JP5820773B2 - フェンダーライナ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車体のホイールハウス内面に装着されて、車両の走行時に跳ね上げられた小石等の異物が車体に衝突することによる衝撃を吸収して衝撃音を抑えるとともに、付着した氷が剥離し易く、且つ水分が浸入し難いフェンダーライナに関する。
一般的に、フェンダーライナとしては、多数の短繊維を互いに絡合させた不織布を備えたものが知られている(特許文献1)。このように、不織布で形成されたフェンダーライナは、互いに絡合した繊維間に形成された無数の空隙が異物の衝突による衝撃を吸収するため、耐衝撃性や防音性(特に吸音性)を有するものの、遮音性能が低く、防音性能は十分ではない。さらに、フェンダーライナに付着した水が内部にまで浸透するため、水が凍った場合、氷が内部にまで成長して剥離し難くなるという問題もある。
そのために、不織布で形成された防音緩衝材の表面をHDPE樹脂の耐水性フィルムで被覆することにより、耐水性及び耐異物付着性の向上を図ったフェンダーライナが知られている(特許文献2)。
更に、不織布で形成された防音緩衝材の表面を被覆する耐水性フィルムとして、LDPE樹脂を用いることで、HDPE樹脂で不十分であった吸音性を改良したものが知られている(特許文献3)。
特開2003−112661号公報 特開2002−348767号公報 特開2011−240821号公報
特許文献1に示すようなものでは、耐衝撃性や防音性で樹脂成形品に比較して優れているが、着氷防止性に劣るという問題がある。
そして、特許文献2に示すものは、吸音作用を有する不織布と撥水性を有する耐水性の樹脂フィルムを備えたフェンダーライナであって、主繊維とその主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させて形成した不織布製の繊維ウェブの表面に高融点のオレフィン系の樹脂からなる樹脂フィルムを重ねておいて、一緒にプレス成形することにより、不織布に該樹脂フィルムを接着するとともに成形するようになっている。ところが、不織布と樹脂フィルムの積層体を所望とする立体形状に成形するために加熱プレス成形する際に、積層体の両者を接着するようにしているので、プレス成形時の熱で樹脂フィルムが溶融破壊されないように高い融点(不織布の主繊維と同等或いはそれ以上の融点)を有する樹脂としている。そのために、フェンダーライナの形状に成形する際に樹脂フィルムの流動性が不足して部分的にフィルムが薄くなり、深絞り部分などでは場合によっては樹脂フィルムが裂ける可能性があった。
更に、特許文献2では、繊維ウェブの背面側(以下、フェンダーライナのタイヤ側(即ち路面側)を正面側と称し、その背面側(路面側と反対側の面即ちホイールハウス側)を背面側と称す)に、多数の孔を開けた通気性の高い熱可塑性樹脂フィルム層を設けて剛性を高めるようにすることも開示されている。このフィルム層を設けることによって、剛性がアップするが、通気性の高い大きな孔が開口しているので、フェンダーライナの背面側に回った水分がフェンダーライナ内に染み込んでしまい、その水が凍った場合、氷が内部で成長して剥離し難くなるという問題がある。また、水分を含んで重くなるために、部分的に垂れ下がったり、ホイールハウスから外れる可能性が高くなる。
また、特許文献3では、立体的な形状に容易に成形することができるとともに、高い吸音性能と優れた着氷防止性を発揮することができる点で、特許文献1や2に比較して優れている。しかし、特許文献2と同様に、フェンダーライナの背面側に回った水分がフェンダーライナ内に染み込んでしまい、その水が凍った場合、氷が内部で成長して剥離し難くなるという問題を有している。
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、フェンダーライナの正面及び背面の両面からの撥水性及び着氷防止性を達成できると共に高い吸音性能を発揮でき、且つ立体的な形状に容易に成形することができるように構成された車両用フェンダーライナを提供することにある。
請求項1の発明は、吸音作用を有する基材層と、その表面に設けられた第1保護膜と、基材層の裏面に設けられた第2保護膜とを備えた車両用フェンダーライナであって、
前記基材層は、主繊維と、その主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブからなり、
前記第1保護膜としてLDPE樹脂が一体に設けられ、
前記第2保護膜として通気不透液性フィルムからなる熱可塑性樹脂シートが一体に設けられ
該フェンダーライナの端部の少なくとも一部では、前記基材層が、前記第1保護膜及び前記第2保護膜で覆われており、前記基材層が露出しないようになっていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
前記第2保護膜が、非通気性シートを加熱圧縮して、基材層に一体にすることで、通気不透液性フィルムに形成されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
前記第2保護膜が、ポリプロピレン樹脂フィルムであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
前記第2保護膜の通気抵抗が、15kNs/m〜30kNs/mの範囲であり、
その撥水性が、2時間以上であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
前記第2保護膜の厚さが、20μm〜80μmであることを特徴とする
請求項の発明は、請求項に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
フェンダ−ライナの前側に開口部を備え、該開口部の周囲が、前記第1保護膜及び前記第2保護膜で覆われており、前記基材層が露出しないようになっていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
第1保護膜の表面には、シボ模様が形成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナの製造方法であって、
前記主繊維とバインダー繊維とからなる前記基材層の繊維ウェブを製造し、
該繊維ウェブの表面側にLDPE樹脂からなる溶融樹脂を積層して第1次積層シート素材を形成し、
該第1次積層シート素材の該繊維ウェブの背面側にPP樹脂フィルムを積層して第2次積層シート素材を形成し、
該溶融樹脂、該繊維ウェブ、該PP樹脂フィルムからなる第2次積層シート素材を加熱及び加圧して、
PP樹脂フィルムを通気不透液性フィルムからなる第2保護膜として該基材層の背面側に一体に接着すると共に、LDPE樹脂からなる第1保護膜を該基材層の正面側に一体に接着した平板状の積層プレート材を形成し、
第1保護膜と第2保護膜を該基材層の正面側及び背面側にそれぞれ一体に接着した平板状の上記積層プレート材を加熱成形してフェンダーライナを形成する成形金型が、フェンダーライナの形状を半分ずつに展開して一体に成形する成形金型からなり、該積層プレート材を加熱成形して車両用フェンダーライナを形成することを特徴とする
上記請求項1に記載の発明によれば、正面では非通気性の第1保護膜であり、背面では通気不透液性の第2保護膜とすることで、フェンダーライナの正面及び背面の両面からの着氷防止性を達成できると共に、吸音性能を発揮でき、且つ立体的な形状に容易に成形することができる。非通気性のLDPE樹脂からなる第1保護膜は、基材層と組み合わされて共振による膜振動吸音を誘発可能であるので、この膜振動吸音の誘発により吸音性能が得られると共に、第2保護膜は、非通気性でなく通気性を有するようにしているので、吸音性を発揮できる。さらに、この第1保護膜は、跳ねた石等による表面の耐損傷性が優れることや遮音性に優れる。その結果、立体的な形状に容易に成形することができるとともに、高い吸音効果を長期間に亘って維持することができる。
その上、第1保護膜と第2保護膜とで挟まれたフェンダーライナとすることで、成形性を備えつつ、強度がアップして形状維持性にも優れたものを得ることができる。更に、フェンダーライナの端部から水分が内部に浸入するのを抑制でき、着氷防止性に優れたフェンダーライナを得られる。
請求項2の発明によれば、簡単かつ確実に、通気性を備え且つ不透液性を備える第2保護膜を得ることができると共に、基材層にしっかりと一体になった第2保護膜を得ることができる。
請求項3の発明によれば、第1保護膜がLDPE樹脂であり、第2保護膜がポリプロピレン樹脂(即ちPP樹脂)からなるので、より成形性を備えつつ、強度がアップして形状維持性にも優れたものを得ることができる。そのうえ、製作時の温度管理や時間管理が容易であり、安定して所定性能の第1保護膜及び第2保護膜を得ることができる。
請求項4の発明によれば、撥水性と吸音性とを効果的に発揮する第2保護膜を得ることができる。
請求項5の発明によれば、撥水性と吸音性とを効果的に発揮すると共に、成形性に優れた第2保護膜を得ることができる
請求項の発明によれば、フェンダーライナに開口部を設けても、形状を維持する剛性を確保できると共に、開口部の端部から吸水することを防止できるので、着氷防止性に優れる。
請求項の発明によれば、第1保護膜の表面にシボ模様が形成されているので、800Hz〜2000Hz領域の吸音性能を向上でき、ロードノイズ低減が発揮される。
請求項の発明によれば、正面では非通気性の第1保護膜であり、背面では通気不透液性の第2保護膜とするフェンダーライナを得ることができるとともに、第1保護膜及び第2保護膜とが基材層にしっかりと一体になったフェンダーライナを得ることができる
本発明の実施形態1に係るフェンダーライナを取り付けた車両の前部を示す要部側面図である。 図1のA−A線拡大断面図であり、フェンダーライナ及びその周辺部分を示す。 図2のフェンダーライナの部分拡大図である。 実施形態1のフェンダーライナの製造工程において、基材層に第1保護膜を一体に積層して第1次積層シート素材を形成する工程を模式的に示す図である。 実施形態1のフェンダーライナの製造工程において、基材層に第1保護膜が一体に積層された状態の第1次積層シート素材Aを示す図である。 図4(b)で得られた第1次積層シート素材Aに、更に第2保護膜を載置した第2次積層シート素材B1を示す図である。 図4(c)で得られた第2次積層シート素材B1を平板状のプレス金型に載置した状態を示す図である。 平板状のプレス金型で加熱・加圧されて、第1保護膜及び第2保護膜が基材層に一体にされて積層プレート材B2が製造された状態を示す図である。 図4(e)の平板状のプレス金型を開放した状態を示す図である。 第1保護膜及び第2保護膜が基材層に一体に形成された積層プレート材B2を、成形金型でフェンダーライナの形状に成形する成形金型を示す図であって、(a)は、一度にホイールハウスの形状に沿ったフェンダーライナ形状に成形する場合の成形金型を示す。(b)は、ホイールハウスの半分の形状に展開して成形する成形金型を示す。 成形金型でフェンダーライナ形状に成形する場合のフェンダーライナの端部の成形状態を拡大して示す図であり、(a)は、一旦加熱・加圧してフェンダーライナの形状に成形した後に、別工程で周囲や開口部等の端部をトリミングする場合を示す。(b)は、成形金型でフェンダーライナに成形すると同時に端部をトリミングする場合を示す。 通気抵抗を測定する際の測定装置を概略的に示す図である。 撥水性を測定する際の測定装置を概略的に示す図である。 各実施例及び比較例のサンプルの残響音吸音率を第2保護膜側から測定した結果を示す図である。 本発明の実施例及び比較例について、各種の性能を比較した表であって、各実施例は第2保護膜を基材層に一体に形成する前の第2保護膜の厚さを変更した場合の性能を示す表である。 図10に対して、第2保護膜を基材層に一体に形成する際の加熱温度を変更した場合の性能を示す表である。 図10に対して、第2保護膜を基材層に一体に形成する際の加圧時間を変更した場合の性能を示す表である。 図10に対して、第2保護膜を基材層に一体に形成する際のプレス型の金型クリアランスを変更した場合の性能を示す表である。 本発明の実施形態2に係わるフェンダーライナの形状を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態1に係るフェンダーライナを取り付けた車両の前部を示す要部側面図、図2は図1のA−A線拡大断面図であり、フェンダーライナ及びその周辺部分を示す。図3はフェンダーライナの部分拡大図、図4はフェンダーライナの製造工程を模式的に示す図である。
車両1には、通常、前部の左右と後部の左右とにタイヤ2が配置され、これらのタイヤ2の上方にそれぞれホイールハウス3が配置されている。ホイールハウス3は、ホイールハウスパネルやホイールハウジングとも呼ばれ、車体の一部を構成する。ホイールハウス3は、金属製とされ、タイヤ2の上方を覆うような形状に成形されている。ホイールハウス3におけるタイヤ2側の面は車両の外側の面となっており、この外側の面を覆うようにフェンダーライナ10がホイールハウス3に取り付けられる。フェンダーライナ10は、車両1の走行中にタイヤ2が路面から跳ね上げる小石や泥水等によってポディパネルが傷つけられることを防止し、タイヤ2と路面とによって発生するロードノイズ等の騒音を低減させるための車両1の外装部品とされている。
尚、最近では、ホイールハウス3を省略して、フェンダーライナ10がエンジンルーム等の車体内部とタイヤ側との仕切を果たすようになったものも知られている。本実施形態1では、ホイールハウス3の外側に、フェンダーライナ10が設けられた例として説明するが、本発明は、ホイールハウス3を省略した場合にも適用できるものである。
図1及び図2に示すように、フェンダーライナ10は、ホイールハウス3に沿う形状に成形され、ホイールハウス3にファスナー等(図示省略)で取り付けられている。
次に、実施形態1のフェンダーライナ10の概略を説明する。図2及び図3に示すように、フェンダーライナ10は、ホイールハウス3に沿う形状に成形されている。フェンダーライナ10は、中間に配置された基材層11と、基材層11のタイヤ2側に配置された第1保護膜15と、基材層11のホイールハウス3側に配置された第2保護膜17を一体に備えている。
基材層11は不織布からなる。第1保護膜15は、耐水性の素材で形成され、基材層11におけるホイールハウス3に面する側とは反対側の正面11aに積層されている。一方、ホイールハウス3に対向する基材層11の背面11bには、第2保護膜17が積層されている。背面11bとホイールハウス3との間には、隙間tが設けられている。
図3に示すように、不織布からなる基材層11は、主繊維12と、加熱溶融する合成繊維からなるバインダー繊維13とが交絡しながら融着された略網目状構造を有するように構成されている。すなわち、バインダー繊維13が主繊維12同士を交絡した状態で融着硬化させるように構成されていることから、フェンダーライナ10を立体的な3次元形状に容易かつ確実に成形させることができる上に、その形状を確実に保持させることができる。さらに、バインダー繊維13は、主繊維12とともに基材層11を構成する交絡繊維として繊維形状をとどめながら存在していることから、基材層11の内部に微小なセルをより多く形成させるのに大いに役立っている。その結果、基材層11の吸音性能を高めることができるように構成された構造体(略網目状構造)を容易に形成させることができる。特に、基材層11は、複数の繊維によって取り囲まれた空間としての微小なセルの集合体として存在しており、主としてそれらセルにより吸音効果が発揮されるようになっている。
主繊維12は、不織布を構成する主要な繊維であり、天然繊維又は化学繊維のいずれであっても使用可能であるが、フェンダーライナ10の製造工程における加工容易性を高めるために、ナイロン等のポリアミド(PA)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル繊維等の合成繊維により構成されるのが好ましい。
この主繊維12の繊維径としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、2T(デシテックス:dtex)〜17T、特に4T〜10Tであるのが好ましい。この主繊維12の繊維径が2T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。逆に17Tを越える場合には、基材層11全体に占める主繊維12の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセルを形成させることができなくなる。
また、この主繊維12の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
バインダー繊維13は、前記主繊維12とともに基材層11を構成する主要な繊維であり、前記主繊維12よりも低い融点を有する可溶性ポリマー単体、或いは可溶性ポリマーを鞘部とする芯鞘構造により構成されていることが好ましい。このバインダー繊維13としては、基材層11の内部に多数のセルを容易に形成させることができることから、複合繊維よりも細く形成するのが容易な可溶性ポリマー単体からなる合成繊維が好適に使用され、ポリエステル繊維、特に、融点が100℃〜130℃の低融点のPET繊維が良好な成形性を有することと入手容易かつ安価であることから、最も好適に使用される。さらに、このポリエステル繊維は、リサイクル性に優れているという利点もある。
バインダー繊維13としては、熱可塑性樹脂の繊維、熱可塑性樹脂に充てん材等の添加剤を添加した繊維等を用いることができ、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、PET等のポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる繊維、これらの熱可塑性樹脂を変性させて融点を調整した熱可塑性樹脂からなる繊維、これらの熱可塑性樹脂に充てん材等の添加剤を添加した材質の繊維等を用いることができる。例えば、バインダー繊維13に主繊維12と相溶性のある繊維を用いると、主繊維12とバインダー繊維13との接着性が良好になり、基材層11に十分な形状保持性を付与することができる。
また、バインダー繊維13に使用可能な繊維を鞘部とし、該鞘部よりも融点の高い芯部の外周を該鞘部で囲んだ芯鞘構造の繊維をバインダー繊維13として用いてもよい。この場合、芯部には、主繊維12に使用可能な繊維を用いることができる。芯部と鞘部の組み合わせは、PPとPE、PETとPE、高融点のPETと低融点のPET等とすることができる。芯鞘構造を有する繊維をバインダー繊維13に用いると、加熱時に鞘部のみが溶融して芯部が溶融しないため、加熱収縮を防ぐことができ立体的に成形されるフェンダーライナ10の形状保持性を向上させることができる。尚、これら芯鞘構造の場合には、鞘部を構成する繊維の融点は100℃〜130℃とすることが好ましく、芯部を構成する繊維は、主繊維12よりも低い融点を有している必要はなく、むしろ主繊維12と同等或いはそれ以上の融点を有するものであるのが好ましい。
このバインダー繊維13の繊維径としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、2T〜17T、特に4T〜10Tであるのが好ましい。このバインダー繊維13の繊維径が2T未満の場合には、強度が低下するおそれがある。また、プレス成形時に溶融して繊維としての形状をとどめることができず、セルの形成に寄与しなくなるおそれもある。逆に17Tを越える場合には、基材層11全体に占めるバインダー繊維13の体積の割合が著しく容易に高められることから、多数のセルを形成させることができない。
また、このバインダー繊維13の繊維長としては、フェンダーライナ10の製造工程における加工安定性を高めるために、10mm〜100mmの範囲の短繊維であるのが好ましい。さらに、微小なセルをより多く形成させることができることから、機械捲縮等を有するように構成するのが好ましい。
一方、基材層11の厚さ(成形後)としては、好ましくは1mm〜6mm、より好ましくは2mm〜4mmである。この基材層11の厚さが1mm未満の場合には、フェンダーライナ10の剛性確保及び形状保持性を十分に得ることができない。また、多数のセルを形成させることができず充分な吸音効果を発揮させることができない。逆に6mmを越える場合にはフェンダーライナ10の軽量化ができない及びコストアップになるためである。
基材層11の目付量としては、成形性や剛性を確保する上で300g/m以上必要であり、高くし過ぎるとコストアップになり重量アップになるので、1000g/m以下とすることが好ましい。また、第1保護膜15の浸入し過ぎを防止する上からも、300g/m以上とすることが好ましい。特に、400g/m〜700g/mとすることが好ましい。
また、基材層11中に含まれるバインダー繊維13の含有量としては、好ましくは30重量%〜50重量%、より好ましくは35重量%〜45重量%である。この基材層11中のバインダー繊維13の含有量が30重量%未満の場合には、立体的な形状に成形されたフェンダーライナ10の形態安定性を充分に維持することができない。逆に50重量%を超える場合には、基材層11の強度維持に重要な役割をする主繊維12の含有量が相対的に低下し、フェンダーライナ10の強度及び耐久性を充分に高めることができない。
第1保護膜15は、LDPE(低密度ポリエチレン)樹脂により構成されている。第1保護膜15としてLDPE樹脂とする理由は後で詳細に説明するが、フェンダーライナ10が立体的な形状に容易に成形されることができるとともに、フェンダーライナ10に高い吸音性能と優れた着氷防止性を両立して発揮させるためである。そして、この第1保護膜15は、走行時のロードノイズを吸音するとともに、タイヤ2によって路面から撒き散らされた雨水や泥水を撥水して、フェンダーライナ10の外面が汚れるのを抑えることができるとともに吸水・着氷を防止できる。
この第1保護膜15の目付量としては、100g/m〜400g/m、好ましくは200g/m〜300g/mである。100g/m未満では、第1保護膜15の層が不足し、部分的に薄い部分ができ、場合によっては層自体が存在しない部分が出る可能性が高くなる。一方、400g/mを超えると、吸音効果が損なわれる可能性が高くなる。
この第1保護膜15の成形後の厚さは、50μm〜500μm、特に60μm〜400μmとすることが好ましい。50μm未満の場合には、第1保護膜15が非常に破れやすくなる。逆に500μmを越える場合には、高い膜振動吸音が誘発できず、ロードノイズの吸音効果が損なわれるおそれがある。
第1保護膜15の特徴を以下に述べる。第1保護膜15をLDPE樹脂とする理由は、LDPE樹脂が非通気性と非付着性(物が付着し難い)を兼ね備えるとともに、比較的柔らかくて伸び性が高く、耐衝撃性、耐損傷性に優れ、かつ成形性が良いからである。
以下に、第1保護膜15、すなわちLDPE樹脂の特徴を説明する。第1保護膜15の融点は、100℃〜130℃、特に105℃〜120℃とすることが好ましい。融点が高過ぎると、加熱してプレス成形するときに、流動性が不足し、基材層11の成形方向に第1保護膜15が追従できず、成形性が悪くなるからであり、逆に融点が低過ぎると、溶け過ぎて基材層11の中に染み込み、第1保護膜15がなくなる可能性が高くなるからである。特に、上記温度範囲とすることで、加熱してプレス成形する際に、第1保護膜15が基材層11内のバインダー繊維13と同様に溶融して、基材層11の成形時に基材層11に追従して成形され易くなるので、好適である。第1保護膜15のMI値は、JIS K
7210に基づいた値で、1g/10min〜100g/10min、特に3g/10min〜50g/10minとすることが好ましい。MI値が高いと、基材層に染み込み易くなり、逆に低いと、接着力が不足するので、上記範囲とすることが好ましい。第1保護膜15の軟化点は80℃〜100℃とすることが好ましい。
また、第1保護膜15は、表面にシボ模様が形成されていることが好ましい。即ち、表面にシボ模様が形成されていると、シボで凹んだ部分の厚さが薄くなり、この厚さが第1保護膜の膜振動に寄与するので、ロードノイズを除去する800Hz〜2000Hzの周波数領域の吸音性に優れた効果を発揮できる。なお、シボ模様で凹んだ部分よりも凹んでない部分の方が広い面積を占めるため、この面積部分で小石、砂、泥水等がはじかれるので、耐チッピング性に優れる。
第2保護膜17は、フェンダーライナ10のホイールハウス側(路面側と反対側)に回り込む等の理由により存在する水分が吸収されないことと共に吸音性能を向上させることが求められる。その上成形性も要求されている。
一般的には、水分が吸収されないようにするためには、非通気性のフィルムにすることが考えられるが、非通気性のフィルムにすると基材層11の両側が非通気性の保護膜で覆われることになるので、両側で膜振動による吸音になり、ロードノイズ等の周波数領域での吸音性が急激に悪化することとなる。また、逆に、吸音性を重視して、ニードルパンチ等でフィルムに孔を開けたものを用いると、水分が透過するので、その水分が着氷してしまう結果となる。即ち、一般的には、着氷防止機能と吸音性とを両立させることが困難であった。
それに対して、本発明では、第2保護膜17として、通気性を有するが、不透液性を備える保護膜とすることができた。それによって、フェンダーライナ10の背面側に回ってきた雨水や泥水等の水分がフェンダーライナ10内に浸入することを抑制し、着氷することを防止できるものが得られた。それと共に、走行時のロードノイズを吸音するとともに、成形性にも優れるものが得られた。尚、本発明では、通気性を有するが不透液性を備えることを通気不透液性フィルムと称している。また、本発明では、通気性は後で説明する通気抵抗の測定結果によって判断している。また、不透液性は、後で説明する撥水性の測定結果で判断している。
特に、第2保護膜17は、PP樹脂により構成されていることが好ましい。第2保護膜17を、第1保護膜15のLDPE樹脂と同じ材質にすると、加熱・圧縮する時に、LDPEは結晶化度が低く、伸び・追従性が良いために、微細な孔を形成することが難しく、通気性を確保することが難しい。それに対して、第2保護膜17をPP樹脂とすると、LDPEよりも比較的剛性があり、融点が高いので、加熱・圧縮する時に、微細な孔が形成され易く、通気性があって不透液性を有する保護膜を得やすい。
この第2保護膜17の厚さは、20μm〜80μmとすることが好ましい。20μm未満では、第2保護膜17の層が不足し、部分的に薄い部分ができ、場合によっては層自体が存在しない部分が出る(大きな孔が開く)可能性が高くなる。一方、80μmを超えると、通気抵抗が高くなる傾向にあり、高周波領域の吸音効果が低下する可能性が高くなる。尚、この場合に第2保護膜17の厚さとは、基材層11に載置する時の厚さ、別の言い方をすれば、加熱・加圧して、基材層11に一体化する前の厚さである。第2保護膜17は、加熱・加圧後は、元の厚さから0.8倍〜0.5倍程度になっていると思われるが、場所によって厚さに差異があり、正確に特定することが困難であり、上記の状態での厚さを特定した。尚、加圧・加圧しても、第2保護膜はなくなることはなく、確実に残っている。
第2保護膜17の特徴を以下に述べる。
第2保護膜17をPP樹脂とした場合には、その融点は、160℃〜170℃とすることが好ましい。融点が高過ぎると、加熱してプレス成形するときに、流動性が不足し、基材層11の成形方向に第2保護膜17が追従できず、成形性が悪くなるからであり、逆に融点が低過ぎると、溶け過ぎて基材層11の中に染み込み、第2保護膜17に大きな孔が開く可能性が増えるからである。特に、上記温度範囲とすることで、加熱してプレス成形する際に、第2保護膜17が基材層11内のバインダー繊維13と同様に溶融して、基材層11の成形時に基材層11に追従して成形され易くなるので、好適である。PP樹脂の第2保護膜17のMI値はJIS K 7210に基づいて、1g/10min〜100g/10min、特に8g/10min〜20g/10minとすることが好ましい。MI値が高いと、基材層に染み込み易くなり、逆に低いと、接着力が不足するので、上記範囲とすることが好ましい。第2保護膜17の軟化点は140℃〜150℃とすることが好ましい。
また、本発明において、基材層11の両側にそれぞれ第1保護膜15、第2保護膜17を一体に有する積層シート材B2をフェンダーライナ10に成形する場合には、積層シート材B2の伸びは、140%以下になるように第1保護膜15及び第2保護膜17を設けるようにすると、第1保護膜15及び第2保護膜17がそれぞれ所定の要求性能を維持できるので好ましい。
上記フェンダーライナ10の製造方法について、図4に基づいて説明する。
まず、主繊維12とバインダー繊維13とを用いて乾式不織布の繊維ウェブ14(図4(a)参照)をシート状に形成した後、その繊維ウェブ14中の繊維12,13同士をニードルパンチにより互いに絡ませて交絡させる。次に、図4(a)に示すように、このシート状の繊維ウェブ14が製造装置50に運ばれる。製造装置50では、ローラ51a,51bの上方に第1保護膜15供給用の容器52(Tダイ)が設けられている。この容器52内で、第1保護膜15の素材は、容器52内で素材の融点よりも例えば約20℃程度高い温度に加熱維持され、容器52の出口53から溶融状態の高粘性素材となって落下し、繊維ウェブ14の表面に被覆される。そして、繊維ウェブ14の表面に素材が重なった状態で、直ぐにローラ51a,51bで挟まれて両者が圧着されて接合され第1次積層シート素材が形成される。即ち、図4(b)に示すように、繊維ウェブ14からなる基材層11の表面にLDPE樹脂からなる第1保護膜15が接着された第1次積層シート素材A(厚さ:約4.1mm)が形成される。特に、このようにして第1次積層シート素材Aを形成する場合、第1保護膜15の流体の一部が基材層11のセル内に染み込むが、基材層11の密度(目付量)と第1保護膜15のMI値や融点、加熱条件等を適正に設定することによって、多く染み込まないように設定できる。それによって、第1保護膜15が基材層11に強固に接着されるとともに、加熱して溶融させてプレスしても第1保護膜15が基材層11の表面上に確実に残るようになっている。そして、上記第1保護膜15に接する上記一方のローラ51aの表面には、表面にシボ模様を形成するための複数の突出部55が設けられている。一方、他方のローラ51bはフラットな表面となっている。このシボ模様の意味は、後で説明する。なお、図4(a)、(b)では、ローラ51aの突出部55及び第1保護膜15のシボ模様は、判りやすくするために拡大誇張して表示している。また、保護膜15のシボ模様は他の図には記載していない。第1保護膜15のシボ模様において、その凹部15bがローラ51aの突出部55によって凹んで形成される凹部に相当し、平面部15aが、ローラ51aの平面に当接する部分である。
次に、図4(c)に示すように、この第1次積層シート素材Aを裏返して第1保護膜15を下側にして基材層11を上側にする。裏返した第1次積層シート素材Aの上側に、第2保護膜となるPP樹脂製の非通気性フィルム(厚さ:50μm)を重ねて第2次積層シート素材B1を得る。
そして、図4(d)に示すように、この第2次積層シート素材B1を平板状のプレス金型61,62の間に載置する。次に、図4(e)に示すように、下型62を常温にして、上型61を例えば200℃に加熱した、この平板状のプレス型の上型61を下降して、例えば3.8mmの金型クリアランスに加圧して例えば20sec間保持する。このことによって、第2保護膜17を基材層11に一体に形成すると共に、第2保護膜17を通気不透液性の保護膜として形成された平板状の積層プレート材B2が作られる。そして、図4(f)に示すように、上型61を開放して、第1保護膜15及び第2保護膜17がそれぞれ基材層11の両側に一体に形成された平板状の積層プレート材B2が得られる。尚、本実施形態では、第1保護膜15及び第2保護膜17を積層した第2次積層シート素材B1を前処理品と称し、この第2次積層シート素材B1を加熱圧縮した後の積層プレート材B2を処理品と称す。また、積層プレート材B2を成形金型でフェンダーライナ10に成形して得られるものを成形品と称す。
加熱・加圧工程を行うことによって、第1保護膜15、第2保護膜17と基材層11とが一体になった積層プレート材B2を得ることができる。特に、加熱条件及び加圧条件を適切に設定して成形することによって、第2保護膜17のPP樹脂フィルムが部分的に溶融して微細な孔が開き、通気性は確保するが、水分等の液は通す程の大きな孔にはならないものが形成される結果だと思われる。それとともに、一部のPP樹脂素材が基材側に染み込むこととなり、基材層11に強固に接着されるとともに、加熱して溶融させてプレス成形しても第2保護膜17が基材層11の表面上に確実に残るようになっている。
この加熱してプレス成形する工程を説明する。上型61が200℃で加熱されているので、第2保護膜17が加熱されると共に基材層11も加熱される。その時、この加熱温度は、バインダー繊維13を構成する可溶性ポリマー単体の融点以上の温度で行われ、主繊維12が加熱溶融する繊維により構成されている場合には、その主繊維12の融点未満の温度で行われる。尚、バインダー繊維13の融点は第2保護膜17の融点よりも低いので、加熱時に、バインダー繊維13が第2保護膜17と同様に溶融状態となって流動性が高くなっており、両者が一体に密着される。かつ溶融した第2保護膜17のすべてが基材層11の中に浸透しないように、基材層11のセルの大きさや目付量が設定されており、加熱プレス時間も設定されている。
また、第1保護膜15については、再度溶融することは好ましくないので、プレス型の下型62は常温として、第1保護膜15の溶融を抑制している。
尚、上記実施形態1では、基材層11に第2保護膜17を重ねた第2次積層シート素材B1を加熱・加圧する際に、加熱したプレス金型で加熱するようにしているが、第2次積層シート素材B1をプレス金型にセットする前に別の加熱手段で、第2保護膜17を予備加熱するようにしても良い。
また、基材層11に対して、先に第1保護膜15を一体に形成して第1次積層シート素材を形成し、その後第2保護膜17を一体に形成して第2次積層シート素材するようになっているが、第1保護膜15と第2保護膜17とを逆の順番で形成しても良く、また、基材層11に同時に第1保護膜15及び第2保護膜17を形成するようにしても良い。即ち、本発明では、第2次積層シート素材が作られていることが重要なのであって、この第2次積層シート素材を作る際に第1保護膜15と第2保護膜17のどちらを先に基材に一体にするか否かはどちらでも良いものである。
尚、前処理品(第2次積層シート素材B1)を加熱・加圧して、処理品(積層プレート材B2)とするときの加熱温度、プレス時間、金型クリアランスは、前で説明したように、第2保護膜17が基材層に密着できて且つ通気不透液性の保護膜となるように設定するものであり、下記の範囲とすることが好ましい。
加熱温度は170℃〜240℃、プレス時間は10秒〜60秒、金型クリアランスは3.3mm〜4.4mmである。これらの範囲に対し、加熱温度が低すぎると、第2保護膜17の流動性が不足して通気性を確保するような微細な孔が形成され難く且つ基材層11から剥がれ易くなり、逆に高すぎると、基材層11のバインダー繊維が第2保護膜17の方に多く溶け出る可能性があり、且つ第2保護膜17が基材層11へ染み込み易くなる。また、時間は短すぎると、第2保護膜17の流動性が不足して通気性を確保するような微細な孔が形成され難くなる。時間を長くしてもそれほど変化はないが、生産性やコスト的にはあまり長い時間にしない方が良い。金型クリアランスは、大きすぎると第2保護膜17と基材11との密着性が不足し、小さすぎると基材が圧縮され過ぎて吸音性が悪くなる可能性が高く且つ第2保護膜の通気抵抗も高くなる傾向になる。従って、上記のような数値にすることが好ましい。
次に、このようにして得られた第1保護膜15及び第2保護膜17を一体に備える積層プレート材B2(処理品)全体を成形し易いように予め加熱して、図5に示すように、フェンダーライナの成形金型(コールド型)に搬入して、約3.3mmの金型クリアランスに加圧すると共にホイールハウス形状に成形して冷却し成形品(フェンダーライナ10)が得られる。
尚、加熱温度は、第2保護膜17側が180℃〜220℃、第1保護膜15側が130℃〜220℃で、時間は20秒〜2分、特に30秒〜60秒とすることが好ましい。特に、温度が低すぎると成形性が悪く、逆に高すぎると第1保護膜15や第2保護膜17が基材層11へ染み込み易くなる。また、時間は短すぎると成形不足となり、時間が長すぎると第1保護膜15や第2保護膜17が基材層へ染み込み易くなる。
フェンダーライナ10の成形金型としては、図5(a)に示すように、一度にホイールハウスの形状に沿ったフェンダーライナ形状に成形する成形金型(上型81と下型82とがフェンダーライナ形状になっている)が知られている。しかし、このような成形金型の場合には、平板状の積層シート材B2(処理品)から一度にフェンダーライナ110の成形品が得られるが、積層シート材B2に最大で180%の伸びが必要となる。従って、本発明のような積層シート材B2を用いる場合には、このような成形金型を用いることは好ましくない。一方、図5(b)に示すような成形金型(上型71と下型72とがフェンダーライナの半分の形状になって展開された成形金型)の場合には、平板状の積層シート材B2からフェンダーライナ120の半分の形状に展開して成形品を得るので、最大伸びは125%程度で良く、本発明のような積層シート材B2を用いる場合には好適である。
また、図6に基づいて、フェンダーライナ10の形状に成形する時の端末部分の処理について説明する。図6(a)は、フェンダーライナ10の成形金型でフェンダーライナ10の形状に成形した後で、フェンダーライナ10の端部から飛び出た部分をトリミングする場合を示す。このように、後工程でトリミングする場合には、端部10aでは基材層11の両側に第1保護膜15及び第2保護膜17が積層された3層の状態のままになっている。そのために、この端部をトリミングすると、基材層が露出した状態の端末処理となる。それに対して、図6(b)のように、フェンダーライナ10の成形と同時にトリミングする場合には、成形時に第1保護膜15及び第2保護膜17を加圧・加熱する時に、第1保護膜15及び第2保護膜17が伸びて成形されるので、お互いの膜が密着する状態となり、この状態で、端部10bをトリミングするので両膜が密着した端末処理とすることができる。尚、第1保護膜15又は第2保護膜17のいずれか一方、或いは両膜が一緒に伸びるかどうかは、型構造や加熱温度によって異なるが、いずれにしても両膜が密着することになる。
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2について図14に基づいて説明する。
実施形態2では、フェンダーライナ10を車両のフロント側に適用したものであり、車両の前側に複数の開口部18が設けられている。その構成以外は、実施形態1と同じであり、詳細な説明は省略する。
実施形態2では、車両のエンジンルーム内の温かい空気がこの開口部18を通ってタイヤの方(車両の外部)に流れるようになっている。この開口部18の周囲は、図6(b)に示すように、フェンダーライナ10の端部10bとして、第1保護膜15及び第2保護膜17とが接合することで基材層11が露出しないように形成されている。従って、エンジンルーム内に入り込んだ水分等が通過しても基材層11に入り込むことが抑制される。また、開口部18を設けることによって、フェンダーライナ10の剛性や形状維持性が低下するが、第2保護膜17を設けることによって剛性が十分に高くなっているので、本発明では開口部18を設けても、影響ない強度を維持できている。
尚、実施形態2において、図5(b)の成形金型(71、72)を使用して成形した場合について説明する。図14に示すように、フェンダーライナ10(120)の半分の形状同士のつなぎ部分10cでは、フェンダーライナ10の形状に曲げた際に、第2保護膜17が伸ばされるが、僅かの伸びであり問題にならない。また、図14に示すように、フェンダーライナ10(120)の折り曲げ面10dでは、重なる部分ができるが、この部分10dでは、前後半分のフェンダーライナ10の端部同士をお互いに分離された状態で成形し、両端部を合わせてフェンダーライナ10の形状にした際に、一部分で重なるようにして、この重なる部分を溶着する等で一体にすることで一体にフェンダーライナ10に成形できる。尚、この成形方法については、実施形態2について説明したが、実施形態1についても同様な成形方法を使用できる。
本発明によって発揮される効果について以下に記載する。
フェンダーライナ10は、第1保護膜15及び第2保護膜17により路面上からタイヤ2が撒き散らす雨水や泥水がフェンダーライナ10にかかっても撥水するように構成されており、着氷が防止されるとともにフェンダーライナ10の外面が泥やゴミ等によって汚れるのが効果的に抑制される。さらに、第1保護膜15及び第2保護膜17により雨水や泥水が基材層11内に浸入しないことから、吸音作用が阻害されることがない。特に、第1保護膜15は非通気性であるが、第2保護膜17は通気性を備えるので、優れた吸音性を発揮できる。即ち、フェンダーライナ10は、タイヤ2と路面との間で発生する走行音、タイヤ2が跳ね上げる小石、砂、水等がフェンダーライナ10に当たって発生する打撃音、ロードノイズ等の騒音が、基材層11で吸収され、その騒音が車両1の車内に伝わるのを著しく低減させることができる。すなわち、前記騒音は、フェンダーライナ10の最外層を構成する薄い第1保護膜15から基材層11に伝達された後、基材層11及び第2保護膜17により音のエネルギーの減衰が図られ、車内に伝わる騒音量が減少する。
それと共に、上記第1保護膜15及び第2保護膜17によって、フェンダーライナ10の引張強度、曲げ強度、弾性勾配等の特性が向上するので、成形後の形状保持性に優れる。そのために、フェンダーライナ10に冷却風等の空気の通過孔を設けたりした場合でも、フェンダーライナ10の形状維持性が優れているので、対応可能である。また、特性の向上を要求されない場合には、基材層11を軽量化することも可能となる。
以下に、本発明の実施例について具体的に説明する。以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
主繊維は、繊維径6.6T、繊維長64mm、融点260℃のPET繊維を用いた。バインダー繊維は、繊維径6.6T、繊維長51mm、融点110℃のPET繊維を用いた。第1保護膜15を形成する素材には、密度が0.92g/cm程度、融点が110℃、引張強度が14MPa、MI値が20g/10min、軟化点が100℃のLDPE樹脂を用いた。第2保護膜17を形成する素材には、密度が0.91g/cm程度、融点が160℃〜170℃、引張強度が28MPa、MI値が8g/10min、軟化点が140℃〜150℃のPP樹脂フィルムを用いた。
主繊維を60重量%、バインダー繊維を40重量%で、トータルの目付量が600g/mとなるように混合してニードリングにより絡合し、シート状ウェブ材料を作製した。第1保護膜15となるLDPE樹脂素材を130℃に加熱して高粘性溶液として流して、シート状ウェブ材料の表面に目付量が200g/mとなるように被覆し、ローラで加圧して両者を接着して基材層に第1保護膜15が形成された平板状の積層シートAを作製した。
次に、この積層シートAの背面側(第1保護膜15が設けられてない側)に、第2保護膜17となるPP樹脂フィルム素材(非通気性であって、厚さ:20μm)を重ねて積層シートB1とする。前処理品であるこの積層シートB1を平板状のプレス金型に載置する。このプレス金型は、第1保護膜15側で常温、第2保護膜17側で200℃に加熱した金型である。プレス金型の金型クリアランスが3.8mmになるように加圧して、20sec(秒)間保持して、平板状の積層シートB2(処理品)を形成した。この時に、第2保護膜17であるPP樹脂フィルムが上記温度によって、部分的に溶融して、微細な孔が開いて通気性が確保されるようになる。しかし、水分などの液体が通過するほどの大きな孔にはならないので、不透液性が確保された状態となっている。
こうして得られた平板状の積層シートB2(処理品)をフェンダーライナの成形金型にて、フェンダーライナ形状に成形する。具体的には、この平板状の積層シートB2を、成形金型に入れる前に、積層シートB2全体を約200℃に遠赤外線などで加熱して、成形し易いように柔らかくする。その後、コールド型である成形金型にて、加圧して成形品の所定形状に成形する。成形後に得られたフェンダーライナ(成形品)では、基材層の厚さは3.05mm、目付量は600g/mで、第1保護膜15の厚さは0.25mm、目付量は200g/mであった。第2保護膜17の厚さは僅かであり、改めて測定できなかった。全体の合計厚さ(総厚み)を3.3mmとした。
尚、基材層11、第1保護膜15及び第2保護膜17の厚さは一定ではないので、全体を平均した厚さとしたが、大半の厚さで平均するようにしても良い。尚、第2保護膜17の厚さは、加圧する前が50μmであり、加圧すると0.8倍〜0.5倍になると予測されるが、実際には測定が困難であるので、フェンダーライナ全体の厚さの数値としては、総厚さの計算上では無視した。
(実施例2〜4)
実施例2〜4が実施例1と異なるのは、前処理品の時の第2保護膜17のフィルム厚さを、それぞれ30μm、50μm、80μmとしたものであり、後は実施例1と同じである。
(実施例5〜8)
実施例5〜8は、実施例3を基本として、第2保護膜17側のプレス金型の加熱温度を170℃、180℃、220℃、240℃としたものであり、後は実施例3と同じである。
(実施例9〜11)
実施例9〜11は、実施例3を基本として、プレス金型のプレス時間を10sec(秒)、30sec、40secとしたものであり、後は実施例3と同じである。
(実施例12〜14)
実施例12〜14は、実施例3を基本として、金型クリアランスを3.5mm、4.1mm、4.4mmとしたものであり、後は実施例3と同じである。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比較して、実施例1と同じLDPE樹脂の第1保護膜を備えるが第2保護膜を設けてないだけであり、その他は実施例1と同じである。
(比較例2)
第1保護膜が比較例1ではLDPE樹脂で有るのに対して、比較例2ではHDPE樹脂にしたものであり他は、比較例1と同じである。HDPE樹脂としては、目付量が200g/m、密度が0.95g/cm程度、融点が150℃、引張り強度が40MPa、MI値が1.4g/10min、軟化点が130℃のものを用いた。
各種の試験方法
(着氷試験の試験方法、石跳ね衝撃音の試験方法及び伸び率の測定方法)
これらの試験方法については、特開2011−240821号公報に開示されている試験法で行ったので、詳細な説明は、省略する。尚、本発明の実施例1と上記特開2011−240821号公報に開示されている例(本発明では比較例1)とで比較実験した結果、殆ど遜色ない結果であった。その結果からすると、背面側に本発明の第2保護膜を設けても設けなくても、上記試験では、同様な効果が得られると言えることが判った。
石跳ね衝撃音の試験の結果では、本発明の実施例1は78.2dB、比較例1は78.5dBであり、実施例1と比較例1とでは、殆ど差異はなく、どちらも良い結果であった。
サンプルSの大きさ:50mm×150mm、スパン:100mm、試験スピード:50mm/minで、曲げ強度は、JIS K 7171に準拠して測定した。引張強度は、JIS K 7161に準拠して測定した。その結果、本発明の実施例1では、曲げ強度は15.0N、引張強度は345N、比較例1では、曲げ強度は12.0N、引張強度は330Nであった。
着氷試験の試験結果では、本発明の実施例1では、せん断力が19.4Nであり、比較例1では、せん断力が19.5Nであり、どちらのせん断力も20N以下であり、これらについては、氷が付着しても剥がれ易く、良好な防着氷性能が得られることが確認された。
また、飛び石試験法による耐久試験方法として、実車走行時にタイヤが跳ね上げる小石等がフェンダーライナに当たって生じる第1保護膜の耐久性を評価するため、JASO M 104に規定する耐久試験である飛び石試験法でテストして表面の耐久性を測定した。その結果、本発明の実施例1も比較例1も第1保護膜の材破はなく、良好な結果が得られた。
伸び率の試験結果では、実施例1では42パーセント、比較例1では約50%であった。尚、ホイールハウスの形状に沿った略半円形に一体成形する場合(図5(a)参照)には、80%程度の伸び率を必要とするが、略半円形状を半分ずつにした展開成形方法(図5(b)参照)で成形する場合には、25%程度であれば良いので、本発明の実施例1でも十分な伸び率を有しており、成形上の問題はなかった。
(残響室法吸音率)
各サンプルについて、ブリューエル・ケアー社製の測定装置を用いて、周波数200Hz〜6300Hzの範囲でISO354に準拠した残響室法吸音率を測定した。
(接着状態)
各サンプルSを300mm×300mmの大きさで求める。このサンプルの第2保護膜側から第2保護膜の接着状態を目視で観測した。その結果、本発明の実施例では、気泡が入って浮いた状態等で接着が不十分な状態になったものは、見られなかった。ほぼすべての実施例で第2保護膜がきれいに基材に接着していた。
(通気抵抗の測定方法)
各サンプルSを300mm×300mmの大きさで求める。このサンプルの目付量を通常の方法で測定する。そして、図7に示す測定装置201にこのサンプルSを、第2保護膜側を上側にしてセットして、厚さを15mmまでに押さえた状態で、通気抵抗を測定する。具体的には、φ180mmの吸引部202で0.04m/secの吸引速度で吸引して、Rieter社の「CARE+」を使用して圧力差を測定し、通気抵抗を下記の式で算出して求めた。
R=29×ΔP
R:通気抵抗(kNs/m
ΔP:圧力差(Pa)=元の圧力−吸引時の圧力
29:校正係数
(撥水性試験)
各サンプルを300mm×300mmの大きさで求める。そして、図8に示す測定装置を使用して試験する。このサンプルSの背面側(第2保護膜側)を上側にして、ベース台B上に水平に設置する。そして、蒸留水を入れたピペットPから、この蒸留水1ミリリットルをサンプルSの第2保護膜の上に滴下する。すると、最初は第2保護膜側の表面に水滴Mが留まっている。そして、この水滴Mが第2保護膜の表面から無くなるまでの時間(Hr)を測定する。水滴Mが無くなる場合には、水滴Mの跡が残っているので、水滴Mの大半が第2保護膜側から基材内に浸入しているものと思われる。尚、比較例1、2では、第2保護膜が無いので、直に基材の表面に水滴Mを滴下した。
その後、別のサンプルSを用意して、サンプルSの正面側(第1保護膜側)を上側にして、上記と同様にして、水滴Mが第1保護膜側から無くなるまでの時間を測定する。
尚、本発明では、上記時間の測定結果として、2時間以上染み込まなかった場合を、不透液性と判定する。また3時間以上染み込まなかった場合は、これ以上の時間を継続して測定する必要無しと判断して、3時間を経過した時点で測定を中断した。
各種の試験結果について、以下に説明する。
図9は、比較例1、実施例2及び3について、第2保護膜側からの残響室法吸音率特性を示す。図9に示すように、残響室法吸音率では、比較例1に対して、実施例2及び3ではいずれも吸音性能が良くなっている。特に、高周波領域の吸音率がよくなっている。
図10に基づいて、比較例1、2と実施例1〜4の各種の性能試験結果を比較した結果を説明する。実施例1〜4は、第2保護膜を基材層に一体に形成する前の第2保護膜のフィルム厚さを変更した場合であり、比較例1、2は第2保護膜に相当するものがないものである。
比較例1と2に比較して、実施例1〜4では、第2保護膜を設けたことにより、引張強度、曲げ強度、弾性勾配がいずれも格段に優れており、成形性及び形状維持性共に優れていると言える。また、通気抵抗は、実施例1〜4の方が、比較例1に比較して増加するが、実用的には差し支えない通気抵抗であり、通気性を有するので、実用上では問題ない値であった。
特に、比較例と実施例とを比較した場合に、撥水性で大きな差異が生じた。即ち、撥水性の試験結果が、比較例1や2では、第2保護膜側で1時間以下であり、水分が浸入し易いことが判った。それに対して、実施例1は2時間以上、実施例2〜4では3時間以上の撥水性を有しており、水分が浸入し難いことが判った。このことから、本発明では、第2保護膜が通気性を有するが撥水性を十分に備えて不透液性を備えることが判った。即ち、本発明では、第1保護膜側及び第2保護膜側のどちらからも水分の浸入を抑制でき、着氷を防止できる効果を発揮できている。尚、フェンダーライナの通気抵抗は、実用上では、50kNs/m以下、特に30kNs/m以下とすることが好ましい。通気抵抗が高くなりすぎると、吸音率が悪くなる傾向にあるので、実用的には上記値とすることが好ましい。撥水性は、2時間以上、特に3時間以上となることが好ましい。この撥水性の時間は、長ければ長いほど撥水性が良いと言うことであるが、実用的には上記値とすることが好ましい。
尚、第2保護膜のフィルム厚さは80μmまでとし、それ以上は実験しなかったが、厚さを増加した時の傾向は把握できたので、行わなかった。
図11は、第2保護膜を基材層に一体に形成する際のプレス金型の加熱温度を変更した場合であって、図9と同様な性能を示す表である。図12は、第2保護膜を基材層に一体に形成する際のプレス金型のプレス時間を変更した場合の性能を示す表である。図13は、第2保護膜を基材層に一体に形成する際のプレス金型の金型クリアランスを変更した場合の性能を示す表である。
図11〜13の結果から、比較例1及び2に対して、各実施例は、各種の性能で優れた結果を示している。尚、通気抵抗のみは、比較例1及び2に対して劣っているが、図10において説明したように、実際上では問題ない値であった。特に第1保護膜が非通気性の保護膜であり、第2保護膜が通気不透液性の保護膜であるので、フェンダーライナへの水分の浸入を抑制できると共に吸音性に優れ、且つ成形性及び形状維持性に優れたものを得ることができる。
自動車のフェンダーライナに有利に適用できる。
10 フェンダーライナ
11 基材層
12 主繊維
13 バインダー繊維
14 繊維ウェブ
15 第1保護膜
15a 平面部
15b 凹部
17 第2保護膜
18 開口部
51a ローラ
50b ローラ
55 突出部
71 上型(成形金型)
72 下型(成形金型)
A 第1次積層シート素材
B1 第2次積層シート素材
B2 積層プレート材
S サンプル

Claims (8)

  1. 吸音作用を有する基材層と、その表面に設けられた第1保護膜と、基材層の裏面に設けられた第2保護膜とを備えた車両用フェンダーライナであって、
    前記基材層は、主繊維と、その主繊維よりも低い融点を有するバインダー繊維とを交絡させた繊維ウェブからなり、
    前記第1保護膜としてLDPE樹脂が一体に設けられ、
    前記第2保護膜として通気不透液性フィルムからなる熱可塑性樹脂シートが一体に設けられ
    該フェンダーライナの端部の少なくとも一部では、前記基材層が、前記第1保護膜及び前記第2保護膜で覆われており、前記基材層が露出しないようになっていることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  2. 請求項1に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    前記第2保護膜が、非通気性シートを加熱圧縮して、基材層に一体にすることで、通気不透液性フィルムに形成されることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    前記第2保護膜が、ポリプロピレン樹脂フィルムであることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    前記第2保護膜の通気抵抗が、15kNs/m〜30kNs/mの範囲であり、
    その撥水性が、2時間以上であることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    前記第2保護膜の厚さが、20μm〜80μmであることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  6. 請求項に記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    フェンダ−ライナの前側に開口部を備え、該開口部の周囲が、前記第1保護膜及び前記第2保護膜で覆われており、前記基材層が露出しないようになっていることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  7. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナにおいて、
    第1保護膜の表面には、シボ模様が形成されていることを特徴とする車両用フェンダーライナ。
  8. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用フェンダーライナの製造方法であって、
    前記主繊維とバインダー繊維とからなる前記基材層の繊維ウェブを製造し、
    該繊維ウェブの表面側にLDPE樹脂からなる溶融樹脂を積層して第1次積層シート素材を形成し、
    該第1次積層シート素材の該繊維ウェブの背面側にPP樹脂フィルムを積層して第2次積層シート素材を形成し、
    該溶融樹脂、該繊維ウェブ、該PP樹脂フィルムからなる第2次積層シート素材を加熱及び加圧して、
    PP樹脂フィルムを通気不透液性フィルムからなる第2保護膜として該基材層の背面側に一体に接着すると共に、LDPE樹脂からなる第1保護膜を該基材層の正面側に一体に接着した平板状の積層プレート材を形成し、
    第1保護膜と第2保護膜を該基材層の正面側及び背面側にそれぞれ一体に接着した平板状の上記積層プレート材を加熱成形してフェンダーライナを形成する成形金型が、フェンダーライナの形状を半分ずつに展開して一体に成形する成形金型からなり、該積層プレート材を加熱成形して車両用フェンダーライナを形成することを特徴とする車両用フェンダーライナの製造方法。
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