JP5015992B2 - 電子レンジ調理用容器入り食品と電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソース - Google Patents
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Description
このような食品は、予め茹でた麺を解凍し、調理ソースをあえることにより食するようにしたものであるから、麺は、冷凍前、あるいは冷凍中に水分を吸収して、パサパサとした食感になりやすい。
そこで、本発明は、電子レンジで加熱するだけで、茹でたてのパスタと同等の風味を得ることができるようにした容器入り食品と、それに利用するための調理用クリーム系ソースを提供することを目的とする。
上記構成によれば、電子レンジ加熱用容器に収容されているので、家庭内で電子レンジを使用するだけで簡便に調理することができる。容器には乾麺が収容され、該乾麺は、前記調理用クリーム系ソ−スの前記成分で茹で加工される。これにより、予め茹でて冷凍した冷凍麺によるパスタと比べて格段に優れた茹でたての風味のパスタを味わうことができるものである。
なお、本発明で「クリーム系ソース」とは主原料として乳成分を含むパスタソースを意味しており、さらに卵黄等の成分を含有する「カルボナーラソース」を含むものである。
上記構成によれば、乾麺が前記溝を備えていることにより、表面積が増大しているので、その分短時間で茹で上げることができる。
上記構成によれば、調理用クリーム系ソ−スから前記成分の少なくとも一部が前記乾麺に吸収されることにより、通常のクリーム系ソ−スと同じ粘性や水分量となるから、電離レンジ加熱終了後に、茹であがった麺とあえることにより、クリーム系スパゲティを得ることができる。
上記構成によれば、茹で加工に使われる水分は、調理用クリーム系ソ−スの基本要素の配合量に関して、一部増加させた成分を使うようにされているので、従来のクリーム系ソ−スとしてのカルボナーラソースの味や風味等を大幅に変更することなく、実現することができる。
上記構成によれば、茹で加工に使われる水分は、調理用クリーム系ソ−スの基本要素に加えて添加された他の添加物を使うようにされているので、従来のクリーム系ソ−スとしてのカルボナーラソースの製法を大幅に変更することなく、実現することができる。
上記構成によれば、水分量等が従来よりも多い調理用クリーム系ソ−スをレトルト容器に充填する作業に必要とされる粘度を調理用クリーム系ソ−スの基本要素の配合量に関して、一部増加させた成分により増加するようにされているので、従来のクリーム系ソ−スの味や風味等を大幅に変更することなく、実現することができる。
(容器入り食品の全体構成)
図1において、符号11は、容器であり、この場合電子レンジによる加熱に耐える合成樹脂製の容器とされている。
容器11は、販売に供される状態では、薄いフィルムなどで気密封止されているが、説明の便宜のために該フィルムを除いて、収容物を示している。
容器11の内部には、乾麺12が収容されている。乾麺12はパスタ用乾麺であり、その詳しい形態は後述する。乾麺12は細長い線状の乾麺であり、例えば、デュラム小麦のセモリナと水を混練して製麺されたもので、予め所定長さに切りそろえて、この実施形態の場合、容器11の長手方向に、該乾麺12の長さ方向をそろえるようにして所定量、すなわち、この場合、例えば、大人の1食分として80グラム程度が収容されている。
このレトルト容器13は、電子レンジによる加熱が可能で、手により、引き破くことが容易なように、例えば、延伸ポリエチレン等のラミネートフィルムを利用して形成されたパウチを利用することができ、内部に調理用ソースである調理用クリーム系ソ−スが収容されている。
この調理用クリーム系ソ−スは従来のクリーム系ソ−スとは大きく異なる。
すなわち、乾麺12を加熱しただけでは、当然に水分が不足するので、乾麺12を茹で上げることができない。
すなわち、容器11内に乾麺12を図1のように収容した状態において、電子レンジ加熱した際に、これに加えられる調理用クリーム系ソ−スに、茹で上げるだけの水分量が含有されていたとしても、ソース自体の粘度が必要以上に高いと、加熱中に乾麺12の水和が適切に行われない。つまり、ソースの摩擦抵抗が高くなり、加熱中にソース(水分)が適切に対流しなくなってしまう。
具体的には、澱粉、増粘剤の使用量を調節することにより、粘度の増加をコントロールできる。澱粉、増粘剤の使用量を調節し、食感等の上で必要とされる最低限の粘度のみ生じるようにしている。
さらに好ましくは、乾麺12の水和に影響を与えない範囲で、可能な限り澱粉、増粘剤を添加することが望ましい。これにより、加熱時に乾麺12の水和を適切に行うことが出来、加熱後は通常のクリーム系ソースと同等の粘度を生ずることができる。
ソースの粘度が5未満であると、乾麺12を茹でることはできるが、所謂「ゆるい」ソースになってしまい、水っぽくて、風味に劣る。
ソースの粘度が50cpsを超えると、乾麺12は加熱後も硬くて、食べにくいものになってしまう。
なお、この乾麺12としては、断面ほぼ円形の「丸麺」で、1.7ミリ径のものを使用し、調理条件としての電子レンジ出力は500ワットで、加熱時間は約10分であった。
本実施形態の容器入り食品は、電子レンジ加熱により、簡便に調理して食することをねらいとするものであるから、乾麺12についても短時間の茹で時間で茹であがるものが好ましい。
図2に示す乾麺20は、その断面22が、直径X1の円を幅Y1の平行線で左右均等に裁断して、幅Y1の外側部分を切り落とし、かつ、上部に左側から切れ込んだV字型の溝24aを、下部に右側から切れ込んだV字形の溝24bを設けた形状を有している。
断面22は、最大径が直径X1であり、主外形が直径X1の円弧となっている。直径X1は、1.2mm〜3.0mmとする。裁断する平行幅Y1は、乾麺20の茹で上がりの断面が略円形となるように、直径X1の円弧を1/2以上残す幅とするのが好ましい。
なお、肉厚A4が0.3mm〜0.8mmの範囲であれば、溝24aおよび溝24bは、それらの隣接する辺は平行に配置されなくてもよいが、図2の例のように、溝24aおよび溝24bを、それらの隣接する辺が平行になるように配置する形態は、肉厚A4を一定にできる点で好ましい。また、肉厚A4の寸法が一定でない場合には、その変化は小さい方が好ましい。
溝24a,24bの深さT1、すなわち、溝の先端から開口端面までの垂線の長さT1は、断面22の溝24a,24bの形成方向における径である幅Y1の1/2よりも大きいことが好ましい。それにより、肉厚A3を小さくすることができるとともに、図1においてA1およびA2で示す、断面22の円弧と溝24a,24bの円弧側の辺との間の肉厚を小さくすることができる。肉厚A3は、好ましくは0.3mm〜0.8mmの範囲に設定される。
なお、肉厚A1およびA2を含む、溝24a,24bの先端部から開口部までの肉厚を0.3mm〜0.8mmの範囲にすることができれば、溝24a,24bの円弧側の辺は屈曲していなくてもよい。しかし、図2のように、溝24a,24bの円弧側の辺が途中で鈍角に屈曲した形状を有していることにより、溝24a,24bの先端部から開口部までの肉厚の変化を小さくすることができる点で好ましい。また、溝24a,24bの円弧側の辺は、2箇所以上で屈曲していてもよい。
他の方法として、麺線部分の肉厚は、断面形状の中央線、すなわち向かい合う2つの外縁の中央の点を結んだ線を取り、この中央線に立てた垂線の断面内の長さとしてもよい。
角度P1を20度以上とするのは、20度未満では、茹で時間短縮効果が少ないからであり、70度以下とするのは、70度を超えると、溝24a,24bの幅が大きすぎて茹で上がり後であっても溝が適切に閉じない場合があるからである。なお、溝24a,24bの先端部は丸みを帯びていてもよい。
図2を参照して具体的に説明すると、溝24aに隣接する、溝24aの両側の麺線部分のうち、少なくとも一方の肉厚、例えばA4と、溝24aの開口部の幅W1との比が、1.0:0.5〜2.0(開口幅W1が、肉厚の0.5〜2.0倍)であるのが好ましい。ここで、開口幅を麺線部分の肉厚の0.5倍以上とするのは、0.5倍未満であると、茹で時間短縮効果が少ないからであり、開口幅を麺線部分の肉厚の2.0倍以下とするのは、2.0倍を超えると、茹で上がり後であっても溝が適切に閉じない場合があるからである。
また、乾麺20は、断面22の全体において肉厚の変化が小さく、ほぼ均等であるため、麺全体を均等な固さに茹で上げることができ、良好な食味および食感を得ることができる。さらに、乾麺20に形成された溝24a,24bは、茹で上がったときに溝が適切に閉じ、かつ、閉じた部分に大きな段差も無い、良好な外観を得ることができる。
また、図2の例では、乾麺20の横断面の主外形を1つの円の円弧としているが、麺線の断面の主外形は、楕円の円弧としてもよい。
この乾麺30は、直径X10の略円形の断面32を有し、その一箇所に断面の半径よりもやや深い二等辺三角形状のV字形の溝34を有している。
図3において、符号J1およびJ2は、断面32の肉厚寸法を示している。このような溝付き乾麺30は、溝なしの麺に対して茹で時間が最大1/2に短縮されている。この溝付き麺の茹で時間は、直径1.7mmとした場合、電子レンジで調理すると、約7〜10分程度で茹でることができる。
したがって、この乾麺30を使用した場合にも、茹で上がったときに溝が適切に閉じ、かつ、閉じた部分に大きな段差も無い、良好な外観を得ることができる。
乾麺20の溝24aどうしが噛み合うと、茹でる過程で乾麺32の表面の澱粉成分が「のり化」(α化)することとあいまって、互いに接した面が癒着してしまう。
したがって、できるだけこのような事態を回避できるような容器を使用することが好ましい。
図5は容器11の平面図、図6は図5のA−A線に沿った断面で容器底部を示す図である。
容器11は、例えば、ポリプロピレン樹脂発泡シート、あるいはそれと他のシートとを積層し、加熱して金型により押出し成形してなるものである。
容器11は、全体として矩形の箱型であり、上部は大きな開口47となっている。
また、容器11の長手方向の上縁部には、長手方向に沿って棚状もしくはフランジ状の僅かな突出部が形成されていて、取手部44,44とされている。
また、容器11の長手方向に沿った内側の側面には、縦方向に平行に複数の突起もしくはリブを形成し、容器11の補強が図られている。
図1から理解されるように、矩形容器の利点は、線状の乾麺12を収容した場合において、各乾麺12の端部同士が重なりにくいということである。特に、上部だけでなく、底部41も矩形であると、容器11の長手方向に、麺線の長さ方向をそろえて多数本乾麺12を並べる場合、容器11の内側の幅寸法Nが、容器11の長さ方向端部で徐々に縮小するような形状、すなわち、楕円形の底部とされている場合には、乾麺12の長さ方向に中央付近では平坦並べることができても、長さ方向の両端で幅が窄まることで、乾麺12の端部同士が重なってしまう。そうすると、電子レンジ加熱の過程で図4にて説明したような現象が生じやすく、麺同士がくっついて適切に茹でることができない。この点は、図2の乾麺20を使用した場合も同じである。
容器の底部41では、好ましくは、長さ方向(図5のL方向)の両端部には、幅方向(図5のN方向)に延びる浅い溝42,42が形成されていて、図1のように収容される乾麺12の両端部を、それぞれ受容し位置決めする役割を果たす。
また、好ましくは、底部41の例えば中央部に、内方に僅かに突出するボスないし凸部45を形成している。
これにより、底部41と収容された乾麺12との間に僅かな距離ができて、熱の伝達と、ソースの対流が促されると考えられる。
さらに好ましくは、側壁は符号46a,46aで示すように、僅かに内方に曲線的に突出されて、しかも上方へ向かって徐々に拡開する傾斜面とされると、さらに吹きこぼれしにくい。
この容器51は、図5の容器11と比較すると、上部開口52の形状が異なることである。すなわち、図5の容器11では、上部開口47は矩形であったが、この容器51では、上部開口52は楕円もしくは長楕円形とされている。そして、容器51の長さ方向の両端部には、容器11の短手方向の上縁部には、該短手方向に沿って棚状もしくはフランジ状の僅かな突出部が形成されていて、取手部54,54とされている。
容器51は、上記の形態が容器11と異なるものの、底部41は全く同じ形状である。
したがって、容器11と同様に、電子レンジ加熱中に乾麺の両端部がくっつく事態を有効に回避しつつ、通常用いられるパスタ容器の持つ楕円形態を取り入れて、意匠的にも優れたものとすることができる。
しかしながら、本発明は、これら実施例の構成によりその範囲を制限されるものではない。
卵黄、チーズ、油脂及び水を以下の表1に示す配合割合で混合し、水分散液を作成した。次いで、作成した水分散液を85度に達温後、85度で10分間加熱した。加熱した水分散液を高圧タイプの均質機(50ないし300kg/平方センチ)を用いることにより均質化処理を行った。
次いで、表1に示す配合割合で得られた均質化処理液と、調味料と、ベーコンと、牛乳と、澱粉と、水を以下の表2に示す配合割合で混合した。得られた混合物を温度85度に到達後、該85度を維持して5分間加熱し、カルボナーラソースを得た。澱粉の量、水の量を調整することによって、乾麺を茹でることが可能な調理用カルボナーラソースとしている。
以上の手法により、調理用カルボナーラソ−スの粘度を5.0ないし20.0cpsとした場合に、直径1.7mm幅の乾麺を、設定出力500Wの電子レンジで10分間加熱することにより、好ましく炊き上げることができた。
ここで、調理用クリーム系ソ−スの粘度が5.0cps未満であると、乾麺を茹でることができるが、水っぽい食感のわるいものであった。
調理用クリーム系ソ−スの粘度が50.0cpsを超えると、乾麺は硬くて、実質的に食せない状態であった。
デュラム小麦のセモリナ100部と水30部とを混練して押出し成形機に供給した。
押出しダイには、内径2.45mmの円形状のダイ穴の縦方向に、楔形(V字形)の2辺のうち円形の外周側の辺が屈曲部を有する変形楔形突起を、向かい合わせに2個有するものを用いた。このダイにより得られる麺は、図1と同様の断面形状を有するものとなる。
これを調理用クリーム系ソースで電子レンジ加熱した場合、設定出力500Wで6分30秒間加熱することにより適切に炊き上げることが出来た。得られた食感は、溝のない乾麺の場合と同等であった。
図5、図6で説明した容器11をポリプロピレン樹脂発泡シートを加熱して金型により押出し成形することにより形成した。
ここで、図5における容器11の短手方向の寸法Nが95mm、長手方向の寸法Lが170mmである。茹で上がった乾麺は、互いにくっつくことなく、良好な食感を有していた。
容器の形状は図示したものに限られない。特に底部の構造を上記実施例と同様にしていれば上記と同等の作用効果がある。
乾麺の断面形状も図2、図3のものに限らず、種々の形態のものを使用することができる。
Claims (8)
- 常温にて保管されるものであり、
電子レンジ加熱用の容器と、
該容器に収容された乾麺と、
前記容器内に前記乾麺とともに適用される調理用ソースとしての乳成分を主原料として含む電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソ−スであって、
通常のパスタ調理用クリーム系ソースよりも水分量が多く、粘度が5ないし50cpsである電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソースと
を備えることを特徴とする、電子レンジ調理用容器入り食品。 - 前記乾麺が、その長さ方向と直行する断面が円もしくは楕円であり、当該断面においてその外面から内方に向かって徐々に縮径する溝が形成された溝付麺であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用容器入り食品。
- 電子レンジ仕様のソースであって、通常のパスタ調理用クリーム系ソースよりも水分量が多く、粘度が5ないし50cpsであり、調理後は、茹でられた麺とあえるだけで食するに適した通常のクリーム系パスタとなるように常温段階において調整されていることを特徴とする電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソ−ス。
- 卵黄(液)、乳化液、食用澱粉、ベーコン、マッシュルーム及び水を配合するカルボナーラソースであって、前記卵黄(液)、乳化液、食用澱粉、ベーコン、マッシュルーム及び水の配合量を調整することにより、通常のカルボナーラソースよりも水分量を多くして前記粘度としたことを特徴とする、請求項3に記載の電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソ−ス。
- 卵黄(液)、乳化液、食用澱粉、ベーコン、マッシュルーム及び水を配合するカルボナーラソースであって、さらに澱粉及び/又は増粘剤を含有させたことを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソ−ス。
- 前記クリーム系ソ−スがレトルト容器入り調理用ソースであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電子レンジ仕様のパスタ調理用クリーム系ソ−ス。
- 前記容器が、長さがそろった線状の細長い前記乾麺を多数本長さ方向をそろえて収容する容器であって、前記容器の長さ方向の両端に、幅方向に延びる浅い溝がそれぞれ形成されており、かつ、前記容器の側壁は上方に向かって徐々に拡開する傾斜面とされていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子レンジ調理用容器入り食品。
- 前記容器底部の中央部に、内方に僅かに突出するボスないし凸部を有することを特徴とする請求項7に記載の電子レンジ調理用容器入り食品。
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