JP5097939B2 - 還流式紙幣処理装置 - Google Patents

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本発明は例えば貨幣を入出金する機能を備えた各種自動販売機、入出金装置、両替機等の貨幣取扱装置に装備される紙幣処理装置の改良に関し、詳細には金種別に紙幣を収容する還流式紙幣収納部を複数備えた還流式紙幣処理装置において、終業時等に全紙幣を一つの紙幣収納部等に回収する作業を迅速化するための技術に関するものである。特に本発明は装置構成のシンプル化及び小型化を図りながらも、一万円、千円紙幣等に比して使用枚数が少ない五千円、二千円等を釣銭として還流して払出すことができる還流式紙幣処理装置に関するものである。
投入された紙幣を受け入れる入金機能や、釣り銭や払出し金として紙幣を払い出す出金機能を備えた紙幣処理装置は各種自動販売機、入出金装置、両替機等に装備されており、この紙幣処理装置には始業時に準備した紙幣、或いは稼働中に投入された紙幣を金種別に保管するための紙幣収納部が装備されている。
この種の紙幣処理装置において、終業時等に装置本体内に残った全ての紙幣を回収する際に、金種別の紙幣収納部内に夫々収容された紙幣束を機外に個別に取り出すとすれば、全ての紙幣収納部をカセット式に構成して機外に出入れ自在にする必要があるが、このように構成すると紙幣収納部の大型化を招くばかりでなく、回収作業が繁雑化、長時間化する。
上記の如き不具合に対処するために、従来例えば千円紙幣、五千円紙幣、及び一万円紙幣を取り扱う還流式紙幣処理装置において、各紙幣の金種毎に対応する還流式紙幣収納部を備え、且つ、紙幣の補充・回収のための紙幣アクセスを行う機能を千円紙幣収納部に担わせたものがある。
なお、還流式の紙幣収納部とは、始業時に予め収納しておいた紙幣のみならず、装置の稼働中に利用者が投入した紙幣を一旦収納する一方で、この紙幣を釣銭等とするために外部へ繰り出す(排出する)機能を備えたタイプの紙幣収納部を指称する。また、還流式の紙幣収納部にはループ方式とスイッチバック方式がある。ループ方式は紙幣の入口(受入れ方向)と出口(繰り出し方向)を異ならせた方式であり、スイッチバック方式とは同じ出入り口から紙幣の受け入れと繰り出しを行う方式である。
図2は従来のスイッチバック方式の還流式紙幣処理装置の構成を示している。
この紙幣処理装置101は、還流式の紙幣処理機構102と、この紙幣処理機構を内部に収容する外装体103と、から概略構成されている。
紙幣処理機構102は、金種の異なる紙幣を複数枚一括して、又は一枚ずつ受入れ可能な入金取込部104と、入金取込部104から受け入れられた紙幣を装置内に搬送する搬送経路105と、搬送経路105に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するローラ、ベルト、分岐ゲート、モータ、ソレノイド等から成る搬送機構110と、入金取込部104の直下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置115と、搬送経路105と接続されて低額主位紙幣(例えば、千円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の低額主位紙幣収納部120と、搬送経路105と接続されて高額主位紙幣(例えば、一万円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の高額主位紙幣収納部121と、搬送経路105と接続されて補助紙幣(例えば、五千円紙幣)を出入れ自在に収容する還流式の補助紙幣収納部122と、紙幣を釣銭等として装置外に排出すると共に複数枚の紙幣を堆積させて保留する機能を有した出金保留部130と、これらを制御する制御手段140と、を備えている。
入金取込部104は一括投入された複数枚の紙幣を一枚ずつに分離しながら搬送経路105に送り出すための分離給送機構を備えている。
搬送機構110は、入金取込部104から一枚ずつ給送された紙幣を金種別に低額主位、高額主位、又は補助紙幣収納部120、121、122に送り込む仕分け搬送機能と、低額主位、高額主位、又は補助紙幣収納部120、121、122から夫々一枚ずつ送り出されてきた紙幣を出金保留部130に搬送する機能と、を併有している。搬送機構110は図示しないローラ、ベルト、第1、第2、及び第3の分岐ゲート111、112、113と、これらの可動部品を駆動するためのモータ、ソレノイド等から構成されており、制御手段140からの制御によって各ローラ、ベルト、分岐ゲートが駆動されることにより、所定のタイミングにて各搬送機能を実現することができる。
低額主位紙幣収納部120は、低額主位紙幣、例えば千円紙幣用であり、搬送経路105を経由して一旦受け入れた千円紙幣を搬送経路105に一枚ずつ送出する還流機能を有している。
高額主位紙幣収納部121は、高額主位紙幣、例えば一万円紙幣専用であり、搬送経路105を経由して一旦受け入れた一万円紙幣を搬送経路105に一枚ずつ送出する還流機能を有している。
補助紙幣収納部122は、補助紙幣、例えば五千円紙幣専用であり、搬送経路105を経由して一旦受け入れた五千円紙幣を搬送経路105に一枚ずつ送出する還流機能を有している。
なお、ここでいう主位紙幣と補助紙幣との区別は説明の便宜上の表現であり、例えば、千円紙幣、一万円紙幣の如く、1、10、100、・・・の節目に当たる額面の単一紙幣を主位紙幣と表したのに対して、二千円紙幣や五千円紙幣を補助紙幣と表す。また、低額主位紙幣収納部120は、機外に引出し可能なカセットタイプになっており、終業時には高額主位紙幣収納部121、及び補助紙幣収納部122に夫々収納された金種の紙幣を順次低額主位紙幣収納部120に送込んで集積することによって、低額主位紙幣収納部120を利用して全紙幣を一括して機外に取り出すことができる。
なお、この従来例に係る還流式紙幣処理装置は、可能な限り小型化することを前提とした構成となっているが、分岐ゲート111、112、113による方向転換部は小さな曲率のU字ターン等の湾曲搬送が困難であるため、分岐ゲートによる方向転換部は大きな曲率の湾曲経路とならざるを得ず、搬送経路105の横幅の減縮に限界がある。
この紙幣処理装置を備えた自動販売機の運用が終了した時点で、高額主位紙幣収納部121、及び補助紙幣収納部122に夫々収納されている各紙幣を低額主位紙幣収納部120に一枚ずつ自動的に移送した後、作業員は、低額主位紙幣収納部120を引き出して売上代金(全ての紙幣)を回収する。
高額主位紙幣収納部121から一万円紙幣を低額主位紙幣収納部120に移送、収納する動作としては、例えば、高額主位紙幣収納部121に収納されている紙幣束から一万円紙幣一枚を分離して搬送経路105に繰出し、搬送経路上のR点まで移動した後で、逆搬送して分岐ゲート113により経路を変えて低額主位紙幣収納部120に移送する。
なお、始業時には釣銭として使用する千円紙幣を所定枚数だけ低額主位紙幣収納部120にセットすれば足りるため、作業員による紙幣へのアクセス箇所を一箇所に制限してセキュリティ性を向上させると同時に、作業員の負担を軽減している。
しかしながら、上記従来のスイッチバック還流方式の紙幣処理装置にあっては、高額主位紙幣収納部121、補助紙幣収納部122から低額主位紙幣収納部120に回収作業を行う際に、一方の紙幣収納部から一枚ずつ搬送経路に送り出した各紙幣をR点で逆転搬送して移送処理する方式を採らざるをえないために、回収時間が長期化するという問題があった。
回収時間を短縮するための改善策としては図3に示したように低額主位紙幣収納部120の出入り口に接続した搬送経路分岐点にトリプル分岐ゲート114を設けることで、高額主位紙幣収納部121、補助紙幣収納部122の各収納紙幣を、一枚ずつ連続的に低額主位紙幣収納部120に移送することができる。
しかしながら、トリプル分岐ゲート114を実際に組み込む場合、紙幣の湾曲搬送にはかなり大きな曲率が必要であり、且つ、極めて複雑、且つ大型の搬送機構となるため、還流式紙幣処理装置の大型化、高コスト化が避けられなかった。
特開2002−260059には、金種別の紙幣収納部と、大容量の補充・回収紙幣収納部と、を備え、終業時には各紙幣収納部内の全紙幣を補充・回収紙幣収納部内に一枚ずつ送り込むことによって、補充・回収紙幣収納部から全紙幣を取り出すことができるようにした紙幣出金機が開示されている。
しかし、この従来例にあっては、各紙幣収納部に収納された多量の紙幣を一枚ずつ補充・回収紙幣収納部に移送する作業が必要となるため、回収作業に長時間を要するという問題がある。また、複数の紙幣収納部とは別個に大型の補充・回収紙幣収納部を装置内に配置する必要があるために、紙幣収納、搬送のための機構が複雑化するばかりでなく、装置が大型化するという欠点があった。また、紙幣の入口と出口を別々に備える金種別紙幣収納部を用いたループ方式の還流式紙幣処理装置であるため、複雑な搬送経路を有した大型の還流式紙幣処理装置となっている。
各種紙幣処理装置に対する小型化の要請が高まる中で、このような大型化をもたらす構成は採用することが困難である。
特開2002−260059公報
以上のようにスイッチバック式の紙幣収納部を複数備えた紙幣処理装置にあっては、終業時に各紙幣収納部内に残留した全紙幣を一つの還流式紙幣収納部に一枚ずつ移送する必要があるため、搬送機構が大型化するという問題と、回収時間の短縮化に限界があるという問題があった。回収時間を短縮化するためにトリプル分岐ゲート等の複雑、大型の搬送機構を付加すると更に大型化、高コスト化するという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、金種別に複数の還流式紙幣収納部を備えた紙幣処理装置において、還流式紙幣収納部の他に格別の回収専用カセットを装備することによる装置の大型化、高コスト化を招くことなく、小型化を積極的に図りつつ、終業時等において最短時間で各還流式紙幣収納部から搬送されてくる異金種紙幣を一箇所に回収することができる還流式紙幣処理装置を提供することを目的としている。
更に、本発明は五千円紙幣、二千円紙幣のように紙幣処理装置に投入される頻度が比較的低い紙幣(補助紙幣)を、釣銭として還流して払い出すことができ、且つ小型化に適したシンプルな構造の還流式紙幣処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、金種の異なる紙幣を一枚ずつ受入れ可能であると共に紙幣束として一括払出しが可能な入出金部と、該入出金部から一枚ずつ受け入れた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路と、該搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成する搬送機構と、搬送経路に導入されてきた紙幣の金種を識別する識別部と、該搬送経路から搬送されてきた紙幣を単一の入出金口から出入れ自在に収容するスイッチバック還流式紙幣収納部と、該スイッチバック還流式紙幣収納部の下流側に配置され且つ該搬送経路から搬送されてきた紙幣を還流不能に収納する回収紙幣収納部と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部の上流側に配置され且つ該搬送経路から搬送されてきた紙幣を一枚ずつ単一の入出金口から受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して該搬送経路に送出する一時保留部と、これらを制御する制御手段と、を備えた還流式紙幣処理装置であって、前記搬送経路は、前記入出金部と前記回収紙幣収納部の受入れ口とを直結する主搬送経路と、該主搬送経路上に設けた各分岐部から夫々分岐して前記一時保留部の入出金口、及び前記スイッチバック還流式紙幣収納部の入出金口に夫々延びる各分岐搬送経路と、を備え、前記搬送機構は、一又は複数の駆動源と、該駆動源からの駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部への分岐部と前記回収紙幣収納部の受入れ口との間に配置された境界部を挟んで上流側と下流側に夫々分離配置され且つ夫々個別駆動可能な上流側搬送ユニット、及び下流側搬送ユニットと、を備え、前記主搬送経路は、前記一時保留部への分岐部と前記スイッチバック還流式紙幣収納部への分岐部との間に最大サイズ紙幣を保留可能な上流側保留経路と、前記境界部よりも下流側に補助紙幣を保留可能な下流側保留経路と、を備え、前記制御手段は、前記上流側搬送ユニット、及び下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を選択的に断接するものであり、前記上流側搬送ユニットを駆動して前記入出金部から入金された紙幣を前記上流側保留経路内に搬送した後で、前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して決済条件確定まで一時保留し、決済条件確定後に前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することを特徴とする。
高額主位紙幣、低額主位紙幣、補助紙幣を投入可能な紙幣処理装置においては、釣銭としての使用頻度が高い低額主位紙幣(例えば、千円紙幣)については還流式紙幣収納部に収納する一方で、釣銭として使用することのない高額主位紙幣(例えば、一万円紙幣)は受入れ専門の回収紙幣収納部に収納することにより、構成を簡略化する一方で、終業時における紙幣回収に際して使用する一時保留部(分離機能等を有しない簡略構成)を使用頻度の少ない補助紙幣(例えば、五千円、二千円紙幣)用の収納部として兼用するようにしている。このため、五千円、二千円紙幣等を釣銭として払出し可能でありながら、装置全体をシンプル化して小型化することが可能となる。
更に、一時保留部を利用した紙幣束単位の回収動作を実施できる構成としたことにより、搬送経路、及び搬送機構をシンプル化、小型化することができるため、装置全体形状を更に小型化することができる。上流側搬送ユニットにより駆動される主搬送経路の一部と、下流側搬送ユニットにより駆動される主搬送経路の他の一部とを設け、夫々を個別に駆動できるようにしたので、主搬送経路の一部を投入された紙幣のエスクロ用に利用したり、主搬送経路の他の一部を補助紙幣の退避用として利用することが可能となる。このような構成を採ることにより、一時保留部に、五千円紙幣などの補助紙幣を収納する機能と、釣銭払出し時等に低額主位紙幣を集積して束状態にするための出金保留部としての機能を併有させた場合に、補助紙幣を一時保留部から主搬送経路の一部に退避させることができる。
更に、このような構成を採ることにより、一時保留部に、五千円紙幣などの補助紙幣を収納する機能と、釣銭払出し時等に低額主位紙幣を集積して束状態にするための出金保留部としての機能を併有させた場合には、出金保留する際に補助紙幣が収納されていると出金保留ができないので、予め一時保留部内の五千円紙幣を主搬送経路の一部に退避させて保留しておき、一時保留部を利用した他の紙幣の出金保留、払出しが完了した時点で五千円紙幣を一時保留部に戻すことができる。特に、格別な出金保留部を設けることなく、主搬送経路の一部を補助紙幣の保留経路として利用することにより、全体の構成をシンプル化することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記搬送機構は、単一の前記駆動源と、該駆動源からの駆動力を前記上流側搬送ユニット及び前記下流側搬送ユニットに伝達する駆動力伝達機構と、該下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を断接する駆動力断接手段と、を備えていることを特徴とする。
上流側、及び下流側搬送ユニットを夫々個別の駆動源によって駆動するように構成してもよいが、一つの駆動源によって駆動する場合には、各搬送ユニットへの駆動力伝達を選択的に行うことができるように駆動力断接手段を配置する。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記制御手段は、前記上流側搬送ユニットを駆動して前記入出金部から入金された紙幣を前記上流側保留経路内に搬送した後で、前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して決済条件確定まで一時保留し、決済条件確定後に前記上流側搬送ユニット、及び前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、低額主位紙幣は、前記スイッチバック還流式紙幣収納部に移送し、高額主位紙幣は、前記回収紙幣収納部に移送し、補助紙幣は、前記一時保留部に枚数を管理しつつ移送することを特徴とする。
新たに入金された紙幣は、取引に関する決済条件が確定するまでは、リジェクトされる可能性が残されており、当該紙幣を収納部に格納できないので、上流側保留経路内に保留(エスクロ)する。
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3において、前記一時保留部内に補助紙幣が収納されていない状態において、前記入出金部に一枚の補助紙幣が入金されたことにより、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を複数枚前記入出金部に払い出す場合に、前記制御手段は、前記補助紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって前記上流側及び下流側搬送ユニットへ駆動力を伝達することにより、該補助紙幣を前記下流側保留経路に移送して保留し、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して集積してから前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に一括して束搬送した後で、前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、前記下流側保留経路内の前記補助紙幣を枚数を管理しつつ前記一時保留部に移送することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項において、前記一時保留部内に補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣、又は補助紙幣が入金されたことにより、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を複数枚前記入出金部に払い出す場合に、前記制御手段は、前記高額主位紙幣、又は前記補助紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣、又は該補助紙幣を前記回収紙幣収納部、又は前記一時保留部に移送し、前記一時保留部内の全ての補助紙幣を前記上流側及び下流側搬送ユニットを駆動して前記下流側保留経路内に移送した後で前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して一時保留し、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して集積してから前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に一括して束搬送した後で、前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、前記下流側保留経路内の前記補助紙幣を枚数を管理しつつ前記一時保留部に移送することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか一項において、前記一時保留部内に一枚の補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣が入金されたことにより、前記補助紙幣と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣とを前記入出金部に払い出す場合に、前記制御手段は、前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣を前記回収紙幣収納部に移送し、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して前記補助紙幣上に集積してから前記入出金部に一括して束搬送することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項において、前記一時保留部内に二枚の補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣が入金されたことにより、一枚の前記補助紙幣と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣とを前記入出金部に払い出す場合に、前記制御手段は、前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣を前記回収紙幣収納部に移送し、前記一時保留部内の全ての補助紙幣を一括して前記スイッチバック還流式紙幣収納部に束搬送し、該スイッチバック還流式紙幣収納部内から一枚の補助紙幣を前記上流側保留経路内に移送してから前記下流側保留経路に移送して保留し、次いで前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の補助紙幣と低額主位紙幣を前記一時保留部内に順次移送して集積してから該一時保留部から該補助紙幣と低額主位紙幣の紙幣束を一括して前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に移送することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか一項において、前記一時保留部に二枚の補助紙幣が収納されている状態において一枚の高額主位紙幣と一枚の低額主位紙幣が入金されたことによって、一枚の補助紙幣を前記入出金部に払い出す場合に、前記制御手段は、入金された前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留し、続いて前記低額主位紙幣が入金されてきた時に前記高額主位紙幣をスイッチバック還流式紙幣収納部へ移送して仮収納し、前記低額主位紙幣を前記上流側保留経路に保留し決算条件の確定後に前記スイッチバック還流式収納部へ移送して収納し、次いで、一時保留部内に収納されている二枚の補助紙幣を前記スイッチバック還流式紙幣収納部へ束搬送してから、該スイッチバック還流式紙幣収納部から1枚の補助紙幣を繰出し入出金部へ導き、前記スイッチバック還流式紙幣収納部から続けて補助紙幣と低額主位紙幣を順次一枚ずつ一時保留部へ移送して収納し、前記スイッチバック還流式紙幣収納部から最上位の仮収納した一万円紙幣を繰出し、前記上流側保留経路にて折返して逆転搬送し、前記回収紙幣収納部へ収納し、前記一時保留部内の補助紙幣と低額主位紙幣を前記スイッチバック還流式紙幣収納部へ束搬送し、該スイッチバック還流式紙幣収納部から最上位の補助紙幣前記一時保留部へ移送して収納することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか一項において、紙幣回収時に前記制御手段は、前記一時保留部内の補助紙幣を全て前記回収紙幣収納部に一括搬送し、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を一枚ずつ送出して前記一時保留部に所定枚数堆積させた後で、該一時保留部内の低額主位紙幣束を前記回収紙幣収納部に一括搬送する動作を繰り返すことにより、前記補助紙幣、及び前記低額主位紙幣を全て前記回収紙幣収納部に移送することを特徴とする。
回収作業時の処理動作として、移送すべき収納紙幣を一時保留部へ一枚ずつ送り込んで所定枚数集積させ、集積した紙幣束を束のまま同じ搬送経路上に繰出して、所望の還流式紙幣収納部へ束搬送することで紙幣の移送処理にかかる時間を短縮する。つまり、還流式紙幣収納部より構成が簡素な一時保留部を用いて束搬送を実現している。このような紙幣移送動作をするために一時保留部が備えられているが、運用時には、この一時保留部を補助紙幣(例えば、五千円紙幣)の格納部として機能させ、釣銭として補助紙幣を扱えるようにする。
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか一項において、前記回収紙幣収納部は、前記装置本体に対して着脱可能なカセットであることを特徴とする。
回収紙幣収納部として兼用する回収紙幣収納部を装置本体に対して着脱、出入れ可能なカセットとすることにより、回収動作を効率化することができる。
本発明によれば、金種別のスイッチバック還流式紙幣収納部を併設した構成において、一方の紙幣収納部に収納されている紙幣を他方の紙幣収納部に回収するに際し、集積機能だけを有したシンプルな構成の一時保留部を介在させた一括搬送を実施するようにしたので、装置の大型化を招くことなく、移送処理時間を短縮することができる。即ち、還流式紙幣収納部よりも構成が簡素な一時保留部を用い、移送すべき収納紙幣を一時保留部へ一枚ずつ連続的に送り込んで所定枚数集積させ、集積した紙幣束をそのまま同じ搬送経路上に繰出して、回収紙幣収納部を兼ねた紙幣収納部に束搬送するようにしたので、紙幣の移送処理にかかる時間を短縮することができる。
金種別に収納されている紙幣を一箇所に集めるに際し、還流式紙幣処理装置の大型化を伴うことなく移送処理時間を短縮する(束搬送する)ことを前提としたものにおいて、簡易な構成にて、釣銭として5千円紙幣と千円紙幣を繰出すことを可能にする。
また、紙幣回収時に使用する一時保留部を利用して、五千円等の補助紙幣を収納することにより、補助紙幣の受け入れ、収納、及び払出し手順を単純化することができる。一時保留部は還流機能を有しない単純構造であるため、装置の大型化、複雑化を招くことがない。なお、低額主位紙幣(例えば、千円紙幣)は釣銭として多数必要となるため、還流式の紙幣収納部に収納し、高額主位紙幣(例えば、一万円紙幣)は投入される枚数は比較的多いが、釣銭としては使用されないため、回収紙幣収納部に収納し回収時を除き収納部外へ払い出すことはない。
例えば、千円紙幣二枚、五千円紙幣一枚が投入されてきた場合には、千円紙幣二枚は還流式紙幣収納部に収納し、五千円は一時保留部に収納する。次の利用者が一万円を投入して三千円の買い物をしたために七千円の釣り銭を出したい場合には、紙幣収納部から千円紙幣を二枚払出し、一時保留部から五千円紙幣を一枚払い出す。
還流機能を有した紙幣収納部は、複雑な収納機構、分離機構が必要となり、装置の大型化につながるため、還流式紙幣収納部の増設は可能な限り避けたい。本発明では、単純構造の一時保留部を紙幣回収用、及び補助紙幣収納用として兼用することにより、全体の装置構成をシンプル化、小型化しつつ、補助紙幣の処理を迅速化することができる。
本発明の搬送経路は、分岐点数、ゲート数が少ないため搬送系がシンプルとなり、装置全体の小型化に適している。
入出金部は紙幣受け入れ時には一枚のみを受入れ、払出時には紙幣束を一括して払い出す機構を備えたシンプル構造とすることができる。
また、一時保留部に、五千円紙幣などの補助紙幣を収納する機能と、釣銭払出し時等に紙幣を集積して束状態にするための出金保留部としての機能を併有させた場合、出金保留する際に補助紙幣が収納されていると出金保留ができないので、予め一時保留部内の五千円紙幣を主搬送経路の一部にエスクロしておき、出金保留、払出処理が終了した後で当該五千円紙幣を一時保留部に格納させる。このため、格別の出金保留部を設ける必要がなくなる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置の概略構成図である。
紙幣処理装置1は、例えば食券等の自動販売機(券売機)に装備されて紙幣の受け入れ、釣銭等としての紙幣の払い出しの処理を行う機能を有する。
紙幣処理装置1は、還流式の紙幣処理機構2と、この紙幣処理機構2を内部に収容する外装体3と、から概略構成されている。
紙幣処理機構2は、金種の異なる紙幣を一枚ずつ受入れ可能であると共に紙幣束として一括払出しが可能な入出金部4と、入出金部4から一枚ずつ受け入れた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路5と、搬送経路5に沿って紙幣を搬送するための駆動力を生成、伝達するための駆動源(モータ)、ゲート11、ソレノイド、ローラ12、ベルト等から成る搬送機構10と、入出金部4の下流側の搬送経路上に配置されて一枚ずつ給送されてくる紙幣の真贋、金種を判定する識別装置15と、搬送経路5と接続されて低額主位紙幣(例えば、千円紙幣)を単一の入出金口20aから出入れ自在に収容するスイッチバック還流式の紙幣収納部20と、還流式紙幣収納部20の下流側に配置されて搬送経路5から搬送されてきた高額主位紙幣(例えば、一万円紙幣)を入金口25aから受け入れて収容する非還流式の回収紙幣収納部25と、還流式紙幣収納部20の上流側に配置され且つ搬送経路5を経由して搬送されてきた紙幣を一枚ずつ単一の入出金口30aから受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して搬送経路に送出する一時保留部30と、これらを制御する制御手段40と、を備えている。
入出金部4は、外部から一枚ずつ入金された紙幣を受入れて搬送経路5に送り出す機能と、搬送経路5を経由して一括搬送されてきた紙幣束を一括して機外に払い出すための給送機構を備えている。
搬送経路5、及び搬送機構10は、入出金部4から一枚ずつ給送された紙幣を所定のルートにて搬送することにより金種別に紙幣収納部20、回収紙幣収納部25に送り込む仕分け搬送機能と、紙幣収納部20から一枚ずつ繰り出されてきた紙幣を一時保留部30内に順次搬送して堆積させる機能と、一時保留部30内の紙幣、又は紙幣束を釣銭等として入出金部4に移送する払出し機能と、一時保留部30から繰り出されてきた紙幣束を回収紙幣収納部25に一括して送り込む一括搬送機能と、を併有している。更に、入出金部4から補助紙幣(例えば、5千円、又は二千円)が給送されてきた場合には、この紙幣を一時保留部30に搬送する機能をも有している。
制御手段40からの制御によって各ゲート11、各ローラ12、ローラ12に巻掛けられて紙幣を搬送するベルトを切り替え駆動することにより、所定のタイミングにて上記の各搬送機能、払出機能を実現することができる。
搬送経路5は、入出金部4と最下流側に位置する回収紙幣収納部25の受入れ口25aとを直結する主搬送経路50と、主搬送経路50上に設けた各分岐部51a、52aから夫々分岐して一時保留部30の入出金口30a、還流式紙幣収納部20の入出金口20aに夫々延びる各分岐搬送経路51、52と、を備えている。
また、主搬送経路50は、一時保留部30への分岐部51aとスイッチバック還流式紙幣収納部20への分岐部52aとの間に最大サイズ紙幣を保留可能な上流側保留経路56を備え、境界部55よりも下流側に補助紙幣を保留可能な下流側保留経路57を備えている。各保留経路56、57は、主搬送経路の一部を利用するに過ぎないため、格別の機構部材等を付加する必要がない。
搬送機構10は、図示しない一又は複数の駆動源(モータ)と、駆動源からの駆動力を伝達する図示しない駆動力伝達機構(ゲート11、ローラ12、ベルト、ソレノイド等)と、還流式紙幣収納部20への分岐部52aと回収紙幣収納部25の受入れ口25aとの間に配置された境界部55を挟んだ上流側と下流側に夫々対応して配置され且つ夫々個別駆動可能な上流側搬送ユニット61、及び下流側搬送ユニット62と、備えている。
境界部55よりも上流側に配置された上流側搬送ユニット61と対応する主搬送経路50の特定領域は、最大サイズ紙幣を保留可能な長さを有した上流側保留経路56となっている。入金された各金種の紙幣を上流側保留経路56内に保留した状態で決済(自動販売機の利用者との取引)が完了した際には、上流側搬送ユニット61を下流方向へ駆動して還流式紙幣収納部20、或いは回収紙幣収納部25へ移送したり、上流方向へ逆転駆動して一時保留部30や入出金部4に移送する。このように本実施形態において上流側保留経路56を設けた理由は、新たに入金された紙幣は、利用者と自動販売機との間の決済(取引)が完了するまではリジェクトされる可能性が残っているために、直ちに収納部に移送せずに一旦預かり扱いとし、決済が終了した段階で決済内容(取引成立、或いは不成立)に応じた処理を実施するためである。
下流側搬送ユニット62は、境界部55より下流側の主搬送経路50、即ち下流側保留経路57に対応しており、制御手段40が、下流側搬送ユニット62に対する駆動源からの駆動力を伝達したり遮断することにより、下流側保留経路57内に補助紙幣を保留したり、保留した補助紙幣を上流方向へ逆送開始することができる。逆搬送により補助紙幣は一時保留部30に移送される。
下流側保留経路57を設けた理由は、一時保留部30を補助紙幣の収納部として利用すると共に、釣銭として払い出す低額主位紙幣を一時保留部に集積させてから入出金部に束搬送する構成を採用する場合に下流側保留経路57を設けないとすれば、還流式紙幣収納部20内の低額主位紙幣を一時保留部30に移送して集積する作業を実施できなくなるからである。即ち、本発明では、後述するように還流式紙幣収納部20から複数枚の低額主位紙幣を払出す場合には、一枚ずつ一時保留部30に移送して紙幣束としてから、一時保留部30より当該紙幣束を一括して入出金部4に移送する手順を採るため、釣銭払出時には一時保留部30を空の状態にしておく必要があり、その為に釣銭払出し手順に先だって一時保留部30内の補助紙幣を下流側保留経路57内に一時的に退避させておく必要がある。
制御手段40は、駆動源から上流側、又は下流側搬送ユニット61、62への駆動力を所定のタイミングにて選択的に伝達したり、遮断することにより、上流側、及び下流側搬送ユニット61、62を共に連動駆動したり、或いは上流側搬送ユニット61のみを駆動する。このような制御の前提として、制御手段40は、還流式紙幣収納部20部内の紙幣の金種と堆積順序と、一時保留部30内の紙幣の金種と堆積順序と、各保留経路56、57内における紙幣の有無、金種を記憶している。
なお、上流側搬送ユニット61と下流側搬送ユニット62とを夫々個別に制御するための構成としては、各搬送ユニット61、62に夫々対応させた別個の駆動源(モータ)を用いることも可能であるが、単一の駆動源によって両搬送ユニットを駆動する場合には、駆動源からの駆動力を各搬送ユニットへ伝達する経路に駆動力断接手段(電磁クラッチ)70を配置することによって、単一の駆動源によって各搬送ユニットを同時に駆動したり、或いは上流側搬送駆動ユニット61だけを駆動することが可能となる。本実施形態では、境界部55に駆動力断接手段70を配置し、制御手段40が駆動力断接手段70を所定のタイミングにて断接させることによって、両搬送ユニット61、62を同時に駆動させたり、上流側搬送ユニット61だけを駆動させるように制御する場合について主として説明する。
還流式紙幣収納部20は、低額主位紙幣、例えば千円紙幣用であり、入出金口20aを一つ有し、搬送経路5を経由して受け入れた千円紙幣を搬送経路5に一枚ずつ送出する還流機能を有している。紙幣束の一括受入れも可能である。なお、必要に応じて千円紙幣以外の紙幣の受け入れ、繰出しも行う。
一時保留部30は、還流式紙幣収納部20から一枚ずつ繰り出されてきた紙幣を一枚ずつ受入れて所定の許容枚数だけ積層させる集積機能と、積層された紙幣束を一括して搬送経路5に繰り出す一括送出機能を有している。入出金口30aは一つである。一時保留部30に保留された補助紙幣を入出金部4に移送する場合には、分岐部51aに設けたゲート11を切り替えて主搬送経路50を一旦下方へ進ませて上流側保留経路61内に移送してから上方へ逆送する。本発明では、入出金部4の構成をシンプル化するために、装置外へ釣銭紙幣を払出す直前に紙幣を積層して一時保留する出金保留機能を入出金部4に持たせない代わりに、一時保留部30にその機能を持たせるようにしている。
表1は、還流式紙幣収納部と一時保留部と回収紙幣収納部の各機能を比較した一例である。
[表1]
Figure 0005097939
本発明では、例えば回収紙幣収納部25をカセット式に着脱自在(出入れ自在を含む)に構成し、回収紙幣収納部25と対面する外装体3の壁部に設けた図示しないドアを開放することによって回収紙幣収納部25を取出し、収納された紙幣を回収できるように構成されている。
本発明の特徴は、終業時における紙幣回収作業において作業者が所定の回収スイッチを操作することにより、制御手段40が、還流式紙幣収納部20内の千円紙幣を一枚ずつ分離しつつ連続的に搬送経路5に送出して搬送機構10によって高速搬送することにより一時保留部30に所定枚数(例えば、15枚)堆積させた後で、一時保留部内の15枚の千円紙幣束を回収紙幣収納部25内に束のままで一括搬送する動作を繰り返すことにより、還流式紙幣収納部20内に収容された全ての千円紙幣を、一万円紙幣を収納している回収紙幣収納部25に移送するようにした構成にある。一時保留部30に送り込まれる紙幣の枚数は、搬送経路等の適所に配置した通紙センサによって検知された通過情報にもとづいてカウントされる。一時保留部30に収納されていた補助紙幣としての五千円紙幣(或いは二千円紙幣)も回収時には一括して回収紙幣収納部に移送される。
この実施形態では、高額主位紙幣(一万円紙幣)を収容する回収紙幣収納部25を紙幣回収のための手段として兼用しており、終業時に回収紙幣収納部25内に低額主位紙幣(千円紙幣)、及び補助紙幣(五千円紙幣、二千円紙幣)を全て回収することにより、一括した回収作業を実施することが可能となる。従って、回収紙幣収納部25は装置本体内から着脱可能、或いは出入れ可能なカセットタイプに構成することが好ましい。利用者によって投入される紙幣として使用頻度が比較的高い一万円紙幣を収容する回収紙幣収納部25を紙幣回収用の収納部として兼用し、且つ千円紙幣のように使用頻度の高い紙幣を一時保留部30に連続移送して所定枚数から成る紙幣束としてから、この紙幣束を一括して回収紙幣収納部25に移送することにより、回収時間を短縮することが可能となる。
一時保留部30は一枚ずつ高速搬送されてくる紙幣を積層状態で集積させると共に、積層した紙幣束を一括して搬送経路5に送り出すための構成を有しており、搬送経路に送出された紙幣束は回収紙幣収納部25内に一括して送り込まれるため回収効率を大幅に高めることができる。しかも、専用の回収紙幣収納部を別設するわけではないから装置の全体サイズを小さくすることができる。
この実施形態に係る紙幣処理装置によれば、還流式紙幣収納部20と一時保留部30を併設した構成において、還流式紙幣収納部20に収納されている低額主位紙幣を回収紙幣収納部25に回収するに際し、一時保留部30を介在させた一括搬送を実施するようにしたので、装置の大型化を招くことなく移送処理時間を短縮することができる。即ち、還流式紙幣収納部20よりも構成が簡素な一時保留部30を用い、移送すべき収納紙幣を一時保留部へ一枚ずつ送り込んで所定枚数集積させ、集積した紙幣束をそのまま同じ搬送経路上に繰出して回収紙幣収納部25に束搬送するようにしたので、紙幣の移送処理にかかる時間を短縮することができる。
次に、入出金部4に対して補助紙幣、例えば五千円紙幣が一枚投入されてきた場合には、主搬送経路50を経て一時保留部30に搬送して保留しておく。その後新たに投入された五千円紙幣についても同様に一時保留部30に搬送して堆積しておく。五千円紙幣が一時保留部30に収納されている枚数は常にカウントされており、制御手段40が把握している。投入された五千円紙幣の枚数が一時保留部30の許容枚数を超えている場合には、例えば一万円紙幣を収納する回収紙幣収納部25に余剰紙幣を移送して保管する等の措置を講じることができる。
一時保留部30に収納された補助紙幣としての五千円紙幣を釣銭等として入出金部4に送出する際に、制御手段40は、一時保留部30内に五千円紙幣が一枚だけある場合にはこの一枚の五千円紙幣を上側の分岐部51aの下流側にある上流側保留経路56まで搬送してから上向きに逆送させて入出金部4に移送する。
釣銭として複数枚の千円紙幣を紙幣束として払い出す必要がある場合には、還流式紙幣収納部20から必要枚数の千円紙幣を一時保留部30に一枚ずつ移送して積層し紙幣束としてから、この紙幣束を一括して上流側保留経路56に一旦移送してから逆送させることにより入出金部4に移送する。
釣銭として一枚の五千円紙幣と、一枚又は複数枚の千円紙幣を紙幣束にして払出す必要がある場合には、還流式紙幣収納部20から必要枚数分の千円紙幣を一枚ずつ一時保留部30に移送して既存の一枚の五千円紙幣上に積層してから、この紙幣束を一括して上流側保留経路56に一旦移送してから逆送させることにより入出金部4に移送する。
次に、本発明の紙幣処理装置における代表的な動作パターンについて詳細に説明する。
まず、本発明においては新たに入金された紙幣は金種に関係なく、上流側保留経路56に移送されて決済条件が確定するまで保留(エスクロ:escrow)され、決済がなされた後(取引終了後)に夫々の収納部に移送される。即ち、入金された紙幣が高額主位紙幣である場合には上流側保留経路56よりも下流側の回収紙幣収納部25へ移送し、低額主位紙幣である場合には下流側の還流式紙幣収納部20に収納し、補助紙幣である場合には上流側の一時保留部30に移送する。なお、各紙幣が上流側保留部56内にエスクロされた状態にある時に、リジェクト要求があれば当該紙幣を入出金部4から顧客に返却する。なお、エスクロ状態中は分岐ゲート11がルート切替して引き抜き防止を施している。
次に、状態1に示すように、還流式紙幣収納部20内に予め釣銭用として20枚の千円紙幣が収納されており、且つ回収紙幣収納部25、及び一時保留部30が空の状態において、入出金部4から五千円紙幣が入金され、釣銭として千円紙幣四枚を払い出す必要がある場合の動作手順について説明する。
[状態1]
Figure 0005097939
まず、入金された一枚の五千円紙幣を上流側保留経路56に移送してエスクロを行う。決済条件が確定して四千円を釣銭として払い出す必要が生じた場合に、エスクロ状態にあった五千円紙幣を下流側保留経路57に移送して一時的に退避させることにより、空の状態にある一時保留部30と上流側保留経路56とを使用した千円紙幣の払出し処理が可能となる。即ち、還流式紙幣収納部20から千円紙幣を1枚ずつ一時保留部30へ送って4枚集積させ、この千円紙幣束を一括して上流側保留経路56に搬送してから逆転搬送し、入出金部4へ導く。なお、このとき、駆動力断接手段70を断とすることによって下流側搬送ユニット62には駆動力が伝達されていないので下流側保留経路57内の五千円紙幣は停止しているが、釣銭紙幣の払い出し終了後に下流側搬送ユニット62を駆動開始して下流側保留経路57内の五千円紙幣を逆搬送し、分岐部51aを経由して一時保留部30へ導いて格納する。この結果、各収納部の収納状態は、状態2のようになる。この際、制御手段40は、五千円紙幣1枚が一時保留部30に格納されていることを記憶する。
[状態2]
Figure 0005097939
次に、状態1の収納状態において、一万円紙幣が入金され、決済がなされたことによって六千円の釣銭を払い出す必要が生じた場合について説明する。
まず、状態1にて運用開始後、一万円紙幣が1枚入金されると上流側保留経路56でのエスクロを行い、決済条件が確定した後で、両搬送ユニット61、62を駆動して一万円紙幣を回収紙幣収納部25へ移送し格納する。次いで、還流式紙幣収納部20から六枚の千円紙幣を1枚ずつ一時保留部30へ送って集積させ、一時保留部30から六枚の千円紙幣を一括繰り出しにより束搬送して上流側保留経路56に移送してから逆転搬送して入出金部4へ導く。その結果、状態3のような収納状態となる。
[状態3]
Figure 0005097939
次に、状態4に示すように還流式紙幣収納部20内に20枚の千円紙幣が収納されていると共に、一時保留部30に一枚の五千円紙幣が収納されている状態において、新たに五千円紙幣が入金されて四千円の釣銭を払い出す必要が生じた場合について説明する。
[状態4]
Figure 0005097939
まず、入金された五千円紙幣は上流側保留経路56に移送されてエスクロされ、決済条件確定後に逆搬送されて分岐部51aを経て一時保留部30に移送される。この結果、一時保留部30内には二枚の五千円紙幣が堆積する。次いで、一時保留部30内の二枚の五千円紙幣を下流側搬送経路57まで移送して退避させる。この退避状態において、還流式収納部20から四枚の千円紙幣を1枚ずつ一時保留部30へ送って集積させ、その後一時保留部から4枚の千円紙幣を上流側保留経路56に一括で束搬送してから逆転搬送し、入出金部4へ導く。このとき、駆動力断接手段70によって下流側搬送ユニット62への駆動力が遮断されているため、下流側保留経路57内の二枚の五千円紙幣束は停止している。その後、駆動力断接手段70を接続状態に切り替えてから下流側搬送ユニット62を逆転させて下流側保留経路57内の五千円紙幣束を上流側へ向けて逆搬送し、分岐部51aを経て一時保留部30へ導いて格納する(状態5)。なお、このとき制御手段40は、五千円紙幣2枚が一時保留部30に格納されていることを記憶する。
[状態5]
Figure 0005097939
次に、状態4に示した収納状態において、一万円紙幣が入金され、取引がなされた結果として六千円を釣銭として払い出す必要が生じた場合について説明する。
入金された一枚の一万円紙幣は、上流側保留経路56へ移送されてエスクロされる。決済条件が確定した後で、当該一万円紙幣を回収紙幣収納部25へ移送して格納する。
制御手段40は一時保留部30内に五千円紙幣が1枚格納されていることを知っているので、釣銭としては、還流式収納部20から千円紙幣を1枚だけ一時保留部30へ送って集積させ、一時保留部から五千円紙幣1枚と千円紙幣1枚を一括で上流側保留経路56に束搬送してから逆転搬送し、入出金部4へ導く(状態6)。
[状態6]
Figure 0005097939
次に、状態7の収納状態において一万円紙幣が一枚入金され、取引の結果として六千円の釣銭を払い出す必要が生じた場合について説明する。
[状態7]
Figure 0005097939
状態7において、一万円紙幣が1枚入金されると上流側保留経路56に移送されてエスクロされ、決済条件の確定後、一万円紙幣を回収紙幣収納部25へ移送して格納する(状態8)。
[状態8]
Figure 0005097939
次いで、一時保留部30内の二枚の五千円紙幣を全て還流式紙幣収納部20へ束搬送して既堆積の千円紙幣上に堆積させてから、還流式紙幣収納部20から最上位の1枚の五千円紙幣を繰出し、上流側保留経路56にて折返して下流側に逆転搬送して下流側保留経路57まで移送する。更に還流式紙幣収納部20から、上位二枚の紙幣(制御手段は、五千円紙幣と千円紙幣であることを知っている)を順次繰出して一時保留部30へ送って集積してから、一時保留部30から五千円紙幣1枚と千円紙幣1枚を一括で上流側保留経路56に束搬送してから逆転搬送し、入出金部4へ導く。
その後、駆動力断接手段70を接続状態に切り替えてから下流側搬送ユニット62を逆転させて下流側保留経路57内の五千円紙幣束を上流側へ向けて逆搬送し、分岐部51aを経て一時保留部30へ導いて格納する(状態9)。
[状態9]
Figure 0005097939
次に、状態7からの運用において、一万円紙幣と千円紙幣が一枚ずつ入金され、取引の結果として五千円の釣銭を払い出す必要が生じた場合について説明する。
状態7において、一万円紙幣が一枚入金されると上流側保留経路56に移送されてエルクロされる。続いて千円紙幣が入金されると、先の一万円紙幣は還流式紙幣収納部20へ仮収納し、入金された千円紙幣を上流側保留経路56でエスクロする。このように紙幣が連続挿入された場合には、先に入金された一万円紙幣をリジェクト要求に対応可能とすべく還流式紙幣収納部20へ仮収納しておく。制御手段40は還流式紙幣収納部内の金種と堆積順序を記憶している。決済条件の確定後、上流側保留経路56内の千円紙幣を還流式紙幣収納部20へ収納する。次に、一時保留部30内に収納されていた二枚の五千円紙幣を還流式紙幣収納部20へ束搬送して既堆積の千円紙幣の最上位に堆積する。
その後、還流式紙幣収納部20内の最上位から1枚の五千円紙幣を繰出し、入出金部4へ導く。制御手段40は、釣銭が五千円紙幣1枚で良いことを知っているため、一時保留部30への釣銭紙幣収集(出金部動作)を省くことができる。その後、還流式紙幣収納部20から続けて2枚(五千円紙幣と千円紙幣)を順次繰出して一時保留部30へ送り格納することにより還流式紙幣収納部20内の最上位に仮収納されていた一万円紙幣を位置させる。
更に還流式紙幣収納部20から最上位の1枚(仮収納した一万円紙幣)を繰出し、上流側保留経路56にて折返して下流側へ逆転搬送し、回収紙幣収納部25へ格納する。一時保留部30内の全ての紙幣(五千円紙幣と千円紙幣の2枚)を還流式紙幣収納部20へ束搬送する。還流式紙幣収納部20から、最上位の紙幣1枚(五千円紙幣)を繰出し、一時保留部30へ格納する(状態10)。
[状態10]
Figure 0005097939
次に、状態11からの運用において、五千円紙幣が一枚入金され、釣銭が不要な場合には、入金された五千円紙幣を上流側保留経路56に移送してエスクロを行う。決済条件の確定後、エスクロ状態にあった五千円紙幣を回収紙幣収納部25へ格納する。即ち、この例においては、釣銭用に還流させる五千円紙幣の備蓄は2枚までとしているため、これを超える五千円紙幣の入金があったときは、もはや還流させないものとして回収紙幣収納部25へ収納してしまう(状態12)。
[状態11]
Figure 0005097939
[状態12]
Figure 0005097939
次に、状態12からの運用において、還流式紙幣収納部20及び一時保留部30内の全ての紙幣を回収紙幣収納部25へ回収する手順に付いて説明する。
まず、状態12において回収命令を受けることにより作業員による回収モード操作がなされると、一時保留部30から回収紙幣収納部25へ全ての五千円紙幣(二枚)を束で送る。次いで、還流式紙幣収納部20から1枚ずつ千円紙幣を15枚だけ一時保留部30へ送り、一時保留部30から回収紙幣収納部25へ全ての千円紙幣(15枚)を束で送る。この手順を繰り返すことにより全ての千円紙幣を回収紙幣収納部25へ回収完了する。具体的には、15の千円紙幣の束搬送を6回実施した後、残りの10枚を束搬送することにより還流式紙幣収納部20が空になる(状態13)。この際、作業員は、回収紙幣収納部のみにアクセスすればよいので、回収作業性を高めることができる。
[状態13]
Figure 0005097939
回収終了時には回収紙幣収納部25内には、一万円紙幣束上に、五千円紙幣束、千円紙幣(束)が積層された状態となっているが、異金種紙幣が無秩序に混在することなく所定の順序で積層されているので、回収紙幣収納部25から取り出した後、金種別に紙幣を分離する際の作業性が著しく悪化することはない。回収に際して、回収紙幣収納部内の紙幣は、異金種が順序立てて積層された状態にあるか否かをディスプレイ等に表示することにより作業者に報知することが好ましい。
以上のように本発明においては、一時保留部30に五千円紙幣などの補助紙幣を収納する機能と、釣銭払出し時等に紙幣を集積して束状態にするための出金保留部としての機能を併有させたので、千円紙幣等を出金保留する際に補助紙幣が収納されていると出金保留ができないことがあるので、予め一時保留部内の五千円紙幣を主搬送経路の一部に退避させておき、出金保留、払出処理が終了した後で当該五千円紙幣を一時保留部に格納させる。
また、本発明の装置構成によれば、ゲート11の数が2個と大幅に減少できるため、搬送系がシンプル化し、装置全体を小型化するのに適した構造を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置の概略構成図である。 従来のスイッチバック方式の還流式紙幣処理装置の構成を示す説明図である。 他の従来例の構成説明図である。
符号の説明
1…紙幣処理装置、2…紙幣処理機構、3…外装体、4…入出金部、5…搬送経路、10…搬送機構、11…ゲート、15…識別装置、20…還流式紙幣収納部、25…回収紙幣収納部、30…一時保留部、40…制御手段、50…主搬送経路、51、52…分岐搬送経路、51a、52a…分岐部、55…境界部、56…上流側保留経路、57…下流側保留経路、61…上流側搬送ユニット、62…下流側搬送ユニット、70…駆動力断接手段

Claims (10)

  1. 金種の異なる紙幣を一枚ずつ受入れ可能であると共に紙幣束として一括払出しが可能な入出金部と、該入出金部から一枚ずつ受け入れた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路と、該搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成する搬送機構と、搬送経路に導入されてきた紙幣の金種を識別する識別部と、該搬送経路から搬送されてきた紙幣を単一の入出金口から出入れ自在に収容するスイッチバック還流式紙幣収納部と、該搬送経路から搬送されてきた紙幣を還流不能に収納する回収紙幣収納部と、該搬送経路から搬送されてきた紙幣を一枚ずつ単一の入出金口から受け入れて堆積すると共に堆積した紙幣束を一括して該搬送経路に送出する一時保留部と、これらを制御する制御手段と、を備えた還流式紙幣処理装置であって、
    前記搬送経路は、前記入出金部と前記回収紙幣収納部の受入れ口とを直結する主搬送経路と、該主搬送経路上に設けた各分岐部から夫々分岐して前記一時保留部の入出金口、及び前記スイッチバック還流式紙幣収納部の入出金口に夫々延びる各分岐搬送経路と、を備え、
    前記搬送機構は、一又は複数の駆動源と、該駆動源からの駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部への分岐部と前記回収紙幣収納部の受入れ口との間に配置された境界部を挟んで上流側と下流側に夫々分離配置され且つ夫々個別駆動可能な上流側搬送ユニット、及び下流側搬送ユニットと、を備え、
    前記主搬送経路は、前記一時保留部への分岐部と前記スイッチバック還流式紙幣収納部への分岐部との間に最大サイズ紙幣を保留可能な上流側保留経路と、前記境界部よりも下流側に補助紙幣を保留可能な下流側保留経路と、を備え
    前記制御手段は、前記上流側搬送ユニット、及び下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を選択的に断接するものであり、前記上流側搬送ユニットを駆動して前記入出金部から入金された紙幣を前記上流側保留経路内に搬送した後で、前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して決済条件確定まで一時保留し、決済条件確定後に前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することを特徴とする還流式紙幣処理装置。
  2. 前記搬送機構は、単一の前記駆動源と、該駆動源からの駆動力を前記上流側搬送ユニット及び前記下流側搬送ユニットに伝達する駆動力伝達機構と、該下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を断接する駆動力断接手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の還流式紙幣処理装置。
  3. 前記制御手段は、前記上流側搬送ユニットを駆動して前記入出金部から入金された紙幣を前記上流側保留経路内に搬送した後で、前記上流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して決済条件確定まで一時保留し、決済条件確定後に前記上流側搬送ユニット、及び前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、
    前記紙幣が低額主位紙幣である場合は、前記スイッチバック還流式紙幣収納部に移送し、
    高額主位紙幣である場合は、前記回収紙幣収納部に移送し、
    補助紙幣である場合は、前記一時保留部に枚数を管理しつつ移送することを特徴とする請求項1、又は2に記載の還流式紙幣処理装置。
  4. 前記一時保留部内に補助紙幣が収納されていない状態において、前記入出金部に一枚の補助紙幣が入金されたことにより、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を複数枚前記入出金部に払い出す場合に、
    前記制御手段は、前記補助紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって前記上流側及び下流側搬送ユニットへ駆動力を伝達することにより、該補助紙幣を前記下流側保留経路に移送して保留し、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して集積してから前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に一括して束搬送した後で、前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、前記下流側保留経路内の前記補助紙幣を枚数を管理しつつ前記一時保留部に移送することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の還流式紙幣処理装置。
  5. 前記一時保留部内に補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣、又は補助紙幣が入金されたことにより、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を複数枚前記入出金部に払い出す場合に、
    前記制御手段は、前記高額主位紙幣、又は前記補助紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣、又は該補助紙幣を前記回収紙幣収納部、又は前記一時保留部に移送し、
    前記一時保留部内の全ての補助紙幣を前記上流側及び下流側搬送ユニットを駆動して前記下流側保留経路内に移送した後で前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を遮断して一時保留し、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して集積してから前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に一括して束搬送した後で、前記下流側搬送ユニットへの駆動力伝達を開始することにより、前記下流側保留経路内の前記補助紙幣を枚数を管理しつつ前記一時保留部に移送することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
  6. 前記一時保留部内に一枚の補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣が入金されたことにより、前記補助紙幣と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣とを前記入出金部に払い出す場合に、
    前記制御手段は、前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣を前記回収紙幣収納部に移送し、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を順次前記一時保留部内に移送して前記補助紙幣上に集積してから前記入出金部に一括して束搬送することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
  7. 前記一時保留部内に二枚の補助紙幣が収納された状態において、前記入出金部に高額主位紙幣が入金されたことにより、一枚の前記補助紙幣と、前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣とを前記入出金部に払い出す場合に、
    前記制御手段は、前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留した状態での前記決済条件確定によって該高額主位紙幣を前記回収紙幣収納部に移送し、
    前記一時保留部内の全ての補助紙幣を一括して前記スイッチバック還流式紙幣収納部に束搬送し、該スイッチバック還流式紙幣収納部内から一枚の補助紙幣を前記上流側保留経路内に移送してから前記下流側保留経路に移送して保留し、次いで前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の補助紙幣と低額主位紙幣を前記一時保留部内に順次移送して集積してから該一時保留部から該補助紙幣と低額主位紙幣の紙幣束を一括して前記上流側保留経路を経由して前記入出金部に移送することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
  8. 前記一時保留部に二枚の補助紙幣が収納されている状態において一枚の高額主位紙幣と一枚の低額主位紙幣が入金されたことによって、一枚の補助紙幣を前記入出金部に払い出す場合に、
    前記制御手段は、入金された前記高額主位紙幣を前記上流側保留経路内に保留し、
    続いて前記低額主位紙幣が入金されてきた時に前記高額主位紙幣をスイッチバック還流式紙幣収納部へ移送して仮収納し、前記低額主位紙幣を前記上流側保留経路に保留し決算条件の確定後に前記スイッチバック還流式収納部へ移送して収納し、
    次いで、一時保留部内に収納されている二枚の補助紙幣を前記スイッチバック還流式紙幣収納部へ束搬送してから、該スイッチバック還流式紙幣収納部から1枚の補助紙幣を繰出し入出金部へ導き、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部から続けて補助紙幣と低額主位紙幣を順次一枚ずつ一時保留部へ移送して収納し、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部から最上位の仮収納した一万円紙幣を繰出し、前記上流側保留経路にて折返して逆転搬送し、前記回収紙幣収納部へ収納し、
    前記一時保留部内の補助紙幣と低額主位紙幣を前記スイッチバック還流式紙幣収納部へ束搬送し、該スイッチバック還流式紙幣収納部から最上位の補助紙幣前記一時保留部へ移送して収納することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
  9. 紙幣回収時に前記制御手段は、前記一時保留部内の補助紙幣を全て前記回収紙幣収納部に一括搬送し、
    前記スイッチバック還流式紙幣収納部内の低額主位紙幣を一枚ずつ送出して前記一時保留部に所定枚数堆積させた後で、該一時保留部内の低額主位紙幣束を前記回収紙幣収納部に一括搬送する動作を繰り返すことにより、前記補助紙幣、及び前記低額主位紙幣を全て前記回収紙幣収納部に移送することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
  10. 前記回収紙幣収納部は、前記装置本体に対して着脱可能なカセットであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の還流式紙幣処理装置。
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