JP6188423B2 - 帯電部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真装置等に用いられる帯電部材の製造方法に関する。
電子写真感光体などの被帯電体の接触帯電に用いられる帯電部材には、被帯電体との均一なニップを確保し、被帯電体の傷付きを防止するため、ゴムや熱可塑性エラストマー等を含む弾性層が設けられている構成が一般的である。そして、特許文献1は、被帯電体との間で十分なニップ幅を形成し得るだけの柔軟な表面を有すると共に、被帯電体にクリーニング不良を生じさせにくい帯電部材を開示している。
具体的には、導電性の支持体と表面層である弾性層とを有し、該弾性層は電子線の照射によって硬化された領域を表面に有し、該硬化された領域は、特定の球状の無機粒子を表面に露出した状態で支持し、それによって表面が粗面化されている帯電部材である。
特開2012−037875号公報
近年、環境負荷低減の観点から、長期に亘って使用された帯電部材の表面を洗浄する等により、新品と同程度の性能を回復させ、帯電部材を再利用することが検討されている。
そこで、本発明者は、長期に亘って使用された上記特許文献1に係る帯電部材の表面に付着した汚れを洗浄し、洗浄された帯電部材を再度プロセスカートリッジに組み込み、電子写真画像の形成を行った。その結果、被帯電体のクリーニング不良に起因する電子写真画像の品位の低下が認められる場合があった。なお、クリーニング不良とは、クリーニング部材(クリーニングブレード等)によって除去されるべき電子写真感光体の表面に存在する残留トナーが、クリーニング部材をすり抜けることを言う。クリーニング部材をすり抜けた残留トナーは、次の電子写真画像の形成サイクルによって形成される電子写真画像の品位を低下させることがある。
そこで本発明の目的は、再利用した場合にも、クリーニング不良を生じさせにくい帯電部材の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、長期に亘って安定して高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置の提供にある。
本発明の一態様によれば、導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有し、該硬化された領域は、球状樹脂粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該表面が粗面化されている帯電部材の製造方法であって、
(1−1)該支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとを含む加硫ゴム層を形成する工程と、
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程と、
(1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて該弾性層を形成する工程と、
を含む帯電部材の製造方法が提供される。
本発明によれば、長期間使用した場合や洗浄してリユースした場合にもクリーニング不良の発生を抑制した帯電部材の製造方法を得ることができる。また、本発明によれば、長期に亘って、安定して高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真装置を得ることができる。
帯電ローラの表面形態を示す模式図である。 帯電ローラの構成例を示す模式図である。 帯電部材を有する電子写真装置を示す構成図である。 電子線照射装置を示す構成図である。 帯電ローラの洗浄装置を示す構成図である。
本発明者は、上記特許文献1に係る帯電部材によって、クリーニング不良が発生した原因について検討を重ねた結果、その発生メカニズムを以下のように推定した。
まず、図3の帯電部材を有する電子写真装置の構成図を用い、電子写真画像形成プロセスを説明する。被帯電体としての電子写真感光体(以降、「感光体」と略)31は、導電性支持体31bと、支持体31b上に形成した感光層31aとからなり、円筒形状を有する。そして、軸31cを中心に図上時計周りに所定の周速度をもって駆動される。
帯電ローラ32は感光体31に接触配置されて感光体を所定の電位に帯電する。帯電ローラ32は、芯金32aと、芯金32a上に形成した弾性層31bとからなり、芯金32aの両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体31に押圧されており、感光体31の駆動に伴い従動回転する。電源33で摺擦電極33aにより、芯金32aの所定の直流電圧が印加されることで、感光体31が所定の電位に帯電される。
帯電された感光体31は、次いで露光手段34により、その周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。その静電潜像は、次いで、現像部材35により、トナー画像として順次に可視像化される。このトナー画像は、転写材37に順次転写されていく。転写材37は不図示の給紙手段部から感光体31の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって感光体31と転写手段36との間の転写部へ搬送される。転写手段36は転写ローラであり、転写材37の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで感光体31側のトナー画像が転写材37に転写される。表面にトナー画像の転写を受けた転写材37は、感光体31から分離されて不図示の定着手段へ搬送されてトナーが定着され、画像形成物として出力される。像転写後の感光体31の周面は、弾性ブレードに代表されるクリーニング部材38によって感光体31の表面に残留しているトナーなどが除去される。クリーニングされた感光体31の周面は次のサイクルの電子写真画像形成プロセスに移る。
上記の一連の電子写真画像の形成プロセスでは、帯電ローラと感光体との接触ニップ付近のギャップにおいて放電することによって、感光体の表面が帯電される。その際に、帯電ローラの近傍に発生する放電生成物や感光体の磨耗粉等が感光体の表面に付着する。そして、それらが帯電ローラと感光体とのニップ部において感光体の表面に押し付けられることによって感光体の表面に蓄積されていく。そして、感光体とクリーニング部材である弾性ブレードとの摩擦力が徐々に上昇していく。やがて、感光体と弾性ブレードとの間の高い摩擦力によって弾性ブレードが振動し始め、感光体表面の残留トナーが十分に除去できなくなっていく。その結果、次のサイクルの電子写真画像形成プロセスは、表面に残留トナーが付着した感光体の周面に行われることとなる。
ここで、感光体と弾性ブレードとの間の摩擦力の上昇は、弾性体からなる表面層を有する帯電ローラにおいて顕著に現れた。弾性体からなる表面層を有する帯電ローラは、その表面が柔軟であるため、表面に凹凸があっても感光体との当接により潰れやすく、帯電ローラと感光体とのニップ部における接触面積が大きくなる。よって、放電生成物等の摩擦力の上昇を引き起こす物質が、感光体の表面に固着し易いことによるものと考えられる。
そして、長期の使用によって表面にトナー等が付着した、特許文献1に係る帯電部材は、その表面を洗浄した結果、弾性層との密着性が低い無機微粒子が弾性層表面から脱落し、その表面が平滑化している。そのために、帯電ローラと感光体とのニップ部における接触面積が大きくなり、感光体表面に放電生成物等の摩擦力の上昇を引き起こす物質が固着したものと考えられる。
そこで、本発明者は、表面の洗浄工程によっても、表面に露出してなる球状粒子の脱落が抑制され、リユースされた際にもクリーニング不良を生じさせにくい帯電部材を得ることを目的として鋭意検討を行った。
その結果、下記(1−1)〜(1−3)の工程、または、下記(2−1)〜(2−4)の工程を経て形成されてなる帯電部材が上記の目的をよく達成できることを見出した。
(1−1)支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとを含む加硫ゴム層を形成する工程;、
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程;、
(1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて弾性層を形成する工程。
(2−1)前記支持体上に、不飽和結合を有する未加硫ゴムを含む未加硫ゴム層を形成する工程;
(2−2)該未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる工程;、
(2−3)該工程(2−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を加硫して、該球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層を形成する工程;、
(2−4)該工程(2−3)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が埋没した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて前記弾性層を形成する工程。
上記の工程(1−1)〜(1−3)又は(2−1)〜(2−4)を経て形成された帯電部材が上記の目的を良く達成できる理由は、電子線照射により特定の球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとがその界面において共架橋し、球状樹脂粒子が加硫ゴム層により強固に保持されたためであると推測している。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
<帯電部材>
図2に、本発明の帯電部材として帯電ローラの構成図を示す。
帯電ローラ20は、芯金21と、芯金21上に形成した弾性層22とからなっている。本発明に係る帯電部材は、図3に示す電子写真装置の帯電ローラ32として用いることができる。
図1は本発明の帯電ローラ表面の形態を表す模式図である。本発明に係る帯電ローラの弾性層は、特定の球状樹脂粒子から選ばれる少なくとも1つの球状樹脂粒子11を含有し、球状樹脂粒子により表面が粗面化されている。また、弾性層の表面は電子線照射によって硬化されており、前述した球状樹脂粒子のうちの少なくとも一部の粒子について、各粒子の一部分は弾性層表面に露出すると共に、電子線照射により硬化された弾性層の領域12により支持されている。さらに、電子線照射により特定の球状樹脂粒子と不飽和結合を有するゴム層が、その界面で共架橋している。弾性層の深層部分には、弾性層の柔軟性を維持するために電子線により硬化されていない領域13が存在する。
球状樹脂粒子が硬化領域12によって支持されているため、弾性層が感光体等の被帯電体に当接した場合でも、そのニップにおいて、球状樹脂粒子が弾性層内に埋没しにくくなっている。その結果、ニップにおいても、高硬度な球状樹脂粒子は、弾性層の表面にその一部分を露出した状態で表面の凹凸形状を維持することができ、感光体との接触面積を小さくすることができる。また、特定の球状樹脂粒子は、球状の形状ゆえに、弾性層表面から露出した部分が感光体に直接接触しても、感光体の表面の過度な磨耗や傷つきを抑制できる。
また、電子線照射による硬化処理は、弾性層の表面部分のみを硬化することで、弾性層の深層部分は低い硬度(MD−1硬度で50以上80未満)を維持することができる。
そのため、弾性層全体を高硬度化(例えば、MD−1硬度で80度以上)した場合に認められる、帯電ローラと被帯電体との当接不良による帯電ムラや、帯電ローラ表面に経時的にトナーや外添剤の付着することによる画像ムラの発生を抑制できる。
続いて、帯電部材を構成する各要素について順に説明する。
(特定の球状樹脂粒子)
本発明に用いる弾性層には特定の球状樹脂粒子が露出している。特定の球状樹脂粒子脂とは下記の樹脂で構成された球状粒子を指す。
フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂。
これらの樹脂は電子線の照射によって架橋し易い。特に、これらの樹脂が、不飽和結合を有する原料ゴムと共存している中で、電子線を照射された場合、共架橋しやすい。特に、ポリマー鎖の化学構造において、ビニル型構造を有する樹脂、及び、α水素を有する樹脂は、より架橋しやすい。そのため、本発明においては、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む球状樹脂粒子がより好適に用いられる。
球状樹脂粒子の粒子径は2μm以上80μm以下であることが好ましい。粒子径が2μm以上であれば、粒子径が小さいことによる感光体との接触面積の増加を抑制することができる。また、粒子径が80μm以下であれば、粒子の大きさによる弾性層の表面粗さの増大による、帯電ローラ表面のトナー等の汚れを抑制できる。さらに好ましい球状樹脂粒子の粒子径の範囲としては5μm以上40μm以下である。これらの球状樹脂粒子によって、弾性層の表面は粗面化されており、粗面化の程度としては弾性層表面の十点平均粗さ(Rzjis)が3μm以上20μm以下であることが好ましい。
球状樹脂粒子の粒子径は以下の方法によって求められる「長さ平均粒子径」である。まず、球状樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEOL LV5910)で観察、画像撮影を実施し、撮影画像を画像解析ソフト(商品名:Image−Pro Plus、プラネトロン社製)を用いて解析する。解析は写真撮影時のミクロンバーから単位長さあたりの画素数をキャリブレーションし、写真から無作為に選択した50個の粒子について、画像上の画素数から定方向径を測定し、算術平均粒子直径を求め、球状樹脂粒子の粒子径とする。
さらに、球状樹脂粒子の球形度に関しては下記に示す形状係数SF1の値が100以上160以下であることが好ましい。ここで、形状係数SF1は下記式(1)で表される指数であり、100に近いほど球形に近いことを意味している。形状係数が160以下であれば、球状樹脂粒子が弾性層表面に露出して感光体に直接接触していても、感光体の過度の摩耗や傷つきを抑制できる。本発明に用いる球状樹脂粒子の形状係数SF1の測定は以下の方法によって求められる。粒子径と同様に走査型電子顕微鏡で撮影した画像情報を画像解析装置(ニレコ社製、商品名:Luzex3)に入力し、無作為に選んだ50個の粒子像について、下記式(1)によって算出する。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×(100)・・・・(1)
(ただし、MXLNGは粒子の絶対最大長を、AREAは粒子の投影面積を表す)。
弾性層の表面に露出する球状樹脂粒子は、2種類以上を併用しても、各樹脂の共重合体でも構わない。
(不飽和結合を有するゴム組成物)
弾性層は、不飽和結合を有するゴム組成物と、特定の球状樹脂粒子とを含む。不飽和結合を有するゴム組成物は、不飽和結合を有する原料ゴムに架橋剤等を配合したゴム組成物である。
不飽和結合を有する原料ゴムとはポリマー鎖の一部に炭素の二重結合を持つ原料ゴムである。具体例を挙げると、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴム(EPDM)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(GECO)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水添物(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)等である。これらの中でもより好ましい原料ゴムは、不飽和結合を有する繰り返し単位の多いNR、IR、BR、SBR、NBR、CRである。
また、ゴム組成物中には、導電剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、分散剤等を含有させることができる。
(弾性層)
本発明において、弾性層とは、表面層としての弾性層を意味する。弾性層は多層化することも可能である。ただし、多層化する場合は最表面に球状樹脂粒子を含有する層を形成する必要がある。また、本発明においては導電性支持体と弾性層との間には接着層を形成することも出来る。
本発明においては生産工程を簡素化する効果を最大とする為に、弾性層は単層であること、すなわち、本発明に係る帯電部材における唯一の弾性層であることが最も好ましい。そして、この場合における弾性層の厚さとしては、被帯電体とのニップ幅を確保するために、0.8mm以上4.0mm以下、特には、1.2mm以上3.0mm以下が好ましい。
弾性層の表面は電子線によって硬化された領域(以降、「硬化領域」ともいう)を有する。硬化領域の厚さについては特に規定されるものではないが、使用する球状樹脂粒子の平均粒子径(長さ平均粒子径)の0.5倍以上であることが好ましい。硬化領域の厚さを、粒子径の0.5倍以上とすることによって、表面に露出している球状樹脂粒子が当接部で弾性層内に埋没することを、より確実に抑えることができる。より好ましい硬化領域の厚さは、球状樹脂粒子の平均粒子径以上、200μm以下である。電子線による硬化領域の厚さが200μm以下とすることで帯電ローラと感光体とのニップの幅を十分に確保することができる。
硬化処理された領域の厚みを確認する方法としてはユニバーサル硬度計を使用した表面硬度の測定を挙げることができる。ユニバーサル硬度とは、圧子に荷重をかけながら対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)(N/mm)として求められる。このユニバーサル硬度の測定は、例えば、超微小硬度計(商品名:H−100V、Fischer社製)等の硬度測定装置を用いて行うことが可能である。この測定装置では、四角錘などの圧子を、所定の比較的小さい試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を求めるものである。つまり、定荷重測定条件で圧子を対象物に押し込んだ際に、押し込まれた深さに対するそのときの応力をユニバーサル硬度として定義するものである。
ユニバーサル硬さ測定から、横軸が押し込み深さ(μm)、縦軸が硬度(N/mm)のグラフが得られる。このグラフにおいて、電子線処理をした前後の差分を取ることで、硬化領域の厚さおよび硬度の上昇度合いを測定することができる。
(導電性の支持体)
導電性支持体は、導電性を有し、弾性層等を支持可能であって、かつ、帯電ローラとしての強度を維持し得るものであればよい。
<帯電部材の製造方法>
本発明に係る帯電部材の製造方法について以下に述べる。
本発明に係る帯電部材は、導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有し、該硬化された領域は、球状樹脂粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該表面が粗面化されている。そして係る帯電部材の製造方法の第1の態様は、以下の工程(1−1)〜(1−3)を有するものである。
(1−1)導電性の支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する未加硫ゴムとを含むゴム組成物を硬化せしめて加硫ゴム層を形成する工程;
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程;
(1−3)上記工程(1−2)で得られた、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面を硬化させる工程。
以下に各工程を説明する。
(1−1)
まず、導電性の支持体上に、特定の球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとを含む加硫ゴム層を形成する。以下に具体例を説明する。まず、弾性層を構成する不飽和結合を有する原料ゴムと特定の球状樹脂粒子を含む未加硫ゴム組成物を調製する。
本製造方法では、後に表面を研磨する工程があるため、研磨しても球形を維持できる球状樹脂粒子を選択する必要である。その指標としては、アイゾット衝撃強さ(ASTM D256)が大きい樹脂であることが好ましい。具体的には、アイゾット衝撃強さが5kg・cm/cm以上、特には、アイゾット衝撃強さが10kg・cm/cm以上の樹脂をもちいることが好ましい。このような物性を有し得る材料としてはフェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。
未加硫ゴム組成物中の球状樹脂粒子の含有量は、原料ゴムの100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下が好ましい。5質量部以上であれば球状樹脂粒子が充分な量、表面に存在することができ、感光体との接触面積を特に小さくする事ができる。また、50質量部以下であれば球状樹脂粒子の配合量が多くなって弾性層が硬くなるのを抑制できる。
続いて、導電性の支持体の周面を未加硫ゴム組成物で被覆してローラ形状に成形する。これを未加硫ゴムローラと称する。ローラ形状に成形する方法としては、下記(a)〜(c)の方法を挙げることができる。
(a)未加硫ゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これに芯金を挿入する方法
(b)未加硫ゴム組成物を、クロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の成形体を得る方法
(c)未加硫ゴム組成物を射出成形機を使用して、所望の外径の金型内部に注入して成形体を得る方法。
中でも、上記(b)は、連続生産が容易で、工程数が少なく、低コストでの製造に適しているため、最も好ましい。
次いで、未加硫ゴムローラを加熱して、加硫ゴムローラを得る。加熱処理の方法の具体例としては、ギアオーブンによる熱風炉加熱、遠赤外線による過熱加硫、加硫缶による水蒸気加熱などを挙げることができる。中でも熱風炉加熱や遠赤外線過熱は、連続生産に適しているため好ましい。
(1−2)
工程(1−1)によって得られた加硫ゴムローラの加硫ゴム層表面を研磨することによって、ゴム層の表面に球状樹脂粒子のうちの少なくとも一部の粒子について、各粒子の一部分を露出させる。この時、研磨処理を行っても表面の球状樹脂粒子が球形を維持する条件で研磨する。加硫ゴム層の表面を研磨する方法の例としては、砥石またはローラをローラのスラスト方向に移動して研磨するトラバース研磨方式と、ローラを芯金軸の中心に回転させながらローラ長さより幅広の研磨砥石を往復させずに切り込むプランジ研磨方式が挙げられる。プランジ研磨方式はゴムローラの全幅を一度に研磨できる利点があり、トラバースの円筒研磨方式より加工時間が短くすることができるため、より好ましい。
(1−3)
最後に、研磨した後の加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面の硬化処理を行い、表面に硬化された領域を有する弾性層を形成する。
図4に電子線照射装置の概略図を示す。本発明に用いることのできる電子線照射装置としては、研磨後のゴムローラを回転させながらローラ表面に電子線を照射するものを好適に用いることができる。例えば、図4に示すように、電子線発生部41と照射室42と照射口43とを備えるものである。
電子線発生部41は、電子線を発生するターミナル44と、ターミナル44で発生した電子線を真空空間(加速空間)で加速する加速管45とを有するものである。また電子線発生部の内部は、電子が気体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、不図示の真空ポンプ等により10−3Pa以上10−6Pa以下の真空に保たれている。不図示の電源によりフィラメント46に電流を通じて加熱するとフィラメント46は熱電子を放出し、この熱電子のうち、ターミナル44を通過したものだけが電子線として取り出される。そして、電子線の加速電圧により加速管45内の加速空間で加速された後、照射口箔47を突き抜け、照射口43の下方の照射室42内を搬送される研磨後のゴムローラ48に照射される。
研磨後のゴムローラ48に電子線を照射する際に、照射室42の内部は窒素を充填して酸素濃度を減らすことができる。また、研磨後のゴムローラ48はローラ回転用部材49により回転しながら照射室内を移動する。なお、電子線発生部41及び照射室42の周囲は電子線照射時に二次的に発生するX線が外部へ漏出しないように、不図示の鉛によって遮蔽されている。
照射口箔47は金属箔からなり、電子線発生部内の真空雰囲気と照射室内の大気圧雰囲気とを仕切るものであり、また照射口箔47を介して照射室内に電子線を取り出すものである。よって、電子線発生部41と照射室42との境界に設ける照射口箔47は、ピンホールがなく、電子線発生部内の真空雰囲気を十分維持できる機械的強度があり、電子線が透過しやすいことが望ましい。そのため、照射口箔47は比重が小さく、肉厚の薄い金属が望ましく、通常、アルミニウムやチタン箔が使用される。
電子線による処理条件は加速電圧と線量によって決定される。加速電圧は硬化領域の厚さに影響し、本発明に用いる加速電圧の条件としては、低エネルギー領域である40kV以上300kV以下が好ましい。40kV以上であれば、本発明の効果を得るための充分な硬化領域の厚さを得ることができる。また、300kV以下とすることで、電子線照射装置が大型化して装置コストが増大する事を特に抑えることができる。さらに好ましい加速電圧の条件としては60kV以上150kV以下である。
電子線照射における電子線の線量は、下記式(2)で定義される。
D=(K・I)/V ・・・・・・ (2)
ここで、Dは線量(kGy)、Kは装置定数、Iは電子電流(mA)、Vは処理スピード(m/min)である。装置定数Kは、装置個々の効率を表す定数であって、装置の性能の指標である。装置定数Kは一定の加速電圧の条件で、電子電流と処理スピードを変えて線量を測定することによって求めることができる。電子線の線量は、線量測定用フィルムをローラ表面に貼り付け、これを電子線照射装置で処理し、測定用フィルム(商品名:FWT−60、FarWest Technology社製)をフィルム線量計(商品名:FWT−92D型、FarWest Technology社製)により測定することで知ることができる。
30kGy以上であれば、本発明の効果を得るために充分な弾性層の硬化と加硫ゴム層と球状樹脂粒子の共架橋がなされる。表面硬度を容易に得ることができる。また、3000kV以下とすることで、電子線照射装置が大型化すること、または処理時間が増大することによる製造コストの増大を特に抑えることができる。さらに好ましい電子線量の条件としては200kGy以上2000kGy以下である。
以上の工程(1−1)〜(1−3)を経て、本発明に係る帯電ローラが得られる。
本発明の参考例に係る帯電部材の製造方法の第2の態様は、下記の工程(2−1)〜(2−4)を有するものである。
(2−1)導電性の支持体上に、不飽和結合を有する未加硫ゴムを含む未加硫ゴム層を形成する工程;
(2−2)該未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる工程;
(2−3)該球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を加硫する工程;
(2−4)加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面を硬化させる工程。
以下に各工程を説明する。
(工程2−1)
特定の球状樹脂粒子を混合物の中に添加しない以外は同様の方法で未加硫ゴム組成物を調製し、未加硫層を有する未加硫ゴムローラを作成する。
(工程2−2)
(2−1)で得られた未加硫ゴムローラの未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる。
未加硫ゴム層の表面に球状樹脂粒子を圧接させることにより、一部分を埋没させる方法として特に限定は無いが、下記(a)〜(c)の方法を挙げることができる。
(a)まず、液体中に球状樹脂粒子を超音波等により分散する。次に、その球状樹脂粒子分散液を未加硫ゴム層に塗布する。続いて、円筒状の金属と球状樹脂粒子を塗布した未加硫ゴム層とを回転させながら圧接し、球状樹脂粒子の一部を埋没させる。
(b)まず、球状樹脂粒子の平均粒子径の半分程度の深さの溝がある金属シート上に球状樹脂粒子を敷き詰める。そのシート上にゴムブレードを滑らせ、溝に入っていない球状樹脂粒子をかきとる。このシート上で未加硫ゴムローラを圧接しながら転がし、球状樹脂粒子の一部を埋没させる。
(c)まず、連通孔を有するスポンジローラの多孔内に球状樹脂粒子を含ませる。このスポンジローラと未加硫ゴムローラを当接しながら従動回転させて、未加硫ゴム層の表面に球状樹脂粒子を付着させる。続いて、円筒状の金属と球状樹脂粒子の付着した未加硫ゴム層とを回転させながら圧接し、球状樹脂粒子の一部を埋没させる。
(2−3)
球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を有するローラを加熱してゴムを加硫させて、球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層を有する加硫ゴムローラを得る。
(2−4)
第1の態様に係る(工程1−3)と同様に、上記工程(2−3)によって得られた、球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面に硬化された領域を有する弾性層を形成する。
以上の工程(2−1)〜(2−4)を経て本発明の参考例に係る帯電ローラが得られる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下、特に明記しない限り、試薬等で指定のないものは市販の高純度品を用いた。なお各例では、帯電ローラを作製した。また、実施例8〜19は、参考例である。
まず、表1に記載の、球状樹脂粒子−1〜10及び球状無機粒子−1を用意した。
Figure 0006188423
(弾性層形成用の未加硫ゴム組成物No.1の調製)
下記の表2に示す材料を混合してA練りゴム組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
Figure 0006188423
次いで、上記のA練りゴム組成物と表3に示す材料を混合した。混合機は、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールを用いた。混合条件は、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。こうして未加硫ゴム組成物No.1を得た。
Figure 0006188423
さらに、上記で得た未加硫ゴム組成物No.1に対して、球状樹脂粒子No.110質量部を添加し、混合した。混合機は、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールを用いた。混合条件は、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。
(弾性層形成用の未加硫ゴム組成物No.2〜No.5の調製)
下記表4に記載した組成とした以外は、未加硫ゴム組成物No.1と同様にして未加硫ゴム組成物No.2〜No.5を調製した。
Figure 0006188423
なお、表4中の原材料の商品名及び製造会社を表5に示す。
Figure 0006188423
[実施例1]
(加硫ゴム層の成形)
加硫ゴム層を接着する接着層を有する芯金を得るため、直径6mm、長さ244mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の軸方向の中央部222mmに導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU−20;東洋化学研究所製)を塗布した。その後、温度80℃で30分間乾燥した。
次に、クロスヘッドを用いた押出成形装置を用いて、上記球状樹脂粒子No.1を添加した未加硫ゴム組成物No.1と芯金とを同時に同軸状に押し出した。その際、押出機は、シリンダー直径45mm、L/Dが20の押出機を使用し、温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。
その後、電気炉にて温度160℃で40分間加熱して未加硫ゴム組成物の層を加硫して加硫ゴム層とした。加硫ゴム層の両端部を切断し、軸方向の長さを226mmとした。続いて、加硫ゴム層の表面をプランジカットの研磨方式の研磨機で研磨し、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状とした。こうして球状樹脂粒子の一部が露出した加硫ゴム層を有する加硫ゴムローラを得た。
以上の実施例1における(弾性層用未加硫ゴム組成物の調製)から(加硫ゴム層の成型)までを製造方法−1と称する。
(研磨後の加硫ゴム層の電子線照射)
得られた研磨後の加硫ゴムローラの表面に電子線を照射して、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素を充填した。電子線の照射条件は加速電圧:150kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。この際、電子線照射装置の加速電圧150kVにおける装置定数は37.8であり、式(2)より算出される線量は1323kGyであった。
(硬化領域の厚さの測定)
ユニバーサル硬度計にて、弾性層の硬化領域の厚さを測定した。測定器は超微小硬度計(商品名:H−100V、Fischer社製)を、圧子は四角錘型ダイヤモンドを用いた。押し込み速度は下記式(3)の条件とした。
dF/dt=1000mN/240s ・・・・(3)
上記式(3)において、Fは力、tは時間を表す。
電子線を照射した前後の差分を取ることで得た硬化領域の厚さは、90μmであった。
(表面粗さの測定)
弾性層表面の十点平均粗さRzを測定した。測定器は表面粗さ測定器(商品名:サーフコーダーSE3400、小坂研究所社製)を、プローブは先端半径2μmのダイヤモンド製接触針を用いた。測定はJIS B0601:1982に基づき、測定スピードは0.5mm/s、カットオフ周波数λcは0.8mm、基準長さは0.8mm、評価長さは8.0mmとした。帯電ローラのRzの値としては、帯電ローラ1本当たり、軸方向3点×周方向2点の計6点について測定して、それら6点の平均値を用いた。その結果、Rzは9μmであった。
(評価1)帯電均一性の評価
評価に用いる電子写真装置として、レーザービームプリンター(商品名:LaserJet P1005 ヒューレット・パッカード社製、A4紙縦出力用、クリーニング部材として弾性ブレードを使用)を用意した。当該レーザービームプリンター用のプロセスカートリッジに、上記で作製した帯電ローラを組み込み、上記のレーザービームプリンターに装填した。温度23℃、相対湿度50%の環境下で、1枚の電子写真画像を出力した後、電子写真画像形成プロセスを停止させ、10秒後に再開するという間欠的な画像形成プロセスを繰り返して1000枚の電子写真画像を出力するという耐久試験を行った。このときに出力した画像は、2ドットの横線後に118ドットの余白が繰り返される、罫線画像である。
次に、ハーフトーン画像(レーザーによる露光の幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)およびベタ画像(全ドットに最大の濃度でトナーが現像された画像)を各々1枚ずつ出力した。得られた耐久試験後のハーフトーン画像およびベタ画像を以下の基準で評価した。
A:ベタ画像およびハーフトーン画像のいずれにも帯電ムラに起因する濃度ムラが認められない。
B:ハーフトーン画像にのみ帯電ムラに起因する軽微な濃度ムラが認められる。
C:ハーフトーン画像に帯電ムラが認められ、また、ベタ画像に帯電ムラに起因する軽微な濃度ムラが認められる。
D:ベタ画像およびハーフトーン画像の両方に帯電ムラに起因する明瞭な濃度ムラが認められる。
その結果、実施例1の帯電ローラの帯電均一性はA評価であった。
(評価2)クリーニング不良に起因する画像ムラの有無の評価
上記耐久試験において出力した1000枚の罫線画像について、目視にて、感光体のクリーニング不良に起因する画像ムラの有無およびその程度を観察し、以下の基準にて評価した。
A:クリーニング不良に起因する画像ムラが発生したプリントが1枚も認められない。
B:クリーニング不良に起因する極軽微な画像ムラが発生しているプリント枚数が1枚以上、100枚未満である。
C:クリーニング不良に起因する明瞭な画像ムラが発生したプリント枚数が1枚以上、100枚未満である。
D:クリーニング不良に起因する明瞭な画像ムラが発生したプリント枚数が100枚以上である。
その結果、実施例1の帯電ローラのクリーニング不良に起因する画像ムラの有無の評価はA評価であった。
(評価3)帯電ローラを洗浄することによる球状粒子の脱落評価
弾性層の表面に存在する球状粒子が洗浄によってどの程度脱落するのか評価するために、洗浄前後の球状粒子を数えた。まず、デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−100、株式会社キーエンス製)で、(評価2)で用いた帯電ローラの表面を500μm×500μmの視野を観察して、球状粒子をあらかじめ100個選んだ。
続いて、(評価2)で用いた帯電ローラを図5に記載した洗浄装置によって洗浄し、表面に付着したトナーや外添剤や紙粉等の汚れを取り除いた。エタノールをしみ込ませた不織布51をロールからロールへ10mm/秒の速さで引っ張りながら巻き取り、帯電ローラ52を回転数500rpmで回転させつつ、両端の芯金部分に片端5kgの荷重をかけて不織布に10秒間押し付けるという条件で洗浄した。
この洗浄後の帯電ローラについて、洗浄前に観察した同一視野を再度観察し、あらかじめ選んでおいた100個の球状粒子のうち、残っている球状粒子を数えた。残っている球状粒子の数を残存率として算出したところ、82%であった。
(評価4)クリーニング不良に起因する画像ムラの有無の評価2
洗浄後の帯電ローラを新品のプロセスカートリッジに組み込み、上記のレーザービームプリンターに装填した。さらに、(評価2)と同様の耐久試験を実施し、1000枚の罫線画像について、目視にて、感光体のクリーニング不良に起因する画像ムラの有無およびその程度を観察し、(評価2)と同様の基準で評価した。
その結果、実施例1の帯電ローラのリユース時のクリーニング不良に起因する画像ムラの有無の評価はA評価であった。
(評価5)感光体と弾性ブレードとの摩擦力の評価
上記の(評価2)と(評価4)に用いたレーザープリンターの感光体の表面に、弾性ブレードをカウンター方向に当接させた状態で、当該感光体と弾性ブレードとの摩擦力による感光体軸のトルクを測定した。
この測定によって、帯電ローラに起因する感光体の表面へのトナー等の固着の有無およびその程度を知ることができる。
測定方法としては、まず、上記のレーザープリンターから、感光体と弾性ブレードが組み込まれたユニット部分をプロセスカートリッジから取り出した。
そして、感光体の駆動部に、トルクメーター(商品名;TP−10KCE 共和電業株式会社製)を接続したモーターを接続し、当該モーターで、感光体を85rpmの回転数で回転させた時のトルクをトルクメーターで測定した。そして、感光体の回転開始から4回転目の1周分の測定値の平均値を本実施例におけるトルクの値とした。
その結果、実施例1の帯電ローラを用いたレーザービームプリンターの感光体のトルクは、帯電ローラが新品である(評価2)では0.119N・m、帯電ローラがリユース品である(評価4)では0.123N・mであった。
〔実施例2〜7、比較例1〜6〕
未加硫ゴム組成物および球状粒子の組み合わせ、製造条件を表6に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7および比較例1〜6の帯電ローラを作製し、評価した。
Figure 0006188423
実施例1〜7及び比較例1〜6に係る帯電ローラの評価結果を表7に示す。
Figure 0006188423
〔実施例8〕
(未加硫ゴム層の成形)
実施例1と同様にして接着層を有する芯金を得た。
次に、クロスヘッドを用いた押出成形装置を用いて、未加硫ゴム組成物No1と、上記接着層を有する芯金とを同時に同軸状に押し出した。その際、未加硫ゴム組成物No.1が押し出される速度を一定に保ちつつ、芯金の送り速さを変えて、端部直径8.35mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の未加硫ゴム層を芯金の周囲に形成した。その際、押出機は、シリンダー直径45mm(Φ45)、L/Dが20の押出機を使用し、温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。次いで、未加硫ゴム層の幅方向の両端部を切断し、未加硫ゴム層の軸方向の長さを226mmとして、未加硫ゴムローラを得た。
(球状粒子を埋没させる工程)
球状樹脂粒子No.1の0.1質量%水分散液に、上記未加硫ゴム層を混合し、超音波洗浄機で分散した。この球状樹脂粒子分散液に、上記未加硫ゴムローラを浸漬した後、50mm/秒の速さで当該未加硫ゴムローラを引き上げた。その後、風乾して水を蒸発させ、球状樹脂粒子を未加硫ゴム層の表面に担持させた。
次いで、30rpmで回転する直径24mmの金属円筒体に、球状樹脂粒子を表面に担持させた未加硫ゴムローラを回転させながら圧接した。このとき、未加硫ゴムローラの両端の芯金部分には片端1kgの荷重をかけた。こうして、球状樹脂粒子の一部を未加硫ゴム層の表面に埋没させた。その後、電気炉にて温度160℃で40分間加熱して未加硫ゴム層を加硫して加硫ゴム層とした。
以上の実施例8における(未加硫ゴム層の形成)から(球状粒子を埋没させる工程)までを製造方法−2と称する。
その後、実施例1と同様にして電子線を照射することで実施例8の帯電ローラを得た。そして、この帯電ローラの物性測定および評価を実施例1と同様に行った。
[実施例9〜19及び比較例7〜11]
未加硫ゴム組成物および球状粒子の組み合わせ、製造条件を表8に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9〜19および比較例7〜11の帯電ローラを作製し、評価した。
Figure 0006188423
実施例9〜19および比較例7〜11の帯電ローラの評価結果を表9に示す。
Figure 0006188423
表6〜9より、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1つの球状樹脂粒子を含有し、球状樹脂粒子により表面が粗面化されており、弾性層の表面は電子線照射による硬化処理がなされており、前述した球状樹脂粒子のうちの少なくとも一部の粒子について、各粒子の一部分は弾性層表面に露出すると共に、電子線照射により硬化された弾性層の領域により支持されており、さらに、電子線照射により特定の球状樹脂粒子と不飽和結合を有するゴム層が共架橋している、実施例1〜19の帯電部材では、帯電均一性がA〜B評価、クリーニング不良に起因した画像ムラが新品時にA〜B評価、リユース時にもA〜B評価であった。
一方、比較例1、7は、球状粒子が弾性層表面に存在していないため、弾性層と感光体との接触面積が大きくなり、クリーニング不良の画像ランクはDランクとなった。
比較例2は球状樹脂粒子の材質がアクリル樹脂であるため、粒子が削れて、表面に露出した球状樹脂粒子はローラ表面研磨時に平坦になってしまい、弾性層と感光体との接触面積が大きくなり、クリーニング不良の画像ランクはC評価であった。
比較例3、4、8、9は球状粒子の材質がPTFEおよびシリカであるため、不飽和結合を有するゴム層との共架橋がほとんど無く、リユース時に球状粒子が多く脱落した。そのため、リユース時のクリーニング不良の画像ランクはC評価であった。
比較例5、10は未加硫ゴム組成物の原料ゴムがEPMであるため不飽和結合が無く、球状樹脂粒子との共架橋がほとんど無く、リユース時に球状樹脂粒子が多く脱落したため、リユース時のクリーニング不良の画像ランクはC評価であった。
比較例6、11は電子線を照射していないため、感光体と球状樹脂粒子が接触した際に、球状樹脂粒子が加硫ゴム層に埋まってしまうためクリーニング不良の画像ランクがC評価であった。また、電子線を照射していないため弾性層表面の粘着性が高く、帯電ローラ汚れによる帯電均一性のランクがD評価であった。
11 球状樹脂粒子
12 弾性層のうち電子線により硬化した領域
13 弾性層のうち電子線により硬化されていない領域

Claims (11)

  1. 導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、
    該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有し、該硬化された領域は、球状樹脂粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該表面が粗面化されている帯電部材の製造方法であって、
    (1−1)該支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する未加硫ゴムとを含むゴム組成物を硬化せしめて加硫ゴム層を形成する工程と、
    (1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程と、
    (1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて該弾性層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする帯電部材の製造方法。
  2. 前記不飽和結合を有する未加硫ゴムが、NBR、SBR、GECO及びEPDMから選択される少なくとも1つである請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
  3. 前記球状樹脂粒子が、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む球状樹脂粒子である請求項1または2に記載の帯電部材の製造方法。
  4. 前記球状樹脂粒子の形状係数SF−1が100以上160以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
  5. 前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径が2μm以上、80μm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
  6. 前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径が5μm以上、40μm以下である請求項に記載の帯電部材の製造方法。
  7. 前記弾性層が単層であって、かつ、唯一の弾性層であり、該弾性層の厚みが0.8mm以上、4.0mm以下である請求項1〜の何れか一項に記載の帯電部材の製造方法。
  8. 前記弾性層の厚みが1.2mm以上3.0mm以下である請求項に記載の帯電部材の製造方法。
  9. 前記弾性層における硬化された領域の厚みが、前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径の0.5倍以上である請求項1〜の何れか一項に記載の帯電部材の製造方法。
  10. 前記弾性層における硬化された領域の厚みが、前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径以上、200μm以下である請求項に記載の帯電部材の製造方法。
  11. 前記帯電部材の十点平均粗さ(Rzjis)が、3μm以上20μm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
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