JP5010230B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パワーステアリング装置に関し、特に、モータを動力源とした電動操舵補助装置と内燃機関を動力源とした油圧操舵補助装置とを有するパワーステアリング装置に関する。
従来、車輌のステアリング系に対して補助トルクを付与するために、モータを動力源とする電動操舵補助装置と車輌の車軸駆動源としての内燃機関を動力源とする油圧操舵補助装置とを備えるパワーステアリング装置であって、ステアリング系が必要とする補助トルクを車速に応じた比率で電動操舵補助と油圧操舵補助とに分担させるパワーステアリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、電動操舵補助制御装置と油圧操舵補助装置とを備え、ステアリング操舵状態に基づいて必要とする補助トルクを演算し、演算した補助トルクが電動操舵補助制御装置による最大補助トルクよりも大きい場合に、その不足分を油圧操舵補助装置で発生させるパワーステアリング装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−213094号公報 特開2005−132201号公報
しかしながら、特許文献1及び2は、電動操舵補助制御装置及び油圧操舵補助装置による、必要な補助トルクの分担方法を説明するだけで、電動操舵補助制御装置及び油圧操舵補助装置の二つの操舵補助装置を組合せた構造を開示していない。
そこで、本発明は、モータを動力源とした電動操舵補助装置と内燃機関を動力源とした油圧操舵補助装置とを組合せることにより構成を簡略化させたパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るパワーステアリング装置は、モータを動力源とした電動操舵補助装置と、内燃機関を動力源とした油圧操舵補助装置と、前記油圧操舵補助装置における作動油の流れを制御するコントロールバルブの可動部の変位量を検出する変位量検出手段と、前記変位量検出手段が検出した変位量に基づいて前記電動操舵補助装置による操舵補助力を制御する操舵補助力制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、第二の発明は、第一の発明に係るパワーステアリング装置であって、前記可動部変位量は、ステアリングシャフトの軸方向又は円周方向の変位量であることを特徴とする。
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るパワーステアリング装置であって、前記コントロールバルブは、ロータリー式コントロールバルブ又はスプール式コントロールバルブであることを特徴とする。
上述の手段により、本発明は、モータを動力源とした電動操舵補助装置と内燃機関を動力源とした油圧操舵補助装置とを組合せることにより構成を簡略化させたパワーステアリング装置を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明の第一実施例である車輌用操舵制御装置100を示す。本実施例に係る車輌用操舵制御装置100は、パワーステアリング装置101、ECU(Electronic Control Unit)102、パワーシリンダ103等により構成されている。また、配管35〜38、オイルポンプ55、リザーバタンク59、パワーステアリング装置101、及び、パワーシリンダ103で構成される部分を油圧操舵補助装置とし、トルクセンサ70、ECU102、及び、EPS部80で構成される部分を電動操舵補助装置とする。
図2は、パワーステアリング装置101の断面図であり、パワーステアリング装置101は、ラックアンドピニオン式で、かつ、スプール式コントロールバルブを採用した構造となっている。
パワーステアリング装置101は、コントロールバルブハウジング1と、ステアリングホイール2に接続されるコントロールバルブシャフト3と、コントロールバルブシャフト3に挿通されるトーションバー4と、コントロールバルブシャフト3にトーションバー4を介して連結されるピニオン軸5と、から構成される。
コントロールバルブシャフト3は、ベアリング6を介してコントロールバルブハウジング1により支持され、かつ、ブッシュ7(オイルシールとしても機能する。)を介してピニオン軸5に形成された筒状凹部8に支持される。これにより、コントロールバルブシャフト3は、コントロールバルブハウジング1内で回転可能に支持される構成となっている。
トーションバー4は、その第一端部がピン10を介してコントロールバルブシャフト3に連結され、かつ、その第二端部がピン11を介してピニオン軸5に連結された構成となっている。トーションバー4は、コントロールバルブシャフト3にステアリングホイール2から操舵トルクが入力されることにより捩れ、これによりコントロールバルブシャフト3とピニオン軸5との間に相対変位が発生するようになっている。
ピニオン軸5は、ベアリング12、13によりラックハウジング14に回転可能に支持された構成となっている。また、ピニオン軸5の下部にはピニオン15が形成されており、ピニオン15にはラックバー16に形成されたラック17が噛合した構成となっている。
ラックバー16は、その両端部にタイロッド(図示せず。)を介してタイヤ(図示せず。)が接続され、ラックバー16が直線移動することによりタイヤの方向を変位させて操舵を行う構成となっている。なお、ラックバー16は、ラックボデー19内に配設されている。
上記構成において、ステアリングホイール2を操作し、コントロールバルブシャフト3に回転力(操舵トルク)が入力されると、トーションバー4を介して操舵トルクがピニオン軸5に伝達され、ピニオン軸5が回転することによりラックバー16が右方向又は左方向に選択的に直線移動して操舵が行われる。
また、パワーステアリング装置101は、スライドピン9を介してコントロールバルブシャフト3に結合されるインナースリーブ20、及び、ピン18を介してピニオン軸5に結合されるアウタースリーブ21を有し、インナースリーブ20、及び、アウタースリーブ21は、パワーステアリング装置101のコントロールバルブとなるスプールバルブを形成する。
インナースリーブ20は、コントロールバルブシャフト3との関係において、軸方向に相対移動可能でありながら円周方向に相対回転不可となっている。また、アウタースリーブ21は、ピニオン軸5との関係において、軸方向に相対移動不可で、かつ、円周方向に相対回転不可となっている。
インナースリーブ20とアウタースリーブ21との間には、トーションバー4の捩れ量を直線運動に変換する変換機構が設けられている。その変換機構は、インナースリーブ20がその外周に回転可能に保持するボール26と、アウタースリーブ21がその内周にボール26を転動させるために有する螺旋溝とから構成される。
ステアリングホイール2が操作されコントロールバルブシャフト3に操舵トルクが入力されると、その操舵トルクは、トーションバー4を介してピニオン軸5に伝達される。このとき、ピニオン軸5にはタイヤと路面との間の摩擦力等に応じた抵抗力が生じるため、その操舵トルクに応じてトーションバー4が捻れることによりコントロールバルブシャフト3とピニオン軸5との間に相対回転が生じる。
この相対回転により、インナースリーブ20とアウタースリーブ21との間にも相対回転が生じてボール26がアウタースリーブ21内壁の螺旋溝内を転動し、それによりインナースリーブ20が力を受け、コントロールバルブシャフト3に対して軸方向及び円周方向に移動する。
また、コントロールバルブハウジング1の所定位置には作動油が流れる入口ポート22、出口ポート23、右操舵用ポート24、及び、左操舵用ポート25が形成されている。
入口ポート22は、配管37を介してエンジンによって駆動されるオイルポンプ55に接続されており、オイルポンプ55により入口ポート22には所定圧力の作動油が供給される。また、出口ポート23は、配管38を介してリザーバタンク59に接続されており、不要な作動油が出口ポート23よりリザーバタンク59に排出される。
右操舵用ポート24は、配管35を介してパワーシリンダ103における右操舵補助用シリンダ室64に接続される。
左操舵用ポート25は、右操舵用ポート24と同様、配管36を介してパワーシリンダ103における左操舵補助用シリンダ室65に接続される。
上記構成により、ステアリングホイール2が操作されて操舵トルクがコントロールバルブシャフト3に伝達されると、路面からの反力に応じてトーションバー4が捻れインナースリーブ20とアウタースリーブ21との間に相対回転が生じ、変換機構によりその相対回転がインナースリーブ20の軸方向の直線運動に変換される。
インナースリーブ20が軸方向に移動すると、コントロールバルブハウジング1、インナースリーブ20及びアウタースリーブ21に形成された流路が選択的に連通され、作動油の所定方向への流れが形成される。そこで、作動油の所定方向への流れについて説明する。
ステアリングホイール2が中立である場合、入口ポート22と右操舵用ポート24又は左操舵用ポート25とが連通されておらず、オイルポンプ55から入口ポート22に流入した所定圧の作動油は、出口ポート23を介してそのままリザーバタンク59に排出される。
しかし、ステアリングホイール2が右に操舵された場合には、コントロールバルブシャフト3とピニオン軸5との間で生じる相対回転によりインナースリーブ20が下方(ピニオン軸5側)に押し下げられて移動し、入口ポート22と右操舵用ポート24とが連通され、パワーシリンダ103の右操舵補助用シリンダ室64は、所定圧の作動油の供給を受ける。同時に、出口ポート23と左操舵用ポート25とが連通され、左操舵補助用シリンダ室65は、左操舵用ポート25及び出口ポート23を介してリザーバタンク59に作動油を排出する。その結果、ラックバー16は、右方向に操舵補助力(ラック推力)が付与される。
一方、ステアリングホイール2が左に操舵された場合には、コントロールバルブシャフト3とピニオン軸5との間で生じる相対回転によりインナースリーブ20が上方(ステアリングホイール2側)に押し上げられて移動し、入口ポート22と左操舵用ポート25とが連通され、パワーシリンダ103の左操舵補助用シリンダ室65は、所定圧の作動油の供給を受ける。同時に、出口ポート23と右操舵用ポート24とが連通され、右操舵補助用シリンダ室64は、右操舵用ポート24及び出口ポート23を介してリザーバタンク59に作動油を排出する。その結果、ラックバー16は、左方向に操舵補助力が付与される。
なお、コントロールバルブハウジング1とラックハウジング14とは、ボルト28、29により一体的に締結された構成となっており、更に、ベアリング6の下部(ピニオン軸5側)には、作動油がコントロールバルブハウジング1から漏出するのを防止するオイルシール27が配設されている。
続いて、操舵トルクを検出するトルクセンサ70について説明する。
トルクセンサ70は、変位量検出手段の一例であり、コントロールバルブハウジング1内に配設されながら操舵トルクを検出するためのセンサであって、例えば、コントロールバルブシャフト3の軸方向に関するインナースリーブ20の変位を検出して、ステアリングホイール2の操作による操舵トルクを検知する。
また、トルクセンサ70は、オイルシール27により作動油の流路から隔離されて配設されるようにしてもよい。作動油が操舵トルクの検出に影響しないようにするためである。
トルクセンサ70は、例えば、インナースリーブ20の外壁の円周方向に形成された溝にレバーを嵌合させインナースリーブ20の軸方向への移動に応じてそのレバーが移動させられることによりインナースリーブ20の軸方向の変位を検出するポテンショメータである。この場合、トルクセンサ70は、インナースリーブ20の軸方向の変位に基づいてコントロールバルブシャフト3とピニオン軸5との間に生成されるトルクを検知する。
また、トルクセンサ70は、MR(Magnetic Resistance)素子をインナースリーブ20の外壁に配置し、インナースリーブ20の移動による磁界の変化に基づいてインナースリーブ20の変位を検出する非接触型の変位センサであってもよい。
また、トルクセンサ70は、磁歪効果を利用した非接触型のセンサや歪みゲージを利用した接触型のセンサであってもよく、インナースリーブ20の軸方向の移動によって生じる荷重を検出する荷重センサであってもよい。
なお、トルクセンサ70の出力は、ECU102を介して電気信号としてEPS(Electric Power Steering)部80に供給される。
ECU102は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、操舵補助力制御手段90に対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
操舵補助力制御手段90は、トルクセンサ70からの電気信号に基づいてEPS部80に対する制御信号を生成するための手段であり、例えば、トルクセンサ70の出力値に比例する操舵補助力をEPS部80で発生させるよう制御信号を生成する。
また、操舵補助力制御手段90は、ECU102に接続された車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等の出力に基づいてEPS部80で発生させる操舵補助力を演算するようにしてもよい。
例えば、操舵補助力制御手段90は、車輌が高速で走行している場合には、オイルポンプ55に制御信号を送信してオイルポンプ55を停止させ、パワーシリンダ103で操舵補助力を発生させないようにし、EPS部80だけで操舵補助力を発生させるようにしてもよい。これにより、オイルポンプ55を作動させるためのエンジン出力が不要となり、燃費を向上させることができる。
また、操舵補助力制御手段90は、車輌が低速で走行している場合には、EPS部80に比べてより大きい操舵補助力を発生させることができるパワーシリンダ103だけで操舵補助力を発生させ、EPS部80で操舵補助力を発生させないようにしてもよい。無駄な電力消費を避けるためである。
EPS部80は、ピニオン軸5に相対回転不能に一体化されたハイポイドギア81と、ハイポイドギア81を回転させる電動モータ82とから構成される。電動モータ82は、ECU102からの制御信号に応じてハイポイドギア81を所定方向に所定角度回転させピニオン軸5に回転トルクを与え操舵補助力を発生させる。なお、ハイポイドギア81は、ベベルギア、スパーギア、ヘリカルギア等のギアで代用されてもよい。
以上の構成により、パワーステアリング装置101は、エンジンが作動しておらずオイルポンプ55を駆動させることができない場合であっても、EPS部80により操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置101は、オイルポンプ55が故障して所定圧の作動油をパワーシリンダ103内に送り出すことができない場合(油圧操舵補助装置が失陥した場合)であっても、トルクセンサ70が検出した操舵トルク(インナースリーブ20の機械的な変位)に基づいてEPS部80を制御し、EPS部80による操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置101は、トルクセンサ70やEPS部80が故障した場合(電動操舵補助装置が失陥した場合)であっても、コントロールバルブにより機械的に作動油の流れを制御してパワーシリンダ103による操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置101は、油圧操舵補助装置及び電動操舵補助装置で同時に操舵補助力を発生させることにより、高出力、高レスポンスを実現させることができる。
また、パワーステアリング装置101は、油圧操舵補助装置のためのコントロールバルブの動きを利用して操舵トルクを検出するので、操舵トルクを検出するための特別な機構を用意する必要がなく、トルクセンサ70の構成を簡略化させることができる。
また、パワーステアリング装置101は、電動操舵補助装置におけるトルクセンサ70をコントロールバルブハウジング1内に配設することにより、電動操舵装置専用のトルクセンサを準備する必要が無く、装置の構成を簡略化させ、かつ、コンパクト化させることができる。
図3乃至図5は、本発明の第二実施例である車輌用操舵制御装置200を示す。本実施例に係る車輌用操舵制御装置200は、パワーステアリング装置101の代りにパワーステアリング装置201を有する点において車輌用操舵制御装置100と相違し、その他の点において車輌用操舵制御装置100と共通する。従って、共通する構成要素については同じ参照番号を用いることとする。
第二実施例において、ラックバー16は、ラック17を有しその軸方向へ移動できるようハウジング212に組み付けられ、ピニオン軸5のピニオン15が噛合している。
ピニオン15は、ピニオン軸5に一体的に形成され、ピニオン軸5は、第一端部においてベアリング13を介し、第二端部において自動調芯玉軸受216とクランク217と一対の玉軸受218、219とを介してハウジング212に回転自在に組み付けられ、かつ、ベアリング13を支点としてラックバー16から離れる方向へ僅かに傾動可能に組み付けられている。なお、ピニオン軸5は、ステアリングシャフトを介してステアリングホイール2に連係している。
一対の玉軸受218、219は、図4において詳細に示すように、クランク217をハウジング212に対して傾動可能に支持するものであり、互いに対向しながらハウジング212に対して軸線(クランク217の揺動中心軸線)方向へ移動可能に組み付けられ、一対の圧縮コイルスプリング227、228により弾撥的に位置決め固定されている。
圧縮コイルスプリング227、228は、ピニオン軸5等を図示される元位置に向けて付勢するものであり、リテーナ231、232を介して玉軸受218、219のアウターレースに係合するとともに、ハウジング212に螺着されロックナット235、236により固定されたプラグ233、234に係合していて、プラグ233、234によって弾撥力を調整できるようになっている。なお、プラグ233、234には、クランク217の移動量を規定するためのボルト237、238が螺着されている。
クランク217は、図3乃至図5に示されるように、玉軸受218、219に軸支される一対の軸部217a1、217a2と、自動調芯玉軸受216を収容するリング部217a3と、取り付け孔217a4とを有するクランク本体217a、及び、クランク本体217aの取り付け孔217a4に嵌合固着されて先端の球状部にてサーボバルブ250の入力スプール241に係合するピン217bから構成される。
クランク217において、自動調芯玉軸受216を介してピニオン軸5と係合する部位である、クランク本体217aのリング部217a3は、短寸揺動部として機能し、また、ピン217bは、長寸揺動部として機能するようになっている。
サーボバルブ250は、図3に示されるように、入口ポート22、出口ポート23A、23B、右操舵用ポート24及び左操舵用ポート24を介して、オイルポンプ55、パワーシリンダ103及びリザーバタンク59に接続され、入力スプール241の軸方向移動に応じてパワーシリンダ103の作動を制御するものであり、入力スプール241を軸方向へ摺動可能に収容するバルブボデー242(ハウジング212の一部)と、入力スプール241を図示された中立位置に弾撥的に付勢するセンタリングスプリング機構260等で構成される。
センタリングスプリング機構260は、圧縮コイルスプリング243と、入力スプール241に固着したナット244と、ハウジング212に螺着されロックナット246により固定されるスリーブ245と、スプリング243の第一端部に常時係合してナット244及びスリーブ245にそれぞれ離脱可能に係合するプレート247と、スプリング243の第二端部に常時係合してハウジング212の段部と入力スプール241の段部とにそれぞれ離脱可能に係合するプレート248によって構成される。
上記のように構成した第二実施例において、ステアリングホイール2によってピニオン軸5が回転操作された場合、ピニオン軸5は、ラックバー16からの反力を受けスプリング228の作用に抗しながらベアリング13を支点として傾動する。この傾動がクランク217の短寸揺動部(リング部17a3)に伝達され、クランク217は、一対の軸部217a1、217a2を中心として揺動する。さらに、クランク217の長寸揺動部であるピン271bが揺動し、入力スプール241は、その軸方向へ移動させられる。入力スプール241が軸方向に移動すると、サーボバルブ250に形成された流路が選択的に連通され、作動油の所定方向への流れが形成される。
ここで、作動油の所定方向への流れについて説明する。ステアリングホイール2が中立である場合、入口ポート22と右操舵用ポート24又は左操舵用ポート25とが連通されず、オイルポンプ55から入口ポート22に流入した所定圧の作動油は、出口ポート23A、23Bを介してそのままリザーバタンク59に排出される。
しかし、ステアリングホイール2が左に操舵された場合には、入力スプール241が下方(ピン217b側)に押し下げられて移動し、入口ポート22と左操舵用ポート25とが連通され、パワーシリンダ103の左操舵補助用シリンダ室65は、所定圧の作動油の供給を受ける。同時に、出口ポート23Bと右操舵用ポート24とが連通され、右操舵補助用シリンダ室64は、右操舵用ポート24及び出口ポート23Bを介してリザーバタンク59に作動油を排出する。その結果、ラックバー16は、左方向に操舵補助力(ラック推力)が付与される。
一方、ステアリングホイール2が右に操舵された場合には、入力スプール241が上方(圧縮コイルスプリング243側)に押し上げられて移動し、入口ポート22と右操舵用ポート24とが連通され、パワーシリンダ103の右操舵補助用シリンダ室64は、所定圧の作動油の供給を受ける。同時に、出口ポート23Aと左操舵用ポート25とが連通され、左操舵補助用シリンダ室65は、左操舵用ポート25及び出口ポート23Aを介してリザーバタンク59に作動油を排出する。その結果、ラックバー16は、右方向に操舵補助力が付与される。
操舵補助力制御手段90は、トルクセンサ70の出力値に比例する操舵補助力をEPS部80で発生させるよう制御信号をEPS部80に送信し、制御信号を受信したEPS部80は、電動モータ82によりピニオン軸5に相対回転不能に一体化されたハイポイドギア81を回転させピニオン軸5に回転トルクを与えて操舵補助力を発生させる。
以上の構成により、パワーステアリング装置201は、エンジンが作動しておらずオイルポンプ55を駆動させることができない場合であっても、EPS部80により操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、オイルポンプ55が故障して所定圧の作動油をパワーシリンダ103内に送り出すことができない場合(油圧操舵補助装置が失陥した場合)であっても、トルクセンサ70が検出した操舵トルク(入力スプール241の機械的な変位)に基づいてEPS部80を制御し、EPS部80による操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、トルクセンサ70やEPS部80が故障した場合(電動操舵補助装置が失陥した場合)であっても、サーボバルブ250により機械的に作動油の流れを制御し、パワーシリンダ103による操舵補助力を発生させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、油圧操舵補助装置及び電動操舵補助装置で同時に操舵補助力を発生させることにより、高出力、高レスポンスを実現させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、油圧操舵補助装置のためのコントロールバルブの動きを利用して操舵トルクを検出するので、操舵トルクを検出するための特別な機構を用意する必要がなく、トルクセンサ70の構成を簡略化させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、電動操舵補助装置におけるトルクセンサ70をサーボバルブ250内に配設することにより、電動操舵装置専用のトルクセンサを準備する必要が無く、装置の構成を簡略化させ、かつ、コンパクト化させることができる。
また、パワーステアリング装置201は、入力スプール241の軸をピニオン軸5に対して傾斜させた構成を可能とするので、入力スプール241及びトルクセンサ70の配置の自由度を高め、装置構成の簡略化、コンパクト化を実現させることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、パワーステアリング装置は、コントロールバルブとしてスプール式コントロールバルブを採用し、スプールの上下動を利用した操舵トルクの検出によりEPS部80を制御するが、コントロールバルブとしてロータリー式コントロールバルブを採用し、ロータリーバルブの回転による円周方向の変位を利用した操舵トルクの検出によりEPS部80を制御するようにしてもよい。
本発明の第一実施例である車輌用操舵制御装置を示す図である。 第一実施例に係るパワーステアリング装置の断面図である。 本発明の第二実施例に係るパワーステアリング装置の断面図である。 図3におけるパワーステアリング装置のX−X断面図である。 図3及び図4におけるクランクを示す図である。
符号の説明
1 コントロールバルブハウジング
2 ステアリングホイール
3 コントロールバルブシャフト
4 トーションバー
5 ピニオン軸
6 ベアリング
7 ブッシュ
8 筒状凹部
9 スライドピン
10、11 ピン
12、13 ベアリング
14 ラックハウジング
15 ピニオン
16 ラックバー
17 ラック
18 ピン
19 ラックボデー
20 インナースリーブ
21 アウタースリーブ
22 入口ポート
23、23A、23B 出口ポート
24 右操舵用ポート
25 左操舵用ポート
26 ボール
27 オイルシール
28、29 ボルト
35〜38 配管
55 オイルポンプ
59 リザーバタンク
64 右操舵補助用シリンダ室
65 左操舵補助用シリンダ室
70 トルクセンサ
80 EPS部
81 ハイポイドギア
82 電動モータ
90 操舵補助力制御手段
100 車輌用操舵制御装置
101 パワーステアリング装置
102 ECU
103 パワーシリンダ
200 車輌用操舵制御装置
201 パワーステアリング装置
212 ハウジング
216 自動調芯玉軸受
217 クランク
217a クランク本体
217a1、217a2 軸部
217a3 リング部
217a4 取り付け孔
217b ピン
218、219 玉軸受
227、228 圧縮コイルスプリング
231、232 リテーナ
233、234 プラグ
235、236 ロックナット
237、238 ボルト
241 入力スプール
242 バルブボデー
243 圧縮コイルスプリング
244 ナット
245 スリーブ
246 ロックナット
247、248 プレート
250 サーボバルブ
260 センタリングスプリング機構

Claims (2)

  1. モータを動力源とした電動操舵補助装置と、
    内燃機関を動力源とした油圧操舵補助装置と、
    前記油圧操舵補助装置における作動油の流れを制御するスプール式コントロールバルブの可動部の軸方向の変位量を検出するトルクセンサと、
    前記トルクセンサの出力値に基づいて前記電動操舵補助装置による操舵補助力を制御する操舵補助力制御手段と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 当該パワーステアリング装置は、ラックアンドピニオン式であり、
    前記スプール式コントロールバルブの可動部の軸は、ピニオン軸に対して傾斜している、
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
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