JP5011019B2 - ボトル - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂製のボトルに関するものである。
この種のボトルとして、口部、肩部、胴部および底部が合成樹脂で一体に形成されてなり、前記胴部に、その径方向内方に凹んだパネル部が当該胴部の周方向に間隔をあけて複数設けられた構成が知られている。このように、胴部にパネル部を設けることによって、例えばボトルに密封された内容物の温度が低下してボトル内圧が低下したときに、パネル部を優先して前記径方向の内方に向けて変形させることにより、胴部に局所的な陥没変形が発生するのを抑える、つまり減圧吸収性能が付与されている。
さらに近年では、この減圧吸収性能をより一層向上させるために、例えば下記特許文献1に示されるような、パネル部に胴部の側面視でこのボトルの中心軸線方向に長い長方形状の凹部が形成されることがある。
特開2003−104343号公報
しかしながら、前記従来のボトルでは、例えば高温の内容物を充填してこのボトル内圧が上昇したときに、前記凹部が前記径方向の外方に向けて反転し、これを起点としてパネル部全体が前記径方向の外方に向けて反転し易くなるおそれがあった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ボトル内圧の上昇によってパネル部全体が反転し易くなるのを防ぎつつ、減圧吸収性能を向上させることができるボトルを提供することを目的とする。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のボトルは、口部、肩部、胴部および底部が合成樹脂で一体に形成されてなり、前記胴部に、その径方向の内方に凹んだパネル部が当該胴部の周方向に間隔をあけて複数設けられたボトルであって、前記パネル部の底面における中央領域には、前記胴部の側面視でこのボトルの中心軸線方向に長く、かつ当該パネル部の底面の前記中心軸線方向における中央から前記中心軸線方向の外側に向かうに従い漸次、前記周方向の大きさが小さくなる菱形状の凹部が形成され、該凹部は、その底面の外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、前記パネル部の底面に連なる側面を備え、前記パネル部は、その底面の外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、前記胴部のうち、その周方向で隣り合う前記パネル部同士の間に位置する柱部に連なる側面を備え、前記胴部の横断面視において、前記径方向に沿って延在し、かつ前記凹部の底面に直交する垂線と、前記凹部の側面と、がなす角度が、前記垂線と、前記パネル部の側面と、がなす角度より小さくなっていることを特徴とする。
この発明によれば、パネル部の底面に前記菱形状の凹部が形成されているので、ボトル内圧の上昇に対する前記凹部の変形抵抗を、当該凹部において前記中心軸線方向の中央から前記中心軸線方向の外側に向かうに従い漸次大きくすることが可能になり、この凹部がボトル内圧の上昇によって前記径方向の外方に向けて反転するのを抑えることができる。したがって、ボトル内圧が上昇したときに、前記凹部を起点としてパネル部全体が前記径方向の外方に向けて反転するのを防ぐことができる。
しかも、この凹部が前記側面を備えているので、この側面を、凹部の前述した反転に対してリブとして作用させることが可能になり、凹部を起点としたパネル部全体の前述した反転を確実に抑えることができる。
さらに、パネル部の底面に前記凹部が形成されているので、ボトル内圧が低下したときにこの凹部を起点としてパネル部全体を前記径方向の内方に向けて変形させることが可能になり、良好な減圧吸収性能を具備させることができる。
ここで、前記パネル部の底面において前記凹部の非形成部分は、全域にわたって平滑面となってもよい。
この場合、パネル部の底面において前記凹部の非形成部分が、全域にわたって平滑面となっているので、上昇したボトル内圧によりパネル部を前記径方向の外方に向けて反転させる起点となる部分を前記非形成部分から排除することが可能になり、パネル部全体の前記径方向の外方に向けた反転を確実に防ぐことができる。
また、前記凹部の前記中心軸線方向における大きさは、前記パネル部の前記中心軸線方向における大きさの30%以上70%以下とされるとともに、前記凹部の前記周方向における大きさは、前記パネル部の前記周方向における大きさの10%以上35%以下となってもよい。
この場合、前述の作用効果が確実に奏功されることになる。
この発明に係るボトルによれば、ボトル内圧の上昇によってパネル部全体が反転し易くなるのを防ぎつつ、減圧吸収性能を向上させることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。本実施形態に係るボトル10は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11、12、13、14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させられた状態で、この共通軸方向の一方から他方に向けてこの順に連設された概略構成とされている。なお、このボトル10は、例えば二軸延伸ブロー成形によりポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂で一体に形成されている。また、口部11の外周面には雄ねじ部11aが形成されており、この雄ねじ部11aに図示されないキャップが着脱可能に螺着されるようになっている。
ここで、本実施形態では、肩部12、胴部13および底部14は、横断面形状が円形状とされており、前記共通軸はこの横断面がなす円形の中央部を通る直線となっている。以下、この共通軸を中心軸線Oという。
また、肩部12と胴部13との連結部分、および胴部13と底部14との連結部分にはそれぞれ、このボトル10の径方向の内方に向けて凹み、かつ全周にわたって延在した周溝15が前記中心軸線O方向に間隔をあけて2つずつ形成されている。
さらに、胴部13には、その径方向内方に凹んだパネル部17が、当該胴部13の周方向に等間隔をあけて複数(図示の例では6つ)設けられている。そして、胴部13において各パネル部17同士の間に位置する部分は、図2に示されるように前記中心軸線Oを中心とした仮想円に内接し、かつ前記中心軸線O方向に延びる柱部19となっている。
図示の例では、各パネル部17それぞれの外縁形状は、前記中心軸線O方向に長い長方形状となっている。また、これらのパネル部17の各外縁17aの大きさは互いに同等になっている。
そして、本実施形態では、パネル部17の底面17bにおける中央領域には、胴部13の側面視で前記中心軸線O方向に長く、かつ当該パネル部17の底面17bの前記中心軸線O方向における中央から前記中心軸線O方向の外側に向かうに従い漸次、前記周方向の大きさが小さくなる菱形状の凹部18が形成されている。さらに図示の例では、凹部18の前記周方向における中央と、パネル部17の底面17bの前記周方向における中央とが一致している。以上より、前記菱形状の凹部18が有する4つの角部18a、18b、18c、18dのうち、角度が小さい方の2つの鋭角部18a、18bが、パネル部17の底面17bの前記周方向における中央に位置している。
また、本実施形態では、この凹部18の前記中心軸線O方向における大きさBは、パネル部17の前記中心軸線O方向における大きさAの30%以上70%以下となっている。なお、凹部18の前記中心軸線O方向における大きさBは、この凹部18が有する2つの鋭角部18a、18b同士の前記中心軸線O方向における距離となっている。
さらに、凹部18の前記周方向における大きさbは、パネル部17の前記周方向における大きさaの10%以上35%以下となっている。なお、凹部18の前記周方向における大きさbは、この凹部18が有する4つの角部18a、18b、18c、18dのうち、角度が大きい方の2つの鈍角部18c、18d同士の前記周方向における距離となっている。
また、この凹部18の、パネル部17の底面17bからの深さは、パネル部17の、胴部13の外周面からの深さよりも浅くなっている。なお、凹部18の前記深さは例えば0.5mm以上1.5mm以下となっている。
さらにまた、この凹部18の底面18eは図2に示されるように平坦面となっている。
ここで、パネル部17の底面17bにおいて凹部18の非形成部分は、全域にわたって平滑面となっている。また、この非形成部分は、図2に示されるように前記径方向の外方に向けて凸の曲面状に形成されている。
さらに図示の例では、凹部18の底面18eの外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、パネル部17の底面17bに連なる側面18fと、胴部13の横断面視においてこの凹部18の底面18eに直交する垂線Lと、がなす角度θ1は、パネル部17の底面17bの外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、柱部19に連なる側面17cと、前記垂線Lと、がなす角度θ2よりも小さくなっている。
以上説明したように本実施形態に係るボトル10によれば、パネル部17の底面17bに前記菱形状の凹部18が形成されているので、ボトル内圧の上昇に対する凹部18の変形抵抗を、当該凹部18において前記中心軸線O方向の中央から前記中心軸線O方向の外側に向かうに従い漸次大きくすることが可能になり、この凹部18がボトル内圧の上昇によって前記径方向の外方に向けて反転するのを抑えることができる。したがって、ボトル内圧が上昇したときに、凹部18を起点としてパネル部17全体が前記径方向の外方に向けて反転するのを防ぐことができる。
しかも、この凹部18が側面18fを備えているので、この側面18fを、凹部18の前述した反転に対してリブとして作用させることが可能になり、凹部18を起点としたパネル部17全体の前述した反転を確実に抑えることができる。
さらに本実施形態では、この凹部18の底面18eが平坦面となっているので、上昇したボトル内圧によりこの凹部18を前記径方向の外方に向けて反転させる起点となる部分を当該凹部18から排除することが可能になり、前述の作用効果が確実に奏功されることになる。
さらに、パネル部17の底面17bに凹部18が形成されているので、ボトル内圧が低下したときにこの凹部18を起点としてパネル部17全体を前記径方向の内方に向けて変形させることが可能になり、良好な減圧吸収性能を具備させることができる。
また、本実施形態では、パネル部17の底面17bにおいて凹部18の非形成部分が、全域にわたって平滑面となっているので、上昇したボトル内圧によりパネル部17を前記径方向の外方に向けて反転させる起点となる部分を前記非形成部分から排除することが可能になり、パネル部17全体の前記径方向の外方に向けた反転を確実に防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、凹部18の側面18fと前記垂線Lとがなす角度θ1が、パネル部17の側面17cと前記垂線Lとがなす角度θ2よりも小さくなっているので、ボトル内圧が上昇したときにおいて、凹部18が前記径方向の外方に向けて膨出変形するのを抑える前記側面18fによるリブ効果を、パネル部17が前記径方向の外方に向けて膨出変形するのを抑える前記側面17cによるリブ効果よりも高めることが可能になる。
したがって、ボトル内圧が上昇したときに、パネル部17に先立って凹部18が前記径方向の外方に向けて反転するのを抑制することが可能になり、凹部18が前記径方向の外方に向けて反転し、これを起点としてパネル部17全体が前記径方向の外方に向けて反転するのを確実に防ぐことができる。
特に本実施形態では、凹部18の前記中心軸線O方向における大きさBが、パネル部17の前記中心軸線O方向における大きさAの30%以上70%以下となり、凹部18の前記周方向における大きさbが、パネル部17の前記周方向における大きさaの10%以上35%以下となっているので、前述の作用効果がより一層確実に奏功されることになる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば前記実施形態では、凹部18の底面18eを平坦面としたが、これに代えて、パネル部17の底面17bと同様に前記径方向の外方に向けて凸の曲面状、または前記径方向の内方に向けて凹の曲面状に形成してもよい。
また、前記実施形態では、凹部18の側面18fと前記垂線Lとがなす角度θ1を、パネル部17の側面17cと前記垂線Lとがなす角度θ2よりも小さくしたが、これに代えて例えば、互いに同等にしてもよいし、前記角度θ1を前記角度θ2よりも大きくしてもよい。
ボトル内圧の上昇によってパネル部全体が反転し易くなるのを防ぎつつ、減圧吸収性能を向上させることができる。
本発明に係る一実施形態として示したボトルの側面図である。 図1に示す胴部のA−A線矢視断面図である。
符号の説明
10 ボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
17 パネル部
17b パネル部の底面
18 凹部
18e 凹部の底面
18f 凹部の側面
A パネル部の中心軸線方向における大きさ
a パネル部の周方向における大きさ
B 凹部の中心軸線方向における大きさ
b 凹部の周方向における大きさ
O 中心軸線

Claims (3)

  1. 口部、肩部、胴部および底部が合成樹脂で一体に形成されてなり、前記胴部に、その径方向の内方に凹んだパネル部が当該胴部の周方向に間隔をあけて複数設けられたボトルであって、
    前記パネル部の底面における中央領域には、前記胴部の側面視でこのボトルの中心軸線方向に長く、かつ当該パネル部の底面の前記中心軸線方向における中央から前記中心軸線方向の外側に向かうに従い漸次、前記周方向の大きさが小さくなる菱形状の凹部が形成され、
    該凹部は、その底面の外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、前記パネル部の底面に連なる側面を備え、
    前記パネル部は、その底面の外縁から前記径方向の外方に向けて立ち上がり、前記胴部のうち、その周方向で隣り合う前記パネル部同士の間に位置する柱部に連なる側面を備え、
    前記胴部の横断面視において、前記径方向に沿って延在し、かつ前記凹部の底面に直交する垂線と、前記凹部の側面と、がなす角度が、前記垂線と、前記パネル部の側面と、がなす角度より小さくなっていることを特徴とするボトル。
  2. 請求項1記載のボトルであって、
    前記パネル部の底面において前記凹部の非形成部分は、全域にわたって平滑面となっていることを特徴とするボトル。
  3. 請求項1または2に記載のボトルであって、
    前記凹部の前記中心軸線方向における大きさは、前記パネル部の前記中心軸線方向における大きさの30%以上70%以下とされるとともに、前記凹部の前記周方向における大きさは、前記パネル部の前記周方向における大きさの10%以上35%以下となっていることを特徴とするボトル。
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