図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、後述するように、4個の現像器を装着して画像を形成する画像形成装置である。そして、互いに異なる色のトナーを貯留した現像器を装着された状態では、それらの現像器を使用したフルカラー画像およびそれらの現像器のうち1つを使用したモノクロ画像を形成することができる。さらに、同一色のトナーを貯留する現像器を装着した状態では、当該トナー色によるモノクロ画像専用の画像形成装置として機能する。以下では、いずれもブラックトナーを貯留した4個の現像器を装着されたモノクロ画像専用の画像形成装置に本発明を適用した場合の実施形態について説明する。
この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、外部装置から与えられた画像信号に対応するモノクロ画像をシートSに形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてブラックトナーを内蔵する4個の現像カートリッジ4Ka〜4Kd、およびこれらを一体的に回転させるためのロータリー駆動部(図示省略)を備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が図1の方向D4に回転駆動されるとともにこれらの現像カートリッジ4Ka〜4Kdが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像カートリッジに設けられた現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が現像位置に位置決めされた現像カートリッジ内のトナーにより現像される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。この転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部とを備えている。そして、転写ユニット7は、感光体22上に形成されるブラックのトナー像を中間転写ベルト71上に転写するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上に二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてモノクロ画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像カートリッジに与える現像バイアスや、光ビームLの強度などの調整を行っている。
この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の画像濃度に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
また、図2に示すように、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdには該現像カートリッジの製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdには無線通信器49Ka、49Kb、49Kc、49Kdがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像カートリッジ側にコネクタ等を設け、コネクタ等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号117はCPU111における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
ところで、上記のように構成された装置では、画像形成動作を実行する際に、4個の現像器のうちどれを使用するかを適宜の基準に基づき決定する必要がある。フルカラー画像形成装置においては形成すべきトナー像の色に応じて使用すべき現像器が一義的に定まるのに対し、モノクロ専用装置では、同色のトナーを貯留する現像器が複数あるからである。
この実施形態では、
(1)画質の良好な画像を安定して形成すること;
(2)画像形成指令を受けてから画像が形成されるまでの時間(ファーストプリントタイム)を短くすること;
(3)画像形成のスループットを高くすること;および、
(4)画像品質を維持するために現像器に対し行う準備動作(後述)の頻度をできるだけ低くするとともに、必要な準備動作を効率よく行うこと
を目的として、エンジンコントローラ10の制御動作を以下のように制定している。
すなわち、エンジンコントローラ10は、図4に示す画像形成可否判断処理を実行し、各現像器の状態をモニタして装置が直ちに画像形成動作を実行することができる状態にあるか否かの判断を随時行っている。また、必要に応じて、各現像器に対し所定の準備動作(図5、図6)を行うことにより、画像形成指令が与えられたときに直ちに画像形成動作を実行することができる状態に装置を維持している。そして、画像形成指令が与えられたときには、エンジンコントローラ10は、図7に示す画像形成動作を実行し、各現像器の中から最適な現像器を選択使用して当該画像形成指令に対応する画像を形成する。以下、動作の詳細について説明する。
なお、この実施形態では、各現像器のトナー残量と、当該現像器に設けられた現像ローラ44の通算回転時間とに基づいて現像器の寿命ランク判定を行い、その結果に基づいて画像形成動作の可否を判断するとともに、後述する画像形成動作の態様を異ならせている。そこで、画像形成可否判断処理の説明に先立って現像器のランク分けについて説明しておく。
図3は現像器のランク分けを示す図である。現像器寿命に起因する画質の劣化は、単にトナー残量が少なくなったときのみでなく、残存するトナーの特性の劣化によっても生じる。すなわち、トナー残量が僅かであれば良好な画質が得られないのはもちろん、たとえ十分な量のトナーが現像器内に残っていたとしても、そのトナーが劣化していれば良好な画質は得られない。現像ローラの通算回転時間はトナーの劣化の程度を指標する値であり、その値が所定値(例えば10,000秒)に達した場合には、たとえトナー残量が十分であったとしてもそのトナーは劣化したものである可能性が高く当該現像器は使用に適さないといえる。
この実施形態では、図3に示すように、トナー残量が初期量の5%以上あり、かつ現像ローラ回転時間が上記所定値の70%未満にあるときには、当該現像器をランク1とする。ランク1の現像器を使用して画像形成を行った場合には、トナー残量が十分にあり、その劣化の程度も軽微であるので、濃度不足やかすれ等が発生せず必要十分な画像濃度を得られることが期待される。一方、トナー残量が初期量の1%未満または現像ローラ回転時間が上記所定値を超えている場合には、当該現像器をランク3とする。ランク3の現像器はもはや画像形成動作での使用に適さない。さらに、両ランクの中間、すなわちトナー残量が初期量の1%以上5%未満であり、かつ現像ローラ回転時間が上記所定値未満であるか、トナー残量が初期量の1%以上であって現像ローラ回転時間が上記所定値の70%以上100%未満であるときには、当該現像器をランク2とする。ランク2の現像器を使用して画像形成を行った場合には、画像形成は可能であるものの、濃度不足やかすれ等の画像欠陥が生じる可能性がある。つまり、ランク2は、画像の形成を行うことはできるが、画像品質については何らかの劣化を生じる可能性があるという状態である。なお、各現像器がどのランクに属しているかについては、図示を省略する表示ディスプレイに必要に応じて表示させユーザに報知することが望ましい。
このように、現像器の寿命ランクについて、所定の品質で画像を形成することのできるランク1、使用に適さないランク3およびそれらの中間に位置づけられるランク2の3つにランク分けすることで、装置の状態は次の3段階に分けられる:
(i)ランク1の現像器が少なくとも1つ装着された状態。この状態では、ランク1の現像器を使用して、所期の画像品質で画像を形成することができる;
(ii)ランク1の現像器がなく、ランク2の現像器が少なくとも1つ装着された状態。この状態では、ランク2の現像器を使用して画像の形成は可能であるが、所期の画像品質を得られない可能性がある;
(iii)ランク3の現像器のみが装着された状態。この状態では、もはや所期の画像品質を期待することはできない。
また、ランク1または2の現像器であっても、使用されない状態が長時間継続されると、その後に行う画像形成の初期段階において画像に周期的な濃度ムラを生じるという現象(本明細書ではこの現象を「放置バンディング現象」と称する)が起きることがある。このような濃度ムラは、現像ローラ上にトナーが担持されたまま放置されたことに起因して生じるものであり、画像形成動作に使用するのに先立って当該現像器に設けられた現像ローラを所定量回転させることで解消可能である。そこで、この実施形態では、必要に応じて、各現像器に設けられた現像器を所定量回転させる動作(本明細書においては、この動作を「攪拌動作」と称する)を実行するようにしている。より具体的には、各現像器について、先の画像形成動作および準備動作のうち最後に実行された動作における使用が終了してから現在までの休止時間を計測しておき、その休止時間が所定値に達したときには、当該現像器について攪拌動作が必要であることを示すフラグがセットされる。休止時間については、例えば当該現像器に設けられた現像ローラ44の回転駆動を停止してから現在までの経過時間として定義することができる。このフラグがセットされている現像器については、後述するタイミングで攪拌動作が実行され放置バンディング現象の発生が抑制される。攪拌動作が実行されるとフラグはリセットされる。
さらに、現像器が使用されるにつれてその劣化が進み画像濃度が変動するため、当該現像器を使用して画像形成動作を実行する際の装置各部の動作条件を変更しなければならない場合がある。そこで、この実施形態では、前記した現像器の寿命を表す情報、つまりトナー残量および現像ローラ回転時間のいずれかが所定の閾値に達したときには、当該現像器について、動作条件を再調整して画像濃度を所定濃度に制御するための動作(濃度制御動作)が必要であることを示すフラグがセットされる。このフラグがセットされている現像器については、後述するタイミングで濃度制御動作が実行される。これにより画像濃度の変動が抑制される。濃度制御動作が実行されるとフラグはリセットされる。
濃度制御動作の実行のきっかけとなる、上記したトナー残量や現像ローラ回転時間の閾値は1つだけというわけではない。すなわち、トナー残量および現像ローラ回転時間がある閾値に達して濃度制御動作が行われると、新たに次の閾値が設定される。そして、トナー残量または現像ローラ回転時間がその新たな閾値に達したときには再び濃度制御動作が実行されることになる。このように、1つの現像器が装置に装着され寿命が来て再び取り外されるまでの間に、複数回の濃度制御動作が繰り返し行われるようにすることで、現像器の経時的な特性変化に対応して、画質を安定に維持することが可能となる。
また、トナー残量や現像ローラ回転時間等、現像器の状態を表す情報については、当該現像器に設けられた記憶手段(例えば、現像器4Kaに設けられた不揮発性メモリ91)に記憶させておき、必要に応じて、CPU101がそれらの情報を読み出し/書き込みするように構成することができる。こうすることで、それぞれの現像器に関する情報は現像器自身に付帯することとなり、当該現像器がいったん取り外されて再び装着された場合や、他の装置で使用されていた現像器が装着された場合であっても、各現像器の状態を適切に管理することができる。
なお、前述の「準備動作」は、現像器を画像形成に使用可能な状態とするために、画像形成動作への使用に先立って当該現像器に対し施す処理動作の総称であり、ここに説明した攪拌動作および濃度制御動作が「準備動作」に含まれる。
このように、この実施形態では、トナー残量および現像ローラ回転時間に応じて各現像器がランク1ないし3に分類される。さらに、ランク1または2の現像器については、以下の3つのカテゴリ:直ちに画像形成動作に使用することができる、つまり何らかの準備動作を行う必要のないもの(印刷可能);画像形成に先立って攪拌動作を必要とするもの(要攪拌動作);および、画像形成に先立って濃度制御動作を必要とするもの(要濃度制御動作)に分類される。ただし、要攪拌動作、要濃度制御動作を示すフラグが両方ともセットされている現像器については、要濃度制御動作カテゴリに分類されるものとする。その理由については後述する。
これらの分類に基づき、画像形成可否判断処理が行われる。この画像形成可否判断処理および後に説明する画像形成動作は、以下のような基本思想に基づき構成されている。すなわち、この装置では、画質の良好な画像を安定して形成するという前記した目的(1)を達成するため、ランク1の現像器が少なくとも1個ある限りにおいては、ランク1の現像器のみを画像形成に使用する。こうすることで、濃度不足やかすれ等の発生するおそれがなく、画質の良好な画像を安定して形成することができる。ランク2の現像器では画像欠陥を生じる可能性が排除できないので、より良好な画質の得られるランク1の現像器がなくならない限り、ランク2の現像器を使用することはしない。
また、ランク1の現像器が複数ある場合には、最初に使用する現像器をその都度選択して画像形成を開始するとともに、それらの現像器を適宜切り換えながら、各現像器を満遍なく使用するようにする。ランク1の現像器であれば、いずれの現像器を使用しても画質は安定しており、切り換え使用に伴う画像品質のばらつきが少ない。また、各現像器を満遍なく使用することで、長時間使用されずに放置される現像器が現れることがなくなり、印刷可能カテゴリにある現像器が要攪拌動作カテゴリに移行するのを回避することができる。そのため、上記した放置バンディング現象の発生を未然に防止することができるとともに、行うべき準備動作の頻度を減らすことができる。また、これにより装置1が画像形成可能な状態にある期間が最大化される。また、現像ユニット4の回転が定期的に行われること隣、各現像器内のトナーを均一化させる効果も生まれる。
この場合において、ランク1の現像器の中に印刷可能カテゴリにあるものが1つでもあれば、他の現像器について攪拌動作や濃度制御動作を行うことはしない。使用可能な現像器が1つでもある限り画質の良好な画像を形成することが可能であり、他の現像器についても使用可能とする必要は必ずしもないからである。また、このようにすることは、準備動作を効率よく行うという前記目的(4)にも適っている。一方、ランク1の現像器の中に印刷可能カテゴリのものがなくなった時には、所定の準備動作を行うことによって現像器を使用可能な状態に回復させる。これにより装置は引き続き良好な画質で画像を形成することができる状態に維持される。また、必要な準備動作が行われないまま現像器が画像形成に使用されることがないので、画質の劣る画像が形成されることもない。さらに、後述するように、準備動作にかかる時間を短くするための工夫がなされている。
ランク1の現像器がなくなった場合には、引き続きランク2の現像器を使用した画像形成動作を可能とする。ランク2の現像器ではトナーの残量低下または特性の劣化がやや進んでいるので、これを用いた画像形成動作においては、トナーの残量低下や劣化の程度によっては、形成される画像の品質が低下する可能性がある。フルカラー画像形成装置においては、フルカラー画像を構成するトナー色の1つにおける濃度不足やかすれなどの画像欠陥は、画像全体の色味の違いや色ムラとなって現れる。これに対して、この装置1はモノクロ専用画像形成装置であるので、このような色ムラの問題は生じない。また、モノクロ画像専用の画像形成装置における使用の実態を考慮するに、この種の画像形成装置は主として文字画像の形成に使用される場合が多い。このような用途においては、文字が十分に判読可能であれば若干の画像欠陥は許容されることが多い。したがって、モノクロ専用の画像形成装置では、画像品質の許容範囲はフルカラー画像形成装置よりも広いと考えられる。そこで、この実施形態では、ランク1の現像器がなくなった場合でも画像形成動作を禁止することはせず、ランク2の現像器による画像形成動作を実行できるようにしている。こうすることで、現像器内に残留するトナーをより有効に使用することができる。
ただし、この場合には一連の画像形成動作の途中で現像器の切り換え使用は行わない。画像欠陥の現れ方はそれぞれの現像器の状態によって異なるため、現像器を切り換えながら画像形成を行うと、使用する現像器によって画像品質のばらつきが大きくなる場合があるからである。特に、ランク1の現像器を使用して形成された画像とランク2の現像器を使用して形成された画像が混在すると、そのばらつきが大きくなり、ユーザに混乱を与えることとなる。この点からも、ランク1の現像器とランク2の現像器とを混ぜて使用することは好ましくない。なお、ランク2の現像器に対し準備動作を行うか否かの判断については、ランク1の現像器の場合と同様にすることができる。
画像形成可否判断処理については、例えば、装置の電源が投入された直後や画像形成指令を受け付けたときなど特定のタイミングに限って実行するのではなく、外部からの画像形成指令を待つ待機時においても随時実行することが望ましい。こうすることで、待機時においても刻々と変化してゆく装置の状態変化に対応することができる。そして、必要な準備動作を待機中に行っておくことができるので、その後に画像形成指令が与えられたときには遅滞なく画像形成動作を開始することができ、上記した目的(2)を達成することができる。また、連続的に多数枚の画像を形成する際にも、その途中で準備動作の必要性が生じ画像形成が中断される可能性は低いので、画像形成のスループットの低下も防止され、前記目的(3)が達成される。
図4は画像形成可否判断処理を示すフローチャートである。この処理においては、まず4個の現像器4Ka〜4Kdの中に、上記したランク1のものがあるか否かを判定する(ステップS101)。ランク1の現像器が少なくとも1つあれば、ステップS102へ進み、ランク1の現像器の中に印刷可能カテゴリに属するものがあるか否かを判定する。ここで、1つでも印刷可能カテゴリの現像器があれば、この画像形成装置1は、トナーが十分にありその劣化も少なく、しかも直ちに使用可能な現像器を少なくとも1個有していることになる。したがって、この時点で画像形成指令が与えられれば、当該現像器を使用して直ちに画像形成動作を実行することが可能である。そこで、この場合にはステップS106に進んで、当該装置は画像形成が可能であると判断し画像形成可否判断処理を終了する。
ステップS102において、印刷可能カテゴリの現像器がなかった場合には、続いてステップS103に進み、ランク1の現像器の中に要攪拌動作カテゴリのものがあるか否かを判定する。そして、要攪拌動作カテゴリの現像器が1つでもあれば、その現像器について攪拌動作を実行する(ステップS104)。攪拌動作の処理内容については後述する。
ステップS103において、要攪拌動作カテゴリの現像器がなかったとすれば、この装置には、ランク1の現像器が少なくとも1つあり、しかもその全てが要濃度制御動作カテゴリに属していることとなる。そこで、この場合には、続いてそれらの現像器に対し後述する濃度制御動作を実行する(ステップS105)。
一方、ステップS101においてランク1の現像器がないと判定したときは、続いてランク2の現像器があるか否かを判定する(ステップS107)。ここで、ランク2の現像器が1つもなければ、4個の現像器は全てランク3であることになる。この場合には、この装置には、画像形成に使用可能な現像器が装着されていないので、画像形成動作は不可能であると判断する(ステップS112)。
ランク2の現像器が少なくとも1つある場合には、上記したランク1の現像器がある場合の処理と同様の処理を行う。すなわち、ランク2の現像器の中に印刷可能カテゴリものが含まれていれば直ちに画像形成可能と判断する(ステップS108,S106)。また、印刷可能カテゴリものがなく要攪拌動作カテゴリのものがある場合にはその現像器に対し攪拌動作を行う(ステップS109,S110)。また、要濃度制御動作カテゴリのものしかない場合にはその現像器に対し濃度制御動作を行ったうえで(ステップS111)、画像形成動作を可能とする(ステップS106)。
図5は攪拌動作を示すフローチャートである。攪拌動作においては、まず要攪拌動作カテゴリにある現像器の1つを感光体22と対向する現像位置に位置決めする(ステップS201)。続いて、当該現像器に設けられた現像ローラ44を所定時間回転駆動する(ステップS202)。このとき、現像ローラ44からのトナー飛散を防止するため現像バイアスの印加は行わない。こうすることにより、現像ローラの停止状態が続いたことに起因する放置バンディング現象は解消され、当該現像器は画像形成動作に使用することが可能な状態、つまり印刷可能カテゴリに属することとなる。そして、攪拌動作を行うべき次の現像器がある場合には上記処理を繰り返す一方、次の現像器がなければ処理を終了する(ステップS203)。
なお、この実施形態では、要攪拌動作カテゴリにある現像器のうち、同一ランクに属するものについて、一連の攪拌動作を行う。つまり、図4のステップS106の処理では、ランク1かつ要攪拌動作の現像器に対してのみ攪拌動作を行い、ランク2かつ要攪拌動作のものがあったとしても、その現像器についてはこの時点では攪拌動作を行わない。上記したように、この実施形態ではランク1の現像器があればそれを使用して画像を形成するので、この時点でランク2の現像器について攪拌動作を行う必要はないからである。こうすることで、無用な準備動作を省略して、装置を画像形成動作の可能な状態に移行させるための処理時間を短縮することができ、前記した目的(2)ないし(4)の達成に寄与することになる。
また、「要攪拌動作」および「要濃度制御動作」の両方のフラグがセットされている現像器は要濃度制御動作カテゴリに分類し、この時点ではその現像器に対する攪拌動作を行わない。その理由は次の通りである。後述するように、攪拌動作は濃度制御動作の一部をなす動作であって、濃度制御動作を行うと自動的に攪拌動作も実行されることとなる。したがって、攪拌動作および濃度制御動作を必要とする現像器に対しては、それらを個別に行う必要はなく濃度制御動作のみを行えばよい。逆に、濃度制御動作を必要とする現像器に対して攪拌動作のみを行っても、その現像器は直ちに印刷可能とはならない。そして、濃度制御動作には攪拌動作よりも長い処理時間を要するので、攪拌動作のみの実行により印刷可能カテゴリに移行させることができる現像器が存在するこの時点では、そのような現像器に対する攪拌動作だけを行うようにすることが前記目的(2)および(3)の達成のためには好ましい。
図6は濃度制御動作を示すフローチャートである。この濃度制御動作は、画像形成動作の実行により形成される画像を一定の画像品質に保つために、装置各部の動作条件を種々に変更設定しながらパッチ画像を形成してその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて動作条件を調整する処理である。この処理では、装置各部の動作条件を決める動作パラメータのうち、画像品質に影響を与える制御因子としての現像バイアスおよび露光パワーの調整を行う。制御因子として機能する動作パラメータとしてはこれ以外にも種々のものがありそれらを用いた画質制御の原理および制御方法についても多くの公知技術が知られている。本実施形態においてもそれらの技術を適用することができるので、ここでは処理の流れのみを簡単に説明する。
まず、要濃度制御動作カテゴリにある現像器の1つを感光体22と対向する現像位置に位置決めする(ステップS301)。続いて、当該現像器に印加する現像バイアスの大きさを多段階に変更設定しながら、各バイアス値で、例えばベタ画像などの所定パターンのパッチ画像を形成する(ステップS302)。続いて、それらのパッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出し(ステップS303)、その検出結果に基づいて、パッチ画像が所定の目標濃度となるような現像バイアスの最適値を算出する(ステップS304)。
続いて露光パワーの調整を行う。現像バイアスを上記で求めた最適値に設定し(ステップS305)、露光パワーを多段階に変更設定しながらパッチ画像としてハーフトーン画像を形成する(ステップS306)。続いて、それらのパッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出し(ステップS307)、その検出結果に基づいて、パッチ画像が所定の目標濃度となるような露光パワーの最適値を算出する(ステップS308)。
こうして濃度制御動作が実行された現像器では、当該現像器において最適な現像バイアスおよび露光パワーが求められると同時に、パッチ画像の形成の際に現像ローラ44が回転駆動されるため放置バンディング現象が解消される。これにより、当該現像器は、要濃度制御動作カテゴリから、以後の画像形成動作に使用することが可能な印刷可能カテゴリに移行することとなる。その後、濃度制御動作を行うべき次の現像器がある場合には上記処理を繰り返す一方、次の現像器がなければ処理を終了する(ステップS309)。
上記のように構成された画像形成可否判断処理を行うことにより、この装置1では、装置が画像形成動作を実行可能な状態であるか否かが判断される。また、必要に応じて、準備動作が必要な現像器に対し所定の準備動作が施され、ランク1または2の現像器が少なくとも1つ装着されている限り、装置は画像形成可能な状態に維持される。そして、画像形成指令が外部装置から与えられると、その指令に応じて直ちに画像形成動作を実行開始することができる。一方、全ての現像器がランク3である場合には、画像形成動作が不可能と判断されるので、劣悪な画質の画像が形成されてしまうことが未然に防止される。なお、画像形成が不可能である場合には、その旨をユーザに報知するとともに、外部からの画像形成指令の受け付けを停止する。
図7は画像形成動作を示すフローチャートである。画像形成可否判断処理により、装置が画像形成可能な状態であると判断されていれば、装置は外部からの画像形成指令を受け付ける待機状態にある(ステップS401)。そして、画像形成指令が与えられると、まずランク1の現像器があるか否かを判定する(ステップS402)。ランク1の現像器が1つでもある場合には、後述する第1テーブル(図8)を参照して使用する現像器を選択する一方(ステップS403)、ランク1の現像器がない場合には、第2テーブル(図9)を参照して使用する現像器を選択する(ステップS404)。この実施形態では、現在の各現像器の状態(ランクおよびカテゴリ)と、先の画像形成動作において最後に使用した現像器(以下、単に「最後の現像器」という)がどれであったかとの組み合わせによって、次に使用する現像器を選択している。
図8は現像器を選択するための第1テーブルを示す図である。ランク1の現像器があり、かつ装置が画像形成可能であるという場合には、ランク1かつ印刷可能カテゴリである現像器が少なくとも1つあるはずである。画像形成動作にはそのような現像器を使用する。該当する現像器が1つしかない場合にはそれを使用するが、複数ある場合には、最後の現像器によって、次に使用する現像器を決定する。より具体的には、該当する複数の現像器のうち、最後の現像器から見てロータリー現像ユニット4の回転方向上流側であって最後の現像器に最も近い位置にある現像器を、次の画像形成に使用する。
例えば、4個の現像器全てがランク1かつ印刷可能カテゴリである場合(図8のケースNo.1)には、最後の現像器が現像器4Kaであれば次の画像形成動作にはこれより1つ上流側に位置する現像器4Kbを使用する。同様に、最後の現像器が現像器4Kb、4Kc、4Kdであった場合には、それぞれ最後の現像器の上流側隣接位置に装着されている現像器4Kc、4Kd、4Kaを使用することとなる。また、例えば、4個の現像器のうち現像器4Kbだけが上記要件(ランク1かつ印刷可能カテゴリ)を満たさない場合には(図8のケースNo.5)、要件を満たす現像器4Ka、4Kcおよび4Kdのいずれかが選択される。この場合、最後の現像器が4Kaまたは4Kbであれば、当該現像器の上流側で最も近い位置にある現像器4Kcが次に使用されることとなる。他の各ケースについてもそれぞれ同様に考えることができる。
このようにして現像器を選択することで、ランク1の現像器が複数ある場合には、画像形成に使用される現像器はその都度変更されてゆくこととなる。これにより、いずれかの現像器が長時間使用されずに放置されることがなくなる。
図9は現像器を選択するための第2テーブルを示す図である。ランク1の現像器がない場合に使用される第2テーブルにおいても、上記した第1テーブルを使用する場合と同様に、現在の現像器の状態と最後の現像器とに基づき使用する現像器を選択するようになっている。ただし、この場合には、ランク2かつ印刷可能カテゴリの現像器の中から次に使用する現像器を選択する。
図7に戻って画像形成動作の説明を続ける。上記のようにして現像器を選択した後、選択した現像器を感光体22と対向する現像位置に移動位置決めする(ステップS405)。そして、当該現像器を使用して、画像形成指令に対応する画像のうち最初の1ページ分を形成する(ステップS406)。形成すべき画像がこれで全てであれば(ステップS407)、現像ユニット4をホームポジションに移動させて(ステップS411)画像形成動作を終了する。
一方、次に形成すべき画像がある場合には引き続きその画像を形成するのであるが、それに先立って、現在使用している現像器により連続して形成した画像の枚数が所定枚数に達したか否かを判定する(ステップS408)。所定枚数(ここでは8枚とする)に達していなければステップS406に戻り、次の画像を形成する。所定枚数に達していたときには、切り換えて使用することのできる次の現像器があるか否かを判定し(ステップS409)、次の現像器があればロータリー現像ユニット4を90度回転させて次の現像器を現像位置に位置決めする一方(ステップS410)、次の現像器がなければ使用中の現像器を引き続き現像位置に位置させた状態でステップS406に戻り次の画像を形成する。
ステップS409における判定基準は以下の通りである。現像ユニット4の回転方向において現在使用中の現像器の上流側隣接位置にある現像器が、ランク1かつ印刷可能カテゴリであるときには、その現像器を次の現像器として使用することができる。この場合の判定結果は「YES」である。これ以外の場合は全て「NO」とする。例えば現在使用中の現像器が現像器4Kaであり、その上流側隣接位置にある現像器4Kbがランク1かつ印刷可能カテゴリであれば、ステップS409における判定結果は「YES」である。一方、現在使用中の現像器4Kaの上流側隣接位置にある現像器4Kbがランク1かつ印刷可能カテゴリでなければ、たとえ他にランク1かつ印刷可能カテゴリの現像器があったとしても、ステップS409における判定結果は「NO」となる。
現在使用中の現像器の上流側隣接位置にランク1かつ印刷可能カテゴリの現像器があれば、現像ユニット4の90度の回転のみで新たにランク1かつ印刷可能カテゴリの現像器を現像位置に移動させることができる。そのため、画像形成のスループットを低下させることなく、現像器の切り換えを行うことができる。また、次に使用される現像器がランク1および印刷可能カテゴリに属するものであるので、画像品質を良好に維持することができる。
一連の画像形成動作の中で現像器の切り換えを行うことで、次のような作用効果が得られる。1つの現像器を使用し続けると、現像器内において現像ローラの周辺では古いトナーの比率が増大し、画像品質が次第に低下する。また、この間、他の現像器においては、現像ローラ44の表面にトナーが担持されたまま放置されているので、放置バンディング現象が生じやすくなる。これに対し、現像器を切り換えるために現像ユニット4を回転させると、現像器内のトナーが攪拌されて均一化され、画像品質を維持することができる。また、使用する現像器を偏らせないことで、各現像器において放置バンディング現象が発生するのを抑制することが可能となる。
一方、現在使用中の現像器の上流側隣接位置にある現像器が、ランク1以外の寿命ランクまたは印刷可能カテゴリ以外のカテゴリに属する場合には、その現像器を使用して画像形成を行うと、切り換えの前後で画像品質が大きく変動してしまう可能性がある。また、ランク1かつ印刷可能カテゴリに属する現像器が、現在使用中の現像器の上流側隣接位置以外の位置にあったとしても、その現像器に切り換えるには現像ユニット4を180度またはそれ以上回転させる必要があるため、切り換えに時間がかかりスループット低下の原因となる。したがって、これらの場合には、現像器の切り換えを行わず、現在使用している現像器を引き続いて使用する。
なお、一連の画像形成動作が終了した後、新たな画像形成指令に対応する画像形成動作を行う際には新たに現像器の選択が行われる。また、新たな画像形成指令が与えられるまでの待機中に準備動作が行われて、いずれかの現像器が新たに印刷可能カテゴリに移行する場合もある。したがって、先の画像形成動作では使用されなかった現像器が、次の画像形成動作において選択され使用されることもあり得る。
このように、この実施形態の画像形成動作においては、現在の各現像器の状態と、先の画像形成動作において最後に使用した現像器とに基づいて、次に使用する現像器を決定する。しかも、使用可能な現像器が複数ある場合にはそれらを切り換えながら使用する。そのため、使用可能な現像器の全てが交互に使用されることとなり、使用が一部の現像器のみに偏ることがない。
また、上記のような基準に基づき画像形成に使用する現像器の選択を行うことにより、画像形成動作を実行する際には、印刷可能カテゴリの現像器のうち、先の画像形成動作または準備動作における使用を終了してから現在までの休止時間が最も長いものが選択され使用されることになる。前述したように、休止時間が長くなると放置バンディング現象が発生しやすくなるが、この実施形態のように、画像形成動作に使用可能な現像器の中からその休止時間が最も長いものを次の画像形成動作に使用することにより、その現像器がさらに放置されることにより生じる放置バンディング現象を未然に防止することができる。
例えば、全ての現像器がランク1かつ印刷可能カテゴリであり、最初の画像形成指令として20枚分の画像データが与えられた場合を考えてみる。例えば現像器4Kaを使用して画像形成動作が開始されたとすると、現像器4Kaにより8枚の画像が形成された時点で現像器4Kbへの切り換えが行われる。そして、さらに8枚の画像が形成された時点で現像器4Kcへの切り換えが行われ、残り4枚の画像が現像器4Kcにより形成されて一連の画像形成動作が終了する。その後、新たに画像形成指令が与えられた場合には、第1テーブル(図8)を参照して、次の画像形成動作が実行される際には現像器4Kdが使用されることになる。この現像器4Kdは、4個の現像器のうち使用されなかった時間(休止時間)が最も長い現像器である。
この時点で、先の画像形成動作により現像器4Kaのトナー残量が低下し該現像器がランク2に移行していたとする。この場合、現像器4Kdから現像器4Kaへの切り換え、あるいは現像器4Kdから現像器4Kbへの切り換えはいずれも行われず、一連の画像形成動作においては現像器4Kdが継続して使用される。そして、さらに次の画像形成指令が与えられたときには、第1テーブル(図8)を参照して、ケースNo.9かつ最後に使用された現像器が現像器4Kdであるので、ランク1かつ印刷可能の現像器4Kb、4Kc、4Kdの中から現像器4Kbが次の画像形成に使用される。この現像器4Kbは、使用可能な3つの現像器のうちで先に使用されて以後の休止時間が最も長いものである。
このように、この実施形態では、基本的には現像ユニット4の回転方向に沿って各現像器を切り換え使用するとともに、現像ユニット4に装着されている使用可能な現像器それぞれの位置関係と、先の画像形成動作または準備動作で最後に使用された現像器とに基づいて、次に使用すべき現像器を選択している。言い換えれば、各現像器の状態と最後に使用された現像器との情報に基づき、使用可能なもののうち最も休止時間の長い現像器が選択されるように、第1および第2テーブルが作成されている。こうすることで、各現像器の休止時間を計測しなくても、結果的に最も休止時間の長い現像器を選択することが可能となる。
以上のように、この実施形態では、それぞれブラック色のトナーを貯留する4個の現像器を装着したモノクロ画像専用の画像形成装置において、画像形成可否判断処理(図4)を随時行い、各現像器の状態をモニタするとともに、その結果に基づいて装置が画像形成動作を実行可能な状態であるか否かを判断している。そして、必要に応じて所定の準備動作を行うことにより、できる限り装置を画像形成動作が可能な状態に維持するようにしている。具体的には、現像器の寿命ランクが比較的新しいランク1に属し、かつ準備動作を行わず直ちに画像形成動作に使用可能な現像器が少なくとも1つあれば、装置は画像形成動作が可能と判断する。この状態では、画像形成指令が与えられた時には遅滞なく画像形成動作を実行開始することができる。
また、ランク1の現像器はあるが準備動作が必要な状態に至った場合には、必要な準備動作を行って、当該現像器を使用可能な状態に移行させる。この場合において、準備動作として、短時間で処理を終了することのできる攪拌動作により使用可能になる現像器と、より長時間を要する濃度制御動作を必要とする現像器とが混在しているときには、必要な現像器に対する攪拌動作のみを実行する。これにより、準備動作の処理時間を短縮することができ、装置は速やかに画像形成動作可能な状態に回復することができる。また、準備動作が必要な現像器が生じたとしても、他に使用可能な現像器が1つでもあればその時点で準備動作を行わず、使用可能な現像器がなくなった時点で最低限必要な準備動作を行う。そのため、この実施形態の画像形成可否判断処理によれば、可能な限り装置を画像形成動作が可能な状態に維持しつつ、しかも、無駄な準備動作を省き効率よく準備動作を行うことが可能となる。
準備動作としては、先に使用されて以後の休止時間が所定値を越えた現像器について、当該現像器に取り付けられた現像ローラ44を所定量回転させることで放置バンディング現象を解消する攪拌動作と、トナー残量または現像ローラ回転時間が所定値に達した現像器について、当該現像器を使用する際の装置の動作条件を設定する濃度制御動作とを実行可能とするとともに、必要に応じてこれらを実行する。また、攪拌動作を要する現像器と濃度制御動作を要する現像器とがともに存在する場合には、より処理時間の短い攪拌動作のみを実行する。こうすることで、準備動作の実行のために画像形成動作を実行することのできない時間を短くすることができる。
また、ランク1の現像器がなく、現像器の劣化がやや進んだランク2の現像器がある場合にも、直ちに使用可能なものがあれば直ちに、また準備動作が必要なものがあれば必要な準備動作を行った上で、装置は画像形成動作が可能であると判断する。そのため、現像器内のトナーを有効に使用して画像形成を行うことができる。
また、この実施形態の画像形成動作では、各現像器の状態と、先の動作で最後に使用された現像器とに基づいて使用する現像器を選択し、こうして選択した現像器を使用して画像を形成する。そのため、常に最良の現像器が選択使用されて画像が形成されるので、この実施形態では、画質の良好な画像を安定して形成することが可能である。具体的には、直ちに使用可能な現像器のうち、先に使用されてからの休止時間が最も長い現像器が選択されるようにしている。さらに、ランク1かつ印刷可能カテゴリの現像器が複数ある場合には、それらを互いに切り換えながら画像形成を行うようにしている。そのため、現像器の使用に偏りが生じず、特定の現像器が長時間使用されずに放置されることがない。その結果、この実施形態では、長時間放置された現像器を使用したときに生じる濃度ムラ(放置バンディング現象)の発生を抑制することができ画質の変動が防止されるとともに、同現象を抑制するための準備動作の実行頻度を最小限に抑えることが可能となる。
また、ランク2の現像器を使用して画像を形成する際には現像器の切り換えを行わないようにしているので、現像器の状態の違いに起因する画像品質のばらつきが生じない。
そして、この実施形態では、画像形成可否判断処理を行うことによって装置が直ちに画像形成動作を実行可能な状態に維持されているため、実際に画像形成指令が与えられたときには遅滞なく画像形成動作を行うことができる。そのため、この実施形態の画像形成動作では、短いファーストプリントタイムで画像を形成することができる。また、準備動作の実行頻度が低く抑えられているので、画像形成動作中に準備動作が実行されることによる画像形成のスループットの低下を最小限に抑えることが可能となる。
以上説明したように、この実施形態においては、エンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能するとともに、各現像器に設けられた現像ローラ44が、本発明の「トナー担持体」として機能している。また、本実施形態においては、現像器が「ランク1かつ印刷可能カテゴリであること」が、本発明における「使用可能要件」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、現像ユニット4の支持フレーム40に最大4個の現像カートリッジを装着可能となっており、すべての装着位置に現像カートリッジ4Ka〜4Kdを装着しているが、現像ユニット4に装着可能な現像器の個数がこれと異なったり、装着可能な現像器のうち一部のみが装着された装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、例えば、上記実施形態の画像形成可否判断処理では、同一ランクかつ同一の準備動作を必要とする現像器が複数ある場合に、それらの現像器に対する準備動作を連続して行うようにしているが、これに限定されず、例えば、それらのうち1つのみに対する準備動作を行うようにしてもよい。前記した通り、使用可能な現像器は少なくとも1つあればよいからである。また、例えば、それらの現像器に対し順次準備動作を行うとともに、最初の現像器について準備動作が終了した時点で、装置が画像形成動作可能であると判断するようにしてもよい。1つの現像器について準備動作が終了すれば装置全体としては画像形成動作が可能であり、またこのようにすることで、画像形成指令により速やかに対応することが可能となるからである。準備動作が終了していない現像器については、画像形成動作の終了後、改めて準備動作を続けるようにしてもよく、他に使用可能な現像器があればこの時点での準備動作を省略してもよい。
また、上記実施形態では、各現像器について、トナー残量と現像ローラ回転時間との2つのパラメータに基づいて現像器の状態を判定するようにしているが、現像器の状態を把握するための情報はこれらに限定されるものではない。また、これらの2つの情報のいずれか一方のみにより、あるいは他の情報との組み合わせにより現像器の状態を判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、モノクロ画像色がブラックの画像形成装置に本発明を適用しているが、他のトナー色によるモノクロ画像を形成する装置に対しても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、ランク2の現像器による画像形成動作を許可するようにしているが、ランク2の現像器を使用した画像形成を許可するか禁止するかについて、ユーザの好みや必要性に応じて選択できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、同形状をなす4個の現像カートリッジ4Ka〜4Kdを使用したが、形状が異なる現像カートリッジを使用してもよい。また、上記実施形態では、1個の感光体22に対してロータリー現像ユニット4を配置した、いわゆるロータリー方式の画像形成装置に本発明を適用したが、1個の感光体22に対して複数の現像カートリッジが昇降して各現像カートリッジにより現像を行うエレベータ方式の画像形成装置や、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対して本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態の構成に限定されず、例えば特定色のトナーを有する複数の現像カートリッジが装着された現像ユニットを装備して該特定色の画像を形成する装置や、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写シートなど)を備える装置、さらには複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。
4Ka,4Kb,4Kc,4Kd…現像器、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 71…中間転写ベルト、 EG…エンジン部