JP5015565B2 - 紙葉束搬送機構、及び還流式紙幣処理装置 - Google Patents
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Description
この種の紙幣処理装置において、終業時等に装置本体内に残った全ての紙幣を回収する際に、金種別の紙幣収納部内に夫々収容された紙幣束を機外に個別に取り出すとすれば、全ての紙幣収納部をカセット式に構成して機外に出入れ自在にする必要があるが、このように構成すると紙幣収納部の大型化を招くばかりでなく、回収作業が繁雑化、長時間化する。
なお、還流式の紙幣収納部とは、始業時に予め収納しておいた紙幣のみならず、装置の稼働中に利用者が投入した紙幣を一旦収納する一方で、この紙幣を釣銭等とするために外部へ繰り出す(排出する)機能を備えたタイプの紙幣収納部を指称する。また、還流式の紙幣収納部にはループ方式とスイッチバック方式がある。ループ方式は紙幣の入口(受入れ方向)と出口(繰り出し方向)を異ならせた方式であり、スイッチバック方式とは同じ出入り口から紙幣の受け入れと繰り出しを行う方式である。
この紙幣処理装置101は、還流式の紙幣処理機構102と、この紙幣処理機構を内部に収容する外装体103と、から概略構成されている。
紙幣処理機構102は、金種の異なる紙幣を複数枚一括して、又は一枚ずつ受入れ可能な入金取込部104と、入金取込部104から受け入れられた紙幣を装置内に搬送する搬送経路105と、搬送経路105に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するローラ、ベルト、分岐ゲート、モータ、ソレノイド等から成る搬送機構110と、入金取込部104の直下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置115と、搬送経路105と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣(例えば、一万円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の第1の紙幣収納部120と、搬送経路105と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣(例えば、千円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の第2の紙幣収納部121と、紙幣を釣銭等として装置外に排出すると共に複数枚の紙幣を堆積させて保留する機能を有した出金保留部130と、これらを制御する制御手段140と、を備えている。
搬送機構110は、入金取込部104から一枚ずつ給送された紙幣を金種別に第1、又は第2の紙幣収納部120、121に送り込む仕分け搬送機能と、第1、又は第2の紙幣収納部120、121から夫々一枚ずつ送り出されてきた紙幣を出金保留部130に搬送する機能と、を併有している。搬送機構110は図示しないローラ、ベルト、第1、及び第2の分岐ゲート111、112と、これらの可動部品を駆動するためのモータ、ソレノイド等から構成されており、制御手段140からの制御によって各ローラ、ベルト、分岐ゲートが駆動されることにより、所定のタイミングにて各搬送機能を実現することができる。
第2の紙幣収納部121は、第2の紙幣、例えば千円紙幣専用であり、搬送経路105を経由して一旦受け入れた千円紙幣を搬送経路105に一枚ずつ送出する還流機能を有している。第2の紙幣収納部121は、機外に引出し可能なカセットタイプになっており、終業時には第1の紙幣収納部120に収納された金種の紙幣を順次第2の紙幣収納部121に送込んで集積することによって、第2の紙幣収納部121を利用して全紙幣を一括して機外に取り出すことができる。
なお、この従来例に係る還流式紙幣処理装置は、可能な限り小型化することを前提とした構成となっているが、分岐ゲート111、112による方向転換部は小さな曲率のU字ターン等の湾曲搬送が困難であるため、分岐ゲートによる方向転換部は大きな曲率の湾曲経路とならざるを得ず、搬送経路105の横幅の減縮に限界がある。
第1の紙幣収納部120から各紙幣を第2の紙幣収納部121に移送、収納する動作としては、例えば、第1の紙幣収納部120に収納されている紙幣束から一万円紙幣1枚を分離して搬送経路105に繰出し、搬送経路上のR点まで移動した後で、逆搬送して分岐ゲート113により経路を変えて第2の紙幣収納部121に移送する。
なお、始業時には釣銭として使用する千円紙幣を所定枚数だけ第2の紙幣収納部121にセットすれば足りるため、作業員による紙幣へのアクセス箇所を一箇所に制限してセキュリティ性を向上させると同時に、作業員の負担を軽減している。
しかしながら、上記従来のスイッチバック還流方式の紙幣処理装置にあっては、第1の紙幣収納部120から第2の紙幣収納部121に回収作業を行う際に、第1の紙幣収納部から一枚ずつ搬送経路に送り出した各紙幣をR点で逆転搬送して移送処理する方式を採らざるをえないために、回収時間が長期化するという問題があった。
しかしながら、トリプル分岐ゲート114を実際に組み込む場合、紙幣の湾曲搬送にはかなり大きな曲率が必要であり、且つ、極めて複雑、且つ大型の搬送機構となるため、還流式紙幣処理装置の大型化、高コスト化が避けられなかった。
しかし、この従来例にあっては、各紙幣収納部に収納された多量の紙幣を一枚ずつ補充・回収紙幣収納部に移送する作業が必要となるため、回収作業に長時間を要するという問題がある。また、複数の紙幣収納部とは別個に大型の補充・回収紙幣収納部を装置内に配置する必要があるために、紙幣収納、搬送のための機構が複雑化するばかりでなく、装置が大型化するという欠点があった。また、紙幣の入口と出口を別々に備える金種別紙幣収納部を用いたループ方式の還流式紙幣処理装置であるため、複雑な搬送経路を有した大型の還流式紙幣処理装置となっている。
各種紙幣処理装置に対する小型化の要請が高まる中で、このような大型化をもたらす構成は採用することが困難である。
また、紙幣束を搬送する搬送機構としてローラとベルトから成る構成を採用した場合には、近接しつつ同方向に走行する2つのベルト間による挟圧力不足によって搬送中の紙幣束に位置ずれが発生して、紙幣束が変形を起こすという問題があった。
更に本発明は複数のローラによって支持されたベルト間に紙幣束を挟んで搬送する際に、ローラ間隔が紙幣の搬送方向長に比して過大であるためにベルトによる挟圧力が不十分となり、紙幣束が非整列状態となって搬送され、そのまま紙幣収納部内に不揃いの状態で導入、堆積される不具合を解決することを目的としている。
複数のローラによって夫々支持された2つのベルトの走行面同士を近接させることによって搬送領域を形成した紙幣束搬送機構においては、ローラによるベルト支持力が十分でない場合にはベルト走行面同士が紙幣束を挟圧する保持する力が低下して紙幣間の位置ずれが発生して搬送中における整列状態が悪化する。本発明では、搬送経路中におけるローラ間隔を調整し、紙幣束を常に複数のローラによって支持し得るように構成したので、紙幣束の整列性の悪化を防止することができる。
これによれば、各ベルトの走行面による紙幣束の挟圧保持力を更に高めることが可能となる。
還流式の紙幣収納部の一方を回収紙幣収納部として兼用することにより、装置全体形状を小型化することが可能となる。更に、一時保留部を利用した紙幣束単位の回収動作を実施できる構成としたことにより、搬送経路、及び搬送機構をシンプル化、小型化することができるため、装置全体形状を更に小型化することができる。
また、ローラ、ベルトから成る搬送領域を含む紙葉束搬送機構においては、隣接するローラ間の搬送方向間隔が過大であると、ローラ間に位置するベルトによる紙幣束の挟圧保持力が不十分となって搬送中の紙幣束が変形して不整列状態となり、紙幣間に位置ずれが残った状態で紙幣収納部に収納される虞がある。
図1は本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置の概略構成図である。
この紙幣処理装置1は、例えば食券等の自動販売機(券売機)に装備されて紙幣の受け入れ、釣銭等としての紙幣の払い出しの処理を行う機能を有する。
紙幣処理装置1は、還流式の紙幣処理機構2と、この紙幣処理機構2を内部に収容する外装体3と、から概略構成されている。
紙幣処理機構2は、金種の異なる紙幣を複数枚一括して、又は一枚ずつ受入れ可能な入金取込部4と、入金取込部4から受け入れられた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路5と、搬送経路5に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するためのモータ、ソレノイド、及びローラ、ベルト、ゲートから成る搬送機構10と、入金取込部4の直下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置15と、搬送経路5と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第1の紙幣収納部20と、搬送経路5と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第2の紙幣収納部25と、搬送経路5を経由して搬送されてきた紙幣を一枚ずつ受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して搬送経路に送出する一時保留部30と、釣銭としての紙幣を装置外に排出する出金保留部35と、これらを制御する制御手段40と、を備えている。
搬送機構10は、入金取込部4から一枚ずつ給送された紙幣を所定のルートにて搬送することにより金種別に第1、又は第2の紙幣収納部20、25に送り込む仕分け搬送機能と、第1、又は第2の紙幣収納部20、25から夫々一枚ずつ繰り出されてきた紙幣を一時保留部30内に順次搬送して堆積させる機能と、一時保留部30から繰り出されてきた紙幣束を回収用の収納部を兼ねた第2の紙幣収納部25に一括して送り込む一括搬送機能と、を併有している。制御手段40からの制御によって各ローラ、ベルト、ゲート11を切り替え駆動されることにより、所定のタイミングにて上記の各搬送機能を実現することができる。
第2の紙幣収納部25は、釣銭とした多用される第2の紙幣、例えば千円紙幣用であり、搬送経路5を経由して一旦受け入れた千円紙幣を搬送経路5に一枚ずつ送出するスイッチバック式の還流機能を有している。
一時保留部30は、第1、及び第2の紙幣収納部20、25から夫々一枚ずつ繰り出されてきた紙幣を一枚ずつ受入れて所定の許容枚数だけ積層させる集積機能と、積層された紙幣束を一括して搬送経路5に繰り出す一括送出機能を有している。
本発明では、例えば第2の紙幣収納部25をカセット式に着脱自在(出入れ自在を含む)に構成し、第2の紙幣収納部25と対面する外装体3の壁部に設けた図示しないドアを開放することによって第2の紙幣収納部25を取出し、収納された紙幣を回収できるように構成されている。
この実施形態では、第2の紙幣収納部25を回収紙幣収納部として兼用しており、終業時に第2の紙幣収納部25内に第1及び第2の紙幣を全て回収することにより、一括した回収作業を実施することが可能となる。従って、第2の紙幣収納部25は装置本体内から着脱可能、或いは出入れ可能なカセットタイプに構成することが好ましい。利用者によって投入される紙幣としては勿論、釣銭として使用される紙幣としても使用頻度の高い千円紙幣を収容する第2の紙幣収納部25を紙幣回収用の収納部として兼用し、且つ一万円紙幣等の使用頻度の低い紙幣をこの第2の紙幣収納部25に移送する構成とすることにより、回収時間を短縮することが可能となる。
この実施形態に係る紙幣処理装置によれば、金種別のスイッチバック還流式紙幣収納部を併設した構成において、一方の紙幣収納部に収納されている紙幣を他方の紙幣収納部に回収するに際し、一時保留部を介在させた一括搬送を実施するようにしたので、装置の大型化を招くことなく、移送処理時間を短縮することができる。即ち、還流式紙幣収納部よりも構成が簡素な一時保留部を用い、移送すべき収納紙幣を一時保留部へ1枚ずつ送り込んで所定枚数集積させ、集積した紙幣束をそのまま同じ搬送経路上に繰出して、回収紙幣収納部を兼ねた紙幣収納部に束搬送するようにしたので、紙幣の移送処理にかかる時間を短縮することができる。
この紙幣束搬送機構60は、複数のローラ62、及び複数のローラ62によってエンドレスに張設され、且つ一方向、又は双方向に駆動されることによって走行する内側ベルト(第1のベルト)63を有した内側ベルトユニット61と、内側ベルト63の外側走行面63aに近接配置されて同方向に走行する内側走行面73aを有した外側ベルト(第2のベルト)73、及び外側ベルト73をエンドレスに張設する複数のローラ72を有した外側ベルトユニット71と、を備え、内側ベルト63と外側ベルト73との間に形成される搬送領域Tによって紙葉束Sを挟持しつつ搬送する。
搬送領域Tは、反転ローラ62aの外周に巻掛けられた内側ベルト63とガイド部材80との間に形成されるU字搬送領域T1と、反転ローラ62aの上流側、及び下流側において内外ベルト間に夫々形成される直線搬送領域T2と、から構成されている。
本実施形態では、搬送経路Tを構成するベルト63、73を間に挟んで反対側位置に夫々配置された各ローラ62、72によって各ベルト同士を圧接させる方向に付勢するように構成したので、搬送経路内における紙幣束に対する挟圧力が増大し、紙幣束を構成する紙幣間の位置ずれ発生を防止することができる。
各ローラ62、73によって支持された各ベルト63、73によって形成される搬送領域Tは直線状であってもよいし、図2に示したように蛇行するように構成してもよい。このように蛇行するようにローラ62、73を配置することにより両ベルトによる紙幣束の挟圧力をより高めてより安定した搬送が可能となる。
なお、内側ベルト63、及び外側ベルト73を正逆転させることにより、紙幣束Sを双方向に搬送可能に構成する搬送機構に対して本発明を適用してもよい。
また、本発明の紙幣束搬送機構は、図1に示した如く還流式紙幣収納部の一つを回収用として兼用するタイプの紙幣処理装置のみならず、還流式紙幣収納部とは別個に紙幣回収専用のカセットを備えたタイプの紙幣処理装置の紙幣束搬送機構、その他、ローラとベルトから成る紙幣束(紙葉束)搬送機構一般に適用することができることは言うまでもない。
Claims (3)
- 複数のローラ、及び該複数のローラによってエンドレスに張設され且つ駆動されることによって走行する第1のベルトを有した第1のベルトユニットと、
前記第1のベルトの走行面に近接して同方向に走行することによって搬送領域を形成する走行面を有した第2のベルト、及び該第2のベルトをエンドレスに張設して駆動する複数のローラを有した第2のベルトユニットと、を有し、
前記搬送領域によって紙葉束を挟持しつつ搬送する紙葉束搬送機構において、
前記紙葉束の搬送方向長L1と、前記搬送領域に沿って隣接配置される各ローラ間の間隔L2との関係を、L2≦(L1/2)としたことを特徴とする紙葉束搬送機構。 - 前記第1及び第2のベルトが蛇行するように前記各ローラを配置したことを特徴とする請求項1に記載の紙葉束搬送機構。
- 金種の異なる紙幣を複数枚一括して、或いは一枚ずつ受入れ可能な入金取込部と、該入金取込部から受け入れられた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路と、該搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成する搬送機構と、該搬送経路と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第1の紙幣収納部と、該搬送経路と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第2の紙幣収納部と、該搬送経路を経由して搬送されてきた紙幣を一枚ずつ受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して該搬送経路に送出する一時保留部と、これらを制御する制御手段と、を備えた還流式紙幣処理装置であって、
前記制御手段は、前記第1の紙幣収納部内の第1の紙幣を一枚ずつ送出して前記一時保留部に所定枚数堆積させた後で、該一時保留部内の第1の紙幣束を前記第2の紙幣収納部内に一括搬送する動作を繰り返すことにより、前記第1の紙幣収納部内に収容された全ての第1の紙幣を前記第2の紙幣収納部に移送するように制御し、
前記搬送経路中に、請求項1又は2に記載の紙葉束搬送機構を配置したことを特徴とする還流式紙幣処理装置。
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