JP3871993B2 - レーザ照射装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光の照射方法およびそれを行うためのレーザ照射装置(レーザと該レーザから出力されるレーザ光を被照射体まで導くための光学系を含む装置)に関する。また、レーザ光の照射を工程に含んで作製された半導体装置の作製方法に関する。なお、ここでいう半導体装置には、液晶表示装置や発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体膜に対し、レーザニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させ結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行う技術が広く研究されている。なお、本明細書中において、結晶性半導体膜とは、結晶化領域が存在する半導体膜のことを言い、全面が結晶化している半導体膜も含む。
【0003】
エキシマレーザ等のパルスレーザ光を、照射面における形状(レーザ光のスポット)が矩形状や線状となるように光学系にて成形し、レーザ光を移動させて(あるいはレーザ光の照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)アニールを行う方法が生産性が高く工業的に優れている(例えば、特許文献1参照。)。また、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい矩形(もしくは長楕円形)を意味する。例えば、アスペクト比が10以上(好ましくは100〜10000)のもの指すが、矩形状のレーザ光(矩形状ビーム)に含まれることに変わりはない。なお、線状とするのは被照射体に対して十分なアニールを行うためのエネルギー密度を確保するためであり、矩形状や面状であっても被照射体に対して十分なアニールを行えるのであれば構わない。現状で15J/パルスのエキシマレーザが市販されており、将来的には面状ビームを用いてレーザニールを行う可能性もある。また、レーザ光のスポットは特に定義しない場合はレーザ光の照射面におけるエネルギー分布とする。
【0004】
図10に、照射面においてレーザ光の形状を線状にするための光学系の構成の例を示す。この構成は極めて一般的なものであり、あらゆる前記光学系は図10の構成に準じている。この構成は、レーザ光の断面形状を線状に変換するだけでなく、同時に、照射面におけるレーザ光のエネルギー均一化を果たすものである。一般にビームのエネルギーの均一化を行う光学系をビームホモジナイザと呼ぶ。
【0005】
レーザ71から出たレーザ光は、シリンドリカルアレイレンズ73により、レーザ光のスポットは分割される。該方向を本明細書中では、第1の方向と呼ぶことにする。前記第1の方向は、光学系の途中でミラーが入ったとき、前記ミラーが曲げた光の方向に曲がるものとする。この構成では、7分割となっている。その後、シリンドリカルレンズ74にて、レーザ光は照射面79にて1つに合成される。これにより、線状ビームの長尺方向のエネルギーの均一化と長さが決定される。
【0006】
次に、図10の側面図について説明する。レーザ71から出たレーザ光のスポットは、シリンドリカルアレイレンズ72aと72bにより分割される。前記方向を本明細書中では、第2の方向と呼ぶことにする。前記第2の方向は、光学系の途中でミラーが入ったとき、前記ミラーが曲げた光の方向に曲がるものとする。この構成では、4分割となっている。これらの分割されたレーザ光は、シリンドリカルレンズ74により、いったん1つのレーザ光にまとめられる。ミラー77で反射され、その後、ダブレットシリンドリカルレンズ78により、照射面79にて再び1つのレーザ光に集光される。ダブレットシリンドリカルレンズとは、2枚のシリンドリカルレンズで構成されているレンズのことを言う。これにより、線状ビームの短尺方向のエネルギー均一化と短尺方向の長さが決定される。
【0007】
例えば、レーザ71として、レーザの出口で10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)であるエキシマレーザを用い、図10に示した構成を持つ光学系により成形すると、照射面79においてエネルギー分布の一様な125mm×0.4mmの線状ビームとすることができる。
【0008】
このとき、上記光学系の母材は例えば全て石英とすれば高い透過率が得られる。また、コーティングは、使用するエキシマレーザの波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用すると良い。
【0009】
そして、上記の構成で形成された線状ビームをそのレーザ光の短尺方向に徐々にずらしながら重ねて照射することにより、非晶質半導体の全面に対し、レーザニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させ結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−195357号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
光学系により照射面またはその近傍において形成される線状や矩形状、面状のレーザ光の端部は、レンズの収差などにより、エネルギー密度が徐々に減衰している(図11(A))。本明細書中では、レーザ光の端部においてエネルギー密度が徐々に減衰する領域を減衰領域と呼ぶ。
【0012】
また、基板の大面積化、レーザの大出力化に伴って、より長い線状ビームや矩形状ビーム、より大きな面状ビームが形成されつつある。このようなレーザ光によりアニールを行う方が効率が良いためである。しかしながら、レーザから発振されるレーザ光の端部のエネルギー密度は中心付近と比較して小さいため、光学系によってこれまで以上に拡大すると、減衰領域がますます顕著化する傾向にある。
【0013】
減衰領域はエネルギー密度の均一性が高い領域に比べてエネルギー密度が十分でなく、しかも徐々に減衰しているため、前記減衰領域を有するレーザ光を用いてアニールを行っても、被照射体に対して一様なアニールを行うことはできない(図11(B))。また、減衰領域を重ねて走査する方法によりアニールを行っても、均一性が高い領域とは明らかにアニールの条件が異なるため、やはり被照射体に対して一様にアニールすることができない。このように、減衰領域によりアニールされた領域と均一性が高い領域によってアニールされた領域とを同等に扱うことはできない。
【0014】
例えば、被照射体が半導体膜である場合には、減衰領域によりアニールされた領域と均一性が高い領域によってアニールされた領域とでは結晶性が異なる。そのため、このような結晶性の異なる領域を有する半導体膜を用いてTFTを作製しても、減衰領域によりアニールされた領域で作製されるTFTの電気的特性が低下し、同一基板内におけるばらつきの要因となる。
【0015】
また、図10で示したように、線状ビームを形成するための光学系は複雑なものになっている。このような光学系に対して光学調整を行うのは非常に困難である上、フットプリントが大きくなるため、装置が大型化するという問題がある。
【0016】
さらに、被照射体に対する反射率が高いレーザ光を用いると、前記レーザ光が被照射体に垂直に入射した場合には、被照射体に入射したときと同じ光路を戻る、いわゆる戻り光が発生する。戻り光はレーザの出力や周波数の変動や、ロッドの破壊などの悪影響を及ぼす要因となる。
【0017】
そこで本発明は、従来より簡易な光学系を用い、かつ、レーザ光の端部における減衰領域を低減された矩形状ビームを形成して、効率良くアニールを行うことのできるレーザ照射装置を提供することを課題とする。また、このようなレーザ照射装置を用いたレーザ照射方法を提供し、前記レーザ照射方法を工程に含む半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数のレーザから射出されたそれぞれのレーザ光を分割し、異なるレーザから発振され、かつ、異なるエネルギー分布を有するレーザ光同士を合成して、エネルギー分布の均一性の優れたレーザ光を形成することを特徴とする。ここで、異なるエネルギー分布とは、回転して同じ分布になるものも異なる分布であるとする。また、本発明は、複数のレーザから射出されたそれぞれのレーザ光を分割し、異なるレーザから発振され、かつ、異なる位置関係にあるレーザ光を少なくとも1つ含むレーザ光同士を合成して、エネルギー分布の均一性の優れたレーザ光を形成することを特徴とする。
また、本発明は、複数のレーザから射出されたそれぞれのレーザ光を分割し、異なるレーザから発振され、かつ、異なるエネルギー分布を有するレーザ光を、凸レンズに対して斜めに入射させ射出させた後、照射面またはその近傍において合成して、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状のレーザ光を形成することを特徴とする。
【0019】
異なるレーザから発振されたレーザ光を重ね合わせても干渉しない。そのため、コヒーレント長が数十〜数百mであるYVO4レーザや、1cm若しくはそれ以上であるYAGレーザなど干渉性の高いレーザを用いてレーザ光の照射を行う場合に特に有効である。
【0020】
また、レーザ光を凸レンズに対して斜めに入射することで、非点収差などの収差を生じさせ、照射面またはその近傍におけるレーザ光の形状を線状とすることが可能となる。
【0021】
分割されたレーザ光を重ね合わせるときは、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光同士を重ね合わせるのがよい。互いに異なるエネルギー分布を有するレーザ光を多数重ね合わせることで、均一なレーザ光が得られるからである。
【0022】
本明細書で開示するレーザ照射装置に関する発明の構成は、複数のレーザと、該複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光を各々複数の第2のレーザ光に分割する手段と、複数の前記第1のレーザ光の各々において、前記第2のレーザ光から1つずつ選択して照射面またはその近傍において同一領域で合成する手段と、を有することを特徴としている。
【0023】
上記構成において、前記レーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAG(Nd3+:YAG、Yb3+:YAG、Cr4+:YAG)レーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23(Nd3+:YAG、Yb3+:YAG)レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。
【0024】
また、上記構成において、前記レーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換されていることが望ましい。例えば、YAGレーザは、基本波として、波長1065nmのレーザ光を出すことで知られている。このレーザ光の珪素膜に対する吸収係数は非常に低く、このままでは半導体膜の1つである非晶質珪素膜の結晶化を行うことは技術的に困難である。ところが、このレーザ光は非線形光学素子を用いることにより、より短波長に変換することができ、高調波として、第2高調波(532nm)、第3高調波(355nm)、第4高調波(266nm)、第5高調波(213nm)が挙げられる。これらの高調波は非晶質珪素膜に対し吸収係数が高いので、非晶質珪素膜の結晶化に用いる事ができる。
【0025】
また、上記構成において、前記分割する手段は、スリット、ミラー、プリズム、シリンドリカルレンズ、シリンドリカルレンズアレイから選ばれた一種または複数種であることを特徴としている。
【0026】
また、上記構成において、前記合成する手段は、ミラー、シリンドリカルレンズから選ばれた一種または複数種であることを特徴としている。
【0027】
また、本明細書で開示するレーザ照射方法に関する発明の構成は、複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光を各々複数の第2のレーザ光に分割し、複数の前記第1のレーザ光の各々において、前記第2のレーザ光から1つずつ選択して照射面またはその近傍において同一領域で合成することを特徴としている。
【0028】
上記構成において、前記レーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。
【0029】
また、上記構成において、前記レーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換されていることが望ましい。
【0030】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光を各々複数の第2のレーザ光に分割し、複数の前記第1のレーザ光の各々において、前記第2のレーザ光から1つずつ選択して、第3のレーザ光とし、前記第3のレーザ光を照射面またはその近傍において同一領域で合成して、第4のレーザ光を形成し、前記第4のレーザ光を半導体膜に対して相対的に移動しながら照射することを特徴としている。
【0031】
上記構成において、前記レーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザであることを特徴としている。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。
【0032】
また、上記構成において、前記レーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換されていることが望ましい。
【0033】
また、上記構成において、前記半導体膜は、珪素を含む膜であることが望ましい。そして、前記半導体膜を形成する基板として、ガラス基板、石英基板やシリコン基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス基板、可撓性基板などを用いることができる。前記ガラス基板として、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板が挙げられる。また、可撓性基板とは、PET、PES、PEN、アクリルなどからなるフィルム状の基板のことであり、可撓性基板を用いて半導体装置を作製すれば、軽量化が見込まれる。可撓性基板の表面、または表面および裏面にアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、炭素膜(DLC(ダイヤモンドライクカーボン)など)、SiNなどのバリア層を単層または多層にして形成すれば、耐久性などが向上するので望ましい。
【0034】
本発明は、異なるレーザから発振されたレーザ光を照射面またはその近傍で合成しているため、干渉は起こらない。また、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を照射面またはその近傍において合成するのが最も望ましいが、レーザ光のモードによって最適な合成方法は異なるので、実施者が適宜合成方法を決定すれば良い。例えば、TEM00モードのレーザ光では対称性が高いので、2分割したレーザ光の左半分と右半分とを合成すると比較的均一性の高いレーザ光を得ることができる。もちろん、分割数を増やした方がより均一性の高いレーザ光を得ることができる。その他のモードでも同様の方法で均一性の高いレーザ光を得ることができる。
【0035】
また、基板上に形成されている半導体膜に対して、エネルギー分布の均一性の高い矩形状ビームを照射することができるため、物性の一様な半導体膜を得ることができる。そして、このような半導体膜を用いて作製されたTFTの電気的特性のばらつきを低減することを可能とする。そして、このようなTFTから作製された半導体装置の動作特性および信頼性をも向上し得る。
【0036】
【発明の実施の形態】
[発明の実施の形態1]
本実施形態では、複数のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図1および図2を用いて説明する。
【0037】
レーザ101a、101bからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ101a、101bとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ101a、101bから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してあってもよい。
【0038】
また、102a、102bはアイソレータ―である。被照射体に対する反射率が高いレーザ光を用い、前記レーザ光が被照射体に垂直に入射すると、被照射体に入射したときと同じ光路を戻る、いわゆる戻り光が発生する。戻り光はレーザの出力や周波数の変動や、ロッドの破壊などの悪影響を及ぼす要因となる。本実施形態における光学系は対称的な配置となっているため、照射面でのそれぞれの反射光が互いのレーザに対して、戻り光と同様な悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、アイソレータ―102a、102bを設置するのが望ましい。
【0039】
そして、射出されたそれぞれのレーザ光は、ビームエキスパンダー103a、104aまたは103b、104bにより拡大される。なお、ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものであり、レーザ光の大きさ等によっては用いなくてもよい。もちろん、レーザ光を一方向のみではなく、二方向とも拡大してもよい。また、シリンドリカルレンズ103a、104a、103b、104bは合成石英ガラス製とすれば、高い透過率が得られるので望ましい。また、シリンドリカルレンズ103a、104aまたは103b、104bの表面に施されているコーティングは、使用するレーザ光の波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するのが望ましい。
【0040】
ビームエキスパンダー103a、104aまたは103b、104bから射出されたレーザ光は、ミラー105a、105bにより2方向に分割される。その様子を図2を用いて説明する。図2(A)および図2(B)はレーザ光の進行方向に対して垂直な断面でのレーザ光の形状を示している。レーザ101aから発振したレーザ光は図2(A)で示すように、ミラー105aにより第1のレーザ光と第2のレーザ光に分割され、第2のレーザ光は被照射体108へ入射し、第1のレーザ光はダンパー107aに吸収される。一方、レーザ101bから発振したレーザ光は図2(B)で示すように、ミラー105bにより第3のレーザ光と第4のレーザ光に分割され、第3のレーザ光は被照射体108へ入射し、第4のレーザ光はダンパー107bに吸収される。
【0041】
被照射体108へ入射する2つのレーザ光は、異なるレーザから発振されたものであるため合成されても干渉は起こらない。また、レーザ101aから発振されたレーザ光は第2のレーザ光が被照射体へ入射し、レーザ101bから発振されたレーザ光は第3のレーザ光が被照射体へ入射しているため、照射面またはその近傍において異なるエネルギー分布を有するレーザ光が合成されるので、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状のレーザ光が形成される。(図2(C))
【0042】
このようにして形成されるレーザ光を照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。
【0043】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、ミラーを用いてレーザ光の分割をしているが、これに限らず、スリットやプリズムやシリンドリカルレンズやシリンドリカルレンズアレイなどを用いることもできる。
【0045】
また、本実施形態では、2つのレーザを用い、レーザ光の分割数を2としているが、これに限らない。なお、レーザは10台程度用いるのが好ましいが、用いるレーザの台数が少ないときは、偶数台用いて、レーザ光を偶数に分割するのが望ましい。また、用いるレーザは同一のものでなくても良い。
【0046】
また、本実施形態では、図2で示したように、レーザ光の進行方向における垂直な面において等幅で分割しているが、本発明はこれに限らない。
【0047】
また、本実施形態では、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を照射面またはその近傍において合成しているが、レーザ光のモードによって最適な合成方法は異なるので、実施者が適宜合成方法を決定すれば良い。例えば、TEM00モードのレーザ光では対称性が高いので、2分割したレーザ光の左半分と右半分とを合成すると比較的均一性の高いレーザ光を得ることができる。もちろん、分割数を増やした方がより均一性の高いレーザ光を得ることができる。その他のモードでも同様の方法で均一性の高いレーザ光を得ることができる。
【0048】
また、用いるレーザの波長により合成石英ガラスの表面に施されているコーティングを適切なものに変えれば、さまざまなレーザに適用できる。
【0049】
また、本実施形態では、照射面における形状が矩形状である矩形状ビームを形成しているが、形成される形状はこれに限らない。レーザから射出されたレーザ光の形状はレーザの種類によって異なり、光学系によって成形しても、元の形状の影響を受けやすい。例えば、XeClエキシマレーザから射出されたレーザ光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状のものもあるし、固体レーザから射出されたレーザ光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状である。いずれの形状においても、被照射体のアニールに十分なエネルギー密度であるのなら問題はなく、本発明を適用することが可能である。
【0050】
[発明の実施の形態2]
本実施の形態では、3台のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図21〜図23を用いて説明する。
【0051】
レーザ101a〜101cからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ101a〜101cとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ101a〜101cから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0052】
図示しないが、レーザ101a〜101cから射出されたそれぞれのレーザ光を、ビームエキスパンダーにより拡大してもよい。なお、ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものである。
【0053】
レーザ101a〜101cから射出されたレーザ光は、ミラーとシリンドリカルレンズを組み合わせた光学系102a〜102cにより2方向に分割される。その様子を図22に示す。光学系102aにより、レーザ101aから発振されたレーザ光は3分割のうちの左端のレーザ光(図22(A)における第1のレーザ光)のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー110aへ到達する。光学系102bにより、レーザ101bから発振されたレーザ光は3分割のうちの中央のレーザ光(図22(B)における第2のレーザ光)のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー110bへ到達する。光学系102cにより、レーザ101cから発振されたレーザ光は3分割のうちの右端のレーザ光(図22(C)における第3のレーザ光)のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー110cへ到達する。このように、光学系102a〜102cにより直進するレーザ光と反射するレーザ光が決定する。
【0054】
もちろん、それぞれのレーザ光をシリンドリカルレンズアレイに入射させて分割した後、反射面を有するスリットにより、分割された所望のレーザ光のみ取り出すこともできる。
【0055】
そして、光学系102a〜102cにより直進するレーザ光は、ミラー103a〜103cを経由して、凸レンズ104a〜104cに対して斜めに入射する。このようにすることで、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面またはその近傍において矩形状ビーム106を形成することができる。また、図22で示したように、光学系102a、102cを経たレーザ光は光学系102bを経たレーザ光より長軸方向の長さが短い。そのため、光学系102bを経たレーザ光よりも斜めから入射させることで、長軸方向の長さが長くなり、それぞれのレーザ光の長尺方向の長さを揃えることができる。他にも、シリンドリカルレンズ等により拡大する方法もある。
【0056】
また、凸レンズ104a〜104cの表面に施されているコーティングは、使用するレーザ光の波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するのが望ましい。さらに、凸レンズは球面収差を補正した非球面レンズとするのが望ましい。非球面レンズを用いれば、集光性がよくなり、アスペクト比の向上やエネルギー密度の分布が向上する。
【0057】
凸レンズ104a〜104cを経たレーザ光は照射面またはその近傍で合成され、矩形状ビーム106が形成する(図22(D))。このようにして形成された矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉しない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面またはその近傍において合成されるため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームが形成される。
【0058】
そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば108で示す方向または109で示す方向に被照射体105に対して相対的に移動することで、被照射体105において所望の領域または全面を照射することができる。
【0059】
しかしながら、レーザ光の波長によっては、被照射体105の表面での反射光と、被照射体105が形成されている基板の裏面での反射光とで干渉してしまう場合がある。図23に被照射体105として、基板10上に半導体膜11を形成する例を示す。半導体膜11での反射光と基板10の裏面での反射光とが重ならなければ、これらの光による干渉は起こらない。
【0060】
この場合、照射面に垂直な平面であって、かつ前記長いビームの形状を長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザ光の入射角度θは、前記入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザ光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。ここでWは被照射体に入射するときのビーム長15である。なお、レーザ光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザ光が入射されれば、基板の表面での反射光と、基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザ光の照射を行うことができる。また、被照射体に対する入射角θをブリュースタ―角とすれば反射率が最も低くなるので、レーザ光を効率的に用いることができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、線状ビームの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。なお、照射面に入射するレーザ光の入射角度はすべて、それぞれ上記式θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。
【0061】
また、被照射体の表面に、反射防止膜が形成されていてもよい。
【0062】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、3つのレーザを用い、レーザ光の分割数を3としているが、これに限らない。
【0064】
また、本実施形態では、図22で示したように、レーザ光の進行方向における垂直な面において等幅で分割しているが、本発明はこれに限らない。
【0065】
なお、レーザから射出されたレーザ光の種類によってレーザ光の形状は異なり、光学系によって成形しても元の形状の影響を受けやすい。例えば、XeClエキシマレーザから射出されたレーザ光の形状は、矩形状であり、固体レーザから射出されたレーザ光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状である。いずれの形状においても、本発明を適用することは可能である。
【0066】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例によりさらに詳細な説明を行うこととする。
【0067】
【実施例】
[実施例1]
本実施例では、4台のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図3および図4を用いて説明する。
【0068】
レーザ131a〜131dからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ131a〜131dとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ131a〜131dから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0069】
本実施例では、連続発振のYVO4レーザを用い、非線形光学素子により第2高調波に変換する。レーザ光のビーム径は2.25mmであり、拡がり角は0.35mradとする。
【0070】
また、図示しないがアイソレータ―を設置するのが望ましい。本実施例における光学系は対称的な配置となっているため、照射面でのそれぞれの反射光が互いのレーザに対して、戻り光と同様な悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0071】
また、図示しないがビームエキスパンダーを設置してレーザ光の長尺方向および短尺方向を拡大してもよい。ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものである。
【0072】
レーザ131a〜131dから射出されたレーザ光は、反射面を有するスリット132a〜132dにより2方向に分割される。ただし、スリット132a〜132dはそれぞれのレーザ光に対して設置する位置が異なっているため、異なる位置のレーザ光のみが直進する。その様子を図4を用いて説明する。図4はレーザの進行方向に対して垂直な断面でのレーザ光の形状を示している。図4(A)はレーザ131aから発振されたレーザ光を示しており、スリット132aにより第1のレーザ光は直進し、第2〜第4のレーザ光は反射されてダンパー137に吸収される。図4(B)はレーザ131bから発振されたレーザ光を示しており、スリット132bにより第2のレーザ光は直進し、第1、第3、第4のレーザ光は反射されてダンパー137に吸収される。図4(C)はレーザ131cから発振されたレーザ光を示しており、スリット132cにより第3のレーザ光は直進し、第1、第2、第4のレーザ光は反射されてダンパー137に吸収される。図4(D)はレーザ131dから発振されたレーザ光を示しており、スリット132dにより第4のレーザ光は直進し、第1〜第3のレーザ光は反射されてダンパー137に吸収される。このように、スリット132a〜132dは、それぞれのレーザ光の異なるエネルギー分布を有するレーザ光を直進させ、それ以外のレーザ光を反射させる役割を有している。
【0073】
次いで、スリット132a〜132dを経由したレーザ光は、プリズム133a〜133dによって進行方向が曲げられる。プリズム133a〜133dはそれぞれのレーザ光を同じ照射位置で合成するために設置している。
【0074】
そして、照射面に到達するレーザ光が元のレーザ光の端部のレーザ光である場合、シリンドリカルレンズ134a、134dによりレーザ光の長尺方向の長さを拡大させるのが望ましい。図4で示したように、レーザ光の両端は中央付近に比べて短いため、中央付近と同様の長さにしておくと、照射面またはその近傍で合成されたときに、均一性の高い矩形状ビームが得られるためである。本実施例では焦点距離50mmのシリンドリカルレンズを曲率が長尺方向に平行になるように設置した。
【0075】
以上のような構成でなる光学系により照射面において図4(E)のように合成される。また、照射面において形成されるレーザ光の形状をシミュレーションした結果を図5に示す。図5より、7.1mm×22.2mmの矩形状ビームが得られることが分かる。この矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉が起こらない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面において合成されているため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームになっている。
【0076】
そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。
【0077】
なお、本実施例ではレーザの台数を4、分割数を4としているが、これらに限定はない。
【0078】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0079】
[実施例2]
本実施例では、3台のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図6を用いて説明する。
【0080】
レーザ121a〜121cからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ121a〜121cとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ121a〜121cから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0081】
本実施例では、パルス発振のYAGレーザを用い、非線形光学素子により第2高調波に変換して用いる。
【0082】
そして、射出されたそれぞれのレーザ光は、ビームエキスパンダー122a〜122c、123a〜123cにより拡大される。なお、ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものであり、レーザ光の大きさ等によっては用いなくてもよい。また、シリンドリカルレンズ122a〜122c、123a〜123cは合成石英ガラス製とすれば、高い透過率が得られるので望ましい。また、シリンドリカルレンズ122a〜122c、123a〜123cの表面に施されているコーティングは、使用するレーザ光の波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するのが望ましい。
【0083】
ビームエキスパンダー122a〜122c、123a〜123cから射出されたレーザ光は、ミラーとシリンドリカルレンズを組み合わせた光学系124a〜124cにより2方向に分割される。光学系124aにより、レーザ121aから発振されたレーザ光は3分割のうちの左のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー126へ到達する。光学系124bにより、レーザ121bから発振されたレーザ光は3分割のうちの中央のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー126へ到達する。光学系124cにより、レーザ121cから発振されたレーザ光は3分割のうちの右のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー126へ到達する。このように、光学系124a〜124cにより直進するレーザ光と反射するレーザ光が決定する。
【0084】
もちろん、それぞれのレーザ光をシリンドリカルレンズアレイに入射させて分割した後、反射面を有するスリットにより、所望の領域のレーザ光のみ取り出すこともできる。
【0085】
なお、図示しないが、照射面に到達するレーザ光が元のレーザ光の端部のレーザ光である場合、中央付近のレーザ光に比べて長尺方向が短いため、シリンドリカルレンズ等により拡大するのが望ましい。
【0086】
光学系124a〜124cを経たレーザ光はシリンドリカルレンズ125により、照射面またはその近傍で合成され、矩形状ビームが形成する。このようにして形成された矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉しない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面またはその近傍において合成されるため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームが形成される。
【0087】
そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。
【0088】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、3つのレーザを用い、レーザ光の分割数を3としているが、これに限らない。
【0090】
なお、本実施例は実施例1と自由に組み合わせることが可能である。
【0091】
[実施例3]
本実施例では、2つのレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせ、複数のレーザ光を同時に形成するための光学系の例について図7を用いて説明する。
【0092】
レーザ141a、141bからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ141a、141bとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ141a、141bから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0093】
本実施例では、連続発振のYAGレーザを用い、非線形光学素子により第3高調波に変換して用いる。
【0094】
そして、射出されたそれぞれのレーザ光は、ビームエキスパンダー142a、143aまたは142b、143bにより拡大される。なお、ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものであり、レーザ光の大きさ等によっては用いなくてもよい。また、シリンドリカルレンズ142a、143a、142b、143bは合成石英ガラス製とすれば、高い透過率が得られるので望ましい。また、シリンドリカルレンズ142a、143a、142b、143bの表面に施されているコーティングは、使用するレーザ光の波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するのが望ましい。
【0095】
ビームエキスパンダー142、143から射出されたレーザ光は、ミラーとシリンドリカルレンズを組み合わせた光学系144a、144bにより2方向に分割される。光学系144aにより、レーザ141aから発振されたレーザ光は2分割のうちの左のレーザ光が直進し、右のレーザ光はミラーにより反射する。光学系144bにより、レーザ141bから発振されたレーザ光は2分割のうちの左のレーザ光が直進し、右のレーザ光はミラーにより反射する。このように、光学系144a、144bにより直進するレーザ光と反射するレーザ光が決定する。
【0096】
光学系144a、144bにより直進するレーザ光はシリンドリカルレンズ147aにより照射面またはその近傍で合成され、矩形状ビームが形成する。このようにして形成された矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉しない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面またはその近傍において合成されているため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームが形成される。
【0097】
一方、光学系144a、144bにより反射するレーザ光はシリンドリカルレンズ146a、146b、およびシリンドリカルレンズ147bにより、照射面またはその近傍で合成され、矩形状ビームが形成される。このようにして形成された矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉しない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面またはその近傍において合成されているため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームが形成される。
【0098】
そして、このようにして形成される複数の矩形状ビームを照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。また、複数の矩形状ビームが形成されているため、スループットを向上させることが可能となる。
【0099】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0100】
また、本実施形態では、2つのレーザを用い、レーザ光の分割数を2としているが、これに限らないし、形成される矩形状ビームの数も2に限定するものではない。
【0101】
なお、本実施例は実施例1または実施例2と自由に組み合わせることが可能である。
【0102】
[実施例4]
本実施例では、4台のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図8を用いて説明する。
【0103】
レーザ151a〜151dからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ151a〜151dとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ151a〜151cから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0104】
本実施例では、パルス発振のYAGレーザを用い、非線形光学素子により第2高調波に変換して用いる。YAGレーザの第2高調波は、ガラス基板や石英基板を透過するので、本実施例のように基板の両側から照射するときに用いるのに好ましい。
【0105】
そして、射出されたそれぞれのレーザ光は、ビームエキスパンダー152a〜152d、153a〜153dにより拡大される。なお、ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものであり、レーザ光の大きさ等によっては用いなくてもよい。また、シリンドリカルレンズ152a〜152d、153a〜153dは合成石英ガラス製とすれば、高い透過率が得られるので望ましい。また、シリンドリカルレンズ152a〜152d、153a〜153dの表面に施されているコーティングは、使用するレーザ光の波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するのが望ましい。
【0106】
ビームエキスパンダー152a〜152d、153a〜153dから射出されたレーザ光は、ミラーとシリンドリカルレンズを組み合わせた光学系154a〜154dにより2方向に分割される。光学系154aにより、レーザ151aから発振されたレーザ光は4分割のうちの最も左のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー156aへ到達する。光学系154bにより、レーザ151bから発振されたレーザ光は4分割のうちの左から2番目のレーザ光のみが直進し、それ以外の領域はミラーにより反射してダンパー156aへ到達する。光学系154cにより、レーザ151cから発振されたレーザ光は4分割のうちの右から2番目のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー156cへ到達する。光学系154dにより、レーザ151dから発振されたレーザ光は4分割のうちの最も右のレーザ光のみが直進し、それ以外のレーザ光はミラーにより反射してダンパー156cへ到達する。このように、光学系154a〜154dにより直進するレーザ光と反射するレーザ光が決定する。
【0107】
もちろん、それぞれのレーザ光をシリンドリカルレンズアレイに入射させて分割した後、反射面を有するスリットにより、所望の領域のレーザ光のみ取り出すこともできる。
【0108】
なお、図示しないが、分割された領域のうち端部のレーザ光は中央付近のレーザ光に比べて長尺方向が短いため、シリンドリカルレンズ等により拡大するのが望ましい。
【0109】
光学系154a〜154dを経たレーザ光はシリンドリカルレンズ155a、155cにより、照射面またはその近傍で合成され、矩形状ビームが形成する。このようにして形成された矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉しない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面またはその近傍において合成されるため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームが形成される。
【0110】
そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。
【0111】
基板の片側から複数のレーザ光を同じ照射位置で合成すると、それぞれの光路長が異なり、レーザ光が有する拡がり角によりビームが不必要に拡大してしまい、エネルギー分布の均一性が低下することもある。本実施例の構成では、それぞれのレーザ光の照射面までの光路長が等しいため、そのような問題は発生しない。
【0112】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0113】
また、本実施形態では、4つのレーザを用い、レーザ光の分割数を4としているが、これに限らない。
【0114】
なお、本実施例は実施例1乃至3と自由に組み合わせることが可能である。
【0115】
[実施例5]
本実施例では、4つのレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせて合成し、基板の両側から照射するための光学系の例について図9を用いて説明する。
【0116】
図9において、レーザ101a、101b、アイソレーター102a、102bビームエキスパンダー103a、104aまたは103b、104b、ミラー105a、105b、ミラー106a、106b、被照射体108、ステージ109で構成される光学系は、実施形態1で説明した構成(図1)と同様である。
【0117】
本実施例では、レーザとしてYLFレーザを用い、第2高調波に変換して用いる。YLFレーザの第2高調波は、ガラス基板や石英基板を透過するので、本実施例のように基板の両側から照射するときに用いるのに好ましい。また、透過しない波長であっても、基板を部分的にアニールすることができるため、本実施例に用いることは可能である。
【0118】
被照射体108に対して対称的に、図1と同じ構成のレーザ101c、101d、アイソレーター102c、102dビームエキスパンダー103c、104cまたは103d、104d、ミラー105c、105d、ミラー106c、106dからなる光学系を配置する。
【0119】
このような構成により、基板の両側から矩形状ビームを照射することができる。そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば110で示す方向または111で示す方向に被照射体108に対して相対的に移動することで、被照射体108において所望の領域または全面を照射することができる。
【0120】
基板の両側から照射することで、エネルギー密度を高めることが可能となる。また、基板の片側から複数のレーザ光を同じ照射位置で合成すると、それぞれの光路長が異なり、レーザ光が有する拡がり角によりビームが不必要に拡大してしまい、エネルギー分布の均一性が低下することもある。本実施例の構成では、それぞれのレーザ光の照射面までの光路長が等しいため、そのような問題は発生しない。
【0121】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0122】
また、本実施例では、4つのレーザを用い、レーザ光の分割数を2としているが、これに限らない。
【0123】
なお、本実施例は実施例1乃至4と自由に組み合わせることが可能である。
【0124】
[実施例6]
本実施例では、4台のレーザから発振されたレーザ光を分割し、エネルギー分布が互いに異なるレーザ光を重ね合わせるための光学系の例について図4、図24及び図25を用いて説明する。
【0125】
レーザ131a〜131dからそれぞれレーザ光が射出される。ここで、レーザ131a〜131dとして、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザを用いる。なお、前記固体レーザとしては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。また、レーザ131a〜131dから発振されるレーザ光は非線形光学素子により高調波に変換してもよい。
【0126】
本実施例では、連続発振のYVO4レーザを用い、非線形光学素子により第2高調波に変換する。レーザ光のビーム径は2.25mmであり、拡がり角は0.35mradとする。
【0127】
また、図示しないがアイソレータ―を設置するのが望ましい。本実施例における光学系は対称的な配置となっているため、照射面でのそれぞれの反射光が互いのレーザに対して、戻り光と同様な悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0128】
また、図示しないがビームエキスパンダーを設置してレーザ光の長尺方向および短尺方向を拡大してもよい。ビームエキスパンダーはレーザから射出されたレーザ光の形状が小さい場合に特に有効なものである。
【0129】
レーザ131a〜131dから射出されたレーザ光は、反射面を有するスリット132a〜132dにより2方向に分割される。ただし、スリット132a〜132dはそれぞれのレーザ光に対して設置する位置が異なっているため、異なる位置のレーザ光のみが直進する。その様子を図4を用いて説明する。図4はレーザの進行方向に対して垂直な断面でのレーザ光の形状を示している。図4(A)はレーザ132aから発振されたレーザ光を示しており、スリット132aにより第1のレーザ光は直進し、第2〜第4のレーザ光は反射されてダンパー135aに吸収される。図4(B)はレーザ132bから発振されたレーザ光を示しており、スリット132bにより第2のレーザ光は直進し、第1、第3、第4のレーザ光は反射されてダンパー135aに吸収される。図4(C)はレーザ132cから発振されたレーザ光を示しており、スリット132cにより第3のレーザ光は直進し、第1、第2、第4のレーザ光は反射されてダンパー135cに吸収される。図4(D)はレーザ132dから発振されたレーザ光を示しており、スリット132dにより第4のレーザ光は直進し、第1〜第3のレーザ光は反射されてダンパー135cに吸収される。このように、スリット132a〜132dは、それぞれのレーザ光の異なるエネルギー分布を有するレーザ光を直進させ、それ以外のレーザ光を反射させる役割を有している。
【0130】
次いで、スリット132a〜132dを経由したレーザ光は、凸レンズ134a〜134dに対して斜めに入射する。このようにすることで、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面またはその近傍において矩形状ビーム106を形成することができる。本実施例では、凸レンズ134a、134dの曲率半径を7mm、凸レンズ134b、134cの曲率半径を9mmとした。図4で示したように、レーザ光の両端は中央付近に比べて短い。そのため、曲率半径を変える事で、元のレーザ光の端部のレーザ光の長尺方向の長さが、元のレーザ光の中央のレーザ光よりも拡大され、照射面またはその近傍で合成されたときに、均一性の高い矩形状ビームを得ることができる。他にも、照射面に到達するレーザ光が元のレーザ光の端部のレーザ光である場合に、シリンドリカルレンズなどによりレーザ光の長尺方向の長さを拡大させる方法も挙げられる。
【0131】
以上のような構成でなる光学系により照射面において形成されるレーザ光の形状の模式図は図4(E)のようになり、シミュレーションにより得られた結果について図25に示す。図25より、190μm×950μmの矩形状ビームが得られることが分かる。この矩形状ビームは異なるレーザから発振されたものであるため干渉が起こらない。また、異なるエネルギー分布を有する複数のレーザ光が照射面において合成されているため、エネルギー分布の均一性の優れた矩形状ビームになっている。
【0132】
そして、このようにして形成される矩形状ビームを照射しながら、例えば108で示す方向または109で示す方向に被照射体105に対して相対的に移動することで、被照射体105において所望の領域または全面を照射することができる。
【0133】
なお、本実施例ではレーザの台数を4、分割数を4としているが、これらに限定はない。
【0134】
このようなレーザ照射装置を用いて半導体膜のアニールを行えば、該半導体膜を結晶化させたり、結晶性を向上させて結晶性半導体膜を得たり、不純物元素の活性化を行うことができる。
【0135】
[実施例7]
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図12〜図15を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0136】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板400を用いる。なお、基板400としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。なお、本発明はエネルギー分布が同一である矩形状ビームを複数形成できるので、複数の矩形状ビームにより大面積基板を効率良くアニールすることが可能である。
【0137】
次いで、基板400上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜401を公知の手段により形成する。本実施例では下地膜401として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。
【0138】
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで半導体膜を成膜し、レーザ結晶化法により結晶化させる。レーザ結晶化法は、実施例1乃至6のいずれか一、またはこれらの実施例を自由に組み合わせて、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。もちろん、レーザ結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。前記半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜、結晶性半導体膜などがあり、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。
【0139】
本実施例では、プラズマCVD法を用い、50nmの非晶質珪素膜を成膜し、この非晶質珪素膜に結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法およびレーザ結晶化法を行う。金属元素としてニッケルを用い、溶液塗布法により非晶質珪素膜上に導入した後、550℃で5時間の熱処理を行って第1の結晶性珪素膜を得る。そして、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により第2高調波に変換したのち、実施例1乃至6のいずれか一に示す光学系、またはこれらの実施例を組み合わせた光学系により矩形状ビームを形成して照射して第2の結晶性珪素膜を得る。前記第1の結晶性珪素膜にレーザ光を照射して第2の結晶性珪素膜とすることで、結晶性が向上する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的にステージを動かして照射し、結晶性珪素膜を形成する。また、パルス発振のエキシマレーザを用いる場合には、レーザエネルギー密度を100〜1000mJ/cm2(代表的には200〜800mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。
【0140】
もちろん、第1の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製することもできるが、第2の結晶性珪素膜は結晶性が向上しているため、TFTの電気的特性が向上するので望ましい。例えば、第2の結晶性珪素膜を用いてTFTを作製すると、移動度は500〜600cm2/Vs程度の高い値を得る。
【0141】
このようにして得られた結晶性半導体膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層402〜406を形成する。
【0142】
また、半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0143】
次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜を形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0144】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0145】
次いで、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成する。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。
【0146】
なお、本実施例では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしているが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
【0147】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。(図12(B))本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0148】
この後、レジストからなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0149】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0150】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。(図12(C))ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層428b〜433bを形成する。一方、第1の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層428〜433を形成する。
【0151】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2とし、加速電圧を40〜80keVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013/cm2とし、加速電圧を60keVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層428〜433がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域423〜427が形成される。不純物領域423〜427には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0152】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク434a〜434cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015/cm2とし、加速電圧を60〜120keVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層428b〜432bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図13(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017/cm2とし、加速電圧を50〜100keVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域436、442、448には1×1018〜5×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域435、441、444、447には1×1019〜5×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素が添加される。
【0153】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0154】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク450a〜450cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域453、454、459、460を形成する。第1の導電層429a、432aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域453、454、459、460はジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する。(図13(B))この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク450a〜450cで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域453、454、459、460にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0155】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
【0156】
次いで、レジストからなるマスク450a〜450cを除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0157】
次いで、図13(C)に示すように、レーザ光を照射して、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。レーザ活性化は、実施例1乃至6のいずれか一、またはこれらの実施例を自由に組み合わせて、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしては連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振またはパルス発振のエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。エキシマレーザは通常パルス発振ではあるが、連続発振も原理的に可能という説もある。本発明に連続発振のエキシマレーザも適用できる。このとき、連続発振のレーザを用いるのであれば、レーザ光のエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)が必要であり、レーザ光に対して相対的に基板を0.5〜2000cm/sの速度で移動させる。また、パルス発振のレーザを用いるのであれば、レーザエネルギー密度を50〜1000mJ/cm2(代表的には50〜500mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。なお、レーザニール法の他に、熱アニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)などを適用することができる。
【0158】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化を行っても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行うことが好ましい。
【0159】
そして、熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜461に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行っても良い。
【0160】
次いで、第1の層間絶縁膜461上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜462を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いる。
【0161】
本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹(図示しない)が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行うことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。
【0162】
また、第2の層間絶縁膜462として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。
【0163】
そして、駆動回路506において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい。(図14)
【0164】
また、画素部507においては、画素電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。この接続電極468によりソース配線(433aと433bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極470は、画素TFTのドレイン領域と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層と電気的な接続が形成される。また、画素電極470としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
【0165】
以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0166】
駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域437、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層428aと重なる低濃度不純物領域436(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域452を有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域445、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域453と、低濃度不純物領域454を有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域443、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層430aと重なる低濃度不純物領域442(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域456を有している。
【0167】
画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域446、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域445(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域458を有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層には、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜416を誘電体として、電極(432aと432bの積層)と、半導体層とで形成している。
【0168】
本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0169】
また、本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図15に示す。なお、図12〜図15に対応する部分には同じ符号を用いている。図14中の鎖線A−A’は図15中の鎖線A―A’で切断した断面図に対応している。また、図14中の鎖線B−B’は図15中の鎖線B―B’で切断した断面図に対応している。
【0170】
[実施例8]
本実施例では、実施例7で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図16を用いる。
【0171】
まず、実施例5に従い、図14の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図14のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極470上に配向膜567を形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜567を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ572を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0172】
次いで、対向基板569を用意する。次いで、対向基板569上に着色層570、571、平坦化膜573を形成する。赤色の着色層570と青色の着色層571とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。
【0173】
本実施例では、実施例5に示す基板を用いている。従って、実施例5の画素部の上面図を示す図15では、少なくともゲート配線469と画素電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と画素電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。
【0174】
このように、ブラックマトリクス
等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。
【0175】
次いで、平坦化膜573上に透明導電膜からなる対向電極576を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜574を形成し、ラビング処理を施した。
【0176】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材568で貼り合わせる。シール材568にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料575を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料575には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図16に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。
【0177】
以上のようにして作製される液晶表示装置はエネルギー分布の均一なレーザ光により一様にアニールされた半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0178】
なお、本実施例は実施例1乃至7と自由に組み合わせることが可能である。
【0179】
[実施例9]
本実施例では、実施例7で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置を作製した例について説明する。本明細書において、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFTを備えた表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)があり、これらのうちどちらか、あるいは両方の発光を含む。
【0180】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0181】
図17は本実施例の発光装置の断面図である。図17において、基板700上に設けられたスイッチングTFT603は図14のnチャネル型TFT503を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT503の説明を参照すれば良い。
【0182】
なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0183】
基板700上に設けられた駆動回路は図14のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0184】
また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。
【0185】
なお、電流制御TFT604は図14のpチャネル型TFT502を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0186】
また、配線706は電流制御TFT604のソース配線(電流供給線に相当する)であり、707は電流制御TFT604のドレイン配線であり、画素電極711上に重ねることで画素電極711と電気的に接続する電極である。
【0187】
なお、711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜710上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦化膜710を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0188】
配線701〜707を形成後、図17に示すようにバンク712を形成する。バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。
【0189】
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
【0190】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図17では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0191】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0192】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0193】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0194】
発光素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0195】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0196】
さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)や可撓性基板の両面に炭素膜(好ましくはDLC膜)を形成したものを用いる。炭素膜以外にもアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、SiNなどを用いることができる。
【0197】
こうして図17に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0198】
こうして、基板700上にnチャネル型TFT601、pチャネル型TFT602、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)603および電流制御TFT(pチャネル型TFT)604が形成される。
【0199】
さらに、図17を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。
【0200】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0201】
以上のようにして作製される発光装置はエネルギー分布の均一なレーザ光により一様にアニールされた半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性が十分なものとなり得る。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【0202】
なお、本実施例は実施例1乃至7と自由に組み合わせることが可能である。
【0203】
[実施例10]
本発明を適用して、様々な半導体装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型発光装置、アクティブマトリクス型EC表示装置)を作製することができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
【0204】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの例を図18、図19及び図20に示す。
【0205】
図18(A)はパーソナルコンピュータであり、本体3001、画像入力部3002、表示部3003、キーボード3004等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3003に適用することで、本発明のパーソナルコンピュータが完成する。
【0206】
図18(B)はビデオカメラであり、本体3101、表示部3102、音声入力部3103、操作スイッチ3104、バッテリー3105、受像部3106等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3102に適用することで、本発明のビデオカメラが完成する。
【0207】
図18(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体3201、カメラ部3202、受像部3203、操作スイッチ3204、表示部3205等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3205に適用することで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
【0208】
図18(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体3301、表示部3302、アーム部3303等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3302に適用することで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
【0209】
図18(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体3401、表示部3402、スピーカ部3403、記録媒体3404、操作スイッチ3405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明により作製された半導体装置を表示部3402に適用することで、本発明の記録媒体が完成する。
【0210】
図18(F)はデジタルカメラであり、本体3501、表示部3502、接眼部3503、操作スイッチ3504、受像部(図示しない)等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3502に適用することで、本発明のデジタルカメラが完成する。
【0211】
図19(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602等を含む。本発明により作製された半導体装置を投射装置3601の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のフロント型プロジェクターが完成する。
【0212】
図19(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704等を含む。本発明により作製された半導体装置を投射装置3702の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のリア型プロジェクターが完成する。
【0213】
なお、図19(C)は、図19(A)及び図19(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系3810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図19(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0214】
また、図19(D)は、図19(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクター3811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で構成される。なお、図19(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0215】
ただし、図19に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び発光装置での適用例は図示していない。
【0216】
図20(A)は携帯電話であり、本体3901、音声出力部3902、音声入力部3903、表示部3904、操作スイッチ3905、アンテナ3906等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部3904に適用することで、本発明の携帯電話が完成する。
【0217】
図20(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体4001、表示部4002、4003、記憶媒体4004、操作スイッチ4005、アンテナ4006等を含む。本発明により作製された半導体装置は表示部4002、4003に適用することで、本発明の携帯書籍が完成する。
【0218】
図20(C)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103等を含む。本発明により作製された半導体装置を表示部4103に適用することで、本発明のディスプレイが完成する。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0219】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、さまざまな分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜8または9の組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【0220】
【発明の効果】
本発明の構成を採用することにより、以下に示すような基本的有意性を得ることが出来る。
(a)照射面またはその近傍の平面においてエネルギー分布の均一性の非常に優れたレーザ光を形成することを可能とする。そのため、被照射体に対して一様にアニールすることを可能とする。
(b)異なるレーザから発振されたレーザ光を合成するため、干渉が起こらない。これは干渉性の高いレーザを用いる場合に特に有効である。
(c)スループットを向上させることを可能とする。これは、大面積基板の場合に特に有効である。
(d)以上の利点を満たした上で、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に代表される半導体装置において、半導体装置の動作特性および信頼性の向上を実現することができる。さらに、半導体装置の製造コストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学系の例を示す図。
【図2】 図1の光学系により分割されるレーザ光の様子の例を示す図。
【図3】 本発明の光学系の例を示す図。
【図4】 図3の光学系により分割されるレーザ光の様子の例を示す図。
【図5】 図3の光学系により照射面において形成される矩形ビームの形状の例を示す図。
【図6】 本発明の光学系の例を示す図。
【図7】 本発明の光学系の例を示す図。
【図8】 本発明の光学系の例を示す図。
【図9】 本発明の光学系の例を示す図。
【図10】 従来の光学系の例を示す図。
【図11】 (A)従来の光学系により形成されるレーザ光のエネルギー密度の分布の例を示す図。
(B) 図11(A)で示すレーザ光により大面積基板をアニールする例を示す図。
【図12】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図13】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図14】 画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
【図15】 画素TFTの構成を示す上面図。
【図16】 アクティブマトリクス型液晶表示装置の断面図。
【図17】 発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。
【図18】 半導体装置の例を示す図。
【図19】 半導体装置の例を示す図。
【図20】 半導体装置の例を示す図。
【図21】 本発明の光学系の例を示す図。
【図22】 図21の光学系により分割されるレーザ光の様子の例を示す図。
【図23】 被照射体に対するレーザ光の入射角度θを求めるための図。
【図24】 本発明の光学系の例を示す図。
【図25】 本発明により照射面において形成されるレーザ光の形状の例を示す図。

Claims (14)

  1. 複数のレーザと、
    該複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光のスポットを切断し各々複数の第2のレーザ光のスポットに分割する手段と、
    複数の前記第1のレーザ光のスポットの各々において、前記第2のレーザ光のスポットから1つずつ選択して照射面において同一領域で合成する手段と、
    を有することを特徴とするレーザ照射装置。
  2. 複数のレーザと、
    該複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光のスポットを切断し各々複数の第2のレーザ光のスポットに分割する手段と、
    複数の前記第1のレーザ光のスポットの各々において、前記第2のレーザ光のスポットから互いに異なるエネルギー分布を有するレーザ光のスポットを1つずつ選択して照射面において同一領域で合成する手段と、
    を有することを特徴とするレーザ照射装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記照射面において同一領域で合成されて形成されるレーザ光の形状は、線状であることを特徴とするレーザ照射装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記合成する手段は、ミラー、シリンドリカルレンズから選ばれた一種または複数種である
    ことを特徴とするレーザ照射装置。
  5. 複数のレーザと、
    該複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光のスポットを切断し各々複数の第2のレーザ光のスポットに分割する手段と、
    前記複数の第2のレーザ光に対して斜めに設置される凸レンズと、
    複数の前記第1のレーザ光のスポットの各々において、前記凸レンズを射出した第2のレーザ光のスポットから1つずつ選択して照射面において同一領域で合成する手段とを有し、
    前記照射面は前記凸レンズを経由したレーザ光が前記被照射面に対して斜めに入射されるように設置され、
    前記凸レンズにより被照射面において前記レーザ光の形状は線状に形成される
    ことを特徴とするレーザ照射装置。
  6. 複数のレーザと、
    該複数のレーザから発振される複数の第1のレーザ光のスポットを切断し各々複数の第2のレーザ光のスポットに分割する手段と、
    前記複数の第2のレーザ光に対して斜めに設置される凸レンズと、
    複数の前記第1のレーザ光のスポットの各々において、前記凸レンズを射出した第2のレーザ光のスポットから互いに異なるエネルギー分布を有するレーザ光のスポットを1つずつ選択して照射面において同一領域で合成する手段とを有し、前記照射面は前記凸レンズを経由したレーザ光が前記被照射面に対して斜めに入射されるように設置され、
    前記凸レンズにより被照射面において前記レーザ光の形状は線状に形成される
    ことを特徴とするレーザ照射装置。
  7. 請求項5または請求項6において、
    基板上に設置された被照射体に入射する前記レーザ光のビーム長をw、前記基板の厚さをdとすると、前記被照射体に対して入射する前記レーザ光の入射角θは、
    θ≧arctan(w/(2×d))
    を満たすことを特徴とするレーザ照射装置。
  8. 請求項5乃至7のいずれか一項において、
    前記被照射体に対して入射する前記レーザ光の入射角θがブリュ−スター角であることを特徴とするレーザ照射装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項において、
    前記分割する手段は、スリット、ミラー、プリズム、シリンドリカルレンズ、シリンドリカルレンズアレイから選ばれた一種または複数種である
    ことを特徴とするレーザ照射装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項において、
    前記レーザは、連続発振またはパルス発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザであることを特徴とするレーザ照射装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項において、
    前記レーザは、連続発振またはパルス発振のYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y23レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザから選ばれた一種であることを特徴とするレーザ照射装置。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項において、
    前記レーザは、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザから選ばれた一種であることを特徴とするレーザ照射装置。
  13. 請求項1乃至10のいずれか一項において、
    前記レーザは、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザから選ばれた一種であることを特徴とするレーザ照射装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項において、
    前記レーザ光は、非線形光学素子により高調波に変換されていることを特徴とするレーザ照射装置。
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