図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44が感光体22に対し対向配置され、その対向位置において現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
図3は現像器の構造を示す断面図である。各現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが上記所定位置に位置決めされると、現像ローラ44が感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、図3の矢印に示す現像ローラ44の回転方向において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。そして、エンジンコントローラ10からの現像バイアスが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーは、感光体2の表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
さらに、符号200はトナー消費量を求めるためのトナーカウンタである。このトナーカウンタ200は、画像形成動作の実行に伴って消費されるトナーの量を各トナー色毎に計算し記憶する。トナー消費量の計算方法は任意であり種々の公知技術を適用することができる。例えば、外部装置から入力された画像信号を解析して各トナー色ごとのトナードットの形成個数をカウントし、そのカウント値からトナー消費量を計算することができる。
そして、CPU101は、トナーカウンタ200により求められた各色ごとのトナー消費量を各現像器4Y等に貯留されたトナー量の初期値から減算することにより、各時点における現像器内のトナー残量を把握する。そして、必要に応じて、各色ごとのトナー残量やトナー切れの発生などをユーザに知らせるためのメッセージを表示部12に表示させる。
具体的には、いずれかの現像器におけるトナー残量が所定の基準値以下となった場合には、当該トナー色について現像器を交換すべき時期が近づいていることを示すメッセージを表示(以下、「ニアエンド表示」という)する。この場合の基準値は、トナー残量がこの基準値にまで低下した状態で画像形成を行っても所定の画像品質が維持されるような値に設定される。ニアエンド表示を行うことにより、トナー切れによる著しい画質劣化が生じる前に新たな現像器を用意するための時間的余裕がユーザに与えられる。
トナー残量がさらに低下し画像品質の劣化が大きいと想定されるレベルに達すると、CPU101は、当該現像器の交換を促すメッセージを表示し(以下、「エンド表示」という)、以後の画像形成動作を禁止する。こうすることで、画像品質の著しく劣る画像が形成されるのを防止する。ただし、トナーをできるだけ使い切りたいユーザや、画質の劣化を許容して画像を形成したいユーザの要求に応えるため、ユーザの操作によってこの禁止を解除することができるようにしてもよい。
ニアエンド表示がなされてからエンド表示がなされるまでの間は、トナー残量の低下に伴い画像の品質劣化を生じる可能性が次第に高くなる。このような画質劣化がどの程度まで許容されるかは、ユーザの要望によって、また形成する画像の種類によって異なる。したがって、どのタイミングで現像器を交換すべきかについてトナー残量から一義的に求めることは困難である。そこで、この実施形態では、ニアエンド表示がなされて以降、ユーザからの要求があった場合には、所定パターンの画像を含むステータスシートを出力し、ユーザに画質の確認を行わせる。
図4はこの実施形態におけるステータスシートの一例を示す図である。このステータスシートSSでは、中央部、左端部、右端部の3箇所それぞれに、K,M,C,Yの4つのトナー色で形成された4本の帯状パターンの画像が形成されている。より詳しくは、シートの左端部に、ブラック色の帯状パターン301、マゼンタ色の帯状パターン302、シアン色の帯状パターン303、イエロー色の帯状パターン304を所定の間隔を空けて互いに平行に配置した左端部テストパターン300が形成される。同様に、ブラック色、マゼンタ色、シアン色およびイエロー色の帯状パターン311〜314を並行配置した中央部テストパターン310がシートの中央部に、また同じ色順の帯状パターン321〜324からなる右端部テストパターン320がそれぞれ形成される。
また、各帯状パターンの上端近傍には、それぞれの帯状パターンの色を示す色記号(K,M,C,Yのいずれか)353が付される。この色記号353は、各パターンの色を表すとともに、それぞれの帯状パターンを形成するのに使用された現像器を表している。また、各テストパターンの両側部近傍には、シート搬送方向に沿って等間隔に目盛パターン352が設けられる。さらに、シートの上端付近には、4つのトナー色のうち既にエンド状態となっているトナー色を示す文字情報351が印字される。図4の例では、4色全てのトナーが、残量が所定値以下であるエンド状態となっていることを表している。
次に、ステータスシートSSをこのような画像内容とした理由について説明する。まず、各トナー色ごとに、シート搬送方向に沿って延びる帯状パターンを形成するのは、現像ローラ44の回転に伴って次第に顕著になるかすれなどの画像欠陥を見つけやすくするためである。現像器内のトナーが少なくなったりその特性が劣化した状態であっても、画像形成の初期段階で形成される画像の先頭部は比較的高濃度である。画像の形成を開始する前に現像ローラ44が回転することによって、現像ローラ44の表面にトナーが寄せ集められるからである。一方、画像形成が開始されると、新たに現像ローラ44に供給されるトナーの量が画像形成に使用されるトナーの量に追いつかず、画像は次第にかすれてしまう。画像パターンを現像ローラ44表面の移動方向に沿って延びる帯状とすることによって、このように次第に現れてくる画像欠陥を見つけやすくすることができる。特に、帯状パターンの長さを現像ローラ44の周長よりも長くすると、画像欠陥の発見がさらに容易になる。この実施形態では、帯状パターンの長さを現像ローラ44よりも直径の大きな感光体22の長さとしているので、この要件は満たされている。
また、帯状パターンの側方に付した目盛パターン352は、画質劣化の程度をユーザにより直感的に把握させるためのものである。すなわち、ユーザは単に各帯状パターンに画像欠陥が生じているか否かを確認するだけでなく、どの目盛位置で画像欠陥の発生が始まっているかによって、画質劣化の程度を知ることができる。なお、帯状パターンに画像欠陥が発生したからといって、以後に形成する画像の品質が急激に落ちるというものではない。というのは、この帯状パターン301等は現像ローラ44表面の移動方向に沿って連続的に形成されたベタ画像であり、現像ローラ44表面から失われるトナーの量が最大となる画像パターンを有しているからである。通常の画像を形成する際にはこのような極端なトナー消費が行われることはあまりないので、これほど顕著な画像欠陥を生じるわけではない。
ただし、画像欠陥が図4において上部から始まるほど、画質の劣化が早く起こることも事実である。そこで、各目盛位置と、形成可能と推定される画像の枚数とを対応付けて(例えば、1目盛あたり100枚というように)、各目盛パターンの近傍や装置の取扱説明書等に表示しておけば、ユーザは引き続き形成可能な画像の概数を把握することが可能となり、より利便性が向上する。
また、各帯状パターンの長さは、ほぼ感光体22の周長と同じである。これは、感光体22の偏心やたわみ等に起因してその周長を周期として現れる濃度変動や画像欠陥を見つけやすくするためである。帯状パターンがこれより短いと、このような周期的な濃度変動を見落としてしまう場合がある。
一方、このような周期的な濃度変動や画像欠陥は、現像ローラ44の周長を周期として現れる場合がある。そこで、この実施形態では、目盛パターン352の間隔を現像ローラ44と同じとすることによって、現像ローラ44の回転に起因するこのような周期的な濃度変動を見つけやすくしている。また、同じような濃度変動が、現像器内に設けられて現像ローラ44表面にトナーを供給する供給ローラ43の周長に対応して現れる場合もあるので、帯状パターンの長さや目盛パターンの間隔については、このような濃度変動の現れ方に応じて適宜定めるのが望ましい。
なお、この実施形態では、現像ローラ44および感光体22の対向位置における両者の表面移動速度が同じであるので、目盛の間隔を現像ローラ44周長としている。しかしながら、特に非接触現像方式の画像形成装置では、両者の移動速度が同じでない場合がある。この場合には、目盛間隔(あるいは帯状パターンの長さ)を現像ローラ44周長に相当する長さに応じて適宜変更するのが好ましい。具体的には、現像ローラ44が1周する間に現像ローラ44との対向位置において感光体22の表面が移動する距離が、この場合の「現像ローラ44周長に相当する長さ」となる。
また、4本の帯状パターンからなるテストパターン310,300,320をそれぞれシートの中央および左右の3箇所に1組ずつ形成しているが、これは、感光体22や現像ローラ44の偏心やたわみ等に起因してその回転軸に平行な方向に沿って現れる濃度ムラを見つけやすくするためである。
また、エンド状態にあるトナー色を示す文字351を印字しているので、ユーザはどの色のパターンを特に注意して見ればよいかがわかる。さらに、帯状パターンに発生した画像欠陥がトナー切れによるものか、他の原因によるものかを区別することができる。すなわち、エンド状態にある現像器を使用して形成したパターンが画像欠陥を含んでいた場合には、その原因が当該現像器におけるトナー切れにある蓋然性が高い。一方、エンド表示がされていない現像器を使用して形成したパターンがパターンに画像欠陥がある場合には、トナー切れとは別の原因、例えば装置の故障によるものである可能性が高い。
なお、各帯状パターンについては、トナー色ごとの画像欠陥の有無を正しく評価するために、それぞれ単色画像であることが望ましい。一方、帯状パターンの上部に表示する色記号353、文字情報351および目盛パターン352については、所定の基準で選択した色による単色画像および2色以上のトナーを重ね合わせてなる混色画像のいずれであってもよい。これらの情報はユーザに判読可能な状態で表示される必要があり、これらの情報がかすれてしまったのでは情報がユーザに正しく伝わらない。そこで、これらの情報を単色画像とする場合には、十分な濃度が得られるように、例えば次のようにして使用するトナー色を定めることができる。第1には、各現像器のうち最もトナー残量の多いものを使用すれば、かすれを生じる可能性は最も低くなる。また、十分なトナー残量がある現像器が複数ある場合には、その中で最も判読容易な色のものを使うことができる。いずれの場合でも、イエロー単色画像は反射率が高く一般ユーザには視認しにくいので、例えばシートSが白色である場合には上記情報をイエロー単色画像とすることは避けた方が好ましい。また、十分なトナー残量のある現像器がなかったときに限り、目盛パターン等を混色画像とするようにしてもよい。
一方、これらの文字情報を2色以上の混色画像とすれば、それらのうち1色が十分な濃度であれば、支障なく情報を判読することができる。特に、4色全ての混色画像とした場合には、全ての現像器がトナー切れとならない限り、情報の判読が困難となるほどのかすれが生じることはまずない。なお、上記した文字情報や目盛のそれぞれを異なるトナー色で形成するようにしてもかまわない。
次に、4つの現像器のうち一部の現像器のみエンド状態となっているときに形成されるステータスシートについて説明する。ここでは、マゼンタおよびシアン色についてはトナー残量が所定値以下のエンド状態である一方、ブラックおよびシアン色については十分なトナー残量がある場合を例として説明する。この場合には、以下に説明するように、エンド状態となっているトナー色についてのみ帯状パターンが形成されることとなる。
図5はこの実施形態におけるステータスシートの他の例を示す図である。このステータスシートSS2では、エンド状態にあるトナー色についてのみ、帯状パターンを形成する。すなわち、文字情報451に示されるように、この場合においてはマゼンタおよびイエロートナーがエンド状態にある。これに対応して、各テストパターン400,410,420は、それぞれマゼンタ色およびイエロー色による二本の帯状パターン402および404,412および414,422および424からなっている。これらの帯状パターンの上端部付近には、図4に示すステータスシートSSと同様に、それぞれのトナー色を示す色記号453が表示され、また帯状パターンの側方部には、一定間隔の目盛パターン452が設けられる。このように、必要のないトナー色については帯状パターンの形成を省き、エンド状態にあるトナー色についてのみ帯状パターンを形成するようにすれば、エンド状態にあるトナー色については画質の確認を行うことができる一方、エンド状態に至っていないトナー色については無用なトナーの消費を抑えることができる。
図6はステータスシートの作成処理を示すフローチャートである。ここでは、ステータスシートを構成する各画像パターンのうち帯状パターン以外の文字情報や目盛パターンについては、エンド状態にあるトナー色による混色画像として形成するものとする。この方法では文字情報等の印刷色が一定しないことになるが、帯状パターンを形成しないトナー色についてはステータスシートの作成には一切使用しないため、ステータスシートの形成を短時間で行うことができるという利点がある。また、以下の説明では、マゼンタおよびシアン色がエンド状態にある場合を想定している。
この実施形態では、少なくとも1つの現像器がエンド状態にあり、しかもユーザから要求があったときには(ステップS101)、ステータスシートの作成が開始される。なお、「少なくとも1つの現像器がエンド状態にある」か否かについては、例えば、いずれかの現像器のトナー残量が所定値以下となったときにセットされ、当該現像器が新しいものに交換されたときにリセットされるようなフラグの状態により判断することができる。
まず、現像器4K内のブラック(K)色トナーの残量を確認する(ステップS102)。このとき、トナー残量が所定値以下でありブラック色トナーがエンド状態であるときには、ブラック色による所定パターンの画像形成動作を実行する(ステップS103)。この例ではブラック色トナーの残量は十分にあるので(ステップS102において「OK」と判断)、ステップS103はスキップされる。
次いで、現像器4M内のマゼンタ(M)色トナーの残量を確認する(ステップS104)。この例では、マゼンタ色トナーはエンド状態であるので、続いてマゼンタ色による所定パターンの画像形成動作を実行する(ステップS105)。
図7はステータスシート作成処理における画像形成動作を示すフローチャートである。この画像形成動作では、エンジンコントローラ10に設けられたCPU101から、マゼンタ色用の画像パターン(後述)に対応する画像信号が生成される(ステップS201)。そして、この画像信号に対応する静電潜像の形成が感光体22上において開始され(ステップS202)、マゼンタ色現像器4Mが感光体22と対向する現像位置に位置決めされ現像ローラ44に現像バイアスが印加されると(ステップS203、S204)、感光体22上において静電潜像がマゼンタ色トナーにより顕像化される。
図8はステータスシート作成過程における中間転写ベルトの状態を示す図である。この時点で、中間転写ベルト71上に予め設定された画像領域IAには、ステータスシートSS2を構成する画像のうちマゼンタ色トナーにより形成される画像のみが担持された状態となる。すなわち、画像領域IAには、マゼンタ色の帯状パターン502,512,522と、それらの上部に表示された「M」「Y」の色記号553と、目盛パターン552と、文字情報551とが担持された状態となっている。
図6に戻って、ステータスシート作成処理の説明を続ける。こうしてマゼンタ色の画像の形成が終了すると、続いてシアン色のトナー残量を確認する(ステップS106)。この例ではシアン色のトナー残量は十分にあるので、シアン色による画像形成動作(ステップS107)は実行されない。次いで、イエロー色のトナー残量を確認し(ステップS107)、イエロー色トナーがエンド状態であるため画像形成動作を実行する(ステップS109)。画像形成動作の内容は図7に示した通りである。
イエロー色で形成される画像は、イエロー色の帯状パターンと、その他の画像(目盛パターンや文字情報)とである。中間転写ベルト71上では、イエロー色の帯状パターンはマゼンタ色の帯状パターンの隣に転写され、イエロー色で形成したその他の画像はマゼンタ色で形成された同じ画像と重ね合わされる。こうして形成された画像は中間転写ベルト71からシートS上に転写・定着されて、ステータスシートSS2として出力される(ステップS110)。
なお、目盛パターン等を単色画像とする場合には、その形成に使用するトナー色についてはトナー残量の多少に関係なく画像形成動作を行うようにすればよい。この場合、CPU101は、目盛パターン等を形成するトナー色についてのみそれらのパターンを含む画像信号を出力し、他の色については帯状パターンのみを含む画像信号を出力するようにすればよい。
ところで、上記のように構成された画像形成装置は、フルカラー画像を形成可能な装置であるが、ユーザの希望により、モノクロ画像のみを形成するモノクロ専用画像形成装置としても機能する。すなわち、この装置では、Y,M,CおよびKのトナー色それぞれに対応した4つの現像器に代えて、全て同一トナー色の4つの現像器をロータリー現像ユニット4に装着した状態で、当該トナー色による画像形成動作が可能である。この場合、外部装置から画像信号が与えられると、4つの現像器のうち適宜の判断基準に基づき選択された1つが使用されて画像形成動作が実行される。
以下では、図1の装置がモノクロ専用画像形成装置として使用されるときに作成されるステータスシートについて説明する。なお、モノクロ専用画像形成装置では、各現像器のトナー色が同一であるのでトナー色によって現像器を特定することができない。そこで、以下では、現像ユニット4への現像器の装着位置によって各現像器を区別することとする。すなわち、図1に示す現像器4Kの位置に装着されるものを現像器4aと称する。同様に、現像器4M、4C、4Yの位置に装着されるものを、それぞれ現像器4b、4c、4dと称することとする。
モノクロ専用画像形成装置として使用される場合においても、いずれかの現像器のトナー残量が所定値以下となった時点でその現像器はエンド状態と判断される。そして、この状態でユーザから要求があった場合には、その要求に応じて以下に説明するステータスシートが作成される。
図9はモノクロ画像によるステータスシートの一例を示す図である。ここでは4つの現像器のいずれもがエンド状態となった場合を示している。このステータスシートSS3では、それぞれ4本の帯状パターンからなるテストパターン610,600および620がシートの中央部、左端部および右端部に形成される。各テストパターンを構成する4本の帯状パターンは同一色のトナーで形成されているが、それぞれの形成に使用された現像器は同じではない。すなわち、左端部に形成されたテストパターン600を構成する帯状パターン601は、現像器4aに貯留されていたトナーにより形成されている。同様に、帯状パターン602,603,604は、それぞれ現像器4b、4c、4dを使用して形成されたものである。
各帯状パターンの上端部付近には、当該帯状パターンの形成に使用した現像器を示す現像器記号653が付されている。例えば、帯状パターン601の上部には、当該パターンが現像器4aを使用して形成されたことを示す記号「a」が表示される。もちろん「4a」と表示されてもよい。また、各テストパターンの側方部には一定間隔の目盛パターン652が設けられる。さらに、シートの上部には、現在エンド状態にある現像器がどれであるかを示す文字情報651が表示される。これらの情報は、1つまたは複数の現像器によって形成することができる。この場合には、複数の現像器による画像を重ね合わせても元の色と同じ色となる。
これらの画像の構成は、トナー色が互いに異なる4つの現像器を装着した場合(フルカラー)のものと基本的には同じである。ただし、全ての現像器のトナー色が同一であることに起因して注意すべきことがいくつかある。まず、各帯状パターンが同じ色で形成されるので、それぞれがどの現像器を使用して形成されたかを示す情報は必須である。この実施形態では、フルカラーの場合もこのような情報を付しているので大きな差異はないが、フルカラーではこれらの情報表示を省略することができるのに対して、モノクロではこれを省くと各パターンの区別ができなくなる。
また、フルカラーの場合には、各帯状パターンを互いに接するように配置しても問題ないが、モノクロの場合にこのようにすると各パターンの境界がわからなくなってしまう。そこで、この実施形態では、各帯状パターン間に一定の隙間を設けることで各パターンの外縁を明確にするようにしている。
また、このステータスシートSS4では、帯状パターンがフルカラーの場合のステータスシートにおけるそれよりも短くなっている。その理由は以下の通りである。モノクロ専用画像形成装置では、フルカラー画像形成装置の場合と異なって、色バランスの崩れによる画質の劣化という問題が存在しない。また、モノクロ専用装置は、主として文書の印刷に使われることが多いと想定される。これらの理由から、モノクロの場合、フルカラーの場合ほど濃度不足や画像欠陥を問題にしなくてよい。そこで、比較的短い帯状パターンによって簡便な画質の確認を行うにとどめておくことで、トナー消費量を抑えることが可能となる。
なお、モノクロ色で使用されるトナー色は、大抵の場合フルカラー画像形成装置における複数色のうちの1色である。例えば、モノクロ色をブラックとすると、ブラック色はフルカラー画像の形成にも必要に応じて使用される。したがって、同じブラック色であっても、それがフルカラーのうちの1色として使用される場合と、モノクロ専用色として使用される場合とでは、上記のように扱いを異ならせることが望ましい。
例えば、装置をフルカラー画像形成装置として使用しており、各色のうちブラックのみがエンド状態となった場合を考えてみる。この場合、ステータスシート上に形成すべき帯状パターンはブラック色のみである。この場合のブラック色はフルカラーのうちの1色であるから、図4に示す長さの帯状パターンを形成することが望ましい。一方、モノクロ専用で使用されているときに、1つのブラック現像器のみで帯状パターンを形成するのであれば、図9に示すように、帯状パターンは短くてよいこととなる。
また、モノクロ用のステータスシートにおいても、フルカラー用のステータスシート(図5)の場合と同様に、エンド状態に至っていない現像器がある場合には、それらの現像器による帯状パターンの形成は行われない。
図10はモノクロ画像によるステータスシートの他の例を示す図である。ここでは、4つの現像器のうち現像器4a,4cの2つがエンド状態となった場合を示している。このステータスシートSS4では、4つの現像器のうちエンド状態にある現像器4a、4cについてのみ帯状パターンを形成している。
以上のように、この実施形態においては、ユーザが各現像器の状態を把握する助けとなるステータスシートを必要に応じて形成している。そして、ステータスシートに形成される画像の内容は、装置に装着された各現像器の状態によって異なったものとなる。
すなわち、この実施形態では、装置に装着された4つの現像器のうち、トナー残量が所定値以下となったものについて、当該現像器内のトナーによる帯状パターンを形成する。ユーザは、こうして形成された帯状パターンの画像欠陥の程度を評価して、画質の劣化の程度を判断することができる。また、トナー残量が十分にあり画像欠陥のおそれがない現像器については帯状パターンの形成を行わないので、無用なトナー消費を抑えることができる。
また、各現像器のトナー色の組み合わせによっても、形成される画像の内容は異なったものとなる。すなわち、4つの現像器が互いに異なるトナー色に対応するものである場合(フルカラー)と、いずれも同じトナー色に対応するものである場合(モノクロ)とでは、フルカラーの方が帯状パターンが長くなるようにしている。そのため、フルカラーの場合には各色トナーの状態を詳細にチェックすることができフルカラー画像の画質を良好に維持することができる一方、満たすべき基準がより緩やかなモノクロの場合には帯状パターンを短くすることでトナー消費量を抑えることが可能となる。
また、帯状パターンの長さを感光体22の周長と同程度に設定するとともに、目盛パターンの間隔を現像ローラ44の周長と同じとしているので、これらの回転に起因して周期的に発生する画像欠陥であっても容易に発見することが可能となる。
また、1つのトナー色による帯状パターンを、互いに位置を変えて複数個形成しているので、位置による画像濃度の変動があったとしても、画像欠陥を容易に見つけることができる。
また、目盛パターンやその他の文字情報等を、最も残量の多いトナー色による単色画像あるいは複数のトナー色による混色画像とすれば、これらの情報がかすれて判読できなくなるという問題の発生を抑制することができる。
以上説明したように、この実施形態においては、CPU101およびエンジン部EGが、本発明の「設定手段」および「像形成手段」としてそれぞれ機能している。また、図7のフローチャートにおいて、ステップS201が本発明の「設定工程」に相当するものである一方、ステップS202〜S203が本発明の「像形成工程」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、いずれかの現像器がエンド状態にあり、かつユーザから要求があったときにステータスシートを作成するようにしているが、ステータスシートの作成タイミングはこれに限定されず、例えば、ユーザからの要求があったときにはいつでも作成したり、装置の状態が所定の条件を満たすに至ったとき(例えば、画像形成枚数が所定値に達したときなど)にステータスシートが出力されるようにしてもよい。
また、例えば、装置に対し新しい現像器が装着されたことを検出したときに、ステータスシートを作成するようにしてもよい。こうすれば、新たに装着された現像器の動作の確認を行うことができるとともに、他に交換すべき現像器があるか否かを確認することができる。
また、上記実施形態における各帯状パターンの配列は各記載の内容に限定されるものではなく任意である。また、一部の現像器についてのみ帯状パターンを形成する場合、上記実施形態では帯状パターンの形成位置を調整してパターン間に大きな隙間ができないようにしているが、使用しない現像器に対応する帯状パターンの領域をそのまま空けておくようにしてもよい。
また、上記実施形態では、帯状パターンの形成に使用した現像器や、エンド状態にある現像器がどれであるかについてステータスシートに記載するようにしているが、これ以外に、各現像器のトナー残量や使用履歴等を併せて記載するようにしてもよい。
さらに、現像器以外の装置各部の状態に関する情報、例えば、露光ユニット6や感光体22の使用時間、制御ソフトウェアのバージョンなどを、ステータスシートに表示する内容として付加するようにしてもよい。
4…ロータリー現像ユニット、 4K,4M,4C,4Y…現像器、 10…エンジンコントローラ、 22…感光体、 44…現像ローラ、 71…中間転写ベルト、 101…CPU(設定手段)、 EG…エンジン部(像形成手段)、 SS,SS2〜SS4…ステータスシート(画質評価用画像)