JP2005200629A - 成形品成形用重合体組成物、成形品、親水性成形品及びその製造方法並びに積層品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本組成物は、(A)熱可塑性重合体と、(B)成形体表面にブリードアウト可能なアルコキシシラン及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物とを含み、上記シラン化合物(B)の含有量は、上記熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、SiO2換算で、0.1〜50質量部であり、且つ、上記熱可塑性重合体(A)100質量部及び上記シラン化合物(B)3質量部からなる成形品に対し、水を接触させた後の、上記成形品の表面における水滴接触角が、60度以下である。
【選択図】 図1
Description
また、特許文献5には、特定のポリアルコキシシロキサンと、アクリル樹脂等とを含む被膜形成用組成物、塗料組成物及び水系エマルション形成用組成物が開示されている。
1.(A)熱可塑性重合体と、(B)成形体表面にブリードアウト可能なアルコキシシラン及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物とを含み、上記シラン化合物(B)の含有量は、上記熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、SiO2換算で、0.1〜50質量部であり、且つ、上記熱可塑性重合体(A)100質量部及び上記シラン化合物(B)3質量部からなる成形品に対し、水を接触させた後の、上記成形品の表面における水滴接触角が、60度以下であることを特徴とする成形品成形用重合体組成物。
2.上記熱可塑性重合体(A)の溶解度パラメーター(SA)と、上記シラン化合物(B)の溶解度パラメーター(SB)との関係が、|SA−SB|≧0.2である上記1に記載の成形品成形用重合体組成物。
3.上記シラン化合物(B)の重量平均分子量が300〜3,000である上記1又は2に記載の成形品成形用重合体組成物。
4.更に、触媒及び希釈剤のうちの少なくとも1種を含有する上記1乃至3のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物。
5.含水率が0.2質量%以下である上記1乃至4のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物。
6.上記1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形されたことを特徴とする成形品。
7.薄肉部の最小厚さが35μm以上である上記6に記載の成形品。
8.上記1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形品とする成形工程と、上記成形品の表面からシラン化合物(B)をブリードアウトさせるブリードアウト工程と、上記成形品に水を接触させる水接触工程とを備えることを特徴とする親水性成形品の製造方法。
9.上記水接触工程は、上記成形品に含まれるシラン化合物(B)の加水分解により生成するシラノール基を、上記成形品の表面に形成する上記8に記載の親水性成形品の製造方法。
10.上記1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形品とする成形工程と、上記成形品の表面に放射線処理及びコロナ放電処理から選ばれる少なくとも1種の処理工程とを備えることを特徴とする親水性成形品の製造方法。
11.上記8乃至10のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とする親水性成形品。
12.本親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である上記11に記載の親水性成形品。
13.薄肉部の最小厚さが35μm以上である上記11又は12に記載の親水性成形品。
14.本親水性成形品を、大気中、室温で9時間乾燥し、その後、23℃の水中で、15時間浸漬する処理を、50回連続で繰り返した後の、該親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である上記11乃至13のいずれかに記載の親水性成形品。
15.本親水性成形品の表面を、エタノールで洗浄し、その後、23℃の水中で、1時間浸漬した後の、該親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である上記11乃至14のいずれかに記載の親水性成形品。
16.基部と、該基部の表面に配設され且つ上記1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形された部材とを備えることを特徴とする積層品。
17.上記部材の表面における水滴接触角が60度以下である上記16に記載の積層品。
上記シラン化合物(B)の重量平均分子量が300〜3,000である場合には、成形品の表面により効率的ににじみ出させることができる。
特に、含水率が0.2質量%以下である場合には、成形品の表面にシラン化合物(B)を効率的ににじみ出させ、使用時に水に接触する等により加水分解されることでシラノール基を効率的に生成させることができ、その結果、表面の永続的な親水性を付与することができる。
本発明の親水性成形品は、その表面が優れた親水性を有する。また、親水性付与剤を表面に被覆する場合と比較して、長期に渡って親水性を維持することができる。
本発明の積層品は、基部と、上記基部の表面に配設され、且つ、上記成形品成形用重合体組成物を用いて成形された部材とを備えることから、部材表面において優れた親水性を有する。また、親水性付与剤を表面に被覆する場合と比較して、長期に渡って親水性を維持することができる。
1.成形品成形用重合体組成物
本発明の成形品成形用重合体組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、(A)熱可塑性重合体と、(B)成形体表面にブリードアウト可能なアルコキシシラン及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物とを含み、上記シラン化合物(B)の含有量は、上記熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、SiO2換算で、0.1〜50質量部であり、且つ、上記熱可塑性重合体(A)100質量部及び上記シラン化合物(B)3質量部からなる成形品に対し、水を接触した後の、上記成形品の表面における水滴接触角が、60度以下であることを特徴とする。
エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ウレタン系エラストマー;塩ビ系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;フッ素ゴム系エラストマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記スチレン・ブタジエンブロック共重合体及び上記スチレン・イソプレンブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有するものも含まれる。更に、上記水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン・ブタジエンランダム共重合ブロックを有する重合体の水素化物、1,2−ビニル結合含有量が20質量%以下のポリブタジエンブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックとからなる重合体の水素化物等が含まれる。
上記ゴムは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系化合物;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合物;ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有不飽和化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。
これら他のビニル系化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記スチレン系樹脂として、(i)を含むものとする場合には、上記スチレン系樹脂中の、ゴム質重合体の含有割合は、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。また、上記スチレン系樹脂のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.3〜1.5dl/gである。
上記スチレン系樹脂は、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等により製造することができる。グラフト共重合体のグラフト率は、好ましくは5〜200質量%、更に好ましくは5〜150質量%である。
このシラン化合物(B)は、本発明の組成物を用いて成形された成形品の表面にブリードアウト可能なアルコキシシラン及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種である。ブリードアウトは、成形品を室温に静置することにより、あるいは、適宜、加熱することにより発生する。
(R1O)4−n−Si−R2 n (I)
〔式中、R1は、各々、独立して炭素数が1〜10の、直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R2は、各々、独立してハロゲン原子又は有機基であり、nは0、1又は2である。〕
脂肪族の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
脂環族の炭化水素基としては、シクロプロピル機、シクロブチル基、シクロへキシル基等が挙げられる。
芳香族の炭化水素基としては、アリール基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
尚、上記炭化水素基は、置換基を有してもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エーテル基等を有する炭化水素基であってもよい。
また、上記一般式(I)において、R1が複数ある場合、各R1は同一の炭化水素基でもよいし、異なる炭化水素基でもよい。
この炭化水素基は、脂肪族、脂環族及び芳香族のいずれであってもよく、上記R1として例示したものを適用することができる。また、アルコキシル基としては、上記R1を用いて表される−OR1を適用することができる。尚、上記炭化水素基及びアルコキシル基は、置換基を有してもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エーテル基等を有する炭化水素基及びアルコキシル基であってもよい。
上記一般式(I)におけるR1が脂肪族の炭化水素基であり、且つ、n=0である場合、R1の炭素数は、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。従って、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
また、上記一般式(I)におけるR1が脂肪族の炭化水素基であり、R2が有機基であり、且つ、n=1である場合、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
更に、上記一般式(I)におけるR1が脂肪族の炭化水素基であり、R2が有機基であり、且つ、n=2である場合、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。
本発明において、上記アルコキシシランとしては、上記一般式(I)におけるR1が脂肪族の炭化水素基であり、R2が有機基であり、且つ、n=1である化合物が好ましい。
上記アルコキシシランは、シラン化合物(B)として、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
R3O[Si(OR3)2−O]m−R3 (II)
この一般式(II)におけるR3は、上記一般式(I)におけるR1と同様とすることができる。
上記一般式(II)におけるR3は、各R3は同一の炭化水素基でもよいし、異なる炭化水素基でもよい。縮合の程度は、R3の炭化水素基の炭素数が1又は2である場合、通常、2〜10量体、好ましくは2〜6量体、更に好ましくは2〜4量体である。また、R3の炭化水素基の炭素数が3〜6である場合、通常、2〜10量体、好ましくは2〜8量体、更に好ましくは4〜8量体である。
尚、上記アルコキシシランの縮合物は、上記一般式(II)においてR3の一部が水素原子であってもよい。このようなシラノール基の含有割合は、縮合前のアルコキシル基の全量に対して、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。上記シラノール基の含有量をこの範囲とすることにより、アルコキシシランの縮合物が結晶状態となることを抑制することができる。
本発明において、上記アルコキシシランの縮合物としては、上記一般式(II)におけるR3が炭素数3〜6の炭化水素基であり、且つ、4〜8量体である化合物が好ましい。
上記アルコキシシランの縮合物は、シラン化合物(B)として、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アルコキシシランと、アルコキシシランの縮合物とを組み合わせて用いることもできる。
また、上記シラン化合物(B)として、アルコキシシランの縮合物を用いる場合、本発明の組成物中の含有量(SiO2換算)は、熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.1〜40質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。
更に、上記シラン化合物(B)として、アルコキシシランと、アルコキシシランの縮合物とを組み合わせて用いる場合、本発明の組成物におけるこれらの合計量(SiO2換算)は、熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.5〜30質量部、更に好ましくは0.5〜20質量部である。尚、これらアルコキシシラン及びその縮合物の混合割合は特に限定されないが、熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、通常、0〜30質量部/0.1〜40質量部、好ましくは0〜10質量部/0.5〜30質量部である。
上記シラン化合物(B)の含有量が0.1質量部未満であると、成形品の表面に親水性が発現しにくくなる傾向にあり、一方、50質量部を超えると、上記シラン化合物(B)自身が反応(縮合等)することによりゲル化物が生成し易くなり、その結果、親水性が低下するので好ましくない。
これらの他のシラン化合物を用いる場合の含有量は、熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、SiO2量換算で、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記希釈剤は、上記シラン化合物(B)の希釈に用いるものであり、縮合反応を抑制することができる。この希釈剤としては、特に限定されないが、ヒドロキシル基を有する希釈溶剤が好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤;炭素数8以上、好ましくは12以上、より好ましくは18以上の高級アルコール等が挙げられる。尚、これらの希釈剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、充填剤(無機化合物、金属粉末、高分子化合物等)、補強剤、可塑剤、相溶化剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(染料、顔料等)、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤等が挙げられる。
各添加剤の含有量は、本発明の組成物を100質量%とした場合、通常、0.01〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
尚、組成物の含水率は、カールフィッシャー法等の方法により測定することができる。
<条件>
縦150mm、横30mm及び厚さ300μmのシート状成形品を試験片として用い、23℃の水(使用量は、シートの体積の3倍量である。)に1時間浸し、取り出した後、成形品表面の水を拭き取らずに、気温23℃及び湿度30〜50%の空気中に1時間放置し、乾燥する。その後、成形品の表面に、水滴0.2ccを滴下し、23℃、空気雰囲気下、滴下から30秒経過後の接触角を測定する。測定装置としては、協和界面科学社製の全自動接触角測定器等がある。
固体の物質は、ペレット等の塊状であってもよいし、粉末状であってもよい。粉末状である場合には、より効率的に且つ均一に分散させやすく、好ましい。
前者の場合における原料組成物の調製方法としては、室温で、粉末状の熱可塑性重合体(A)に、シラン化合物(B)を含浸させる方法等が挙げられる。また、原料組成物は、混練装置に一括して投入してもよいし、分割して投入してもよい。
混練装置としては、押出機、ブラベンダー等が挙げられる。
グリコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等が挙げられる。
また、エーテル類として、エチルエーテル、ブチルエーテル、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジオキサン、フラン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
また、下記で説明する混練装置内でこの熱可塑性重合体のみを溶融混練させながら、適宜水蒸気を排気してもよい。
尚、この製造方法においては、混練物を取り出した後、更に、混練物を水分(水蒸気)の存在しないところで貯蔵する貯蔵工程を備えることができる。この貯蔵工程においては、例えば、窒素ガス等の雰囲気下で密閉可能な容器、袋等に収容させることができる。水分の存在しないところで、貯蔵することにより、成形品を製造した際に、後述する各種処理後に親水性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、上記の成形品成形用重合体組成物を用いて成形されたことを特徴とする。組成物の含水率が、例えば、0.2質量%以下等と低い場合には、製造される成形品の含水率も低くなる。本発明の成形品は、熱可塑性重合体(A)と、シラン化合物(B)とからなるものであってもよいし、更に他の添加剤を含むものであってもよい。本発明の成形品の形状は特に限定されず、目的、用途等に応じたものとすることができる。成形品の例は後述する。
成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、スラッシュ成形、蒸気発泡成形、積層成形、カレンダー成形等が挙げられる。
尚、熱可塑性重合体(A)自体に透明性を有する場合には、シラン化合物(B)の含有量に関わらず、成形品も透明性を有する。
上記熱可塑性重合体(A1)は、上記熱可塑性重合体(A)において例示したものを用いることができる。好ましい形状は、ペレット状あるいは粉末状である。この熱可塑性重合体(A1)の水分量を0.2質量%とするためには、原料組成物(S1)とする前に、真空加熱乾燥等の方法によって調整することができる。また、混練装置内でこの熱可塑性重合体(A1)のみを溶融混練させながら、適宜水蒸気を排気してもよい。
また、シラン化合物(B1)は、上記シラン化合物(B)において説明したものを用いることができる。シラン化合物(B1)の重量平均分子量も、上記シラン化合物(B)と同様とすることができる。
上記原料組成物(S1)が混練された後、公知の成形方法によって成形品を得ることができる。
上記熱可塑性重合体(A2)は、上記熱可塑性重合体(A)において例示したものを用いることができる。好ましい形状は、ペレット状あるいは粉末状である。
また、シラン化合物(B2)は、上記シラン化合物(B)において説明したものを用いることができる。シラン化合物(B2)の重量平均分子量も、上記と同様とすることができる。
上記成形工程としては、公知の成形方法の適用によるものとすることができる。
成形品の含水率を低くする場合には、熱可塑性重合体(A)の融点を超える温度で混練しても、シラン化合物(B)が変質することがない。即ち、水分量が多いと、シラン化合物(B)が水と反応して二酸化ケイ素等を生成し、所望の含有量を維持できなくなるが、これを防ぐことができる。従って、熱可塑性重合体(A)が透明性を有する場合には、二酸化ケイ素等が白色を有するために、白化した成形品となってしまうが、熱可塑性重合体(A)の水分量を低下させることで、これを防ぐことができる。
本発明の親水性成形品の製造方法(以下、「親水性成形品の製造方法(I)」ともいう。)は、上記の成形品成形用重合体組成物を用いて成形品(以下、「未処理成形品」という。)とする成形工程と、上記未処理成形品の表面からシラン化合物(B)をブリードアウトさせるブリードアウト工程と、上記成形品に水を接触させる水接触工程とを備えることを特徴とする。この方法によると、表面からブリードアウトしたシラン化合物(B)が加水分解されてシラノール基が形成された成形品を得ることができる。
このブリードアウトの程度は、熱可塑性重合体(A)と、シラン化合物(B)との相溶性、熱可塑性重合体(A)の種類及び性質(結晶性、ガラス転移点)、添加剤(例えば、充填剤等)の種類等によって影響を受ける。
例えば、未処理成形品が、分子の小さいシラン化合物(B)、あるいは、炭素数が少ないアルコキシル基を有するシラン化合物(B)を含む場合には、ブリードアウトが比較的早い。一方、未処理成形品が、分子の大きなシラン化合物(B)、あるいは、炭素数の多いアルコキシキル基を有するシラン化合物(B)を含む場合、未処理成形品が充填剤等の添加剤にシラン化合物(B)を含浸させて製造されたものである場合には、ブリードアウトが比較的遅くなる。後者の場合、例えば、ゼオライト等からなる充填剤を用いた場合顕著である。従って、上記の因子を適宜調整することによってブリードアウトを制御することができ、その結果、得られる親水性成形品の親水性を適宜調整することができる。
水は、日常入手できるものであれば、水道水等であっても好ましく用いることができる。また、目的、用途等によって、脱イオン水、蒸留水、超純水等を用いることもできる。
水は、入手したものをそのままの状態(温度、雰囲気等)で用いてもよいし、加温してから用いてもよい。また、水の使用量も特に限定されず、未処理成形品の所望の位置を濡らす程度の量でもよいし、大型の容器内に入るほどの大量であってもよい。
また、上記成形工程の後、ブリードアウト工程を省略して、水接触工程へと進めることもできる。この水接触工程は、複数回行ってもよい。
即ち、上記各工程を経て得られた本発明の親水性成形品の表面は、未処理成形品の表面に比べ、ブリードアウトしたシラン化合物(B)の少なくとも一部(通常、シラン化合物(B)が有するアルコキシル基の20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上)が加水分解して生成したシラノール基が豊富に存在する。このシラノール基は、水に対して親和性が高いので、好適な親水性成形品とすることができる。尚、シラノール基の存在割合が高いほど、優れた親水性の持続性も向上する。
本発明の親水性成形品の製造方法(II)における成形工程は、上記の親水性成形品の製造方法(II)と同様とすることができる。
放射線処理としては、公知の電子線照射装置、紫外線照射装置等を用いた、電子線照射、紫外線照射、イオン照射等の方法が挙げられる。これらのうち、電子線照射が好ましい。尚、処理条件は、特に限定されない。
また、コロナ放電処理も、公知の装置を用いて行うことができる。尚、処理条件は、特に限定されない。
更に、その他の方法として、エキシマーランプの照射等を適用することによって、表面改質を行うこともできる。
尚、本発明において、放射線処理及びコロナ放電処理は、いずれか一方のみ行ってよいし、両方行ってもよい。両方行う場合は、その順序は限定されない。また、処理を複数回行ってもよい。更に、本発明の親水性成形品の製造方法(I)における水接触工程を組み合わせてもよい。
尚、親水性成形品の表面に存在するシラノール基は、エタノールによる洗浄によって、それを含む成分自体が消失する等によって量的に減少する場合があるが、新たに水に浸漬することによって、シラノール基が再生成されて、上記の接触角が得られる。
成形品が肉厚であるほど、単位面積あたりのシラン化合物(B)の含有割合が多くなるため、表面に生成したシラノール基が使用時に摩耗等により消滅した場合であっても、シラン化合物(B)の新たな供給が容易である。
本発明の親水性成形品において、単位面積あたりのシラン化合物(B)の含有量は、好ましくは0.35mg/cm2以上、より好ましくは0.4〜2mg/cm2である。尚、成形品の密度を1g/cm3とする。上記範囲にあれば、親水性の持続性に優れる。
シラン化合物(B)の含有量が十分であり、親水性成形品の表面に安定した固膜(シラノール基含有膜)が形成されている場合には、上記のような、持続性能、あるいは、エタノール等の有機溶剤に対する耐性にも優れており、新たに加水分解縮合を要することなく、表面の親水性を維持することができる。
しかしながら、シラン化合物(B)の含有量が十分ではなく、水、有機溶剤等による処理、物理的な接触等により、生成しているシラノール基が消失してしまうと、成形品の断面方向においてシラン化合物(B)の濃度差が生じるため、それを補おうとしてシラン化合物(B)が新たに表出しようとする。その際、更に水接触工程を進めることにより、親水性が再現される。
本発明の成形品及び親水性成形品は、使用条件、環境等によっては、表面が傷付いたり、摩耗したりすることがあるが、水に接触するのみで、所定の親水性を再現することができるので、同じ性能を長期に渡って維持することができる。
尚、本発明の親水性成形品は、必要に応じて、印刷、塗装、メッキ、接着等の加工を施すこともできる。
本発明の積層品は、基部と、上記基部の表面に配設され、且つ、上記成形品成形用重合体組成物を用いて成形された部材とを備える。この部材に対して、上記親水性成形品の製造方法における水接触工程等を行うことにより、積層品の部材表面を親水性にすることができる。従って、従来技術のように、基部の表面に親水性付与材料を形成した積層品に比べ、親水性の持続性に優れる。
尚、上記部材は、図1のように、上記基部の表面の一部にあってよいが、全面にあってもよい。
構成材料としては、熱可塑性重合体(エラストマー、ゴム、樹脂等)、熱硬化樹脂、木材、無機材料(金属、非金属、セラミック、大理石等)等が挙げられる。また、形状は、板状、線状、塊状等とすることができる。
また、本発明の積層品は、例えば、看板、パネル、各種容器、家電製品及びその部品、車両用部材等が挙げられる。更に、本発明の積層品は、上記部材に含まれるシラン化合物(B)の加水分解により生成したシラノール基による親水性を継続的に発現する性質を有することから、水と接触する製品や屋外に設置される製品、これらの部品等に好適に使用することができる。例えば、便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの備品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品、窓枠、床材、壁材等の住宅、住設関連部品等が特に好適である。
尚、本発明の積層品は、表面に、予め、親水性を有する部材を備える積層品であってもよい。その場合には、部材の表面における水滴接触角は、好ましくは60度以下、より好ましくは5〜60度、更に好ましくは5〜30度である。
実施例1−1
シラン化合物(I)として、テトラn−ブチルシリケート(商品名「シリケートMS58B30」、三菱化学社製、重量平均分子量1,500〜1,800)を4部(SiO2換算)、また、熱可塑性重合体(I)として、パウダー状のABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、商品名「テクノABS830」、テクノポリマー社製)を100部、室温にてヘンシェルミキサーを用いて均一に攪拌混合した後、40mm押出機を用いて200℃で溶融混練しペレットを得た。その後、該ペレットをシート成形機に投入して、幅20cm及び厚さ2mmのシート状の成形体を得た。
親水性成形品の親水性の評価は、下記方法による接触角をもって行った。即ち、親水性成形品の表面に、水滴0.2ccを滴下し、23℃、空気雰囲気下、滴下から30秒経過後の接触角を全自動接触角測定器(協和界面科学社製)により測定した。
シラン化合物(I)及び熱可塑性重合体(I)の配合割合、並びに、表面処理(i)の条件を表1に示すようにした以外は、実施例1−1と同様にして親水性成形品を製造し、親水性の評価を行った。
シート状の成形体とするための原料成分として、更にゼオライト(商品名「モレキュラーシーブ3A(パウダー)」、ユニオン昭和社製)を用い、各配合割合、並びに、表面処理(i)の条件を表1に示すようにした以外は、実施例1−1と同様にして親水性成形品を製造し、親水性の評価を行った。
上記熱可塑性重合体(I)のみからなるシート状の成形体に対し、表2の条件で表面処理(i)を行い、親水性の評価を行った。
シラン化合物(I)、熱可塑性重合体(I)及び上記ゼオライトの配合割合を表2に示すようにした以外は、実施例1−3と同様にして親水性成形品を製造し、親水性の評価を行った。尚、得られた親水性成形品の表面には、白濁が観察された。
比較例1−1で用いたシート状の成形体の表面に、上記シラン化合物(I)及び上記水/エタノール混合溶媒の混合物(質量比1:1)を霧吹きにより塗布した。その後、一定時間室温下で放置することにより自然乾燥し(以下、「表面処理(ii)」という。)て親水性成形品を製造し、親水性の評価を行った(表2参照)。尚、得られた親水性成形品の表面には、白濁が観察された。
ここで、表2における表面処理(ii)の処理時間の欄の数字は、噴霧を行った時間(秒)を意味する。
比較例1−1で用いたシート状の成形体の表面に、上記シラン化合物(I)及び上記水/エタノール混合溶媒の混合物(質量比1:1)を霧吹きにより塗布した。その後、表2の条件で表面処理(ii)及び上記表面処理(i)を続けて行い、上記と同様にして親水性成形品を製造し、親水性の評価を行った。
実施例2−1
オーブンを用い、80℃で16時間乾燥させ、精密微量水分計(型名「CZA−3100」、チノー社製)による含水率を0.01%以下としたパウダー状の上記熱可塑性樹脂(I)100部及び上記シラン化合物(I)3部をヘンシェルミキサーに入れ、均一に攪拌混合した。その後、ベント口を閉ざした30mm押出機(型名「TEX30」、日本製鋼所社製)を用い、シリンダー温度200℃及び滞留時間4分間として溶融混練し、ホットカット方式でペレット(重合体組成物)を作製し、密閉容器内に収容した。
その後、このペレットを用い、ダイス幅250mmとしたTダイ押出成形機(創研社製)により、成形温度200℃で、幅200mm及び厚さ1mmのシート状成形体を得た。
(1)接触角
上記シート状成形体に、水・エタノール混合液(質量比1:1)を、霧吹きにより吹きつけ、室温で24時間静置し、自然乾燥させた。その後、実施例1−1と同様にして23℃における接触角を測定した。
(2)ヘイズ(曇価)
ヘイズ測定器(型名「hazegard−plus」、ビックケミージャパン社製)により測定した。
シラン化合物(I)の配合量を6部とした以外は、実施例2−1と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価した。その結果を表3に併記した。
上記精密微量水分計による含水率が0.45%であるペレット状のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(商品名「テクノABS810」、テクノポリマー社製、以下、「熱可塑性重合体(II)」ともいう。)6kgを、上記押出機により、シリンダー温度200℃及び滞留時間2分間として溶融混練し、ベント口から水蒸気を吸引(730mmHg)して脱水乾燥させた。その後、シラン化合物(I)0.18kgを、プランジャーポンプ(型名「2MC051−75V」、FUJI PUMP社製)により注入し、更に2分間混練し、重合体組成物を得た。また、実施例2−1と同様にしてシート状成形体を得た。これらの評価も上記と同様にして行い、その結果を表3に併記した。
シラン化合物(I)の配合量を6部とした以外は、実施例2−3と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
上記精密微量水分計による含水率が0.45%であるペレット状の熱可塑性樹脂(I)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
押出機のベント口を開き、ベント口から水蒸気を吸引(730mmHg)して脱水乾燥させた以外は、実施例2−5と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
押出機のベント口を閉じた以外は、実施例2−3と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
シラン化合物(I)を用いなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
押出機のベント口を閉じ、シラン化合物(I)を注入しなかった以外は、実施例2−3と同様にして重合体組成物及びシート状成形体を製造し、評価を行った。その結果を表3に併記した。
一方、実施例2−1では、含水率が0.01%以下であるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を用いたため、接触角が35度であり、親水性に優れる。30日経過すると、31度とわずかに良化した。ヘイズは3.5%であり、透明性も高かった。実施例2−2は、シラン化合物(アルコキシシランの縮合物)の使用量を増やした例であり、ヘイズはわずかに低下したが十分に透明であった。また、接触角が33度であり、実施例2−1よりも親水性が高くなった。実施例2−3は、ベント口を開いた状態でアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を溶融し、その水分量を減らしてからシラン化合物(アルコキシシランの縮合物)を添加した例であり、実施例2−1よりも更に接触角が小さく、ヘイズも良化した。本実施例においては、いずれも永続的な親水性を有するものと確認された。
実施例3−1
上記実施例1−1で用いた、Smart式による溶解度パラメーター(以下、「SP値」ともいう。)が10.3の熱可塑性樹脂(I)100部と、シラン化合物(II)として、SP値が8.2のテトラn−ブチルシリケート(商品名「シリケートMS58B15」、三菱化学社製、重量平均分子量1,600〜1,800)3部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に攪拌混合した後、40mm押出機用いて200℃で溶融混練しペレットを得た。その後、該ペレットをシート成形機に投入して、縦150mm、横30mm及び厚さ300μmのシート(以下、「未処理シート」ともいう。)を作製した。この未処理シートの、単位面積あたりのシラン化合物(II)の含有量は、0.9mg/cm2であり、表面の接触角は80度であった。
上記未処理シートに対して前処理を行い、親水性シートを得た。まず、上記未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した。このときのシート表面の接触角は70度であった。その後、シートを23℃の水(使用量は、シートの体積の3倍量である。)に22時間浸し、取り出した後、シート表面の水を拭き取らずに、気温23℃及び湿度50%以下の空気中に2時間放置し、乾燥した(以下、この処理を「水浸漬」ともいう。)。このときの親水性シート表面の接触角は45度であった(表4参照)。また、この親水性シートの表面に、水の膜を形成させて濡れの状態を目視観察し、一様に濡れていない場合を「ムラ有」、一様に濡れた場合を「ムラ無」と判定した。
(3)エタノール処理(エタノール拭き取り)
エタノールを含浸させたガーゼを用いて、親水性シートの表面を3回ぬぐい、23℃で1分間乾燥した。
(4)エタノール処理後の再度の水浸漬
上記(3)による処理の後、再度水浸漬を行った。
(5)乾湿サイクル試験
親水性シートの親水性表面の堅牢性を見るため、1サイクルを、気温23℃及び湿度50%以下の空気中に9時間放置して乾燥させ、次いで、23℃の水(使用量は、シートの体積の3倍量である。)に15時間浸す工程を50回繰り返した。
熱可塑性樹脂(I)100部及びシラン化合物(II)3部を用い、実施例3−1と同様にして、厚さ100μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートに対して、実施例3−1と同じ前処理を行い、親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行った。その結果を表4に示した。
熱可塑性樹脂(I)100部及びシラン化合物(II)3部を用い、実施例3−1と同様にして、厚さ50μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は
80度であった。この未処理シートに対して、実施例3−1と同じ前処理を行い、親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表4に示した。
シラン化合物(II)の使用量を8部とした以外は、実施例3−3と同様にして未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートに対して、実施例3−1と同じ前処理を行い、親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行った。その結果を表4に示した。
熱可塑性樹脂(I)100部及びシラン化合物(II)8部を用い、実施例3−1と同様にして、厚さ30μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は
80度であった。この未処理シートに対して、実施例3−1と同じ前処理を行い、親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行った。その結果を表4に示した。
実施例3−1で作製した未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、下記条件で、シートの表面に電子線を照射し、親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行った。その結果を表4に示した。
<電子線照射条件>
装置 ; EC250/15/180L型(アイ・エレクトロビーム社製)
加速電圧 ; 125kV
ビーム電流 ; 3.46mA
照射線量 ; 100.0kGy。
実施例3−1で作製した未処理シートに対して、実施例3−1と同じ前処理を行い、更に、実施例3−6と同じ条件で電子線照射を行うことで親水性シートを得た。この親水性シートに対して、上記処理(3)〜(5)を行い、その結果を表4に示した。
熱可塑性重合体(VII)として、下記に記載の方法で製造した、SP値が11.1のアクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA)樹脂100部と、SP値が8.3のシラン化合物(I)5部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ150μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、水浸漬を2回繰り返すことで親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表5に示した。
<ASA樹脂の製造方法>
まず、アクリル酸n−ブチル99%及びアリルメタクリレート1%を乳化重合することにより得られたアクリル系ゴム質重合体50部を含むラテックスと、水200部(合計量)と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部とを反応器に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら60℃に昇温した。60℃に達した後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を溶解した水溶液を反応系に添加し、その直後、スチレン38部、アクリロニトリル12部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.6部の混合溶液を3時間に渡って連続添加し、重合を行った。重合転化率は96%であった。その後、得られたラテックスより、反応生成物(重合体)を凝固、洗浄及び乾燥し、粉末状の樹脂(p1)を得た。グラフト率は55%であった。
一方、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを用いて、溶液重合を行い、結合メタクリル酸メチル含量72%、スチレン含量21%及びアクリロニトリル含量7%の共重合体(p2)を得た。極限粘度〔η〕は、0.5dl/gであった。
ASA樹脂は、樹脂(p1)及び共重合体(p2)を質量比4/6で混合することにより得た。
実施例3−8で得た未処理シートに対して、実施例3−7と同じ前処理を行うことで親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表5に示した。
熱可塑性重合体(VI)として、SP値が12.8のポリエチレンテレフタレート樹脂(商品名「IS404」、MCC社製)100部と、シラン化合物(I)3部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ150μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、水浸漬を2回繰り返すことで親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行い、その結果を表5に示した。
熱可塑性重合体(III)として、SP値が11.1のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(商品名「テクノABS150」、テクノポリマー社製)17.4部と、熱可塑性重合体(IV)として、SP値が10.7のスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(商品名「TR2500」、JSR社製)13部と、熱可塑性重合体(V)として、SP値が7.9のポリプロピレン樹脂(商品名「FY6C」、JPP社製)69.6部と、シラン化合物(I)5部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ150μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、水浸漬を3回繰り返すことで親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行い、その結果を表5に示した。
熱可塑性重合体(V)100部と、シラン化合物(I)5部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ150μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、水浸漬を35回繰り返すことで親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表5に示した。
熱可塑性重合体(V)100部と、シラン化合物(III)として、SP値が8.1のテトラメチルシリケート(商品名「シリケートMS41」、三菱化学社製、重量平均分子量400〜600)5部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ150μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、水浸漬を10回繰り返すことで親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表5に示した。
熱可塑性重合体(VII)100部と、シラン化合物3部とを用い、実施例3−1と同様にして、厚さ300μmの未処理シートを作製した。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートを気温23℃及び湿度80%以上の空気中に50日間放置することで親水性シートを得、接触角の測定及び表面状態を観察した。その結果を表5に示した。
実施例3−1で作製した未処理シートを気温23℃及び湿度50%以下の空気中に7日間放置した後、上記水浸漬に使用する水を硫酸水溶液(濃硫酸2部を水100部に溶解したもの)として実施例3−1と同様にして親水性シートを得、上記処理(3)〜(5)を行い、その結果を表5に示した。
熱可塑性樹脂(I)のみを用いて、実施例3−1と同様にして厚さ300μmの未処理シートを得た。この未処理シートの表面の接触角は80度であった。この未処理シートに対して水浸漬を50回行った後の接触角は80度であった(表6)。
実施例3−1で作製した未処理シートを気温23℃及び湿度20%以下の空気中に50日間放置し、シート表面の接触角を測定したところ、78度であった(表6)。
比較例3−1で作製した未処理シートを気温23℃及び湿度20%以下の空気中に50日間放置した後、実施例3−6と同じ条件で電子線照射を行うことで親水性シートを得た。この親水性シートの表面の接触角は69度であった。
比較例3−1で得たシート(厚さ300μm)の表面に、親水化材料として、シリケート配合親水性コーティング剤(商品名「シンスイフローMS1200」、大日本色材工業社製)を塗布し、乾燥して厚さ5μmの皮膜を形成し、親水性シートを得た。この親水性シートの表面の接触角は52度であった。また、上記処理(3)〜(5)を行い、その結果を表6に示した。
表4より、実施例3−2は、実施例3−1に比べて、フィルムの厚さが薄い(100μm)例であり、乾湿サイクル50回繰り返しても、シラノール基が消失せず、良好な親水性を維持したが、エタノール処理により、接触角が65度にまで低下した。その後、再度水浸漬することにより、もとの親水性を示した。
実施例3−5は、シラン化合物の含有量を増量したが、フィルムの厚さを30μmとしたものであり、エタノール処理により、親水性が低下したものの、再度水浸漬することにより、もとの親水性を示した。しかし、乾湿サイクルを50回繰り返した場合には、親水性がなくなった。
実施例3−6は、水浸漬を行わず、電子線により表面改質した例であり、実施例3−1よりも接触角の小さい、優れた親水性を有する表面を形成することができた。水浸漬と電子線照射を組み合わせた実施例3−7は、更に親水性が向上(接触角30度)した。
また、表5より、熱可塑性重合体の種類が異なっても、親水性に優れた成形品とすることができることが分かる。特に、実施例3−13のように、各成分のSP値を用いた差が0.2と小さい場合であっても、シラン化合物がブリードアウトし、水浸漬によりシラノール基が形成されたものと考えられる。
実施例3−14は、水浸漬を行わなかった例であり、湿度が80%以上と高い空気中に放置するのみで、親水性表面を形成することが可能であることが分かる。
Claims (17)
- (A)熱可塑性重合体と、(B)成形体表面にブリードアウト可能なアルコキシシラン及びその縮合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物とを含み、
上記シラン化合物(B)の含有量は、上記熱可塑性重合体(A)100質量部に対して、SiO2換算で、0.1〜50質量部であり、且つ、
上記熱可塑性重合体(A)100質量部及び上記シラン化合物(B)3質量部からなる成形品に対し、水を接触させた後の、該成形品の表面における水滴接触角が、60度以下であることを特徴とする成形品成形用重合体組成物。 - 上記熱可塑性重合体(A)の溶解度パラメーター(SA)と、上記シラン化合物(B)の溶解度パラメーター(SB)との関係が、|SA−SB|≧0.2である請求項1に記載の成形品成形用重合体組成物。
- 上記シラン化合物(B)の重量平均分子量が300〜3,000である請求項1又は2に記載の成形品成形用重合体組成物。
- 更に、触媒及び希釈剤のうちの少なくとも1種を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物。
- 含水率が0.2質量%以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形されたことを特徴とする成形品。
- 薄肉部の最小厚さが35μm以上である請求項6に記載の成形品。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形品とする成形工程と、該成形品の表面からシラン化合物(B)をブリードアウトさせるブリードアウト工程と、該成形品に水を接触させる水接触工程とを備えることを特徴とする親水性成形品の製造方法。
- 上記水接触工程は、上記成形品に含まれるシラン化合物(B)の加水分解により生成するシラノール基を、該成形品の表面に形成する請求項8に記載の親水性成形品の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形品とする成形工程と、該成形品の表面に放射線処理及びコロナ放電処理から選ばれる少なくとも1種の処理工程とを備えることを特徴とする親水性成形品の製造方法。
- 請求項8乃至10のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とする親水性成形品。
- 本親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である請求項11に記載の親水性成形品。
- 薄肉部の最小厚さが35μm以上である請求項11又は12に記載の親水性成形品。
- 本親水性成形品を、大気中、室温で9時間乾燥し、その後、23℃の水中で、15時間浸漬する処理を、50回連続で繰り返した後の、該親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である請求項11乃至13のいずれかに記載の親水性成形品。
- 本親水性成形品の表面を、エタノールで洗浄し、その後、23℃の水中で、1時間浸漬した後の、該親水性成形品の表面における水滴接触角が60度以下である請求項11乃至14のいずれかに記載の親水性成形品。
- 基部と、該基部の表面に配設され且つ請求項1乃至5のいずれかに記載の成形品成形用重合体組成物を用いて成形された部材とを備えることを特徴とする積層品。
- 上記部材の表面における水滴接触角が60度以下である請求項16に記載の積層品。
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JP (1) | JP2005200629A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011107547A (ja) * | 2009-11-20 | 2011-06-02 | Canon Inc | 帯電部材の製造方法 |
CN113912936A (zh) * | 2021-09-30 | 2022-01-11 | 成都金发科技新材料有限公司 | 一种增韧抗静电的聚丙烯组合物及其制备方法和应用 |
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2004
- 2004-09-17 JP JP2004272292A patent/JP2005200629A/ja active Pending
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CN113912936B (zh) * | 2021-09-30 | 2023-02-17 | 成都金发科技新材料有限公司 | 一种增韧抗静电的聚丙烯组合物及其制备方法和应用 |
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