JP5014480B2 - 帯電部材及び電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、帯電部材及び電子写真装置に関するものである。
接触帯電方式に用いる帯電ローラの弾性体層に体積固有抵抗率で1×103〜1×107Ω・cm程度の導電性を付与するために、カーボンブラック等の導電粒子を配合した電子導電系の導電性ゴム組成物を用いて弾性体層を形成することが知られている。しかしながら、このようにして形成されてなる弾性体層は、特許文献1に記載されているように、その電気抵抗が導電性粒子の分散状態に強く依存し、ローラ内での抵抗ムラが大きいという課題を有している。また、このような弾性体層を備えた帯電部材は、直流電圧の継続的な印加により弾性体層中の導電粒子の凝集が促進され、電気抵抗が徐々に変化する場合がある。そして、特許文献1は、導電性被覆層の形成用材料に導電性粒子をビーズミルを用いて撹拌し、分散させる工程を採用することで、上記の課題の解決を図ったことを開示している。
特開2007−292298号公報
本発明者らは、上記特許文献1に係る発明が上記の課題解決に有効であることを確認した。しかしながら、帯電部材の使用に伴う電気抵抗の変動のより一層の抑制のためには更なる技術開発が必要であるとの認識を得た。そこで、本発明者らは、材料面から上記の課題を解決すべく検討を行った。その結果、特定の末端変性基を有するポリブタジエンをバインダーポリマーに用いることが上記の課題を解決する上で極めて有効であることを知見した。
そこで、本発明の目的は、電気抵抗が均一で、長期の継続的な通電によっても電気抵抗が変化しにくく、その結果として帯電性能の経時的な変化が少ない帯電部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真装置の提供にある。
本発明によれば、導電性支持体と弾性体層とを有している帯電部材であって、該弾性体層は、加硫ゴムを含み、
該加硫ゴムは、ブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーポリマーと、導電性粒子としてのカーボンブラックとを含有する組成物の加硫物であって、
該ブタジエン骨格を有する重合体は、分子末端が下記一般式(1)又は一般式(2)で表される原子団により変性処理されている帯電部材が提供される:
Figure 0005014480
(一般式(1)中、XはOH又はSHを表し、R11乃至R15及びR21乃至R25は、それぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表す。)
Figure 0005014480
(一般式(2)中、YはOH又はSHを表し、R3乃至R5は水素原子又は1価の置換基を表す。)。
また、本発明によれば、上記の帯電部材と、該帯電部材に接触して配置されている電子写真感光体とを有している電子写真装置が提供される。
本発明によれば、長期間通電状態を維持した場合においても、電気抵抗が変化しにくく、その結果として帯電性能の経時的な変化がより良く抑制されたムラの発生が生じ難い帯電部材を得ることができる。
また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を安定して提供することのできる電子写真装置を得ることができる。
帯電ローラの構成を示す模式的断面図である。 帯電部材を有する電子写真装置の概略構成を示す図である。 帯電ローラの電気抵抗を測定する装置の概略構成を示す図である。 ベンゾフェノン由来の末端変性基へのカチオンの生成機構の説明図である。 ラクタム由来の末端変性基へのカチオンの生成機構の説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図2には、帯電部材を有する電子写真装置の概略構成を示す。図2に示す被帯電体としてのドラム形状の電子写真感光体21は、アルミニウムなどの導電性を有する支持体21bと、支持体21b上に形成した感光層21aを基本構成層とし、軸21cを中心に図2において時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
帯電ローラ1は、電子写真感光体21に接触配置されており、電子写真感光体21を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)するものである。帯電ローラ1は、芯金11と、芯金11上に形成した弾性体層12とからなり、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21に押圧されており、電子写真感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。
電源23に接続された摺擦電源23aにより、芯金11に所定の直流(DC)バイアスが印加されることで、電子写真感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ1により周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。
その静電潜像は、次いで、現像手段25によりトナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から電子写真感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された紙などの転写材27に順次転写されていく。図2に示す転写手段26は電源22に接続された転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。
表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、転写部への再搬送手段へ搬送される。
像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて、電子写真感光体21上の残留電荷が除去(除電)される。この前露光手段28には、公知の手段を利用することができ、例えばLEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプ及び蛍光ランプなどを好適に例示することができる。
除電された電子写真感光体21の周面は、クリーニング手段29により転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
帯電ローラ1は、面移動駆動される電子写真感光体21に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体21の面移動方向に順方向又は逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
また、露光は、原稿からの反射光や透過光、あるいは原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、又は液晶シャッターアレイを駆動したりすることなどにより行われる。
本発明の帯電部材を使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンター、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
本発明の帯電部材は、帯電ローラ以外に、現像部材、転写部材、除電部材や、給紙ローラなどの搬送部材としても使用可能である。
本発明に係る帯電部材は、導電性支持体上に半導電性の弾性体層を積載形成した構成を有している。図1に、本発明の帯電部材の一例として、帯電ローラ1の模式図を示す。帯電ローラ1は、芯金11とその外周に設けられた弾性体層12とから構成されており、必要によって、弾性体層12の外側に表面層13を設けることもできる。
弾性体層は加硫ゴムを含む。該加硫ゴムは、ブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーポリマーと、該バインダーポリマーに分散させた、導電性粒子としてのカーボンブラックとを含む組成物の加硫物である。
そして、ブタジエン骨格を有する重合体は、その分子末端が一般式(1)又は一般式(2)で表される原子団により変性処理されている。
Figure 0005014480
上記一般式(1)中、XはOH又はSHを表し、R11乃至R15及びR21乃至R25は、それぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表す。
Figure 0005014480
上記一般式(2)中、YはOH又はSHを表し、R3乃至R5は水素原子又は1価の置換基を表す。
特に、本発明に係るブタジエン骨格を有する重合体は、分子末端が下記式(5)または下記式(6)で示される原子団により変性処理されているものが好適に用いられる。
Figure 0005014480
(式(5)中、R51〜R54は各々独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。XはOH又はSHを示す)、
Figure 0005014480
(式(6)中、YはOHまたはSHを示し、R61は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を示し、nは2〜6の整数を示す)。
上記式(1)または(2)、あるいは上記式(5)または(6)で示される原子団によって末端が変性処理されたブタジエン骨格を有する重合体は、カーボンブラックとの混練時の熱等により、その末端官能基部分でカチオン(イミニウムイオン)を生じさせると考えられる(図4および図5参照)。生じたカチオンは、カーボンブラック表面のキノン、ヒドロキシル、エステル、カルボキシル、エーテル等の官能基と結合することによって、カーボンブラックとバインダーポリマーとの結合を形成すると推定される。そして、この結合により、カーボンブラックのバインダーポリマー中での分散状態が安定となる。このことは、「ゴム協会誌」第62巻、第10号(1989年)の第635頁の段落「4.1」にも記載されている通りである。
従って、本発明に係る弾性層中においては、カーボンブラックが架橋されたゴム中に高度に分散された状態にあり、かつ、架橋されたゴムとカーボンブラックとが化学的に結合しているものと考えられる。その結果、弾性体層中におけるカーボンブラックの位置が、帯電部材を長期に亘って通電状態を維持した場合であっても移動しにくく、そのため、局所的な電気抵抗のムラが生じにくくなっているものと考えられる。
ブタジエン骨格を有し、末端変性処理された重合体の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(a)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属触媒を用いてブタジエン骨格を有する重合体を合成した後、重合溶液中に変性処理剤を添加して反応させる方法。
(b)予め重合させたブタジエン骨格を有する重合体を溶剤に溶解した後、溶解した重合体にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を付加させ、変性処理剤を添加して反応させる方法。
ブタジエン骨格を有する重合体の合成と、その末端変性処理を連続して実施できることから、前者の方法がより好ましい。
末端変性処理される重合体としては、1,3−ブタジエンモノマーを重合させたポリブタジエン、あるいは1,3−ブタジエンと、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどの共重合体が挙げられる。このような重合体は、主鎖にブタジエン骨格を有することから硫黄加硫が可能であり、加硫生産性の高い帯電部材が得られる。好ましい重合体としては、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体である。
一般式(1)の原子団を重合体末端に導入する末端変性剤の具体例を以下に挙げる。
4−アミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−4’−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラアミノベンゾフェノン、2,4,6−トリアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラ(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等及びこれらの対応のチオベンゾフェノン。
中でも、下記式(1−1)〜(1−3)で示されるビスアミノベンゾフェノン類が好適に用いられる。長時間の通電によっても電気抵抗の変化のより一層少ない帯電部材を得ることができるためである。
Figure 0005014480
Figure 0005014480
Figure 0005014480
一般式(2)の原子団を重合体末端に導入する末端変性剤の具体例を以下に挙げる。
アミド類又はイミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、アミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルアミノアセトアミド、N’,N’−ジメチルアミノアセトアミド、N’−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルアミノアセトアミド、N−フェニルジアセトアミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、4−ピリジルアミド、N,N−ジメチル−4−ピリジルアミド、ベンズアミド、N−エチルベンズアミド、N−フェニルベンズアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、p−アミノベンズアミド、N’,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミド、N’−(p−メチルアミノ)ベンズアミド、N’−(p−エチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’−(p−エチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−p−アミノベンズアミド、N−メチルジベンズアミド、N−アセチル−N−2−ナフチルベンズアミド、コハク酸アミド、マレイン酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルマレイン酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド、コハクイミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、オキサミド、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミド、N,N−ジメチル−p−アミノ−ベンザルアセトアミド、ニコチンアミド、N,N−ジエチルニコチンアミド、1,2−シクロヘキサンジカルボキシミド、N−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシミド、カルバミン酸メチル、N−メチル−カルボミン酸メチル、N,N−ジエチル−カルバミン酸エチル、カルバニル酸エチル、p−N,N−ジエチルアミノ−カルバニル酸エチルなど。
尿素類(例えば、尿素、N,N’−ジメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素など)。
アニリド類(例えば、ホルムアニリド、N−メチルアセトアニリド、アミノアセトアニリド、ベンズアニリド、p,p’−ジ(N,N−ジエチル)アミノベンズアニリドなど)。
ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタム、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、2−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、2−キノロン、N−メチル−2−キノロン、2−インドリノン、N−メチル−2−インドリノンなど)。
イソシアヌル酸類(例えば、イソシアヌル酸、N,N’,N”−トリメチルイソシアヌル酸など)。
また、上記各種化合物に対応する含硫黄化合物が挙げられる。
本発明においては、下記式(2−1)〜(2−9)で示されるラクタム類が末端変性剤として特に好適に用いられる。長時間の通電によっても電気抵抗の変化のより一層少ない帯電部材を得ることができるためである。その理由を本発明者等は以下のように考えている。すなわち、ラクタム由来の末端変性基を有するバインダーポリマーをカーボンブラックと共に混練したときに、当該末端変性部分にカチオンが生じることは図5に示した通りである。ここで、末端変性剤として下記式(2−1)〜(2−9)に挙げたラクタムを用いた場合、窒素原子に炭素数1〜3の低級アルキル基やフェニル基が結合していることにより、当該末端官能基にはカチオンがより生じ易くなっているものと考えられる。このことが、長時間の通電によっても電気抵抗の変化のより一層少ない帯電部材を得ることができる1つの理由であると推定される。
Figure 0005014480
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弾性体層の形成に用いる組成物は、上記の末端変性処理された重合体以外に、他のバインダーポリマーをブレンドして含有させてもよい。他のバインダーポリマーと用いるものの例を以下に挙げる。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンホモポリマー(CHC)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(CHR)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(CHR−AGE)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水添物(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)等。
弾性体層の形成に用いる組成物は、弾性体層を導電性とするために、導電性粒子としてカーボンブラックを含む。カーボンブラックの配合量は、弾性体層の電気抵抗が所望の値になるよう、適宜調整すればよい。よって、カーボンブラックの配合量の目安としては、バインダーポリマー100質量部に対して30質量部以上70質量部以下が好ましい。上記の配合量の範囲内であれば、帯電部材に長期間に亘って通電したときの電気抵抗の変動をより確実に抑制することができる。また、弾性体層の硬度が硬くなりすぎることを抑制できる。
カーボンブラックの種類については、特に限定されるものではない。具体的には、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。これらのカーボンブラックの表面には官能基が存在し、それらの官能基と一般式(1)又は(2)で表される分子末端官能基とが結合することによって、バインダーポリマーとカーボンブラックとの結合が形成される。
カーボンブラックの表面官能基の数は、DIN ISO 787/9に準拠して測定されるカーボンブラックのpHと、DIN 53552に準じて測定されるカーボンブラックの揮発分が指標になる。カーボンブラックのpHが小さいほど、また揮発分が大きいほど、カーボンブラックの表面官能基が多い。カーボンブラックの表面官能基があまりに多い場合には、カーボン表面のバイダーポリマーとの結合点が多くなりすぎて、結果的に弾性体層の電気抵抗が大きくなる場合がある。また、カーボンブラックの表面官能基数が少なすぎる場合、バインダーポリマーとカーボンブラックの結合が弱く、通電劣化の抑制効果が不充分となる場合がある。よって、カーボンブラックのpHは3〜9が好ましく、5〜8がより好ましい。またカーボンブラックの揮発分は、0.3〜5.0wt%が好ましく、0.5〜2.0wt%がより好ましい。
さらに、弾性体層を形成に用いる組成物には、必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、可塑剤、分散剤等を添加することができる。
これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。
弾性体層の形成方法としては、以下の方法が挙げられる。
<方法1>
本発明に係るバインダーポリマーと、導電性粒子としてのカーボンブラックとを含む組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これを加硫缶で加硫し、加硫ゴムからなるチューブを得る。当該チューブに芯金を圧入し、また、加硫ゴムからなるチューブの表面を研磨して所望の外径とする。
<方法2>
本発明に係るバインダーポリマーと、導電性粒子としてのカーボンブラックとを含む組成物をクロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の金型内部に固定、加熱して、芯金の周囲に加硫ゴムからなる弾性体層を形成する。
弾性体層の表面に、トナーや紙粉等の汚れが付着し難いように、弾性体層の表面に紫外線や電子線を照射することによって表面改質を施してもよい。また、弾性体層の表面に更に表面層を形成してもよい。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味している。また、試薬等は特に指定のない場合、市販の高純度品を用いた。
(末端変性重合体の合成)
<末端変性SBR−1>
内容積15リットルのステンレス製オートクレーブ重合反応器を乾燥窒素で置換した後、200gのスチレンと、800gの1,3−ブタジエンと、7000gのシクロヘキサンとを仕込んだ。次に、18ミリモル(マグネシウム基準)のジブチルマグネシウム/トリエチルアルミニウム錯体(モル比Mg/Al=5)と、4.0ミリモルの第3級ブトキシバリウムとを添加し、内容物を攪拌しながら60℃で5時間重合を行った。重合反応終了後、末端変性剤として10ミリモルの4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(式(3))を添加し、1時間反応を行った。反応終了後、5mlのメタノールを添加して反応を停止させ、重合体溶液を2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)の1.5質量%メタノール溶液中に取り出し、生成重合体を凝固させた。その後、60℃で24時間減圧乾燥することで、末端変性されたスチレン−ブタジエン共重合体(末端変性SBR−1)を得た。
Figure 0005014480
<末端変性SBR−2>
末端変性剤として、N−メチル−ε−カプロラクタム(式(4))を使用した以外は、末端変性SBR−1と同様の方法で、末端変性SBR−2を得た。
Figure 0005014480
<未変性SBR>
末端変性剤を未添加とした以外は、末端変性SBR−1と同様の方法で、未変性SBRを得た。
<末端変性BR−1>
内容積15リットルのステンレス製オートクレーブ重合反応器を乾燥窒素で置換した後、1000gの1,3−ブタジエンと、7000gのシクロヘキサンとを仕込んだ。次に、23ミリモル(マグネシウム基準)のジブチルマグネシウム/トリエチルアルミニウム錯体(モル比Mg/Al=5)と、5.6ミリモルの第3級ブトキシバリウムとを添加し、内容物を攪拌しながら60℃で5時間重合を行った。重合反応終了後、末端変性剤として10ミリモルのN−メチル−ε−カプロラクタム(式(4))を添加し、1時間反応を行った。反応終了後、5mlのメタノールを添加して反応を停止させ、重合体溶液を2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)の1.5質量%メタノール溶液中に取り出し、生成重合体を凝固させた。その後、60℃で24時間減圧乾燥することで、末端変性されたブタジエン重合体(末端変性BR−1)を得た。
<未変性BR>
末端変性剤を未添加とした以外は、末端変性BR−1と同様の方法で、未変性BRを得た。
<実施例1>
(未加硫ゴム組成物の調製)
下記の材料を3リットル加圧ニーダーにて、充填率65vol%、ブレード回転数30rpmで16分混合して未加硫ゴム組成物を得た。
Figure 0005014480
この未加硫ゴム組成物156部に対して、以下の材料をロール径12インチのオープンロールにて、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpm、ロール間隙2mmで20分混合することで、弾性体層用の未加硫ゴム組成物を得た。
Figure 0005014480
(帯電ローラAの作製)
得られた未加硫ゴム組成物をベント式ゴム押出機(φ45mmベント押出機、L/D=20、中田エンジニアリング社製)によってチューブ状に押出した。その後、加硫缶を用いた加圧水蒸気により160℃30分の一次加硫を行うことで、外径10mm、内径5.5mm、長さ250mmのゴムチューブを得た。次に、直径6mm×長さ252mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部232mmに導電性ホットメルト接着剤を塗布し、80℃で30分間乾燥した。この接着剤を塗布した芯金に、前述のゴムチューブを圧入し、熱風炉にて160℃で30時間の二次加硫と接着処理を行った。得られた複合体のゴム両端部を突っ切り、ゴム部分の長さが232mmの未研磨ローラを作製した。未研磨ローラのゴム部分を研磨機(商品名:LEO−600−F4−BME、水口製作所製)で研磨し、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の弾性体層を有するゴムローラを得た。得られたゴムローラの表面に紫外線照射による表面改質処理を実施した。表面処理は、254nmの波長の紫外線を積算光量が8500mJ/cm2になるように照射することによって行い、紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用いた。このようにして、帯電ローラAを作製した。
(電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定)
図3に、帯電ローラの電気抵抗を測定する装置の概略構成を示した。帯電ローラ1は、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状のアルミドラム41に圧接されており、アルミドラム41の回転駆動に伴って従動回転する。この状態で、帯電ローラ1の芯金部分11に、外部電源42を用いて直流電圧を印加し、アルミドラム41に直列に接続した基準抵抗43にかかる電圧を測定する。帯電ローラ1の電気抵抗は、測定された基準抵抗43の電圧から、回路に流れる電流値を求めることによって算出することができる。帯電ローラAの電気抵抗は、温度23℃/湿度50%R.H.(NNとも記載する)環境下で、図3の装置を使用して、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を2秒印加することで測定した。このときのアルミドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の抵抗値は100Ωであった。データのサンプリングは、電圧印加後1秒後から1秒間に周波数20Hzで行い、得られた電気抵抗の平均値を、帯電ローラAの抵抗値とした。また、測定された帯電ローラAの電気抵抗の最大値と最小値の比を、帯電ローラAの電気抵抗の周ムラとして算出した。さらに、上記の電気抵抗の測定を、温度15℃/湿度10%R.H.(LLとも記載する)環境下と、温度30℃/湿度80%R.H.(HHとも記載する)環境下でも行った。そして、LL環境下及びHH環境下での帯電ローラAの電気抵抗の比(LL/HH)を、帯電ローラAの電気抵抗の環境依存性として算出した。
また、帯電ローラAの通電劣化試験を行った。通電劣化試験は、図3の装置を使用して、前述した電気抵抗の測定と同様に、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を2秒印加して、初期の電気抵抗の測定を行った。このときのアルミドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の抵抗値は100Ωである。次に、アルミドラムを30rpmで回転させながら、芯金とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を10分間印加して、帯電ローラAを通電劣化させた。通電劣化後に、再度、初期の電気抵抗の測定と同様にして通電劣化後の帯電ローラAの電気抵抗の測定を行った。そして、通電劣化前の帯電ローラAの電気抵抗を通電劣化後の帯電ローラAの電気抵抗で除して100倍した値を、抵抗保持率(%)とした。これらの結果、帯電ローラAの初期ローラ抵抗値は6.7×104Ω、周ムラは1.5倍、環境依存性は1.1倍、通電劣化による抵抗保持率は70%であった。
(硬度の測定)
帯電ローラAの硬度の測定は、マイクロ硬度計MD−1型(商品名、高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%R.H.環境においてピークホールドモードで測定した。より詳しくは、帯電ローラAを金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて帯電ローラAが転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から帯電ローラAの中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取った。これを帯電ローラAのゴム端部から30〜40mmの位置の両端部及び中央部のそれぞれ周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、得られた測定値の平均値を弾性体層の硬度とした。その結果、帯電ローラAの硬度は70°であった。
(画像評価)
作製した帯電ローラA(抵抗測定、硬度測定を行った物とは別個体)を電子写真プロセスカートリッジに組み込み、この電子写真プロセスカートリッジをA4紙縦出力用の電子写真装置(商品名:LBP5050、キヤノン製)に組み込んで、画像評価を行った。
画像の出力は、15℃/10%R.H.環境下で行った。評価画像は、A4紙にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)とした。出力画像の評価は、1枚出力時(初期)のハーフトーン画像と、1%の印字濃度で2500枚プリント後(耐久後)に出力したハーフトーン画像の均一性を目視することによって行った。得られた初期と耐久後の画像から、帯電部材が高抵抗化することで発生する細かな横スジ状の画像不良(帯電横スジ)と、帯電部材の表面がトナー等で汚れることによって発生する縦スジ状の画像不良について、以下のランク付けにより評価した。
A:画像不良が全く出ていないもの。
B:上記の画像不良が極わずかに発生したもの。
C:上記の画像不良がわずかに発生したもの。
D:上記の画像不良がはっきりと発生したもの。
その結果、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価もランクAであった。
<実施例2>
バインダーポリマーを末端変性SBR−2とした以外は実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラBを作製した。得られた帯電ローラBについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラBの初期ローラ抵抗値は8.0×104Ω、周ムラは1.8倍、環境依存性は1.1倍、通電劣化による抵抗保持率は77%であり、硬度は72°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価もランクAであった。
<実施例3>
バインダーポリマーを末端変性BR−1とした以外は実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラCを作製した。得られた帯電ローラCについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラCの初期ローラ抵抗値は5.0×104Ω、周ムラは1.7倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は73%であり、硬度は68°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価もランクAであった。
<実施例4>
導電剤をカーボンブラック(商品名:トーカブラック#5500、東海カーボン社製、pH6.0、揮発分1.4wt%)とし、配合量をバインダーポリマー100部に対して28部とした以外は、実施例2と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラDを作製した。得られた帯電ローラDについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラDの初期ローラ抵抗値は1.3×105Ω、周ムラは1.9倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は55%であり、硬度は64°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像でランクA、耐久後画像でランクBであり、耐久後の縦スジ評価はランクAであった。
<実施例5>
カーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100部に対して30部とした以外は実施例4と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラEを作製した。得られた帯電ローラEについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラEの初期ローラ抵抗値は6.7×104Ω、周ムラは1.8倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は60%であり、硬度は66°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価もランクAであった。
<実施例6>
導電剤をカーボンブラック(商品名:トーカブラック#7270SB、東海カーボン社製、pH7.5、揮発分1.0wt%)とし、配合量をバインダーポリマー100部に対して70部とした以外は、実施例2と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラFを作製した。得られた帯電ローラFについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラFの初期ローラ抵抗値は2.5×104Ω、周ムラは1.4倍、環境依存性は1.1倍、通電劣化による抵抗保持率は78%であり、硬度は82°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価もランクAであった。
<実施例7>
カーボンブラックの配合量をバインダーポリマー100部に対して75部とした以外は実施例6と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラGを作製した。得られた帯電ローラGについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラGの初期ローラ抵抗値は1.7×104Ω、周ムラは1.5倍、環境依存性は1.1倍、通電劣化による抵抗保持率は79%であり、硬度は85°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクAであり、耐久後の縦スジ評価はランクBであった。
<実施例8>
導電剤をカーボンブラック(商品名:トーカブラック#3845、東海カーボン社製、pH10、揮発分0.4wt%)とし、配合量をバインダーポリマー100部に対して45部とした以外は、実施例2と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラHを作製した。得られた帯電ローラHについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラHの初期ローラ抵抗値は1.3×105Ω、周ムラは1.7倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は50%であり、硬度は65°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像でランクA、耐久後画像でランクBであり、耐久後の縦スジ評価はランクAであった。
<実施例9>
導電剤をカーボンブラック(商品名:Raven1255、コロンビヤンカーボン社製、pH2.5、揮発分2.7wt%)とし、配合量をバインダーポリマー100部に対して70部とした以外は、実施例2と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラIを作製した。得られた帯電ローラIについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラIの初期ローラ抵抗値は2.0×105Ω、周ムラは1.9倍、環境依存性は1.1倍、通電劣化による抵抗保持率は72%であり、硬度は83°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像及び耐久後画像ともにランクBであり、耐久後の縦スジ評価はランクAであった。
<比較例1>
バインダーポリマーを未変性SBRとし、導電剤をカーボンブラック(商品名:トーカブラック#7270SB、東海カーボン社製)とし、配合量をバインダーポリマー100部に対して45部とした以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラJを作製した。得られた帯電ローラJについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラJの初期ローラ抵抗値は1.3×105Ω、周ムラは2.3倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は35%であり、硬度は64°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像でランクA、耐久後画像でランクDであり、耐久後の縦スジ評価はランクAであった。
<比較例2>
バインダーポリマーを未変性BRとした以外は比較例1と同様にして、未加硫ゴム組成物を調製した。そして、得られた未加硫ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、帯電ローラKを作製した。得られた帯電ローラKについて、実施例1と同様にして、電気抵抗、抵抗の周ムラ、環境依存性、通電劣化の測定及び硬度の測定を実施した。その結果、帯電ローラKの初期ローラ抵抗値は8.0×104Ω、周ムラは2.5倍、環境依存性は1.2倍、通電劣化による抵抗保持率は28%であり、硬度は62°であった。また、実施例1と同様にして画像評価を実施したところ、帯電横スジは初期画像でランクA、耐久後画像でランクCであり、耐久後の縦スジ評価はランクAであった。
以上に述べた評価結果を表3にまとめた。
Figure 0005014480
比較例1及び2では、長期に亘る継続的な通電の前後での電気抵抗の変化が大きかった。また、耐久テスト後の帯電横スジの画像ランクが劣っており、電気抵抗の周ムラが2.0倍以上であった。それに対し、実施例1乃至9では、電気抵抗の周ムラは1.9倍以下、長期に亘る継続的な通電の前後での電気抵抗保持率は50%以上、画像評価ランクは全ての項目でB以上であった。
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性体層
13 表面層
21 電子写真感光体
21a 感光層
21b 支持体
21c 軸
23 電源
23a 摺擦電源
24 露光手段
25 現像手段
26 転写手段
27 転写材
28 前露光手段
29 クリーニング手段
41 アルミドラム
42 外部電源
43 基準抵抗

Claims (4)

  1. 導電性支持体と弾性体層とを有する帯電部材であって、
    該弾性体層は、加硫ゴムを含み、
    該加硫ゴムは、ブタジエン骨格を有する重合体を含有するバインダーポリマーと、導電性粒子としてのカーボンブラックとを含有する組成物の加硫物であって、
    該ブタジエン骨格を有する重合体は、分子末端が下記一般式(1)又は一般式(2)で表される原子団により変性処理されていることを特徴とする帯電部材:
    Figure 0005014480
    (一般式(1)中、XはOH又はSHを表し、R11乃至R15及びR21乃至R25は、それぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表す。)
    Figure 0005014480
    (一般式(2)中、YはOH又はSHを表し、R3乃至R5は水素原子又は1価の置換基を表す。)。
  2. 該ブタジエン骨格を有する重合体が、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体である請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記ブタジエン骨格を有する重合体が、分子末端が下記式(5)で示される原子団または下記式(6)で示される原子団により変性処理されているものである請求項1または2に記載の帯電部材:
    Figure 0005014480
    (式(5)中、R51〜R54は各々独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。XはOH又はSHを示す)、
    Figure 0005014480
    (式(6)中、YはOHまたはSHを示し、R61は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を示し、nは2〜6の整数を示す。)。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の帯電部材と、該帯電部材に接触して配置されている電子写真感光体とを有していることを特徴とする電子写真装置。
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