以下、本発明にかかる画像形成装置の8つの実施形態について説明するが、これらの実施形態の装置構成および基本動作は同一であり、その動作が一部異なるのみであるので、まず全ての実施形態に共通する装置の構成および動作について説明し、その後に、各実施形態に特有の動作について述べる。
<装置の構成および基本動作>
ここでは、本発明を特許文献1に記載された画像形成装置(カラープリンタ)に具体化した実施形態を図面にしたがって説明する。つまり、この実施形態では4個の現像カートリッジに収容されたブラックのトナーを使用した単色のトナーによる印刷、即ちモノクロ印刷に具体化して説明する。
図1はこの発明にかかる画像形成装置の構成を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応するモノクロ画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は後述する一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。このように、この実施形態では、感光体22が本発明の「潜像担持体」に相当している。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてブラックトナーを内蔵する4個の現像カートリッジ4Ka〜4Kd、およびこれらを一体的に回転させるためのロータリー駆動部(図示省略)を備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、メインコントローラ11からエンジンコントローラ10へ与えられた制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像カートリッジ4Ka〜4Kdが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像カートリッジに設けられた現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択された現像カートリッジ内のトナーにより現像される(印刷動作)。このように現像位置に位置決めされた現像カートリッジによる静電潜像の顕像化が本発明の「カートリッジによる印刷動作」に相当している。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。この転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部とを備えている。そして、転写ユニット7は、感光体22上に形成されるブラックのトナー像を中間転写ベルト71上に転写してモノクロ画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にモノクロ画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてモノクロ画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像カートリッジに与える現像バイアスや、光ビームLの強度などの調整を行っている。
この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の画像濃度に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
また、図2に示すように、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdには該現像カートリッジの製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdには無線通信器49Ka、49Kb、49Kc、49Kdがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像カートリッジ側にコネクタ等を設け、コネクタ等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号117はCPU111における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
ところで、上記のように構成された装置では、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdにより印刷動作を実行する前に、該現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対して印刷準備動作を施す印刷準備処理を予め実行しておく必要がある。この「印刷準備処理」では、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdによる印刷動作を可能とするために現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対して印刷準備動作が実行される。本発明にかかる画像形成装置では、各現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対してどのように印刷準備動作を実行するか(「印刷準備処理」の実行態様)は、画一的に固定されておらず、印刷要求に基づいて「印刷準備処理」の実行態様が異なるように構成されている(「印刷準備処理」の最適化)。この画像形成装置では、「印刷準備処理」において、以下の動作および処理を「印刷準備動作」として実行している。
(1)装着確認動作:
この装着確認動作は、現像ユニット4の支持フレーム40に対して現像カートリッジが確実に装着されていることを確認する動作である。具体的には、本体側と各現像カートリッジ側との間で行われる無線通信によって、CPU101と各メモリ91〜94のデータ送受によって行っている。この点に関しては、次に述べる(2)適合確認動作についても同様である。もちろん、無線通信などの非接触方式以外に、リミットスイッチなどを用いた接触方式により装着確認を行うようにしてもよい。
(2)適合確認動作:
この適合確認動作は、現像ユニット4の支持フレーム40に装着された現像カートリッジがブラックトナーを収容する現像カートリッジであることを確認する動作である。特に、この実施形態では、カラー画像形成装置として使用するイエロー用、シアン用および/またはマゼンタ用の現像カートリッジの配設位置にブラック用現像カートリッジを装着してモノクロ画像形成装置が構成されている。したがって、ユーザやオペレータなどが現像カートリッジを誤装着する可能性がある。そこで、適合確認動作を実行してイエロー用、シアン用またはマゼンタ用の現像カートリッジが誤って使用されるのを防止している。
(3)寿命確認動作:
この寿命確認動作は、現像ユニット4の支持フレーム40に装着された現像カートリッジに印刷動作を実行するのに必要なトナー量が十分に残留していることを確認する動作である。この寿命確認動作を実行することで、印刷動作によって形成される画像の濃度ムラやかすれ等の不具合が発生するのを未然に防止している。
(4)撹拌処理:
この撹拌処理は、本発明の「トナー担持体」に相当する現像ローラ44を少なくとも1周以上回転させる処理である。この撹拌処理を実行する理由は以下のとおりである。この種の画像形成装置では、電源オフ状態、または電源がオンであっても印刷動作(画像形成動作)を行わず動作停止状態にある期間が長時間継続した後に印刷動作を行うと、画像に周期的な濃度ムラが現れる場合があることが従来より知られている。なお、本明細書ではこの現象を「放置バンディング現象」と称する。
この放置バンディング現象は、トナーが各現像カートリッジの現像ローラ44に担持されたまま長時間放置されたことにより現像ローラ44から離れ難くなり、しかもその程度が現像ローラ44表面上において一様でないことから現像ローラ44上のトナー層が次第に不均一となることに起因すると考えられる。そこで、この実施形態の画像形成装置では、動作停止状態にある期間が所定の期間を超える等の放置バンディング発生要件が満足されるときには、「撹拌要」の信号を発生させて現像ローラ44の空回しを行っている。すなわち、本体側の回転駆動部(図示省略)により現像ローラ44を少なくとも1周回転させる。これによって、現像ローラ44表面のトナー層がリフレッシュされてより均一な状態のトナー層が現像処理に供されるため、放置バンディング現象による濃度ムラは発生し難くなる。
(5)パッチ処理(条件制御処理):
このパッチ処理は、現像カートリッジによる印刷動作を実行する際の印刷動作条件を所定の最適条件に調整する処理である。これは画像品質の安定化のために従来より多用されているものと同様の処理である。この実施形態では、装置の電源が投入された直後の適当なタイミングで「パッチ制御要」の信号が発生されて装置のウォーミングアップと並行してパッチ処理が実行される。また、スリープモードが解除されたタイミング、開状態となっていた装置カバーが閉じられたタイミング、あるいは現像カートリッジの交換作業が完了したタイミングなどにも「パッチ制御要」の信号が発生されてパッチ処理の実行要求が生じる。
続いて、図1に示す装置における印刷処理に先立って実行される印刷準備処理について説明する。以下に示す実施形態では、印刷要求に基づいて最適化された印刷準備処理の実行態様が、それぞれ本発明に基づく特徴を有しており、それに伴いその実行態様が若干異なっているので、以下ではこれらの相違点について主に説明する。なお、発明内容の理解を助けるため、図1に示すように現像ユニット4に対して4個の現像カートリッジ4Ka〜4Kdが装着されている場合について説明する。
<第1実施形態>
図3は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態における動作を示す図である。また、図4は第1印刷準備動作を示すフローチャートである。この第1実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求が与えられた後のタイミングで、メインコントローラー11からエンジンコントローラー10へ制御指令として、優先カートリッジについての印刷準備動作を実行する印刷準備処理指示信号が与えられる(図3参照)。そして、ROM106に記憶されているプログラムにしたがってCPU101が装置各部を制御して図4に示す第1印刷準備処理が実行される。すなわち、この実施形態では、メインコントローラー11が本発明の「第1制御部」として機能し、エンジンコントローラー10が本発明の「第2制御部」として機能し、メインコントローラー11とエンジンコントローラー10とが本発明の「制御手段」として機能している。
まず、無線通信によってCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受が行われて各現像カートリッジ4Ka〜4Kdに関する消耗品管理等の各種情報がRAM107に一時的に記憶される。この実施形態では、メインコントローラー11からの指示によって、メモリ107に記憶されている情報に基づき、装着カートリッジ4Ka〜4Kdのうち現像位置に一番近い現像カートリッジ4Kaを本発明の「優先カートリッジ」とし、該現像カートリッジ4Kaについて、装着確認動作(ステップS1)、適合確認動作(ステップS2)および寿命確認動作(ステップS3)を実行する。
また、ステップS4で「撹拌要」の信号が発生しているか否かを判断する。これは放置バンディング現象を防止するための処理である。したがって、「撹拌要」の信号が発生していない場合には、そのままステップS6に進む一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Kaについて図5に示す撹拌処理(ステップS5)が実行される。
図5は図4の第1印刷準備処理における撹拌処理を示すフローチャートである。この撹拌処理では、4個の現像カートリッジのうち、カートリッジ4Kaが現像位置に移動される(ステップS51)。これによって、現像カートリッジ4Kaの現像ローラ44が本体側の回転駆動部と機械的に接続される。そして、この回転駆動部により現像ローラ44を少なくとも1周回転させて該現像ローラ44表面のトナー層をリフレッシュさせて現像カートリッジ4Kaに対する撹拌処理を施す(ステップS52)。
このようにして撹拌処理(ステップS5)が完了すると、ステップS6に進んで「パッチ制御要」の信号が発生しているか否かを判断する。これは印刷動作条件を所定の最適条件に調整するための処理である。したがって、「パッチ制御要」の信号が発生していない場合には、現像ユニット4のホームポジション(HP)への移動(ステップS8)が行われた後、そのまま第1印刷準備処理を終了する一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Kaについて図6に示すパッチ処理(ステップS7)が実行される。
図6は図4の第1印刷準備処理におけるパッチ処理を示すフローチャートである。このパッチ処理は、印刷動作の実行により形成される画像を一定の画像品質に保つために、印刷動作条件を種々に変更設定しながらパッチ画像を形成してその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて印刷動作条件を調整する処理である。このパッチ処理では、装置各部の動作条件を決める動作パラメータのうち、画像品質に影響を与える制御因子としての現像バイアスおよび露光パワーの調整を行う。制御因子として機能する動作パラメータとしてはこれ以外にも種々のものが知られており、それらを用いた画質制御の原理および制御方法についても多くの公知技術があるので、ここでは処理の流れのみを簡単に説明する。
まず、現像カートリッジ4Kaについて、最適現像バイアス、つまり印刷動作時に現像ローラ44に印加する現像バイアスの最適値を算出する。具体的には、現像カートリッジ4Kaを選択的に現像位置に移動させ(ステップS70)、その現像カートリッジ4Kaについて、現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値で所定パターンのパッチ画像を形成する(ステップS71)。そして、各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出する(ステップS72)。
各パッチ画像の画像濃度が求まると、それらの値から現像バイアスと画像濃度との対応関係がわかるので、その関係に基づき、画像濃度が予め定められた目標濃度と一致するような現像バイアスの値を算出する。これにより最適現像バイアスが求められる(ステップS73)。ただし、その最適値が当該装置における現像バイアスの可変範囲内になかった場合には、その可変範囲において算出された最適値に最も近い値を最適現像バイアスとする。
こうして現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスが求まれば、続いて、現像カートリッジ4Kaについて、最適露光パワー、つまり当該カートリッジに対応した静電潜像を感光体22上に形成するときの光ビームLの強度の最適値を算出する(ステップS74〜S76)。ここでの処理は、制御因子が現像バイアスに代えて露光パワーである点を除いて上記した最適現像バイアス算出処理(ステップS70〜S73)と同様であるが、必要に応じて、形成するパッチ画像の画像パターンは異なるものとしてもよい。なお、この場合の現像バイアスの設定値は、先に求めた最適値を用いるのが好ましい。こうして、現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスおよび最適露光パワーをそれぞれ求め、パッチ処理を終了する。
このような印刷準備動作(装着確認動作、適合確認動作、寿命確認動作、撹拌処理、パッチ処理)を実行することによって、現像カートリッジ4Kaは印刷動作を良好に行うことができる印刷可能状態となる。そして、図4に戻って、現像ユニット4をホームポジション(HP)に移動して待機する(ステップS8)。そして、以後の印刷動作をこの最適条件の下で実行することにより、所望の画像品質で、しかも安定して画像を形成することが可能となる。
このように第1印刷準備処理が終了した後、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11に対して、印刷準備処理が終了したことを示す印刷準備処理終了信号が出力される。メインコントローラー11は、この印刷準備処理終了信号を確認した後、制御指令として、印刷要求に基づいた印刷動作を開始する印刷開始信号をエンジンコントローラー10へ与えることによって印刷動作が実行される。
以上のように、この実施形態によれば、印刷動作の実行に先立って、印刷要求に基づいて、印刷準備処理を最適化している。すなわち、印刷準備処理として、印刷要求に基づいて、優先カートリッジについてのみ印刷準備動作を実行することによって、現像カートリッジ4Kaによる印刷動作を可能としている。したがって、モノクロ印刷を印刷要求に基づいて効率よく行うことができる。
また、この実施形態では、本発明の「第1制御部」としてメインコントローラー11を機能させ、本発明の「第2制御部」としてエンジンコントローラー10を機能させている。すなわち、メインコントローラー11において、ホストコンピュータ等からの印刷要求に基づいて印刷準備処理を最適化し、エンジンコントローラー10において最適化された印刷準備処理を実行して、印刷動作を実行している。このように、制御部を複数設け、それぞれの制御部に各種動作を割り当てて機能分離することによって、各種動作の並行処理が可能となる。したがって、より効率よく、モノクロ印刷を行うことができる。
また、この実施形態では、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうち、現像カートリッジ4Kaに対してのみ印刷準備動作を実行し、印刷準備処理を終了して、印刷可能状態に導いている。すなわち、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうちの一の現像カートリッジ4Ka(本発明の「優先カートリッジ」に相当)についての印刷準備動作が終了すれば、印刷準備が完了する。よって、短時間で印刷が可能な状態とすることができるので、印刷要求が入力された後、印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。したがって、印刷準備処理のために必要以上にユーザーが待つのを予防して、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
<第2実施形態>
図7は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態における動作を示す図である。この第2実施形態が上記第1実施形態と大きく異なる点は、制御指令として、メインコントローラー11からエンジンコントローラー10へ印刷準備処理指示信号が与えられる前に、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理要求信号が出力されている点である。この印刷準備処理要求信号とは、現像ユニット4に装着された現像カートリッジに対して上記した印刷準備動作のうちいずれかを施さなければならないとエンジンコントローラー10が判断した場合に、該印刷準備動作を実行するための制御指令を要求するためにエンジンコントローラー10からメインコントローラー11に対して出力される信号である。その他の構成は上記した第1実施形態と同様であり、構成および動作の説明を省略する。
この実施形態では、まず、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ、現像ユニット4に装着された全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作の実行を要求する印刷準備処理要求信号が出力される。しかしながら、メインコントローラー11には、エンジンコントローラー10から印刷準備処理要求信号が入力される前に、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求が既に与えられている。そこで、メインコントローラー11は、優先カートリッジについてのみ印刷準備動作を実行する印刷準備処理指示信号をエンジンコントローラー10に与える。この印刷準備処理指示信号によって、エンジンコントローラー10は、現像ユニット4に装着された全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作を実行することを要求しているのにもかかわらず、優先カートリッジについてのみ印刷準備動作を行う第1印刷準備処理を実行して、装置を印刷可能な状態へ導いている
このように、第2実施形態では、現像ユニット4に装着された全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作が必要であるにもかかわらず、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうち、現像カートリッジ4Ka(優先カートリッジ)に対してのみ印刷準備動作を実行して印刷準備処理を終了して、印刷可能状態に導いている。すなわち、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうちの優先カートリッジ(現像カートリッジ4Ka)についての印刷準備動作が終了すれば、印刷準備が完了するので、印刷要求が入力された後、印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。
<第3実施形態>
図8は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態における動作を示す図である。この実施形態が上記第2実施形態と大きく異なる点は、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理要求信号が出力された際に、メインコントローラー11へホストコンピュータ等から印刷要求が入力されていない点である。以下、上記第2実施形態と異なる点を中心に詳述する。
この第3実施形態では、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ、現像ユニット4に装着された全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作の実行を要求する印刷準備処理要求信号が出力される。このとき、メインコントローラー11には、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求は与えられていない。そこで、メインコントローラー11は、制御指令として、全ての現像カートリッジに対して印刷準備動作を実行する印刷準備処理指示信号をエンジンコントローラー10に与える。この印刷準備処理指示信号によって、エンジンコントローラー10は全カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作を行う第2印刷準備処理を実行する。この、第2印刷準備処理の動作を図9ないし図11を用いて詳述する。なお、上記第1および第2実施形態と同様の動作については、その構成および動作の説明を省略する。
図9は第3実施形態において実行される第2印刷準備処理を示すフローチャートである。この第3実施形態では、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作の実行を要求する印刷準備処理要求信号が出力された後のタイミングで、メインコントローラー11から制御指令として、エンジンコントローラー10へ全現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作を実行する印刷準備処理指示信号が与えられる(図8参照)。この印刷準備処理指示信号により、エンジンコントローラー10は、ROM106に記憶されているプログラムにしたがってCPU101が装置各部を制御して図9に示す第2印刷準備処理が実行する。
まず、無線通信によってCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受が行われて各現像カートリッジ4Ka〜4Kdに関する消耗品管理等の各種情報がRAM107に一時的に記憶される。そして、メモリ107に記憶されている情報に基づき、全現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて、装着確認動作(ステップS21)、適合確認動作(ステップS22)および寿命確認動作(ステップS23)を実行する。
また、ステップS24で「撹拌要」の信号が発生しているか否かを判断する。「撹拌要」の信号が発生していない場合には、そのままステップS26に進む一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Ka〜4Kdの全部について図10に示す撹拌処理(ステップS25)が実行される。
図10は第2印刷準備処理における撹拌処理を示すフローチャートである。この撹拌処理では、4個の現像カートリッジのうち最初のカートリッジ4Kaが現像位置に移動される(ステップS251)。これによって、現像カートリッジ4Kaの現像ローラ44が本体側の回転駆動部と機械的に接続される。そして、この回転駆動部により現像ローラ44を少なくとも1周回転させて該現像ローラ44表面のトナー層をリフレッシュさせて現像カートリッジ4Kaに対する撹拌処理を施す(ステップS252)。なお、ステップS251、S252の処理については、ステップS253で「NO」と判断されている間、繰り返して実行する。すなわち、現像カートリッジ4Kb〜4Kdの各々を現像位置に切り換えながら現像ローラ44を少なくとも1周回転させる。
このようにして撹拌処理(ステップS25)が完了すると、ステップS26に進んで「パッチ制御要」の信号が発生しているか否かを判断する。「パッチ制御要」の信号が発生していない場合には、現像ユニット4のホームポジション(HP)への移動(ステップS28)が行われた後、そのまま第2印刷準備処理を終了する一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Ka〜4Kdの全部について図11に示すパッチ処理(ステップS27)が実行される。
図11は第2印刷準備処理におけるパッチ処理を示すフローチャートである。まず、各現像カートリッジ4Ka〜4Kd毎に、最適現像バイアス、つまり印刷動作時に現像ローラ44に印加する現像バイアスの最適値を算出する。具体的には、1つの現像カートリッジ4Kaを選択的に現像位置に移動させ(ステップS270)、その現像カートリッジ4Kaについて、現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値で所定パターンのパッチ画像を形成する(ステップS271)。そして、各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出する(ステップS272)。
各パッチ画像の画像濃度が求まると、それらの値から現像バイアスと画像濃度との対応関係がわかるので、その関係に基づき、画像濃度が予め定められた目標濃度と一致するような現像バイアスの値を算出する。これにより最適現像バイアスが求められる(ステップS273)。ただし、その最適値が当該装置における現像バイアスの可変範囲内になかった場合には、その可変範囲において算出された最適値に最も近い値を最適現像バイアスとする。
こうして1つの現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスが求まれば、全ての現像カートリッジについての処理が終了するまで上記処理S270〜S273を繰り返す(ステップS274)。すなわち、現像カートリッジ4Kb〜4Kdの各々を現像位置に切り換えながら最適現像バイアスを求める。こうすることで、各現像カートリッジ4Ka〜4Kd毎の最適現像バイアスが求められる。
続いて、各現像カートリッジ4Ka〜4Kd毎に、最適露光パワー、つまり当該カートリッジに対応した静電潜像を感光体22上に形成するときの光ビームLの強度の最適値を算出する(ステップS275〜S279)。ここでの処理は、制御因子が現像バイアスに代えて露光パワーである点を除いて上記した最適現像バイアス算出処理(ステップS270〜S274)と同様であるが、必要に応じて、形成するパッチ画像の画像パターンは異なるものとしてもよい。なお、この場合の現像バイアスの設定値は、先に求めた最適値を用いるのが好ましい。こうして、全ての現像カートリッジについて最適現像バイアスおよび最適露光パワーをそれぞれ求め、パッチ処理を終了する。
このような印刷準備動作(装着確認動作、適合確認動作、寿命確認動作、撹拌処理、パッチ処理)を実行することによって、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdは印刷動作を良好に行うことができる印刷可能状態となる。そして、図9に戻って、現像ユニット4をホームポジション(HP)に移動して待機して(ステップS28)第2印刷準備処理を終了する。この後、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理終了信号が出力される(図8参照)。そして、以後の印刷動作をこの最適条件の下で実行することにより、所望の画像品質で、しかも安定して画像を形成することが可能となる。
このように、第3実施形態では、印刷動作の実行に先立って、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdの全部に対して印刷準備動作が一括して行われる。したがって、この第2印刷準備処理終了後に印刷要求があった場合、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうちの一の現像カートリッジ4Kaを用いて印刷動作を実行している間に、例えば該現像カートリッジ4Ka内のトナー残量が低下して印刷動作を行うことができなくなったとしても、直ちに次の現像カートリッジ4Kbに切り換えて印刷動作を継続させることができる。しかも、このような継続処理を全現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて適用することができるため、モノクロ印刷を大量に、しかも効率的に行うことができる。
<第4実施形態>
図12は本発明にかかる画像形成装置の第4実施形態における動作を示す図である。この実施形態が上記第3実施形態と大きく異なる点は、全現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作を行う第2印刷準備処理を実行中に、メインコントローラ11に対して印刷要求が与えられる点である。以下、上記第3実施形態と異なる点を中心に詳述する。
この第4実施形態では、エンジンコントローラー10において、全現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作を行う第2印刷準備処理を実行中に、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求がメインコントローラ11に対して与えられる。メインコントローラー11は、印刷要求が入力された後、エンジンコントローラー10に対して、第2印刷準備処理を中断させる印刷準備処理中断指示信号を制御指令として与える。そして、エンジンコントローラー10では、印刷準備処理中断指示信号が入力されることによって割り込み処理が実行される。この割り込み処理について図13ないし図16を用いて詳述する。なお、上記第3実施形態と同様の動作については、その構成および動作の説明を省略する。
図13は第4実施形態における割り込み処理を示す図である。この割り込み処理は、エンジンコントローラー10において第2印刷準備処理を実行中に、メインコントローラー11から制御指令として印刷準備処理中断指示信号がエンジンコントローラー10に与えられた際に、エンジンコントローラー10において実行される。この割り込み処理において、まず、エンジンコントローラー10は、既に印刷準備動作が施されて印刷可能となった現像カートリッジが存在するかどうかを判断する(ステップS2001)。以下、ステップS2001における判断で、YESと判断された場合と、NOと判断された場合の動作について図14ないし図16を参照しつつ詳述する。
図14は第2印刷準備処理における印刷準備動作の進行状況を示す図、図15は第2印刷準備処理を示すフローチャート、図16は図15の第2印刷準備処理におけるパッチ処理を示すフローチャートである。図14で示すタイミングt1〜t3まで処理が進行すると、図15に示す第2印刷準備処理のフェイズPH1まで処理が完了し、タイミングt4〜t7まで処理が進行すると、図15に示す第2印刷準備処理のフェイズPH2まで処理が完了する。そして、タイミングt8〜t15へ処理が進行すると、図15に示す第2印刷準備処理のフェイズPH3まで処理が完了し、第2印刷準備処理が完了する。なお、図14のタイミングt8〜t11(フェイズPH31)およびタイミングt12〜t15(フェイズPH32)は、図16のパッチ処理に示すフェイズPH31およびPH32と対応している。
図13に示すフローチャートのステップS2001において、NOと判断される場合には、図14におけるt1〜t11(フェイズPH1、PH2もしくはPH31)のタイミングの場合があり、これらのタイミングで印刷準備処理中断指示信号がエンジンコントローラー10へ入力された場合には、図14のt12のタイミングで、少なくとも現像カートリッジ4Kaが印刷可能カートリッジとなるまで図15に示すフローチャート通りに処理を実行する。そして、図14のt12のタイミングで、現像カートリッジ4Kaが使用可能となったときに、図13のフローチャートのステップS2001において、YESと判断され、ステップS2002に進み、第2印刷準備処理を中断する。
一方、図13に示すフローチャートのステップS2001において、YESと判断される場合には、図14におけるt12〜t15(フェイズPH32)のタイミングの場合があり(印刷可能カートリッジが1つでも存在する場合)、このタイミングで印刷準備処理中断指示信号がエンジンコントローラー10へ入力された場合には、次の現像カートリッジに対するパッチ処理(露光パワーの算出処理)が実行中であっても、図13のステップS2002に進み、第2印刷準備処理をただちに中断する。
そして、図13に示す割り込み処理が終了して第2印刷準備処理を中断した後、図12に戻って、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理停止信号が出力される。メインコントローラー11が、この印刷準備処理停止信号を確認した後、エンジンコントローラー10へ制御指令として、上記した印刷可能となった現像カートリッジを使用して印刷動作を実行する印刷開始信号を与えることによって、印刷要求に基づいた印刷動作が実行される。
このように、第4実施形態では、印刷動作の実行に先立って、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdの全てに対する印刷準備動作の実行中に、印刷要求があった場合、該印刷準備動作を中断する。そして、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdのうち、既に印刷準備動作が施されて印刷可能となっている現像カートリッジを使用して印刷動作が実行される。したがって、印刷要求が入力された後、印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。
<第5実施形態>
図17は本発明にかかる画像形成装置の第5実施形態における動作を示す図である。この第5実施形態が、上記した第4実施形態と大きく異なる点は、全現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対する印刷準備動作として、まず、一の現像カートリッジについて、必要な印刷準備動作を実行して、該一の現像カートリッジによる印刷動作が可能なようにする点である。そして、このように、該一の現像カートリッジによる印刷動作が可能となった際にメインコントローラー11に対して、エンジンコントローラー10より印刷可能信号を出力する。その後、同様の動作を、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdが印刷可能となるまで、現像カートリッジ4Ka〜4Kdを現像位置に切換えつつ実行する。以下、上記第4実施形態と異なる点を中心に詳述する。
この第5実施形態では、エンジンコントローラー10において、全カートリッジについて上記したように印刷準備動作を行う第3印刷準備処理を実行中に、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求がメインコントローラ11に対して与えられる。メインコントローラー11は、印刷要求が入力された後、印刷可能判定処理を実行して、エンジンコントローラー10からの印刷可能信号の有無を判断して、エンジンコントローラー10に対して、第3印刷準備処理を中断させる印刷準備処理中断指示信号を制御指令として出力する。エンジンコントローラー10では印刷準備処理中断指示信号が入力されることによって第2割り込み処理が実行される。まず、第3印刷準備処理について図18ないし図21を用いて詳述する。なお、上記した第1ないし第4実施形態と同様の動作については、その構成および動作の説明を省略する。
図18は第3印刷準備処理を示すフローチャートである。この第5実施形態では、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ、現像ユニット4に装着された全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作の実行を要求する印刷準備処理要求信号が出力される。このとき、メインコントローラー11には、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して印刷要求は与えられていない。そこで、メインコントローラー11は、制御指令として、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対して印刷準備動作を実行する印刷準備処理指示信号をエンジンコントローラー10に与える。この印刷準備処理指示信号によって、ROM106に記憶されているプログラムにしたがってCPU101が装置各部を制御して図18に示す第3印刷準備処理が実行される。
まず、無線通信によってCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受が行われて各現像カートリッジ4Ka〜4Kdに関する消耗品管理等の各種情報がRAM107に一時的に記憶される。この実施形態では、メインコントローラー11からの指示によって、メモリ107に記憶されている情報に基づき、装着カートリッジ4Ka〜4Kdのうち、まず、現像位置に一番近い現像カートリッジ4Kaについて、装着確認動作(ステップS30)、適合確認動作(ステップS31)および寿命確認動作(ステップS32)を実行する。
また、ステップS33で「撹拌要」の信号が発生しているか否かを判断する。これは放置バンディング現象を防止するための処理である。したがって、「撹拌要」の信号が発生していない場合には、そのままステップS35に進む一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Kaについて図19に示す撹拌処理(ステップS34)が実行される。
図19は図18の第3印刷準備処理における撹拌処理を示すフローチャートである。この撹拌処理では、4個の現像カートリッジのうち、現像カートリッジ4Kaが現像位置に移動される(ステップS341)。これによって、現像カートリッジ4Kaの現像ローラ44が本体側の回転駆動部と機械的に接続される。そして、この回転駆動部により現像ローラ44を少なくとも1周回転させて該現像ローラ44表面のトナー層をリフレッシュさせて現像カートリッジ4Kaに対する撹拌処理を施す(ステップS342)。
このようにして撹拌処理(ステップS34)が完了すると、ステップS35に進んで「パッチ制御要」の信号が発生しているか否かを判断する。これは印刷動作条件を所定の最適条件に調整するための処理である。したがって、「パッチ制御要」の信号が発生していない場合には、印刷可能信号をメインコントローラー11に対して送信する処理(ステップS37)が実行される、一方、該信号が発生している場合には、現像カートリッジ4Kaについて図20に示すパッチ処理(ステップS36)が実行される。
図20は図18の第3印刷準備処理におけるパッチ処理を示すフローチャートである。このパッチ処理では、装置各部の動作条件を決める動作パラメータのうち、画像品質に影響を与える制御因子としての現像バイアスおよび露光パワーの調整を行う。ここでは処理の流れのみを簡単に説明する。
まず、現像カートリッジ4Kaについて、最適現像バイアス、つまり印刷動作時に現像ローラ44に印加する現像バイアスの最適値を算出する。具体的には、現像カートリッジ4Kaを選択的に現像位置に移動させ(ステップS360)、その現像カートリッジ4Kaについて、現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値で所定パターンのパッチ画像を形成する(ステップS361)。そして、各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出する(ステップS362)。
各パッチ画像の画像濃度が求まると、それらの値から現像バイアスと画像濃度との対応関係がわかるので、その関係に基づき、画像濃度が予め定められた目標濃度と一致するような現像バイアスの値を算出する。これにより最適現像バイアスが求められる(ステップS363)。ただし、その最適値が当該装置における現像バイアスの可変範囲内になかった場合には、その可変範囲において算出された最適値に最も近い値を最適現像バイアスとする。
こうして現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスが求まれば、続いて、現像カートリッジ4Kaについて、最適露光パワー、つまり当該カートリッジに対応した静電潜像を感光体22上に形成するときの光ビームLの強度の最適値を算出する(ステップS364〜S366)。ここでの処理は、制御因子が現像バイアスに代えて露光パワーである点を除いて上記した最適現像バイアス算出処理(ステップS360〜S363)と同様であるが、必要に応じて、形成するパッチ画像の画像パターンは異なるものとしてもよい。なお、この場合の現像バイアスの設定値は、先に求めた最適値を用いるのが好ましい。こうして、現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスおよび最適露光パワーをそれぞれ求め、パッチ処理を終了する。
このような印刷準備動作(装着確認動作、適合確認動作、寿命確認動作、撹拌処理、パッチ処理)を実行することによって、現像カートリッジ4Kaは印刷動作を良好に行うことができる印刷可能状態となる。そして、図18に戻って、現像カートリッジ4Kaが印刷可能であることを示す印刷可能信号をメインコントローラー11に送信する(ステップS37)。この後、全ての現像カートリッジ4Kb〜4Kdについて、同様の動作を繰り返すことによって、各現像カートリッジが印刷可能となるまで処理が進められる(ステップS38)。そして、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdについて印刷準備動作が終了し、全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdが印刷可能となった後、現像ユニット4をホームポジション(HP)に移動して待機する(ステップS39)。次に、この第3印刷準備処理の処理の進行状況について図21を参照しつつ詳述する。
図21は図18に示す第3印刷準備処理における印刷準備動作の進行状況を示す図である。最初に、現像カートリッジ4Kaについて印刷準備動作を実行している際の処理の進行状況について説明する。まず、タイミングt1で装着確認、タイミングt2で適合確認、タイミングt3で寿命確認が実行される(図18のステップS30〜S32参照)。その後、図18のステップS33において撹拌要の信号が発生していた場合、タイミングt4で撹拌処理が実行される(図18のステップS34参照)。続いて、図18のステップS35においてパッチ制御要の信号が発生していた場合、タイミングt5でパッチ処理が実行される(図18のステップS36参照)。このパッチ処理が終了したタイミングt5で現像カートリッジ4Kaは印刷可能となり、印刷可能信号がメインコントローラー11に対して送信される(図18のステップS37参照)。この後、現像カートリッジ4Kb〜4Kdについて、同様の動作が繰り返されるが、それぞれの現像カートリッジに対する印刷準備動作が完了して印刷可能となるタイミングt10,t15,t20で、印刷可能信号がメインコントローラー11に対して送信される。次に、エンジンコントローラー10において第3印刷準備処理を実行中に、メインコントローラー11に印刷要求が入力された場合(図17参照)の装置の動作について図22および図23を参照しつつ詳述する。
図22はメインコントローラ11に印刷要求が入力された際に、メインコントローラー11において実行される印刷可能判定処理を示す図である。この印刷可能判定処理では、まず、エンジンコントローラー10から、一の現像カートリッジが印刷可能となる度に送信される印刷可能信号が送信されているかどうかを判断する(S3000)。ここで、NOと判断された場合には、エンジンコントローラー10から印刷可能信号が送信されてくるまでそのまま待機する。YESと判断された場合には、制御指令として、エンジンコントローラー10に対して、第3印刷準備処理の中断を指示する印刷準備処理中断指示信号を送信する(ステップS3001)。そして、印刷準備処理中断指示信号をエンジンコントローラー10に対して送信した後、印刷可能判定処理を終了する。次に、この印刷準備処理中断指示信号をエンジンコントローラー10が受信した際の動作について図21および図23を参照しつつ詳述する。
図23はエンジンコントローラー10がメインコントローラー11から、制御指令として、印刷準備処理中断指示信号を入力された際に、エンジンコントローラ10において実行される第2割り込み処理を示すフローチャートである。この第2割り込み処理では、まず、一の現像カートリッジについて印刷準備動作を実行中かどうかが判断される(ステップS3100)。ここで、YESと判断されるのは、図21おけるタイミングt6〜t9,t11〜t14,t16〜t19に、エンジンコントローラー10が印刷準備処理中断指示信号をメインコントローラー11から入力された場合がある。タイミングt1〜t4が含まれていないのは、図22の印刷可能判定処理において、印刷準備処理中断指示信号が送信される(ステップS3001)のは、少なくとも1つの現像カートリッジが印刷可能となっている場合であり、図21のタイミングt5において、現像カートリッジ4Kaについての印刷可能信号がメインコントローラー10に対して送信されていることが最低限必要であるからである。
これらのタイミングで、エンジンコントローラー10に印刷準備処理中断指示信号が入力され、図23のステップS3100においてYESと判断された場合、該一の現像カートリッジについての印刷準備動作が完了するまで待機した後に、次の処理に進む(図21のタイミングt10,t15,t20のいずれかのタイミング)。一方、NOと判断された場合、そのまま次の処理に進む(図21のタイミングt5,t10,t15,t20のいずれかのタイミング)。このように、一の現像カートリッジについての印刷準備動作が完了したタイミングで、エンジンコントローラー10は第3印刷準備処理を中断し(ステップS3101)、第2割り込み処理を終了する。
そして、図23に示す第2割り込み処理が終了して第3印刷準備処理を中断した後、図17に戻って、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理停止信号が出力される。メインコントローラー11が、この印刷準備処理停止信号を確認した後、エンジンコントローラー10へ制御指令として、上記した印刷可能となった現像カートリッジを使用して印刷動作を実行する印刷開始信号を与えることによって、印刷要求に基づいた印刷動作が実行される。
このように、第5実施形態では、印刷動作の実行に先立って、現像ユニット4に装着された現像カートリッジ4Ka〜4Kdの全てに対して印刷準備動作を行う第3印刷準備処理を実行中に、印刷要求があった場合、少なくとも1つの現像カートリッジについて印刷準備動作が完了して印刷可能となっていることを確認した後に、該第3印刷準備処理を中断する。そして、現像ユニット4に装着されたカートリッジのうち、既に印刷準備動作が施されて印刷可能となっている現像カートリッジを使用して印刷動作が実行される。したがって、印刷要求が入力された後、印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。
<第6実施形態>
図24は本発明にかかる画像形成装置の第6実施形態における動作を示す図である。この第5実施形態が、上記した第4実施形態と大きく異なる点は、印刷動作が終了した後、印刷準備動作が施されていない残りの現像カートリッジについての印刷準備動作を実行する点である。その他の構成および動作は、上記第4実施形態と同様であり、構成及び動作の説明を省略する。
この第6実施形態では、エンジンコントローラー10はメインコントローラー11からの制御指令にしたがって第2印刷準備処理を中断する。その後、メインコントローラー11からの印刷開始信号にしたがい印刷動作を開始する。そして、該印刷動作が終了した後に、メインコントローラ11に対して印刷終了信号を出力する。メインコントローラー11はこの印刷終了信号を確認した後、エンジンコントローラー10に対して、制御指令として、印刷準備動作が施されていない残りの現像カートリッジに対する印刷準備処理指示信号を与える。
エンジンコントローラー10は、残りの現像カートリッジに対する印刷準備処理指示信号にしたがい、印刷準備動作が施されていない現像カートリッジに対して印刷準備動作を実行する。そして、全ての現像カートリッジについての印刷準備動作が完了した後に、現像ユニット4をホームポジション(HP)に移動して待機する。この後、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11に対して印刷準備処理終了信号が出力される。以後の印刷動作をこの最適条件の下で実行することにより、所望の画像品質で、しかも安定して画像を形成することが可能となる。
このように、第6実施形態では、印刷動作が終了した後、印刷準備動作が施されていない現像カートリッジについての印刷準備動作が実行される。したがって、この印刷準備処理が終了すれば、全てのカートリッジが印刷可能な状態となるため、モノクロ印刷を大量に、しかも効率的に行うことができる。
<第7実施形態>
図25は本発明にかかる画像形成装置の第7実施形態における動作を示す図である。この第7実施形態が、上記した第1ないし第6実施形態と大きく異なる点は、メインコントローラー11が印刷要求に含まれる印刷情報を判定して、その印刷量等に応じて、印刷可能とするべき現像カートリッジを選択カートリッジとし、印刷準備動作を該選択カートリッジについてのみ実行する点である。以下、上記第1ないし第6実施形態と異なる点を中心に、図25ないし図29を参照しつつ詳述する。
図26は、メインコントローラー11に印刷要求が入力された際に実行される(図25参照)、印刷情報判定処理を示す図である。この印刷情報判定処理において、まず、メインコントローラー11に入力された印刷要求に含まれる印刷情報が確認される(ステップS4000)。そして、ステップS4000において確認された印刷情報に基づいて、印刷準備動作を施して印刷可能とするべき現像カートリッジの最適本数を決定する(ステップS4001)。最後に、現像ユニット4に装着されている現像カートリッジのうちの、どの現像カートリッジを選択するかを決定して印刷情報判定処理を終了する(ステップS4002)。この実施形態では、現像位置に一番近い現像カートリッジを選択カートリッジとして選択している。
続いて、印刷情報判定処理によって決定された内容に基づいて印刷準備動作を実行する、印刷準備処理指示信号が、制御指令として、メインコントローラー11からエンジンコントローラー10に与えられる(図25参照)。この、印刷準備処理指示信号にしたがって、エンジンコントローラー10において、選択カートリッジへの第4印刷準備処理が実行される。第4印刷準備処理について、図27ないし図29を参照しつつ詳述する。なお、上記第1ないし第6実施形態と同様の構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
図27は第7実施形態において実行される第4印刷準備処理を示すフローチャートである。まず、無線通信によってCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受が行われて各現像カートリッジ4Ka〜4Kdに関する消耗品管理等の各種情報がRAM107に一時的に記憶される。そして、メモリ107に記憶されている情報に基づき、装着カートリッジ4Ka〜4Kdのうち、メインコントローラー11からの制御指令にしたがい、現像位置に一番近い現像カートリッジ4Kaと該現像カートリッジ4Kaに隣接する現像カートリッジ4Kbを本発明の「選択カートリッジ」とし、該選択カートリッジ4Ka,4Kbについて、装着確認動作(ステップS41)、適合確認動作(ステップS42)および寿命確認動作(ステップS43)を実行する。
また、ステップS44で「撹拌要」の信号が発生しているか否かを判断する。そして、「撹拌要」の信号が発生していない場合には、そのままステップS46に進む一方、該信号が発生している場合には、選択カートリッジ4Ka,4Kbについて図28に示す撹拌処理(ステップS45)が実行される。
図28は第4印刷準備処理における撹拌処理を示すフローチャートである。この撹拌処理では、2個の選択カートリッジのうち、最初の現像カートリッジ4Kaが現像位置に移動される(ステップS451)。これによって、現像カートリッジ4Kaの現像ローラ44が本体側の回転駆動部と機械的に接続される。そして、この回転駆動部により現像ローラ44を少なくとも1周回転させて該現像ローラ44表面のトナー層をリフレッシュさせて現像カートリッジ4Kaに対する撹拌処理を施す(ステップS452)。なお、ステップS451、S452の処理については、ステップS453で「NO」と判断されている間、繰り返して実行する。すなわち、現像カートリッジ4Kaに対する撹拌処理終了後、現像カートリッジ4Kbを現像位置に移動して該カートリッジ4Kbの現像ローラ44を少なくとも1周回転させる。
このようにして撹拌処理(ステップS45)が完了すると、ステップS46に進んで「パッチ制御要」の信号が発生しているか否かを判断する。これは印刷動作条件を所定の最適条件に調整するための処理である。したがって、「パッチ制御要」の信号が発生していない場合には、現像ユニット4のホームポジション(HP)への移動(ステップS48)が行われた後、そのまま第4印刷準備処理を終了する一方、該信号が発生している場合には、選択カートリッジ4Ka,4Kbについて図29に示すパッチ処理(ステップS47)が実行される。
図29は第4印刷準備処理におけるパッチ処理を示すフローチャートである。このパッチ処理では、装置各部の動作条件を決める動作パラメータのうち、画像品質に影響を与える制御因子としての現像バイアスおよび露光パワーの調整を行う。ここでは処理の流れのみを簡単に説明する。
まず、各選択カートリッジ4Ka,4Kb毎に、最適現像バイアス、つまり印刷動作時に現像ローラ44に印加する現像バイアスの最適値を算出する。具体的には、選択カートリッジ4Ka,4Kbのうちの1つの現像カートリッジ4Kaを選択的に現像位置に移動させ(ステップS470)、その現像カートリッジ4Kaについて、現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値で所定パターンのパッチ画像を形成する(ステップS471)。そして、各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ60により検出する(ステップS472)。
各パッチ画像の画像濃度が求まると、それらの値から現像バイアスと画像濃度との対応関係がわかるので、その関係に基づき、画像濃度が予め定められた目標濃度と一致するような現像バイアスの値を算出する。これにより最適現像バイアスが求められる(ステップS473)。ただし、その最適値が当該装置における現像バイアスの可変範囲内になかった場合には、その可変範囲において算出された最適値に最も近い値を最適現像バイアスとする。
こうしての1つの現像カートリッジ4Kaについて最適現像バイアスが求まれば、全ての選択カートリッジについての処理が終了するまで上記処理S470〜S473を繰り返す(ステップS474)。すなわち、現像カートリッジ4Kbを現像位置に切り換えて最適現像バイアスを求める。こうすることで、各選択カートリッジ4Ka,4Kb毎の最適現像バイアスが求められる。
続いて、各選択カートリッジ4Ka,4Kb毎に、最適露光パワー、つまり当該カートリッジに対応した静電潜像を感光体22上に形成するときの光ビームLの強度の最適値を算出する(ステップS475〜S479)。ここでの処理は、制御因子が現像バイアスに代えて露光パワーである点を除いて上記した最適現像バイアス算出処理(ステップS470〜S473)と同様であるが、必要に応じて、形成するパッチ画像の画像パターンは異なるものとしてもよい。なお、この場合の現像バイアスの設定値は、先に求めた最適値を用いるのが好ましい。こうして、全ての選択カートリッジ4Ka,4Kbについて最適現像バイアスおよび最適露光パワーをそれぞれ求め、パッチ処理を終了する。
このような印刷準備動作(装着確認動作、適合確認動作、寿命確認動作、撹拌処理、パッチ処理)を実行することによって、全ての選択カートリッジ4Ka,4Kbは印刷動作を良好に行うことができる印刷可能状態となる。そして、図27に戻って、現像ユニット4をホームポジション(HP)に移動して第4印刷準備処理を終了する(ステップS48)。
そして、図25に戻って、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ、第4印刷準備処理が終了したことを示す印刷準備処理終了信号が出力される。メインコントローラー11が、この印刷準備処理終了信号を確認した後、エンジンコントローラー10へ制御指令として、印刷可能となった選択カートリッジを使用して印刷動作を実行する印刷開始信号を与えることによって、印刷要求に基づいた印刷動作が実行される。
このように、第7実施形態では、印刷要求に基づいて、現像ユニット4に装着されたカートリッジから選択カートリッジ4Ka,4Kbを選択し、該選択カートリッジ4Ka,4Kbについてのみ印刷準備動作が行われる。したがって、大量印刷が要求されている場合には、その印刷量に応じた本数のカートリッジを選択カートリッジとして選択し、該選択カートリッジについて印刷準備動作を実行して、該選択カートリッジによる印刷が可能な状態とすることができる。このように、印刷要求に基づいて、印刷を実行するのに必要な最小数のカートリッジについて印刷準備動作を実行しているので、大量印刷を効率よく行えるとともに、印刷準備動作のために必要以上にユーザーが待つのを予防することができる。
<第8実施形態>
図30は本発明にかかる画像形成装置の第8実施形態における動作を示すフローチャートである。この第8実施形態が、上記した第1ないし第7実施形態と大きく異なる点は、互いに異なる2つの印刷準備処理が実行可能となっており、メインコントローラー11に入力された印刷要求に基づいて、これらの2つの印刷準備処理から1つの印刷準備処理を選択し、その選択された印刷準備処理が実行される点である。以下、第8実施形態において実行される動作を、上記第1ないし第7実施形態と異なる点を中心に図30を参照しつつ詳述する。なお、上記第1ないし第7実施形態と同様の構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
図30に示すように、メインコントローラー11は、印刷要求に基づいて第1印刷準備処理または第2印刷準備処理を選択する(ステップS61)ことができる。この第8実施形態では、印刷動作を実行する前の適当なタイミング、例えば、エンジンコントローラー10から全ての現像カートリッジ4Ka〜4Kdに対する印刷準備処理要求信号が出力された後のタイミングに、印刷準備処理が選択される。具体的には、上記したように、エンジンコントローラー10からメインコントローラー11へ印刷準備処理要求信号が出力された際に、メインコントローラー11に既にホストコンピューター等から印刷要求が入力されていたときには第1印刷準備処理を選択し(ステップS62)、印刷要求が入力されていないときには第2印刷準備処理を選択する(ステップS63)ことで、印刷要求に基づいた印刷準備処理が実行される。なお、第1印刷準備処理は図4で示す第1実施形態における第1印刷準備処理と、第2印刷準備処理は図9で示す第3実施形態における第2印刷準備処理と同様の処理であり、その処理の流れの説明は省略する。
このようにして、印刷要求に基づいた印刷準備処理がメインコントローラー11において選択された後、制御指令として、該選択された印刷準備処理の実行を指示する印刷準備処理指示信号が、メインコントローラー11からエンジンコントローラー10に対して与えられる。そして、この印刷準備処理指示信号にしたがって、エンジンコントローラー10において、各現像カートリッジについての印刷準備動作が実行される。
このように、第8実施形態では、印刷動作の実行に先立って、メインコントローラー11において、印刷要求に基づいて、互いに異なる2つ印刷準備処理から一の印刷準備処理を選択する。そして、その選択された一の印刷準備処理を実行する制御指令をエンジンコントローラー10に与えることによって、エンジンコントローラー10において、該選択された一の印刷準備処理が実行される。すなわち、印刷要求に基づいた印刷準備処理を実行することによって、現像カートリッジによる印刷動作を可能とすることができる。したがって、モノクロ印刷を印刷要求に沿って効率よく行うことができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、現像ユニット4の支持フレーム40に最大4個の現像カートリッジを装着可能となっており、全ての装着位置に現像カートリッジ4Ka〜4Kdを装着しているが、一部の装着位置にのみ現像カートリッジを装着した装置に対して本発明を適用することができる。すなわち、現像カートリッジの装着可能個数よりも少ない個数M(M≧2)の現像カートリッジを現像ユニット4に装着した装置においても、印刷要求に基づいて、これらM個の現像カートリッジについての印刷準備動作を行うことで、上記した作用効果と同様の効果を得ることができる。また、上記実施形態では装着可能個数は4であるが、この個数は任意であり、またMの値も2以上、かつ装着可能個数以下であれば任意である。したがって、例えば支持フレーム40の装着可能個数が5以上となるように現像ユニット4を構成し、さらに3個の装着位置にイエロー用、シアン用およびマゼンタ用の現像カートリッジをそれぞれ装着するとともに、残りの装着位置にブラック用現像カートリッジを装着する画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、現像位置に一番近い現像カートリッジを優先カートリッジまたは選択カートリッジとし、該カートリッジに対して印刷準備動作を行ったが、他の現像カートリッジに対して印刷準備動作を行っても構わない。例えば、上述したように、印刷準備処理が実行される前に現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報がRAM107に一時的に記憶されるため、これらの情報の一部に基づいて印刷準備処理を行う現像カートリッジ、つまり優先カートリッジまたは選択カートリッジを決定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、メインコントローラー11が、現像ユニット4に装着された現像カートリッジのうち、どのカートリッジを優先カートリッジまたは選択カートリッジとするのかを決定していたが、このカートリッジ決定をエンジンコントローラー10が行っても構わない。すなわち、メインコントローラー11は、印刷要求に基づいて印刷準備動作を施すべき現像カートリッジの本数のみ決定し、該決定された本数情報のみをエンジンコントローラー10に与え、エンジンコントローラー10は、メインコントローラ11から与えられた該本数情報とRAM107に保存されている各現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報に基づいて優先カートリッジまたは選択カートリッジを決定する構成とすることができる。
また、上記実施形態では、メインコントローラー11は、RAM107に記憶されている消耗品管理等の各種情報のうちのどの情報を利用して優先カートリッジまたは選択カートリッジを決定するかをエンジンコントローラー10に指示していたが、該消耗品管理等の各種情報をRAM107からRAM117に伝達して、メインコントローラー10はRAM117に伝達された該消耗品管理等の各種情報に基づいて、優先カートリッジまたは選択カートリッジを決定する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、特定色がブラックの画像形成装置に本発明を適用しているが、特定色はこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、複数の現像カートリッジを現像ユニット4に装着したロータリー現像方式を採用しているため、現像ユニット4の回転移動に伴って各現像カートリッジに貯留されたトナーがカートリッジ内で撹拌されてトナーの均一化が可能となっている。そこで、印刷準備動作として、現像ユニット4の回転動作によるトナー撹拌を実行するようにしてもよい。また、従来より現像カートリッジ内にアジテータやオーガ棒などの部材を配置し、現像カートリッジ内のトナーを撹拌したり、該トナーを現像ローラ側に積極的に供給する技術が採用されることがある。そこで、アジテータやオーガ棒などの部材を装備している装置では、該部材によるトナー撹拌やトナー供給などの動作を印刷準備動作として実行するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、現像カートリッジに収容されたトナーを使い切る構成を採用しているが、必要に応じてトナーを補充する補充タイプの現像カートリッジを採用した装置では、印刷準備動作としてトナー補充動作をさらに実行するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、同形状をなす4個の現像カートリッジ4Ka〜4Kdを使用したが、形状が異なる現像カートリッジを使用してもよい。また、上記実施形態では、1個の感光体22に対してロータリー現像ユニット4を配置した、いわゆるロータリー方式の画像形成装置に本発明を適用したが、1個の感光体22に対して複数の現像カートリッジが昇降して各現像カートリッジにより現像を行うエレベータ方式の画像形成装置や、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
また、上記第6実施形態では、全カートリッジに対する印刷準備処理として、第2印刷準備処理を実行しているが、第2印刷準備処理の代わりに、全カートリッジに対する印刷準備処理として第3印刷準備処理を実行してももちろん構わない。
また、上記第8実施形態では、選択できる印刷準備処理として、第1および第2印刷準備処理を選択可能に構成したが、他の印刷準備処理(第3および第4印刷準備処理等)を選択可能に構成してももちろん構わない。さらに、選択できる印刷準備処理の数は2に限定せず、3以上であってもよい。
さらに、上記実施形態の構成に限定されず、例えば特定色のトナーを有する複数の現像カートリッジが装着された現像ユニットを装備して該特定色の画像を形成する装置や、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写シートなど)を備える装置、さらには複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。
4…現像ユニット、 4Ka〜4Kd...現像カートリッジ、 10…エンジンコントローラ(第2制御部)、 11…メインコントローラー(第1制御部) 22…感光体(潜像担持体)、 40…支持フレーム、 44…現像ローラ(トナー担持体)