JP5436163B2 - 帯電部材の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)3官能以上の硬化性アクリルモノマーとベースポリマーとを含む混合物を調製する工程と、
(2)該混合物の層を該支持体の周面に形成する工程と、
(3)該硬化性アクリルモノマーをブリードさせて、該混合物の層の表面に移行させる工程と、
(4)該混合物の層の表面に移行した該硬化性アクリルモノマーを硬化させて該表面層を形成すると共に、該ベースポリマーを架橋させて導電性弾性層を形成する工程とを有することを特徴とする帯電部材の製造方法である。
(1)放射線あるいは熱により硬化する3官能以上のアクリルモノマーとベースポリマーとを混合し、導電性弾性層用組成物を得る工程;、
(2)該導電性弾性層用組成物を成形し、導電性弾性層を形成する工程;、
(3)3官能以上のアクリルモノマーをブリードさせ、成形した該導電性弾性層の表面に偏在させる工程;及び、
(4)該導電性弾性層の表面に偏在させた3官能以上のアクリルモノマーを反応させ、表面層を形成する工程。
図1は本発明に係る帯電ローラの軸に直交する方向の断面図であり、導電性支持体11と、その周面を被覆している導電性の弾性層12と、導電性弾性層12の周面を被覆している表面層13とを有している。そして、係る帯電部材は下記(1)〜(4)の工程を経て形成される。
工程(1)は、ベースポリマーと、3官能以上の硬化性アクリルモノマーと、導電剤とを含む組成物を調製する工程である。これらの材料の混合方法としては、特に限定されるものではなく、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。該アクリルモノマーの添加量としては、該ベースポリマー100質量部に対して1〜30質量部、特には1〜10質量部配合することがより好ましい。添加量を上記範囲内とすることで、後述する弾性層の表面への移行工程において十分なアクリルモノマーを移行させることができ、より均一な表面層を形成できる。
硬化性アクリルモノマーとはラジカル重合系あるいはカチオン重合系の材料である。特に3官能以上のアクリルモノマーは分子設計が容易で、低粘度であるため、ベースポリマーとの混合物からのブリード速度をコントロールし易く、硬化速度も早い。3官能以上のアクリルモノマーとしては、分子内に3つ以上の(メタ)アクリル酸エステル基を有するモノマー分子を挙げられる。これらのアクリルモノマーは分子中の官能基数が3個以上5個以下であることがより好ましい。具体的な3官能以上の硬化性アクリルモノマーとしては以下のものが挙げられる。エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等。
弾性層はベースポリマーと導電剤等の添加剤とを含有している。ベースポリマーは帯電部材の実使用温度範囲でゴム弾性を示す材料であれば特に限定されるものではない。具体的なゴム材料としては、以下のものが使用される。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンホモポリマー(CHC)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(CHR)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(CHR−AGE)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水添物(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)等の原料ゴムに架橋剤を配合した熱硬化性のゴム材料や、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーなど。
ベースポリマーには、導電性弾性層の電気抵抗を調整する目的で導電剤を添加することが好ましい。導電剤としては、以下のものが挙げられる。カーボンブラック、グラファイト等の炭素材料;酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属;酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電化した導電粒子等の電子導電剤や、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルべタイン、ジメチルアルキルラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤;過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩;トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩等のイオン導電剤など。さらに、ベースポリマーには、必要に応じてゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、分散剤等を添加することができる。
工程(2)は工程(1)で調製した混合物を支持体の周面に塗布して該混合物の層を形成する工程である。混合物の層の形成方法としては、例えば以下(i)から(iii)の方法が挙げられる。(i)該混合物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これに支持体を圧入後、表面を研磨して所望の外径とする方法。(ii)混合物を、クロスヘッドを装着した押出機により、導電性支持体を中心に円筒形に共押し出しして、所望の外径の成形体を得る方法。(iii)混合物を射出成形機を使用して、所望の外径の金型内部に注入して成形体を得る方法。
工程(3)では、ゴム混合物の層中の硬化性アクリルモノマーを当該ゴム混合物の層の表面にブリード(移行)させる。硬化性アクリルモノマーの移行速度はベースポリマーと硬化性アクリルモノマーとの溶解度定数(Solubility Parameter:SP値)の差に依存する。すなわち、両者のSP値の差が大きいほど移行速度は速くなる。アクリルモノマーとベースポリマーとの溶解度パラメーターの差(絶対値差)は0.5〜3.0(MPa)1/2が好ましく1.5〜2.5(MPa)1/2の範囲がより好ましい。SP値の差が1.5以上でモノマーの導電性弾性層表面への移行量が確保され、均一な表面層が形成される。また、2.5以下でモノマーの移行量が過剰になることによる表面層の膜厚の増大や、硬化処理後にも未硬化のモノマーが部材表面に染み出しすることを抑制できる。なお、高分子材料であるベースポリマーのSP値については分子構造から分子を構成する原子団のモル吸引力より算出するSmallの計算法(P.A.Small,J.Appl.Chem.,vol.3,71(1953))を用いて求められる。また、モノマーのSP値については、Hildebrand-Scatchardの溶液理論( J.H.Hildebrand,R.L.Scott,「 The Solubility of Nonelectrolytes」3rd Ed.,Reinhold Publishing cop.,New York (1949))に基づき、分子構造から導かれる蒸発エネルギーと分子容とから計算して求められる。本発明にて使用した原子団固有の上記定数については、D.W.Van.Kreven「Prorerties of Polymer」3rd Ed.,Elsevier(1990)に記載されている、25℃での値を使用する。アクリルモノマーの層表面へのブリードはベースポリマーの分子運動を大きくすることによって促進される為、工程(3)では加熱することが好ましい。加熱処理の温度域は、硬化性モノマーの弾性層表面への移行が充分に進行するまでは少なくとも硬化性モノマーの硬化温度より低い温度、例えば、100℃以上160℃以下に設定することができる。工程(3)での加熱処理は連続加熱炉で行うことがより一層好ましい。連続加熱炉を使用することで、工程(2)での成形から工程(3)の加熱処理まで、連続一環生産が可能となる。図4には、押出機3から押出されたローラの連続加熱装置の概要を模式的に示した。押出機3により、支持体11の外周に未加硫ゴムが積層された成形体は、不図示の搬送コンベアーによって、連続加熱炉4へ連続的に搬送される。連続加熱炉4は予め所定の温度に保たれており、搬送されるスピードと連続加熱炉4の長さにより、所定の時間加熱処理される。本発明において使用される連続加熱炉は2つの領域からなる構成とし、成形体入口側領域41と成形体出口側領域42は、それぞれ異なる温度に設定可能である。また、これらの温度設定を同一温度とすることも可能である。導電性弾性層を熱硬化性のポリマーで構成する場合には上記のブリード工程(3)において、ベースポリマーの架橋反応を同時に行うことが出来る。この場合、架橋反応によってベースポリマーの分子運動性が低下し、モノマーの移行速度が低下する傾向が見られる。よって、モノマーの弾性体層表面の移行とベースポリマーの架橋反応を効率的に行う為、成形体入口側41を低温、成形体出口側42を高温とすることが好ましい。低温側はモノマーの硬化温度未満でベースポリマーの架橋が充分に完了しない温度・時間設定とすることで、モノマーの移行を完了させる。高温側はベースポリマーの架橋が充分に完了する温度・時間設定とする。以上により、モノマーの移行とベースポリマーの架橋反応を連続的に行うことが出来る。
工程(4)はゴム混合物の層の表面に移行させたアクリルモノマーを硬化させ、表面層を形成する工程である。硬化処理は加熱処理、あるいは電子線照射によって行われる。硬化を加熱処理にて行う場合、前述した工程(3)のベースポリマーの架橋と、アクリルモノマーの硬化とを同時に行うことも可能である。加熱処理はアクリルモノマーの硬化温度以上で行うことができる。硬化処理は、形成される表面層の架橋密度を高くすることが可能な電子線照射により行うことが好ましい。表面層の架橋密度を高くすることによって、導電性弾性層からの低分子成分の染み出しによる感光体汚染を防止するとともに、帯電部材の表面の摩擦係数が低下し、トナーや外添剤が帯電部材表面に付着しにくくなる。特に、電子線照射は架橋効率が高く、硬化時間を短縮することが可能であり、重合開始剤の添加も不要である。また、放射線の透過深さが紫外線と比較して深く、処理膜厚を厚く出来ることから、より一層好ましい。図5に電子線照射装置の概略図を示す。本発明に用いた電子線照射装置はローラを回転させながらローラ表面に電子線を照射するものであり、図5に示すように、電子線発生部51と照射室52と照射口53とを備えるものである。電子線発生部51は、電子線を発生するターミナル54と、ターミナル54で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管55とを有するものである。また電子線発生部の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、不図示の真空ポンプ等により10-6〜10-7 Torrの真空に保たれている。不図示の電源によりフィラメント56に電流を通じて加熱するとフィラメント56は熱電子を放出し、この熱電子のうち、ターミナル54を通過したものだけが電子線として有効に取り出される。そして、電子線の加速電圧により加速管55内の加速空間で加速された後、照射口箔57を突き抜け、照射口53の下方の照射室52内を搬送されるローラ58に照射される。本実施例のように、ローラ58に電子線を照射する場合には、照射室52の内部は窒素雰囲気としている。また、ローラ58はローラ回転用部材59で回転させて照射室内を搬送手段により、図5において左側から右側に移動する。尚、電子線発生部51及び照射室52の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、不図示の鉛遮蔽が施されている。照射口箔57は金属箔からなり、電子線発生部内の真空雰囲気と照射室内の空気雰囲気とを仕切るものであり、また照射口箔57を介して照射室内に電子線を取り出すものである。ローラの照射に電子線を応用する場合には、ローラが電子線を照射される照射室52の内部は窒素雰囲気である。よって、電子線発生部51と照射室52との境界に設ける照射口箔57は、ピンホールがなく、電子線発生部内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があり、電子線が透過しやすいことが望ましい。その為、照射口箔57は比重が小さく、肉厚の薄い金属が望ましい。電子線の線量は下記で定義される。
ここで、装置定数Kは、装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標となる。例えば本来、電子線照射装置では、K=18以上とする必要がある。したがって、一定の電子電流と処理スピードに対して、加速電圧を変えて線量を測定し、これから得られる装置定数Kが所定の値以上になるような加速電圧を求めることより、加速電圧についての制限が得られる。電子線の線量については、表面処理の効果に応じて適宜選択すれば良い。その調節は、電子電流、処理スピードのいずれでも行う事が可能であり、所望の線量が得られるように決めればよい。今回、あらかじめ線量フィルムを用いてある電子電流・処理スピードでの線量を測定し装置定数Kを算出して、それを基に電子線の線量を算出した。
図2は本発明に係る帯電部材を有する電子写真装置の断面図である。被帯電体としての電子写真感光体21は、アルミニウムなどの導電性支持体21bと、その上に形成した感光層21aとを有するドラム形状のものである。軸21cを中心に時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。帯電ローラ1は電子写真感光体21に接触配置されて電子写真感光体を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)する。帯電ローラ1は導電性支持体11と、その外周に形成した導電性弾性層12と、導電性弾性層12の表面に形成した表面層13からなる。そして、導電性支持体11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。電源23で摺擦電源23aにより、導電性支持体11の所定の直流(DC)バイアスが印加されることで電子写真感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。その静電潜像は、次いで、現像部材25によりトナー画像として現像されていく。このトナー画像は電子写真感光体21と転写ローラ26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写される。転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写される。表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、転写部への再搬送手段へ搬送される。像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて電子写真感光体ドラム上の残留電荷が除去(除電)される。除電された電子写真感光体21の周面は、クリーニング部材29で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。帯電ローラ1は面移動駆動される電子写真感光体21に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体21の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。また、露光は、電子写真装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したりすることなどにより行われる。本発明に係る電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンター、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
(弾性層用ゴム材料の調製)
下記表1−1の材料を6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて、充填率70vol%、ブレード回転数35rpmで16分間混合してA練りゴム組成物を得た。
示差熱天秤(TG−DTA)を用いて表面層形成材料1の硬化温度の測定を実施した。分析装置として理学電機株式会社製の差動型示差熱天秤TG8120を使用し、昇温速度5℃/minで測定して発熱量のピーク温度を硬化温度とした。その結果、表面層形成材料1の硬化温度は182℃であった。
(弾性層の成形)
直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部228mmの範囲に導電性加硫接着剤(メタロックU−20;東洋化学研究所製)を塗布し、80℃で30分間乾燥した。次に、未加硫ゴム組成物をクロスヘッドに接続した押出機を用いて導電性支持体の周面に円筒形に押し出して、導電性支持体の外周に未加硫ゴム組成物の層が形成された未加硫ゴムローラを作製した。押出機はシリンダー径45mm(Φ45)、L/D=20の押出機を使用し、押出時の温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。押出時に芯金送り速度の調整を実施し、端部直径8.4mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状の弾性層を有する未加硫ゴムローラを成形した。
(ブリード工程)
未加硫ゴムローラの両端を切断して弾性層部分の幅を228mmとした後、連続加熱炉に投入して表面層形成材料1を弾性層の表面に移行させ、かつ弾性層を加硫させて加硫ゴムローラを得た。連続加熱炉は2つの温度領域を有する加熱炉を使用し、初めに120℃、30分、続いて160℃、30分の熱処理を行った。
(表面層の硬化処理)
加硫ゴムローラの表面に電子線を照射して表面層を形成して帯電ローラを得た。電子線の照射には最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素ガスパージを行った。処理条件は加速電圧:150KV、電子電流:5mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。
(表面層の確認)
帯電ローラの表面層の有無を以下の方法で確認した。分析装置として顕微IR(AIM−8000R)を接続した島津製作所製のFTIR−8300を使用し、ゲルマニウムプリズムを使用して全反射測定法(ATR法)により測定を行った。測定は帯電ローラ表面と、帯電ローラ表面から深さ方向に0.5mm切り取った弾性体層内部について行い、表面と内部の赤外吸収スペクトルの分析を行い、表面層形成材料由来のピーク強度を比較した。その結果、帯電ローラ表面の測定において弾性体層内部の測定と比較して、表面層形成材料1に由来の強い赤外吸収のピークが見られ、表面層が形成されていることを確認した。
(耐久画像評価)
帯電ローラと電子写真感光体とを、これらを一体に支持するプロセスカートリッジに組み込み、このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用の電子写真装置(ColorLaserJet3500;ヒューレットパッカード製)に組み込んで画像評価した。画像評価は、15℃/10%RH環境下で行い、1%の印字濃度で3000枚プリント後(耐久後)において出力したハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)の均一性を目視することによって行った。評価基準は以下のとおりである。
A:帯電ローラへのトナー、外添剤の付着に起因する画像不良が全く出ていない。
B:上記の画像不良が極めてわずかに発生した。
C:上記の画像不良がわずかに発生した。
D:上記の画像不良がはっきりと発生した。
(セット画像評価)
上記とは別の帯電ローラを組み込んだカートリッジを準備し、帯電ローラと感光体が当接するようにした状態で、このカートリッジを40℃/95%R.H.の環境下で30日間放置した。放置後、もう一度、電子写真装置に組込み、過酷環境放置後の画像評価を行った。画像出力は、25℃/50%RH環境下でハーフトーン画像の出力を20枚行い、更に、画像出力した環境下で24時間放置した後に、再度、画像出力を行った。評価基準は以下のとおりである。
A:画像不良が全く出ていないもの。
B:最初の出力で極わずかに画像不良が発生。但し、20枚出力後に画像不良が完全に消失。
C:最初の出力でわずかに画像不良が発生し、20枚出力後にも画像不良が完全には消失しない。
D:最初の出力で画像不良が発生し、24時間放置後にも画像不良が完全には消失しない。
E:最初の出力で画像不良が発生し、24時間放置後にも画像不良が改善しない。
(Cセット量の測定)
帯電ローラの導電性支持体を軸として、ローラの半径を測定し、当接部でもっとも変形している部分と当接していない部分の半径の差をもって、Cセット量とする。測定は、東京光電子工業(株)の全自動ローラ測定装置を用い、帯電部材を1°ずつ回転させ360°測定を行う。本測定をローラ長手中央部と中央部から90mmの位置の3点で測定し、最も大きな変形量を、帯電ローラのCセット量とした。
実施例1において、表面層形成材料1の量を表2−1に記載したように変えた以外は実施例1と同様にして帯電ローラを作成した。これらの帯電ローラについて実施例1と同様にして表面層が形成されていることが確認した。これらの帯電ローラについて実施例1と同様に評価した。
実施例1において下記の組成からなる表面層形成材料1を下記化学式(2)で示されるジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名:NKエステル AD−TMP、新中村化学工業社製、SP値22.2(MPa)1/2)(以降「表面層形成材料2」)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。表面層形成材料2の硬化温度は178℃であった。この帯電ローラについて実施例1と同様に表面層が形成されていることを確認した。また、この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
連続炉での加熱処理を、初めに120℃、30分、続いて185℃、30分実施し、後半の熱処理で弾性体層の加硫と表面層の硬化を同時に行い、電子線照射を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、帯電ローラを得た。上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様に表面層の確認を行った。その結果、表面層が形成されていることが確認出来た。また、上記の帯電ローラを使用し、実施例1と同様に耐久画像評価とセット画像評価を実施した。
実施例1における表面層形成材料1を下記化学式(3)で示されるトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:NKエステルA−TMPT、新中村化学工業社製、SP値19.8(MPa)1/2)(以降、表面層形成材料3)に変え、添加量を10質量部とした。それら以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。表面層形成材料3の硬化温度は174℃であった。この帯電ローラについて実施例1と同様にして表面層が形成されていることを確認した。また、この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
実施例1においてNBRをブタジエンゴム(商品名:NipolBR1220L、日本ゼオン製、SP値17.6(MPa)1/2)に変えた以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
実施例1における表面層形成材料1を下記一般式(4)で表されるラウリルアクリレート(商品名:NKエステルLA、新中村化学工業社製、SP値17.6(MPa)1/2)(以降、表面層形成材料4)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。表面層形成材料4の硬化温度は177℃であった。比較例1の帯電ローラについて実施例1と同様にして表面層が形成されていることを確認した。また、この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
実施例1における表面層形成材料1を下記一般式(5)で表されるフェノキシエチルアクリレート(商品名:NKエステルAMP−10G、新中村化学工業社製、SP値20.3(MPa)1/2)(以降、表面層形成材料5)とし、添加量を5質量部とした。それら以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。
実施例1における表面層形成材料1を下記一般式(6)で表されるネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名:NKエステルA−NPG、新中村化学工業社製、SP値18.8(MPa)1/2)(以降、表面層形成材料6)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。表面層形成材料6の硬化温度は174℃であった。この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
比較例3においてNBRをブタジエンゴム(商品名:NipolBR1220L、日本ゼオン製)に変えた以外は比較例3と同様にして帯電ローラを得た。得られた帯電ローラについて実施例1と同様に評価した。
実施例1における表面層形成材料1を下記一般式(7)で表される1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステルA−HD、新中村化学工業社製、SP値19.9(MPa)1/2)(以降、表面層形成材料7)に変えた。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラを得た。表面層形成材料7の硬化温度は177℃であった。この帯電ローラを実施例1と同様に評価した。
11 導電性支持体
12 導電性弾性層
13 表面層
Claims (5)
- 支持体の外周に導電性弾性層を有し、該導電性弾性層の外周に表面層を有する帯電部材の製造方法であって、
(1)3官能以上の硬化性アクリルモノマーとベースポリマーとを含む混合物を調製する工程と、
(2)該混合物の層を該支持体の周面に形成する工程と、
(3)該硬化性アクリルモノマーをブリードさせて、該混合物の層の表面に移行させる工程と、
(4)該混合物の層の表面に移行した該硬化性アクリルモノマーを硬化させて該表面層を形成すると共に、該ベースポリマーを架橋させて導電性弾性層を形成する工程とを有することを特徴とする帯電部材の製造方法。 - 前記ベースポリマーと前記アクリルモノマーとのSP値(Solubility Parameter)の絶対値差が1.5((MPa)1/2)〜2.5((MPa)1/2)である請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記工程(3)が、前記混合物の層を、前記硬化性アクリルモノマーの硬化温度よりも低い温度で加熱する工程を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
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