JP6223068B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ、電子写真装置および帯電部材の製造方法 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ、電子写真装置および帯電部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は帯電部材、プロセスカートリッジ電子写真装置および帯電部材の製造方法に関する。
近年、複写機や光プリンタなどの電子写真装置において、感光体や誘電体などの帯電方法として、接触帯電方式が採用されている。
接触帯電に用いられる帯電部材においては、感光体などの被帯電体とのニップ幅を十分に確保するために、導電性の支持体上に弾性層が設けられている。しかしながら、このような帯電部材を長期間、被帯電体に対して当接させた場合、帯電部材の弾性層の一部に容易に回復しない変形、すなわち、圧縮永久歪み(以降、コンプレッションセットを略して、「Cセット」ともいう)が生じることがある。
Cセットが生じた帯電部材を接触帯電方式に用いた場合、帯電部材のCセット発生部位が、被帯電体とのニップ部を通過する際に、帯電部材の表面と被帯電体との間隙において生じる放電が不安定となる。その結果、被帯電体に帯電ムラが生じ、電子写真画像にスジなどの欠陥が生じることがある。
特許文献1には、特に小径化した際に所定のニップ幅を維持すべく低硬度化して柔軟性を付与した状態での圧縮永久歪みが小さく、へたりとそれに伴う画像ムラとを生じにくい半導電性ゴムローラなどを形成できる半導電性ゴム組成物の提供を目的とした発明が記載されている。
そして、上記の目的を達成し得る半導電性ゴムとして、特許文献1には、共重合成分としてエチレンオキサイドを含む共重合ゴムと、クロロプレンゴムとを少なくとも含むゴム分と、前記ゴム分の総量100質量部に対して0.5質量部以上、1.5質量部以下のチオウレア系加硫促進剤、0.5質量部以上、1.5質量部以下のグアニジン系加硫促進剤、および0.5質量部以上、2.0質量部以下のパーオキサイド系架橋剤と、を含有する半導電性ゴム組成物が記載されている。
特開2010−180357号公報
本発明者らの検討によれば、上記特許文献1に係る半導電性ゴム組成物を用いて形成されてなる弾性層を備えた半導電性ロールは、確かにCセットの軽減効果が認められた。
しかしながら、近年の電子写真装置の使用環境の多様化に伴って、高温高湿環境下で長期に亘って使用された場合においてもCセットの生じにくい帯電部材に関する技術開発の必要性を本発明者らは認識した。
そこで、本発明は、Cセットの発生をより有効に抑制することができる帯電部材を提供することを目的とする。また、本発明は、Cセットに起因する横スジ状の欠陥などの少ない高品位な電子写真画像を安定して形成することができるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することを目的とする。なお、以降、帯電部材に生じたCセットに起因して横スジ状の欠陥が生じた電子写真画像を「Cセット画像」ともいう。
本発明によれば、導電性の支持体と、導電層および表面層を有する弾性層と、を有する帯電部材であって、
前記弾性層は、架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、
前記表面層が含有する前記架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムは、下記化学式(1)で示される構造、および下記化学式(2)で示される構造のいずれか一方または両方を有しており、かつ、その分子内に硫黄を有しない帯電部材が提供される。
(化学式(1)における記号「*」および「**」ならびに化学式(2)における記号「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。)
また、本発明によれば、上記の帯電部材と、少なくとも電子写真感光体とを一体に保持し、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジが提供される。
さらに、本発明によれば、上記の帯電部材と、上記の帯電部材と接触配置されている電子写真感光体とを有する電子写真装置が提供される。
さらに、本発明によれば、導電性の支持体と、導電層および表面層を有する弾性層と、を有し、
該弾性層が、架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、
該表面層が含有する該架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムが、
下記化学式(1)で示される構造、および下記化学式(2)で示される構造のいずれか一方または両方を有しており、かつ、その分子内に硫黄を有しない帯電部材の製造方法であって、
(化学式(1)における記号「*」および「**」ならびに化学式(2)における記号「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。)。
(1)該支持体上に形成された該導電層上に、未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを含み、但し、硫黄を含まない、表面層形成用の未加硫のゴム組成物の層を形成する工程と、
(2)該層に対して、酸素濃度が30〜300ppmの環境下で電子線を照射して、該層中の未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを架橋せしめる工程、
を有する帯電部材の製造方法が提供される。
本発明によれば、長期間の使用によっても圧縮永久歪みが小さく、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する帯電部材を得られる。
また、本発明によれば、長期間の使用によっても、高品位な電子写真画像を安定的に形成可能なプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得られる。
さらに、本発明によれば、長期間の使用によっても圧縮永久歪みが小さく、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する帯電部材の製造方法を得られる。
本発明に係る帯電ローラの断面図である。 電子線照射装置の説明図である。 本発明の帯電部材を用いた電子写真装置の一例の概略を表す断面図である。 ユニバーサル硬さの測定例を示す図である。 赤外線吸収スペクトルの測定結果である。 NMRの測定例である。 1H−1H−COSYスペクトルを示す図である。 電子線照射時のアクリロニトリルブタジエンゴムの化学式(1)の推定架橋反応図である。 電子線照射時のアクリロニトリルブタジエンゴムの化学式(2)の推定架橋反応図である。 本発明に係る帯電ローラの電気抵抗値測定に用いる機器の概略図である。 本発明の帯電部材を用いたプロセスカートリッジの一例の概略を表す断面図である。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく研究を進めた。その過程において、硫黄系の架橋剤を用いて架橋させたゴムを含む弾性層を備えた帯電部材は、高温高湿環境下での使用によってCセットが生じやすいとの知見を得た。本発明者らは、その原因が、架橋部分の構造に含まれる炭素−硫黄結合の存在にあるものと推測している。すなわち、硫黄加硫系のゴムの架橋部分には、ポリスルフィド結合(−CSxC−)[xは3以上の整数を示す]、ジスルフィド結合(−C−S−S−C−)、およびモノスルフィド結合(−C−S−C−)が存在し得る。一般に、熱的に安定なモノスルフィド結合が架橋部分に形成されるように、加硫剤の量などが調整されるものの、硫黄−炭素結合は、炭素−炭素結合と比較すれば、依然として熱力学的に不安定である。そのため、高温高湿環境下では、硫黄加硫系の架橋ゴムを含む弾性層を備えた帯電部材は、高温高湿環境下での長期使用時におけるCセットの発生を十分に抑制し得ないことがあるものと考えられる。
上記の検討を踏まえて、本発明者らは、熱的に安定な架橋されたゴムを含む弾性層を得ることを目的として鋭意検討を重ねた。その結果、下記化学式(1)および下記化学式(2)のいずれか一方または両方を有するアクリロニトリルブタジエンゴムを含有する弾性層は、上記の目的をよく達成し得るものであることを見出した。本発明は、かかる新たな知見に基づきなされたものである。
化学式(1)における記号「*」および「**」ならびに化学式(2)における記号「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。
以下、本発明に係るローラ形状の帯電部材(以降、「帯電ローラ」ともいう)について図1を用いて説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
<帯電部材>
図1に示した帯電ローラ1は、導電性の基体(芯金)11と、その外周に設けられた弾性層12とから構成されている。また、弾性層12は、導電性の弾性層(以降、「導電層」ともいう)14と、帯電部材の表面をなす層(以降、「表面層」ともいう)13とからなっている。
導電層14は主に導電性の付与を担うことから、カーボンブラックなどの導電性粒子を添加することが好ましく、表面層は、電子導電系の通電劣化を抑制する観点で、カーボンブラックを含まないことが好ましい。また、表面層は、電子線などにより表面処理を行うことにより、硬化することができる。
(導電層)
導電層14には必要に応じて導電粒子としてのカーボンブラックを配合することができる。カーボンブラックの配合量は、導電層の電気抵抗が所望の値になる様、調整して配合することができる。好ましいカーボンブラックの配合量はバインダーポリマー100質量部に対して、20〜70質量部である。20質量部以上とすることで、導電層の低硬度化を抑制し、適度な硬度を得ることができる。また、カーボンブラックの配合量が70質量部以下とすることで、導電層の過度の高硬度化を抑制し得る。
導電層14に含有させるカーボンブラックの種類については特に限定されない。用い得るカーボンブラックの具体例を以下に挙げる。ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど。
さらに、導電層14を形成するためのゴム組成物には、必要に応じてゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、可塑剤、または分散剤などを添加することができる。これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。
導電層14は、例えば以下のように形成することができる。
導電性の支持体(芯金)上に、導電層形成用の未加硫ゴム組成物の層を形成する。かかるゴム組成物の層の形成方法としては、例えば、下記(i)〜(iii)の方法が挙げられる。
(i)未加硫のゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これに芯金を挿入する方法;
(ii)未加硫ゴム組成物を、クロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の成形体を得る方法;
(iii)未加硫のゴム組成物を射出成形機を使用して、所望の外径の金型内部に注入して成形体を得る方法。
中でも、上記(i)の方法は、ゴムローラを連続的に生産することが容易で、工程数が少なく、低コストでの製造に適している為、好ましい。
次いで、未加硫のゴム組成物の層を加硫する。加硫は加熱処理によって行われ、加熱装置としてはギアオーブンによる熱風炉加熱、遠赤外線による加熱加硫、加硫缶による水蒸気加熱などを挙げることができる。中でも熱風炉加熱や遠赤外線加熱は連続生産が可能な為好ましい。
加硫されたゴム層、すなわち、導電層14は、必要に応じてその表面を研削処理することもできる。ローラの表面を研削する方法としては、例えば、砥石またはローラをローラのスラスト方向に移動して研削するトラバースの研削方式が挙げられる。また、ローラを芯金軸の中心に回転させながらローラ長さより幅広の研削砥石を往復させずに切り込むプランジカットの研削方式が挙げられる。プランジカットの円筒研削方式は弾性体ローラの全幅を一度に研削できる利点があり、トラバースの円筒研削方式より加工時間を短くすることができるため、より好ましい。
(表面層13
表面層13は、下記化学式(1)で示される構造および下記化学式(2)で示される構造のいずれか一方または両方を有する、架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含有している。
化学式(1)および化学式(2)において記号「*」、「**」「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。
上記化学式(1)および化学式(2)で示される構造の少なくとも一方を含む架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含む表面層13は、例えば、導電層14の表面に形成した未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴムを含む、表面層形成用の未加硫のゴム組成物の層に対して、低酸素の環境(以降、単に「低酸素環境」ともいう)の下で電子線を照射することによって形成することができる。なお、ここで「低酸素環境」とは、具体的には、例えば、30〜300ppm(体積比)である。
未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴムを含む層に対して、低酸素環境下で電子線を照射することによって、化学式(1)および化学式(2)で示される構造のいずれか一方で架橋された構造を有するアクリロニトリルブタジエンゴムが形成される推定メカニズムを図8および図9に示した。
具体的には、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体である、未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを低酸素環境下で電子線を照射することにより、環境中に存在する酸素(O)が電子線の照射によって酸素ラジカルとなる。
かかる酸素ラジカルの作用により、アクリロニトリル部においては、アクリロニトリル部が酸化され、図8の中段に記載したような構造が形成される。一方、ブタジエン部(−CH−CH=CH−CH−)、およびアクリロニトリル部(−CH−CH(CN)−)においてはラジカルが生成する。そして、−CNの酸化によって生成したアミノ基(−NH)とラジカル発生部位とが結合することによって化学式(1)で示される架橋鎖が形成される。
また、ブタジエン部に存在する1,2−ビニル結合は、電子線の照射によって図9に示したように開裂し、ブタジエン部およびアクリロニトリル部に生成したラジカルと反応することにより、化学式(2)で示される構造を有する架橋鎖がアクリロニトリルブタジエンゴム中に形成される。
アクリロニトリルブタジエンゴム中のニトリル含有量は特に限定されないが、好ましくは25質量部から42質量部であることが好ましい。この範囲であれば電子線照射後の表面層の表面硬度をより一層上昇させることができ、Cセットをより生じにくくさせることができる。
表面層13の形成用の未加硫ゴム組成物の層の形成方法としては、未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴムを、IPA(イソプロピルアルコール)やMEK(メチルエチルケトン)の溶媒へ溶解した塗工液を調製し、帯電ローラにリング塗工処理やディッピング処理を行うことにより形成することができる。なお、表面層13を形成するための未加硫ゴム組成物中には、未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴム以外に、カーボンブラックなどを含有させることもできる。ただし、硫黄を含む加硫剤や加硫促進剤などは含有させないことが好ましい。すなわち、表面層中のアクリロニトリルブタジエンゴムの分子内に硫黄を含有させないことにより、熱的安定性が相対的に不安定な炭素−硫黄結合が架橋鎖中に形成されるのを防ぐことができる。
リング塗工処理は、まず塗布液を密閉容器に充填し、液供給手段のシリンジポンプにつなぎ、リング塗布ヘッド内に適量の塗布液を供給する。
その後、帯電ローラを垂直状態に支持し、この帯電ローラの外径に対して、全周に開口されたスリット状の吐出口が対向するようにリング塗布ヘッドを配置する。
そして、リング塗布ヘッドの全周に開口されたスリット状の吐出口の開口幅(スリット幅)を調整し、リング塗布ヘッドをゴムローラの上端部から下端部へ、一定の速度で垂直移動すると同時に塗布液の適量を、一定の吐出速度で全周均一に塗布を行う。
ディッピング処理は、シリンジなどの容器内に塗工液を充填し、帯電ローラを浸漬させ、その後所定の引き上げ速度で帯電ローラを引き上げることにより、帯電ローラの表面を塗工する方法である。
表面層の塗工膜厚は30μm以上100μm未満であることが、好ましい。30μm以上とすることで、適度な硬度を得ることができ、100μm以下とすることで、電子線照射時の架橋を十分に進行させることができるため、表面層内の帯電均一性が向上する。
<電子線照射装置>
図2には電子線照射装置の概略図を示す。
本発明に用いた電子線照射装置は帯電ローラを回転させながら帯電ローラの表面に電子線を照射するものであり、図2に示すように、電子線発生部21と照射室22と照射口23とを備えるものである。
帯電ローラの表面はアクリロニトリルブタジエンゴムを含む。このアクリロニトリルブタジエンゴムは、硫黄を含まない。硫黄を含まず、かつ、未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを含む帯電ローラの表面に電子線を照射して、前記未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを架橋させる。
電子線発生部21は、電子線を発生するターミナル24と、ターミナル24で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管25とを有するものである。また電子線発生部の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、不図示の真空ポンプなどにより10−3〜10−6Paの真空に保たれている。
不図示の電源によりフィラメント26に電流を通じて加熱するとフィラメント26は熱電子を放出し、この熱電子のうち、ターミナル24を通過したものだけが電子線として有効に取り出される。そして、電子線の加速電圧により加速管25内の加速空間で加速された後、照射口箔27を突き抜け、照射口23の下方の照射室22内を搬送されるゴムローラ28に照射される。
ゴムローラ28に電子線を照射する場合には、照射室22の内部は窒素雰囲気としている。また、ゴムローラ28はローラ回転用部材29で回転させて照射室内を搬送手段により、図2において左側から右側に移動する。なお、電子線発生部21および照射室22の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、不図示の鉛遮蔽が施されている。
照射口箔27は金属箔からなり、電子線発生部内の真空雰囲気と照射室内の空気雰囲気とを仕切るものであり、また照射口箔27を介して照射室内に電子線を取り出すものである。ローラの照射に電子線を応用する場合には、ローラが電子線を照射される照射室22の内部は窒素雰囲気である。よって、電子線発生部21と照射室22との境界に設ける照射口箔27は、ピンホールがなく、電子線発生部内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があり、電子線が透過しやすいことが好ましい。そのため、照射口箔27は比重が小さく、肉厚の薄い金属が好ましく、通常、アルミニウムやチタン箔が使用される。
電子線による硬化処理条件は電子線の加速電圧と線量によって決定される。加速電圧は硬化処理深さに影響し、本発明における加速電圧の条件としては、低エネルギー領域である40〜300kVの範囲が好ましい。40kV以上で本発明の効果を得るための充分な処理厚みを得ることができる。また、300kV以下とすることで、電子線照射装置が大型化し、装置コストが増大することを抑えることができる。さらに好ましい加速電圧の条件としては80〜150kVの範囲である。
電子線照射における電子線の線量は、下記式(3)で定義される。
D=(K・I)/V ・・・・・・ (3)
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/分)である。装置定数Kは、装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。
電子線の線量測定は、線量測定用フィルムをローラの表面に貼り付け、これを実際に電子線照射装置で処理し、ローラの表面の測定用フィルムをフィルム線量計により測定した。使用した線量測定用フィルムはFWT−60、フィルム線量計はFWT−92D型(いずれもFarWestTechnology社製)である。
<プロセスカートリッジ>
図11は、本発明に係るプロセスカートリッジの一例の断面図である。図11に示したプロセスカートリッジ117は、現像装置122、電子写真感光体118、クリーニングブレード126、廃トナー収容容器125、および、帯電ローラ124が一体化され、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されている。現像装置122は、導電性ローラ111(現像剤担持体として使用)、トナー供給ローラ119、トナー容器120および現像ブレード121からなる。トナー容器120には、トナー120aが充填されている。
なお、現像装置122は着脱可能であっても良い。トナー120aは、トナー供給ローラ119によって導電性ローラ111の表面に供給され、現像ブレード121によって、導電性ローラ111の表面に所定の厚みのトナー120aの層が形成される。
<電子写真装置>
図3に本発明に係る帯電部材を備えた電子写真装置の断面図を示す。電子写真感光体31は、アルミニウムなどの導電性を有する導電性支持体31bと、導電性支持体31b上に形成した感光層31aを基本構成層とするドラム形状の電子写真感光体である。軸31cを中心に図上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。電子写真感光体31と、帯電ローラ1とは接触配置されている。
本発明に係る帯電ローラ1は、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体31に対して押し付けられている。そして、電子写真感光体31が不図示の駆動手段により回転させられると、それに伴って従動回転する。電源33で摺擦電源33aにより、芯金11に所定の直流(DC)バイアスが印加されることで電子写真感光体31が所定の極性および所定の電位に帯電される。
帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体31は、次いで露光手段34により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受け、その周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像部材35によりトナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段36により転写材37に順次転写されていく。転写材37は不図示の給紙手段部から電子写真感光体31の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体31と転写手段36との間の転写部へ搬送される。
転写手段36は転写ローラであり、転写材37の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体31側のトナー画像が転写材37に転写されていく。表面にトナー画像の転写を受けた転写材37は、電子写真感光体31から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものは、転写部への再搬送手段へ搬送される。
像転写後の電子写真感光体31の周面は、前露光手段38による前露光を受けて残留電荷が除去(除電)される。この前露光手段38には公知の手段を利用することができ、たとえばLEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプおよび蛍光ランプなどを好適に例示することができる。
除電された電子写真感光体31の周面は、クリーニング部材39で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
帯電ローラ1は面移動駆動される電子写真感光体31に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体31の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
また、露光は、電子写真装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したりすることなどにより行われる。本発明の導電性ゴム弾性体を使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、あるいは電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
〔実施例1〕
(弾性体層用未加硫ゴム組成物の調製)
下記の表1に示す材料を、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6−15MDX、(株)トーシン製)を用いて、充填率70vol%、ブレード回転数30rpmで16分間混合してA練りゴム組成物を得た。
次いで、下記の表2に示す材料を、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールにて、前ロール回転数10rpm、後ロール回転数8rpm、ロール間隙2mmで、左右の切り返しを合計20回実施した。その後、ロール間隙を0.5mmとして薄通し10回を行い、弾性体層用の未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫ゴム層の成形)
直径6mm、長さ252mmの円柱形の鋼製棒(表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部228mmの範囲に導電性加硫接着剤(メタロックU−20;東洋化学研究所製)を塗布し、温度80℃で30分間乾燥したものを導電性支持体として使用した。次に、未加硫ゴム組成物を、クロスヘッドを用いた押出成形によって、導電性支持体を中心として同軸状に円筒形に同時に押出し、導電性支持体の外周に未加硫ゴム組成物がコーティングされた未加硫ゴムローラを作製した。
押出機は、シリンダー径45mm(Φ45)、L/D=20の押出機を使用し、押出時の温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。
成形した未加硫ゴムローラの未加硫ゴム組成物の層の幅方向の両端部を切断し、未加硫ゴム組成物の層の軸方向の長さを226mmとした。
その後、電気炉にて温度160℃で40分間加熱して未加硫ゴム組成物の層を加硫して
加硫ゴム層とした。続いて、加硫ゴム層の表面をプランジカットの研削方式の研磨機で研
磨し、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の加硫ゴム層を有する加硫ゴムローラを得た。
(帯電ローラの表面処理液の調製および膜形成方法)
アクリロニトリルブタジエンゴム(商品名:N230SV JSR製)とメチルエチルケトン(MEK)を、混合重量比1:1にて混合し、溶解させた塗布液を調製した。
続いて塗布液を密閉容器に入れスターラーで攪拌しながら、密閉容器を液供給手段であるシリンジポンプにつなぎ、さらにリング塗布ヘッドに具備された1箇所の液供給口につなぎ、リング塗布ヘッド内に適量の塗布液を供給した。これにより、塗布液を、リング塗布ヘッド内で合流し周方向に分配するための液分配室を有するリング塗布ヘッド内に充填させた。
先に作製した弾性ローラ(加硫ゴムローラ)を、前記弾性ローラの軸方向が略鉛直となるように支持し、この弾性ローラの外径に対して0.6mmの間隔をなす距離に全周に開口されたスリット状の吐出口がくるようにリング塗布ヘッドを配置した。このとき、リング塗布ヘッドの全周に開口されたスリット状の吐出口の開口幅(スリット幅)は0.2mmで使用した。
そして、弾性ローラの表面に乾燥前の膜厚で0.08mm程度になるように、0.7mLの塗布液を、0.03mL/sの吐出速度で、リング塗布ヘッドの吐出口から全周均一に吐出させた。また、吐出と同時に、前記リング塗布ヘッドを弾性ローラの弾性層上端部から下端部へ、10mm/sの一定の速度で垂直移動させ、弾性ローラの表面に塗布液の塗膜を形成した。
その後、前記弾性ローラを室温に90分間置き、前記塗膜を風乾した。乾燥後の前記塗膜の膜厚をSEM観察から測定した結果、平均膜厚36.2μmであった。
(表面硬化処理)
乾燥された塗膜を表面に有する弾性ローラの表面に電子線を照射して、前記塗膜を硬化させ、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを得た。
電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気(株)製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:80kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/分、酸素濃度:100ppmであった。この際、電子線照射装置の加速電圧80kVにおける装置定数は20.4であり、式(3)より算出される線量は714kGyであった。
(加硫ゴム層の硬度測定)
電子線照射後の加硫ゴム層のMD−1硬度を、測定した。測定にはマイクロ硬度計(商品名:MD−1 capa、高分子計器(株)製)を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境において、ピークホールドモードで測定した。より詳しくは加硫ゴムローラを金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて加硫ゴムローラが転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から加硫ゴムローラの中心に正確に、タイプAの測定端子を押し当ててから5秒後の値を読み取った。
これを加硫ゴムローラの軸方向のゴム端部から30〜40mmの位置の両端部および中央部の3箇所、かつ、それぞれの周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、得られた測定値の平均値を加硫ゴム層のMD−1硬度とした。その結果、加硫ゴム層のMD−1硬度は73.8°であった。
(ユニバーサル硬度計による硬化領域の表面硬度および厚さの測定)
帯電ローラ1の表面硬度を、ユニバーサル硬度計(商品名:超微小硬度計H−100VFischer社製)を用いて測定した。測定用の圧子としては、四角錘型ダイヤモンドを用いた。押し込み速度は下記式(4)の条件である。
dF/dt=1000mN/240s ・・・・(4)
(Fは力、tは時間を表す。)
圧子の押し込み深さが10μmまでの最大硬さを帯電ローラ1の表面硬度とした。
また、弾性層内部の硬度を、押し込み深さ100μmにおける硬さとした。その結果、表面硬度は6.5N/mm、内部硬度は1.0N/mmであった。
図4にはユニバーサル硬さの測定例を示す。グラフの横軸は押し込み深さ(μm)であり、縦軸は硬度(N/mm)である。図4より、押し込み深さに対する硬度変化が小さく、直線領域である横軸150μm以上200μm以下の測定領域から外挿される直線と測定曲線とのずれが生じる点の横軸値を架橋処理深さとして定義することができる。なお、図4の測定例の硬化層の架橋処理深さは50μm、硬化層の厚みは、70μmであった。
(原子間力顕微鏡による弾性率の評価)
帯電ローラ1の表面ゴムを切り出し、ミクロトーム(ライカ製FC6)にて、温度−110℃に保持した状態でダイヤモンドナイフで表面をスライスしたサンプルを作成した。得られたゴムサンプルに対して、原子間力顕微鏡(AFM SIIナノテクノロジー製E−sweep)を用いて所定点の弾性率(ヤング率)を測定した。その結果、最表面のヤング率は0.6MPa、内部の最大硬度は1.7MPaであった。
(表面層の電子線照射後の構造測定)
官能基変化を確認するため、電子線照射後で全反射型赤外吸収(ATR−IR)スペクトルを測定し、両者のスペクトル差を評価した。
測定条件は、下記のとおりとした。
その結果、(1)3400cm−1付近、(2)1666cm−1付近、(3)1639cm−1付近の吸収が増大し、(4)2200cm−1付近のピークが減少した。
図5に測定結果を示す。吸収ピークより(1)OH、NH基、(2)−C(=O)−NH、(3)(−C=N)、(4)(−CN)に帰属し、アクリロニトリル部由来のピーク減少を確認した。
続いて、電子線照射後のアクリロニトリルブタジエンゴム層の表面を切り出し、1H−NMR測定を行った。1H−NMR測定はサンプルを溶媒に膨潤してサンプルローターに封入し、磁場主軸に対し54.7度傾けた状態でサンプルローターを高速回転させながら測定する方法を行った。
測定条件は、下記のとおりとした。
その結果、4ppm付近と7〜8ppm付近にピークが出現した。図6に一例を示す。
さらに、1H−1H−COSYスペクトル測定の結果、ブタジエン部分の酸化によって生成したエステル近傍の水素原子に由来すると考えられる4ppmと2ppm付近のピークに相関関係があることを確認した。図7は、1H−1H−COSYスペクトルを示す図である。
以上の結果から、電子線照射によって表面層では、化学式(1)および化学式(2)のの構造が形成していることを確認した。反応メカニズムは図8および図9が推定される。
(Cセット画像評価)
帯電ローラ1をプロセスカートリッジ(ローラ両端5N荷重でφ30mmの感光体に同軸上で圧接)に装着し、過酷試験を行った。試験条件は、温度40℃/相対湿度95%RHの環境下で30日間放置後、電子写真装置(LBP5050 キヤノン製)に組込み、過酷環境放置後の帯電ローラの永久歪みによるCセット画像を評価した。Cセット画像について以下のランクを付けた。その結果、ランクBであった。
(歪み量測定)
画像評価で行った苛酷環境放置後の帯電ローラの感光体との圧接部位の変形量を測定した。測定は一般的なレーザー形状測定機(LS−5500キーエンス(株)製)により行い、圧接部位と非圧接部位の外形差を歪み量と定義した。
その結果、歪み量は4.7μmであった。
(電気抵抗測定と通電劣化試験)
図10に概略を示す電気抵抗測定装置を用いて、温度23℃/相対湿度50%RHの環境下で1日間放置後、帯電ローラの電気抵抗を測定した。帯電ローラ1の導電性支持体11の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状のアルミドラム101に圧接し、アルミドラム101の回転駆動に伴い従動回転させた。
この状態で、帯電ローラ1の導電性支持体11に外部電源102を用いて直流電圧を印加し、アルミドラムに直列に接続した基準抵抗103にかる電圧を測定した。
帯電ローラの電気抵抗は、測定された基準抵抗103の電圧から、回路に流れる電流値を求めることによって算出した。このときのアルミドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の抵抗値は100Ωとした。
次に、アルミドラムを30rpmで回転させながら、支持体とアルミドラムの間に直流200Vの電圧を10分間印加して、ローラを通電劣化させた。通電劣化後に、再度、初期抵抗値の測定と同様にローラの抵抗を測定し、通電劣化前の測定値を通電劣化後の測定値で除して100倍することで、抵抗保持率(通電劣化保持率)(%)とした。
これらの測定の結果、帯電ローラ1の初期ローラ抵抗値は3.3×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は58%であった。
(帯電均一性評価)
作製した帯電ローラを電子写真プロセスカートリッジに組み込み、このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用の電子写真装置(LBP5050 キヤノン製)に組込み画像評価を行った。画像の出力は温度23℃/相対湿度50%RHの環境下で行った。評価画像はA4紙にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)である。
出力画像の評価は、1枚出力時(初期)のハーフトーン画像と、1%の印字濃度で2500枚プリント後(耐久後)に出力したハーフトーン画像の均一性を目視することによって行った。得られた初期と耐久後の画像から、帯電部材が高抵抗化することで発生する細かな横スジ状の画像不良(帯電横スジ)と、帯電部材の表面がトナーなどで汚れることによって発生する縦スジ状の画像不良について以下の基準により評価を行った。その結果、初期画像ランクはA、耐久後画像ランクはAであった。
〔実施例2〕
実施例1の電子線照射加速電圧を150KVに変更した以外は、実施例1と同様にして帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は3.1×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は62%であり、硬度は76.8°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクAであり、耐久後の画像はランクAであった。
〔実施例3〕
表層塗工液に使用するアクリロニトリルブタジエンゴムをNipol1041(日本ゼオン製)に変更した以外は、実施例2と同様に作成した。
初期ローラ抵抗値は5.0×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は69%であり、硬度は74.3°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクAであり、耐久後の画像はランクAであった。
〔実施例4〕
表層塗工液に使用するアクリロニトリルブタジエンゴムをDN401(日本ゼオン製)に変更した以外は、実施例2と同様に弾性層用未加硫ゴム組成物を調製し、研摩後の加硫ゴムローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は6.1×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は51%であり、硬度は71.9°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクAであり、耐久後の画像はランクBであった。
〔実施例5〕
表層塗工液に使用するアクリロニトリルブタジエンゴムをN240S(JSR製)に変更した以外は、実施例2と同様に弾性層用未加硫ゴム組成物を調製し、研摩後の加硫ゴムローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は5.9×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は54%であり、硬度は73.1°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクAであり、耐久後の画像はランクBであった。
〔実施例6〕
表層塗工液に使用するアクリロニトリルブタジエンゴムをN215SL(JSR製)に変更した以外は、実施例2と同様に弾性層用未加硫ゴム組成物を調製し、研摩後の加硫ゴムローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は3.6×10Ω、通電劣化による抵抗保持率は55%であり、硬度は79.2°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクBであり、耐久後の画像はランクBであった。
〔実施例7〕
表面処理液塗工回数を2回に変更した以外は、実施例2と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は2.4×10Ω通電劣化による抵抗保持率は59%であり、硬度は74.1°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクA、耐久後画像はランクAであった。
〔実施例8〕
実施例2の電子線処理走査速度を0.5m/分に変更した以外は、実施例2と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は2.9×104Ω通電劣化による抵抗保持率は66%であり、硬度は80.1°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像、耐久後画像ともにランクAであった。
〔実施例9〕
実施例7の電子線処理走査速度を0.33m/分に変更した以外は、実施例2と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は2.2×104Ω通電劣化による抵抗保持率は56%であり、硬度は78.5°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像、耐久後画像ともにランクAであった。
〔実施例10〕
実施例2の表面処理液塗工回数を3回に変更した以外は、実施例2と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は3.2×10Ω通電劣化による抵抗保持率は55%であり、硬度は73.9°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像、耐久後画像ともにランクBであった。
〔比較例1〕
実施例1での表面処理液に使用したアクリロニトリルブタジエンゴムを、ブタジエンゴム(BR:BR1220L 日本ゼオン製)に変更した以外は、実施例1と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は1.0×106Ω、通電劣化による抵抗保持率は20%であり、硬度は73.6°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクD、耐久後画像はランクDであった。
〔比較例2〕
実施例1での表面処理液に使用したアクリロニトリルブタジエンゴムを、イソプレンゴム(IR:IR2200 JSR製)に変更した以外は、実施例1と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は1.1×106Ω、通電劣化による抵抗保持率は11%であり、硬度は73.9°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクD、耐久後画像はランクDであった。
〔比較例3〕
実施例1の表面処理塗工を実施しない以外は、実施例1と同様に帯電ローラを作製した。
初期ローラ抵抗値は2.0×104Ω、通電劣化による抵抗保持率は31%であり、硬度は74.2°であった。また、画像評価結果は、帯電横スジは初期画像はランクA、耐久後画像はランクCであった。
表7、表8に実施例および比較例に係るローラの組成と評価結果を示す。

表7、表8から明らかなように、比較例1は表面処理にBRを使用しているため、ローラ歪みが大きく、過酷放置後のCセット画像と通電劣化保持率が低く、耐久後の画像ランクはDランクとなった。
比較例2は表面処理にIRを使用しているため、表面近傍の架橋が形成されず、ローラ歪みが大きく、過酷放置後のCセット画像と通電劣化保持率が低く、耐久後の画像ランクはDランクとなった。
比較例3は電子線照射のみであり、通電劣化が大きく耐久後の帯電横スジランクがCランクであった。
これに対して、実施例1〜6は、Cセット画像ランクも、耐久後の帯電横スジもBランク以上で実用上問題の無い良好な画像が得られている。
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性層
13 表面層
14 導電層

Claims (5)

  1. 導電性の支持体と、導電層および表面層を有する弾性層と、を有する帯電部材であって、
    該弾性層は、架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、
    該表面層が含有する該架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムは、
    下記化学式(1)で示される構造、および下記化学式(2)で示される構造のいずれか一方または両方を有しており、かつ、その分子内に硫黄を有しないことを特徴とする帯電部材:
    (化学式(1)における記号「*」および「**」ならびに化学式(2)における記号「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。)。
  2. 前記導電層が含有する前記架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムが、硫黄加硫ゴムである請求項1に記載の帯電部材。
  3. 請求項1または2に記載の帯電部材と、少なくとも電子写真感光体とを一体に保持し、電子写真装置の本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または2に記載の帯電部材と、前記帯電部材と接触配置されている電子写真感光体とを有することを特徴とする電子写真装置。
  5. 導電性の支持体と、導電層および表面層を有する弾性層と、を有し、
    該弾性層が、架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、
    該表面層が含有する該架橋されたアクリロニトリルブタジエンゴムが、
    下記化学式(1)で示される構造、および下記化学式(2)で示される構造のいずれか一方または両方を有しており、かつ、その分子内に硫黄を有しない帯電部材の製造方法であって、
    (化学式(1)における記号「*」および「**」ならびに化学式(2)における記号「***」および「****」は、アクリロニトリルブタジエンゴムの分子鎖への連結部位を表す。)。
    (1)該支持体上に形成された該導電層上に、未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを含み、但し、硫黄を含まない、表面層形成用の未加硫のゴム組成物の層を形成する工程と、
    (2)該層に対して、酸素濃度が30〜300ppmの環境下で電子線を照射して、該層中の未架橋のアクリロニトリルブタジエンゴムを架橋せしめる工程、
    を有することを特徴とする帯電部材の製造方法。
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