JP2006165510A - 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを製造することができる薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法、表示装置を提供する。
【解決手段】横方向に結晶成長された半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、ドレイン領域又はソース領域のチャネル領域側端部は結晶成長の終了位置8付近に位置するように設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】横方向に結晶成長された半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、ドレイン領域又はソース領域のチャネル領域側端部は結晶成長の終了位置8付近に位置するように設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法および表示装置に関するものである。
従来、たとえば液晶表示装置(Liquid-Crystal Display:LCD)の画素に印加する電圧を制御するスイッチング素子、制御回路などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin-Film-Transistor:TFT)の半導体薄膜には、非晶質シリコン(amorphous-Silicon)薄膜や多結晶シリコン(poly-Silicon)薄膜が用いられている。
上記多結晶シリコン薄膜を半導体薄膜として形成したTFTは、非晶質シリコン薄膜を半導体薄膜として形成したTFTよりもチャネル領域を移動する電子又は正孔の移動度が高い。したがって、多結晶シリコン薄膜を用いたトランジスタの方が、非晶質シリコン薄膜を用いたトランジスタよりも、スイッチング速度が速くなる。このためLCDの画素選択回路だけではなく、LCDを駆動するための周辺駆動回路も薄膜トランジスタで構成することが可能になる。さらに、他の部品の設計マージンを広げられるなどの利点がある。また、ドライバ回路やDACなどの周辺駆動回路などは、ディスプレイに組み入れることにより、低コスト化、高精細化、小型化が可能となる。
本発明者等は、単結晶シリコン薄膜上にTFTを形成することにより、さらにチャネル領域を移動する電子又は正孔の移動度を高くした液晶表示装置を開発している。この開発課題は、非晶質シリコン薄膜に1又は数個のTFTが形成できる大きさの大粒径結晶化領域を形成することである。この大粒径結晶化領域を形成する方法として、下記非特許文献1および非特許文献2に記載された結晶化方法がそれぞれ提案されている。本件特許出願人は、この大粒径結晶化技術の工業化の研究を行っている。大粒径結晶化領域の工業化が実現すると液晶表示装置は、各画素の切換えスイッチングトランジスタのみに限らずDRAMやSRAMなどのメモリ回路や、論理演算回路などもガラス基板上に製造することが可能になり、液晶表示装置などの省電力化、小型化が可能になる。
"エキシマレーザーを用いた巨大結晶粒Si膜の形成方法"松村正清、表面科学、Vol.21、No.5pp.278-287、2000 "エキシマレーザー光照射による巨大結晶粒Si膜の形成方法"松村正清、応用物理、第71巻、第5号pp.543-547、2000
"エキシマレーザーを用いた巨大結晶粒Si膜の形成方法"松村正清、表面科学、Vol.21、No.5pp.278-287、2000 "エキシマレーザー光照射による巨大結晶粒Si膜の形成方法"松村正清、応用物理、第71巻、第5号pp.543-547、2000
本発明者等は、鋭意研究の結果、大粒径結晶成長の工業化技術を開発した。さらに、この大粒径結晶成長領域に、より高性能なTFTを形成する製造技術の開発を行っている。大粒径結晶成長された単結晶シリコンの表面は、シリコンウエハと異なり微視的に平坦な薄膜でないことや、結晶粒界が複雑で結晶化領域に単にTFTを形成したのでは、所望する特性を得ることができないことが判った。本発明は、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを製造することができる薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法、表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の薄膜トランジスタは、厚み方向に直交する横方向に結晶成長された半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記結晶成長の終了位置付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを製造することができる。
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記結晶成長の終了位置付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、厚み方向に直交する横方向に結晶成長し結晶成長終了方向に隆起した傾斜面を有する半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記傾斜面の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを結晶化領域に製造することができる。
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記傾斜面の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを結晶化領域に製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、結晶成長開始位置から結晶成長方向に成長するシリコン膜において結晶成長終了点に向かって膜厚が増加する傾斜面を有する半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は膜厚が増加する前記半導体薄膜の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを結晶化領域に製造することができる。
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は膜厚が増加する前記半導体薄膜の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする。このように構成された薄膜トランジスタは、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを結晶化領域に製造することができる。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、逆ピーク状の光強度分布を有する変調レーザ光を非単結晶半導体膜に照射して照射領域に断面山形状結晶化半導体薄膜を形成する工程と、前記山形状結晶化半導体薄膜の頂部付近に、前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部を位置決めして、該位置決め部位に薄膜トランジスタを形成する工程とを具備してなることを特徴とする。この薄膜トランジスタの製造方法は、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを結晶化領域に製造することができる。
本発明の表示装置は、信号線駆動回路や走査線駆動回路などの高速動作を要求される周辺回路部を上記薄膜トランジスタで構成したものである。この表示装置は、周辺回路部やメモリ回路部等の能動素子を内包したシステムディスプレイを実現することができる。
本発明によれば、より高い電子(又は正孔)の移動度を有するTFTを得ることができる。
次に、図1を参照して本発明薄膜トランジスタの実施形態を説明する。図1は、薄膜トランジスタが形成された領域を拡大して示す断面図である。この実施形態には、次の特徴がある。
非単結晶半導体層が横方向に結晶成長した結晶化領域は、結晶成長開始位置から水平方向に結晶成長し結晶成長終了位置において隆起した形状であることが判った。即ち、非単結晶半導体層が横方向に結晶成長した結晶化領域は、結晶成長開始位置から結晶成長方向に成長するシリコン膜において結晶成長終了点に向かって膜厚が増加する傾斜面を有する。このような結晶化領域は、TFTの上記結晶成長方向にチャネル領域での電子又は正孔の移動度(μFE)が増加し、結晶成長終了部付近で顕著に増加することを見出し、この実施形態は、この特性を利用することである。即ち、このような結晶化領域へのTFTの形成は、結晶成長終了位置付近に、ドレイン領域又はソース領域のチャネル領域側端部を配置するように位置決めして形成したとき、上記電子又は正孔の移動度(μFE)が最大となる。
さらに、非単結晶半導体層が横方向に結晶化された結晶化領域は、結晶成長開始位置から水平方向に結晶成長し結晶成長終了位置方向に隆起した傾斜面を有する半導体薄膜でもある。理由は明らかではないが、この隆起部は、レーザフルェンスが大きく左右から結晶成長した結晶同士が衝突するので、膜応力が大きく、アブレーションも生ずる領域で特性が低下する領域と考えられる。ドレイン領域又はソース領域のチャネル領域側端部は、上記傾斜面の頂点付近に配置される。さらにまた、非単結晶半導体層が横方向に結晶成長した結晶化領域は、結晶成長開始位置から水平方向に膜厚が単調に増加する傾斜面を有する半導体薄膜である。ドレイン領域又はソース領域のチャネル領域側端部は、上記膜厚が単調に増加する傾斜面の頂点付近に配置される。上記非単結晶半導体膜には、多結晶半導体膜や非晶質半導体膜などがある。
次に、液晶表示装置を駆動するTFTの具体的構成例を、図1を参照して説明する。図1のTFT1は、トップゲート型薄膜トランジスタの構造である。基板は、絶縁体でも半導体基板でも金属基板でもよい。絶縁基板例えばガラス基板2上には、絶縁膜例えは酸化シリコン膜3が設けられている。この酸化シリコン膜3は、熱酸化膜であり厚さ例えば1μmに成膜される。この酸化シリコン膜3上には、非単結晶半導体膜例えば非晶質シリコン膜4が設けられている。この非晶質シリコン膜4は、膜厚例えば200nmにプラズマCVDにより成膜される。
この非晶質シリコン膜4の全面又は予め定められた領域には、結晶化領域が設けられている。この結晶化領域は、逆ピークパターン状の光強度分布を有し、非晶質シリコン膜4を溶融するエネルギーを有する光ビーム例えばKrFエキシマレーザ光により照射されて結晶化された結晶化領域5である。
逆ピークパターン状光強度分布を有するレーザ光20により結晶化された結晶化領域5は、結晶成長開始位置7から水平方向に膜厚が順次増加して結晶成長し、結晶成長終了位置8付近において結晶化された単結晶シリコン膜が隆起した断面形状になることである。複数の逆ピークパターン状光強度分布を有するレーザ光により結晶化された結晶化領域5は、隣合う正ピーク部において結晶化されたシリコン膜が隆起した山形状断面形状になることである。このように予め定められた位置が結晶化された膜は、この明細書において半導体薄膜4aと定義する。
この実施形態では、上記結晶成長終了位置8の近傍に、形成するTFT1のチャネル領域5C側のドレイン端又はソース端を配置するように位置決めして形成することである。例えばTFT1のドレイン領域5Dは、チャネル領域5C側のドレイン端10(側端部10)が、結晶成長終了位置8付近に位置決めされて設けられる。ドレイン領域5Dに連設されてチャネル領域5C、ソース領域5Sが設けられている。
チャネル領域5C上には、チャネル領域5Cに位置合わせされてゲート絶縁膜11例えば酸化シリコン膜が設けられている。この酸化シリコン膜は、温度例えば摂氏850度のウェット酸素ガス雰囲気中で25分間熱酸化した膜である。なお、このゲート絶縁膜11は300℃程度のプラズマCVD等で成膜するようにしてもよい。さらに、ゲート絶縁膜11上には、チャネル領域5Cに位置合わせしてゲート電極12が設けられている。このゲート電極12は、上記結晶成長終了位置8方向に登り傾斜している。従って、この実施形態では、ソース領域5Sのチャネル領域5Cとの接合面積は、ドレイン領域5Dのチャネル領域5Cとの接合面積より小さい。このようにしてTFT1が構成されている。この明細書において、TFTは、TFT構造でメモリ、コンデンサ、抵抗などの用途に使用するものもTFTに含むものとする。
次に、図2の工程図を参照して、TFT1の製造方法の実施例を説明する。図1と同一部分には、同一符号を付与し、その詳細な説明は、重複するので省略する。
先ず、結晶化用基板の製造工程を行なう。石英または無アルカリガラス等からなるガラス基板2を、搬送してプラズマCVD装置チャンバ内の予め定められた位置に位置決めして設置する(工程S1)。ガラス基板2上に下地絶縁膜例えは酸化シリコン膜3をプラズマCVDにより気相成長する(工程S2)。このプラズマCVDは、例えば基板温度500℃および堆積時間40分という条件で行われる。次に、酸化シリコン膜3上に被結晶化対象の非晶質シリコンもしくは多結晶シリコンからなる非単結晶半導体膜例えば非晶質シリコン膜4を膜厚30nm〜300nm例えば約200nmプラズマCVDにより気相成長する(工程S3)。
この非晶質シリコン膜4は、例えばLP−CVD(Low Pressure CVD)法により酸化シリコン膜3上に堆積される。非晶質シリコン膜4は、厚さ例えば200nmのアモルファスシリコン膜(a-Si)である。LP−CVDプロセスは、例えばSi2H6の雰囲気流速150sccm、圧力8Pa、基板温度450℃、堆積時間35分という条件である。ここでは、LP−CVD法を用いたが、この他に例えばPE−CVD(低温プラズマCVD)法を用いてもよい。
非単結晶半導体薄膜は、非晶質シリコン膜4(Si)の他Ge、SiGeなどの薄膜である。非単結晶半導体膜は、スパッタリング装置により成膜してもよい。
次に、非晶質シリコン膜4上に、大粒径結晶化領域を形成するために入射光に対して透過性を示すキャップ膜例えは酸化シリコン膜をプラズマCVDにより膜厚10nm〜100nm例えば10nmに成膜する。酸化シリコン膜は、例えばLP−CVD法により基板温度500℃および堆積時間10分間で非晶質シリコン膜4上に堆積される。キャップ膜は、絶縁膜からなり蓄熱作用を有し、レーザ光を照射して結晶化する際、非単結晶半導体薄膜2の降温速度を緩和するための膜である。このようにして結晶化用基板を製造する(工程S4)。
次に、結晶化工程Tを実行する。結晶化用基板を結晶化装置の予め定められた位置に位置合わせして設置する。結晶化装置に搬送された結晶化基板の予め定められた結晶化位置に逆ピークパターン状の光強度分布のエキシマレーザ光を照射し(工程S5)、大粒径の結晶化領域を形成する(工程S6)。上記エキシマレーザ光は、例えばKrFエキシマレーザでエネルギー密度が350mJ/cm2である。結晶化するための位置情報は、予めコンピュータに記憶されている。このコンピュータは、自動的に結晶化用基板内の結晶化位置に順次移動させ位置決めして結晶化のためのレーザ光を照射して、結晶化を行い、結晶化工程Tを終了する。
即ち、結晶化工程Tは、位相変調エキシマレーザ結晶化法を用いて、キヤツプ膜の表面に逆ピーク状の光強度分布Rを有するエキシマパルスレーザ光を照射する。パルスレーザ光によるレーザ照射によって、非晶質シリコン膜4の照射された領域は、溶融する。この溶融領域は、パルスレーザ光の遮断期間に降温し、凝固位置が横方向(水平方向)に移動し、結晶成長し結晶化領域5を形成する。この結果、非晶質シリコン膜4は一部又は全域結晶化された半導体薄膜4aに変換される。パルスレーザ光の照射は1回でもよいが、複数同行ってもよく、また、パルスレーザ光の照射とフラッシュランプ光の照射を組合せてもよい。
このようにして形成された結晶化領域5は、図1に示すように結晶成長開始位置7から水平方向に結晶成長し結晶成長終了位置8において隆起した形状となる。
次に、大粒径結晶化領域にTFT1を形成するために成膜したキャップ膜の酸化シリコン膜を除去する(工程S7)。酸化シリコン膜の除去法は、ドライエッチング処理により行なうことができる。このドライエッチング処理は、エッチングガスとして例えばBCl3およびCH4により行なうことができる。また、この酸化シリコン膜の除去は、通常の5%HF(フッ化水素)で5〜10分間ほどの湿式エッチングで行ってもよい。
次に、結晶化工程が終了したガラス基板2へのTFT製造工程を実行する。先ず、上記ガラス基板2をプラズマCVDの予め定められた位置に搬送し、位置決めして設置する。搬送されたガラス基板1の露出した半導体薄膜表面上には、ゲート絶縁膜11を形成するための酸化シリコン膜を成膜する(工程S8)。
次に、ゲート絶縁膜11が形成された上記ガラス基板2を、ゲート電極を形成するための導電体膜を成摸するスパッタ装置に位置合わせして搬送する。その後、ゲート電極として例えばタングステン添加モリブデン(MoW)やアルミニウム(Al)を成膜する(工程S9)。次に、プラズマエッチング装置に搬送してゲート電極12を形成するためにプラズマエッチングする(工程S9)。
形成されたゲート電極12をマスクとしてソース領域およびドレイン領域を形成するための不純物イオンを結晶化領域に高濃度にイオン注入する。不純物イオンは、Nチャネルトランジスタの場合には例えばリンを、pチャネルトランジスタの場合には例えばホウ素をイオン注入する。その後、窒素雰囲気中でアニール処理(例えば、600℃で1時間)を行う。なお、Al電極を用いる場合は400℃×3時間(N2雰囲気)のアニール処理を行う。不純物を活性化して図1にホすように結晶化領域にソース領域5S、ドレイン領域5Dを形成する。この結果、ソース領域5Sおよびドレイン領域5D間には、キャリアが移動するチャネル領域5Cが形成される。
次に、ゲート絶縁層11及びゲート電極12上に層間絶縁層を形成する。この層間絶縁層にソース電極及びドレイン電極と夫々ソース、ドレイン領域5S、5Dとの接続のためのコンタクトホールを夫々形成する(工程S10)。
次に、ゲート電極、ソース、及びドレイン電極となる材料例えぱ金属を各コンタクトホール内に充填すると共に層間絶縁層上にも成膜する。層間絶縁層上に成膜された金属層は、フォトリソグラフィ技術を用いて予め定められた所定のパターンにエッチングすることでソース電極及びドレイン電極を形成して薄膜トランジスタ1を製造する(工程S11)。
上記製造工程において明らかなようにソース領域S又はドレイン領域Dのチャネル領域C側端部は、ゲート電極12により位置決めされる。従って、ゲート電極12の設置位置は、結晶成長の終了位置8の付近に位置決めして形成される。
次に、結晶成長開始位置7から水平方向に結晶成長し結晶成長終了位置8において隆起した形状となる結晶化装置の実施例を、図3乃至図5を参照して具体的に説明する。結晶化装置は、照明系15と、この照明系15の光軸上に設けられた位相変調素子16と、この位相変調素子16の光軸上に設けられた結像光学系17と、この結像光学系17の光軸上に設けられる被結晶化基板18を支持するステージ19とからなる。
照明系15は、図4に示す光学系でたとえば光源21とホモジナイザ22とからなる。光源21は、248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源21を備えている。なお、光源21としては、308nmの波長を有するパルス光を出射するXeClエキシマレーザ光源、波長248nmのパルス光を出射するKrFエキシマレーザ、波長193nmのパルス光を出射するArFレーザなどのエキシマレーザが最適である。光源21は、さらにYAGレーザ光源でもよい。光源21は、非単結晶半導体膜例えば非晶質シリコン膜4を溶融するエネルギーを出力する他の適当な光源を用いることもできる。光源21から出射されたレーザ光の光軸上には、ホモジナイザ22が設けられている。
ホモジナイザ22は、光源21からのレーザ光の光軸上に例えばビームエキスパンダ23と、第1フライアイレンズ24と第1コンデンサ光学系25と、第2フライアイレンズ26と、第コンデンサ光学系27とが設けられたものである。ホモジナイザ22は、光源21から出射されたレーザ光を光束の断面内において光強度および位相変調素子16への入射角を均一化処理するものである。
即ち、照明系15において、光源21から入射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ23を介して拡大された後、第1フライアイレンズ24に入射する。この第1フライアイレンズ24の後側焦点面には複数の光源が形成され、これらの複数の光源からの光束は第1コンデンサ光学系25を介して、第2フライアイレンズ26の入射面を重畳的に照明する。その結果、第2フライアイレンズ26の後側焦点面には、第1フライアイレンズ24の後側焦点面よりも多くの多数の光源が形成される。第2フライアイレンズ26の後側焦点面に形成された多数の光源からの光束は、第コンデンサ光学系27を介して、位相変調素子16に入射し、重畳的に照明する。
この結果、ホモジナイザ22の第1フライアイレンズ24および第1コンデンサ光学系25は、第1ホモジナイザを構成し、位相変調素子16に入射するレーザ光の入射角度に関する均一化処理を行なう。また、第2フライアイレンズ24および第コンデンサ光学系27は、第2ホモジナイザを構成し、この第2ホモジナイザにより第1ホモジナイザからの入射角度が均一化されたレーザ光について位相変調素子16上での面内各位置での光強度に関する均一化を行なう。こうして、照明系22は、ほぼ均一な光強度分布を有するレーザ光を形成し、このレーザ光が位相変調素子16を照射する。
位相変調素子16例えば位相シフタは、ホモジナイザ22からの出射光を位相変調して図5Bに示すような逆ピーク状の光強度最小分布のレーザビームを出射する光学素子である。図5Bには、逆ピーク状の光強度最小分布の一部が拡大して示されている。図5Bは、横軸が場所(被照射面での位置)であり、縦軸は光強度(エネルギー)である。
位相シフタは、透明体例えば石英基材に段差をつけ、段差の境界でレーザ光の回折と干渉を起こさせ、レーザ光強度に周期的な空間分布を付与するものである。位相シフタは、例えば段差部x=0を境界として左右で180゜の位相差を付けた場合である。一般にレーザ光の波長をλとすると、屈折率nの透明媒質を透明基材上に形成して180°の位相差を付けるには、透明媒質の膜厚tは、t=λ/2(n−1)で与えられる。石英基材の屈折率を1.46とすると、XeClエキシマレーザ光の波長が308nmであるから、180°の位相差を付けるためには、334.8nmの段差をエッチング等の方法で形成する。
また、SiNx膜を透明媒質としてPECVD、LPCVD等で成膜する場合は、SiN、膜の屈折率を2.0とすると、SiN、膜を石英基材上に154nm成膜し、エッチングして段差を付ければ良い。180゜の位相をつけた位相シフタを通過したレーザ光の強度は、周期的強弱のパターンを示す。
この実施形態では、段差そのものを繰り返し周期的に形成したマスクが周期的位相シフタである。位相シフトパターンの幅とパターン間距離はともに例えば3μmである。位相差は必ずしも180゜である必要はなく、レーザ光に強弱を実現できる位相差であればよい。
位相変調素子16で位相変調されたレーザ光は、結像光学系17を介して、被結晶化基板18に入射される。ここで、結像光学系17は、位相変調素子16のパターン面と被結晶化基板18とを光学的に共役に配置している。換言すれば、被結晶化基板18は、位相変調素子16のパターン面と光学的に共役な面(結像光学系17の像面)に設定されるようにステージ19の高さ位置が補正される。結像光学系17は、正レンズ群31と正レンズ群32との間に開口絞り33を備えている。結像光学系17は、位相変調素子16の像を等倍又は縮小例えば1/5に縮小して被結晶化基板18に結像させる光学レンズである。
開口絞り33は、開口部(光透過部)の大きさの異なる複数の開口絞りを有する。これらの複数の開口絞り33は、光路に対して交換可能に構成されていてもよい。あるいは、開口絞り33は、開口部の大きさを連続的に変化させることのできる虹彩絞りを有していてもよい。いずれにしても、開口絞り33の開口部の大きさ(ひいては結像光学系4の像側開口数NA)は、後述するように、被結晶化基板18の半導体膜上において所要の光強度分布を発生させるように設定されている。なお、結像光学系17は、屈折型の光学系であってもよいし、反射型の光学系であってもよいし、屈折反射型の光学系であってもよい。
また、被結晶化基板18は、図5Aに示すようにたとえば液晶ディスプレイ用板ガラス2の上に化学気相成長法(CVD)又はスパッタリング法により下地絶縁膜として酸化シリコン膜3、非晶質シリコン膜4およびキャップ膜35が順次形成されたものである。下地絶縁膜は、例えばSiO2が膜厚500〜1000nm形成される。下地絶縁膜は、非晶質シリコン膜4とガラス基板2が直接接触して、この基板2から析出したNaなどの異物が非晶質シリコン膜4に混入するのを防止し、非晶質シリコン膜4の結晶化工程時の溶融温度が直接ガラス基板2に伝熱されるのを防止し、上記溶融温度の蓄熱効果により大粒径の結晶化に寄与する。
非晶質シリコン膜4は、結晶化処理される膜であり、膜厚例えば30〜250nmに選択される。キャップ膜35は、結晶化工程時に非晶質シリコン膜4が溶融したとき発生する熱を蓄熱し、この蓄熱作用が大粒径の結晶化領域の形成に寄与する。このキャップ膜35は、絶縁膜例えは酸化シリコン膜(SiO2)であり、膜厚が100nm〜400nm例えば300nmである。
被結晶化基板18は、結晶化装置のステージ19上に自動的に搬送され、予め定められた所定の位置に位置決めされて載置され、真空チャックや静電チャックなどにより保持される。
次に、結晶化プロセスを、図1乃至図7Gを参照して説明する。レーザ光源21から出射されたパルスレーザ光は、ホモジナイザ22に入射してレーザ光の光強度の均一化および位相変調素子16への入射角の均一化が行なわれる。即ち、ホモジナイザ22は、光源21から入射したレーザビームを水平方向に広げ線状(例えば、線長さ200mm)のレーザビームにし、さらに光強度分布を均一にする。たとえば、複数のX方向シリンドリカルレンズをY方向に並べて、Y方向に並んだ複数の光束を形成し、他のX方向シリンドリカルレンズで各光束を再分布させ、同様に複数のY方向シリンドリカルレンズをX方向に並べて、X方向に並んだ複数の光束を形成し、他のY方向シリンドリカルレンズで各光束を再分布させる。
レーザ光は波長308nmのXeClエキシマレーザ光で、1ショットのパルス継続時間は20〜200nsである。上記条件で位相変調素子16に、パルスレーザ光を照射すると、周期的に形成された位相変調素子16に入射したパルスレーザ光は、段差部で回折と干渉を起こす。この結果、位相変調素子16は、周期的に変化する図5Bに示すような逆ピークパターン状の強弱の光強度分布を生成する。
この逆ピークパターン状の強弱の光強度分布は、最小光強度から最大光強度で非晶質シリコン膜4を溶融させる強度のレーザ光強度を出力することが望ましい。位相変調素子16を通過したパルスレーザ光は、結像光学系17により被結晶化基板18に集束して非晶質シリコン膜4に入射する。
即ち、入射したパルスレーザ光は、キャップ膜35をほとんど透過し、非晶質シリコン膜4に吸収される。この結果、非晶質シリコン膜4の被照射領域は、加熱され、溶融する。この溶融したときの熱は、キャップ膜35および酸化シリコン膜3に蓄熱される。
パルスレーザ光の照射が遮断期間になると、被照射領域は、高速で降温しようとするが、表裏面に設けられているキャップ膜35および酸化シリコン膜3に蓄熱されている熱により、降温速度が極めて緩やかとなる。このとき、被照射領域の降温は、位相変調素子16により生成された逆ピークパターンの光強度分布に応じて降温し、横方向に順次結晶成長する。
換言すれば、被照射領域内溶融領域での凝固位置は、順次低温側から高温側に漸次移動する。即ち、結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8に向かって図5C、図5D及び図6に示すように結晶成長する。このとき、被照射領域の結晶成長終了位置8付近には、図5Dに示すように僅かに隆起が生ずる。図5Cは、キャップ膜35を剥離した後の非晶質シリコン膜4における結晶化領域5の形状を説明するための平面図である。図5Cには、結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8に横方向に結晶成長する形態が示されている。
図5Dは、図5Cの断面図である。図5Dには、結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8方向に半導体薄膜4aの膜厚が増加し、結晶成長終了位置8で頂点となる傾斜面を有し、断面形状において山形状に結晶化されている状態が示されている。図5Dは、図5Bに示すように逆ピーク状光強度分布のパターンが複数の場合について示されている。単一の逆ピーク状光強度分布のパターンの場合には、山形状に変化した膜厚分布が一方の隆起部のみとなる。
このようにして1パルスレーザ光による結晶化工程が終了する。このようにして結晶成長された結晶化領域は、1又は複数個の機能素子を収納するのに充分な大きさである。図5B,図5C,図5Dは、点線で相互関係を示す。即ち、図5B,図5C,図5Dには、図5Bの逆ピーク状光強度分布20aの逆ピーク部20Lで、結晶成長が開始し(結晶成長開始位置7)、正ピーク部20Pで結晶成長の終点位置(結晶成長終了位置8)となり、結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8に順次単結晶シリコン膜厚が厚くなり、上記終了位置8付近で隆起する状態が示めされている。
結晶化装置は、予め記憶されたプログラムにより自動的に次の非晶質シリコン膜4の結晶化領域にパルスレーザ光20を照射する。次の結晶化領域への移動は、例えばステージ19を移動させて位置選択することができる。勿論、結晶化位置の移動は、被結晶化基板18と光源21とを相対的に移動させて選択することができる。
被結晶化領域が選択され位置合わせが完了したとき、次のパルスレーザ光が出射される。このようなレーザ光20のショットを繰り返すことにより被結晶化基板18の広い範囲の結晶化を行うことができる。このように結晶化領域が形成された非晶質シリコン膜4は半導体薄膜4aとする。このようにして結晶化工程を終了する。
次に、結晶化工程が終了した基板に対して図2に示す工程S8以降のTFT製造工程の実施例を、図6及び図7を参照して説明する。図1乃至図5と同一部分には、同符号を付与し、その詳細な説明を省略する。
結晶化工程が終了した上記基板の表面には、キャップ膜35であるSiO2膜が成膜されている。このSiO2膜は、TFTのゲート絶縁膜として使用することもできる。結晶化工程時に非晶質シリコン膜4からのアブレーションなどによる異物の混入を避ける場合、SiO2膜は、エッチング除去する。この実施例では、除去した例である。
図7Aに示すようにキャップ膜35が除去された基板の表面である半導体薄膜4a上にゲート絶縁膜11例えばSiO2膜を成膜する。このゲート絶縁膜15は例えばLP−CVD法により半導体薄膜4a上に堆積される厚さ80mmのシリコン酸化膜である。LP−CVDは、例えば基板温度500℃および堆積時間45分という条件で行われる。
次に、ゲート電極12の形成工程を行なう。即ち、図7Bに示すようにゲート絶縁膜11上にゲート電極層例えばMoW層40を成膜する。このMoW層40は、例えばスパッタリングによりゲート絶縁膜15のシリコン酸化膜(SiO2膜)上に厚さ例えば100mm堆積される。このスパッタリング条件は、例えば基板温度100℃、堆積時間10分である。
このMoW層40を選択的にエッチングして予め定められた位置にゲート電極12を形成するために、MoW層40上にレジストパターン41を形成する。このレジストパターン41は、MoW層40上にレジスト膜を塗布し、このレジスト膜を、フォトマスクを用いて選択的に露光し、ゲート電極用マスク領域を残してレジスト膜を除去することにより図7Cに示すようにレジストパターン41を形成する。上記ゲート電極12を形成するためのレジストパターン41の位置が重要である。レジストパターン41は、上記結晶成長終了位置8の付近に位置合わせして形成される。
次に、レジストパターン41をマスクとしてMoW層40を除去例えばドライエッチング処理することにより図7Dに示すようにゲート電極12を形成する。このドライエッチング処理では、MoWの場合は例えばSF6+O2がエッチングガスとして用いられ、Alの場合は例えばBCl3およびCH4がエッチングガスとして用いられる。続いて、ゲート電極12上のレジストパターン41を図7Eに示すように除去する。
次に、ゲート電極12をマスクとして図7Fに示すように半導体薄膜4aに不純物を添加する。不純物は、ポリシリコンTFTをnチャネル型にする場合には、リンが半導体薄膜4aにイオン注入される。また、ポリシリコンTFTをpチャネル型にする場合には、ボロンが半導体薄膜4aにイオン注入される。例えばCMOSインバータのような論理回路は、nチャネル型、ポリシリコンTFTおよびpチャネル型ポリシリコンTFTの組み合わせにより構成される。このため、nチャネル型ポリシリコンTFTおよびpチャネル型ポリシリコンTFTの一方のイオン注入は、不所望なイオン注入を阻止するレジスト等のマスクにより他方のポリシリコンTFTの半導体薄膜4aを覆った状態で行われる。
nチャネル型ポリシリコンTFTおよびpチャネル型ポリシリコンTFTの各々に対するイオン注入後、半導体薄膜4aは、アニール処理で活性化される。アニール処理は、MoW等の高融点金属をゲート電極とする場合には、窒素雰囲気中において基板温度例えば600℃で2時間の処理である。また、Alをゲート電極とする場合には、窒素雰囲気中において基板温度例えば400℃で3〜12時間のアニール処理である。この結果、高不純物濃度のソース領域5Sおよびドレイン領域5Dは、ゲート電極12の両側に位置して半導体薄膜4aに形成される。
この結果、ソース領域5S又はドレイン領域5Dのチャネル領域5C側端部10が、上記結晶成長終了位置8の付近に位置合わせして図7G、図8、図9に示すように形成される。
次に、ゲート絶縁膜11およびゲート電極12上に層間絶縁膜(図示せず)を形成し、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極12の配線などを形成する工程は周知の方法により形成してTFT1を形成する。
このようにして製造されたTFT1の断面構造は、図8に示す通りである。図8には、結晶化領域の結晶成長終了位置8付近にソース領域5Sのゲート電極12の下方チャネル領域5C側端部10が設けられている様子が顕微鏡写真で示されている。さらに、このTFT1のソース領域5Sおよびドレイン領域5Dには、半導体薄膜4aの深い方向から浅い方向に向かって走る積層欠陥S1、D1が生じていることが判る。さらにまた、ゲート電極12が傾斜している様子がよく判る。
図9には、図8の平面図が示され、結晶成長終了位置8付近にドレイン領域5Dのチャネル領域5C側の側端部10が設けられている様子が示されている。このように形成されたTFT1について、結晶成長終了位置8付近におけるドレイン領域5Dのチャネル領域5Cの側端部10の形成位置と、n型TFTの電子又は正孔の移動度μFEとの関係について、図10に示されている。
図10に示されているように結晶成長終了位置8から1.5μm近傍以内にドレイン領域5Dのチャネル領域5C側端部10が設けられたTFT1の移動度は、150cm2/v.s以上の特性が得られている。特に、ドレイン領域5Dのチャネル領域5C側端部10を結晶成長終了位置8から0.05〜0.2μm以内に形成されたTFT1は、移動度が300cm2/v.s以上の優れた特性が得られている。
図10には、多数のn型TFTの移動度特性がプロットされており、この特性は、n型TFTのドレイン端位置(ドレイン領域5Dのチャネル領域側端部)を結晶成長終了位置8から1.5μm近傍以内に形成されたTFTの移動度特性である。さらに、四角でプロットされた特性は、n型TFTのソース端位置(ソース領域5Sのチャネル領域側端部)を結晶成長終了位置8から1.5μm近傍以内に形成されたTFTの移動度特性である。この移動度特性は、ゲート電圧(横軸)に対するドレイン電流(縦軸)の特性曲線図から求められる。結晶成長終了位置8から1.5μm近傍以内には、ドレイン端位置を設けたTFTも、ソース端位置を設けたTFTもほぼ一致した特性が得られている。
図10において、結晶成長終了位置8より(隣の結晶化領域終了位置8付近)はみ出してプロットされたデータは、チャネル領域が結晶成長終了位置8を跨たいで形成されたTFT特性である。図10の特性は、n型TFTの特性であるが、p型TFTでも同様な特性を得ることができる。さらに、この実施例のTFT1に流れる電流方向は、横方向に成長した結晶成長方向に平行であり、また、結晶成長方向に電流を流すことが最適である。
次に、表示装置例えば液晶表示装置のトランジスタ回路に適用した実施例を図11及び図12を参照して説明する。図1乃至図10と同部分には、同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。図11及び図12は、アクティブマトリックス型液晶表示装置50の等価回路の一例を示している。液晶表示装置50は、透明基体52、画素電極53、走査線54、信号線55、対向電極56、TFT1、走査線駆動回路(VDRV)57、信号線駆動回路(HDRV)58、液晶コントローラ59、電源回路60及び電源配線61等を備えている。
即ち、VDRV57やHDRV58などの高速動作を要求される周辺回路部を上記薄膜トランジスタで構成したものである。図12に示すように、各画素回路PXは、第1及び第2の電源端子T1,T2と、第2の画素電極13a,13bと、第1から第5までのトランジスタN1,N2,N3,N4,N5とを有する。電源端子T1,T2は基準電位に対して所定のレベル差を持つ逆極性の電位にそれぞれ設定される。基準電位はすべての画素回路PXに接地用の共通電極GNDの電位に等しい。第1の画素電極13aは共通電極GNDと容量結合して第1の補助容量Csを構成し、第2の画素電極13bは共通電極GNDと容量結合して第1の補助容量Csを構成している。これにより、画素電極13a,13bは第1及び第2の電源端子T1,T2から供給される電荷をそれぞれ保持し、これら電荷により得られる電位差を液晶層内に実質的に横方向電界を生成する液晶駆動電圧として液晶層に印加する。
第1のトランジスタN1は、映像信号を受け取るゲートを有し、第1画素電極13aに保持された電荷と第2画素電極13bに保持された電荷とを映像信号に対応して再配分する入力トランジスタである。液晶駆動電圧は第1および第2の画素電極13a,13b間の液晶容量CLCによって保持される。第2から第5までのトランジスタN2,N3,N4,N5は、接続トランジスタであり、スイッチ回路を構成する。第4および第5のトランジスタN4,N5は、導通時に第1および第2の画素電極13a,13bを第1および第2の電源端子T1,T2の電位にそれぞれプリチャージするために、第1および第2の画素電極13a,13bを第1および第2の電源端子T1,T2にそれぞれ電気的に接続する。第1のトランジスタN1は、第1および第2の画素電極13a,13bに保持された電荷を再配分するために、第1および第2の画素電極13a,13bが第1のトランジスタN1のカレントパスの一端および他端にそれぞれ接続されている。
具体的には、トランジスタN1〜N5は、いずれもNチャネル薄膜トランジスタ(TFT)に構成される。各画素電極13a,13bは、トランジスタN4,N5のソース5Sにそれぞれ接続される。第1トランジスタN1のゲート5Gは映像信号配線55に接続され、トランジスタN1のドレイン5Dは第2トランジスタN2のドレイン5Dに接続され、トランジスタN1のソース5Sは第3トランジスタN3のドレイン5Dに接続される。トランジスタN2,N3のゲート5Gは走査配線54に接続され、トランジスタN4,N5のゲート5Gはプリチャージ制御配線51に接続される。トランジスタN4,N5のドレイン5Dは電源端子T1,T2にそれぞれ接続される。
基板52には、さらに複数対の電源配線61,61が複数の映像信号配線55と同様に画素回路PXの列に沿って配置される。各画素回路PXの電源端子T1,T2は、一対の電源配線61,61にそれぞれ配置された分岐点にあたる。これらの電源配線61は電源回路(PW)60に接続されている。
VDRV57およびHDRV58は、いずれもドライバLSIとしてユニット化されている。VDRV57は、画素回路PXの行を選択する選択パルス電源VgおよびVpcを生成し、複数の走査配線54および複数のプリチャージ制御配線51に順次供給する。選択行においては、選択パルス電圧Vpcが選択パルス電圧Vgに先行して出力される。HDRV58は、選択パルス電圧Vgの持続期間において1水平ライン分の映像信号を複数の映像信号配線55に供給する。
周辺回路部やメモリ回路部等の能動素子を内包したシステムディスプレイを実現することができるTFT1は、図1に示す構造に形成され、表示装置50の高速動作を要求されるVDRV57やHDRV58を構成する。VDRV57やHVRV58の周辺回路部は、結晶成長終了位置8から0.05〜0.2μm以内にソース領域5Sのソース端位置又はドレイン領域5Dのドレイン端位置を形成したTFTで構成することが望ましい。即ち、上記周辺回路57,58を移動度(μFE)が300cm2/v.s以上の優れた特性のTFTで構成できる。
このようにして製造された表示装置は、周辺回路やメモリ回路などの能動素子を内包したシステムディスプレイを実現できる。この表示装置は、小型化、軽量化にも効果がある。
次に、薄膜トランジスタ(TFT)の他の実施例を、図13乃至図15を参照して説明する。図13は、nチャンネル型TFTのドレイン領域のチャネル領域と接合する部分(ドレイン端位置)の位置を、結晶成長開始点、と結晶成長終了点との間で変えて多数のTFTを製造したときの移動度の特性を示す図である。このTFTは、図1に示すTFTの構造であるが、ガラス基板2を、厚さ例えば625μmのP型のシリコンウエハ基板により形成したTFTの移動度特性図である。このときのチャネル領域の膜厚は、200mmである。
nチャネル型TFTにおいては、ドレイン端位置が結晶成長開始点から約0.8μmから移動度が上昇し、2.3μmまでの位置で高い移動度が得られている。特に、ドレイン端位置が結晶成長開始点から約1.6μmの位置にドレイン端が形成されたTFTは、移動度が760cm2/v.sのものが得られている。これらの特性は、図5C、図5D、図6に示す結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8までの長さが、2.5μmのときの特性である。結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8までの長さは、図5Bの逆ピーク状の光強度分布のパルス幅によって決定されるものである。結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8までの長さは、例えば5μmの結晶化領域を量産できる技術が確立できている。
結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8までの長さが5μmの場合の、図13に示す最適移動度を示すドレイン端位置は、図13に示すデータの2倍の特性であることを確認している。即ち、nチャネル型TFTにおいてドレイン端位置が結晶成長開始点から約1.6μmから移動度が上昇し、4.6μmまでの位置で高い移動度が得られる。
pチャネル型TFTのドレイン端位置に対する移動度特性例は、図14に示す通りであった。図14に示されているように、最適移動度を示すドレイン端位置は、結晶成長開始点から約1μmから移動度が上昇し、2.3μmまでの位置で高い移動度が得られている。この特性も図13と同様に結晶成長開始位置7から結晶成長終了位置8までの長さが、2.5μmのときの特性である。
図15には、結晶成長開始点付近E1と、移動度の最適位置E2と、結晶成長終了点付近E3の各位置にドレイン端位置を形成したTFTのゲート電圧に対するドレイン電流の関係を示す特性曲線図が示されている。図15に示されているように移動度の最適位置E2において最適特性が示されている。結晶成長開始点付近E1と、移動度の最適位置E2と、結晶成長終了点付近E3の関係は、図13〜図15において共通である。
各回路の薄膜トランジスタ1および、薄膜トランジスタで置換して構成するメモリ、コンデンサ、抵抗などは、図1の薄膜トランジスタで構成することができる。即ち、この明細書において薄膜トランジスタとは、機能は別にして図1に示す薄膜トランジスタで構成できるものは、含むものとする。
こうして製造された薄膜トランジスタ26は、液晶表示装置(ディスプレイ)やEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどの駆動回路や、各画素回路内のメモリ(SRAMやDRAM)やCPUなどの集積回路などに適用可能である。
以上説明したように上記実施形態によれば、電子または、正孔の高移動度のTFTを得ることができる。このような高移動度を得ることができるTFTは、VDRV57やHDRV58などの周辺回路部に適用することができる。
1:TFT、 2:ガラス基板、 3:酸化シリコン膜、
4:非晶質シリコン膜、 4a:半導体薄膜、 7:結晶成長開始位置、
8:結晶成長終了位置、 10:ドレイン端(側端部)、
11:ゲート絶縁膜、 12:ゲート電極、
15:照明系、 16:位相変調素子、 17:結晶光学系、
18:被結晶化基板、 19:ステージ、 20:結晶化装置、
21:光源、 22:ホモジナイザ、 23:ビームエキスパンダ、
24:第1フライアイレンズ、 25:第1コンデンサ光学系、
26:第2フライアイレンズ、 27:第2コンデンサ光学系、
33:開口絞り、 35:キャップ膜、
40:ゲート電極層(MoW層またはアルミニウム層)、
41:レジストパターン、
50:液晶表示装置、 52:透明電極、 53:画素電極、
54:走査線、 55:信号線、 56:対向電極、
57:走査線駆動回路、 58:信号線駆動回路、
59:液晶コントローラ。
4:非晶質シリコン膜、 4a:半導体薄膜、 7:結晶成長開始位置、
8:結晶成長終了位置、 10:ドレイン端(側端部)、
11:ゲート絶縁膜、 12:ゲート電極、
15:照明系、 16:位相変調素子、 17:結晶光学系、
18:被結晶化基板、 19:ステージ、 20:結晶化装置、
21:光源、 22:ホモジナイザ、 23:ビームエキスパンダ、
24:第1フライアイレンズ、 25:第1コンデンサ光学系、
26:第2フライアイレンズ、 27:第2コンデンサ光学系、
33:開口絞り、 35:キャップ膜、
40:ゲート電極層(MoW層またはアルミニウム層)、
41:レジストパターン、
50:液晶表示装置、 52:透明電極、 53:画素電極、
54:走査線、 55:信号線、 56:対向電極、
57:走査線駆動回路、 58:信号線駆動回路、
59:液晶コントローラ。
Claims (16)
- 厚み方向に直交する横方向に結晶成長された半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記結晶成長の終了位置付近に位置するように設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 厚み方向に直交する横方向に結晶成長し結晶成長終了方向に隆起した傾斜面を有する半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は前記傾斜面の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 結晶成長開始位置から結晶成長方向に成長するシリコン膜において結晶成長終了点に向かって膜厚が増加する傾斜面を有する半導体薄膜にソース領域、チャネル領域、およびドレイン領域を有し、前記チャネル領域上部にゲート絶縁膜およびゲート電極を有する薄膜トランジスタであって、
前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部は膜厚が増加する前記半導体薄膜の頂点付近に位置するように設けられていることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 前記結晶成長の終了位置付近には、積層欠陥が存在することを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の前記傾斜面内には、積層欠陥が存在することを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の前記傾斜面内には、積層欠陥が存在することを特徴とする請求項3記載の薄膜トランジスタ。
- 前記結晶成長の終了位置付近は、前記結晶成長の終了位置から0.05〜0.2μm以内の位置であることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の傾斜面の頂点付近は、前記半導体薄膜の傾斜面の頂点から0.05〜0.2μm以内の位置であることを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の傾斜面の頂点付近は、前記半導体薄膜の傾斜面の頂点から0.05〜0.2μm以内の位置であることを特徴とする請求項3記載の薄膜トランジスタ。
- 前記結晶成長の終了位置は、膜厚が最長となり、延長方向に膜厚が単調に減少する結晶化された半導体薄膜であることを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の前記傾斜面の頂部は、膜厚が最長となり、延長方向に膜厚が単調に減少する結晶化された半導体薄膜であることを特徴とする請求項2記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体薄膜の前記傾斜面の頂部は、膜厚が最長となり、延長方向に膜厚が単調に減少する結晶化された半導体薄膜であることを特徴とする請求項3記載の薄膜トランジスタ。
- 逆ピーク状の光強度分布を有する変調レーザ光を非単結晶半導体膜に照射して照射領域に断面山形状結晶化半導体薄膜を形成する工程と、前記山形状結晶化半導体薄膜の頂部付近に、前記ドレイン領域および前記ソース領域の少なくとも一方の前記チャネル領域側端部を位置決めして、該位置決め部位に薄膜トランジスタを形成する工程と、を具備してなることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項1に記載の薄膜トランジスタを高速動作を要求される周辺回路部に有することを特徴とする表示装置。
- 請求項2に記載の薄膜トランジスタを高速動作を要求される周辺回路部に有することを特徴とする表示装置。
- 請求項3に記載の薄膜トランジスタを高速動作を要求される周辺回路部に有することを特徴とする表示装置。
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