音効果を発揮させることができる程度に多数のセル25を形成しつつ、第1層22aの耐久性能を好適に維持することができる。
(13)第1層22aにおいて、第2繊維26及び第3繊維27は、繊維径を10μm以上、50μm以下としたことにより、良好な吸音効果を発揮させることが可能な多数のセル25を形成しつつ、第1層22aの耐久性能を良好に維持することができる。
(14)タイヤハウス13内においては、チッピングが頻繁に発生する。また、タイヤハウス13は、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等の騒音が車室内へ侵入する箇所となる。このようなタイヤハウス13に取り付けられるフェンダライナ14を、上記のような表層21、第1層22a及び第2層22bを備えるものとすることにより、該フェンダライナ14は、騒音低減性能を好適に発揮しつつ、好適な耐久性能をも発揮する。従って、このようなフェンダライナ14は、チッピングから車両11のボディを保護するという本来の目的に加え、車室内における静粛性能までも向上させることができる。さらに、タイヤハウス13内は、水分が付着しやすい場所でもある。このフェンダライナ14は、表層21、第1層22a及び第2層22bを備えることにより、引張強度が向上しているため、水分の吸水による形状変化にも好適に耐えることができる。
(参考例)
以下、参考例について説明する。なお、この参考例においては、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図5は、参考例におけるフェンダライナ14の断面構造を示す模式図である。フェンダライナ14は、シート材15からなる層と、前記空気層19とが積層された積層構造を有している。また、シート材15には、複数の層が積層された積層構造を有するものが使用されている。なお、本参考例において、シート材15は、2つの層が積層されてなる積層構造とされている。すなわち、このシート材15は、フェンダライナ14がタイヤハウス13の外面13a上に取り付けられた場合に、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21と、該表層21とタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される内層22とを有している。また、内層22は、単層構造とされている。これら表層21と、内層22とは、それぞれが不織布を材料として形成されている。そして、フェンダライナ14は、シート材15からなる層である表層21及び内層22と、該内層22とタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される空気層19との3つの層が積層されてなる積層構造とされている。
次に、フェンダライナ14を構成する各層について詳述する。
まず、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21について説明する。表層21は、使用するバインダー24を除き、前記第1実施形態と同様の構成とされている。すなわち、表層21において、第1繊維23及びその繊維径、表層21を形成する不織布の繊維密度、目付け量、表層21の厚み寸法は、第1実施形態と同じである。一方、内層22は、使用するバインダー24を除き、前記第1実施形態の第1層22aと同様の構成とされている。すなわち、内層22を形成する不織布は、第2繊維26、第3繊維27及びバインダー24により、いわゆる「セル25の集合体」として構成されている。内層22において、第2繊維26と第3繊維27及びそれぞれの繊維径、内層22を形成する不織布の繊維密度、目付け量、内層22の厚み寸法は、前記第1実施形態の第1層22aにおけるそれぞれと同じである。従って、内層22は、第2繊維26及び第3繊維27のうち、少なくとも一方が第1繊維23よりも太く、その繊維密度及び目付け量が表層21よりも低くされている。
表層21及び内層22において、バインダー24には、それぞれ融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を複合して紡糸することにより得られる複合繊維が使用されている。また、この複合繊維において、熱可塑性樹脂のうち少なくとも1種には、第1繊維23よりも融点が低いものが使用される。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維、ポリスチレン繊維が好適に使用される。
また、複合繊維としては、芯鞘型又はサイドバイサイド型のものが使用される。芯鞘型の複合繊維とは、中心となる芯部と、該芯部の表面を覆う鞘部とから構成された繊維であり、芯部に使用する熱可塑性樹脂よりも、鞘部に使用する熱可塑性樹脂の融点が低くされている。そして、芯鞘型の複合繊維は、芯部を残し、鞘部のみが溶融されることにより、芯部を介して繊維同士を接着する。一方、サイドバイサイド型の複合繊維とは、一対の繊維が互いに融着され、かつ平行に延びるようにして構成された繊維であり、一対の繊維のうち一方よりも、他方に使用する熱可塑性樹脂の融点が低くされている。そして、サイドバイサイド型の複合繊維は、一方の繊維を残し、他方の繊維のみが溶融されることにより、一方の繊維を介して繊維同士を接着する。
上記のような複合繊維からなるバインダー24を用いた不織布は、多数の繊維及びバインダー24が接着点を中心に接着されている。また、不織布内において、この接着点は無数に存在しており、さらにこれら接着点は、バインダー24及び繊維を介して相互に繋がることとなる。従って、複合繊維からなるバインダー24を用いた不織布は、バインダー24及び繊維からなる架橋構造を構成しつつ、バインダー24及び繊維からなる網目構造を構成している。このため、架橋構造及び網目構造とされた不織布は、ハリ感(張力感)を付与できる程度の硬さを有しており、形状がくずれにくくなる。
本参考例では、芯鞘型の複合繊維が使用されている。このように複合繊維として芯鞘型のものを使用した場合、図5中に2点鎖線で囲まれた拡大図に示すように、残された芯部が不織布を構成する繊維との間にセル25を形成する。このため、バインダー24及び繊維からなる網目構造が緻密となり、ハリ感(張力感)を伴う硬さ(剛性)が増すため、形状のくずれを好適に抑制することができる。なお、芯鞘型の複合繊維において、芯部を構成する繊維は、不織布を形成する繊維(表層21では第1繊維23、内層22では第2繊維26及び第3繊維27)よりも低融点である必要はなく、むしろ融点が高いものであるのが好ましい。従って、本参考例では、芯鞘型の複合繊維において、芯部をPET製、鞘部を変性ポリエステル製としている。
芯鞘型の複合繊維からなるバインダー24において、鞘部に使用する熱可塑性樹脂は、その融点が、芯部に使用する熱可塑性樹脂、あるいは不織布を形成する繊維(表層21では第1繊維23、内層22では第2繊維26及び第3繊維27)の融点よりも20℃以上低いことが好ましい。融点との差が20℃未満の場合、鞘部のみを溶融させることが困難となって、吸音効果を発揮するに足るセル25を形成することができなくなるおそれがある。
具体的に、鞘部に使用する熱可塑性樹脂の融点は、好ましくは80〜170℃であり、より好ましくは100〜170℃である。融点が80℃未満の場合、車両11のボディから加わる熱(例えば、エンジン熱等)により、繊維同士を接着する鞘部が再び軟化し、フェンダライナ14が変形してしまうおそれがある。一方、融点が170℃を超える場合、フェンダライナ14を成形しづらくなり、加工性が低下してしまうおそれがある。
芯鞘型の複合繊維からなるバインダー24において、その繊維径は、フェンダライナ14の剛性を向上させつつ、騒音の低減性能を好適に維持するという観点から、好ましくは10μm以上、50μm以下である。繊維径が10μm未満の場合、芯部が切れたり、鞘部が繊維同士を十分に接着できなかったり等することにより、フェンダライナ14の耐久性能が低下してしまうおそれがある。一方、繊維径が50μmを超える場合、バインダー24がセル25を塞ぎ、騒音低減性能が低下してしまうおそれがある。
次に、フェンダライナ14において、そのシート材15の製造について説明する。
シート材15の製造においては、表層21及び内層22のそれぞれを形成する不織布を得るべく、繊維及びバインダーを開繊・沈積させ、各層毎にウェッブをそれぞれ形成する。その後、これらウェッブを重ね合わせ、ニードルパンチを施す。すると、各ウェッブ間で繊維が互いに交絡されることにより、各ウェッブが一体化される。そして、一体化されたウェッブをプレス成形機によってプレスしつつ、加熱処理することにより、バインダーによって繊維同士が接着され、フェンダライナ14の原反となるシート材15が形成される。なお、このシート材15からフェンダライナ14を成形する場合、シート材15は、プレス成形機の型内で加熱されつつ、さらにプレスされ、所定形状とされることにより、フェンダライナ14となる。従って、シート材15からフェンダライナ14が成形される際、表層21及び内層22は、さらに圧縮される。
フェンダライナ14の原反となるシート材15は、表層21及び内層22が積層された状態となっている。フェンダライナ14は、原反となるシート材15の状態で、その引張強度が、好ましくはタテで1400N以上、ヨコで1800N以上である。引張強度がタテで1400N未満、ヨコで1800N未満の場合、吸水による重量増加時において、フェンダライナ14の形状変化を抑制することができなくなるおそれがある。なお、前に述べたように、フェンダライナ14は、シート材15を加熱プレスして所定形状に成形されるものであり、その引張強度は、シート材15の状態における引張強度よりも、低くなることはなく、同じ、あるいは高くなる。
次に、フェンダライナ14の作用を説明する。
さて、フェンダライナ14は、騒音に対し、表層21及び内層22のそれぞれが防音性能を発揮することにより、空気を媒介として伝播される騒音、固体を媒介として伝播される騒音を低減する。また、表層21及び内層22を騒音が通過した場合であっても、空気層19により、騒音が低減される。加えて、フェンダライナ14は、車両11の車室内へ侵入する騒音の低減のみならず、車両11外部へ漏れ出そうとする騒音をも低減する。また一方、車両11の走行時において、タイヤ12が跳ね上げた小石等は、表層21により、衝突による力を受け止められ、さらに繊維密度を表層21よりも低くして柔軟性を付与された内層22により、衝突による力が吸収される。その結果、チッピングノイズの発生が抑制される。
さらに、車両11の走行時等において、フェンダライナ14に水分が吸水されてしまう場合、表層21の表面に付着した水分の一部は、撥水される。従って、表層21における水分の吸水が抑制される。一方、撥水されることなく、表層21から吸水されてしまった水分は、フェンダライナ14の重量を増加させ、該フェンダライナ14を撓ませる等して変形させようとする。このとき、内層22は、フェンダライナ14を変形させようとする力に抗し、該変形を抑制する。加えて、内層22において、バインダー24には、芯鞘型の複合繊維が使用されており、内層22には緻密なセル25が形成される。従って、空気層19に水分が入り込んだ場合において、該水分は内層22のセル25に取り込まれにくくなり、内層22からの水分の吸水が抑制される。
前記の参考例によって発揮される効果について、以下に記載する。なお、参考例は、前記(1)〜(3)に記載の効果と同様の効果を奏する。
(15)内層22とタイヤハウス13の外面13aとの間には、空気層19が設けられている。この空気層19を設けることにより、騒音の位相がずらされるとともに、騒音によるフェンダライナ14の振動が車両11のボディに伝わりにくくなるため、フェンダライナ14の騒音低減性能を好適に向上させることができる。
(16)内層22において、第2繊維26及び第3繊維27を芯鞘型の複合繊維からなるバインダー24で接着したことにより、繊維同士を接着する接着点が多くなり、数多くの接着点で繊維を好適に拘束し、繊維同士の位置ずれを良好に抑制することができる。このため、内層22によってフェンダライナ14の引張強度を好適に高めることができる。
(17)表層21及び内層22を積層させたシート材15の状態で、引張強度をタテで1400N以上、ヨコで1800N以上としたことにより、フェンダライナ14を吸水による重量増加に良好に耐え得るものとすることができる。
(18)内層22を形成する不織布は、表層21を形成する不織布よりも、繊維密度が低くされているため、内層22において、その耐久性能を好適に維持しつつ、良好な吸音性能を発揮させることができる。
(19)内層22を形成する不織布は、繊維密度を0.005g/cm3以上、0.5g/cm3以下としたことにより、内層22の耐久性能を好適に維持しつつ、該内層22に主として吸音性能を発揮させることができる。
(20)内層22において、第2繊維26は、第1繊維23よりも、繊維径が太くされているため、良好な吸音効果を発揮させることができる程度に多数のセル25を形成しつつ、内層22の耐久性能を好適に維持することができる。
(21)内層22において、第2繊維26及び第3繊維27は、繊維径を10μm以上、50μm以下としたことにより、良好な吸音効果を発揮させることが可能な多数のセル25を形成しつつ、内層22の耐久性能を良好に維持することができる。
(22)タイヤハウス13内においては、チッピングが頻繁に発生する。また、タイヤハウス13は、チッピングノイズ、パターンノイズ、ロードノイズ等の騒音が車室内へ侵入する箇所となる。このようなタイヤハウス13に取り付けられるフェンダライナ14を、上記のような表層21及び内層22を備えるものとすることにより、該フェンダライナ14は、騒音低減性能を好適に発揮しつつ、好適な耐久性能をも発揮する。従って、このようなフェンダライナ14は、チッピングから車両11のボディを保護するという本来の目的に加え、車室内における静粛性能までも向上させることができる。さらに、タイヤハウス13内は、水分が付着しやすい場所でもある。このフェンダライナ14は、表層21及び内層22を備えることにより、引張強度が向上しているため、水分の吸水による形状変化にも好適に耐えることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図6は、第2実施形態におけるフェンダライナ14の断面構造を示す模式図である。フェンダライナ14は、シート材15からなる層と、前記空気層19とが積層された積層構造を有している。また、シート材15には、複数の層が積層された積層構造を有するものが使用されている。なお、本実施形態において、シート材15は、3つの層が積層されてなる積層構造とされている。すなわち、このシート材15は、フェンダライナ14がタイヤハウス13の外面13a上に取り付けられた場合に、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21と、該表層21とタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される内層22とを有している。さらに、この内層22は、表層21側に配置される第1層22aと、タイヤハウス13の外面13a側に配置される第2層22bとを有している。これら表層21と、第1層22aと、第2層22bとは、それぞれが不織布を材料として形成されている。そして、フェンダライナ14は、シート材15からなる層である表層21、第1層22a及び第2層22bと、該第2層22bとタイヤハウス13の外面13aとの間に配設される空気層19との4つの層が積層されてなる積層構造とされている。
次に、フェンダライナ14を構成する各層について詳述する。
まず、フェンダライナ14の最外層を構成する表層21について説明する。表層21は、前記第1実施形態と同様の構成とされている。すなわち、表層21において、第1繊維23及びその繊維径、表層21を形成する不織布の繊維密度、目付け量、表層21の厚み寸法は、第1実施形態と同じである。
一方、内層22の第1層22aは、前記第1実施形態の第1層22aと同様の構成とされている。すなわち、第1層22aを形成する不織布は、第2繊維26、第3繊維27及びバインダー24により、いわゆる「セル25の集合体」として構成されている。第1層22aにおいて、第2繊維26と第3繊維27及びそれぞれの繊維径、第1層22aを形成する不織布の繊維密度、目付け量、第1層22aの厚み寸法は、前記第1実施形態の第1層22aにおけるそれぞれと同じである。従って、第1層22aは、第2繊維26及び第3繊維27のうち、少なくとも一方が第1繊維23よりも太く、その繊維密度及び目付け量が表層21よりも低くされている。
続いて、内層22を構成する前記第2層22bについて説明する。第2層22bは、フェンダライナ14に、吸水による重量増加に耐え得る剛性を付与することを主目的として設けられたものである。そこで、第2層22bは、表層21及び第1層22aの重量増加に伴う形状変化に抗するべく、表層21及び第2層22bよりも、引張強度が高められている。また、騒音が表層21及び第1層22aを通り抜けた場合を考慮し、第2層22bには、該騒音を低減させるべく、騒音低減性能も付与される。
第2層22bは、低伸度繊維30と、バインダー31とから構成されている。低伸度繊維30は、第2層22bを形成する不織布の主繊維であり、合成繊維からなる。また、低伸度繊維30としては、伸度が20%未満であって、かつ、引張強度が6g/d以上、10g/d以下の素材であることが好ましい。そして、本実施形態においては、低伸度繊維30として、反毛加工したタイヤコード用PET繊維が使用されている。タイヤコード用PET繊維は、他のPET繊維に比して高い剛性を有している。
バインダー31は低伸度繊維30同士を互いに接着するためのものである。この第2層22bは、バインダー31によって互いに接着された低伸度繊維30同士が相互に交絡した状態とされることにより、網目状構造とされている。網目状構造とされた第2層22bの内部には、低伸度繊維30により囲まれた極めて微小な空間であるセル25が多数形成されている。つまり、第2層22bは、いわゆる「セル25の集合体」として構成されており、これらセル25がそれぞれ吸音効果を発揮することにより、第2層22bは、騒音の低減性能を発揮する。なお、本実施形態において第2層22bを形成する不織布の繊維密度及び目付け量は第1の実施形態において第2層22bを形成する不織布と同程度に設定されている。
本実施形態においては、低伸度繊維30を使用することで、第2層22bにおける剛性の維持に寄与しており、その結果、第2層22bは、好適な引張強度を発揮することとなり、表層21及び第1層22aが重量増加に伴って形状変化しようとする場合には、該形状変化に耐え、フェンダライナ14の形状を維持する。また、タイヤコード用PET繊維は、車両11に搭載されるタイヤの廃材から得ることが可能である。すなわち、タイヤは、その製造時において材料とされる基布の端材が生じたり、あるいは廃車時に分別されて回収される。このような端材、あるいは廃材を裁断し、反毛加工した上で使用することにより、フェンダライナ14の製造コストの低減を図ることができる。
次に、フェンダライナ14において、そのシート材15の製造について説明する。
シート材15の製造においては、表層21、第1層22a及び第2層22bのそれぞれを形成する不織布を得るべく、繊維及びバインダーを開繊・沈積させ、各層毎にウェッブをそれぞれ形成する。その後、これらウェッブを重ね合わせ、ニードルパンチを施す。すると、各ウェッブ間で繊維が互いに交絡されることにより、各ウェッブが一体化される。そして、一体化されたウェッブをプレス成形機によってプレスしつつ、加熱処理することにより、バインダーによって繊維同士が接着され、フェンダライナ14の原反となるシート材15が形成される。なお、このシート材15からフェンダライナ14を成形する場合、シート材15は、プレス成形機の型内で加熱されつつ、さらにプレスされ、所定形状とされることにより、フェンダライナ14となる。従って、シート材15からフェンダライナ14が成形される際、表層21、第1層22a及び第2層22bの各層は、さらに圧縮される。
次に、フェンダライナ14の作用を説明する。
さて、フェンダライナ14は、騒音に対し、表層21、第1層22a及び第2層22bのそれぞれが防音性能を発揮することにより、空気を媒介として伝播される騒音、固体を媒介として伝播される騒音を低減する。また、表層21、第1層22a及び第2層22bを騒音が通過した場合であっても、空気層19により、騒音が低減される。加えて、フェンダライナ14は、車両11の車室内へ侵入する騒音の低減のみならず、車両11外部へ漏れ出そうとする騒音をも低減する。また一方、車両11の走行時において、タイヤ12が跳ね上げた小石等は、表層21により、衝突による力を受け止められ、さらに繊維密度を表層21よりも低くして柔軟性を付与された内層22により、衝突による力が吸収される。その結果、チッピングノイズの発生が抑制される。
さらに、車両11の走行時等において、フェンダライナ14には、雨水、雪等の水分が付着し、該水分が吸水されてしまう場合がある。この場合、表層21の表面に付着した水分のうち、一部は、表層21に撥水性を付与したことにより、撥水される。従って、表層21における水分の吸水が抑制される。一方、撥水されることなく、表層21から吸水されてしまった水分は、フェンダライナ14の重量を増加させ、該フェンダライナ14を撓ませる等して変形させようとする。このとき、第2層22bは、そのフェンダライナ14を変形させようとする力に抗し、該変形を抑制する。また、表層21及び第1層22aを比べた場合、表層21は、第1層22aよりも繊維密度が高い分、剛性が高く、変形しづらい。このため、剛性を有する第2層22b及び表層21が、軟らかな第1層22aを挟み込み、支持することにより、重量変化に伴う変形が好適に抑制される。
前記の第2実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。なお、第2実施形態は、前記(1)〜(6)及び(8)〜(14)に記載の効果と同様の効果を奏する。
(23)内層22の第2層22bは、伸度が20%未満であって、かつ、引張強度が6g/d以上、10g/d以下である低伸度繊維30を含む不織布により形成されることとした。そのため、表層21の形状変化に抗し得る程度の好適な引張強度を内層22の第2層22bに付与することができる。また、内層22を第1層22aと第2層22bとの複層構造としたことにより、第1層22aには良好な吸音性能を、第2層22bには良好な引張強度を付与することができる。
(24)低伸度繊維30は、他のPET繊維に比して剛性が高くなっているため、他のPET繊維を使用した場合に比して、第2層22bにおける目付け量を低減させることも可能である。従って、第2層22bの軽量化及びフェンダライナ14の製造コストの低減を図ることも可能である。
(25)低伸度繊維30は、反毛加工したタイヤコード用PET繊維を用いることとしたため、タイヤの製造時等に発生する廃材を有効活用することで、フェンダライナ14の製造コストの低減を図ることができる。
(変形例)
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1繊維23、第2繊維26及び第3繊維27には、必ずしもPET繊維、PA繊維等のような合成繊維が使用されることに限らず、無機繊維としてガラス繊維、セラミックス繊維等、天然繊維として、綿、レーヨン等のセルロース繊維、絹、羊毛等のタンパク質系繊維等を使用してもよい。あるいは、合成繊維、無機繊維及び天然繊維のうち、少なくとも2種以上を混合してもよい。
・シート材15を表層21と内層22とが積層されてなる積層構造とする場合に、内層22が低伸度繊維30を含む不織布により形成されるように変更してもよい。
・ 車両11のボディカラー、あるいは所望等に合わせて、フェンダライナ14を黒色、灰色、茶色等の色調に着色してもよい。
・ 外装材は、フェンダライナ14に限らず、車両11のボディ下部に取り付けられるものであれば、何れのものに具体化してもよい。例えば、外装材を、車両11のボディ後部でリヤフェンダに設けられたタイヤハウスに取り付けられるクォータライナ、プロテクタフューエルカバー等に具体化してもよい。他に、外装材を、車両11のボディ下面を覆うように取り付けられるアンダープロテクタに具体化してもよい。あるいは、外装材を、タイヤハウス13の前端縁の近傍に取り付けられるCdスパッツに具体化してもよい。このように構成した場合においても、前記(1)〜(13),(15)〜(21)に記載の効果と同様の効果を奏する。
・ 空気層19を省略し、フェンダライナ14を構成してもよい。なお、空気層19を省略する場合、フェンダライナ14は、その内層22がタイヤハウス13の外面13aに接触される。
・ バインダー24は、各実施形態で挙げたものに限らず、各繊維を接着し、かつ所望とする引張強度を付与可能であれば、粒状、粉末状、液状のものを使用してもよい。また、参考例で使用した芯鞘型の複合繊維からなるバインダー24を第1実施形態の表層21及び第1層22aのうち少なくとも何れか一方で使用してもよい。あるいは、第1実施形態で使用したバインダー24を参考例の表層21及び内層22のうち少なくとも何れか一方で使用してもよい。
・ 第3繊維27を省略し、第2繊維26及びバインダー24のみで第1層22a又は内層22を形成してもよい。
・ フェンダライナ14は、各実施形態で示した各層のみによって構成されることに限らず、その他の層を設けてもよい。例えば、表層21と、第1層22a又は内層22との間、内層22又は第2層22bの表面上等に金属シート、アスファルトシート等の遮音材から形成される層を積層してもよい。なお、このような層を設ける場合、該層は、セル25のような多数の孔を有する構成とすることが好ましい。
・ 外装材であるフェンダライナ14は、その全体が積層構造を有する構成には限定されない。このフェンダライナ14を、その一部において積層構造を有するように成形してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記第1層を形成する不織布は、前記表層を形成する不織布よりも、目付け量が高くされることを特徴とする外装材。
11…車両、11a…ボディとしてのフェンダ、14…外装材としてのフェンダライナ、19…空気層、21…表層、22…内層、22a…第1層、22b…第2層、23…表層の不織布を形成する第1繊維、24…バインダー、26…内層又は第1層の不織布を形成する第2繊維、27…内層又は第1層の不織布を形成する第3繊維、29…バインダーとしての接着剤、30…繊維材としての低伸度繊維、31…バインダー。