JP3675359B2 - 自動車外装用吸音材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高い吸音性能を発揮する不織布を備えた自動車外装用吸音材に関するものである。より詳しくは、例えば、自動車のタイヤハウスの外面を被覆して、タイヤと路面とによって発生する騒音(パターンノイズ)を吸収させることにより、車内にその騒音が伝わるのを防止することができるように構成された自動車外装用吸音材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の吸音材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)の短繊維からなる不織布により構成された自動車外装用のアンダープロテクターが知られている。このアンダープロテクターは、高融点のPET短繊維の隙間に低融点の接着樹脂粒状体(ペレット)が分散されたシート状の繊維ウェブを加熱しながらプレス成形することにより、加熱溶融されたペレットを介してPET短繊維同士が接着されて立体的な形状に形成されている。そして、このアンダープロテクターを自動車のタイヤハウスの外面に沿って添着することにより、タイヤと路面とによって発生するパターンノイズを吸収して車内にその騒音が伝わるのを低減させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のアンダープロテクターでは、プレス成形により所望とする立体形状に成形しやすくするために、比較的大きな塊としてのペレットを繊維ウェブ中に含有させるか、或いは小さなペレットを繊維ウェブ中に多数含有させるように構成されていた。このため、プレス成形後の不織布を構成するPET短繊維の隙間の多くがペレットにより占有されることによって、複数の短繊維により取り囲まれた空間としてのセルの形成が著しく阻害され、充分に満足できる吸音性能を発揮させることができなかった。
【0004】
一般に、微小なセルを多数形成させると不織布の吸音性能が向上されることが知られているが、このアンダープロテクターでは逆にセルの肥大化や形成不良が引き起こされてしまっている。さらに、前記ペレットは粒状であることから、音のエネルギーとしての振動エネルギーを吸収して摩擦エネルギーへと変換することがほとんど行えず、吸音効果を発揮することができなかった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、立体的な形状に容易に成形することができるとともに、高い吸音効果を発揮することができるように構成された自動車外装用吸音材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の自動車外装用吸音材は、吸音作用を有する不織布と撥水性を有する耐水性フィルムとを備えた自動車外装用吸音材であって、前記不織布は、主繊維とその主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブをプレス成形することにより、微視的には主繊維とバインダー繊維とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するとともに、巨視的には自動車のボディー外面に沿った立体的な形状に形成されたものであり、前記耐水性フィルムは、オレフィン系の樹脂又はゴムからなるとともに、前記不織布を成形する際の繊維ウェブの表面に密着された状態でプレス成形することにより、不織布に接着されるものであり、自動車のボディー外面には、前記耐水性フィルムが露出した状態で装着されることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の自動車外装用吸音材は、請求項1に記載の自動車外装用吸音材において、前記主繊維を繊維径が10〜30μmのポリアミド繊維により構成するとともに、前記バインダー繊維を繊維径が10〜50μmのポリエステル繊維により構成したことを特徴とするものである。
【0010】
(作用)
上記請求項1に記載の発明は、主繊維とバインダー繊維とからなる繊維ウェブをプレス成形することにより、不織布を立体的な形状(立体的な3次元形状)に確実に成形することができるように構成されている。すなわち、この不織布は、微視的に見るとバインダー繊維の表面が主繊維及び他のバインダー繊維の表面と融着硬化されており、その結果、巨視的にはプレス成形後の立体形状をそのまま継続して維持することができるようになっている。
【0011】
さらに、前記バインダー繊維は、主繊維とともに不織布の微視的な略網目状構造を構成していることから、音を効率的に吸収する構造体の構成要素の一部として存在している。その結果、複数の繊維によって取り囲まれた空間としてのセルを極めて微小かつ多数形成させることが容易となり、吸音効果の向上に大いに寄与している。なお、不織布による吸音作用は、音のエネルギーとしての振動エネルギーが様々な方向に配向された微細な繊維へと伝わり、それらの繊維を振動させるとともに隣接する繊維同士を摩擦させることによって摩擦エネルギーへと変換されることによるものと考えられている。加えて、不織布の表面にオレフィン系の樹脂又はゴムからなる耐水性フィルムを設けることによって撥水性を付与し、吸音材の表面を汚れ難くすることができる。さらに、この耐水性フィルムは、泥、ゴミ、埃等が不織布の略網目状構造内に侵入するのを防止する役割も果たす。その結果、セルが詰まったり破壊されたりするのが効果的に防止され、高い吸音性能を長期間に渡って維持することが容易となる。また、立体的な3次元形状に成形するのが極めて容易であるうえ、その形状をほぼ永久に維持することができるという特質を有する上記吸音材を、自動車外装用の吸音材として用途拡大する場合について記載されている。この吸音材は、複雑に入り組んだ外面形状を有する自動車ボディーの外面に沿って成形するのに非常に適しており、その分野での用途拡大を極めて容易に行うことが可能である。
【0012】
上記請求項2に記載の発明は、吸音性能を高めるために良好な略網目状構造を有する不織布を容易に成形することができる主繊維とバインダー繊維との組み合わせが挙げられている。この組み合わせによれば、両繊維ともに充分な強度を保持しつつ可能な限り細いものが使用されている。そして、これら細い繊維同士の交絡によって略網目状構造を形成したときには、不織布中により微細かつ多数のセルを形成させることが容易であり、その結果、吸音性能を高めることができる。また、この組み合わせは、材料が入手容易かつ安価であるうえ、リサイクル性が極めて良好であるという利点も有している。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示すように、自動車外装用吸音材としてのアンダープロテクター11は、シート状に形成された繊維ウェブ等からなるシート材をプレス成形することにより正断面逆L字状、側面略半円形状に形成され、自動車12のタイヤハウス13の外面に沿って添設されている。このアンダープロテクター11は、路面からタイヤが跳ね上げる小石や泥によってタイヤハウス13の外面が傷付けられるのを防止することができるとともに、タイヤと路面とによって発生するパターンノイズを吸収することができるように構成されている。
【0016】
図1(b)に模式的に示すように、このアンダープロテクター11は、所定の厚みを有する不織布21と、その不織布21の下面に設けられた耐水性フィルム22とから2層構造となるように構成されている。このアンダープロテクター11は、前記耐水性フィルム22が設けられていない側の不織布21の上面と、タイヤハウス13の外面(金属製のボディー外面)とが接するように固設されている。
【0017】
不織布21は、アンダープロテクター11の吸音性能を高めるために設けられており、主繊維23(図中では白抜きの繊維として描写されている)と、加熱溶融する合成繊維からなるバインダー繊維24(図中では黒く塗り潰された繊維として描写されている)とから構成されている。この不織布21は、主繊維23とバインダー繊維24とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するように構成されている。すなわち、この不織布21は、複数の繊維23,24によって取り囲まれた空間としての微小なセル25の集合体として存在しており、主としてそれらセル25により吸音効果が発揮されるようになっている。そして、このセル25による吸音効果は、微小なセル25を多数形成させるほど高められるようになっている。
【0018】
主繊維23は、不織布21を構成する主要な繊維であり、天然繊維又は化学繊維のいずれであっても使用可能であるが、アンダープロテクター11の製造工程における加工容易性を高めるために、ナイロン等のポリアミド(PA)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維等の合成繊維により構成されるのが好ましい。さらに、この主繊維23としては、多数のセル25を容易に形成させることができることから、細い繊維により構成されるのが好ましく、特に細く形成させるのが容易であるナイロン等のポリアミド繊維が最も好適に使用される。また、このポリアミド繊維は、入手容易かつ安価であるうえ、エアバック等の廃材を再利用して使用することができるという利点も有する。
【0019】
この主繊維23の繊維径としては、アンダープロテクター11の製造工程における加工安定性を高めるために、10〜30μmであるのが好ましい。この主繊維23の繊維径が10μm未満の場合には、強度が低下するおそれがある。逆に30μmを越える場合には、不織布21全体に占める主繊維23の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセル25を形成させることができなくなる。
【0020】
また、この主繊維23の繊維長としては、アンダープロテクター11の製造工程における加工安定性を高めるために、10〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセル25をより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
【0021】
バインダー繊維24は、前記主繊維23とともに不織布21を構成する主要な繊維であり、加熱溶融する合成繊維により構成されている。このバインダー繊維24は、前記主繊維23と交絡されてシート状に形成された繊維ウェブをプレス成形することによって、微視的には主繊維23とバインダー繊維24とが交絡しながら融着された略網目状構造を有する不織布21を構成する。さらに、巨視的には不織布21をタイヤハウス13の外面に沿った立体的な3次元形状、すなわち正断面逆L字状、側面略半円形状に形を整えることができる。なお、前記繊維ウェブをプレス成形する際には、予め繊維ウェブを予備加熱した直後にプレスするか、或いはプレスしながら繊維ウェブを加熱するかいずれかの方法がとられる。
【0022】
このバインダー繊維24は、前記主繊維23よりも低い融点を有する可溶性ポリマー単体、又はその可溶性ポリマー単体からなる繊維成分を表面に付着させた複合繊維(2成分繊維)からなる合成繊維により構成されている。前記可溶性ポリマー単体としては、入手容易かつ安価であることから、PET等のポリエステル繊維が最も好適に使用される。一方、前記複合繊維としては、芯鞘型又はサイドバイサイド型の複合繊維が使用される。なお、これら複合繊維の芯部を構成する繊維は、主繊維23よりも低い融点を有している必要はなく、むしろ主繊維23以上の融点を有するものであるのが好ましい。
【0023】
また、このバインダー繊維24としては、不織布21の内部に多数のセル25を容易に形成させることができることから、複合繊維よりも細く形成するのが容易な可溶性ポリマー単体からなる合成繊維が好適に使用され、ポリエステル繊維、特に低融点のPET繊維が最も好適に使用される。さらに、このポリエステル繊維は、リサイクル性に優れているという利点もある。
【0024】
このバインダー繊維24の繊維径としては、アンダープロテクター11の製造工程における加工安定性を高めるために、10〜50μmであるのが好ましい。このバインダー繊維24の繊維径が10μm未満の場合には、強度が低下するおそれがある。また、プレス成形時に溶融して繊維としての形状をとどめることができず、セル25の形成に寄与しなくなるおそれもある。逆に50μmを越える場合には、不織布21全体に占めるバインダー繊維24の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセル25を形成させることができない。
【0025】
前記可溶性ポリマー単体の融点としては、好ましくは80〜170℃、より好ましくは100〜170℃である。この可溶性ポリマー単体の融点が80℃未満の場合には、使用時にタイヤハウス13の外面でアンダープロテクター11が変形等してしまうおそれがある。逆に170℃を越える場合には、プレス成形工程における加工容易性が著しく低下する。さらに、この可溶性ポリマー単体の融点は、主繊維23の融点よりも20℃以上低いのが好ましく、50℃以上低いのがより好ましい。主繊維23とバインダー繊維24との融点の差が20℃未満の場合には、プレス成形時にバインダー繊維24のみを溶融することが極めて困難であることから、吸音性能の高い略網目状構造を形成させることができなくなる。
【0026】
また、このバインダー繊維24の繊維長としては、アンダープロテクター11の製造工程における加工安定性を高めるために、10〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセル25をより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
【0027】
一方、不織布21の厚さとしては、好ましくは2〜8mm、より好ましくは2〜6mm、さらに好ましくは2〜4mmである。この不織布21の厚さが2mm未満の場合には、多数のセル25を形成させることができないことから、充分な吸音効果を発揮させることができない。逆に8mmを越える場合には経済的でない。また、不織布21の目付け量としては、耳障りな音の周波数である1000〜2000kHzのパターンノイズをより効果的に吸収させることができることから、好ましくは800〜1300g/m2、より好ましくは1000〜1300g/m2である。
【0028】
不織布21の繊維密度としては、0.01〜0.1g/cm3であるのが好ましい。この繊維密度が0.01g/cm3未満の場合には、アンダープロテクター11の形態安定性が著しく低下するおそれがある。逆に0.1g/cm3を越える場合には、繊維密度が高すぎて繊維間に隙間が形成されずにセル25が潰されてしまうおそれがあるうえ経済的でない。また、不織布21中に含まれるバインダー繊維24の含有量としては、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%である。この不織布21中のバインダー繊維24の含有量が20重量%未満の場合には、立体的な形状に成形されたアンダープロテクター11の形態安定性を充分に維持することができない。逆に60重量%を超える場合には、プレス成形時に溶融しないことから不織布21の強度維持に重要な役割をする主繊維23の含有量が相対的に低下し、アンダープロテクター11の強度及び耐久性を充分に高めることができない。
【0029】
耐水性フィルム22は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・ブテン・ラバー(EBR)等のオレフィン系樹脂、又はエチレン・プロピレン・ジエン共重合系合成ゴム(EPDM)等のオレフィン系ゴムにより構成されている。この耐水性フィルム22は、アンダープロテクター11の下面、すなわちタイヤハウス13の外面に設けられ、アンダープロテクター11に撥水性を有する撥水層を形成させるために設けられている。そして、この耐水性フィルム22は、タイヤによって路面から撒き散らされた雨水や泥水を撥水して、アンダープロテクター11の外面が汚れるのを抑えることができる。
【0030】
この耐水性フィルム22は、前記不織布21を成形する際のシート状の繊維ウェブの表面に密着された状態でプレス成形されることにより、バインダー繊維24と融着された状態で不織布21の下面に接着されるとともに、不織布21の表面に沿った立体的な形状に形成される。このため、この耐水性フィルム22は、プレス成形時に溶融破壊されないようにするために、前記バインダー繊維24よりも高い融点を有している必要があるが、前記主繊維23と同等又はそれ以上の融点を有しているのが最も好ましい。
【0031】
この耐水性フィルム22の厚さとしては、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.5mmである。この耐水性フィルム22の厚さが0.1mm未満の場合には、耐水性フィルム22が非常に破れやすくなる。逆に1mmを越える場合には、タイヤハウス13内のパターンノイズが不織布21の内部へと入射し難くなり、不織布21による吸音効果が損なわれるおそれがある。
【0032】
上記アンダープロテクター11の作用について以下に記載する。
上記アンダープロテクター11を製造する際には、まず、主繊維23とバインダー繊維24とを用いて乾式不織布の繊維ウェブをシート状に形成した後、その繊維ウェブ中の繊維23,24同士をニードルパンチにより互いに絡ませて交絡させる。次に、前記シート状に形成された繊維ウェブの表面(下面)に耐水性フィルム22を密着させた後、それら繊維ウェブと耐水性フィルム22とからなるシート材を予備加熱処理する。この予備加熱処理は、バインダー繊維24を構成する可溶性ポリマー単体の融点以上の温度で行われ、主繊維23が加熱溶融する繊維により構成されている場合には、その主繊維23の融点未満の温度で行われる。続いて、前記予備加熱処理された直後のシート材をプレス成形機の型内でプレスしながら冷却することにより、立体的な形状に形成されたアンダープロテクター11が成形される。なお、前記予備加熱処理を行う代わりに、シート材をプレス成形機の型内でプレスしながら加熱及び冷却しても構わない。
【0033】
さて、このアンダープロテクター11は、耐水性フィルム22が設けられていない側の不織布21の上面を、自動車12の各タイヤハウス13の外面に沿って密着するように固定して使用される。このアンダープロテクター11が装着されたタイヤハウス13の外面全体には、耐水性フィルム22が露出された状態で被覆されている。そして、このアンダープロテクター11は、路面からタイヤが跳ね上げる小石や泥がタイヤハウス13の外面を傷付けるのを防止することができる。
【0034】
さらに、このアンダープロテクター11は、タイヤと路面とによって発生するパターンノイズを効果的に吸収し、そのパターンノイズが自動車12の車内に伝わるのを著しく低減させることができる。すなわち、前記パターンノイズは、アンダープロテクター11の最外層を構成する薄い耐水性フィルム22を比較的容易に透過して不織布21内に入射した後、その不織布21を構成する多数の微小なセル25の吸音作用により音のエネルギーの減衰が図られ、車内に伝わるノイズ量が減少する。さらに、前記セル25の吸音作用により、車内に伝わるノイズの周波数等も変質されて耳障りでなくなる。その結果、このアンダープロテクター11は、車両室内の搭乗者に不快感を与え難くすることができるうえ、自動車12の内部、特にタイヤハウス13の近接位置に配設された種々の機械、装置、配線等(例えば給油ホース等)の故障、誤作動、不具合等を極めて効果的に抑制することができる。
【0035】
また、このアンダープロテクター11は、耐水性フィルム22により路面上からタイヤが撒き散らす雨水や泥水を撥水するように構成されており、アンダープロテクター11の外面が泥やゴミ等によって汚れるのが効果的に抑制され、外観を良好に保つのが容易である。さらに、耐水性フィルム22により雨水や泥水が不織布21内に浸入しないことから、セル25が詰まったりして吸音作用が阻害されることがない。加えて、ラルフラットタイヤのセンサが設けられた自動車12においては、タイヤハウス13が濡れたり汚れたりすることによって引き起こされる電波障害による誤作動を抑制することもできる。
【0036】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のアンダープロテクター11は、主繊維23とその主繊維23よりも低い融点を有するバインダー繊維24とを交絡させた繊維ウェブをプレス成形することにより、所望とする立体形状に形成された不織布21を備えたものである。さらに、前記不織布21は、微視的には主繊維23とバインダー繊維24とが交絡しながら融着された略網目状構造を有し、高い吸音作用を発揮することができるように構成されている。
【0037】
このため、前記不織布21は、バインダー繊維24が繊維23,24同士を交絡した状態で融着硬化させるように構成されていることから、アンダープロテクター11の巨視的な立体的な3次元形状を容易かつ確実に成形させることができるうえ、その形状を確実に保持させることができる。さらに、前記バインダー繊維24は、主繊維23とともに不織布21を構成する交絡繊維として繊維形状をとどめながら存在していることから、不織布21の内部に微小なセル25をより多く形成させるのに大いに役立っている。その結果、不織布21の吸音性能を高めることができるように構成された構造体(略網目状構造)を容易に形成させることができる。
【0038】
さらに、このバインダー繊維24は、繊維ウェブを形成させる際に主繊維23と均一に混合して交絡させることが極めて容易であることから、不織布21を構成する略網目状構造をより均一に形成させることを容易にすることができる。また、このバインダー繊維24は、不織布21内の繊維密度を容易に高めることができることから、不織布21の強度を高めるのにも役立っている。
【0039】
・ 繊維径が10〜30μmのポリアミド繊維により主繊維23を構成するとともに、繊維径が10〜50μmのポリエステル繊維によりバインダー繊維24を構成することによって、多数の微小なセル25により構成された略網目状構造を有する不織布21を極めて容易に成形することができる。特に、これら繊維23,24は、いずれも充分な強度を維持しつつ繊維径が小さい繊維であり、そのため不織布21の内部に多数の微小なセル25を形成させるのを極めて容易に行うことができる。
【0040】
・ 不織布21の表面に、オレフィン系の樹脂又はゴムからなる耐水性フィルム22によって構成される撥水層を設けることによって、アンダープロテクター11外面の撥水性を高め、アンダープロテクター11の表面を汚れ難くすることができる。このため、自動車12の外観を良好に保つことが容易であるうえ、不織布21の吸音性能の低下を極めて容易に防止することができる。さらに、この耐水性フィルム22は、繊維ウェブの表面に密着させた状態でプレス成形することにより、バインダー繊維24を介して不織布21の表面に極めて容易に接着されるように構成されており、アンダープロテクター11の製造を容易に行うことができる。
【0041】
・ アンダープロテクター11をタイヤハウス13の外面(自動車のボディー外面)に沿った立体的な3次元形状に形成することによって、自動車の外装用吸音材としての用途拡大を容易に図ることができる。
【0042】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である
【0045】
・ 耐水性フィルム22を不織布21の上下両面に設けてもよい。或いは、耐水性フィルム22により不織布21全体を被覆するように構成してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0046】
・ 請求項1又は請求項2に記載の自動車外装用吸音材において、前記不織布の厚さを2〜8mmとしたことを特徴とする自動車外装用吸音材
・ 請求項1又は請求項2に記載の自動車外装用吸音材において、前記不織布の目付け量を800〜1300g/mとしたことを特徴とする自動車外装用吸音材
【0047】
・ 請求項に記載の自動車外装用吸音材において、前記耐水性フィルムの厚さを0.1〜1mmとしたことを特徴とする自動車外装用吸音材
・ 請求項1に記載の自動車外装用吸音材において、前記不織布の表面に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ブテン・ラバー又はエチレン・プロピレン・ジエン共重合系合成ゴムからなる耐水性フィルムを設けたことを特徴とする自動車外装用吸音材
【0048】
・ 請求項に記載の自動車外装用吸音材であって、自動車のタイヤハウスの外面に沿った形状に形成され、そのタイヤハウスの外面に添設されることを特徴とするアンダープロテクター。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の自動車外装用吸音材によれば、立体的な形状に容易に成形することができるとともに、高い吸音効果を発揮することができる。加えて、吸音材の表面を汚れ難くすることができる。
【0052】
請求項2に記載の発明の自動車外装用吸音材によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、略網目状構造を有する不織布を容易に成形することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施形態のアンダープロテクターを装着した自動車を示す側面図、(b)は実施形態のアンダープロテクターを模式的に示す側断面図。
【符号の説明】
11…自動車外装用吸音材としてのアンダープロテクター、12…自動車、13・・・自動車のボディーとしてのタイヤハウス、21…不織布、22…耐水性フィルム、23…主繊維、24…バインダー繊維。

Claims (2)

  1. 吸音作用を有する不織布と撥水性を有する耐水性フィルムとを備えた自動車外装用吸音材であって、
    前記不織布は、主繊維とその主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブをプレス成形することにより、微視的には主繊維とバインダー繊維とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するとともに、巨視的には自動車のボディー外面に沿った立体的な形状に形成されたものであり、
    前記耐水性フィルムは、オレフィン系の樹脂又はゴムからなるとともに、前記不織布を成形する際の繊維ウェブの表面に密着された状態でプレス成形することにより、不織布に接着されるものであり、自動車のボディー外面には、前記耐水性フィルムが露出した状態で装着されることを特徴とする自動車外装用吸音材
  2. 請求項1に記載の自動車外装用吸音材において、
    前記主繊維を繊維径が10〜30μmのポリアミド繊維により構成するとともに、前記バインダー繊維を繊維径が10〜50μmのポリエステル繊維により構成したことを特徴とする自動車外装用吸音材。
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