以下に本発明の実施の様態を説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1に本発明の露光装置の一例を示す。露光装置は、レーザ光源101、ビーム光学系102、ミラー103、フォトマスク104、投影光学系105、基板ステージ106、基板107から構成される。ビーム光学系102は、レーザ光の強度分布の整形及び均一化を行う機能を有するレンズ108が設けられる。ビーム光学系102に設けられるレンズ108としては、アレイレンズ、コリメーションレンズ、フィールドレンズ等を複数用いて構成すればよい。また、投影光学系105は投影レンズ109が設けられる。投影光学系105に設けられる投影レンズ109としては、例えば凸型シリンドリカルレンズを用いていればよいが、凸型球面レンズを用いることもできる。なお、ミラー103は、露光装置の光学系の設置状況に応じて設ければよい。また、基板ステージ106は、基板107をx方向、y方向に走査することにより、レーザ光による基板107上の被照射面に対し、露光を行うことができる。また基板ステージ106の走査と同期してフォトマスク104を走査するためのフォトマスクステージ(図示せず)も有する。なお、基板上の被照射面に対しては、線状に加工されたレーザ光を走査することで基板上に被照射面に対し、露光を行うことでもよい。すなわち、相対的に基板上の膜の被照射面に対しレーザ光が走査される構成であればよく、基板ステージの制御とレーザ光の制御を一体に制御すればよい。
本発明において、レーザ光源101は、発振周波数が1MHz以上のパルス発振型の固体レーザの基本波、または第2高調波、または第3高調波以上の高調波を用いる。レーザの種類は、Nd3+等のイオンをドープした単結晶のYAG、YLF、YVO4、フォルステライト、YAlO3、GdVO4、Nd3+等のイオンをドープした多結晶のYAG、YLF、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4などを用いることができる。これらは、Qスイッチ動作やモード同期を行うことによって1MHz以上の発振周波数でパルス発振させることが可能である。前述したレーザの種類においては、263nm,266nm,347nm,351nm,355nmが主な使用波長である。
本発明においては、レーザ光源として、発振周波数が1MHz以上のパルス発振型の固体レーザを用いること、より好適には5MHz以上、より好適には50MHz以上、さらに好適には80MHz以上の固体レーザを用いる。以下、発振周波数が1MHz以上、より好適には5MHz以上、より好適には50MHz以上、さらに好適には80MHz以上の固体レーザのレーザ光を用いることによる利点について説明する。
パルス発振型の固体レーザでは、発振間の一周期内にレーザ光を発振している時間帯と発振していない時間帯がある。例えば、発振周波数が80MHzのレーザを例にとると、その一周期は12.5nsである。そしてレーザ光を発振している時間帯の長さは、通常パルス幅といい、代表的には5ps乃至20ps(FWHM)である。すなわちレーザ光のパルス幅は一周期内の凡そ1/1000の時間にすぎない。その結果として本発明の露光装置においては、レーザ光が照射されて発熱した物体であるレジスト膜を一周期毎に冷却する事ができる。本発明の露光装置は、高エネルギーのレーザ光を照射しても、レジストの熱膨張を抑制する事が出来るので、露光されたパターン寸法精度を向上する事ができる。また同様に、本発明の露光装置は、高エネルギーのレーザ光を照射しても、フォトマスクの遮光膜やホログラムマスクの熱膨張を抑制する事ができるので、これらのマスクの劣化を抑制する事ができる。なおレーザ光におけるパルス幅は、一周期の1/100以下が望ましく、より好適には1/200以下、更には1/500以下がより好適である。時間で表現するならば、1ns以下、より好適には100ps以下、更には50ps以下が好適である。
なお、露光工程に用いられるレーザ光源においては、アルゴンイオンレーザが現状用いられている。しかしながら露光装置に用いられるアルゴンイオンレーザは安定性が悪い。また露光装置に用いられるアルゴンイオンレーザは、光学投影系としての寿命が短く、メンテナンスを要する頻度が高いため、コストがかかってしまう。また、露光装置に用いられるアルゴンイオンレーザは、消費電力が大きく、そのための発熱量も大きいため、空調等による温度調整に対するコストも増大してしまう。また光学投影系としてのアルゴンイオンレーザは大型であり、省スペース化や基板サイズの大型化に伴う装置の大型化には不向きである。また露光工程に用いられる光源として高圧水銀ランプが用いられることもある。しかしながら、露光装置に用いられる高圧水銀ランプは安定性が悪く、交換頻度も高い。さらには露光装置に用いられる高圧水銀ランプは、水銀を用いているため、廃棄の際の環境への悪影響が懸念される。
また、半導体デバイス製造に於ける露光工程のレーザ光源としてエキシマレーザを用いたステッパー若しくはスキャナーと呼ばれる露光装置においては、その発振周波数は最大でも2kHzから4kHzである。そのためエキシマレーザを用いたスキャナー露光装置を、フラットパネルディスプレイ等を形成する大型ガラス基板に用いる場合、発振周波数が小さい為に、スループットと均一性を同時に満たす事は難しい。例えば、周波数が4kHzでスキャン速度が30cm/sec、レジスト等の感光剤面に於ける照射面の進行方向に対するビーム幅を0.5mmとして考える。この場合、一つの場所が照射される平均回数は6.7回であり、1パルス毎に移動する距離は75μmであり、ビームの重畳率は85%である。ところで、重畳した領域の境界(以後節と表現する)は、他の領域とは与えられたエネルギー(露光量ともいう)は違ってしまう。この露光量の違いがビームのエネルギー分布によって大きく左右される。節が75μmということは、75μm毎に露光量が異なる場所が現れることでもあり、現像後のレジスト等の寸法も75μm毎に異なる場所が現れることになる。すなわち被照射体における均一性に悪くなるといった問題が生じる。又、エキシマレーザではミスショットと呼ばれる1パルスのエネルギーが異常値を持つ事があり、そのようなミスショットが生じた場合、平均照射回数6.7回では、ビームの進行方向の露光量を均一にする事が難しくなる。
また、発振周波数が例えば4kHzのエキシマレーザを用いた場合においては、スキャン速度が1cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約200回であり、1パルス毎に移動する距離は2.5μmであり、ビームの重畳率は99.5%である。このように比較的低速にレーザ光の走査をおこなったとしても、発振周波数が4kHzのエキシマレーザを用いた場合には、TFT等の半導体装置の最小寸法が0.5μmだとすると、2.5μm毎に寸法が異なる節が現れ、レジストパターンの均一性に対して問題が生じてしまう。さらにエキシマレーザはパルス間の出力のばらつきが大きいため露光装置のレーザ光源としては不向きであった。
なお、本明細書におけるスキャン速度は、基板とレーザ光の相対的な速度であるが、加速時と減速時とで速度の加減がある。そのため、本発明におけるスキャン速度は基板とレーザ光の相対的な速度における最大値のことをいい、以下単にスキャン速度ということにする。
これに対し本発明に用いるパルス発振型の固体レーザを用いた際、発振周波数が1MHz以上、例えば1MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が5cm/sec以上、例えばスキャン速度が5cm/secであり、進行方向に対するビーム幅が1mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約2万回であり、1パルス毎に移動する距離は50nmであり、ビームの重畳率は99.995%である。発振周波数が1MHz以上の固体レーザを用いた場合には、50nm毎に寸法が異なる節が現れるが、薄膜トランジスタ等の半導体装置の最小寸法が0.5μm程度であるため、ばらつきを低減させた半導体装置の作製をおこなうことができる。また発振周波数が例えば1MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が5cm/sec以上、例えばスキャン速度が10cm/secであり、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約5000回であり、1パルス毎に移動する距離は0.1μmであり、ビームの重畳率は99.98%である。発振周波数が1MHzの固体レーザを用いた場合には0.1μm毎に寸法が異なる節が現れるが、薄膜トランジスタ等の半導体装置の最小寸法が0.5μm程度であるため、ばらつきを低減させた半導体装置の作製をおこなうことができる。
なお、発振周波数が1MHzの固体レーザで、スキャン速度が5cm/sec、進行方向に対するビーム幅が1mmのレーザ光を用い、レーザ光の平均照射回数が約2万回のときには、固体レーザのパワーが8Wであり、進行方向に垂直な方向のビーム幅が100mmであった場合の、照射面に与えられるレーザからのエネルギーは約160mJ/cm2であり、大型ガラス基板用のレジスト、例えばAZエレクトロニックマテリアルズ(株)製RG−300であれば十分なエネルギーである。このエネルギーが被照射面の材料によって大きすぎるのであれば、固体レーザのパワーを低下させて露光してもよい。更に、露光装置において、ガラス基板1枚あたりのタクトタイムを考慮し、例えば平面の大きさが600mm×720mmのガラスを考慮した場合では、露光に要する時間は約80secであり、良好なタクトタイムである。但し、この時間は基板搬送やアライメント等の時間を含んでいない為、実際には若干であるが、タクトタイムが増加する事になる。
なお、スキャン速度が10cm/sec以上、例えばスキャン速度が10cm/secの場合では、単純に露光に要する時間が半分になるため、タクトタイムを減少させることができる。固体レーザのパワーが同じでありスキャン速度以外の条件が前記条件と同じであるならば、照射面に与えられるレーザからのエネルギーは約80mJ/cm2であり、レジストの感光に十分な値である。
本発明に用いるパルス発振型の固体レーザを用いた際には、パルス間の強度のばらつきがエキシマレーザに比べて小さくすることができる。さらには露光装置に被照射面において、一つの場所について照射される繰り返しの照射回数が多いので、一つの場所あたりに照射されるレーザ光の強度が平均化することができる。そのため、レーザ光により被照射面に与えられるエネルギーのばらつきを小さくすることができる。
一方、発振周波数が5MHz以上、例えば5MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が30cm/sec以上、例えばスキャン速度が30cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約8300回であり、1パルス毎に移動する距離は0.06μmであり、ビームの重畳率は99.988%である。発振周波数が5MHzの固体レーザを用いた場合には0.06μm毎に寸法が異なる節が現れるが、薄膜トランジスタ等の半導体装置の最小寸法が0.5μmであるため、線幅やトランジスタ特性のばらつきを低減させた半導体装置の作製をおこなうことができる。
一方、発振周波数は50MHz以上、例えば50MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が10cm/sec以上、例えばスキャン速度が10cm/sec、進行方向に対するビーム幅が1mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約50万回であり、1パルス毎に移動する距離は2nmであり、ビームの重畳率は99.9998%である。また、例えば50MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が20cm/sec以上、例えばスキャン速度が20cm/sec、進行方向に対するビーム幅が1mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約25万回であり、1パルス毎に移動する距離は4nmであり、ビームの重畳率は99.9996%である。また、例えば50MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が30cm/sec以上、例えばスキャン速度が30cm/sec、進行方向に対するビーム幅が1mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約17万回であり、1パルス毎に移動する距離は6nmであり、ビームの重畳率は99.9994%である。また、例えば50MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が30cm/sec以上、例えばスキャン速度が30cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約8万回であり、1パルス毎に移動する距離は6nmであり、ビームの重畳率は99.9988%である。発振周波数が50MHzの固体レーザを用いた場合には2nm〜6nm毎に寸法が異なる節が現れるが、薄膜トランジスタ等の半導体装置の最小寸法が0.5μmであるため、線幅やトランジスタ特性のばらつきを低減させた半導体装置の作製をおこなうことができる。
一方、発振周波数は80MHz以上、例えば80MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が30cm/sec以上、例えばスキャン速度が30cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約13万回であり、1パルス毎に移動する距離は3.8nmであり、ビームの重畳率は99.99925%である。また、例えば80MHzの固体レーザを用いた場合、スキャン速度が10cm/sec以上、例えばスキャン速度が10cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmでは、一つの場所が照射される平均回数は約40万回であり、1パルス毎に移動する距離は1.3nmであり、ビームの重畳率は99.99975%である。発振周波数が80MHzの固体レーザを用いた場合には1.3nm〜3.8nm毎に寸法が異なる節が現れるが、薄膜トランジスタ等の半導体装置の最小寸法が0.5μmであるため、線幅やトランジスタ特性のばらつきを低減させた半導体装置の作製をおこなうことができる。
なお、発振周波数が80MHzの固体レーザで、スキャン速度が30cm/sec以上、例えばスキャン速度が30cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmのレーザ光を用い、レーザ光の平均照射回数が約13万回のときには、固体レーザのパワーが20Wであり、進行方向に垂直な方向のビーム幅が100mmとすれば、照射面に与えられるレーザからのエネルギーは約65mJ/cm2である。また、発振周波数が80MHzの固体レーザで、スキャン速度が10cm/sec以上、例えばスキャン速度が10cm/sec、進行方向に対するビーム幅が0.5mmのレーザ光を用い、レーザ光の平均照射回数が40万回のときには、固体レーザのパワーが8Wであり、進行方向に垂直な方向のビーム幅が100mmとすれば、照射面に与えられるレーザからのエネルギーは約80mJ/cm2であり、大型ガラス基板用のレジスト、例えばAZエレクトロニックマテリアルズ(株)製RG−300であれば十分なエネルギーである。
なお、エキシマレーザは他のレーザに比べてコヒーレント長が短い。その為、ホログラムの作製及びその再生現象を利用した露光装置には適していない。一方、ホログラフィを用いた露光装置に於いては、コヒーレント長が長いレーザ光をビームスプリッターで2分割して参照光と物体光を造り出し、これらの光を干渉させて感光材料等にその干渉パターンを記録させる。コヒーレント長が長いと参照光と物体光の光路差が長くても干渉する事が出来る。しかし、コヒーレント長が短いと、光路差を短くしなければならず、現実的では無い。特に、全反射ホログラフィ露光装置用のホログラムマスク作製には、コヒーレント長が短いエキシマレーザは不適切である。そのため、ホログラフィを用いた露光装置においては、本発明の如くコヒーレント長の長い固体レーザを用いることでより精度の高い露光装置にすることができるといった利点も有する。
上述の理由により本発明において発振周波数が1MHz以上、より好適には5MHz以上、より好適には50MHz以上、さらに好適には80MHz以上の固体レーザを用いることが好適である。
また更に本発明においては、上記発振周波数の固体レーザを用いる構成に加えて、基板とレーザ光の相対的な速度であるスキャンスピードの最大値を5cm/sec以上、より好ましくはスキャンスピードの最大値を10cm/sec以上、より好ましくはスキャンスピードの最大値を20cm/sec以上、更に好ましくはスキャンスピードの最大値を30cm/sec以上とすることができる。そのため露光装置を用いた半導体装置の作製に係る線幅のばらつきを抑えるといった効果に加え、タクトタイムを大幅に短縮した露光装置とすることができる。
なお、図1におけるフォトマスク104には、遮光膜を微細に加工することで所望のパターンを形成した、ラインパターンが形成されており、遮光膜の有無によりレーザ光の透過、非透過が選択される。
またマスクがホログラムまたは計算機合成ホログラムの場合は、照射するレーザ光の透過率または屈折率の違いによって設けられた干渉縞がマスク上、またはマスク中、またはマスク上及びマスク中の両方に形成されている。
図1におけるレーザ光源101より射出したレーザ光は、線状に加工され、その長軸方向において、図2(a)の形状の強度分布を有する。このレーザ光をビーム光学系102に通すことにより、図2(b)の如く、レーザ光の強度分布の形状を四角形状、または台形状に整形させ、レーザ光の強度分布を均一に近づけることができる。なお、図2(b)に示すようにレーザ光の強度分布を整形した際には、四角形状、または台形状の強度分布の平らな箇所(図2(b)中のLで示した範囲)が被照射面に照射されるようスリット等でレーザ光を加工してもよい。
また、図1におけるレーザ光源101より射出したレーザ光は線状に加工され、その短軸方向において図2(c)の形状の強度分布を有する。このレーザ光をビーム光学系102に通すことにより、図2(c)の如く、レーザ光の強度分布の形状を四角形状、または台形状に整形させ、レーザ光の強度分布を均一に近づけることができる。なお、図2(c)に示すようにレーザ光の強度分布を整形した際には、理想的には四角形状であるが、厳密には台形状の強度分布である。そのため、短軸方向のレーザ光の強度分布について、台形形状の上部における平らな箇所(図2(c)中のDで示した範囲)が露光装置における重畳して照射される形状に一部にあたる。なお、短軸方向のレーザ光の強度分布において、台形状に整形させた際の端部の長さは、露光の程度のばらつきの原因となり、あとで後述する本発明の利点について説明するため端部D1、端部D2と呼称する。
図1において、レーザ光源101より射出されたレーザ光は、ビーム光学系102により、図2(a)、図2(b)、図2(c)に示すようにレーザ光の整形及び均一化がなされ、その後ミラー103を介してフォトマスク104に照射される。フォトマスク104に照射されるレーザ光は、フォトマスク全面を走査するよう照射が行われる。そして、フォトマスク104に照射されたレーザ光は、フォトマスク104上に形成された透光部及び遮光部により、レーザ光の透過及び非透過がなされる。フォトマスク104を透過したレーザ光は、投影光学系105により、等倍露光、縮小露光、または拡大露光が適宜選択され、基板ステージ106上の基板107への露光が行われる。
なお、レーザ光の露光前に基板107上の被照射面には、感光性フォトレジスト(単にレジストともいう)一面に設けられている。基板107上に形成されるレジストとしては、ポジ型のフォトレジスト、ネガ型のフォトレジスト等を適宜選択して用いることができる。感光性フォトレジストの形成手段としては塗布法等の公知の手段を用いればよい。本明細書においては、レーザ光の照射割合、すなわち露光強度に関する説明をおこなうため、露光された部分のレジスト膜が残るネガ型のフォトレジストについて説明するが、勿論ポジ型のフォトレジスト、ネガ型のフォトレジストのいずれを用いる場合であっても本発明を適用することができる。
なお基板107としては、単結晶シリコンウェハー、ガラス基板、石英基板、SOI基板、セラミックス基板、プラスチック基板等の表面に微細な加工を要するものがふさわしい。勿論これに限定されるものでは無く、露光による加工が必要な部材であればよい。
図3に示すように、基板上に形成されるレジスト301は基板107上の全面に設けられている。なお、配線等の素子の形成を行う以外の箇所についてはレジストを必ずしも予め設ける必要はない。そして、基板ステージ106上の基板107に設けられたレジスト301には、図1におけるフォトマスク104を介したレーザ光が照射される。図1におけるフォトマスク104を介したレーザ光は、図1におけるビーム光学系102により、線状に成形され、図3に示す形状のレーザ光302として基板107上のレジスト301に照射される。
ここでレーザ光における強度分布は、説明のため、図2(b)において示したものであるとして説明する。なお、図3に示すレーザ光の形状において、レーザ光の走査方向に垂直な方向、すなわちレーザ光の照射面の長辺の長さをL、そしてレーザ光の走査方向に水平な方向、すなわちレーザ光の照射面の短辺の長さをDとして、以下説明する。なお、図3において説明したレーザ光の照射面の長辺の長さに対応するLは、図2(b)において示した台形上の強度分布の平らな部分に対応する長さであるものとする。
高スループット及びタクトの短縮に主眼をおいた場合には、レーザ光の被照射面が重ならないようにして照射を行いレジスト膜の露光を行うことが予見される。しかしながら、パルス発振型のレーザ光においては当該レーザ光におけるエネルギーの強度分布のばらつきに依存してレジスト膜の露光にばらつきが生じる。特に図2(c)において説明した走査方向の短軸方向のレーザ光における強度分布のD1、D2が長い場合、すなわちガウス分布が顕著である場合に、露光のばらつきが生じる。そこで、本発明においてはレーザ光源としてパルス発振型のレーザ光を用いた際のばらつきを低減するため、被照射面であるレジスト膜に対する露光を走査方向に対し、被照射面が重畳するようにシフトさせて行うことを特徴とする。このとき、レーザ光の被照射面を走査方向にシフトさせる距離は、パルス発振型のレーザ光の発振周波数fの逆数の時間に、図3において示したレーザ光の照射面の短辺の長さD未満となる。
図4を用いて更に具体的に説明する。図4にはレーザ光のパルス波形と当該レーザ光の被照射面における走査の経時的な変化について示したものである。図4においてに示すレーザ光の波形において1波長は、fをパルス発振型のレーザ光の発振周波数とすると、1/fとして表され、すなわち図示した時間の長さに対応する。図4においてレーザ光は1パルス毎に被照射面を照射しながら走査される。このときレーザ光の照射面の短辺の長さをDとすると、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトは、D/n(nはn>1を満たす数)ずつシフトする。このとき、レーザ光のN番目(Nは自然数)のパルスと、(N+1)番目のパルスの被照射面の重なり度合い(以下、重畳率ともいう)は、〔{1−(1/n)}×100〕(%)となる。図4において示した例を見ると、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトはD/4ずつシフトし、N番目のパルスと、(N+1)番目のパルスとの重畳率は75%となる。すなわち、レーザ光の走査は4/f秒の時間に4回のパルスでDの距離を走査し、同じ被照射面の面積に4回レーザ光が照射されることとなる。
次に図5、図6、図7を用いて、本発明におけるレーザ光源としてパルス発振型のレーザを用いた際の重畳率、及びパルス発振型のレーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数の相関について具体的に説明する。図5においては、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトはD/2ずつシフトし、N番目のパルスと、(N+1)番目のパルスとの重畳率は50%とした例である。また、図6においては、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトはD/4ずつシフトし、N番目のパルスと、(N+1)番目のパルスとの重畳率は75%とした例である。また図7においては、パルス発振型のレーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数f1、パルス発振型のレーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数f2のときのレーザ光のパルス波形と当該レーザ光の被照射面における走査の経時的な変化について示したものである。なお、ここで、発振周波数f1と発振周波数f2の関係は、説明のため、f1<f2として以下説明する。
図5においては、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトはD/2ずつシフトし、N番目のパルスと、(N+1)番目のパルスとの重畳率は50%としている。そのためレジストの露光の程度は、図2に示したレーザ光の強度分布のばらつきに依存する。すなわち図5において、露光した領域を領域501とし、被照射面として露光された部分のレジスト膜が残るネガ型のフォトレジストを用いた場合には、レジスト502の形状のように現像後にレジストが残存することとなる。図5に示すレジスト502に示すように、残存した線状の形状のレジストは、線幅X1と線幅X2を有する。残存した線状の形状のレジストにおける線幅X1と線幅X2は、レーザ光による露光のムラに依存する。
また、図6においては、レーザ光の1パルス毎における被照射面のシフトはD/4ずつシフトし、N番目のパルスと、(N+1)番目のパルスとの重畳率は75%としている。そのため図5と同様に、レジストの露光の程度は、図2に示したレーザ光の強度分布のばらつきに、依存する。すなわち図6において、露光した領域を領域601とし、被照射面として露光された部分のレジスト膜が残るネガ型のフォトレジストを用いた場合には、レジスト602に示した形状のように現像後にレジストが残存することとなる。図6に示すレジスト602に示すように、残存した線状の形状のレジストは、線幅Y1と線幅Y2を有する。残存した線状の形状のレジストにおける線幅Y1と線幅Y2は、図5と同様にレーザ光による露光のムラに依存する。
一方で、図7(A)においては、パルス発振型のレーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数f1のときのレーザ光のパルス波形と当該レーザ光の被照射面における走査の経時的な変化についてについて示し、図7(B)においては、パルス発振型のレーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数f2のときのレーザ光のパルス波形と当該レーザ光の被照射面における走査の経時的な変化について示す。このとき、図7(A)においては、レーザ光を走査して距離Dを走査する際に、4回のパルスを用い、時間として4/f1秒かかる。一方で、図7(B)においては、レーザ光を走査して距離Dを走査する際に、4回のパルスを用い、時間として4/f2秒かかる。上述のように、発振周波数f1と発振周波数f2の関係はf1<f2であり、結果として、発振周波数が大きい程、重畳率が等しい条件下では、同じ距離の走査を行うのにかかる時間を早く行うことができる。
以上、図5、図6、及び図7を総合的に鑑み、レーザ光源から発振されるレーザ光の発振周波数が大きく、且つ被照射面におけるレーザ光の重畳率が高いことで、高スループットすなわち短いタクトで且つ露光ムラの少ない露光を行う本発明の露光装置を得ることができる。
また、本発明の露光装置においては、レーザ光の照射面の長辺の長さに対応するLが、図2(b)において示した台形上の強度分布の平らな部分に概略対応する長さであるものとした場合、被照射面に照射すべきレーザ光が1回の横断で照射しきれない場合もある。この場合、被照射面のマスクパターンに応じて図8(A)、図8(B)に示すように、被照射面を往復して走査しレーザ光を照射することで露光を行えばよい。図8(A)においては、基板ステージ106上の基板107に対し、レーザ光801を複数回往復することで被照射面を走査すればよい。また、図8(B)のように、走査方向を切り替えて往復することで被照射面を走査してもよい。
また、図8(A)、図8(B)のように被照射面の露光を行う際には、フォトマスクにおけるマスクパターンによって走査方向を切り替えても良い。例えば図9(A)に示すように線状のレーザ光901を、被照射面であるレジスト膜をマスクパターン902の長辺の延伸方向に平行に走査し、露光してもよい。また図9(B)に示すように線状のレーザ光901を、被照射面であるレジスト膜をマスクパターン903の長辺の延伸方向に垂直に走査し、露光してもよい。
また本発明の露光装置において、一つ以上のマスクを使用して、当該マスクを基板に対して相対的に動かすことによって、同じパターンのマスクによる複数回の露光をおこなってもよい。また現像する前にフォトマスク、ホログラム、または計算機合成ホログラムのいずれか複数を用いて露光を行ってもよい。
以上説明したように、本発明の露光装置においては、レーザ光が照射される被照射面の露光のばらつきを抑えることができる。すなわち完成する半導体装置における配線等の線幅のばらつきを抑えることで半導体装置の不良率を抑えることができる。そのため半導体装置の歩留まりを向上させ、よりばらつきの少ない特性を備えた半導体装置の作製を行うことができる。
また、本発明の露光装置においては、基板のスキャンスピードを高くすることができるため、半導体装置の露光工程におけるスループットの向上を見込むことができる。ひいては、1枚の基板を用いた半導体装置の作製方法においてタクトを大幅に短くすることが可能になる。
(実施の形態1)
本発明の露光装置を用いた半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。以下の説明では、図10に示すように、6個のトランジスタを有するスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)のセルを例として説明する。
このSRAMは、インバータ1001、1002の各入力がスイッチS1、S2を介してビット線BL1、BL2にそれぞれ接続されている。スイッチS1、S2は、ワード線WLによって伝達される行選択信号によって制御される。各インバータ1001、1002は、高電圧VDDと一般に接地である低電圧GNDとにより電力供給される。メモリセルに情報を書き込むために、電圧VDDがビット線BL1、BL2の一方に印加され、電圧GNDはそれらのビット線の他方に印加される。
インバータ1001は、直列接続されたnチャネル型トランジスタN1とpチャネル型トランジスタP1とを含んでいる。pチャネル型トランジスタP1のソースは電圧VDDに接続され、nチャネルトランジスタN1のソースは電圧GNDに接続されている。pチャネル型トランジスタP1、nチャネルトランジスタN1のドレインは、相互に接続されている。pチャネル型トランジスタP1、nチャネルトランジスタN1のゲートは、相互に接続されている。同様に、インバータ1002は、pチャネル型トランジスタP1、nチャネル型トランジスタN1のように接続されたpチャネル型トランジスタP2、nチャネル型トランジスタN2を含み、pチャネル型トランジスタP2、nチャネル型トランジスタN2のゲートは、相互に接続され、pチャネル型トランジスタP2、nチャネル型N2の共通ドレインは、相互に接続されている。
図10で示すSRAMの動作では、スイッチS1、S2がオンとなり、インバータ1001、1002の入力及び出力の状態が設定される。次いで、スイッチS1、S2がオフとなり、インバータ1001、1002内の信号の状態が保持される。メモリセルから情報を読み出すために、各ビット線BL1、BL2は、電圧VDDとGNDとの間の電圧範囲にプリチャージされる。スイッチS1、S2がオンとなり、ビット線上の電圧がインバータ1001、1002によって保持された信号の状態に基づいて変化するようになっている。ビット線に接続されたセンスアンプによって、メモリセル内に保存されているデータが読み出される。
図10で示すSRAMの回路配置の一例を図11に示す。図11は、半導体層と、ゲート配線層を含む2層の配線層で形成されるSRAMである。nチャネル型トランジスタが形成される半導体層1102と、pチャネル型トランジスタが形成される半導体層1104が下層に配置されるものとすると、その上層には第2絶縁層1103を介して第1配線層1106、1108、1110が配置されている。第1配線層1106はゲート電極を形成する層であり、半導体層1102、1104と交差してnチャネル型トランジスタN1及びpチャネル型トランジスタP1を形成している。第1配線層1108はゲート電極を形成する層であり、半導体層1102、1104と交差してnチャネル型トランジスタN2及びpチャネル型トランジスタP2を形成している。第1配線層1110はワード線(WL)であり、半導体層1102と交差してスイッチS1、S2を形成している。第1配線層1106、1108、1110は、半導体層1102、1104とこのような関係にあり、ゲート電極を形成している。
第2配線層1112、1114、1116、1118は、第1配線層1106、1108、1110と第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136を介して形成されている。第2配線層1112はビット線(BL1)、第2配線層1114はビット線(BL2)、第2配線層1116は電源線(VDD)、第2配線層1118は接地電位線(GND)を形成している。
コンタクトホールC1は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1112と半導体層1102とを接続する。コンタクトホールC2は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1114と半導体層1102とを接続する。コンタクトホールC3は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1122と半導体層1102とを接続する。コンタクトホールC4は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1122と半導体層1104とを接続する。コンタクトホールC5は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1120と半導体層1102とを接続する。コンタクトホールC6は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1120と半導体層1104とを接続する。コンタクトホールC7は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1116と半導体層1104とを接続する。コンタクトホールC8は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1118と半導体層1102とを接続する。コンタクトホールC9は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1122と第1配線層1108を接続する。コンタクトホールC10は第3絶縁層1134と第4絶縁層1136に形成される開口であって、第2配線層1120と第1配線層1106を接続する。このように半導体層と第1配線層及び第2配線層の間を接続するコンタクトホールC1〜C10によって、図10に示すSRAMが形成されている。
次にこのようなSRAMの製造工程について、図11に示すA−B線(pチャネル型トランジスタP1)及びC−D線(nチャネル型トランジスタN2)に対応する断面図を参照して説明する。
図12において、基板1100はガラス基板、石英基板、金属基板(例えばセラミック基板またはステンレス基板など)、Si基板等の半導体基板から選択されるものである。他にもプラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリルなどの基板を選択することもできる。
基板1100には不純物に対するブロッキング層として第1絶縁層1101を形成する。第1絶縁層1101は半導体層1102、1104に対する下地膜となる。第1絶縁層1101は、基板1100として石英を用いるような場合には省略することもできる。
第1絶縁層1101としては、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、第1絶縁層1101を2層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成してもよい。このように、ブロッキング層として機能する第1絶縁層1101を形成することによって、基板1100からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、この上に形成する素子に悪影響を与えることを防ぐことができる。
半導体層1102、1104は結晶性半導体層で形成することが好ましい。結晶性半導体層は、第1絶縁層1101上に形成した非晶質半導体層を熱処理やレーザ光の照射によって結晶化させたもの、第1絶縁層1101上に形成した結晶性半導体層を非晶質化した後、再結晶化させたものなどが含まれる。
レーザ光の照射によって結晶化若しくは再結晶化を行う場合には、レーザ光源としてLD励起の連続発振(CW)レーザ(YVO4、第2高調波(波長532nm))を用いることができる。特に第2高調波に限定する必要はないが、第2高調波はエネルギー効率の点で、さらに高次の高調波より優れている。CWレーザを半導体膜に照射すると、連続的に半導体膜にエネルギーが与えられるため、一旦半導体膜を溶融状態にすると、溶融状態を継続させることができる。さらに、CWレーザを走査することによって半導体膜の固液界面を移動させ、この移動の方向に沿って一方向に長い結晶粒を形成することができる。また、固体レーザを用いるのは、気体レーザ等と比較して、出力の安定性が高く、安定した処理が見込まれるためである。なお、CWレーザに限らず、発振周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いることも可能である。発振周波数が高いパルスレーザを用いると、半導体膜が溶融してから固化するまでの時間よりもレーザのパルス間隔が短ければ、常に半導体膜を溶融状態にとどめることができ、固液界面の移動により一方向に長い結晶粒で構成される半導体膜を形成することができる。その他のCWレーザ及び発振周波数が10MHz以上のパルスレーザを使用することもできる。例えば、気体レーザとしては、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等がある。固体レーザとして、YAGレーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ等がある。また、YAGレーザ、Y2O3レーザ、GdVO4レーザ、YVO4レーザなどのセラミックスレーザがある。金属蒸気レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ等が挙げられる。また、レーザ発振器において、レーザ光をTEM00(シングル横モード)で発振して射出すると、被照射面において得られる線状のビームスポットのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。その他にも、パルス発振のエキシマレーザを用いても良い。
ゲート絶縁層として用いる第2絶縁層1103は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等を適用する。このような絶縁層は、気相成長法やスパッタリング法で形成する。また、半導体層1102、1104に酸素雰囲気下(例えば、酸素(O2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、または酸素と水素(H2)と希ガス雰囲気下)または窒素雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、または窒素と水素と希ガス雰囲気下またはアンモニア(NH3)と希ガス雰囲気下)で高密度プラズマ処理を行い半導体層1102、1104の表面を酸化処理または窒化処理することによって、ゲート絶縁層として適用する第2絶縁層1103を形成することもできる。高密度プラズマ処理により半導体層1102、1104の表面を酸化処理または窒化処理を行うことによって第2絶縁層1103を形成することにより、電子やホールのトラップとなる欠陥準位密度を低減することができる。
ゲート電極として用いる第1配線層1106、1108は、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、クロム、ニオブなどその他高融点金属を用いて形成する。或いは、モリブデンとタングステンの合金、窒化チタン、窒化タングステンなど前記した金属の合金又は導電性金属窒化物若しくは導電性酸化物を用いても良い。そして、窒化タンタルとタングステンとの積層構造で形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングしたポリシリコンを用いても良い。
ゲート電極として用いる第1配線層1106、1108は前記した導電層を第2絶縁層1103上のほぼ全面に堆積した後、フォトマスクを用いてマスク層1124を形成する。このマスク層1124を用いてエッチングを行い、第1配線層1106、1108を形成する。マスク層1124は露光工程により形成するが、このとき、フォトマスクを用いた露光は図1で説明した露光装置を用いて露光することにより、露光ムラの低減されたゲート電極として用いる第1配線層1106、1108を高スループットで形成することができる。
図13は、第1配線層1106、1108にそれぞれサイドスペーサ1126、1128を形成し、さらにパッシベーションとして第3絶縁層1134を形成している。第3絶縁層1134は窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)等で形成する。半導体層1102には、ソース及びドレインとして機能させるn型不純物領域1132を形成する。さらに、サイドスペーサ1128を利用して、所謂低濃度ドレイン領域1133(LDD領域)を形成しても良い。また、半導体層1104には、ソース及びドレインとして機能するp型不純物領域1130を形成する。サイドスペーサ1126を利用して、所謂低濃度ドレイン領域1131(LDD領域)を形成しても良い。
図14は、第4絶縁層1136を形成し、コンタクトホールC4、C5、C7、C8を形成する工程である。第4絶縁層1136は、プラズマCVDや熱CVDなど気相成長法やスパッタリング法で形成する、酸化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)などを適用する。また、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料、またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料、オキサゾール樹脂などからなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。オキサゾール樹脂は、例えば、感光性ポリベンゾオキサゾール等である。感光性ポリベンゾオキサゾールは、誘電率が低く(常温1MHzで誘電率2.9)、耐熱性が高く(示差熱熱重量同時測定(TG/DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)昇温5℃/minで熱分解温度550℃)、吸水率が低い(常温24時間で0.3%)材料である。オキサゾール樹脂は、ポリイミド等の比誘電率(3.2〜3.4程度)と比較すると、比誘電率が低いため(2.9程度)、寄生容量の発生を抑制し、高速動作を行うことができる。
第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136を貫通し、n型不純物領域1132及びp型不純物領域1130を露出させるコンタクトホールC4、C5、C7、C8の形成はマスク層1138を用いて行う。マスク層1138は露光工程により形成するが、このとき、フォトマスクを用いた露光は図1で説明した露光装置を用いて露光することにより、露光ムラの低減されたコンタクトホール径を有するマスク層1138を形成することができる。その後マスク層1138を用いて第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136をエッチングすることにより、コンタクトホールC4、C5、C7、C8を形成することができる。
図15は、第2配線層1116、1118、1120、1122を形成する工程である。これらは、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、ネオジムから選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層構造または積層構造を用いることができる。例えば、当該元素を複数含む合金からなる導電膜として、チタンを含有したアルミニウム合金、ネオジムを含有したアルミニウム合金などで形成することができる。また、積層構造で設ける場合、例えば、アルミニウム層若しくは前記したようなアルミニウム合金層を、チタン層で挟んで積層させた構造としても良い。第2配線層1116は電源線(VDD)、第2配線層1118は接地電位線(GND)を形成している。
本発明の露光装置を用いることにより、露光ムラの低減されたマスク層を形成できる。すなわち、口径のそろったコンタクトホールを形成することができ、p型不純物領域1130、n型不純物領域と第2配線層1116、1118、1120、1122がコンタクトを形成する面積をほぼ等しく形成することができる。それによりコンタクトホール同士の口径の大きさのばらつきに起因する電気的特性のばらつきを低減することができるため好適である。
以上、第1の実施形態は、図11に示す回路配置に含まれるpチャネル型トランジスタP1とnチャネル型トランジスタN2を例示して、その製造工程を説明している。その他のトランジスタも同様にして形成可能である。なお、本実施の形態では、ゲート電極及びコンタクトホールの形成に上述した本発明の露光装置を用いる例を示した。本発明の露光装置による露光工程は、ゲート電極又はコンタクトホールの一方の形成のみに用いてもマスクを形成する上での露光ムラを低減することができるという目的においては同様の効果を奏する。また、半導体層や配線層の形成に必要な露光工程においても本発明の露光装置を用いることができる。
(実施の形態2)
図10で示すSRAMの回路配置の他の一例を図16に示す。図16は、半導体層とゲート電極層と、3層の配線層で形成されるSRAMである。nチャネル型トランジスタが形成される半導体層1601、1602と、pチャネル型トランジスタが形成される半導体層1603、1604が設けられている。これに対して、ゲート配線層として機能するゲート電極層1605、1606、1607、1608が絶縁層を介して設けられている。それにより、nチャネル型トランジスタN1、N2、pチャネル型トランジスタP1、P2、及びスイッチS1、S2が形成されている。
ゲート電極層とコンタクトする第1配線層1610、1612、1614、1616、1618、1620、1622、1624、1626、1628は第1層間絶縁層を介して設けられている。ビット線を形成する第2配線層1632、1636、及び接地電位線を形成する第2配線層1630、1638は第2層間絶縁層を介して設けられている。さらにワード線を形成する第3配線層1640が第3層間絶縁層を介して設けられている。
コンタクトホールC21〜C30は、第1配線層と半導体層とのコンタクトを形成するもので、第1層間絶縁層に形成されている。コンタクトホールC31〜C40は、第2配線層と第1配線層とのコンタクトを形成するもので、第2層間絶縁層に形成されている。コンタクトホールC41、C42は、第3配線層と第1配線層とのコンタクトを形成するもので、第1層間絶縁層及び第2層間絶縁層に形成されている。これらによって図10に示すSRAMが形成されている。
次にこのようなSRAMの製造工程について、図16に示すE−F線(pチャネル型トランジスタP2及びnチャネル型トランジスタN2)に対応する断面図を図17参照して説明する。
図17において、基板1100上に形成する第1絶縁層1101、半導体層1602、1604、第2絶縁層1103、ゲート電極層1606、サイドスペーサ1126、1128、第3絶縁層1134、第4絶縁層1136は第1の実施形態と同様にして形成される。
第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136を貫通し、n型不純物領域1132及びp型不純物領域1130を露出させるコンタクトホールC26、C27、C29、C30の形成は、マスク層1650を形成してエッチング処理により形成する。マスク層1650は露光工程により形成する。このときフォトマスクを用いた露光は図1で説明した露光装置を用いて露光することにより、露光ムラの低減されたコンタクトホール径を有するマスク層1650を形成することができる。このようなマスク層1650を用いて第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136をエッチングすることにより、コンタクトホールC4、C5、C7、C8を形成することができる。
図18はコンタクトホールC26、C27、C29、C30に埋込導電層1654を形成し、第1配線層1620、1622、1628を形成する構成を示している。埋込導電層1654として、代表的にはタングステンを形成する方法が知られている。好ましくは、コンタクトホールC26、C27、C29、C30に密着層1652として窒化チタン膜またはチタン膜と窒化チタン膜を成膜し、次いで埋込導電層1654としてタングステン膜を成膜する。タングステン膜はWF6ガスを用い、水素還元若しくはジシラン還元により形成する。また、タングステン膜はスパッタリング法により形成しても良い。その後、SF6ガスを用いてエッチバックするか、若しくは化学的機械研磨により平坦化して、埋込導電層1654を形成する。その後、埋込導電層1654と接触するように、第1配線層1620、1622、1628を形成する。
第1配線層1620、1622、1628の上層には、パッシベーションとして第5絶縁層1656を窒化シリコン膜などで形成する。第6絶縁層1658は、プラズマCVDや熱CVDなど気相成長法やスパッタリング法で形成する、酸化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y>0)などを適用する。また、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料、またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料、オキサゾール樹脂などからなる単層または積層構造で設けることができる。これらの樹脂材料は、熱硬化型または光硬化型の原料を用い、スピン塗布法で形成することが好ましい。スピン塗布法で形成することにより、下層にある配線層の凹凸を緩和して、第6絶縁層1658の表面を平坦化することができる。
以降、同様にして第2配線層1636、パッシベーションとして用いる第7絶縁層1660、平坦化のために形成する第8絶縁層1662、第3配線層1640を形成する。なお、図16において示す第2配線層と第1配線層とのコンタクトを形成するコンタクトホールC31〜C40、第3配線層と第1配線層とのコンタクトを形成するコンタクトホールC41、C42も同様に、本発明の露光装置を用いて露光工程を行うことにより形成することができる。
以上、第2の実施形態は、図16に示す回路配置に含まれるpチャネル型トランジスタP2とnチャネル型トランジスタN2を例示して、その製造工程を説明している。その他のトランジスタも同様にして形成可能である。なお、本実施の形態では、ゲート電極及びコンタクトホールの形成に上述した本発明の露光装置を用いる例を示した。本発明の露光装置による露光工程は、ゲート電極又はコンタクトホールの一方の形成のみに用いてもマスクを形成する上での露光ムラを低減することができるという目的においては同様の効果を奏する。また、半導体層や配線層の形成に必要な露光工程においても本発明の露光装置を用いることができる。
図19は、埋込導電層を形成しない一例であり、絶縁層を形成する材料をコンタクトホールに充填する一例を示している。図19で示す断面構造は、図16のG−H線に対応している。
図19において、nチャネル型トランジスタN1は図18で示すnチャネル型トランジスタN2と同様の構成を有している。第3絶縁層1134及び第4絶縁層1136を貫通し、n型不純物領域1132及び第1配線層1610を露出させるコンタクトホールC21、C22、C31は、図17と同様に本発明の露光装置を用いてマスク層を形成し、エッチングすることで形成することができる。
第1配線層1610、1612、1618はアルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、ネオジムから選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層構造または積層構造により形成する。例えば、当該元素を複数含む合金からなる導電膜として、チタンを含有したアルミニウム合金、シリコンを含有したアルミニウム合金などで形成することができる。第1配線層1610は、nチャネル型トランジスタN1と接地電位線(GND)である第2配線層1630とを接続する配線である。第1配線層1618は、nチャネル型トランジスタN1とpチャネル型トランジスタP1のドレインを接続する配線である。第1配線層1612は、スイッチS1のゲート電極層1607とワード線である第3配線層1640を接続する配線である。
第1配線層1612と第3配線層1640を接続するためのコンタクトホールC41は、第5絶縁層1656、第6絶縁層1658、第7絶縁層1660、第8絶縁層1662を貫通する。このように深いコンタクトホールを形成する場合でも、本発明の露光装置を用いて行うことができる。なお、図19では、nチャネル型トランジスタN1について示しているが、図16に示す他のトランジスタについても同様に形成することができる。
(実施の形態3)
本発明を用いて作製した半導体装置を用いてさまざまな電子機器を完成することができる。その具体例を、図20、図21を用いて説明する。
本発明を用いることによって、半導体装置作製工程における露光工程において、半導体膜上に形成されたレジストの露光ムラを低減することができる。この露光ムラを低減することによって、配線等の正確な整形が容易になる。そのため、製作した半導体素子の製品品質は良好であり、その品質のばらつきをなくすことも可能である。その結果、最終製品としての電子機器をスループット良く、良好な品質で作製することが可能になる。その具体例を、図を用いて説明する。
図20(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005などを含む。この表示装置は、他の実施の形態で示した作製方法により形成したトランジスタを駆動ICや表示部2003などに用いることにより作製される。なお、表示装置には液晶表示装置、発光表示装置などがあり、用途別にはコンピュータ用、テレビ受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。具体的には、ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、反射型プロジェクターなどを挙げることができる。
図20(B)はコンピュータであり、筐体2011、表示部2012、キーボード2013、外部接続ポート2014、ポインティングマウス2015などを含む。本発明を用いて形成されたトランジスタは、表示部2012の画素部だけではなく、表示用の駆動IC、本体内部のCPU、メモリなどの半導体装置にも適用が可能である。
また、図21(A)、(B)はデジタルカメラである。なお、図21(B)は、図21(A)の裏側を示す図である。このデジタルカメラは、筐体2111、表示部2112、レンズ2113、操作キー2114、シャッター2115などを有する。また、取り出し可能なメモリ2116を備えており、当該デジタルカメラで撮影したデータをメモリ2116に記憶させておく構成となっている。本発明を用いて形成されたトランジスタは、表示部2112の画素部、メモリ2116、表示部2112を駆動する駆動ICなどに用いることができる。
また、図21(C)は携帯電話であり、携帯用の情報処理端末の1つの代表例である。この携帯電話は筐体2121、表示部2122、操作キー2123などを含む。また、携帯電話は、取り出し可能な不揮発性のメモリ2125を備えており、当該携帯電話の電話番号等のデータ、映像、音楽データ等をメモリ2125に記憶させ再生することができる。本発明を用いて形成されたトランジスタは表示部2122の画素部やセンサ部2124、メモリ2125だけではなく、表示用の駆動IC、メモリ、音声処理回路などに用いることができる。センサ部2124は光センサ素子を有しており、センサ部2124で得られる照度に合わせて表示部2122の輝度コントロールを行ったり、センサ部2124で得られる照度に合わせて操作キー2123の照明を抑えたりすることによって、携帯電話の消費電力を抑えることができる。
上記の携帯電話を初めとして、PDA(Personal Digital Assistants、情報携帯端末)、デジタルカメラ、小型ゲーム機などの電子機器に、本発明を用いて形成した半導体装置を用いることもできる。例えば、CPU、メモリ、センサなどの機能回路を形成することや、これらの電子機器の画素部や、表示用の駆動ICにも適用することが可能である。
また、図21(D)は、デジタルプレーヤーである。このデジタルプレーヤーは、本体2130、表示部2131、メモリ部2132、操作部2133、イヤホン2134等を含んでいる。なお、イヤホン2134の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。本発明を用いて形成されたトランジスタは、表示部2131、メモリ部2132だけではなく、表示用の駆動IC、メモリ、音声処理回路などに用いることができる。なお、メモリ部2132に設けられた半導体記憶装置は、取り出し可能な構成としてもよい。
この他にも、ビデオカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置、記録媒体を備えた画像再生装置などに用いることが可能である。これらの表示部の画素部や、表示部を制御する駆動IC、メモリ、デジタル入力処理装置、センサ部などの用途に、本発明を用いて形成されたトランジスタを用いることができる。
以上のように、本発明により作製された半導体装置の適用範囲は極めて広く、本発明により作製された半導体装置をあらゆる分野の電子機器に用いることができる。なお、これらの電子機器に使われる表示装置は、大きさや強度、または使用目的に応じて、ガラス基板だけでなく耐熱性の合成樹脂基板を用いることも可能である。それによってより一層の軽量化を図ることができる。