JP5354413B2 - 還流式紙幣処理装置 - Google Patents
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この種の紙幣処理装置において、終業時等に装置本体内に残った全ての紙幣を回収する際に、金種別の紙幣収納部内に夫々収容された紙幣束を機外に個別に取り出すとすれば、全ての紙幣収納部をカセット式に構成して機外に出入れ自在にする必要があるが、このように構成すると紙幣収納部の大型化を招くばかりでなく、回収作業が繁雑化、長時間化する。
なお、還流式の紙幣収納部とは、始業時に予め収納しておいた紙幣のみならず、装置の稼働中に利用者が投入した紙幣を一旦収納する一方で、この紙幣を釣銭等とするために外部へ繰り出す(排出する)機能を備えたタイプの紙幣収納部を指称する。また、還流式の紙幣収納部にはループ方式とスイッチバック方式がある。ループ方式は紙幣の入口(受入れ方向)と出口(繰り出し方向)を異ならせた方式であり、スイッチバック方式とは同じ出入り口から紙幣の受け入れと繰り出しを行う方式である。
この紙幣処理装置101は、還流式の紙幣処理機構102と、この紙幣処理機構を内部に収容する外装体103と、から概略構成されている。
紙幣処理機構102は、金種の異なる紙幣を複数枚一括して、又は一枚ずつ受入れ可能な入金取込部104と、入金取込部104から受け入れられた紙幣を装置内に搬送する搬送経路105と、搬送経路105に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するローラ、ベルト、分岐ゲート、モータ、ソレノイド等から成る搬送機構110と、入金取込部104の直下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置115と、搬送経路105と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣(例えば、一万円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の第1の紙幣収納部120と、搬送経路105と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣(例えば、千円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の第2の紙幣収納部121と、紙幣を釣銭等として装置外に排出すると共に複数枚の紙幣を堆積させて保留する機能を有した出金保留部130と、これらを制御する制御手段140と、を備えている。
搬送機構110は、入金取込部104から一枚ずつ給送された紙幣を金種別に第1、又は第2の紙幣収納部120、121に送り込む仕分け搬送機能と、第1、又は第2の紙幣収納部120、121から夫々一枚ずつ送り出されてきた紙幣を出金保留部130に搬送する機能と、を併有している。搬送機構110は図示しないローラ、ベルト、第1、及び第2の分岐ゲート111、112と、これらの可動部品を駆動するためのモータ、ソレノイド等から構成されており、制御手段140からの制御によって各ローラ、ベルト、分岐ゲートが駆動されることにより、所定のタイミングにて各搬送機能を実現することができる。
第2の紙幣収納部121は、第2の紙幣、例えば千円紙幣専用であり、搬送経路105を経由して一旦受け入れた千円紙幣を搬送経路105に一枚ずつ送出する還流機能を有している。第2の紙幣収納部121は、機外に引出し可能なカセットタイプになっており、終業時には第1の紙幣収納部120に収納された金種の紙幣を順次第2の紙幣収納部121に送込んで集積することによって、第2の紙幣収納部121を利用して全紙幣を一括して機外に取り出すことができる。
なお、この従来例に係る還流式紙幣処理装置は、可能な限り小型化することを前提とした構成となっているが、分岐ゲート111、112による方向転換部は小さな曲率のU字ターン等の湾曲搬送が困難であるため、分岐ゲートによる方向転換部は大きな曲率の湾曲経路とならざるを得ず、搬送経路105の横幅の減縮に限界がある。
第1の紙幣収納部120から各紙幣を第2の紙幣収納部121に移送、収納する動作としては、例えば、第1の紙幣収納部120に収納されている紙幣束から一万円紙幣1枚を分離して搬送経路105に繰出し、搬送経路上のR点まで移動した後で、逆搬送して分岐ゲート113により経路を変えて第2の紙幣収納部121に移送する。
なお、始業時には釣銭として使用する千円紙幣を所定枚数だけ第2の紙幣収納部121にセットすれば足りるため、作業員による紙幣へのアクセス箇所を一箇所に制限してセキュリティ性を向上させると同時に、作業員の負担を軽減している。
回収時間を短縮するための改善策としては図4に示したように第2の紙幣収納部121の出入り口に接続した搬送経路分岐点にトリプル分岐ゲート114を設けることで、第1の紙幣収納部120の収納紙幣を、一枚ずつ連続的に第2の紙幣収納部121に移送することができる。
しかしながら、トリプル分岐ゲート114を実際に組み込む場合、紙幣の湾曲搬送にはかなり大きな曲率が必要であり、且つ、極めて複雑、且つ大型の搬送機構となるため、還流式紙幣処理装置の大型化、高コスト化が避けられなかった。
しかし、この従来例にあっては、各紙幣収納部に収納された多量の紙幣を一枚ずつ補充・回収紙幣収納部に移送する作業が必要となるため、回収作業に長時間を要するという問題がある。また、複数の紙幣収納部とは別個に大型の補充・回収紙幣収納部を装置内に配置する必要があるために、紙幣収納、搬送のための機構が複雑化するばかりでなく、装置が大型化するという欠点があった。また、紙幣の入口と出口を別々に備える金種別紙幣収納部を用いたループ方式の還流式紙幣処理装置であるため、複雑な搬送経路を有した大型の還流式紙幣処理装置となっている。
各種紙幣処理装置に対する小型化の要請が高まる中で、このような大型化をもたらす構成は採用することが困難である。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、金種別に複数の還流式紙幣収納部を備えた紙幣処理装置において、紙幣収納部の他に格別の回収専用カセットを装備することによる装置の大型化、高コスト化を招くことなく、小型化を積極的に図りつつ、終業時等において最短時間で各紙幣収納部から紙幣を一箇所に回収することができる還流式紙幣処理装置を提供することを目的としている。
更に、本発明は五千円紙幣、二千円紙幣のように紙幣処理装置に投入される頻度が比較的低い紙幣を、釣銭として還流して払い出すことができる還流式紙幣処理装置を提供することを目的としている。
装置本体内に容量的な余裕がある場合には、還流式の紙幣収納部とは別個に回収紙幣専用カセットを設けることにより、回収用の収納部の構成をシンプル化することができる。また、紙幣収納部を回収紙幣収納部として兼用する場合には予めその容量を大きめに設定する必要があるが、回収紙幣専用カセットを設けることによりその必要がなくなる。
図1は本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置の概略構成図である。
この紙幣処理装置1は、例えば食券等の自動販売機(券売機)に装備されて紙幣の受け入れ、釣銭等としての紙幣の払い出しの処理を行う機能を有する。
紙幣処理装置1は、還流式の紙幣処理機構2と、この紙幣処理機構2を内部に収容する外装体3と、から概略構成されている。
紙幣処理機構2は、金種の異なる紙幣を複数枚一括して、又は一枚ずつ受入れ可能な入金取込部4と、入金取込部4から受け入れられた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路5と、搬送経路5に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するためのモータ、ソレノイド、及びローラ、ベルト、ゲートから成る搬送機構10と、入金取込部4の直下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置15と、搬送経路5と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第1の紙幣収納部20と、搬送経路5と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第2の紙幣収納部25と、第1及び第2の紙幣収納部の上流側に配置され且つ搬送経路5を経由して搬送されてきた紙幣を一枚ずつ受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して搬送経路に送出する第1の一時保留部30と、第1の一時保留部30と同様の構成を備えると共に第1及び第2の紙幣収納部の下流側に配置された第2の一時保留部31と、釣銭としての紙幣を装置外に排出する出金保留部35と、これらを制御する制御手段40と、を備えている。
搬送機構10は、入金取込部4から一枚ずつ給送された紙幣を所定のルートにて搬送することにより金種別に第1、又は第2の紙幣収納部20、25に送り込む仕分け搬送機能と、第1、又は第2の紙幣収納部20、25から夫々一枚ずつ繰り出されてきた紙幣を第1の一時保留部30内に順次搬送して堆積させる機能と、第1の一時保留部30から繰り出されてきた紙幣束を回収用の収納部を兼ねた第2の紙幣収納部25に一括して送り込む一括搬送機能と、を併有している。
制御手段40からの制御によって各ローラ、ベルト、ゲート11を切り替え駆動されることにより、所定のタイミングにて上記の各搬送機能を実現することができる。
第2の紙幣収納部25は、釣銭として多用される第2の紙幣、例えば千円紙幣用であり、搬送経路5を経由して一旦受け入れた千円紙幣を搬送経路5に一枚ずつ送出するスイッチバック式の還流機能を有している。第2の紙幣収納部25から搬送経路5に一枚ずつ送出された第1の紙幣を出金保留部35に移送する場合にはR点を経由した一方向への搬送が行われる。
第2の一時保留部31は、後述するように入金取込部4から入金された第3の金種に係る第3の紙幣(例えば五千円紙幣)を堆積、収納すると共に、収納した第3の紙幣を釣銭として払い出す場合には、収納した全ての第3の紙幣を搬送経路5を経由して第1の紙幣収納部20に一括移送し、出金保留部35への移送作業は第1の紙幣収納部20が実施する。第2の一時保留部31から第1の紙幣収納部20への一括移送に際しては、紙幣束をR点を通過させた直後に一旦停止させてから逆送することにより、第1の紙幣収納部20に移送する。
本発明の特徴は、終業時における紙幣回収作業において作業者が所定の回収スイッチを操作することにより、制御手段40が、第1の紙幣収納部20内の一万円紙幣を一枚ずつ分離しつつ連続的に搬送経路5に送出して搬送機構10によって高速搬送することにより第1の一時保留部30に所定枚数(例えば、15枚)堆積させた後で、一時保留部内の15枚の一万円紙幣束を第2の紙幣収納部25内に束のままで一括搬送する動作を繰り返すことにより、第1の紙幣収納部20内に収容された全ての一万円紙幣を第2の紙幣収納部25に移送するようにした構成にある。第1の一時保留部30に送り込まれる紙幣の枚数は、搬送経路等の適所に配置した通紙センサによって検知された通過情報にもとづいてカウントされる。
ここで五千円紙幣は、自動販売機等の分野においては、千円紙幣や一万円紙幣に比べてその使用頻度が極端に低い。従って、許容枚数が紙幣収納部より少ない20枚程度の一時保留部であっても五千円紙幣の保管手段としては十分に機能し得る。
第2の一時保留部31に集積された第3の紙幣としての五千円紙幣を釣銭等として出金保留部35に送出する際に、制御手段40は、第2の一時保留部31内に集積された全ての五千円紙幣(例えば、5枚)を一括送出(束搬送)して第1の紙幣収納部20内に収納して一万円紙幣上に堆積させてから、第1の紙幣収納部20内の五千円紙幣を一枚だけ搬送経路5を介して出金保留部35に移送する。なお、第2の一時保留部31内の五千円紙幣束を第1の紙幣収納部20内に移送する際には、紙幣束がR点を超えるまで搬送してから一旦停止させ、その後逆送することにより、第1の紙幣収納部に一括収納する。
終業時に全紙幣を第2の紙幣収納部25に回収する際には、第2の一時保留部31に収納された五千円紙幣(束)を搬送経路に送出し、R点以降において逆送させて第2の紙幣収納部25に収納する。
第2の一時保留部31内に収納可能な枚数に達した後に五千円紙幣が投入されてきた場合には、余剰紙幣については例えば第1の紙幣収納部20に収納すればよい。
この実施形態に係る紙幣処理装置1は、図1に示した実施形態の構成に、更に回収紙幣専用カセットを追加した点において、図1の紙幣処理装置と異なっている。
回収紙幣専用カセット50は、紙幣の繰出し機能を有しておらず、受入れのみを行う簡素な構造となっており、還流式紙幣処理装置に対して着脱可能である。なお、回収紙幣専用カセット50は回収処理時に全ての金種の紙幣を収納するための収納容量を備える。
運用時の動作は、前述の実施形態と同様であり、終業時の回収動作として全紙幣を収集する先が回収紙幣専用カセット50となる点が異なる。
また、五千円紙幣に加えて二千円紙幣も取扱可能とするためには、第2の一時保留部と同様のものを一つ追加すればよい。
Claims (1)
- 金種の異なる紙幣を複数枚一括して、或いは一枚ずつ受入れ可能な入金取込部と、該入金取込部から受け入れられた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路と、該搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成する搬送機構と、該搬送経路と接続されて第1の金種に係る第1の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第1の紙幣収納部と、該搬送経路と接続されて第2の金種に係る第2の紙幣を出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の第2の紙幣収納部と、該搬送経路を経由して搬送されてきた紙幣を一枚ずつ受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して該搬送経路に送出する第1及び第2の一時保留部と、紙幣の回収時に前記第1及び第2の紙幣収納部内の全紙幣を収容する回収紙幣専用カセットと、紙幣を前記搬送経路から受け入れて装置外へ払い出す出金保留部と、これらを制御する制御手段と、を備えた還流式紙幣処理装置であって、
前記制御手段は、前記入金取込部から第3の金種に係る第3の紙幣が投入された場合に、前記第2の一時保留部に収納し、紙幣回収時に前記制御手段は、前記第1の紙幣収納部、及び第2の紙幣収納部内の各紙幣を一枚ずつ送出して前記一時保留部に所定枚数堆積させた後で、該一時保留部内の紙幣束を前記回収紙幣専用カセットに一括搬送する動作を繰り返すことにより、前記第1及び第2の紙幣収納部内に収容された全ての紙幣を前記回収紙幣専用カセットに移送すると共に、第2の一時保留部内の紙幣を一括して搬送経路に送出して前記回収紙幣専用カセットに移送することを特徴とする還流式紙幣処理装置。
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