JP5006736B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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本発明は、例えば電子写真プロセスを用いたプリンタや複写機、ファクシミリ送受信機等の画像形成装置に関するものである。
この種の画像形成装置に搭載される感光体ドラムには、製造上の諸要因により、表面の周方向に帯電能や感度特性のむらが存在したり、回転軸線に対する表面位置のずれ(偏心度)が存在したりする。このため従来、それらの影響を受けて周方向に画像の濃度むらが発生することがわかっている。この対策として、感光体ドラム周方向の電位状態に対応して帯電量、露光量、現像バイアスの少なくとも一つを変化させて制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また従来、感光体ドラムの回転位置を検出する検出手段を有し、副走査方向の濃度むらが低減するように光量を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2では、特に複数の光ビームを同時に走査可能に出力するマルチビームを用いたレーザースキャニングユニット(LSU)の記載もあり、マルチビームを用いた場合は、複数の光ビームをそれぞれ独立して調整するか、もしくは複数の光ビームを同一に調整していく制御方法が提唱されている。
いずれにしても、先行技術に見られるように感光体ドラムの周方向に生じる濃度むらを露光量の調整によって補正する場合、感光体ドラムの一回転分の長さ(一周)を複数のブロックに分割して、それぞれのブロック毎に露光量を変化させて補正を行うのが一般的な手法である。
特開昭63−225253号公報 特開2005−7697号公報
しかしながら、感光体ドラムの表面を複数のブロックに分割して露光量を変化させると、連続するブロックそのものにも固有の周期性が生じることになる。この周期が他の濃度むらの周期(例えば、現像ローラピッチやポリゴンモータの回転周期等)と一致すると、ブロック同士の境界位置での濃度段差が強調され、それによって画像が薄くなったり、濃くなったりするという軸方向の筋画像が発生し、画像の均一性を損なうこととなる。例えば、解像度600dpiで、6面のポリゴンミラーを用いた4ビーム走査方式の画像形成装置では、24ライン(=約1mm、ポリゴンミラー一回転分)に同期する軸方向の筋が発生しやすい。一方、人が肉眼で感じやすい濃淡むらの周期(ピッチ)は約1mm付近にピークがあり、この周期と同期するようなピッチで周方向にブロックを分割して露光量を調整すると、逆に濃淡むらが強調されて目立ってしまうことになる。
そこで本発明は、周方向への濃度むらを低減させつつ、他の周期的な濃度むらとの干渉により生じる軸方向(長手方向)の筋画像の発生を防ぐことを目的とする。
本発明は、複数のブロック毎に露光量を変化させて第1の周期的な濃度むらを低減させる手法を基本とし、その上で、ブロックの幅を第2の周期的な濃度むらの周期(ピッチ)と干渉しない長さに設定することで課題を解決する。より具体的な解決手段は、以下の(1)〜(10)で提供されるものである。
(1)本発明の画像形成装置は、軸方向(長手方向に延びる軸線)の周りに回転するドラム状の感光体と、この感光体の回転に伴い、その表面を帯電させる帯電手段と、ページ毎に処理された画像データに基づき、感光体の帯電した表面を露光して潜像を形成する露光手段と、感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像して画像を形成する現像手段と、現像手段により形成された画像を前記感光体から他の媒体に転写する転写手段と、露光手段による前記感光体の表面の露光に際し、その周方向で略等幅に分割した複数のブロック毎に露光量を調整することにより、トナーにより現像された画像について感光体の周方向に発生する第1の周期的な濃度むらを補正する補正手段とを備える。そして補正手段は、第1の周期的な濃度むらとは別の要因によって感光体の周方向に発生する第2の周期的な濃度むらが有するピッチに対し、ブロックの幅を異ならせて補正を行うものである。
上記のように、製造上の要因等によって感光体の周方向に周期的な濃度むらが生じることがあり、この濃度むらに対する補正をブロック毎の露光量調整により行うものとする。このとき補正手段は、ブロックの幅を他の周期(ピッチ)と一致しないように設定することで相互の干渉(共振)を避け、感光体の軸方向に筋状の濃淡むらが発生するの防止する。なお補正手段は、第2の周期的な濃度むらのピッチを既知として、このピッチに対してブロックの幅を予め異ならせておくこともできるし、製品の使用中に何らかの要因(経年変化、外的要因等)で第2の周期的な濃度むらが生じてきた場合、それに対応してブロックの幅をずらしながら補正を行うこともできる。
(2)上記(1)において、感光体が像担持体又は転写紙担持体として機能することに起因して第1の周期的な濃度むらが発生する場合、補正手段は、感光体が像担持体又は転写紙担持体として機能する際に、その回転位置を検出する検出手段を有し、この検出手段により検出した回転位置に基づいてブロック毎に露光量を調整することができる。
像担持体又は転写紙担持体としての性質(例えば、感光膜質のばらつき、転写面の凹凸形状等)が第1の周期的な濃度むらの要因となっている場合、その周期性は感光体の回転位置によって決まってくる。このため、感光体の回転位置を検出しながら露光量を調整することにより、補正手段が正確にブロックを決めて補正を行うことができる。
(3)本発明の画像形成装置は、現像手段として感光体の回転に同期して回転しつつトナーを供給する現像ローラを有し、その感光体には、現像ローラにより現像された画像を他の媒体に転写するための転写ローラが近接して回転自在に配置されているものとする。この場合、補正手段は、現像ローラ又は転写ローラの回転周期に起因して発生する濃度むらを第1の周期的な濃度むらとして露光量を調整することができる。
上記(3)の解決手段によれば、現像ローラ又は転写ローラの回転周期のように比較的長周期で発生する濃度むらに対する補正をブロック毎に行うことができ、合わせて、その他の要因で発生する別の濃度むらとの干渉を避けることができる。
(4)あるいは、補正手段は、現像ローラ又は転写ローラの回転周期に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対してブロックの幅を異ならせて補正を行うこともできる。
この場合は上記(3)の解決手段とは逆に、現像ローラや転写ローラの回転周期に起因する濃度むらとブロック同士の露光量段差とが干渉することを避けて補正を行うことができる。
(5)本発明において、少なくとも帯電手段による帯電、現像手段による現像及び転写手段による転写のいずれかを行う際に交番電界が用いられている場合、補正手段は、交番電界の周波数に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対してブロックの幅を異ならせて補正を行うこともできる。
この種の電子写真プロセスでは、交番電界として帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアス等を用いることが一般的であり、その周波数に起因して濃度むらが発生する場合も考えられる。本発明ではこの点に着目し、交番電界の周波数に起因する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとして捉え、そのピッチを避けて補正用のブロックの幅を設定することとしている。これにより、機構的なもの以外の要因で軸方向に筋状の濃淡むらが発生するのを有効に防止することができる。
(6)本発明の画像形成装置は、所定の構成サイズを有した画像パターンの繰り返しとして画像データを処理する画像処理手段をさらに備えており、この場合、補正手段は、画像パターンの繰り返し周期に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対してブロックの幅を異ならせて補正を行うこともできる。
この種の電子写真プロセスでは、例えば一定の範囲(面積)を有した画像を形成するにあたり、これを所定の構成サイズ(例えば10平方ドット)を有した画像パターンの繰り返しとして処理する手法が一般的であるが、この繰り返し周期とブロックの周期(いずれも周方向)が一致すると、そこで干渉が生じる可能性がある。そこで本発明では、このような干渉を避けて露光量の調整を行い、別要因による濃度むらの発生を防止している。
(7)露光手段は、所定の光源から出力された光ビームを反射して走査光を発生する回転多面鏡を有しており、この場合、補正手段は、回転多面鏡の回転周期に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対してブロックの幅を異ならせて補正を行うこともできる。
回転多面鏡(ポリゴンミラー)もまた、その回転による周期性を持つものであるため、その回転周期とブロックの繰り返しによる周期が干渉(共振)すると、別の濃度むらを発生させる可能性がある。そこで本発明は、このような干渉を避けて露光量の調整を行い、濃度むらの発生を有効に防止している。
(8)あるいは、露光手段は、複数の光源から出力された複数条の光ビームを共通の光偏向器により偏光することで、同時に複数条の走査光を副走査方向に配列させて感光体の表面を露光するものであり、この場合、補正手段は、副走査方向に配列された複数条の走査光の繰り返し周期に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対してブロックの幅を異ならせて補正を行うことが好ましい。
ここでは、上記のマルチビーム方式を想定して補正を行う。すなわち、複数条の走査光(マルチビーム)を副走査方向に配列させて同時に主走査を行う場合、マルチビームの繰り返し周期とブロックの繰り返し周期とが干渉すると、それによって別の濃度むらが発生することがある。そこで本発明は、このような干渉を避けて露光量の調整を行い、濃度むらの発生を有効に防止している。
(9)また本発明において、補正手段は、上記(2)から(8)に記載の各周期を合成して得られる周期に起因して発生する濃度むらを第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うものであってもよい。
(10)さらに本発明は、補正手段が露光量を調整するべきブロックの幅を変更する変更手段をさらに備えていてもよい。この場合、例えば操作パネル等からの入力操作に基づいて、補正手段がブロックの幅を動的に変更することができる。
以上のように本発明によれば、基本的な露光調整によって周方向の濃度むらの発生を抑えつつ、他の要因による周期的な濃度むらとの干渉を防止し、軸方向に筋画像が表れるのを確実に防止することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、画像形成装置の一例であるプリンタ1の構造を概略的に示す図である。図1に示される断面はプリンタ1の左側面からみたものであり、プリンタ1の前面は同図中の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。先ず、プリンタ1の基本的な構造について説明する。
プリンタ1の装置本体2の内部下方には、給紙カセット4が配置されている。この給紙カセット4の内部には、枚葉の用紙Pが積層された状態で収納されている。給紙カセット4の上方には給紙部8が設置されており、用紙Pは給紙部8により、同図においてカセット4の右上方に向けて送出される。送出された用紙Pは、フィードローラ10により背面側へ向けて反転され、そのまま背面側に向けて搬送される。また、このカセット4は、同図において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、カセット4内に新たな用紙Pを補充したり、用紙Pを別の種類の用紙に入れ替えたりすることができる。
また装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側に給紙側の用紙搬送路12、レジストローラ14、用紙搬送路24、画像形成部16、転写部30及び定着部32が順番に配置されている。このうち画像形成部16には感光体ドラム18が備えられており、この感光体ドラム18は、その中心に位置する回転軸線周りに回転する。感光体ドラム18の上方には帯電器19(帯電手段)及びレーザースキャニングユニット15(露光手段)が備えられている。
帯電器19は、例えば図示しない帯電ローラによって感光体ドラム18の表面を帯電させる。またレーザースキャニングユニット15からは、図中に一点鎖線で示されているように走査光L(レーザー光ビーム)がドラム18に向けて照射される。レーザースキャニングユニット15は帯電した状態の感光体ドラム18の表面を露光し、そこに潜像を形成する(像担持体)。
現像ユニット21は現像ローラ22を内蔵しており、この現像ローラ22は、感光体ドラム18の表面に近接して回転自在に配置されている。現像ローラ22は、その表面にトナーを担持して回転しつつ、感光体ドラム18の形成された潜像をトナーにより現像する。
転写部30には転写ローラ31が備えられており、この転写ローラ31は感光体ドラム18に対して下方から圧接可能に構成されている。そして、これら感光体ドラム18と転写ローラ31とは、トナーコンテナ20及び現像ユニット21から供給されたトナーを用い、トナー像を用紙Pに転写するための転写ニップ部を形成している。転写ニップ部に搬入された用紙Pは、転写ローラ31との間で感光体ドラム18の表面に担持されながら搬送され(転写紙担持体)、この過程でトナー像を転写される。
用紙Pは、上記のフィードローラ10及びレジストローラ14を介して転写部30へと搬送される。レジストローラ14は、用紙Pを保持した状態で一旦停止し、そして用紙Pの傾斜やスキューを補正しつつ、感光体ドラム18の回転に同期したタイミングで用紙Pを送り出す。これにより、用紙Pの所定位置に対して1ページ分のトナー像が正確に転写される。なお、転写部30の近傍にはクリーニングユニット17が設置されており、このクリーニングユニット17は、トナー像の転写後に感光体ドラム18に付着している残留トナー等を除去する。
また感光体ドラム18の回転方向でみて、転写部30よりも上流位置に画像濃度センサ13が設置されている。この画像濃度センサ13は、感光体ドラム18の表面に形成された濃度検出用パッチのトナー量を光学的に検出し、その検出信号を制御ユニット(図1には示されていない)に出力する。この検出結果に基づいて、形成される画像のトナー量が調整される。なお、制御ユニットを含めた制御上の構成については、別のブロック図を用いて後述する。
用紙搬送方向でみて転写部30の下流側には、用紙搬送路26、定着部32、排紙側の用紙搬送路34及び排紙トレイ36が順番に配置されている。このうち用紙搬送路34は、定着部32の下流から装置本体2の背面に沿って上方へ延びており、さらに、装置本体2の上部位置にて前面側へ屈曲されている。そして、用紙Pの片面にのみ印刷する場合には、定着部32を通過した用紙Pは排出ローラ35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。このトレイ36に積層された印刷済みの用紙Pは、外部から容易に取り出し可能である。
また、カセット4と転写部30や定着部32との間には、両面印刷用の用紙搬送路38が設置されている。この用紙搬送路38は、装置本体2の背面に沿う位置にて用紙搬送路34の途中から分岐して下方に向けて延び、さらにプリンタ1の前面に向けて屈曲されて水平方向に延びている。そして用紙搬送路38は、レジストローラ14の上流側、例えばローラ8,10の間に連結し、用紙搬送路12に合流している。このような用紙搬送路38を通じて搬送された用紙Pは搬送ローラ40によって用紙搬送路12に向けて搬送され、さらにレジストローラ14に供給される。
以上がプリンタ1の基本的な構成とその画像形成動作についての説明である。図1ではモノクロタイプのプリンタ1を例に挙げているが、本実施形態の画像形成装置はカラープリンタであってもよいし、あるいはモノクロ/フルカラーの複写機、複合機であってもよい。これらの場合、画像形成装置は画像形成部16に加えて画像読取部を備えることができる。画像読取部には、例えばスキャナランプ及びミラーが搭載された読み取り光学系のほか、集光レンズ及びCCD等の光学素子が内蔵される。また画像読取部に付属して、原稿自動搬送機構(ADF)が装備される態様であってもよい。
図2は、プリンタ1の制御に関する構成を示すブロック図である。上記のようにプリンタ1は、画像形成部16、転写部30、定着部32、給紙部8(フィードローラ10)及びレジストローラ14を備えるほか、制御系の構成要素として画像入力部50、制御ユニット52、記憶部53及び操作パネル54等を備えている。なお操作パネル54は、図1に示されているように装置本体2の上面に位置している。
画像入力部50は、例えば外部のパーソナルコンピュータ等から送信される画像データ(全ページ分の画像データ群)を受信する受信部として構成されている。なお、画像形成装置を複写機や複合機として構成した場合、画像入力部50は、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された読み取り光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される。画像入力部50に入力された画像信号は、必要に応じて信号処理(P/S変換、A/D変換等)が行われた後に記憶部53内の画像メモリ60に転送される。
記憶部53は、画像メモリ60、RAM61及びROM62を備えている。このうち画像メモリ60は、画像入力部50から転送された画像信号を記憶し、これを制御ユニット52に転送するためのバッファである。RAM61及びROM62は、制御ユニット52の処理プログラムや処理内容等を記憶するメインメモリとして機能するほか、レーザースキャニングユニット15に対する露光量の補正ブロック設定テーブルT1,T2,・・・Tnを記憶している。なお、設定テーブルT1,T2,・・・Tnの詳細についてはさらに実施例を挙げて後述する。
操作パネル54は、複数の操作キーを有した操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されている。表示部には液晶ディスプレイが好適であり、表示部はその表示画面を介して操作を受け付けるタッチパネルとなっていてもよい。このような操作パネル54はプリンタ1の外装カバー表面に設置されており、操作キーを用いてユーザによる印刷条件等の設定を受け付けるほか、上記の設定テーブルの変更操作にも使用される。なお、設定テーブルの変更操作についてはさらに後述する。
感光体ドラム18や現像ユニット21、転写部30、定着部32等を含む駆動部分は、図示しないメインモータによって駆動されている。制御ユニット52は、メインモータの回転動作を制御し、各種駆動部分を適正に動作させる機能を有する。いずれかの駆動部分のみを駆動又は停止させる場合は、メインモータと各駆動部分との間に設けられたクラッチ機構(図示せず)を接続又は遮断する。なお、各駆動部分にそれぞれ専用モータを接続して、他のユニットとは別個に駆動させる構成としてもよい。
制御ユニット52には上記の画像濃度センサ13が接続されており、この画像濃度センサ13から検出信号が入力される。この他に制御ユニット52には、用紙Pの供給及び転写済み用紙の搬送と排出を行うための駆動モータ(図示されていない)が接続されており、制御ユニット52は駆動モータに対して制御信号を送信する。制御ユニット52が駆動モータの回転状態を制御することで、給紙部8やレジストローラ14、排出ローラ35等の回転状態が制御されている。
また図2には示されていないが、感光体ドラム18(又はその駆動モータ)には、回転位置を検出するためのエンコーダが付属しており、このエンコーダからのパルス信号もまた制御ユニット52に入力されている。制御ユニット52は、エンコーダからのパルス信号に基づいて感光体ドラム18の回転位置(例えば、基準位置からの回転変位量)を検出することができる(検出手段)。
また制御ユニット52は、設定されたプログラムにしたがって画像入力部50、画像形成部16、定着部32等を全般的に制御するとともに、画像入力部50から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理あるいは階調処理してモノクロ(二値)のラスタ画像データに変換する。そして、変換された画像データからパルス信号が生成されて、画像形成部16のレーザースキャニングユニット8に対して一定の順序で伝送される。レーザースキャニングユニット8は、制御ユニット52から伝送されたパルス信号に基づいてパルスレーザー光を発生し、これをポリゴンミラーで反射しつつ感光体ドラム18の外周面に向けて照射する。
以上がプリンタ1における画像形成制御の概要である。加えて本実施形態では、例えば感光体ドラム18の周方向に発生する濃度むらを補正するため、制御ユニット52がレーザースキャニングユニット15を駆動するときの露光量(印加電圧)を調整し、周方向で画像濃度を均一化する機能を有している(一定濃度の画像の場合)。以下、制御ユニット52による露光量の調整(濃度補正)について説明する。
図3は、感光体ドラム18の周方向に表れる周期的な濃度変化、及びレーザースキャニングユニット15による露光量の調整(補正ブロック)について概略的に示した図である。
図3中(A):横軸に示される「ドラム周期」は、感光体ドラム18の回転周期を表し、縦軸に示される「濃度」は、制御上で一定濃度の画像を出力したときに表れる実際の濃度変化(濃度むら)を表す。一定濃度の画像を出力した場合、実際の画像濃度も略一定であることが望ましいが、感光体ドラム18の製造上の要因(膜質のばらつき、表面の凹凸、回転軸線からの偏心等)により、図示のような濃度変化が周方向に表れることは既知である。このような濃度変化は、感光体ドラム18の回転に同期した周期性を有することが分かる(第1の周期的な濃度むら)。
図3中(B):横軸に示される「補正ブロック」及びその数は、感光体ドラム18の表面(一周分)を周方向に略等幅で複数のブロックに分割した場合の個々のブロック及びその数に相当する。同図中(A)に示されるように、感光体ドラム18の表面の長さ(一周分)をLrとすると、同図中(B)の例では、表面(長さLr)を全部で21のブロックに分割したことを意味する。したがって、個々のブロックの周方向の幅Wは、Lrの21分の1の長さに相当する(W=Lr/21)。
また縦軸に示される「露光量調整量」は、個々のブロック毎に調整された露光量を表している。例えば、ドラム周期内で濃度が最大となる位置のブロック(番号7,8)では、レーザースキャニングユニット15による露光量が最も低く抑えられており、逆に、ドラム周期内で濃度が最小となる位置のブロック(番号14,15)では、露光量が最大まで引き上げられていることが分かる。その他のブロックについても、概ねドラム周期内の濃度変化曲線の形状に沿った露光量に調整されていることが分かる。
上記のような露光量の調整は、感光体ドラム18が像担持体又は転写紙担持体として機能することに起因する比較的大きな周期の濃度むらを補正するものである。例えば、直径30mmの感光体ドラム18の場合、その周期(=Lr)は画像上で約94mmとなるが、これを全部で20のブロックに分割したとすると、1ブロックの幅Wは約4.7mmとなり、19のブロックに分割したとすると、1ブロックの幅Wは約5.0mmとなる。
このように本実施形態では、制御ユニット52がブロック毎に露光量を調整することにより、感光体ドラム18の基本的な製造上の要因による比較的長い第1の周期的な濃度むらを補正し、全周にわたって濃度の均一化を図ることを基本とする。その上で本実施形態では、制御ユニット52が以下のように補正ブロック設定テーブルを参照してブロックの幅を設定することにより、別の要因により発生する第2の周期的な濃度むらとの干渉を避けて最適な濃度補正を実現している。
〔第1例〕
濃度補正の第1例では、補正ブロック設定テーブルT1を使用する。この設定テーブルT1では、現像ローラ22あるいは帯電ローラの回転周期のような比較的短い周期に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
例えば、現像ローラ22の直径を15mmとし、この現像ローラ22が感光体ドラム18に対して周速比2倍で回転する場合、現像ローラ22の周期は約23.6mmとなる。この周期は、仮にドラム周期を20のブロックに分割した場合の5ブロック分の長さ(=W×5)と等しい。この場合、20ブロックで露光量の調整を行うと、ブロック同士の濃度段差と現像ローラ22の回転周期に起因する濃度むらとの干渉が頻繁(5ブロック毎)に発生する可能性がある。
したがって、補正ブロック設定テーブルT1では、このような干渉が発生しやすいブロックの幅(20分割)を避け、例えばドラム周期を19に分割したとして1ブロック分の幅を設定する。この場合、たとえ干渉が発生しても、それは19ブロック毎となり、20ブロックの場合と比較して干渉する回数が大幅に減少することになる。
〔第2例〕
濃度補正の第2例では、補正ブロック設定テーブルT2を使用する。この設定テーブルT2では、現像バイアス、帯電バイアス、あるいは転写バイアスとして用いる交番電界の周波数に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
例えば、プロセススピードが200mm/secの電子写真プロセスで、現像バイアスとして3kHz、帯電バイアスとして1.9kHzの交流バイアスを用いた場合、それぞれの周波数により発生する濃度むらの周期(ピッチ)は0.067mm、0.105mmとなる。しかし、これらの合成周波数は0.1kHzであることから、結果的に約2mm周期の濃度むらが発生しやすい。このときのピッチがブロックの幅と一致した場合に干渉が発生し、画像上で横筋が強調されることとなる。そこで補正ブロック設定テーブルT2では、このような干渉が発生しやすい幅を避けて1ブロック分の幅(例えば2mmの倍数にならない幅)を設定するものとする。
〔第3例〕
濃度補正の第3例では、補正ブロック設定テーブルT3を使用する。この設定テーブルT3では、所定の構成サイズを有した画像パターンの繰り返し周期に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
図4は、スクリーン画像を画像パターンの繰り返しで構成した場合の例を示す図である。図4中、最小の正方形(破線で囲まれる図形)はスクリーン画像の1ドットに相当し、網掛けが施されたドットは黒点(描画あり)、白無地のドットは白点(描画なし)を意味している。図4に示されているように、例えば縦10dot×横10dotの構成サイズを有する画像パターンを基本単位とし、これを横方向及び縦方向に繰り返し描画することで、所望の大きさ(面積、範囲)を有するスクリーン画像を形成することができる。
このとき、例えばスクリーン画像を解像度600dpiで形成すると、画像パターンは約0.42mm(≒25.4/600×10)の周期成分を有することになる。この場合、ブロックの幅を20dot単位で構成したとすると、画像上で0.84mm周期の横筋(干渉)が発生しやすくなり、これは人が肉眼で感じやすいピークに近い。そこで補正ブロック設定テーブルT3では、横筋が発生しやすい幅を避けて1ブロック分の幅(例えば20dotの倍数にならない幅)を設定するものとする。
〔第4例〕
濃度補正の第4例では、補正ブロック設定テーブルT4を使用する。この設定テーブルT4では、レーザースキャニングユニット15が有するポリゴンミラーの回転周期に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
図5は、レーザースキャニングユニット15及び感光体ドラム18の斜視図である。レーザースキャニングユニット15には、例えばレーザーダイオード(参照符号なし)をはじめ、ポリゴンミラー150、各種レンズ151,152,154及び折り返しミラー156が内蔵されている。このうちポリゴンミラー150はその回転に伴い、レーザーダイオードから発射されたレーザ光ビームを反射して走査光を発生する。走査光はレンズ152,154を通じて偏向、補正された後、折り返しミラー156により反射されて感光体ドラム18の表面に照射される。
このとき、例えば解像度600dpiで8面のポリゴンミラー(図5に示されるものは6面)を用いた場合、その一回転中で発生する8条の走査光は約0.34mm(≒25.4/600×8)の周期成分を持つことになる。この場合、ブロックの幅を24dot単位で構成したとすると、画像上で約1.02mm周期の横筋(干渉)が発生しやすくなり、同じく肉眼で感じやすいピークに近くなってしまう。そこで補正ブロック設定テーブルT4では、横筋が発生しやすい幅を避けて1ブロック分の幅(例えば24dotの倍数にならない幅)を設定するものとする。
〔第5例〕
濃度補正の第5例では、補正ブロック設定テーブルT5を使用する。この設定テーブルT5では、例えばレーザースキャニングユニット15がモノリシックレーザーダイオードを有する場合、その複数条の走査光の繰り返し周期に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
図6は、モノリシックレーザーダイオード160の正面図、そしてレーザースキャニングユニット15及び感光体ドラム18の斜視図である。
図6中(A):モノリシックレーザーダイオード160は、例えば4つのレーザー素子160a〜160dを有し、個々のレーザー素子160a〜160dから4本の平行レーザー光を出力することができる。
図6中(B):このようなモノリシックレーザーダイオード160をレーザースキャニングユニット15に用いた場合、ポリゴンミラー150はその回転に伴い、モノリシックレーザーダイオード160から発射された4本のレーザ光ビームを反射して4本の走査光を発生する。このとき4本の走査光はポリゴンミラー150の厚み方向、つまり、副走査方向に配列されており、この配列関係を維持した状態で、4本の走査光は折り返しミラー156により反射されて感光体ドラム18の表面に同時照射される。
このとき、例えば解像度600dpiで6面のポリゴンミラー150を用いた場合、その一回転中で発生する24本(=4×6)の走査光は約1mm(≒25.4/600×24)の周期成分を持つことになる。この場合、基本的に走査光そのもの周期が肉眼で感じやすいピークに近くなっていることから、この周期と同期(干渉)するようなブロックの幅を設定すると、さらに横筋(感光体ドラム18の軸方向)が強調されることになる。そこで補正ブロック設定テーブルT5では、横筋が強調されやすくなる幅を避けて1ブロック分の幅(例えば走査光24本分ピッチの倍数にならない幅)を設定するものとする。
〔第6例〕
濃度補正の第6例では、補正ブロック設定テーブルT6を使用する。この設定テーブルT6では、上記の第1〜第5例で挙げた各周期の合成周期(共振周期)に起因して第2の周期的な濃度むらが発生する場合を想定し、各ブロックの幅を設定している。
例えば、補正ブロック設定テーブルT6では、高周波成分の合成により発生する0.3〜4mm程度の低周波数の濃度むらに対してブロックの幅をずらすことにより、横筋の発生を防ぐことができる。
上記の第1〜第6例で挙げた補正ブロック設定テーブルT1〜T6は、これを操作パネル54の操作を通じて設定の内容(ブロックの幅)変更することができる。例えば、合成周期に起因して発生する濃度むらは、同じ種類のプリンタ1でも個体間に差が有り、個体ごとにその周波数帯が異なってくる。そこで、ブロックのサイズ(幅)を自在に変更(選択的な切り替え、あるいは書き換え)可能とすることで、動的に横筋の発生を防ぐことができる。この場合、例えばROM62をEEPROM(書き換え可能メモリ)で構成する。
なお、上記のように本発明はカラープリンタ等にも適用できるものであり、この場合、感光体ドラムはフルカラー対応の各色別(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)に設けられる。またこの場合、感光体ドラムの周期的な濃度むらのパターン(波形)やドラム周期の位相も各色別に異なることから、制御ユニット52は、各色別にブロックの幅を設定したり、その露光量を調整したりすることができる。
画像形成装置の一例であるプリンタの構造を概略的に示す図である。 プリンタの制御に関する構成を示すブロック図である。 感光体ドラムの周方向に表れる周期的な濃度変化、及びレーザースキャニングユニットによる露光量の調整(補正ブロック)について概略的に示した図である。 スクリーン画像を画像パターンの繰り返しで構成した場合の例を示す図である。 レーザースキャニングユニット及び感光体ドラムの斜視図である。 モノリシックレーザーダイオードの正面図、レーザースキャニングユニット及び感光体ドラムの斜視図である。
符号の説明
1 プリンタ
15 レーザースキャニングユニット
18 感光体ドラム
19 帯電器
21 現像ユニット
22 現像ローラ
31 転写ローラ
52 制御ユニット
54 操作パネル

Claims (10)

  1. 軸方向の周りに回転するドラム状の感光体と、
    前記感光体の回転に伴い、その表面を帯電させる帯電手段と、
    ページ毎に処理された画像データに基づき、前記感光体の帯電した表面を露光して潜像を形成する露光手段と、
    前記感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像して画像を形成する現像手段と、
    前記現像手段により形成された画像を前記感光体から他の媒体に転写する転写手段と、
    前記露光手段による前記感光体の表面の露光に際し、その周方向で略等幅に分割した複数のブロック毎に露光量を調整することにより、前記現像された画像について前記感光体の周方向に発生する第1の周期的な濃度むらを補正する補正手段とを備え、
    前記補正手段は、
    前記第1の周期的な濃度むらとは別の要因によって前記感光体の周方向に発生する第2の周期的な濃度むらが有するピッチに対し、前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記第1の周期的な濃度むらは、前記感光体が像担持体又は転写紙担持体として機能することに起因して発生するものであり、
    前記補正手段は、
    前記感光体が前記像担持体又は前記転写紙担持体として機能する際にその回転位置を検出する検出手段を有し、この検出手段により検出した回転位置に基づいて前記ブロック毎に露光量を調整することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
    前記現像手段は、前記感光体の回転に同期して回転しつつトナーを供給する現像ローラを有し、
    前記感光体には、前記現像ローラにより現像された画像を他の媒体に転写するための転写ローラが近接して回転自在に配置されており、
    前記補正手段は、
    前記現像ローラ又は前記転写ローラの回転周期に起因して発生する濃度むらを前記第1の周期的な濃度むらとして前記露光量を調整することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
    前記現像手段は、前記感光体の回転に同期して回転しつつトナーを供給する現像ローラを有し、
    前記感光体には、前記現像ローラにより現像された画像を他の媒体に転写するための転写ローラが近接して回転自在に配置されており、
    前記補正手段は、
    前記現像ローラ又は前記転写ローラの回転周期に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
    少なくとも前記帯電手段による帯電、前記現像手段による現像及び前記転写手段による転写のいずれかを行う際に交番電界が用いられており、
    前記補正手段は、
    前記交番電界の周波数に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
    所定の構成サイズを有した画像パターンの繰り返しとして前記画像データを処理する画像処理手段をさらに備え、
    前記補正手段は、
    前記画像パターンの繰り返し周期に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記露光手段は、所定の光源から出力された光ビームを反射して走査光を発生する回転多面鏡を有しており、
    前記補正手段は、
    前記回転多面鏡の回転周期に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記露光手段は、複数の光源から出力された複数条の光ビームを共通の光偏向器により偏光することで、同時に複数条の走査光を副走査方向に配列させて前記感光体の表面を露光するものであり、
    前記補正手段は、
    前記副走査方向に配列された前記複数条の走査光の繰り返し周期に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記補正手段は、
    請求項2から8に記載の前記各周期を合成して得られる周期に起因して発生する濃度むらを前記第2の周期的な濃度むらとし、そのピッチに対して前記ブロックの幅を異ならせて補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記補正手段が露光量を調整するべき前記ブロックの幅を変更する変更手段をさらに備えたことを特徴とする画像形成装置。
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