JP6188423B2 - 帯電部材の製造方法 - Google Patents
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Description
(1−1)該支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとを含む加硫ゴム層を形成する工程と、
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程と、
(1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて該弾性層を形成する工程と、
を含む帯電部材の製造方法が提供される。
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程;、
(1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて弾性層を形成する工程。
(2−2)該未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる工程;、
(2−3)該工程(2−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を加硫して、該球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層を形成する工程;、
(2−4)該工程(2−3)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が埋没した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて前記弾性層を形成する工程。
図2に、本発明の帯電部材として帯電ローラの構成図を示す。
本発明に用いる弾性層には特定の球状樹脂粒子が露出している。特定の球状樹脂粒子脂とは下記の樹脂で構成された球状粒子を指す。
SF1={(MXLNG)2/AREA}×(π/4)×(100)・・・・(1)
(ただし、MXLNGは粒子の絶対最大長を、AREAは粒子の投影面積を表す)。
弾性層は、不飽和結合を有するゴム組成物と、特定の球状樹脂粒子とを含む。不飽和結合を有するゴム組成物は、不飽和結合を有する原料ゴムに架橋剤等を配合したゴム組成物である。
本発明において、弾性層とは、表面層としての弾性層を意味する。弾性層は多層化することも可能である。ただし、多層化する場合は最表面に球状樹脂粒子を含有する層を形成する必要がある。また、本発明においては導電性支持体と弾性層との間には接着層を形成することも出来る。
導電性支持体は、導電性を有し、弾性層等を支持可能であって、かつ、帯電ローラとしての強度を維持し得るものであればよい。
本発明に係る帯電部材の製造方法について以下に述べる。
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程;
(1−3)上記工程(1−2)で得られた、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面を硬化させる工程。
(1−1)
まず、導電性の支持体上に、特定の球状樹脂粒子と不飽和結合を有する加硫ゴムとを含む加硫ゴム層を形成する。以下に具体例を説明する。まず、弾性層を構成する不飽和結合を有する原料ゴムと特定の球状樹脂粒子を含む未加硫ゴム組成物を調製する。
(a)未加硫ゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これに芯金を挿入する方法
(b)未加硫ゴム組成物を、クロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、所望の外径の成形体を得る方法
(c)未加硫ゴム組成物を射出成形機を使用して、所望の外径の金型内部に注入して成形体を得る方法。
工程(1−1)によって得られた加硫ゴムローラの加硫ゴム層表面を研磨することによって、ゴム層の表面に球状樹脂粒子のうちの少なくとも一部の粒子について、各粒子の一部分を露出させる。この時、研磨処理を行っても表面の球状樹脂粒子が球形を維持する条件で研磨する。加硫ゴム層の表面を研磨する方法の例としては、砥石またはローラをローラのスラスト方向に移動して研磨するトラバース研磨方式と、ローラを芯金軸の中心に回転させながらローラ長さより幅広の研磨砥石を往復させずに切り込むプランジ研磨方式が挙げられる。プランジ研磨方式はゴムローラの全幅を一度に研磨できる利点があり、トラバースの円筒研磨方式より加工時間が短くすることができるため、より好ましい。
最後に、研磨した後の加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面の硬化処理を行い、表面に硬化された領域を有する弾性層を形成する。
D=(K・I)/V ・・・・・・ (2)
(2−2)該未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる工程;
(2−3)該球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を加硫する工程;
(2−4)加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面を硬化させる工程。
(工程2−1)
特定の球状樹脂粒子を混合物の中に添加しない以外は同様の方法で未加硫ゴム組成物を調製し、未加硫層を有する未加硫ゴムローラを作成する。
(2−1)で得られた未加硫ゴムローラの未加硫ゴム層の表面に、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子を圧接することにより、該球状樹脂粒子の一部分を埋没させる。
球状樹脂粒子の一部が埋没した未加硫ゴム層を有するローラを加熱してゴムを加硫させて、球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層を有する加硫ゴムローラを得る。
第1の態様に係る(工程1−3)と同様に、上記工程(2−3)によって得られた、球状樹脂粒子の一部が埋没した加硫ゴム層の表面に電子線を照射して、表面に硬化された領域を有する弾性層を形成する。
下記の表2に示す材料を混合してA練りゴム組成物を得た。混合機は、6リットル加圧ニーダー(製品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いた。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
下記表4に記載した組成とした以外は、未加硫ゴム組成物No.1と同様にして未加硫ゴム組成物No.2〜No.5を調製した。
(加硫ゴム層の成形)
加硫ゴム層を接着する接着層を有する芯金を得るため、直径6mm、長さ244mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の軸方向の中央部222mmに導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU−20;東洋化学研究所製)を塗布した。その後、温度80℃で30分間乾燥した。
得られた研磨後の加硫ゴムローラの表面に電子線を照射して、弾性層の表面に硬化された領域を有する帯電ローラを得た。電子線の照射には、最大加速電圧150kV・最大電子電流40mAの電子線照射装置(岩崎電気株式会社製)を用い、照射時には窒素を充填した。電子線の照射条件は加速電圧:150kV、電子電流:35mA、処理速度:1m/min、酸素濃度:100ppmであった。この際、電子線照射装置の加速電圧150kVにおける装置定数は37.8であり、式(2)より算出される線量は1323kGyであった。
ユニバーサル硬度計にて、弾性層の硬化領域の厚さを測定した。測定器は超微小硬度計(商品名:H−100V、Fischer社製)を、圧子は四角錘型ダイヤモンドを用いた。押し込み速度は下記式(3)の条件とした。
dF/dt=1000mN/240s ・・・・(3)
上記式(3)において、Fは力、tは時間を表す。
電子線を照射した前後の差分を取ることで得た硬化領域の厚さは、90μmであった。
弾性層表面の十点平均粗さRzを測定した。測定器は表面粗さ測定器(商品名:サーフコーダーSE3400、小坂研究所社製)を、プローブは先端半径2μmのダイヤモンド製接触針を用いた。測定はJIS B0601:1982に基づき、測定スピードは0.5mm/s、カットオフ周波数λcは0.8mm、基準長さは0.8mm、評価長さは8.0mmとした。帯電ローラのRzの値としては、帯電ローラ1本当たり、軸方向3点×周方向2点の計6点について測定して、それら6点の平均値を用いた。その結果、Rzは9μmであった。
評価に用いる電子写真装置として、レーザービームプリンター(商品名:LaserJet P1005 ヒューレット・パッカード社製、A4紙縦出力用、クリーニング部材として弾性ブレードを使用)を用意した。当該レーザービームプリンター用のプロセスカートリッジに、上記で作製した帯電ローラを組み込み、上記のレーザービームプリンターに装填した。温度23℃、相対湿度50%の環境下で、1枚の電子写真画像を出力した後、電子写真画像形成プロセスを停止させ、10秒後に再開するという間欠的な画像形成プロセスを繰り返して1000枚の電子写真画像を出力するという耐久試験を行った。このときに出力した画像は、2ドットの横線後に118ドットの余白が繰り返される、罫線画像である。
A:ベタ画像およびハーフトーン画像のいずれにも帯電ムラに起因する濃度ムラが認められない。
B:ハーフトーン画像にのみ帯電ムラに起因する軽微な濃度ムラが認められる。
C:ハーフトーン画像に帯電ムラが認められ、また、ベタ画像に帯電ムラに起因する軽微な濃度ムラが認められる。
D:ベタ画像およびハーフトーン画像の両方に帯電ムラに起因する明瞭な濃度ムラが認められる。
その結果、実施例1の帯電ローラの帯電均一性はA評価であった。
上記耐久試験において出力した1000枚の罫線画像について、目視にて、感光体のクリーニング不良に起因する画像ムラの有無およびその程度を観察し、以下の基準にて評価した。
A:クリーニング不良に起因する画像ムラが発生したプリントが1枚も認められない。
B:クリーニング不良に起因する極軽微な画像ムラが発生しているプリント枚数が1枚以上、100枚未満である。
C:クリーニング不良に起因する明瞭な画像ムラが発生したプリント枚数が1枚以上、100枚未満である。
D:クリーニング不良に起因する明瞭な画像ムラが発生したプリント枚数が100枚以上である。
その結果、実施例1の帯電ローラのクリーニング不良に起因する画像ムラの有無の評価はA評価であった。
弾性層の表面に存在する球状粒子が洗浄によってどの程度脱落するのか評価するために、洗浄前後の球状粒子を数えた。まず、デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−100、株式会社キーエンス製)で、(評価2)で用いた帯電ローラの表面を500μm×500μmの視野を観察して、球状粒子をあらかじめ100個選んだ。
洗浄後の帯電ローラを新品のプロセスカートリッジに組み込み、上記のレーザービームプリンターに装填した。さらに、(評価2)と同様の耐久試験を実施し、1000枚の罫線画像について、目視にて、感光体のクリーニング不良に起因する画像ムラの有無およびその程度を観察し、(評価2)と同様の基準で評価した。
上記の(評価2)と(評価4)に用いたレーザープリンターの感光体の表面に、弾性ブレードをカウンター方向に当接させた状態で、当該感光体と弾性ブレードとの摩擦力による感光体軸のトルクを測定した。
未加硫ゴム組成物および球状粒子の組み合わせ、製造条件を表6に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7および比較例1〜6の帯電ローラを作製し、評価した。
(未加硫ゴム層の成形)
実施例1と同様にして接着層を有する芯金を得た。
球状樹脂粒子No.1の0.1質量%水分散液に、上記未加硫ゴム層を混合し、超音波洗浄機で分散した。この球状樹脂粒子分散液に、上記未加硫ゴムローラを浸漬した後、50mm/秒の速さで当該未加硫ゴムローラを引き上げた。その後、風乾して水を蒸発させ、球状樹脂粒子を未加硫ゴム層の表面に担持させた。
未加硫ゴム組成物および球状粒子の組み合わせ、製造条件を表8に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9〜19および比較例7〜11の帯電ローラを作製し、評価した。
12 弾性層のうち電子線により硬化した領域
13 弾性層のうち電子線により硬化されていない領域
Claims (11)
- 導電性の支持体と、表面層である弾性層とを有し、
該弾性層は、電子線の照射によって硬化された領域を表面に有し、該硬化された領域は、球状樹脂粒子を該弾性層の表面に露出した状態で支持し、それにより該表面が粗面化されている帯電部材の製造方法であって、
(1−1)該支持体上に、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂でできた球状樹脂粒子と不飽和結合を有する未加硫ゴムとを含むゴム組成物を硬化せしめて加硫ゴム層を形成する工程と、
(1−2)該加硫ゴム層の表面を研磨して該球状樹脂粒子の一部分を露出させる工程と、
(1−3)該工程(1−2)によって得た、該球状樹脂粒子の一部分が露出した加硫ゴム層の表面に電子線を照射することによって、表面を硬化させて該弾性層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする帯電部材の製造方法。 - 前記不飽和結合を有する未加硫ゴムが、NBR、SBR、GECO及びEPDMから選択される少なくとも1つである請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記球状樹脂粒子が、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む球状樹脂粒子である請求項1または2に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記球状樹脂粒子の形状係数SF−1が100以上160以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径が2μm以上、80μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径が5μm以上、40μm以下である請求項5に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記弾性層が単層であって、かつ、唯一の弾性層であり、該弾性層の厚みが0.8mm以上、4.0mm以下である請求項1〜6の何れか一項に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記弾性層の厚みが1.2mm以上3.0mm以下である請求項7に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記弾性層における硬化された領域の厚みが、前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径の0.5倍以上である請求項1〜8の何れか一項に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記弾性層における硬化された領域の厚みが、前記球状樹脂粒子の長さ平均粒子径以上、200μm以下である請求項9に記載の帯電部材の製造方法。
- 前記帯電部材の十点平均粗さ(Rzjis)が、3μm以上20μm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法。
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