JP3966200B2 - カラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置 - Google Patents

カラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラープリンタやカラー複写機等のカラー画像形成装置におい て、カラー画像のレジストレーション(単に「レジ」とも略称する。)を制御するレジストレーションコントロールに使用されるカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置に関し、特に、オペレーターがカラー画像形成装置を操作してカラーレジずれ検出用チャートを出力し、当該カラーレジずれ検出用チャートから特定の基準色に対する被検知色のカラーレジずれ量を把握し、カラー画像形成装置のユーザーインターフェイス等から把握されたカラーレジのずれ量あるいは補正量を入力し、この入力されたカラーレジのずれ量あるいは補正量に基づいてカラー画像形成装置の補正機能を用いてカラーレジのずれを補正するために使用されるカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置に関するものである。
【0002】
【特許文献1】
特開平1−142674号公報
【特許文献2】
特開平1−142680号公報
【特許文献3】
特開平1−183676号公報
【特許文献4】
特許第3293060号公報
【特許文献5】
特開平9−30051号公報
【特許文献6】
特開2000−137357号公報
【0003】
【従来の技術】
従来、複数の画像形成ユニット(エンジン)を装備した所謂タンデム型のカラー画像形成装置としては、例えば、図37に示すようなものがある。このタンデム型のカラー画像形成装置は、図37に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各々色の異なるトナー像を形成する4つの画像形成ユニット200Y、200M、200C、200Kを備え、これらの画像形成ユニット200Y、200M、200C、200Kは、水平方向に沿って一定の間隔を隔て て、並列的に配置されている。上記4つの画像形成ユニット200Y、200 M、200C、200Kは、形成するトナー像の色が異なるほかは、すべて同様に構成されており、感光体ドラム201の表面を帯電装置202によって一様に帯電した後、当該感光体ドラム201の表面に露光装置203によって画像露光を施して、各色の画像情報に応じた静電潜像を形成する。上記感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像は、対応する色の現像装置204により顕像化されてトナー像となり、当該トナー像は、一次転写用の帯電器205によって中間転写ベルト206上に順次多重に転写される。尚、上記感光体ドラム201の表面に残留したトナーは、クリーニング装置207によって除去され、次の画像形成工程に備える。
【0004】
上記中間転写ベルト206は、4つの画像形成ユニット200Y、200M、200C、200Kにわたってその下方に配設されているとともに、駆動ローラを含む複数本のローラ208〜211によって感光体ドラム201の回転速度と等しい速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト206上に順次多重に転写されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、当該中間転写ベルト206の下方に設けられた二次転写位置において、中間転写ベルト206の表面と記録用紙213を介して接触する二次転写ロール212によって、所定のタイミングで給紙される記録用紙213上に一括して転写される。その後、上記記録用紙213は、定着装置214まで搬送され、当該定着装置214によって熱及び圧力で定着処理を受け、装置の外部に排出され、フルカラーや白黒の画像が形成される。
【0005】
ところで、かかるタンデム型のカラー画像形成装置では、複数の画像形成ユニット200Y、200M、200C、200Kで形成される各色の画像の形成位置、即ち、レジストレーションを制御して、複数の画像形成ユニット200Y、200M、200C、200Kで形成される各色の画像のレジストレーション を、互いに精度良く一致させるレジストレーションコントロール技術が採用されている。
【0006】
このレジストレーションコントロール技術が採用された画像形成装置に関するものとしては、例えば、特開平1−142674号公報、特開平1−142680号公報、特開平1−183676号公報等に開示されているように、図38に示す如く、各画像形成ユニット200Y、200M、200C、200KのROS203によって、予め決められた画像位置認識用のパターン220を感光体ドラム201上に形成し、当該各感光体ドラム201上に形成された各色の画像位置認識用パターン220を、中間転写ベルト206上に順次一次転写して、最終段の画像形成ユニット200Kの下流側に配置されたカラーレジずれ量検知センサ221によってサンプリングし、当該サンプリングデータの位置関係に、予め決められた各色の画像位置認識用パターン220の色ずれがなかったと仮定したときの位置関係と、どれだけの差異があるかを検出し、その検出データから各色のレジストレーションずれ(以下、「レジずれ」と称する。)量を演算する。そして、上記画像形成装置では、各画像形成ユニット200Y、200M、200C、200KのROS203の書き込みタイミングや、光学系部品の位置などを補正することでレジずれの少ない高品位な画質を提供する方法が提案されてい る。
【0007】
なお、上記中間転写ベルト206上に転写された各色の像位置認識用パターン220は、当該中間転写ベルト206の表面をクリーニングするクリーニング装置215によって除去される。
【0008】
ところが、上記特開平1−142674号公報、特開平1−142680号公報、特開平1−183676号公報等に開示された技術の場合には、画像像位置認識用のパターン220を検出するためのカラーレジずれ量検知センサ221等が必要となり、部品点数の増加に伴うコストアップや、カラーレジずれ量検知センサ221等を配置するスペースを確保する必要があるため、装置の大型化を招くという難点を有している。
【0009】
そこで、カラー画像形成装置の内部に配設されるカラーレジずれ量検知センサを必要とすることなく、オペレータによるカラーレジずれの認識が可能となるようなテストチャートに関して、特許第3293060号公報や特開平9−30051号公報、あるいは特開2000−137357号公報等に開示された技術が既に提案されている。
【0010】
この特許第3293060号公報に係るカラー画像形成位置調整装置は、夫々異なる色で画像形成する画像形成部を複数有するカラー画像形成位置調整装置において、図39に示すように、所定範囲のソリッド画像形成領域内に画像形成位置ずれ検知方向に対して所定のドット間隔毎に複数配置された所定ドット幅の画像形成空白領域が形成され、画像形成位置の基準となる印刷色で画像形成される基準色テストチャートパターン301を印刷する第1のデータと、少なくとも前記画像形成位置ずれ検知方向に対して前記画像形成空白領域に合致する形状の有効画像形成領域が複数配列された基本パターンを前記位置ずれ検知方向に対して最小画素単位づつずらして複数種類設けられ、画像形成位置を調整される被調整色で画像形成される調整色テストチャートパターン302を印刷する第2のデータと、を記憶する記憶手段と、前記第1及び第2のデータを夫々対応する色の画像形成部に転送して両データに基づく画像を重ね合わせる画像形成処理するテストチャート画像形成制御手段と、を有するように構成したものである。
【0011】
また、上記特開平9−30051号公報に係るカラー画像形成装置における色ずれ検知装置は、一様に帯電させた静電潜像保持体に露光により印字ドットデータに基づく静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーにより現像して可視像化する印刷ステーションを一方向に複数配置してなり、前記各印刷ステーションにより前記記録用紙に複数の画像を重ねて転写するカラー画像形成装置において、図40に示すように、前記記録用紙へ転写する画像の色ずれ量を検知する際、その色ずれ量を検知したい方向に少なくとも1ドット分の間隔を開けて並べた1対の基準色単位マーク対401をさらにその直角方向に複数並べてなる基準色マークを、色ずれ量の補正の基準となる1つの印刷ステーションにより前記記録用紙に印刷する基準色マーク印刷手段と、この基準色単位マーク対の間隔よりも短く、かつ少なくとも1ドット分の幅を有する被検知色単位マーク402をさらに色ずれ量を検知したい方向に少なくとも1ドットずつずらして複数並べてなる被検知色マークを、この被検知色マークの基準となる1つの被検知色単位マーク402が前記基準色マークの基準となる1対の基準色単位マーク対401間に位置するようにこれらの位置データを同一にした状態で、他の印刷ステーションにより前記各基準色単位マーク対に重ねて前記記録用紙に印刷する被検知色マーク印刷手段とを設けるように構成したものである。
【0012】
さらに、上記特開2000−137357号公報に係る画像形成装置は、画像データに従って第1色の色材により画像を転写材に形成する第1の画像形成手段と、この第1の画像形成手段によって転写材に形成された画像の所定位置に対し入力される画像データに従って第2色の色材により形成される第2の画像を重ね合わせる第2の画像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記第1、第2の画像形成手段に所定の画像データを供給するデータ供給手段を備え、前記データ供給手段は、転写材に形成すべき再生画像に関するデータを出力する再生画像データ発生手段と、前記第1の画像形成手段によって再生される画像の所定位置に対し、第2の画像形成手段によって形成される画像形成位置の誤差を判定するためのレジストパターンデータを発生させるレジストパターンデータ発生手段とからなり、前記レジストパターンデータ発生手段は、判定すべき誤差の単位に応じたレジストパターンデータを発生させる複数のパターンデータ発生部を備 え、前記各パターンデータ発生部は、図41に示すように、前記第1色にて形成すべき第1色の矩形パターン501を第1色のパターン聞隔を介して複数形成するための第1色のパターン群データを発生させる第1色のパターン群データ発生部と、前記第1色のパターン間隔に対し所定の間隔差を有する第2色のパターン間隔を介して前記第2色の色材にて形成すべき第2色の矩形パターン502を複数形成させるための第2色のパターン群データを発生させる第2色のパターン群データ発生部とにより構成し、前記第1色のパターン群データに基づき第1の画像形成手段にて形成される各矩形パターンと、前記第2色のパターン群データに基づき第2の画像形成手段にて形成される各矩形パターンとの相対位置に基づ き、第1の画像形成手段にて形成される画像の所定位置に対し、第2の画像記録再生手段にて形成される画像の形成位置の誤差を判定し得るようにすると共に、前記各パターンデータ発生部によって大小異なる単位で誤差を判定し得るようにする一方、前記画像形成位置の誤差を補正するための補正情報を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された補正情報に従って前記第1、第2の画像形成手段の少なくとも一方を制御する制御手段とを設けるように構成したものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわ ち、上記特許第3293060号公報に係るカラー画像形成位置調整装置の場合には、図39に示すように、テストチャートの構成上、検知方向に対して複数 (補正目盛りの数に相当)のカラーレジずれ検知ブロック301、302が必要であり、補正目盛り分のパターンを被検知色の数に応じて配置する必要がある。そのため、パターンの配置位置は、検知方向に対して広い検知領域、例えば、記録用紙の全面となってしまい、記録用紙の端部や中央部といったように、特定位置でのカラーレジずれ量を把握することができないという問題点を有している。
【0014】
更に説明すると、上記特許第3293060号公報に係るカラー画像形成位置調整装置において、例えば、主走査方向のカラーレジずれ量を検知する場合に は、当該主走査方向のカラーレジずれ量は、主走査方向の倍率ずれや左右の倍率差によるずれなどの影響をよって、主走査方向の検知位置によって異なる。そのため、主走査方向の特定位置でのカラーレジずれ量を把握したい場合には、検知するポイントが主走査方向で狭い領域でなければならないにもかかわらず、狭い領域に形成することができないという問題点を有している。
【0015】
また、上記特開平9−30051号公報に係るカラー画像形成装置における色ずれ検知装置の場合には、図40に示すように、高だか数ドット分の一対の基準色マーク401によって挟まれた間隔から、目視で認識できる被検知色マーク402は小さいため、その被検知マーク402を目視で認識することによって把握できるカラーレジずれ量や補正量の検出精度が高くないという問題点を有している。更に説明すると、基準色マーク401及び被検知色マーク402が、実物大で図40に示すように大きければ、被検知マーク402を目視で認識することによってカラーレジずれ量等を容易に把握できるが、実際に数ドット分のレジずれを容易に且つ高い検出精度で検知することが困難であるという問題点を有しいている。
【0016】
さらに、上記特開2000−137357号公報に係る画像形成装置の場合には、特許第3293060号公報に開示された技術と同様に、レジストパターン501、502の配置位置は、図41に示すように、検知方向に対して広い検知領域、例えば、記録用紙の全幅となってしまい、特定位置でのカラーレジずれ量を把握することができないという問題点を有している。また、上記特開2000−137357号公報に係る画像形成装置の場合には、粗いレジずれを検知するパターンと、細かいレジずれを検知するパターンとが、検知方向(図41中、X方向と直交する方向)に対してずれているため、必ずしも粗調整の結果を、微調整に精度良く生かすことできないという問題点を有している。
【0017】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、部品点数の増加に伴うコストアップや装置の大型化を招くことなく、記録用紙の両端部や中央部などのように、記録用紙の特定位置におけるカラーレジずれ量や補正量を把握することができるとともに、カラーレジずれ量や補正量を目視によって高い精度で検出することが可能なカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載された発明は、記録媒体上に形成される異なった色のトナー像のカラーレジずれを補正する機能を有するカラー画像形成装置に使用されるカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記記録媒体上にカラーレジずれの検出方向である主走査方向と直交する方向に沿った直線状の隙間を、当該隙間の大きさを一定または異ならせて前記主走査方向に沿って複数配置した基準色パッチと、所定幅と所定高さを有するパッチを、前記基準色パッチの各隙間を中心にして、前記主走査方向及び前記主走査方向に直交する方向に所定量を共にずらして、各々パッチが隣接するように段階的に複数配置した被検知色パッチとを備えたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャートである。
【0019】
また、請求項1に記載された発明は、前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記主走査方向にずらした状態で配置される被検知色パッチのずれ量に応じて、前記基準色パッチの主走査方向と直交する方向に、前記被検知色パッチの主走査方向のずれ量を定量的に表示するための目盛りを設けたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャートである。
【0020】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記基準色パッチに配置される複数の隙間の大きさを、前記主走査方向に沿って段階的に大きく設定するとともに、前記被検知色パッチの主走査方向に沿ったずれ量を一定に設定して、前記基準色パッチの隙間から視認される被検知色パッチの幅及び長さが、前記主走査方向に沿って段階的に大きくなるように構成したことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャートである。
【0021】
又、請求項4に記載された発明は、前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗いカラーレジずれを検知する粗検知用パッチと、微小なカラーレジずれを検知する微検知用パッチとを備え、前記粗検知用パッチの検知レンジは前記微検知用パッチの検知レンジより大きいことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャートである。
【0022】
更に、請求項5に記載された発明は、前記請求項4記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果に基づいて、微検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果が有効か否かを判断可能としたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャートである。
【0023】
また、請求項6に記載された発明は、前記請求項1に記載されたカラーレジずれ検出用チャートを所定のタイミングで出力して、当該カラーレジずれ検出用チャートに基づいて基準色パッチに対する被検知色パッチのカラーレジずれ量を視認し、前記カラーレジずれ検出用チャートに基づいて視認されたカラーレジずれ量又は補正量を、カラーレジずれ補正手段に入力することによって、カラーレジずれを補正することを特徴とするカラーレジずれ補正装置である。
【0024】
さらに、請求項7に記載された発明は、前記請求項1に記載されたカラーレジずれ検出用チャートを所定のタイミングで出力して、当該カラーレジずれ検出用チャートに基づいて基準色パッチに対する被検知色パッチのカラーレジずれ量を視認し、前記カラーレジずれ検出用チャートに基づいて視認されたカラーレジずれ量又は補正量を、カラーレジずれ補正手段に入力することによって、カラーレジずれを補正することを特徴としたカラー画像形成装置である。
【0025】
また更に、請求項8に記載された発明は、前記請求項7記載のカラー画像形成装置において、前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗いカラーレジずれを検知する粗検知用パッチと、微小なカラーレジずれを検知する微検知用パッチとを備え、前記粗検知用パッチの検知レンジは前記微検知用パッチの検知レンジより大きいことを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0026】
又、請求項9に記載された発明は、前記請求項8記載のカラー画像形成装置において、前記カラーレジずれ補正手段は、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果に基づいて、カラーレジずれの粗調整が必要であると判断したときは、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果を入力し、前記カラーレジずれの粗調整を実行することを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0027】
更に、請求項10に記載された発明は、前記請求項9記載のカラー画像形成装置において、前記カラーレジずれ補正手段は、前記カラーレジずれの粗調整を実行した後、再度、前記カラーレジずれ検出用チャートを出力し、当該カラーレジずれ検出用チャートの微検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果を入力することによって、前記カラーレジずれの微調整を実行することを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャート及びカラーレジずれ補正装置を適用したカラー画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示すものである。
【0030】
図2において、01はタンデム型のフルカラープリンターの本体を示すものであり、このプリンター本体01の内部には、大別して、フルカラーの画像形成を行うプリントヘッドデバイス(Print Head Device )02と、このプリントヘッドデバイス02の像担持体としての4つの感光体ドラム11, 12, 13, 14に画像露光を施す露光装置としてのROS(Raster Output Scanner )03と、上記プリントヘッドデバイス02の各色の現像装置41, 42, 43, 44に対応する色のトナーを供給する4つのトナーボックス04Y,04M,04K,04C と、上記プリントヘッドデバイス02に記録媒体としての記録用紙Pを供給する給紙カセット05と、上記プリントヘッドデバイス02からトナー像が転写された記録用紙Pに対して、定着処理を施す定着装置06と、この定着装置06によって片面に画像が定着された記録用紙Pを、表裏を反転した状態で、再度プリントヘッドデバイス02の転写部へと搬送する両面用搬送経路07と、プリンター本体01の外部から所望の記録用紙Pを給紙する手差し給紙手段08と、プリンターの動作を制御する制御回路や画像信号に対して画像処理を施す画像処理回路等からなるコントローラ09と、高圧電源回路等からなる電気回路10とが設けられている。なお、図2中、Tは画像が形成された記録用紙Pを排出する排出トイレを示すものであり、この排出トイレTは、プリンター本体01の上部に一体的に配置されている。
【0031】
上記プリンター本体01の内部に配設される種々の部材のうち、露光装置としてのROS03は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン (C)の各色に対応した画像データに基づいて点灯駆動される4つの半導体レーザや、これら4つの半導体レーザから出射される4本のレーザ光を、偏向走査するためのf−θレンズやポリゴンミラー、あるいは複数枚の反射ミラーなどから構成されている。
【0032】
図3はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートを適用したカラー画像形成装置としてのタンデム型フルカラープリンターのプリントヘッドデバイスを示すものである。尚、図3中の矢印は、各回転体の回転方向を示している。
【0033】
このプリントヘッドデバイス02は、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)用の各感光体ドラム(像担持体)1 1, 12, 13, 14 を有する4つの画像形成部1, 2, 3, 4と、これら感光体ドラム1 1, 12, 13, 14 に接触する一次帯電用の帯電ロール(接触型帯電装置)21, 22, 23, 24と、前記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に残留するトナーを一時的に除去するリフレッシャーロール25,26,27,28 と、イエロー(Y)、マゼンタ (M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34を照射するROS(露光装置)03と、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成された静電潜像を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のトナーで現像する現像装置41, 42, 43, 44と、上記4つの感光体ドラム11, 12, 13, 14のうちの2つの感光体ドラム11, 12に接触する第1の一次中間転写ドラム(中間転写体)51及び他の2つの感光体ドラム13, 14に接触する第2の一次中間転写ドラム(中間転写体)52と、上記第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52に接触する二次中間転写ドラム(中間転写体)53と、この二次中間転写ドラム53に接触する最終転写ロール(転写部材)60とで、その主要部が構成されている。また、上記中間転写ドラム51,52,53の表面には、当該中間転写ドラム5 1 ,52,53の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置のクリーニングロール54,55,56が配設されている。
【0034】
感光体ドラム11, 12, 13, 14としては、公知の感光体ドラムが用いられ、導電性パイプの周囲に感光層を形成したものである。導電性パイプの材質としては、例えば、SUS、Al等の金属の表面に、Al、CU等の金属を蒸着又はメッキしたもの、あるいは金属やカーボン等の導電性粉やフィラーを混入した導電性プラスチックなどが用いられる。また、感光層としては、Se、Cds、α−Si等の無機感光体や、多層構造からなる有機感光体など任意のものが使用できる。この実施の形態では、感光体ドラム11, 12, 13, 14としてφ30mmのAlパイプの表面に、多層有機感光体(OPC)を被覆したものを使用している。
【0035】
上記感光体ドラム11, 12, 13, 14は、共通の接平面M を有するように一定の間隔をおいて互いに平行に配列されている。また、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52は、各回転軸が該感光体ドラム11, 12, 13, 14軸に対し平行かつ所定の対称面を境界とした面対称の関係にあるように配置されている。さらに、二次中間転写ドラム53は、該感光体ドラム11, 12, 13, 14と回転軸が平行であるように配置されている。
【0036】
各色毎の画像情報に応じた信号は、電気回路10(図2参照)に配設された画像処理回路によりラスタライジングされてROS03に入力される。このROS03では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34が変調され、対応する色の感光体ドラム11, 12, 13, 14に照射される。
【0037】
上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14の周囲では、周知の電子写真方式による各色毎の画像形成プロセスが行なわれる。まず、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14としては、例えば、直径30mmのOPC感光体を用いた感光体ドラムが用いられ、これらの感光体ドラム11, 12, 13, 14は、例えば、104mm/secの回転速度(周速)で回転駆動される。上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面は、図3に示すように、接触型帯電装置としての帯電ロール21, 22, 23, 24に、約-840VのDC電圧を印加することによって、例えば約-300V程度に帯電される。なお、上記接触型の帯電装置としては、ロールタイプのもの、フィルムタイプのもの、ブラシタイプのもの等を挙げることができるが、どのタイプのものを用いても良い。この実施の形態では、近年、電子写真装置で一般に使用されている帯電ロールを採用している。また、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電させるために、この実施の形態では、DCのみを印加する帯電方式を採用しているが、AC+DC印加の帯電方式を用いても勿論良い。
【0038】
その後、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面には、露光装置としてのROS03によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色に対応したレーザ光31, 32, 33, 34が照射され、各色毎の入力画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム11, 12, 13, 14は、ROS03で静電潜像が書き込まれた際に、その画像露光部の表面電位は-60 V以下程度にまで除電される。
【0039】
また、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色に対応した静電潜像は、対応する色の現像装置41, 42, 43, 44によって現像され、感光体ドラム11, 12, 13, 14上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のトナー像として可視化される。
【0040】
この実施の形態では、現像装置41, 42, 43, 44として、磁気ブラシ接触型の二成分現像方式を採用しているが、この発明の適用範囲はこの現像方式に限定されるものではなく、非接触型の現像方式においてもこの発明を充分に適用することができることは勿論である。
【0041】
現像装置41, 42, 43, 44には、それぞれ色の異なったイエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)色のトナーと、キャリアからなる現像剤が充填されている。これらの現像装置41, 42, 43, 44には、図2に示すよう に、対応する色のトナーボックス04Y,04M,04K,04C からトナーや現像剤が補給されると、この補給されたトナーや現像剤は、オーガー401 ,402 で充分に現像装置41, 42, 43, 44内の現像剤と攪拌されて摩擦帯電される。現像ロール403 の内部には、複数の磁極を所定の角度に配置したマグネットロール(不図示)が固定した状態で配置されている。この現像ロール403 に現像剤を搬送するオーガー402 によって、当該現像ロール403 の表面近傍に搬送された現像剤は、現像剤量規制部材404 によって現像部に搬送される量が規制される。この実施の形態では、上記現像剤の量は、30〜50g/m2 であり、また、このとき現像ロール403 上に存在するトナーの帯電量は、概ね-20 〜-35 μC/g 程度である。
【0042】
上記現像ロール403 上に供給されたトナーは、マグネットロールの磁力によって、キャリアとトナーで構成された磁気ブラシ状となっており、この磁気ブラシが感光体ドラム11, 12, 13, 14と接触している。この現像ロール403 にAC+DCの現像バイアス電圧を印加して、現像ロール403 上のトナーを感光体ドラム11, 1 2, 13, 14 上に形成された静電潜像に現像することにより、トナー像が形成される。この実施の形態では、例えば、現像バイアス電圧のAC成分が4 kHz、1.5 kVppで、DC成分が-230V程度に設定されている。
【0043】
この実施の形態では、上記現像装置41, 42, 43, 44において、トナーとして略球形状のトナーである所謂”球形トナー”であって、その平均粒径が3〜10μm程度のものが使用され、例えば、ブラック色のトナーの平均粒径は8μm、カラートナーの平均粒径は7μmに設定される。
【0044】
次に、上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52上に、静電的に二次転写される。感光体ドラム11, 12上に形成されたイエロー(Y)およびマゼンタ(M)色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51上に、感光体ドラム13, 14上に形成されたブラック(K)、シアン(C)色のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム52上に、それぞれ転写される。従って、第1の一次中間転写ドラム51上には、感光体ドラム11または12のどちらから転写された単色像と、感光体ドラム11及び12の両方から転写された2色のトナー像が重ね合わされた二重色像が形成されることになる。また、第2の一次中間転写ドラム52上にも、感光体ドラム13,14 から同様な単色像と二重色像が形成される。
【0045】
上記第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 上に感光体ドラム11,12,13,14 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500 V程度である。この表面電位は、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。この雰囲気温度や湿度は、雰囲気温度や湿度によって抵抗値が変化する特性を持った部材の抵抗値を検知することで簡易的に知ることが可能である。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜-35 μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位は、+380V程度が望ましい。
【0046】
上記中間転写体としては、ドラム状のもの以外に、ベルト状のものなど公知のものを使用することができる。中間転写ベルトとしては、例えば、金属やカーボン等の導電性粉、フィラーを混入し、抵抗値を調整したプラスチックシート(厚み10μmから100μm程度)、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単体、あるいはアロイ系のものが使用できる。中間転写ベルトの抵抗値は、106 Ω・cm〜1014Ω・cmが望ましい。また、中間転写ベルトの構成も、単層構造のものや、その表面に極薄い誘電体層(0.5〜2μm)を有した多層構造のものが使用可能である。一方、中間転写ドラムとしては、例えば、感光体ドラムと同様な導電性芯金の周りに半導電性弾性体(材料例については、特開平8−334995号公報に記述あり)を被覆したものを使用することができる。
【0047】
この実施の形態で用いる第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、例えば、外径が60mmに形成され、全体としての抵抗が109 Ω程度に設定されている。第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層が、厚さ5mm程度に設けられている。更に、第1、第2の中間転写ドラム51, 52の最表面は、アクリルシリコンを厚さ10μmにコートしたトップ層で構成されている。
【0048】
このように第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52上に形成された単色又は二重色のトナー像は、二次中間転写ドラム53上に静電的に二次転写される。従っ て、二次中間転写ドラム53上には、単色像からイエロー(Y)、マゼンタ (M)、シアン(C)、ブラック(K)色の四重色像までの最終的なトナー像が形成されることになる。
【0049】
この二次中間転写ドラム53上へ第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜+1200 V程度である。この表面電位は、感光体ドラム11, 12, 13, 14から第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52へ転写するときと同様に、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。また、転写に必要なのは、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差であるので、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜-35 μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位が+380V程度の場合には、二次中間転写ドラム53の表面電位は、+880V程度、つまり第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差は、+500V程度に設定することが望ましい。
【0050】
この実施の形態で用いる二次中間転写ドラム53は、例えば、外径が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と同じ60mmに形成され、抵抗値は109 Ω程度あるいはそれよりも高く設定される。また、上記二次中間転写ドラム53も第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52と同様、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層が、厚さ5mm程度に設けられている。更に、二次中間転写ドラム53の最表面は、アクリルシリコンを厚さ10μmにコートしたトップ層で構成されている。この二次中間転写ドラム53の表面には、転写ロール60が0.5mm程度食い込むように圧接されており、当該二次中間転写ドラム53と転写ロール60との間には、二次中間転写ドラム53側が凹形状となるような形状の転写ニップが形成されて、転写用紙P の剥離作用を高めるようになっている。
【0051】
次に、上記二次中間転写ドラム53上に形成された単色像から四重色像までの最終的なトナー像は、最終転写ロール60によって、用紙搬送路を通る記録用紙Pに三次転写される。この記録用紙Pは、不図示の紙送り工程を経てレジストロール90を通過し、二次中間転写ドラム53と最終転写ロール60のニップ部に送り込まれる。この最終転写工程の後、記録用紙P上に形成された最終的なトナー像は、定着装置06によって定着され、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0052】
ところで、上記の如く構成されるタンデム型のデジタルカラープリンタでは、次に示すように、運搬・設置時の振動や、あるいは機内の温度変化など、種々の要因によって、各画像形成部の感光体ドラムや露光装置の部品等に位置的な変動が生じ、カラー画像の位置ずれ(レジずれ)が発生する場合がある。
【0053】
まず、各画像形成部 1, 2, 3, 4 において、感光体ドラム11, 12, 13, 14に位置ずれがあると、図4に示すように、ROS03と感光体ドラム11, 12, 13, 14間の距離(光路長)が変動し、主走査方向(レーザビームの走査方向)の倍率のずれや、主走査方向の左右の倍率のずれが発生する。また、各画像形成部 1, 2, 3, 4において、ROS03と感光体ドラム11, 12, 13, 14に主走査方向に沿った位置ずれがあると、図5に示すように、主走査方向のマージンずれが生じる。
【0054】
さらに、各画像形成部 1, 2, 3, 4 において、図6に示すように、感光体ドラム11, 12, 13, 14の回転軸に傾きがあると、スキューずれが発生する。また、各感光体ドラム11, 12, 13, 14に、図7に示すように、副走査方向に沿った位置ずれがあると、副走査方向のマージンのずれが発生する。
【0055】
また、上記のレジずれに加えて、各画像形成部 1, 2, 3, 4 において、図8に示すように、感光体ドラム11, 12, 13, 14や第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、並びに二次中間転写ドラム53に速度変動があると、副走査方向の周期的な変動(AC変動)が生じ、これが原因で互いに異なる色の間でカラーレジストレーションずれ(以下、「カラーレジずれ」という。)が発生する。さらに、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、並びに二次中間転写ドラム53に、軸方向に沿った位置変動があると、図9に示すように、主走査方向の周期的な変動 (AC変動)が生じ、これが原因で互いに異なる色の間でカラーレジずれが発生する。なお、図8及び図9において、感光体ドラム11, 12, 13, 14には、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 が接触している。
【0056】
このように、種々の要因によって、主走査方向の倍率のずれ、主走査方向の左右の倍率のずれ、スキューずれ、副走査マージンずれ、主走査マージンずれ、副走査周期的ずれ、主走査周期的ずれが生じるが、これらの画像の位置ずれが重ね合わされて、図10に示すように、DC的なずれ(均一なずれ)やAC的なずれ(周期的なずれ)が生じ、カラーレジずれとなって現れる場合がある。
【0057】
ただし、上述したカラーレジずれが必ずすべて現れる訳ではなく、主走査方向のマージンずれなどが特に生じやすい。
【0058】
また、図2及び図3に示すカラー画像形成装置の場合には、感光体ドラム11, 12, 13, 14が小径に構成されているとともに、中間転写体がベルト状の部材ではなく、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、並びに二次中間転写ドラム53からなり、これらの中間転写ドラム51,52,53は、剛体であるため、副走査周期的ずれや主走査周期的ずれは生じ難く、やはり、主走査方向のマージンずれや、主走査の倍率ずれ、あるいは左右倍率差ずれ( バランスずれ) /サイドレジずれなどが生じやすい。
【0059】
そこで、この実施の形態では、次に詳細に説明するように、所定のタイミングで、記録媒体P上にカラーレジずれ検出用チャートを出力し、当該記録媒体P上に形成されたカラーレジずれ検出用チャートを、オペレーターが目視でカラーレジずれ量を検出するとともに、このカラーレジずれ量あるいは補正値をカラー画像形成装置のユーザーインターフェイス等から入力し、カラー画像形成装置が有する補正機能を用いて、カラーレジずれを補正するように構成したものである。
【0060】
ところで、この実施の形態に係るカラーレジずれ検出用チャートは、記録媒体上に形成される異なった色のトナー像のカラーレジずれを補正する機能を有するカラー画像形成装置に使用されるカラーレジずれ検出用チャートにおいて、前記記録媒体上にカラーレジずれの検出方向と直交する方向に沿った直線状の隙間 を、当該隙間の大きさを一定または異ならせてカラーレジずれの検出方向に沿って複数配置した基準色パッチと、前記基準色パッチの各々の隙間に対応した幅を有するパッチを、基準色パッチの各隙間を中心にして、前記カラーレジずれの検出方向及びカラーレジずれの検出方向と直交する方向に順次ずらして複数配置した被検知色パッチとを備えるように構成されている。
【0061】
また、この実施の形態に係るカラーレジずれ検出用チャートは、前記カラーレジずれの検出方向にずらした状態で配置される被検知色パッチのずれ量に応じ て、前記基準色パッチのカラーレジずれの検出方向と直交する方向に、前記被検知色パッチのカラーレジずれ検出方向のずれ量を定量的に表示するための目盛りを設けるように構成されている。
【0062】
さらに、この実施の形態に係るカラーレジずれ検出用チャートは、前記基準色パッチに配置される複数の隙間の大きさを、前記カラーレジずれの検出方向に沿って段階的に大きく設定するとともに、前記被検知色パッチのカラーレジずれ検出方向に沿ったずれ量を一定に設定して、前記基準色パッチの隙間から視認される被検知色パッチの幅及び長さが、カラーレジずれ検出方向に沿って段階的に大きくなるように構成し、前記複数の被検知色パッチの視認性を高めるように構成されている。
【0063】
また更に、この実施の形態に係るカラーレジずれ検出用チャートは、前記カラーレジずれ検出用チャートが、粗いカラーレジずれを検知する粗検知用パッチ と、微小なカラーレジずれを検知する微検知用パッチとを備えるように構成されている。
【0064】
なお、この実施の形態に係るカラーレジずれ検出用チャートは、例えば、中間転写ベルト方式や用紙搬送ベルト方式、または中間転写ドラム方式などを採用したカラー画像形成装置に適用できるものであり、記録媒体上に形成される異なった色のトナー像のカラーレジずれを補正する機能を有するカラー画像形成装置であれば如何なる方式のものであっても構わない。
【0065】
この実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャート100 は、図11に示すように、オペレーターの操作に基づいて、カラー画像形成装置によって記録媒体としての記録用紙P上に所定のタイミングでプリントされるものである。
【0066】
上記カラーレジずれ検出用チャート100 の画像データは、例えば、図12に示すように、カラー画像形成装置の制御装置によって出力される。
【0067】
図12はこの発明の実施の形態1に係るカラー画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの制御回路を示すブロック図である。
【0068】
図12において、71はデジタルカラープリンタにおける画像形成動作を制御するカラーレジずれ補正手段としての機能を兼ね備えたIOTメインコントローラ(制御手段)、72はインターフェイス73を介して入力される画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ等から画像データが入力されるESS、74はESS73の内部に設けられたRAM、75は画像処理装置76の内部に設けられたRAMを、77はデジタルカラープリンタにおける画像形成動作を指示するとともに、カラーレジずれのずれ量や補正値を入力するユーザーインターフェイスを、それぞれ示すものである。
【0069】
なお、上記カラーレジずれ検出用チャート100 の画像データは、例えば、画像処理装置76の内部に設けられたRAM75に、予め記憶されている。そして、このカラーレジずれ検出用チャート100 は、例えば、オペレーターによるユーザーインターフェイス77の操作に基づいて、IOTメインコントローラ71が実行するカラーレジずれ検出用チャート100 の出力動作によって、記録用紙P上に所定のタイミングでプリントされる。
【0070】
上記カラーレジずれ検出用チャート100 は、図11に示すように、大別して、微小なカラーレジずれを検出するための基準色パターンと被検知色パターンを配置したパッチ101(以下、「微検知用パッチ」という。) と、粗いカラーレジずれを検出するための基準色パターンと被検知色パターンを配置したパッチ102(以 下、「粗検知用パッチ」という。) とから構成されている。また、カラーレジずれ検出用チャート100 は、例えば、微検知用パッチ101 と粗検知用パッチ102 を1組みとして、カラーレジずれの検知方向と直交する方向に沿って配置したものを、被検知色に対応した色数、図示例では、イエロー、マゼンタ、シアンの3色備え、これらイエロー、マゼンタ、シアンの3色の微検知用パッチ101 と粗検知用パッチ102 を1セットとして、記録用紙Pの中央部と、左右両端部にそれぞれ配置して構成されている。なお、上記カラーレジずれ検出用チャート100 は、微検知用パッチ101 のみから構成しても良く、あるいは、記録用紙Pの一部にのみ形成しても良いことは勿論である。
【0071】
このように、図11は、主走査方向の微検知パッチ101 と粗検知パッチ102 を1枚の記録用紙Pに配置したレイアウトを示すものである。図11(a)は上段に前述の粗検知パッチ102 、下段に前述の微検知パッチ101 を配置したパターンである。基準色をブラック色とし、被検知色をイエロー/マゼンタ/シアンとした3種類のパッチを、記録用紙P上に主走査方向左/中央/右側にそれぞれ配置した様子を図11(b)に示している。主走査方向の3つの位置に同じパッチを配置した理由は、この3つの位置でのカラーずれ量を把握できれば、前述した主走査の倍率ずれ、左右倍率差ずれ( バランスずれ) /サイドレジずれを検出することが可能であるからである。もちろん、補正対象が倍率ずれとサイドレジずれのみであれば、左右両側に2箇所に検知用パッチ101,102 を配置すれば良いし、サイドレジずれのみが補正対象であれば、中央1箇所のみに検知用パッチ101,102 を配置すればよい。
【0072】
上記カラーレジずれ検出用チャート100 のうち、微検知用パッチ101 は、図1に示すように、基準色パッチ103 と、被検知色パッチ104 とから構成されてい る。ここで、基準色としては、例えば、ブラック色が用いられるが、他の色に設定しても良い。また、被検知色としては、例えば、イエロー色、マゼンタ色、シアン色がそれぞれ用いられるが、他の色に設定しても良いことは勿論である。
【0073】
上記基準色パッチ103 は、図1に示すように、複数の矩形状パターン105 を、カラーレジずれを検知する方向に沿って、段階的に変化する隙間106 を開けて配置されている。なお、図示例では、隙間106 が互いに平行に一定の距離を隔てて配置されている。また、上記被検知色パッチ104 は、基準色パッチ103 の段階的に変化する各々の隙間106 に対応(隙間106 と同一の幅に設定)させて、パターン107 の幅を変化させ、かつカラーレジずれの検出方向に対して、少なくとも1ドット(画像形成の最小分解能)ずつずらした状態で、カラーレジずれの検出方向と直交する方向に、互いに隣接するように複数配列したパターン群からなり、当該パターン群を基準色パターン105 の隙間106 に対応した数だけ、基準色パターン105 の隙間106 に対応した位置に配置したものである。
【0074】
更に、上記カラーレジずれ検出用チャートについて説明する。
【0075】
図1(a)は主走査方向のカラーレジずれを検出するためのカラーレジずれ検出用チャート100 を示すものである。従って、ここでは、主走査方向がカラーレジずれの検出方向となっている。
【0076】
図1(a)は微小なカラーレジずれを検出するための基準色パターン103 と被検知色パターン104 を配置した微検知用パッチ101 を示すものであり、図1 (b)はブラック色を基準色、マゼンタ色を被検知色とした場合の2色の粗検知用パッチ102 と微検知用パッチ101 が重なった場合の様子を示したものである。なお、ここでは一例として被検知色をマゼンタ色としたが、図11に示すよう に、イエロー色あるいはシアン色にも同様に適用できることは勿論である。
【0077】
上記微検知用パッチ101 は、図1に示すように、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って細長い矩形状に形成された複数(図示例では、7本)の基準色パターン105 を有している。これら複数の基準色パターン105 は、例えば、図1中、左側から順に、1ドット、1ドット、2ドット、2ドット、3ドット、3ドットというように、図示例では、3ドットまで段階的にギャップが異なる直線状の隙間106 を隔てて、カラーレジずれの検出方向(主走査方向)に沿って、互いに平行に配置されている。なお、上記基準色パターン105 の隙間106 が例えば1ドットである場合には、当該隙間106 に形成される被検知色パターン107 が視認し難いが、上述したように、1ドットから3ドットまで段階的にギャップが異なる直線状の隙間106 を用いることによって、後述するよう に、被検知色パターン107 の視認性を向上させることができる。
【0078】
一方、上記微検知用パッチ101 の被検知色パターン107 は、基準色パターン105 の各隙間106 と等しい幅、つまり1ドット、1ドット、2ドット、2ドット、3ドット、3ドットの幅を有し、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って、所定の長さ(図示例では、4mm)に直線状に形成されたパターン107 を、カラーレジずれの検出方向(主走査方向)に沿って1ドットと等しい幅だけ、且つカラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って互いに隣接するように、順次ずらした状態で複数配置されている。また、上記被検知色パターン107 は、カラーレジずれがない場合に、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿った中央部のパターン1070が、基準色パターン105 の各隙間106 の位置と一致するように、当該中央部の被検知色パターン1070の上下方向に、カラーレジずれの検出方向(主走査方向)に沿って1ドットと等しい幅だけ順次ずらした状態で、連続して(隙間を空けずに)複数配置されている。なお、上記被検知色パターン107 は、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って隙間を空けて配置しても良い。
【0079】
更に説明すると、図1(a)に示すように、上記被検知色パターン107 のう ち、最も左側に位置するパターン107 は、対応する基準色パターン105 の隙間106 と等しい1ドットの幅を有しており、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って所定の長さを有する細長い矩形状に形成されている。そして、上記被検知色パターン107 は、細長い矩形状に形成されたものが、最上端部からカラーレジずれの検出方向(主走査方向)に沿って1ドットずつ、しかもカラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って所定の長さ(図示例では、4mm)だけずらした状態で複数配置されている。上記被検知色パターン107 の数は、特に限定されるものではないが、図示の実施例では、カラーレジずれがゼロの場合に対応した中央部のパターン10710 を中心にして、上下方向に10個プラスα(α=5)だけ配置されている。
【0080】
さらに、上記被検知色パターン107 は、中央部の2つ及び右側の2つがその幅を異ならせて、1ドットと等しい距離だけカラーレジずれの検出方向(主走査方向)にずらした状態で形成されている。その結果、カラーレジずれがない場合には、図1(a)(b)に示すように、中央部の被検知色パターン1070が基準色パターン105 の隙間106 と一致するとともに、当該中央部の被検知色パターン107 の上下方向に位置する被検知色パターン107 が、1ドットずつカラーレジずれの検出方向(主走査方向)の左側あるいは右側に順次ずれるように配置される。
【0081】
なお、図1(a)は、便宜上、基準色パターン105 と被検知色パターン107 の形状及び配置がわかり易いように図示したものであり、実際には、基準色パターン105 をブラック色とした場合、当該基準色パターン105 の隙間106 以外に位置する被検知色パターン107 は、視認することができないため、図1(b)に示す如く、基準色パターン105 の隙間106 に位置する被検知色パターン107 のみが見えるように記録用紙P等の記録媒体P上に形成される。
【0082】
図13は上記微検知用パッチ101 の拡大図を示すものである。この図13で は、図1と同様に基準色パッチと被検知色パッチの構成配置図と、基準色パッチと被検知色パッチが重なった時の様子( 見え方) の2種類を示している。
【0083】
この微検知用パッチ101 は、図13及び図14に示すようなサイズ及び位置で構成されている。基準色パッチ105 は、縦長の矩形状パターン105 を、6箇所の隙間106 を開けて主走査方向に沿って配置したものである。上記6箇所の隙間106 のうち、左側の2つの隙間1061、1062は、1 ドット(画像形成ピッチが600dpiの場合には、25.4mm/600=42.3μmに相当) 、中央の2つの隙間1063、1064は2ドット、右の2つの隙間1065、1066は3ドットというように段階的に変化するように設定されている。上記被検知色パッチ107 は、基準色パッチ105 の隙間106 の個数である6個に対応した6つのパターン群1071〜1076で構成され、左側の2つのパターン群1071、1072は、幅が1ドットで1ドットずつ主走査方向にずらして、副走査方向に隣接するように配置されている。同様 に、中央の2つのパターン群1073、1074は、幅が2ドットで1ドットずつ主走査方向にずらして、右側の2つのパターン群1075、1076は、幅が3ドットで1ドットずつ主走査方向にずらして配置されている。また、被検知色パターン107 の副走査方向の長さLは、ここでは4mmに設定している。これは主走査方向の検知にはそれほど重要なものではなく、被検知色パターン107 が認識できる幅であれば問題ない。なお、この実施の形態では、実験の結果、少なくとも4mm程度あることが好ましいことが判っているため、この値に設定している。また、被検知色パターン107 があまり長いと、微検知用パッチ101 全体の大きさが不必要に大きくなるため、当該被検知色パターン107 の長さは、視認性を考慮した必要最低限の値に設定するのが望ましい。
【0084】
図15は、上記の如く構成される微検知用パッチ101 を用いて、基準色パッチ103 に対して被検知色パッチ104 が主走査方向にずれた場合のカラーレジずれ検出用チャートの様子を示したものである。図15(a)はカラーレジずれ量がゼロの場合を、同図(b)はカラーレジずれ量が−3 ドットの場合を、同図(c)はカラーレジずれ量が+2ドットの場合を、同図(d)はカラーレジずれ量が−1.5ドットの場合の様子をそれぞれ示すものである。
【0085】
この実施の形態では、図15に示すように、微検知用チャート101 に付ける目盛りは、検出されたカラーレジずれ量とし、0.1ドット(4.2μm)単位の値としている。すなわち、図15(b)では基準色パターン105 の隙間から認識できる被検知色パターン107 は、『−30』の目盛りの位置となっている。この場合、目盛り『−30』は−3ドットのカラーレジずれ量を示している。同様 に、図15(c)では選択する目盛り『20』はカラーレジずれ量+2ドットを意味している。なお、上記カラーレジずれ量の目盛りの代わりに、カラーレジずれ量の補正値を付記するように構成しても良い。
【0086】
上述したように、基準色パターン105 の6箇所の隙間106は、その幅を2つずつ段階的に異ならせており、また、基準色パターン105 の隙間106 に対応するように、被検知色パターン107 の幅も変化させている。よって、基準色パターン105 の隙間106 のギャップ幅あるいは被検知色パターン107 の幅に対応して、基準色パターン105 の隙間106 から認識できる被検知色パターン107 は、副走査方向の領域が変化する。すなわち、基準色パターン105 の隙間106 が1ドットの場合には、被検知色パターン107 の認識領域が被検知色パターン107 の矩形ブロック1つ分、同様に基準色パターン105 の隙間106 が2ドットの場合には、被検知色パターン107 の認識領域が被検知色パターン107 の矩形ブロック3ブロック分、隙間106 が3ドットの場合には、被検知色パターン107 の5ブロック分が認識されることになる。これにより、記録用紙P上に出力されたカラーレジずれ検出用チャート100 を、オペレーターが被検知色パッチ104 を図15中に示すような台形状(目盛り位置の方向を短辺とする)形状で認識することができる。これは、基準色パッチの隙間幅と被検知色パッチの幅を同じに設定したとき( 隙間が一 つ、あるいは複数のとき) よりも、検知精度が向上することを意味する。
【0087】
このように、上記実施の形態では、図15に示すように、基準色パターン105 の隙間106 の間隔が、主走査方向に沿って段階的に広くなるとともに、当該基準色パターン105 の隙間106 の間隔に対応させて被検知色パターン107 の幅も、主走査方向に沿って段階的に広くなるように設定されている。そのため、上記基準色パターン105 と被検知色パターン107 は、当該被検知色パターン107 の見え方が、主走査方向に沿って、左端が最も幅及び長さが小さく、右端へ行くに従って段階的に幅及び長さが大きくなるように表示され、略矢印形状に左端の数値を指し示すように構成されている。その結果、カラーレジずれ量の視認性がいっそう高くなるようになっている。
【0088】
また、上記被検知色パッチ104 の主走査方向に沿ったずれ量は、ドット単位で変化する訳ではなく、熱膨張や収縮、あるいは外力の影響等によって、連続的又は不連続的に変化する。
【0089】
いま、カラーレジが−60μm程度(−1.5ドットに相当)だけずれた場合の様子を、図15(d)に示す。このとき、カラーレジずれ量を読取る目盛りの値は、『−10』と『−20』でほぼ同等に被検知色パターン107 が認識されるレベルであり、『−10』(−1ドット=−42.3μm)、あるいは『−2 0』(−20ドット=−84.7μm)のいずれを選択したとしても、読取り誤差は20μm程度生じてしまう。この誤差をできるだけ少なくするために、このような場合は、読取り値を『−10』と『−20』の中間の『−15』とする。このように、カラーレジずれ検出用チャート100 上に記載された目盛りの上下でほぼ同等に被検知色パッチが認識された場合には、その中間の値を採用することにより、読取り誤差を半分に減少させることができる。
【0090】
ここでは、カラーレジずれ検出用チャート100 に記載する目盛りを、0.1ドット単位(『−10』と『−20』に相当) とし、目盛りステップの半分の値 (『−15』に相当)を選択可能とした理由は、このずれ量は、カラー画像形成装置のユーザーインターフェイス77に入カする値であり、整数値であることが処理を簡素化する上で有効であるためである。もちろん、カラーレジずれ検出用チャート100 に記載された目盛りを1ドット単位(1ドット=『1』)として、目盛りステップの中間の値を『1.5』として読み取るように設定して、カラー画像形成装置のユーザーインターフェイス77に入カするように構成しても良い。また、0.5ドットよりも細かく、可能であればルーぺなどを用いて0.2ドット単位、あるいは0.1ドット単位等でずれ量を読み取るようにしても良い。
【0091】
以上、微検知用パッチ101 の実施例を説明したが、その前提として、副走査方向のカラーレジずれ量がある程度合っていなければならない。少なくとも副走査方向の目盛り1ステップの半分以内(本実施例では、目盛り1ステップの幅を4mm程度としたため、2mm以内)でなければならない。カラーレジの副走査方向のずれ量が大きい場合でも使用可能とする場合には、目盛り1ステップの副走査方向の幅をより大きく設定すれば問題ない。例えば、目盛り1ステップの副走査幅を10mm程度に設定すれば、基準色パッチ103 対して被検知色パッチ104 が3〜4mm程度副走査にずれていても、主走査方向の検出は支障なく可能である。
【0092】
また、別の例では、カラー画像形成装置本体01に副走査方向のずれを検出できるセンサを搭載し、副走査方向は、装置本体のカラーレジずれ補正機構により自動的に補正を行い、副走査方向のカラーレジずれが少ない状態で、上述したように、カラーレジずれ検出用チャートを用いて主走査方向のカラーレジずれ量の検知を行うことが望ましい。この場合、装置本体01内のレジ検出センサは、副走査方向のカラーレジずれの検出のみで済むため、主走査方向及び副走査方向の両方向を検知するセンサに比べて、検出機能を削減することができ、コストダウン及び小型化できるメリットがある。
【0093】
また、図1(a)(b)で示す微検知用パッチ101 は、±10ドット(目盛りは『−100』〜『+100』までを記載)の主走査方向のカラーレジずれ量を検出するように設計されている。しかし、微検知用パッチ101 の副走査方向の領域は、『−100』あるいは『+100』を超えるところまでパッチ領域を持っている。これは、前述したように、被検知色パッチ101 が台形上に認識できることを利用していることにより、検知可能範囲の上下限値『−100』/『+100』のときでも、台形の長辺側の被検知色が認識できることを目的としたものである。
【0094】
被検知色パッチ104 は、基準色パッチ103 の隙間106 に対応して配置される が、少なくとも検知可能レンジ内(上記例では±10ドット以内)では、被検知色パッチ104 が隣の基準色の隙間106 から出ないように主走査方向の位置が調整されている必要がある。すなわち、中央2つの被検知色は、幅2ドット/11 ドットずらして、『0』の位置からマイナス側に15ブロック分を連ねている。よって、基準色の隙間106 と隙間106 の間隔は、15ドット以上に設定すれば問題ない。
【0095】
また、微検出パッチ101 のサイズが大きくなると、認識できる被検知色パッチと目盛り位置との距離が長くなり検知精度が悪化する懸念がある。これは、図16〜図18に示すように、基準色パッチ103 の両側に目盛りを付与したり、目盛りステップ毎に基準色パッチ103 あるいは被検知色パッチ104 に隙間110 を設けたり、また被検出色の幅が小さいパターン107 となる毎に副走査方向の長さを小さくしていけば、認識性の悪化はある程度抑えることが可能となる(図16の間隔Aや間隔Bを被検出色パターン107 の幅に応じて変化させる)。
【0096】
前述した微検知パッチ101 は、微小な検知分解能(上記例では0.5ドット)をもつが、検知のレンジは大きくできない( 上記例では±10ドット) 。検知分解能は粗いが検知レンジを大きく取ることができる粗検知パッチ102 について説明する。
【0097】
また、図19(a)(b)は粗いカラーレジずれを検出するための基準色パターン103 と被検知色パターン104 を配置した粗検知用パッチ102 を示すものである。図19(a)は粗検知パッチ102 の基準色と被検知色の構成を、図19 (b)は基準色をブラック色、被検知色をマゼンタ色( イエロー/ シアンでも良い) としたときの粗検知パッチ102 の見える様子をそれぞれ示すものである。
【0098】
上記図19(a)(b)に示す粗検知用パッチ102 も基本的な構成は、図1 (a)(b)に示す微検知用パッチ101 と同様に構成されているが、粗検知用パッチ102 の場合には、検知するカラーレジずれ量が大きいため、微検知用パッチ101 のように複数のパッチを形成する必要は必ずしもなく、1組の基準色パターン105'と被検知色パターン107'をすれば良い。
【0099】
つまり、上記粗検知用パッチ102 は、図19(a)に示すように、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って矩形状に形成された2つの基準色パターン105 ’を有しており、これらの基準色パターン105 ’の間に は、所定のギャップを有する直線状の隙間106 ’が、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って1つのみ形成されている。
【0100】
また、上記粗検知用パッチ102 の被検知色パターン107 ’は、所定の幅を有 し、カラーレジずれの検出方向と直交する方向(副走査方向)に沿って、所定の長さに直線状に形成されたパターンを、カラーレジずれの検出方向(主走査方 向)に沿って所定の量だけ、順次ずらした状態で複数配置されている。
【0101】
上記被検知色パターン107 ’は、カラーレジずれがない場合に、基準色パターン105 ’の隙間106 ’の中央部に位置するパターンの幅が、最も広く設定されており、この中央部に位置するパターン1070’の上下には、当該パターン1070’と主走査方向に沿って位置が一部重なるように、幅の相対的に狭い第1のパターン1071’と、当該第1のパターン1071’の上下に角部が接するように配置される幅の相対的に広い第2のパターン1072’と、当該第2のパターン1072’の上下に角部が接するように配置される幅の相対的に広い第3のパターン1073’とが配置されている。
【0102】
このように、上記被検知色パターン107 ’の幅が基準色パターン105 ’の隙間106 ’のギャップと等しくないのは、図19(b)に示すように、中央部に位置するパターン1070’が、基準色パターン105 ’の隙間106 ’から見えているときには、カラーレジずれの粗調整を行うことなく、直ちに、カラーレジずれの微調整を行なえば良いことを示すことを可能とするためである。
【0103】
つまり、中央部に位置する被検知色パターン1070’が、基準色パターン105 ’の隙間106 ’から見えているときには、図19(b)に示すように、基準色パターン105 ’に対する被検知色パターン107 ’のずれ量が、中央部の被検知色パターン107 ’の幅をW、基準色パターン105 ’の隙間106 ’のギャップをGとしたとき、(W/2)+(G/2)以内であることがわかる。そのため、上記(W/2)+(G/2)の値を、カラーレジずれの粗調整を行うことなく、直ちにカラーレジずれの微調整を行なえば良いカラーレジずれ量に設定しておくことによって、中央部に位置するパターン107 ’が、基準色パターン105 ’の隙間106 ’から見えているときには、直ちに、カラーレジずれの微調整を行なえば良いことがオペレーターに判るように設定されている。
【0104】
更に説明すると、この粗検知パッチ102 の目的は、(1) 微検知パッチ101 が使用可能かどうか( ずれ量が微検知レンジ±10ドット内かどうか) 、(2) 微検知パッチ101 が使用できないとき( ずれ量が微検知レンジ±10ドットを超える場合) のカラーレジ粗補正の元となる粗検知値と把握する( 粗補正を実施し、少なくとも微検知レンジまでレジをあわせる) ためのである。
【0105】
図20はカラーレジの主走査ずれ量がゼロの状態の粗検知パッチ102 を示す拡大図である。基準色パターン105 ’は、6ドットの隙間106 ’を空けた矩形状のブロックの組で、被検知色パターン107 ’は、サイズが異なる矩形ブロックを主走査方向にずらして副走査方向に隣接させて配置した構成である。ずれ量ゼロ目盛り『0』のパターン1070の幅を20ドット、ずれ目盛り『+100』/『−100』のパターン1071の幅を8 ドット、それ以外のパターン1072、1073の幅を10ドットとしている。目盛り『100』と『0』、および『0』と『−100』のパターン107 は主走査方向に3 ドット相当オーバーラップさせ、それら以外は重なり無く副走査方向にずらして配置させている。各パターン107 の副走査方向の幅は、微検知パッチ101 と同様に4mm 程度とすればよい。
【0106】
図21はずれ量『−100』(=−10ドット)、図22はずれ量『+20 0』(=+200ドット)の様子をそれぞれ示すものである。
【0107】
このように粗検知パッチ102 によってカラーずれ量を認識できれば、読取り目盛り値『−100』/『+200』をカラーレジずれ量として、画像形成装置のユーザーインターフェイスに入カし、装置本体のレジずれの補正機能を用いて粗補正を実施すればよい。
【0108】
次の図23〜図25は、他のカラーレジずれ量が発生した様子をそれぞれ示すものである。図23は『−50』(=−5ドット) 、図24は『+150』(=+15ドット)、図25は『+80』(=+8ドット)のカラーレジずれ発生時の様子をそれぞれ示すものである。
【0109】
図23のケースでは、粗検知パッチ102 の読取りずれ量は『0』と認識され る。この場合は粗補正の必要はない、すなわち微検知レンジ(読取り『±10 0』=±10ドット内)であり、微検知パッチ101 にてずれ量を読み取ることができる。
【0110】
また、図24のケースでは、粗検知パッチ102 の被検知色の認識は『+20 0』と『+100』と同程度であり、この2つの値の選択に迷うことがある。結論から言うと、この場合は『+200』と『+100』のどちらを選択しても問題ない。この場合のずれ量は+15ドット程度(読取りずれ量『+150』) であるので、『+200』を選択し粗補正を実行した後のずれ量は、−5ドットとなり、微検知パッチ101 の読取りは『−50』となる。また『+100』を選択して粗補正を実行した後のずれ量は、+5ドットとなり、微検知パッチ101 の読み取りは『+50』となる。すなわち『+200』と『+100』のどちらを選択しても、粗補正後は、微検知が可能となるカラーレジずれ量内に補正することができる。
【0111】
同様に『+100』と『0』の選択に迷うような図25のケースでも、『+100』を選択しても『0』を選択してもよい。このケースでのずれ量は、+8ドットであり、『+100』を選択し粗補正を実行した後のずれ量は−2ドット、微検知パッチ101 での読取りは『−20』となる。『0』を選択した場合は、粗補正の必要はなく、微検知パッチ101 での読み取りが可能であり、その際の微検知パッチ101 の読取りは、『+80』となる。
【0112】
さらに、前述した図21の『0』と『−100』の場合も『0』を選択して、粗補正を行わなくとも、微検知パッチ101 の読み取りは『−100』となり、微検知が可能である。
【0113】
次に、前述した主走査検知パッチを用いた主走査補正処理について、図26に示すフローチャートを用いて説明する。
【0114】
カラー画像形成装置による出力画像のカラーレジずれ量が許容値レベルを超えた場合( ユーザーが許容できるレベルは使用目的にもよるが、一般的なオフィスでのプリント出力では150μm程度) 、あるいは装置本体01を移動させた場 合、または装置01内の画像形成モジュール(ROS/感光体ドラム/中間転写体等)を交換した場合など、カラーレジずれが大きく変動した場合や、カラーレジずれが大きく変動する虞れがある場合に、カラーレジずれ量の調整作業を実行する。カラーレジずれの調整に関して、特に主走査方向の補正処理フローについて説明する。
【0115】
まず、図26に示すように、ステップS101において、図1及び図11に示すカラーレジずれ検出用チャート100 を出力する。次に、オペレーターは、図1及び図11に示すように、ステップS102において、記録用紙P上に出力されたカラーレジずれ検出用チャート100 の粗検知用パッチ102 を目視によって確認し、粗検知用パッチ102 の読取り値が『0』であることを、各色(イエロー/マゼンタ/シアン)、各位置(左/中央/右)について確認する。ここで、9個の粗検知用パッチ102 の読取りが一つでも『0』ではない場合には、粗検出が必要であり、ステップS103に進む。
【0116】
このステップS103では、各色・各位置における粗検知用パッチ102 の読取り値を、装置本体01のユーザーインターフェイス77(装置に付属しているユーザーインターフェイスパネルあるいはクライアントPCのユーザーインターフェイス画面、あるいはそれに代わるような入力ユーザーインターフェイスであればよい) に入力し、装置本体01(あるいはコントローラのカラーレジ補正機能により補正処理を実行させる。カラーレジずれの補正処理を実行した後、再度、カラーレジずれ検出用チャート100 を出カし(ステップS101)、ステップS102の粗補正動作を実行するか否かの有無の判断を行う。テストチャートにて9個 (3色×3箇所)の粗検知用パッチ102 の読み取り値がすべて『0』であれば、微検知レンジ内のカラーレジずれ量であるので、直ちに、微検知用パッチ101 の値を読取り、ステップS103と同様に、ユーザーインターフェイスによって読取り値(ずれ量)を入力し、装置本体01のカラーレジずれ補正機能により、補正処理を実行させる(ステップS104)。
【0117】
以上のように、これらの処理を行うことにより、カラーレジずれ検出用チャート100 の出力及びカラーレジずれ量の読み取り、並びにカラーレジずれ量の入力操作によって、カラー画像形成装置のカラーレジずれ量の補正を、装置のコストアップや大型化を招くことなく、記録用紙Pの両端部や中央部などのように、記録用紙Pの特定位置におけるカラーレジずれ量や補正量を把握することができるとともに、カラーレジずれ量や補正量を目視によって高い精度で検出することが可能となっている。
【0118】
上記の如くカラーレジずれ検出用チャート100 を用いてカラーレジずれ量を読み取り、基準となるブラック色に対するイエロー色、マゼンタ色及びシアン色の各画像形成部1,2,3,4 で形成される各色のトナー像のレジずれ量が検出される。
【0119】
すると、この実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラープリンタでは、前述したように、オペーレーターが、ユーザーインターフェイス77を介して、カラーレジずれ量をカラーレジずれ補正手段としてのコントローラ71に入力することにより、カラーレジずれ量に応じて、各画像形成部1,2,3,4 で形成される画像の位置を補正する動作が行われる。
【0120】
まず、主走査方向の粗マージンを補正するには、図27(a)に示すように、各画像形成部1,2,3,4 で画像露光を行なうROS03によって、感光体ドラム11,12,13,14 上に画像を露光する際、主走査方向における画像の記録開始位置は、SOS(Start Of Scan)信号の立ち上がりで決められるが、当該SOS信号の立ち上がりから、実際に画像露光するイネーブル信号であるLS(Line Sync)信号をアクティブにするまでのクロック信号であるVCLKのカウント数を変更することにより、1VCLK(画素)単位で主走査方向における画像の記録開始位置を補正することができる。
【0121】
また、副走査方向の粗マージンを補正するには、図27(a)に示すように、各画像形成部1,2,3,4 で画像露光を行なうROS03によって、感光体ドラム11,12,13,14 上に画像を露光する際、副走査方向における画像の記録開始位置は、TR0信号の立ち上がりで決められるが、当該TR0信号の立ち上がりから、実際に画像露光するイネーブル信号であるPS(Page Sync)信号をアクティブにするまでのクロック信号であるSOSのカウント数を変更することによ り、1LS(画素)単位で副走査方向における画像の記録開始位置を補正することができる。
【0122】
次に、スキューを補正する必要がある場合には、図27(b)に示すように、ROS03内の最終段ミラーをチルトすることにより、感光体ドラム11,12,13,14 上に露光されるレーザービームの傾きを補正するようになっている。
【0123】
さらに、主走査方向に沿った倍率を補正するには、図27(c)に示すよう に、ROS03で主走査方向に沿って画像を露光する際に、画素の間隔を決定するVCLK(ビデオクロック:主走査画素出力クロック)信号の周波数を変更することにより、画素幅を変更することができ、主走査方向に沿った倍率を補正することができる
【0124】
また、主走査方向に沿った微小なマージンを補正するには、図28(a)に示すように、VCLK信号の位相を変更することにより、1画素以下の主走査方向に沿った微小なマージンを補正することができる。
【0125】
一方、副走査方向に沿った微小なマージンを補正するには、図28(b)に示すように、ポリゴンミラーの回転を制御することにより、SOS信号の位相を変更し、1画素以下の副走査方向に沿った微小なマージンを補正することができ る。
【0126】
さらに、図29(a)に示すように、ROS03と感光体ドラム11,12,13,14 間の距離が、装置のIN側とOUT側とで異なる場合には、図29(b)に示すように、VCLK信号の周波数を倍率バランスのずれに応じて、バランス補正値を変更するとともに、傾きを変更することにより、倍率バランスを補正することが可能である。
【0127】
また、任意な倍率(倍率/バランス/部分的倍率差)ずれを補正するには、図30に示すように、VCLK(ビデオクロック:主走査画素出力クロック)信号と、同周期でパルスの位相をずらした複数のパルスVCLK1〜8を設定しておき、倍率・バランス(左右倍率差)・あるいは部分的な倍率のずれに応じて、これら複数のパルスVCLK1〜8を適宜選択して、VCLKを作成することにより、任意な倍率(倍率/バランス/部分的倍率差)ずれを補正することが可能となる。
【0128】
さらに、主走査方向と副走査方向の画像データの画素位置を変更するには、図31に示すように、ずれ量から算出した画素位置の補正量が、例えば、主走査方向−5画素、副走査方向+4画素に相当するとき、(N,M)データアドレスのデータを、(N−5,M+4)データアドレスに変更することにより、画像書き込みクロックを変更することなく、画像データの処理だけで、主走査方向及び副走査方向のずれを補正することが可能となる。
【0129】
なお、画像露光装置として、ROSではなく、LED素子を直線状に配列したLEDバーを使用した場合には、発光タイミングを変更することにより、副走査方向の画素出力タイミングを制御することが可能である。
【0130】
実施の形態2
図32はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、粗検知パッチと微検知パッチとを用いて、通常、微検知パッチのみでは検知できない大きなカラーレジずれがあった場合でも、粗いカラーレジずれと、微小なカラーレジずれのずれ量を同時に検知することが可能となっている。
【0131】
すなわち、この実施の形態2に係る主走査方向のカラーレジずれ検知用チャート100 は、図32に示すように、上部に微検知用パッチ101 Aと粗検知用パッチ102 Aを組み合わせた検知用チャート100 Aと、下部に微検知用パッチBと粗検知用パッチBを組み合わせた検知用チャート100 Bとを配置して構成されてい る。
【0132】
上記図32は基準色と被検知色のパッチの重なりを表したもので、基準色をブラック色、被検知色をイエロー/マゼンタ/シアンのいずれかの色とすると、記録用紙P上では、図33に示すようになる。なお、ここでは、微検知用パッチ101 の基準色パターン105 の隙間106 の大きさがすべて1画素、被検知色パターン107 の幅もすべて1画素に設定されている。また、粗検知用パッチ102 の基準色パターン105 ’の隙間106 ’の大きさが4画素、被検知色パターン107 ’の幅がすべて10画素に設定されている。
【0133】
但し、この実施の形態では、検知用チャート100 Aと検知用チャート100 Bとで、基準色パターン105 の隙間106 の位置は同じに設定されているが、被検知色パターン107 の位置が、上下で互いに所定量だけずれるように設定されている。
【0134】
また、上記図32及び図33では、カラーレジずれがゼロの場合をそれぞれ示している。
【0135】
微検知用パッチ101 A、101 Bは、図32及び図33に示すように、画像形成の最小分解能である幅1画素の被検知色パターン107 を、主走査方向に1画素ずつずらしながら、副走査方向に隣接して配置した複数のパターン構成となっている。また、基準色パターン105 は、被検知色の幅1画素に相当する1画素分の隙間を複数有し、主走査方向のずれ量がゼロのときに、目盛りゼロの被検知色パターン107 が認識できるように組み合わされている。
【0136】
次に、粗検知用パッチA、Bは、図32及び図33に示すように、被検知色パターン107 が幅10画素の矩形ブロックを、微検知部の検知レンジ10画素相当の幅を持たせ、主走査方向に10画素分ずらしながら、副走査方向に並べて配置されている。また、基準色パターン105 ’は、4画素分の隙間106 ’を有した2つの矩形ブロックで構成されている。
【0137】
そこで、上記検知用チャート100 を用いたカラーレジずれ検知の具体例を、図34及び図35を用いて説明する。
【0138】
図34は基準色パターンに対する被検知色パターンのずれ量が、『+16』画素のときの様子を示し、図35は基準色パターンに対する被検知色パターンのずれ量が、『−27』画素のときの様子を示している。
【0139】
検知の手順を説明する前に、特定のずれ量の把握方法を説明する。
【0140】
図34では、まず微検知用パッチBに着目し、そのときの微検知用パッチBの目盛りは、『−40』を示している。このとき、粗検知用パッチBの目盛りは、『+200』を示している。主走査方向のずれ量は、微検知量+粗検知量とし、この例では、『−40』+『+200』=『+160』となる。この例で使用している目盛りは、1画素=10としているので、『+160』は+16画素のずれ量ということになる。
【0141】
同様に、図35における主走査方向のずれ量は、微検知用パッチAでの読み取り値『+30』と、粗検知用パッチAでの読み取り値『−300』との和とな り、『−270』すなわち27画素となる。
【0142】
以上を踏まえ、手順を説明すると以下のようになる。
【0143】
ステップ1
微検知用パッチAと微検知用パッチBを確認し、被検知色が認識できるほう (微検知用パッチAかB)を選択し、その読み取り値を『微検知値』とする。なお、図34の例では、微検知用パッチBで被検知色が認識されるので、微検知用パッチBの読み取り値を選択する。
【0144】
ステップ2
上記ステップ1で選択された方(微検知用パッチAかB)の粗検知用パッチを確認し、その読み取り値を『粗検知値』とする。
【0145】
ステップ3
上記ステップ1で読み取った『微検知値』と、ステップ2で読み取った『粗検知値』を足し合わせ、『検知ずれ量』とする。
【0146】
なお、上記ステップ1にて、微検知用パッチAと微検知用パッチBの被検知色が同様に認識される場合がある。このときは、微検知用パッチAとBのいずれを選択しても良く、いずれを選択したとしても、同様の『検知ずれ量』となる。
【0147】
更に具体的な例を図36に示す。この例でのずれ量は、−15画素(『−150』)である。ステップ1の微検知確認では、微検知A『+50』、微検知B 『−50』]が認識でき、ステップ2の粗検知確認では、粗検知A『−20 0』、粗検知B『−100』が認識できる。よって、ステップ3では、検知A=『+50』+『−200』=『−150』、また検知B=『−50』+『−100』=『−150』となり、いずれを選択したとしても、同様の『検知ずれ量』となるように工夫されている。
【0148】
以上説明したように、この実施の形態に係るチャートでは、微検知範囲以上のずれ量を一回で検知することができるため、粗検知及び微検知を2回行なうことに比べて、カラーレジずれ量の検知作業に係る時間や手間を少なくすることができる。
【0149】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0150】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、部品点数の増加に伴うコストアップや装置の大型化を招くことなく、記録用紙の両端部や中央部などのように、記録用紙の特定位置におけるカラーレジずれ量や補正量を把握することができるとともに、カラーレジずれ量や補正量を目視によって高い精度で検出することが可能なカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置、並びにカラー画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートを示す構成図である。
【図2】 図2はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置を適用したカラー画像形成装置としてのタンデム型プリンターを示す構成図である。
【図3】 図3はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置を適用したカラー画像形成装置としてのタンデム型プリンターの画像形成部を示す構成図である。
【図4】 図4はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図5】 図5はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図6】 図6はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図7】 図7はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図8】 図8はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図9】 図9はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図10】 図10はカラーレジずれの発生状態を示す説明図である。
【図11】 図11はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートを示す構成図である。
【図12】 図12はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャート及びこれを用いたカラーレジずれ補正装置を適用したカラー画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【図13】 図13はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図14】 図14はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図15】 図15はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図16】 図16はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートの他の例を構成図である。
【図17】 図17はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートの他の例を構成図である。
【図18】 図18はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートの他の例を構成図である。
【図19】 図19はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートを示す構成図である。
【図20】 図20はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートを示す構成図である。
【図21】 図21はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図22】 図22はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図23】 図23はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図24】 図24はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図25】 図25はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図26】 図26はこの発明の実施の形態1に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出方法及びカラーレジずれの補正方法を示すフローチャートである。
【図27】 図27はカラーレジずれの補正方法を示す説明図である。
【図28】 図28はカラーレジずれの補正方法を示す説明図である。
【図29】 図29はカラーレジずれの補正方法を示す説明図である。
【図30】 図30はカラーレジずれの補正方法を示す説明図である。
【図31】 図31はカラーレジずれの補正方法を示す説明図である。
【図32】 図32はこの発明の実施の形態2に係るカラーレジずれ検出用チャートを示す構成図である。
【図33】 図33はこの発明の実施の形態2に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図34】 図34はこの発明の実施の形態2に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図35】 図35はこの発明の実施の形態2に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図36】 図36はこの発明の実施の形態2に係るカラーレジずれ検出用チャートのカラーレジずれの検出状態を示す説明図である。
【図37】 図37は従来のカラー画像形成装置を示す構成図である。
【図38】 図38は従来のカラー画像形成装置におけるカラーレジずれの検出状態を示す構成図である。
【図39】 図39は従来のカラーレジずれ検出用チャートを示す説明図である。
【図40】 図40は従来のカラーレジずれ検出用チャートを示す説明図である。
【図41】 図41は従来のカラーレジずれ検出用チャートを示す説明図である。
【符号の説明】
100:カラーレジずれ検出用チャート、101:微検知用パッチ、102:粗検知用パッチ、105:基準色パターン、106:隙間、107:被検知色パターン。

Claims (10)

  1. 記録媒体上に形成される異なった色のトナー像のカラーレジずれを補正する機能を有するカラー画像形成装置に使用されるカラーレジずれ検出用チャートにおいて、
    前記記録媒体上にカラーレジずれの検出方向である主走査方向と直交する方向に沿った直線状の隙間を、当該隙間の大きさを一定または異ならせて前記主走査方向に沿って複数配置した基準色パッチと、
    所定幅と所定高さを有するパッチを、前記基準色パッチの各隙間を中心にして、前記主走査方向及び前記主走査方向に直交する方向に所定量を共にずらして、各々パッチが隣接するように段階的に複数配置した被検知色パッチとを備えたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャート。
  2. 前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、
    前記主走査方向にずらした状態で配置される被検知色パッチのずれ量に応じて、前記基準色パッチの主走査方向と直交する方向に、前記被検知色パッチの主走査方向のずれ量を定量的に表示するための目盛りを設けたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャート。
  3. 前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、
    前記基準色パッチに配置される複数の隙間の大きさを、前記主走査方向に沿って段階的に大きく設定するとともに、前記被検知色パッチの主走査方向に沿ったずれ量を一定に設定して、前記基準色パッチの隙間から視認される被検知色パッチの幅及び長さが、前記主走査方向に沿って段階的に大きくなるように構成したことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャート
  4. 前記請求項1記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、
    前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗いカラーレジずれを検知する粗検知用パッチと、微小なカラーレジずれを検知する微検知用パッチとを備え
    前記粗検知用パッチの検知レンジは前記微検知用パッチの検知レンジより大きいことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャート。
  5. 前記請求項4記載のカラーレジずれ検出用チャートにおいて、
    前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果に基づいて、微検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果が有効か否かを判断可能としたことを特徴とするカラーレジずれ検出用チャート。
  6. 前記請求項1に記載されたカラーレジずれ検出用チャートを所定のタイミングで出力して、当該カラーレジずれ検出用チャートに基づいて基準色パッチに対する被検知色パッチのカラーレジずれ量を視認し、前記カラーレジずれ検出用チャートに基づいて視認されたカラーレジずれ量又は補正量を、カラーレジずれ補正手段に入力することによって、カラーレジずれを補正することを特徴とするカラーレジずれ補正装置。
  7. 前記請求項1に記載されたカラーレジずれ検出用チャートを所定のタイミングで出力して、当該カラーレジずれ検出用チャートに基づいて基準色パッチに対する被検知色パッチのカラーレジずれ量を視認し、前記カラーレジずれ検出用チャートに基づいて視認されたカラーレジずれ量又は補正量を、カラーレジずれ補正手段に入力することによって、カラーレジずれを補正することを特徴としたカラー画像形成装置。
  8. 前記請求項7記載のカラー画像形成装置において、
    前記カラーレジずれ検出用チャートは、粗いカラーレジずれを検知する粗検知用パッチと、微小なカラーレジずれを検知する微検知用パッチとを備え
    前記粗検知用パッチの検知レンジは前記微検知用パッチの検知レンジより大きいことを特徴とするカラー画像形成装置。
  9. 前記請求項8記載のカラー画像形成装置において、
    前記カラーレジずれ補正手段は、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果に基づいて、カラーレジずれの粗調整が必要であると判断したときは、粗検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果を入力し、前記カラーレジずれの粗調整を実行することを特徴とするカラー画像形成装置。
  10. 前記請求項9記載のカラー画像形成装置において、
    前記カラーレジずれ補正手段は、前記カラーレジずれの粗調整を実行した後、再度、前記カラーレジずれ検出用チャートを出力し、当該カラーレジずれ検出用チャートの微検知用パッチに基づくカラーレジずれの検知結果を入力することによって、前記カラーレジずれの微調整を実行することを特徴とするカラー画像形成装置。
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